理 学 療 法 学
第
36
巻第
7
号
363
〜
369
頁 (2009年 )研 究 論 文
片 側性 末期 変 形 性股 関節
症
患
者
の
最 大歩 行 速 度
に
影響
を
及
ぼ
す 因子
*塚 越
累
1 >#建 内 宏
重
D
福
元
喜
啓
1)奥 村 秀 雄
2)市 橋 則 明
1)要 旨
【
目 的】 本 研
究の 目 的 は 末 期 変 形 性 股 関 節 症 患 者の 最 大 歩行
速 度 に影 響
を 及ぼす
因 子 を明
ら か にす
る こと であ
る。【
方 法
】
片側 性
の末 期 変 形 性 股 関 節 症
を罹 患
し てい る女性
39
名
を 対
象
と
し, ⊥〔〕m最 大 歩 行 速 度
(
MWS
),
患 側
の股 関節
卩∫動
域 (ROM
),
両
側 股関節
・
膝 関 節 周 囲筋
の 最大 等
尺性 筋 力
お よ び歩 行 時
の疼
痛 を測 定
し た.
MWS
に影 響
を及
ぼす 因子
を決 定
す るた めに,
MWS
を 従 属 変 数,
年 齢,
R
〔,M
,
筋 力
,
疼
痛
お よ び杖 使 用
の有 無 を独
立変 数
とし
たステッ プワイ
ズ重回帰 分析
を行
っ た。
【
結 果
】
健
側膝 関節 伸 展 筋
力,
患 側 股 関 節 外 転筋
力,
疼 痛 およ び杖 使
用の有 無
がMWS
を
予測 す
る有 意
な因 子
とし て抽 出
さ れ,
その寄 与 率
は62
% で あっ た。
【
結 論
】健
側籐 関 節 仲
展筋 ノ
J
は歩 行 推 進 力
と して患 側
の機 能 低
下 を補
っ て い る と考
え ら れ,
ま た,
患 側 股関 節外 転 筋 力
は患
側 立 脚 期の体 幹
・
骨盤
の安 定 作
川と
し て機 能
し てい ると考 え ら
れ る。
こ れ ら2
つ の筋 力 因 子
および疼 痛
は末
期 変 形性
股関節
症 患 者の歩 行において特に重 要であ るこ とが示 唆 さ れ
た。キ
ー
ワー
ド末 期 変 形 性 股 関節 症
,
最 大歩 行 速 度
,
多変
量解 析
はじ め
に歩 行 能 力
は最 も 基 木 的 な 動 作 能 力
であ り
,
個
人のADL
(
Activity
ofDaily
I
.
iving
) やQOL
(
Quality
Of
Life
)に大 き く影 響 す
るため,
理学 療 法
士 が関
わる ほ ぼ全
て の疾 患
に おいて臨 床
ヒ重 要 な 評 価 指 標
の ひとつ であ
るu 歩 行 能 力の 評 価 に は・
般 的 に 歩 容 D,
歩 行 速 度2),
6
分問 歩 行 距 離
3 〕お よ び二敢 課
題歩 行
4 )5 )な ど が 用 い ら れ る が,
その 中 で も歩 行速
度 は一
定
距 離の歩行
路 とス トップウ ォ ッチ さ え あ れ ば 簡単
に 測 定 がで き,
患者
の負担
が少
なく
,
測 定値
の信 頼 性
が高
い た め臨床 現 場
で は頻
繁
に測 定
さ れ る。変 形 性 股 関 節 症 (
Hip
Osteoarthritis
:以 下,股
OA
)
*Factors InfLuenclng the Max正ma 且、Va且king Speed〔}[1
’
aLTenls withIJnilalera⊥Severe Hip Osteoarth【
’
iligD
京都 大 学 大 学 院 医学 研 究 科人間 健 康 科 学 系 専 攻 〔〒6068507 京 都 府 京 都 市 左 京 区 聖 護 院 川 原 助53)Rui Tsiikag
【
〕
shi,
RPT,
MS,
Hiroshige Ta 匸euch 「.
RPT,
MS,
Yoshihiro FukulnoLo
.
RPT,
MS,
N〔
,
riaki IchihtLshi.
RPT,
PbD ;Dcpartmcnt of Huuilan HeaLLh Sc
.
iel’
lces (}ruduate S【
・
h〔
,
〔
,
1 〔}
fMedici[le
.
KvOLo Unive「siLv
2>寿 尚会洛陽病院 整 形外 科
Hideo OkumtLr謎
.
MD,
Pl1D:Departmellt of ⊂)「rltopedTc Surgery.
RakuyD H〔,spTtal 毳
E
・
mai 且:tsukagoshi.
r@fy7.
ecs.
kyoto−
u、
ac.
