整理番号第 392 号
鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する
共同研究(その2)報告書
-SFRC舗装した鋼床版実大供試体の静的載荷および移動輪荷重試験-
分冊1/2
平成 22 年 1 月
独 立 行 政 法 人 土 木 研 究 所
株 式 会 社 横 河 ブ リ ッ ジ
共同研究報告書
Copyright © (2009) by P.W.R.I.
All rights reserved. No part of this book may be reproduced by any means, nor transmitted, nor translated into a machine language without the written permission of the Chief Executive of P.W.R.I.
この報告書は、独立行政法人土木研究所理事長の承認を得て刊行したも のである。したがって、本報告書の全部又は一部の転載、複製は、独立行 政法人土木研究所理事長の文書による承認を得ずしてこれを行ってはなら ない。
第 392 号 2010 年 1 月
鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する
共同研究(その2)報告書
-SFRC舗装した鋼床版実大供試体の静的載荷および移動輪荷重試験-
分冊1/2
要旨 既設鋼床版のデッキプレートとUリブとの溶接に発生がみられる疲労き裂に対して、補修補強技術の開発 を目的とした「鋼床版橋梁の耐久性向上技術に関する共同研究(その2)」を平成 16 年度から実施している。 当該疲労き裂に対する補修補強策として、本共同研究では鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装の適用 について検討した。既設のアスファルト舗装を剛性の高いSFRC舗装に置き換えてデッキプレートと合成 させることによって、疲労挙動に係わる鋼床版の局部応力の大幅な低減を図るものである。 本報告書は、実大鋼床版供試体を用いた静的載荷試験および移動輪荷重試験の結果をとりまとめたもので ある。静的載荷試験ではSFRC舗装前の鋼床版の応力性状を計測するととともに、舗装後の応力低減を確 認した。また、供試体のSFRC舗装のデッキプレートへの接合方法として接着材タイプとスタッドタイプ を用いて両者の挙動を比較した。移動輪荷重試験による繰返し載荷の結果、供試体の応力等の挙動は若干の 変化を生じたが、応力低減効果は保持されることを確認した。 キーワード:鋼床版、疲労き裂、補修補強技術、Uリブ、鋼繊維補強コンクリート舗装、SFRC 独立行政法人 土木研究所 橋梁構造研究グループ 上席研究員 村 越 潤 主任研究員 梁取 直樹 専門研究員 宇 井 崇 株式会社 横河ブリッジ 技術本部 技術研究所 研究課長 春日井俊博 研究課課長 井 口 進 研究課課長 石井 博典 橋梁工事本部 工事第二部 西野 崇史共同研究報告書
鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する共同研究(その2)報告書
-
SFRC舗装した鋼床版実大供試体の静的載荷および移動輪荷重試験-
分冊1/2
目 次
1.はじめに ··· 1 2.概 要 ··· 2 2.1 SFRC補強工法の構造 ··· 2 2.2 鋼床版における実績と既往の研究 ··· 4 2.3 標準的な施工工程 ··· 9 2.4 工法の特徴 ··· 12 3.供試体の概要 ··· 13 3.1 供試体の種類と構造諸元 ··· 13 3.2 供試体の鋼床版鋼部材の製作 ··· 18 3.3 SFRC舗装の施工 ··· 21 4.静的載荷試験 ··· 30 4.1 概 要 ··· 30 4.2 試験条件 ··· 30 4.3 FEM解析 ··· 36 4.4 SFRC舗装施工前の試験結果 ··· 38 4.4.1 概 要 ··· 38 4.4.2 デッキプレートの鉛直変位 ··· 38 4.4.3 Uリブ下面のひずみ ··· 41 4.4.4 デッキプレートとUリブ溶接部のデッキプレート側ひずみ ··· 43 4.4.5 デッキプレートとUリブ溶接部のUリブ側ひずみ ··· 48 4.4.6 垂直補剛材上端部のひずみ ··· 53 4.4.7 Uリブ・横リブ交差部のひずみ ··· 55 4.5 SFRC舗装施工後の試験結果 ··· 65 4.5.1 概 要 ··· 65 4.5.2 デッキプレートの鉛直変位 ··· 65 4.5.3 Uリブ下面のひずみ ··· 68 4.5.4 デッキプレートとUリブ溶接部のデッキプレート側ひずみ ··· 704.5.5 デッキプレートとUリブ溶接部のUリブ側ひずみ ··· 73 4.5.6 デッキプレートとUリブ溶接部の応力低減の効果 ··· 76 4.5.7 垂直補剛材上端部のひずみ ··· 78 4.5.8 Uリブ・横リブ交差部のひずみ ··· 80 4.5.9 SFRC舗装とデッキプレートとの接合方法の影響 ··· 88 4.5.10 スタッドおよびスタッド溶接部のひずみ ··· 92 4.5.11 SFRC舗装表面のひずみ ··· 97 4.5.12 FEM解析による補強効果の検証 ··· 99 4.6 まとめ ··· 103 5.移動輪荷重試験 ··· 105 5.1 概 要 ··· 105 5.2 試験条件 ··· 105 5.3 試験結果 ··· 110 5.3.1 概 要 ··· 110 5.3.2 主要なひずみと変位の履歴 ··· 110 5.3.3 主要なひずみと変位の影響線 ··· 116 5.4 まとめ ··· 127 参考文献 ··· 128 付属資料 ··· 132 供試体製作図 ··· 133 計測位置図 ··· 136
- 1 -
1.はじめに
鋼床版は、死荷重軽減等の観点から長大橋の床構造や都市内高架橋に広く用いられてきているが、比較的 薄い鋼板を溶接により組立てた構造であり、輪荷重を直接支持するため、疲労に対する配慮が必要である。 これまでにも構造ディテールに関する調査研究1.1)が行われており、平成 14 年に改訂された道路橋示方書1.2) では、疲労耐久性向上の観点から、鋼床版の設計、製作規定の充実が図られるとともに、併せて発刊された 「鋼道路橋の疲労設計指針」1.3)では構造詳細による鋼床版の疲労設計の考え方・方法が示されている。 一方、既設橋では大型車の交通条件の厳しい路線を中心に、1980 年半ば頃より疲労損傷事例が報告されて いる。特に近年ではU型の縦リブ(以下、Uリブ)を使用した鋼床版の損傷事例が顕在化しつつあり、中で もUリブとデッキプレート間の片側溶接のルート部から、①デッキプレート内板厚方向に進展しデッキプレ ート表面に到達するき裂(以下、デッキ進展き裂)と、②溶接ビード内に進展しビードを貫通するき裂(以 下、ビード進展き裂)の、2タイプのき裂もしくは両者が複合したき裂が報告されている。このうち、デッ キ進展き裂は現在まで数橋において確認されているが、進展すれば走行路面の舗装の損傷や陥没につながる おそれがあること、き裂発生部の構造はUリブ鋼床版にほぼ共通の構造ディテールと考えられることから、 対応の緊急度の高いき裂と考えられる。 独立行政法人土木研究所では、対応の緊急性の高いデッキ進展き裂を始めとする各種き裂に対して、対策 工法の開発に向けて、民間各社との共同研究「鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する共同研究」を平成 16 年度より実施しており、6グループの各社と研究を行ってきている。このうち共同研究(その2)は、デ ッキ進展き裂およびビード進展き裂を主な対象として、剛性の高い鋼繊維補強コンクリート(SFRC:Steel Fiber Reinforced Concrete)舗装を用いる補強工法に関して、土木研究所と株式会社 横河ブリッジが実施 しているものである。本補強工法は、SFRC舗装と鋼床版デッキプレートを合成させることにより、着目 疲労き裂を生じさせる原因と考えられているデッキプレートの局部変形・応力を低減させる技術である。こ の共同研究(その2)では、SFRC舗装が鋼床版の局部変形・応力に与える効果の確認、SFRC舗装と デッキプレートとの接合方法の検討、SFRC舗装の耐久性の確認などを行った。それらの成果のうち、本 報告書では、実大模型供試体を用いた静的載荷試験および移動輪荷重載荷試験の結果をまとめている。- 2 -
2.概 要
2.1 SFRC補強工法の構造 デッキプレートとUリブ溶接部に発生する疲労損傷の発生メカニズムについては、これまでにFEM解析 や輪荷重走行試験 2.1)-2.4)などにより検討されている。それらの成果によれば、デッキプレート進展き裂やビ ード進展き裂の発生は、輪荷重の作用によるデッキプレートの局部変形と、それに伴うUリブ溶接ルート部 での応力集中の影響を受けていると考えられる。本研究で対象とした補強工法は図-2.1.1 に示すように、従 来のアスファルト舗装よりも剛性の高いSFRC舗装をデッキプレートと合成させることにより、デッキプ レートの局部変形を軽減し、Uリブ溶接ルート部での応力集中を軽減してき裂発生を防ぐものである。この ような鋼床版の疲労耐久性向上を目的としたSFRC舗装を、以下ではSFRC補強工法と呼ぶ。 本研究で対象としたSFRC補強工法の標準的な構造を図-2.1.2 に示す。鋼床版デッキプレートに接着材 を塗布し、SFRC舗装を1層舗設する。デッキプレート端部には、舗装の反り上がりやそれに伴う水の浸 入を防ぐための機械的接合としてスタッドを配置する。また主桁ウェブ上など、SFRC舗装に負曲げモー メントが作用して引張ひび割れが発生する恐れのある箇所には、炭素繊維補強グリッド(以下、CFRP) をSFRC舗装内部に設ける。 本補強工法においては、デッキプレートとSFRC舗装を強固に接合し、合成挙動を確保することが重要 である。図-2.1.2に示したように、本研究ではエポキシ系接着材による接合方法を標準としているが、既往 の鋼床版上のSFRC舗装の事例としては図-2.1.3に示す2種類の接合方法がある。