)p〔受付 口 2008年1⊥ 月711/受埋H 2009年8月10日) は 関
節 軟骨
の変 形
や消 失
,
軟 骨
下骨
の象 牙 質化 な
ど によ り 関 節 破 壊 が 生 じ る 疾 患であ る が6},
その 病 期の 進 行 に伴
っ て ト レンデ レンブルグ徴 候
に代 表
さ れ る歩 容 異 常
を 呈 しア)t歩 行 速 度
の低
下 8−
10)を示 す
とさ れ てい る。
末
期
の股
OA
患 者
の歩 行 能 力 低
下の原 因
とし て は,
疼 痛
や関節
卩∫
動 域 (
Range
Of
MotiQn
:以
下,
ROM
) 制 限
,
脚
長 差 や 筋 力 低 下 な ど様々な 因 子 が 挙 げ ら れ ている1116 〕
。
し か し,
先行
研究
で は そ れ らの因子
と歩行
能 力
との相 関
関 係 を 論 じ てい る ものが多
く,
筋
力 や 疼痛
とい っ た様
々 な因
子の中
で も,
特
に どの因 子
が 歩行 能 力
に大
きく関 与
して い る のか を検 討
し た報 告
は少 な
い。加 藤
ら 17丿 は股
OA
患 者
の歩 行 速 度
に影響 を及
ぼす 因 子
と して,
歩 行 時
の股 関 節 疼 痛
, 股 関節
ROM
およ び膝 関
節
伸 展 〔
以 下,
膝 伸 展 ) 筋 力 を 挙
げ てい る、
ま た, 人 工 股 関 節 形 成 術(
Total
Hip
Arthroplasty
:以 下,
TIIA )
後 患 者 を対
象
とし た 報 告では,
歩 行 能力
の決 定 因 子
は術
側の股関 節 屈
曲 (以 下, 股 屈 曲 ) 筋 力 と 股 関 節 外転 (
以 下,
股外 転 )
筋 力
であ
っ たと
してい る IS)。
これ らの報 告
で は 互い に筋 力
が重
要 な 因 子 として挙 げ ら れ てい る もの の,
統計 的
分 析
に 用いた筋 力
お よ びROM
の因 子 が少
ない た め,
歩
行 能 力
に対 し
て下肢 筋 力
の中
でも特
に どの筋 力
が重 要
で ある か,
ま
た は,
ROM
制
限の 中で も特 にどの運 動方
向 のROM
制 限
に留 意 す
べき
か につ い て は明
ら か で は な364
理 学 療 法 学 第36
巻 第7
号 い .末 期 股
OA
に対
して行
わ れ るTHA
は,
人 工 関節
の耐
用年 数
が15
年 程 度
とさ れて い る た め,
若
い段
階で手 術
を 施 行
し た場
合 に は 再 置 換 術 が 必 娑で あ る こ と が多
い ,ま
た,
若
年
で活
動
1
生の高
いTHA
患者
で は 人」二関 節
へ の負 荷
が大
きく
か かるた め,
高 齢 者
に比
べ る と人
工関 節
の ゆる みが
生じ
やす く比 較 的 短 期 間
で再 置 換 術 を行 う
可能
性
が高
い」
その た め,
末 期
で あっ て もTHA
を 行 わ ず 保存 的 治 療
で凌
い だ り,
ま た, 予 術 が 決定
して も数
ヶ月
の待
機
期
間を
強い ら れ た りす
る場 含
が 少 なく
ない。
こ の保
存 的 治療
時 期や待機
期間
に歩行 能 力
を維 持 す
る こ とは,
患 者
のQOL
に とっ て非 常
に重 要
であ り
,
そ
の歩 行 能 力
に影 響
を及
ぼす 因 了
を明
ら か にす
る こ と は,
理 学療 法
の施 行
において治 療
選択
の一
助
となる と考
え
ら れ る。
本 研 究
で は歩 行 能 力
の指 標
の1
つ で あ る最 大 歩 行 速 度
(
Maxlmal
Waking
Speed
;以 下,
MWS
)
を 測定
し,
多
変 量 解 析
を用
い て末 期 股
OA
患 者
のMwS
に影 響 を 及
ぼす 因 子 を 明
らか
にす
ることを
ll
的
とし
た。
対象
と 方 法1
.
対象
対 象
は京 都 市
内の2
施設
の 急性
期病 院
整 形外 科
に おい て2004
年
7
月
〜
2008 年 6
月
に片 側
THA
を目的
と して 入院
し た 女性 末 期 股
OA
患者
で術 前評 価 項
目に欠 損値
の無
かった
39
名
とし た
。健 側 股 関 節
に明 らか な 疾 患
や疼
痛
お よ びROM
制 限 を有 す
る者
,
腰 部
や膝
関節
に疾 患 を
有 す る 者,
神 経 学 的 疾 患 を 有 す る 者 は 研 究 対象
か ら 除 外 し た。
対
象
者
の平 均
年
齢
は60.
7
±7
.
3
歳
,平 均 身
長 は1532
±5
.
5crn
,
平 均 体
重 は54
.
5
±6
.
7
kg
,
口 本 整 形外
科
学 会 股 関 節 機 能 判 定
基準
の平 均 値
は48
.
5
±13
.
5
であっ た。対 象
者に は研究
の内 容
を説
明 し,
妣究
に参 加 す
る こ と の同意
を得
た。
2
,
測定
項 冂測 定 項
目 は,
MWS
,
患 側 股関 節
ROM
,
下 肢筋 力
,
歩行 時
の股 関 節 痛
と し た。
歩 行 能 力
と してMWS
を測 定
し た,
,
約
15m
の平
坦 な歩 行路 を用
い て,
患 者
に でき
るだけ 速 く歩 く
よう
に指 示
し
,
歩 行 路
の中 間
10m
区 間
を通 過
す る所 要 時 間
をス ト ッ プウ ォッ チ に て0
.