同図(a)のスタッドタイ プはSFRC舗装をスタッドにより機械的に接合するものである。スタッドは鋼床版デッキプレート上の全 面に約300mmの格子間隔に配置し、現場で打設したSFRCを機械的に接合する。エポキシ系接着材はデッ キプレート端部にのみ用いられ、床版防水を目的にしている。この接合方法による鋼床版上のSFRC舗装 は、舗装の高耐久化を主な目的として、1980年代より研究開発2.5)が進められた。その後、名古屋高速道路に おいて本格的に採用2.6)され、ランプ橋や料金所、非常駐車帯の鋼床版舗装として基準化された2.7)。名古屋高 速道路の鋼床版上のSFRC舗装は、最も供用期間の長い箇所で20年間以上経過した区間がある。この区間 は、大型車交通量は少ないものの、現在においてもその供用性は良好であり、これまでに補修等を一切要し ていない。このことから、スタッドタイプの接合法は信頼性のある方法の一つと考えられる。しかしながら、 接合方法は本来鋼床版の疲労耐久性を向上させることを目的としたものではなく、さらに既存橋梁の補強に 適用する場合、スタッドの設置に要する作業時間の確保が難しい場合も想定される。 同図(b)の接着材タイプは、接着材を鋼床版デッキプレート全面に塗布し、SFRC舗装と鋼床版を接合さ せるものである。スタッドは、SFRCの乾燥収縮による反り上がりや接着材の劣化が生じた場合に備えて、 施工範囲の端部にのみ約300mm間隔で配置する。この接合方法は近年開発されたものであり、一般国道357 号横浜ベイブリッジ下層路2.8)や、一般国道134号湘南大橋2.9)で適用されている。エポキシ系接着材による全 面的な接着と、スタッドによる端部の機械的接着を組み合わせる本接合方法は、長期的な耐久性の評価は必 要なものの、前述した施工時の時間的制約の解決や建設コストの削減が期待されることから、現時点におい て有力な接合方法の一つである。- 3 - (a)アスファルト舗装 (b)SFRC舗装 図-2.1.1 SFRC舗装によるデッキプレート局部曲げの軽減イメージ 図-2.1.2 鋼床版SFRC舗装の構造 図-2.1.3 接合タイプ概要図 (a) スタッドタイプ (b) 接着材タイプ 変形大 変形小 程度 75 (単位:mm)
- 4 - 2.2 鋼床版における実績と既往の研究 先述のとおり、鋼床版上のSFRC舗装は、当初は舗装の耐久性の向上を目的として採用された。古くは、 昭和 50 年代に応急工事の仮橋の覆工板2.10)やロードヒーティングが設けられた可動橋2.11)への施工事例があ る。その後、昭和 60 年頃に、(株)横河橋梁製作所(現:(株)横河ブリッジ)等による本格的な検討が開 始された。この検討では、移動輪荷重試験による耐久性評価試験2.12) やSFRC舗装と鋼床版の接合方法に 関する要素試験2.13)がなされており、それらの成果は、SFRC合成鋼床版の設計施工要領(案)2.14)として まとめられた。昭和 60 年 3 月には写真-2.2.1 に示すように名古屋高速道路の東別院オフランプ橋において SFRC舗装が施工 2.15)され、これが我が国で初めての本格的な採用事例となった。東別院オフランプ橋で は、SFRC舗装の前後での応力測定2.16)-2.17)が行われており、SFRC舗装が鋼床版や主桁の応力性状や、 振動特性に与える影響を調査している。その後、名古屋高速道路では写真-2.2.2 の黒川ランプ橋、写真- 2.2.3 の清須工区2.18)など、ランプ橋や料金所などを中心にSFRC舗装が多く採用されており、施工事例の 大半を名古屋高速道路の実績が占めている。また写真-2.2.4 の福井県雪対策技術研究所2.19)による城東橋や 旧・日本道路公団月浦 I.C.ランプ橋 2.20)での採用事例は、舗装体中に路面の凍結防止装置や融雪装置を設置 するためにSFRC舗装を施工したものである。 一方、平成 2 年に、鋼床版デッキプレートとUリブ溶接部の疲労損傷として、ビード進展き裂が阪神高速 道路の5径間連続ゲルバー桁において報告 2.21)された。その後、都市内高速道路を中心に、ビード進展き裂 の事例が相次いで報告されている。デッキ進展き裂は、平成 11 年に一般国道 134 号湘南大橋で確認された のが、我が国で最初の報告事例2.9)である。これは、舗装の打ち換え工事の際に、デッキプレート上面に疲労 き裂が発見されたものである。平成 15 年には、重交通路線の鋼床版においてデッキ進展き裂による路面の 陥没2.22)が発生し、さらに名古屋市道2.23)や首都高速道路2.24)、阪神高速道路2.25)においてもデッキ進展き裂 が相次いで報告されている。 このようにデッキプレートとUリブ溶接部での疲労損傷が報告されるなか、一般国道 357 号の横浜ベイブ リッジの下層路に鋼床版の新設が計画された。当該路線は大黒ふ頭と本牧ふ頭とを結ぶ重交通路線であるた め、鋼床版の疲労損傷が懸念され、疲労耐久性向上策が求められた。しかし本橋の製作・架設が既に完了し ていたことから、鋼床版構造のさらなる改良によるのではなく、従来のアスファルト舗装に代えてSFRC 舗装を採用することによる鋼床版の疲労耐久性向上策が実施されることとなった。これにあたっては学識経 験者らによる委員会が組織され、SFRC舗装の適用に際しての様々な技術的な検討が行われた。その結果 に基づき、平成 15 年度に我が国で初めての鋼床版の疲労耐久性向上を目的としたSFRC舗装が横浜ベイ ブリッジに採用された2.8),2.26)。施工状況を写真-2.2.5 に示す。 さらに、既設鋼床版の恒久補強策として湘南大橋にSFRC舗装の採用が検討され、事前検討や試験施工 2.27)-2.29)を経て平成 17 年度にSFRC舗装が施工された。供用状況を写真-2.2.6 に示す。また、旧首都高速 道路公団においても、古くは写真-2.2.7 に示すように可動橋の鋼床版においてSFRC舗装が試験的に採用 されたが 2.30)、近年では鋼床版の疲労耐久性向上を目的として荷重車載荷試験による鋼床版の応力低減効果 の確認2.31)や移動輪荷重試験による耐久性評価試験2.32)を行っている。これらの成果に基づき、湾岸線東扇島 工区における補強対策2.24)や、写真-2.2.8 に示すように西新宿ジャンクション橋2.33)において、SFRC舗
- 5 - 装が採用されている。 その他の鋼床版SFRC舗装の検討としては、既設鋼床版の合成鋼床版化による耐久性評価を検討した事 例2.34)が挙げられる。表-2.2.1 に、鋼床版上のSFRC舗装の主な施工実績の一覧を示す。 写真-2.2.1 名古屋高速道路 写真-2.2.2 名古屋高速道路・黒川ランプ工区 東別院オフランプ橋(大井工区) 写真-2.2.3 名古屋高速道路・清須工区 写真-2.2.4 福井市・城東橋
- 6 -
写真-2.2.5 一般国道 357 号・横浜ベイブリッジ 写真-2.2.6 一般国道 134 号・湘南大橋
- 7 - 施工面 積 舗 装 厚 さ 橋梁(床版) 使用S F種 膨張剤 (m 2) (mm) 概要 (形 状) % vo lkg/ m 3 kg/ m 3 1 東京 都 東京都 ・浦安橋(応急橋 ) SF RC舗装工 事 東 京 都 昭和56年 81.7 75 応 急橋の 覆工版 住友I.S フ ァ イバー …1 20 40 9. 5φ×4 0 (2 00 mm 間隔) 不明 仮橋 ・覆 工版 舗 装 参 考文献2 .1 0) 2 富山 県 富山県 中橋可動橋舗装工 事 富山 県 黒部 市 昭和57年 26 6 70 鋼床版単純箱桁 可動橋 橋長: 38 .4 m,幅員7 .0m 異形せん断 ファ イ バ ー 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 … 40 不明 不明 ロードヒーティン グ 埋 設 参 考文献2 .1 1) 3 名古 屋高速 道路公社 市道高速分岐 3号 大井工 区舗装工事 名古屋市中区 (東別 院 ラン プ) 昭和60年 3月 564.2 路肩 :8 0 中央 :9 2 グル ービ ン グ 仕上 げ 2径 間 連続鋼床版 1主箱桁橋 橋長8 9.8 m ,幅員最大 7.4 m イゲタ 鋼 板 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 アサノ ジプカル 30 9. 5φ×4 0 (標準2 50mm 間隔 ) エポ キ シ 樹脂 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -3 55 , 1k g/ m 2) 舗 装耐久性向上 参 考文献2 .1 5) 4 首都高速道路公団 首都高 速道路公団 BT 33 6工区 (そ の 2-2) 東京 都 昭和60年 12 月 49 2 50 鋼床版可動 橋 橋 長 69 .5m , 幅員7 .0m イゲタ 鋼 板 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 118 デンカ CSA 40 9. 5φ × 40 (25 0× 300m m 間隔 ) 不明 舗 装 の耐久性向上 死 荷重低減 参 考文献2 .3 0) 5 日本道路公団 京滋工 事事務所 名神 高速道路 草津川金勝 川床版新設工事 滋賀県栗東町 平成6 年3 月 平成7 年3 月 2,784 80 単純箱桁橋 橋長7 8.8 m ,最大幅 員 14 .5m シン コーファ イ バ ー φ0.5 ×3 0 …1 00 不 明 スタ ッ ド 使 用 (詳細不明 ) 不明 接 着 材は全面塗布と 考え られ る 。 