01
秒 単 位
で測 定 し た。
測 定 は2
同 行 い,
解 析
には速
い値
を採 用
し た。
ま た,
対 象
者の内7
名
は普段
の外 出 時
にT
字 杖
を常 川
し てい た た め,
杖 使
用 下に て測 定
し た、
、
ROM
の測 定 対 象
は,
患 側 股関 節
の屈 曲
, 伸 展,内 転
,外 転
,
内 旋 お よ び 外 旋 と し,
ゴニ オメー
ター
を用
いて 円 本 整 形 外 科 学 会 およ びH
本 リハ ビ リ テー
シ ョ ン医 学会
が 推奨 す
る方 法
に従
っ て他 動 的
に5
度 刻
み で測 定
し た ].
9}。
な お,
股屈 曲
90
度
に達
し ない患 者
の股 関 節 内 旋
および外 旋 可動
域に関
し て は,
患 者 個
々の最 大
屈曲 位
にて測 定 し た。ド肢 筋 力
の測 定
にはHand
−Held
Dynamomcter
〔
日本MEDIX
社 製
,
以 下HHD
)
を使
用 し,
測 定 は 筋 力 測 定 に 習熟
し た2
人の理 学療
法
上 が 行 っ た。
両
側の股 屈 山
,
股 関 節伸
展(
以 下,
股伸
展)
,
股外 転
,
膝 仲 展
お よび膝
関 節 屈 山 (以 下,
膝 屈 曲)
の最
大等
尺性 筋 力
を測 定 対 象
と し た。股 関 節 周 囲 筋 力
の測 定 肢 位 は
,
股 屈 曲
は座 位
に て股 関 節
・
膝 関 節
90
度
,
股 伸 展
は腹 臥 位
に て 股 屈伸
中閊 位
お よ び膝 伸
展位
,
股 外 転
は仰
臥位
に て股内 外
転 中 間位
で測 定
し た、 股 屈曲筋 力
の測定
に おい て,
患 側 股 屈 曲ROM
制 限のた め 屈 曲90
度 が取
れ ない患者
の場
合 に は最
大屈
曲 位 に て 測定
した。
ま た,
対 象 者
に 座面 端
を把 持 さ
せ る こ と で体 幹
の後
傾
に よ る代 償
を抑
え たv股 伸 展 筋 力
も同様
に,
股
fi
}
i展
ROM
制 限
のため股 屈 伸 中 間 位
を取
れな
い場 合
に は最 大 伸 展 位
に て 測定
した。
ま た, 股伸
展筋
力 発揮
の際
に検 査 者
が骨 盤 部 を上 方
か ら押
さえ
ること
で 腰 椎・
骨 盤
によ る代
償
動作
を抑 え安 定
し た筋
力 発揮
が行
え
る よう
配慮
し た、
股
外
転 筋
力
の測定
に おいて,
股内外
転
中 聞位
を 取 れ ない場 合
,
内
転位 拘
縮で は 最大
外 転位
で,
外 転 位拘 縮
で は最
大内転 位
にて測 定
し た。
膝 伸 展
お よ び屈 曲筋 力
は 座位
にて膝 関 節
90
度 屈 曲 位
で測 定
し た。筋
出 力
を受 け
る 田ID
の セ ン サー
部
の位 置
は,
股 屈 山
は大
腿 遠 位 部 前 而
,
股伸 展
は大 腿 遠 位 部 後
面,
股 外転 は大 腿
遠 位 部 外 側 而
,
膝 伸展
は 下腿 遠 位 部 前 而
,
膝 屈 曲
は 下腿
遠 位 部 後 面 と し た。
最 大 等 尺 性 筋 丿コはMMT
に お け るbrake
匸eSL の方
法
に従
っ て そ れ ぞ れ2
回 測定
し,平均
値
を採
川 し た。
ま た,
アー
ム長の計 測 は,
股外
転 は 大転
r一
の最
突 出部
か ら,
股 伸 展 は 坐骨
結節
か ら,
股屈
曲 は 鼠径
部 巾 央
か ら,
膝 伸 展
と膝 屈 山
は膝 関 節 中
心 か ら,
そ れ ぞ れの測定 位 骨
に当
て たセ ン サー
部 中 央
まで とし て布
メジ ャー
を 用
い て計 測
し た。 セ ン サー
部
の力 〔
N
)
と そ れぞ
れのアー
ム長(
m)
の積
であ
る トル ク(
Nrn
)を 算 出
し,
その値 を 対 象者
の体
重(
kg
)
で 除 し て トル ク体 重
比 (Nm
/kg
)
を 求 め た。
なお,IIHD
を使
用 した股外 転
・
伸 展
・
屈 曲,
膝 伸 展・
屈 山の最 大等
尺性 筋
力 測定
の信 頼
性
に関
しては,
著者
らの先 行 研 究 に よ り 概 ね 高い信 頼 性 が示
さ れてい る20)。
歩
行時
の 股 関節 痛
は,
lll確
に 測 っ た線 分
10Cm
のViSual
Analog
Scale
を 用い て,
MWS
測定 時
の股 関節
周囲
の 疼 痛 を 対象
者 にマー
キ ン グ さ せ,
mrn単 位
で測 定
し た。
3.
統 幇処
理方 法
全
て の統 計 解 析
はStat
View
−J
5
,
0
を使
用 して行
っ たtt対
応の ある t検 定
を使
川し て健 側 と患 側のf
肢 筋力
を 比較
し た。
MwS
と年 齢,
患 側 股ROM
,
両 側 下 肢筋 力
お末期 変 形 性 股 関 節 症患 者の最 大 歩 行速 度の影 響 閃子
365
よ び疼 痛
との単相 関係 数
を求
め た。
ま た,各 変 数 間
の関
連 性の影 響 を 除外
してMWs
と各 変 数
との相 関
閖 係 を検
討 す
る た め に偏 相
関係 数 を求
めた。MWS
に影 響
を及
ぼ す 因 子を抽 出 す
る た め に,
変 数 減 少 法
によ るス テ ッ プワ イズ重 岡 帰 分析
を行
いMWS
の回帰
モ デ ル を求
め た。
年
齢, 患 側 股ROM
, 両 側 ド肢筋 力
お よび疼 痛
の全18
項 目
に加
えて,
杖
不 使
用を
0
,
杖 使
川を
1
と し
た ダミー
変 数
を 独 立 変 数 と して回 帰 式 に 投 人 し た。
回帰
モデル に対 す
る各 独
立変 数
の関 与
をp
値
にて確 認
し,
各
ステッ プ に お いて最 大
のp
値 を 示
し た変 数
を除 外
し た,
回帰
モ デル に含
ま れる全
て の独
立変 数
のp
値
が0
.
05
未 満
と なるまで分析
を 行っ た。
重
回 帰分 析 を 行 う
際 に各 独 立 変 数 問
の関 連
が 密 接 す ぎ る 場 合 に は多
重 共 線 性 が 問 題となる た め,
分
散 拡
大要 因 (
Variance
Inflat
.
ion
factor
:以 ド,
VIF
)
の
値
を求
め て多
重 共線性
を確
認 し た。
全
ての検 定
の有 意
水 準
は5
% 未 満 と し た.
表1 最 大 歩 行 速 度,
疼 痛 および患 側 股ROM の平 均 値 最 大 歩 行 速 度 (m〆min)
疼
痛(
Cm)
患 側 股 関節ROM
(’
)78
.
9
±2
⊥.
1
4
.
3
±2
,
5
b
耐曲 7⊥、
3
±21
.
〔〕 仲展一
2.
3± 9.
3
1
ノ寸申云.
8
.
1
±6
.
8
外転 1ユ.
8± 8.
6
1
人∫旋 6.
3± 15.
7 外旋 19.
0± ⊥1.
1結
果
MWS
, 疼 痛 およ び患
側 股ROM
の平 均 値
±標 準
偏 差 を表
1
に 示 し た。
健 側 と 比
較
して患 側
の筋 力
は全
ての項目
で有 意
に低
い値
を示
し た(
表
2
)。
ま た, 筋 力 に お ける患 側
・
健 側
の 比 は,
股 屈 山
75
.
4
%,
股伸 展
75
.
3
%, 股外 転
80.
3
%
,
膝 伸
nc
76
.
3
%,
膝 屈
曲878
%であっ た。
MWS
と各 変 数 間
の相 関 係 数 お
よび偏 相 関係 数
を表
3
に示
し た。
MWS
と有 意 な 相 関 を示 した
のは年 齢
,
疼 痛
,
下 肢 筋 力で あっ た。
患 側 股ROM
とMWS
とは概
し て低
い相 関
であ
っ た。
偏 相 関 係 数
におい ては,
年
齢,疼 痛
,患 側
の股 外 転 筋 力
と膝 屈 曲 筋
JJ,
健
側膝
伸 展筋 力
がMWS
と有 意
な相 関
を示
し た。
ステッ
プ
ワイ
ズ重 回 帰 分 析
の結 果
,
MWS
を決 定 す
る独
立変 数
と して,
第
1
に健 側 膝 伸 展 筋 力
,
第
2
に疼 痛
,
第
3
に患
側 股外 転 筋 力
,第
4
に杖 使
川の有 無
が選 択
さ れ たtt各
独
立変 数
の関
与
の大
き さを
表
す標
準
偏
囘帰 係 数
は健
側膝 伸 展
筋 力0
.
481
,
疼 痛一
〇.
385
,
患 側 股 外 転筋
力0,
293
,
杖 使 用
の有 無
一
〇.
225
であ り
,
得
られ
た回 帰 式
はMWS
(
m 〆min)
=
22
.
6A
−
32B
+29
.
9C
−
12
、
2D
+39
,
3
[
A
:健
側膝 仲
展筋 力 (
Nm
〆kg
)
,B
:疼 痛
(
cm ),
C
:患 側 股 外 転 筋 ノ
丿(
Nm
/kg
)
,D
:杖 使
用の有 無 ]
, 回帰
式
の寄
’j・
率 を 表 す 自 由 度 調 整 済
み決 定 係 数
(
R
*2)
は 〔}.
623
で あっ た(
表
4
)
。
多
重共
線
性
を確 認 す
る ため に各
変 数のVIF
偵
を求
め た 結果
,
VIF
値
はL25
〜
7
.