6 名古 屋高速 道路公社 市道高速分岐 2号 明道工 区舗装工事 名古屋市中区 (丸 の内オフ ラ ン プ) 平成6年 5月~ 6月 1,242 路肩 :6 8 中 央 :80 グル ービ ン グ 仕上 げ 5径間連続ラ ーメン 鋼床版箱桁 橋 施工延長: 20 8m BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ×4 0 (標準2 50mm 間隔 ) エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 参 考文献2 .3 5) 7 名古 屋高速 道路公社 市道高速 2号 清水(そ の 2) 工区舗装工 事 名古屋市北区 平成6 年1 2月 ~ 平成7 年 8月 40 0 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 8 名古 屋高速 道路公社 県道高速 名古屋新宝線 名駅オンラ ン プ 工 区 ほか2 工区 舗 装工事 名古屋 市中村区 (名 駅 オ ンラ ンプ ) 平成7 年 1月 ~ 3月 1,129 82 ~ 92 グル ービ ン グ 仕上 げ 3径 間連続鋼床版箱桁 橋 橋長1 80 m イゲタ 鋼 板 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 デンカ CSA 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 舗 装耐久性向上 地 覆端部・ 中間支点 に補 強金 網 9 名古 屋高速 道路公社 市道高速分岐 2号 久屋工 区舗装工事 名古屋市中区 平成7 年 2月~ 8月 11 0 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 10 名古 屋高速 道路公社 市道高速 2号 清水(そ の 1) 工区舗装工 事 名古屋市北区 平成7 年3 月 39 0 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 11 名古 屋高速 道路公社 市道高速 2号 黒川工 区舗装工事 名古屋市北区 平成7 年3 月 17 9 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 12 名古 屋高速 道路公社 市道高速 2号 荻野工 区舗装工事 名古屋市北区 平成7 年 4月~ 10 月 15 2 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 13 名古 屋高速 道路公社 県道高速名 古屋新宝線 及 び 市 道高速1 号名駅工区舗 装工事 名古屋 市中村区 (錦 橋オフラン プ ) 昭和62年 4月~ 6月 1,182 82 ~ 92 グル ービ ン グ 仕上 げ 5径間連続 鋼床版箱桁 橋 施工延長: 20 5m イゲタ 鋼 板 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 デンカ CSA 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 14 名古 屋高速 道路公社 市道高速分岐 2号 本町工 区舗装工事 名古屋市中区 平成7 年 22 0 80 連続鋼床版箱 桁橋 (非 常駐車帯部 を施工) BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 15 福 井県 雪対策技術研究 所 城 東橋橋梁 整備 工事 福 井市 平成7 年 12 月 72 70 表層なし 鋼床版単純 桁 橋長4 2.1 m ,最大幅 員 31 .8m イゲタ 鋼 板 0. 2× 1. 25 × 25 …1 00 不 明 9. 5φ×4 0 (1 50 mm 間隔) 不明 蓄熱 材 封入 鋼床版 参 考文献2 .1 9) 番 号 備 考 発注 者 接着 材 舗装工事名 工事 名不 明の 場合 は橋 梁名 施工 場 所施 工 時期 スタ ッド SF 量 表- 2.2.1 鋼床版 SFR C舗装 の施工 実績一 覧(つ づく)
- 8 - 施工面 積 舗 装 厚 さ 橋梁(床版) 使用S F種 膨張剤 (m 2) (mm) 概要 (形 状) % vo lkg/ m 3 kg/ m 3 16 福井 県 雪対策技術研究所 天 菅生橋 福 井 市 平成7 年度 開通 50 0 88 表層 :薄層 樹 脂舗装 4+ 2径 間連続 鋼 床版2 主箱桁橋 橋長46 8. 5m,幅 員11 m 不明 不明 9. 5φ×4 0 (1 50 mm 間隔) 不明 蓄 熱材封入鋼床版 参 考文献2 .1 9) 17 西日本鉄 道 (株) 福岡駅地区開発工 事 福岡市中央区 平成8 年 2,770 68 ~ 80 不明 BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 …1 00 不 明 不明 不明 18 名古 屋高速 道路公社 市道高速 2号 黒川ラ ン プ 工 区舗装工事 名古屋市北区 (黒 川 オ ン ・オ フ ラ ン プ) 平成8 年1 1月 ~ 平成9 年 5月 6,861 80 グル ービ ン グ 仕上 げ 連続鋼床版箱 桁橋 BS ドラ ミッ クス 0. 5× 0. 5× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 30 ,40 (2 50 mm 間隔) エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 参 考文献2 .3 6) 19 福井 県 雪対策技術研究所 (勝山橋 ) 福井県勝山市 平成1 1年 度 開通 約7 80 10 0 (薄 層表 層あ り) 橋長33 5m のロ ーゼ 橋のうち 鋼床版単純橋 部分 支間長:29 .1 m 不明 …不 明 不 明 9. 5φ × 40 不 明 蓄 熱材封入鋼床版 参 考文献2 .1 9) 20 名古 屋高速 道路公社 市道高速分岐 2号 丸の内オン ラ ン プ 舗装工事 名古屋市中区 平成11年 3月~ 4月 2,000 路肩 :6 8 中央 :8 0 グル ービ ン グ 仕上 げ 3径間連続鋼床版 箱桁橋: 202m 2径間連続鋼床版箱 桁橋 : 9 7m BSタ フ グ リッ プ 0. 6× 0. 6× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 40 エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 参 考文献2 .3 7) 21 名古 屋高速 道路公社 県道高速 名古屋小牧線 豊山(そ の 1) 工区舗装工 事 愛知県西春日井郡 豊山 町 平成12年 3月~ 11 月 3,700 50 ~ 80 3径 間連続鋼床版箱桁 橋 施工延長: 18 4m BSタ フ グ リッ プ 0. 6× 0. 6× 30 1. 5 117 小野 田 エクスハ ゚ン 30 9. 5φ × 30 ,40 (2 50 mm 間隔) エポ キシ 樹脂系 (タ ゙イト サ イサ ゙ー O W -355 ) 参 考文献2 .3 8) 22 日本道路公団 北陸支社 北陸 自動車道 月浦IC C ラ ンプ橋 石川県金沢市 平 成 13年5 月 不明 60 (SFRC )+ 50( 表 層 ) 5径間連続鋼床版 箱桁橋 (L =2 43.9m ) 不明 1.0 … 不 明 9. 5φ×4 0 (3 00 mm 間隔) 不明 鋼床 版 ラ ンプ 橋 電熱 線 ヒ ー タ ー埋 設 参 考文献2 .2 0) 23 国土 交通省 関東地 方整備局 横浜国 道事務所 国道35 7号 横浜ベイ ブリッ ジ 神奈川県 横浜 市 平成1 6年 3月 27,400 75 6, 7径 間連続鋼床版鈑桁 橋9連 (3 径 間連続鋼トラス橋斜張橋 の二層構 造の下層) シン コーファ イ バ ー φ0.5 ×3 0 BSタ フ グ リッ プ 0. 6× 0. 6× 30 …1 20 30 舗装端部 に 9. 0φ×4 0 (3 00 mm 間隔) エポ キシ 樹脂系 (コ ニ シ E-20 0) 全面塗布 新 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 参考文献 2.8 ) 24 神奈川県 平 塚 土 木 事務所 国道13 4号 湘南 大 橋 神奈川県 平 塚 市 平成17年 10月 ~ 12月 3,600 80 ~ 90 (設計 ア スファル ト厚 は 70 mm) 3径間連続 鋼 床版箱桁橋 2連 橋長: 53 0.1 m (鋼床版部分 ) シン コーファ イ バ ー φ0.5 ×3 0 …1 00 不 明 舗装端部 に 9. 0φ×4 0 (3 00 mm 間隔) エポ キシ 樹脂系 (K Sボ ンド ) 全面塗布 既 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 CFRP グリ ッド使用 参 考文献 2.9 ) 25 首都 高速道路 株 式会 社 湾岸 線・東 扇島 工区 神奈川 県川 崎 市 平 成 19年 1月 不明 (SFRC ):50 (表 層 ): 30 3径間連続 鋼床版箱桁 橋 不明 不明 使用 せず 全面にエポ キ シ 樹脂系 (K Sボ ンド ) 全面塗布 既 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 CFRP グリ ッド使用 参 考文献2 .2 4) 26 国土 交通省 関東地 方整備局 宇都宮 国道事務所 国 道 50号 大 平高 架 橋 栃木 県小山市 平成1 9年 度 1,530 75 3径間連続 鋼床版箱桁 および 単純鋼床 版鈑桁 2連 シン コーファ イ バ ー φ0.6 ×3 0 …1 20 20 舗装端部 に 9. 0φ×3 0 (3 00 mm 間隔) 全面にエポ キ シ 樹脂系 (K Sボ ンド ) 全面塗布 既 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 CFRP グリ ッド使用 参 考文献2 .3 9) 27 名古 屋高速 道路公社 県道高速 名古屋 朝 日線 清須 (下 り線) 工区舗装工事 名古屋市西区 平成1 9年 度 3,300 (SFRC ):50 (表 層 ): 30 3径間連続鋼床版 箱桁橋 橋長:34 6m シン コーファ イ バ ー φ0 .62 × 30 1. 5 117 デンカ CSA 30 9. 