69
の範
表
2患 側と健 側にお ける筋力の比 較 (N皿/kg ;平均 値±標 準 偏 差) 表4 最 大 歩 行 速 度に影 響 する因 了
一
患 側 健 側 偏 回帰 係 数標 準 偏 団帰 係 数
P
値
股関節 膝 関 節 曲 展 転 展 曲 屈 仲 外 伸 屈 ホ ヰ0
.
75
±0
.
20
LO3
±027
0
.
74±0
.
31
* *1
.
04 ± 0.
37 * ホ 0.
75± 0.
21 0.
95 ± 0.
21 1.
09 ネ や ± 0.
32 L45 ± 0.
45 え,
ホ0
,
59±0
.
1
ア0
.
69
±0
.
21
健 側 膝 関節 仲 展筋 力 22.
574 疼 痛一
3.
210 患側 股 関節外転 筋力29
.
8
9
.
4
杖の有 無一
12.
189 O.
481−
0
,
385
0
.
293
−
0.
225 <0.
Ol <0.
OiO,
0110
.
039 **
pく0
,
01
重 相 関係 数
R
=
0
,
8⊥4,
決 定 係 数R2=
0
.
662
自 由 度調 整 済み決 定 係 数R*z=
0
.
623
,
P<0
.
01 表3 最 大 歩 行 速 度 と 諸 変 数 との関 連 相 関係 数 偏 相 関 係 数 年 齢V
,
4SROM
屈「lil
伸 展 内 転 外 転 内 旋 外 旋 * *−
Q
.
4
⊥1
−
0.
322* 0.
021−
0、
120−
0.
2920
,
179 0.
033−
0
.
124
・
−
0
.
395
* * *−
0.
609−
0.
247−
0.
2工5 0.
198−
0
.
008
〔1235 〔〕.
182 相関係 数 偏相閲係 数 患側筋 力 股 関節 膝 関 節 健 側 筋 ブ丿11
殳関 節膝
関節 曲 展 転 展 山 曲 展 転 展 曲 屈 伸 外 伸 屈 屈 仲 外 伸 屈 *0
.
401
* * OA87 * *O
.
524
*
*
0.
5100.
406**
*0
.
491
*
*
0
.
523 * * 0.
517 * * O.
601 * * 0.
5070
.
503*
*
−
0.
⊥07−
0
.
099
−
0
.
141−
0
.
367
*.
−
0
.
304
0231−
〔〕247 * * 0.
508−
0.
009 * * * p<0.
Ol,
p<0.
es366 理学 療 法 学 第
16
巻第7F
)囲
であっ た。多 重 共 線 性
の 問 題 が 起 こる とさ れ るVIF
値 は
10
以
L
と
さ れ ている21)こ と か ら,
本 研
究の 回帰
式
に多
重 共線
性の 問 題 は 生 じて い ない こ と が確
認 さ れ た。
考
察
1
.
歩 行 能 力
と各 変 数 と
の相
関 関係
につ い て本 研 究
の対 象 者
のMWS
は78
.
9
.
mhmin で あり
,
60
歳代
の健 常 者
のMWS
と さ れる93
.
3
〜
LO6
.
4
m,
iminL’
) 22’ に 比べ て低
い値
であっ た が,
先 行 研 究
2抛 1)に よっ て示 さ
れて い る末
期股
OA
患者
のMWS
(60
.
6
〜
68
.
4
m /min)
と比
べ て高
い値
であ
っ た。本 研 究
で測 定
し た各 変 数
とMWS
との関 係
で,
MWS
と有 意
な単 相
関 関係
を 認めたの は,
年
齢(
r=− O.
41
),
疼 痛
(
r=− O.
32
)
,F
肢 筋
力 (
r=O.
40
一
一
O.
6
{〕)
で あった
。
健常
人 や 活 動制
限のある高齢 者
において年 齢
や ド肢
筋 力
が 歩行
速度
に影 響
す る こと は先 行 研 究
2)25〕26)か らも明
ら かであ り
,
股
OA
患 者
に おい ても同 様
の結 果
とな
っ た。
ま た,
他
の変
数 を統
制 した偏
相 関 に おいて は,
年齢
はr=− 0,
40
と単 相
関 と 同程 度
の相
関 関係 を
示 し, 下肢 筋 力
の 中 で は患
側 股 屈曲 筋 力 (
r=O.
50
) と 健 側膝
伸 展 筋 力 (r=
0
,
51
) が 中 等 度の正の相 関 を 示 し た。
THA
後
患者
を対
象
と して,
歩 行 能
力 と 股関 節 機 能
との関係
を検 討
し た小 野
ら18〕の研
究で は,
歩 行 能 力
と有 意
な相 関
関 係
を認
めたの は年 齢
お よ び股 関 節 筋 力
であり
,
疼 痛
と は有 意 な 相 関
は無
かっ た と してい る。一
方
,
本 研 究
では年 齢 と筋 力
に加 え
て疼 痛
にも
MwS
との有 意
な単 相 関
お よ び偏
相 関 関 係
が認
め ら れ た。
THA
後
患者
で も 術 側筋
力
の低 ドやROM
制 限 が 残存
して いるこ と は よ く知
ら れ て おり
,
こ の点
で は末
期
股OA
患
者
と障
害
構
造 が 類 似 し て い るが,
THA
後 患 者
と末 期 股
OA
患 者
で大 き く異 な
るのは疼 痛
の程 度
であ
る。実 際
に,
本研 究
で対 象
と し た末 期 股
OA
患 者
の疼 痛
はVAS
で4
.
3
であ
る の に対
し,
小
野 らの対象
者
は1
.
4
と 大 き な 開き
が あ る。
末 期 股
OA
の 主 症状
で あ る疼 痛
は歩 行 時
の荷
重 支 持 機 能 を低
ドさ せ る と と もに,
歩 行動
作 に 対 す る 嫌 悪 感 や 不 安 感 を 生 じ させ るた め歩 行 能 力
に直接 的
に影 響 す
る と考
え ら れ,
末
期 股OA
患 者
の疼 痛 管
理 は非 常
に重要
な課
題である〔
、
2
,
MWS
に影 響
を与
え る因子
につ いてス テ ッ プワ イズ重 回 帰 分 析 を 用い て
MwS
に影 響
を与
える因r
・
を 解 析 し た 結 果,
第1
に 健 側 膝 仲 展 筋 力,
第2
に疼 痛
,
第
3
に患
側 股外 転 筋
力,第
4
に杖
使
用の有 無
が拙
出 さ れ,
こ れ ら4
つ の 因 子のMWS
へ の寄
’ 丿・
率
は約
62
%であっ た。
股OA
患 者 を 対象
と し た加 藤
ら 17〕の報
告で は, 歩行
速 度 に 影 響 す る 因r一
は患 側
股ROM ,
疼 痛
,
膝 伸 展筋 力
で あっ た と して い る。本 研 究
で は患 側 股
ROM
は歩 行 速 度
と有
意 な相 関 閧
係が認
め ら れず
,
MWs
の有 意 な 影 響 因 子
と し ても抽 出
さ れ な かっ た が, その理由
と して は対 象 集 団
の違
いが考 え
ら れ る。
加藤
ら は初 期
か ら末期
の股
OA
患 者
を対 象
と してお り,一
方,
木 研 究
で は末 期 股
OA
患 沓
の みを
対象
と し てい る。
股OA
では 初 期
から進 行 期
,
末期
へと症
状の進
行
に伴
っ て,
徐
々に 歩行 能 力
の低
ドお よ び股
ROM
の制 限
をき
た して いく
が,
加 藤
らの報 告
の よう
に研 究 対 象
の病 期
に幅 が あ
る場 合
に は,
歩 行 能 力
と股
ROM
が 関連
し易
い た め,
歩
行 能 力
に影 響 す
る 因子 と
し て 股ROM
が抽
出 さ れ る もの と考 え ら
れ る、、
健 常
者
に おいて 歩行
能力
と膝 伸 展 筋 力 が 相 関 関 係 に あ ること は よ く知
ら れ て お り, 同 筋 力 は歩 行 時
の推
進 丿J
と して重 要
で あ る。
今
同の結
果で は,
患
側の膝仲
展筋 力
で は な く健 側 膝 仲 展 筋 力 が 重 要で あ ること が 示 さ れ た,
、
そ の理由
と して,
末 期 股
OA
患 者
で は歩 行 時
の股 関節 痛
や 患側 筋 力 低 下
な どのため に患 側
の 立脚 時 間
が短 く
,
健 側
優 位
の歩 行
とな
るケー
ス が ほ と ん ど であ
る た め,健 側
卜肢
に よる推 進 力
が歩 行 速 度
に対
し て大 き
な役 割 を
果 た し てい ると考 え ら れ る,
ま た,
木 硼 究で は 歩 行 能 力 に 影 響 す る因
子 と し て 患 側の股外
転 筋 力
が抽
出 さ れ た。
股OA
患
者 は 健 常 者 と 比 較 して 歩行
時の エ ネル ギー
消 費効
率 が 悪 化 して い る と 指 摘 さ れて い るが 1ω,
これには荷
重 支持 能 力
の低 下
に加
えて,
股
OA
患者
に み ら れ る歩 行 時
の体 幹 側 方 動 揺
や 重 心の一
L
下 動
が影 響
して い る と思
わ れ る。股外 転 筋 力
は歩 行
立脚 期
におけ
る骨 盤
一
大 腿 問
の安
定
に作 用
し,
トレ ンデレ ン ブ ル グ徴 候
に代 表
さ れ る跛 行
の 原因
の1
つと
さ れて い る た め2ア〕28),
同 筋 力
の低
下 は 下 肢の荷
重 支持 能 力 低
下 や跛
行
を助
長 し,歩 行 速 度
の低
下 を 拙 く と考
え ら れ る。
本 研 究
の対象
著
の内
7 名
は 囗常
的
に杖
を使
用 してい た た め,
回 帰 式
に ダミー
変 数
を投
入 して,
杖 使
川の有 無
がMWS
に与
え る影響
を検 討
した結 果
,
杖
の有 無
は有 意
な変 数
とし て選 択
さ れ,
その偏
回帰 係 数
は一
/2
.
2
であっ だ,
これ は,
杖 を 使 用
し てい る患 者
は歩 行 速 度
が12
.
2m
,
’ min減 少
し てい ることを 示
してい るc、
杖 を常 用
し な け れ ば な ら ない 患 者 は,
杖 を 常 用 していない患 者
に 比べ,
関節
変 形 や 疼痛
の増 悪, 運 動機
能の低
.