5φ×3 0 (3 00 mm 間隔) エポ キ シ 樹脂 新 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 参考文献2 .1 8) 28 首都 高速道路 株 式会 社 SJ 32 工区~ SJ 63 工 区 舗装そ の 他 工事 (中 央 環 状線西新 宿J C T) 東 京都渋谷 区 平成1 9年 度 8,100 (SFRC ) (SFRC ):50 (表 層 ): 30 連続鋼床版箱 桁橋 ほか 不明 …1 20 20 使用 せず 全面にエポ キ シ 樹脂系 (K Sボ ンド ) 1. 4k g/ m 2 新 設鋼床版の疲労耐久 性 向上 CFRP グリ ッド使用 参 考文献2 .3 3) 番 号 発 注者 舗装工事名 工 事 名不明 の場 合は 橋梁 名 施工 場 所 備 考 不明 不明 施工 時期 SF 量 スタ ッド 接着 材 表- 2.2.1 鋼床版 SFR C舗装 の施工 実績一 覧(つ づき)
- 9 - 2.3 標準的な施工工程 本節では、鋼床版の疲労耐久性向上策として適用されるSFRC舗装の施工工程の例を示す。これまでの 実施例から、施工工程としては早強セメントによるコンクリートを用いる場合、超速硬セメントによるコン クリートを用いて夜間規制のみで工事を行う場合、および超速硬セメントによるコンクリートを用いて 24 時間集中工事を行う場合の3種類が考えられる。これら施工工程の選択にあたっては交通規制等の制約条件 を考慮したうえで、経済性や施工の確実性にも配慮しなければならない。ここでは、早強セメントによるコ ンクリートを用いる場合のSFRC舗装の施工工程を図-2.3.1 に示す。早強セメントによるSFRC舗装の 施工は、交通規制日数が多く取れる施工条件においてのみ適用可能であるが、平成 19 年に国道 50 号大平高 架橋での適用例がある。また、本研究の供試体には早強セメントを用いた。施工工程は、主に既設舗装撤去 工、研掃工、スタッド設置工、型枠設置工、接着材塗布工、補強材設置工、SFRC製造、SFRC打設工 等からなる。 (1) 既設舗装撤去工 既設鋼床版のアスファルト舗装を撤去する工程であり、鋼床版のボルト接合箇所等の突起物に切削傷をつ けない深さまで路面切削機により切削し、残された部分についてはブレーカー等を用いて切削する。アスフ ァルト舗装撤去後にデッキ貫通き裂の有無を確認するが、この時点で対処の必要なき裂を発見した場合、当 て板の手配や孔明け等に時間を要し、計画通りの工程進捗はほぼ不可能となる。このような事態を避けるた め、事前の損傷状況の調査、それに基づくき裂の状況に応じた進展抑制の対策、施工前調査を入念に実施す る必要があり、必要な場合は鋼板当て板補強等が迅速にできるように事前準備する必要がある。 (2) 研掃工 研掃工は、アスファルト舗装が撤去されたデッキプレート上の錆や付着物を除去し、接着材の接着性を確 保するために行う。1 種ケレンに相当する研掃状態が得られることが求められるが、所要の研掃状態に達し ていることを逐次確認しながら作業を行うことは効率的ではない。このため、ショットブラストにより研掃 を行う場合には、所要の研掃状態が得られる投射密度をあらかじめ確認した上で、施工にあたってはこの投 射密度が確保されるよう研掃機の移動速度を管理することが一般的に行われている。ケレン処理をしたデッ キプレートは発錆しやすいので、研掃工終了後、直ちに接着材を塗布する必要がある。長期間の交通規制が 可能であり、SFRCの打設を一度に広範囲に行なう場合には、研掃工後のデッキプレートにプライマーを 塗布することもある。また、スタッドタイプでは、スタッド設置位置のケレンとスタッドの溶接による損傷 部のタッチアップが必要となる。 (3) スタッド設置工 デッキプレート研掃工終了後、スタッドを所定位置に溶接で設置する。スタッドの設置位置は、設計図書 や現地の鋼床版の構造条件を十分に勘案して決定する。また、主桁ウェブ直上は構造上SFRC舗装にひび 割れが発生しやすい部位であるため、避けるようにする。 (4) 型枠設置工 SFRC舗装が所定の形状・寸法で舗設されるよう、所定の位置・高さに堅固な型枠を確実に固定する。
- 10 - (5) 接着材塗布工 鋼床版とSFRCを一体化し、活荷重等による作用力に抵抗する性能と鋼床版の防水性能を確保するため、 接着材をデッキプレート表面に塗布し、打込み後のコンクリートの硬化過程において両者を接合する。これ までの施工実績では、接着材としてエポキシ系接着材が標準的に用いられている。接着材塗布工にあたって は、使用するエポキシ系接着材の特性を事前に十分に把握したうえで施工計画を策定し、施工中は粘度や塗 布量などについて品質・出来型管理を適切に行うことにより、完成後のSFRC舗装において接着材が要求 された性能を十分発揮できるようにする必要がある。 (6) 補強材設置工 車両走行による負曲げを受け、ひび割れが発生する可能性の高い主桁ウェブ直上において、ひび割れ発生 後のSFRC舗装の一体性を保持し、耐久性を確保することを目的として、耐食性を有する格子状の補強材 を舗装内部に設置する。