ドな ど が進
行
してい る と推
察
さ れ,
結
果的
に歩 行 速 度
が遅 く
なっ て い る と考 え ら れ る。
ま た一・
方で は,
杖 を 使 用 する こ と白
体
が歩 行 速 度 を減 少
さ せ たと捉 え
るこ とも
でき
る、,
最 大
速 度
で歩 行 す
る という課 題
に,
タイミ ン グ良 く杖
を突 く
とい う 課 題 が加
わ る こ と で歩 行 動 作
の困 難
さ が増
大 した 可能性
があ
る。杖
は歩 容
の改 善
をも
た ら し,
患 側下 肢
へ の荷 重 量
や疼 痛
を軽 減
し,
ま た筋 力低
下 を代 償
す る、
,
そ の た め,
長 時 間
・
長 距 離
の歩行
には非 常
に有
用であ り,
股
OA
患 者
には杖
の使 用
を推 奨 す
べ き と 思 わ れ る が,
今 圖の結 果
か ら は,
杖
を 必 要 と す る 身 体 機 能 状態
ま た は杖
の 使 用自体
がMwS
に は負
の影 響 を与 え
る ことが示 峻
さ末 期 変 形 牲 股 関 節 症患者の最大歩 行速 度の影響 因 了
367
れ た、、
今
回抽 出 さ
れ た4
つ の因 子
がMWS
に影
響
す
る割合
で ある寄 与率
は62
% であり
,
残 り
の約
40
%は 回帰
式に採
川 さ れ な かっ た変 数
や,
今
回測 定 対 象
としなか
っ た運 動
機 能
や患 者
の身体 的特 徴 な ど
に因
るも
の であ
る。
測 定 対
象
と し な かっ た 運 動 機能
で は, 殿 部の深 層にある股 関節
外 旋 筋
群 は 股関 節
の安
定 性 に 寄 与 し てい る と考 え
ら れ, 歩 行 時の関 節安 定 性
にも重 要
であ ると
思 わ れ る。
ま
た,
股 関 節 機 能
の低
下 を腰 部
や 足関 節
に よっ て代 償
してい る とす
れ ば,
腰 部筋
や ド腿 筋
群 も 歩行
速 度
に影 響
し てい る と考
え ら れる。
身 体
的特
徴 と して,
股OA
で は 関節
変 形 に伴
っ て脚 長 差 が
生じ
る こと が多 く
,
歩 行 速 度
へ多 少 な
り
とも影 響
してい る可 能 性
があ
る、
t し か し,
本 研 究
で筋
力
測定
に使
川 したHHD
で は股
関節
囘旋 筋 力
や腰 部 筋 力
な ど に対 す
る測 定
の信 頼 性
が保 障
さ れ て おらず
,ま
た, 脚 長差
に 関 して は 股OA
に み ら れ る舸 額 面
上の骨 盤 傾
斜29)や 衣 服の撓 み な どの た め 計 測 精 度 に 問 題 が あ るこ と か ら 本 研 究 で は 測定
項 目 と し て採
用 し な かっ た。
3
.
臨床
的関
連本 研 究
で対 象
と し た末 期 股
OA
で は,
関 節 裂
隙の消 失
や骨 棘
の形 成
な どの関 節 変 形
をき
た し,
そ れ に伴
っ て強
い股 関 節 痛
,
顕昔
なROM
制 限
と下 肢 筋 力
の低
下が生 じ る。末 期 股
OA
患 者
の理 学 療 法
に おい て は従 来
か ら跛 行
の原 因とさ れる股 外 転 筋 力
が垂要 視
さ れ て き た が,
今
回 の結
果か ら,歩 容
だけで はなく歩 行 速 度
とい っ た観 点
か らも股 外 転 筋 力
の重 要 性
が確 認
さ れ た。
末 期
股OA
患 者
に対 する高負
荷での股 外 転 筋力
の 強 化 は 股 関 節 内 圧3°丿 を 増 大 させ,疼 痛
の増 悪 や骨
破壊
を 進行
さ せ る恐
れ も あ る た め,
関節
保
護
の観
点
か ら低 負
荷 高 頻 度
の筋 力 増 強
運 動 や 歩 行 時に外 転 筋 を効 率
良 く機 能
さ せる とい っ た治 療
方 法
が 必要
であ
る と考 え
られ
る。ま
た,
末 期 股
QA
患 者
の特 黴
と さ れ る持 続 的 な疼 痛
は筋 力
トレー
ニ ン グ の妨 げ
と なる た め,
股 関 節 周
囲の軟 部 組織
に対
して温 熱療 法
や スト
レ ッチ
ングな
ど に より疼 痛 を緩 和 す
ること
はADL
能 力
の維 持
だけ
ではな く ト
レー
ニ ン グ効 果 を高
め る上
でも非 常
に重 要
である。
患
側は股 関 節 周 囲筋
に 加 えて膝 関
節 周 囲 筋 も健 側
に比
べ て有 意
に筋 力 低
ドが生
じ てい るこ と,
ま
た,
股 関 節 周 岡 筋
に 比べ て膝
関節
周 囲筋
の 非荷
重位
で の筋 力増
強 運動
で は 股関 節 内
圧の ヒ昇
が小
さく股 関
節疼 痛 を生
じ難
い と考
え ら れ る こ と な ど か ら,
膝 関節 周
囲筋
に対 する積 極 的 な トレー
ニ ング が推 奨さ れ る。
特
に,
膝 伸
展筋 力
は股 関節
周 囲 筋 や 膝屈
曲筋
と比較
して術 後
の筋 力
回復
が 遅 延す
る と さ れ てい る2°〕 こと か ら,
THA
後
を 見据
え た 上でも重
要な ト
レー
ニ ング対 象
であ
る。
末
期 股OA
患 者の ほ とん どはいず
れTHA
を施 行
する こ と と な る が,
TIIA
施 行 前
か ら運 動 療 法 を 彳
∫う
こ と で術 酊
の 運動 機 能
の向
ヒや 術 後の 回復 促
進 が得
ら れる こと が報
告
さ れて おり
3D32 ),
術 前
の運動 療 法
の果
た す役 割
は 大 きい と考
え
ら れ る。
4
.
本研 究
の限 界
本 研 究
で は対 象 者
を末 期 股
OA
患 者
に 限定
し て おり
,
さ ら に健 側 股 関 節
に は明
らか な疾
患や機
能 障 害 を 有 さ な い ことを包 含 基 準
と し てい るた
め,
今 回
の結 果
を初 期
や進 彳
f
期
の股
OA
患 者 ま
た は両 側 を罹 患 し
てい る患 者
に ま で 般 化 する こ とは適 当
で はない と思われる。
ま た,
本
研究
で は歩 行 能 力 と
し て最 大 歩 行 速 度 を用
い てい るた
め,
6
分 問歩 行
の よう
な長
距離 ま
た は長 時 閊 歩 行
に影 響
す
る因 子
が今 回抽 川
さ れ た閃子
と同
一
であ るとは 限 ら な い。
さ ら に,
脚 長
差,
股 関節 回旋 筋
群 や ド腿 筋
群の筋 力
な どは評価 対象
とし ていな
いため,
そ
れ らの影 響
につ い て は明
ら か で はな
い。
結
五 ロ一
一
一
【
目片 側
性 末 期
股 ぐ)A
患 者のMwS
に影 響
を 及 ぼす
因r・
に つ いて多
変 量解 析
を 用いて分 析 し たt、
結 果,
健 側膝仲
展筋
力,
疼痛
,
患 側 股外 転 筋
力 お よ び杖 使
用の有
無 が 因 了 と して杣 出
さ れ,
同筋 群
の筋 力 強 化 運 動
お よ び疼 痛 管
理 は末 期
股OA
患 者
の歩 行 能 力
の維 持 改 善
に おい て特
に重要
であ
る ことが示 唆
さ れ た。文 献
1
)Pcrro11
M
,
Maloui
τ1F
,
etα1
:Three
−
dimentiunal
gait analy−
9
.
is
in
womell wlth a tDta]hip
ar!hropasty
.
Clin
BiQmcch
.
2000
:15
:504
−
515
.
2
)Bohannon
RW
:Comfortable
and
maximum
walking
spccd of adults aged 20
−
79 years :reference values and
determinants
.
Agc Ageirlg.
].
9 97;26;15−
19,
3〕
Guimaracs
GV
,
CarvaihoVO
,
et α1.
:Reproducibility ofthe seif
−
controlled six−
Millu しe wa ]king test inheart
fai
⊥.
しlre patients
.
Clirlics
,
2008:63
:20]−
2e6
.
4>
Beauchet
O
,
Dubost
V
,
et al.
:Dual
−
lask・
rela匚edgait
changcs
ill
transitionall⊃・
fraii
o ⊥der
adu [ts;The
type ofthc walking
−
ttsseCiaied cognitive task matter.
GeronLlogy
,
2005
;5
⊥:48
−
52
.
5
)Hol
!m 乏mJH,
Kovash
FM
,
et al.
:Age
−
relateddifferences
in
spalioLenlPoral tnarkers of gait stabilityduring
dua且task walking
,
Gait
Posture
.
2007
;26
:113−
119.
6) 内 藤 止 俊 :股 関節痛 を訴え る骨
・
関 節 疾患.
痛み と臨 床,
LtOO];1
:35
−
42
.
7)HardcasLlc P
,
Nade S:The signi 且cance Df thc Lrende−
tenburg
tesl.
J
BoncJoint
Surg Br.
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;741
−.
746
,
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JB
,
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GL
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JB
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reactionforces
duringgait;comparisoll of pationLs wit]
’
1 hipdisease
and nor−
nlal subjects
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PhysTher
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1973
;53
:1056
−
1062
,
10)和田郁 雄
,
池田 威,
他:変 形 性 股関節 症 患 者の歩 行時エネルギ
ー
消 費 およ び心 仕 事 量の検 討,
総 合リハ.
199
.
3
;21
: 395−
399.
II)
Steultjens
MP
,
Dekker
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et al.
:Rangc ofjuint
motio コand
disability
ill
paticnts with esteoarthritis or thc knec368 理 学療 法 学 第
36
巻 第7
号12)
Kups1
:adH
,
Rllstoen
T,
et al.
:Changcs
tn
pain,
stiffnessand ph)
’
sicaltuilction
in
patients
with osteoa.
rthrltjs walt−
ing
f{)r
hiP
or
knee
joillt
replaceinent
surgcry
,
Os1
.
eoarthritisCa1
・
tUage.
20Q7;L5
:837
.
−
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