接着防水工の終了後、補強材を所定の位置および高さに速やかに設置する。設置方 法および設置タイミングはSFRCコンクリートの締固めの工程を阻害しないよう、SFRCの施工方法と あわせて検討する必要がある。 (7) SFRC製造 SFRCの製造工程や、SFRCを打設する時期は使用するセメントの種類によって異なる。普通ポルト ランドセメントや早強ポルトランドセメントを使用する場合は、生コンプラントにてベースコンクリートを 製造し、アジテータトラックで打設現場に運搬後、鋼繊維の投入と練混ぜを行う。超速硬セメントを使用す る場合は、現場プラント車等にてベースコンクリートを製造し、SFの投入練混ぜを行う。SFRCは、強 度、耐久性、水密性、作業に適するワーカビリティー等の所要の特性を有し、かつ、品質のばらつきの少な いものが製造されるようにしなければならない。 (8)SFRC打設工 コンクリート打込みは、デッキプレートとの強固な接着が確保できるよう、接着材の可使時間を考慮して 適切な時間内に施工を終了する必要がある。コンクリート締固めは確実に行い、密実な舗装コンクリートが 得られるようにする。本研究ではSFRC舗装1層による構造を想定しており、SFRC表面は橋面舗装と して必要な性能を有するように仕上げる必要がある。コンクリート養生は、十分な強度発現が得られるよう、 所定量の表面養生剤を散布するなどして行う。表面養生剤の選定にあたってはSFRCとの適合性を事前に 検討しておく必要がある。表面養生剤の散布後、シート等でシート養生を行う。
- 11 - 図-2.3.1 鋼床版上のSFRC舗装の標準的な施工工程 (早強ポルトランドセメントを用いたコンクリートによる場合) 既設舗装撤去工 研掃工 スタッド設置工 接着材塗布工 補強材設置工 ・コンクリート打込み ・コンクリート締固め ・表面の仕上げ ・コンクリート養生 路面表示工 デッキ貫通 き裂の有無 供用(交通開放) 有 (早強コンクリート) 損傷状況の調査 き裂の状況に応じた進展 抑制の対策 交通規制 施工前調査 き裂位置、長さの記録 き裂の状況に応じた進展 抑制の対策 型枠設置工 プライマー工 ※き裂の進展抑制の対策 は、損傷状況を調査した上 で、施工前に実施するが、施 工時に新たにき裂が見つか る可能性もあるため、対処方 法を想定しておく必要があ る。 SFRC 製造 無 打設工 SFRC
- 12 - 2.4 工法の特徴 (1) 設計面の特徴 1) アスファルト舗装に比べて高い剛性が得られるSFRC舗装とデッキプレートを合成させることによ り、輪荷重作用時のデッキプレートの局部変形を軽減できる。これにより、デッキ進展き裂やビード進 展き裂を発生させると考えられるUリブ溶接ルート部の応力を低減できる。また、Uリブと横リブの交 差部など、疲労上の弱点となる他の部位のひずみも低減させることができる。 2) 既存のアスファルト舗装を比重がほぼ変わらないSFRC舗装に換えるので、補強工事による死荷重の 増加は少ない。SFRC舗装は主桁上フランジとしての合成作用にも寄与する可能性があるが、その程 度については、本共同研究にて検討する。 3) 接着材を用いてデッキプレートとSFRC舗装を一体化させる場合は、デッキプレートとSFRCは、 設計上完全合成挙動を示すものと予想されるが、本研究において確認する。ただし、品質が十分に確保 されるように接着材を施工することが前提である。 (2) 施工面の特徴 1) SFRC舗装の施工は床版上面で行うため交通規制を必要とするが、超速硬セメントの採用など、短時 間で所定の強度が得られるコンクリートにより規制時間の短縮を図ることができる。 2) 基本的に施工は床版上面からのみであり、桁下からの作業がないため足場を設置する必要がない。 3) 場所打ちコンクリートであるため、鋼床版上面の高力ボルト添接部や、ハンドホールなどの突起部に対 しても施工が可能である。また、舗装厚さを調整することよって路面のレベリングを確保することが可 能である。 4) 既設舗装撤去時にデッキ貫通き裂が発見された場合は、鋼板当て板補強法等で対策できるよう、準備が 必要である。ただし、現場で当て板補強での即応は難しいため、施工前にき裂発生状況の調査を十分に 行っておく必要がある。 (3) 維持管理上の特徴 本工法の施工では、鋼床版への溶接や孔明けなどの加工を行わないため、疲労の弱点を新たに生じさせる ことがない。また、補強後もデッキプレートとUリブの溶接線を下面より目視検査することが可能であり、 鋼床版の維持管理上有利である。ただし、ひび割れたSFRC舗装の耐久性や接着材の耐久性についてはま だ未解明な点も多いため、変状が生じた場合は早期に発見して必要な対策が施せるように、適切な維持管理 が必要である。
13
-3.供試体の概要
3.1 供試体の種類と構造諸元 (1) 供試体の種類 本研究では、SFRC補強工法による鋼床版の疲労耐久性向上の効果、およびSFRC舗装自体の耐久性 を確認するため、実大鋼床版供試体を用いた静的多点載荷試験および移動輪荷重試験を行った。静的多点載 荷試験は、SFRC舗装の前後で鋼床版局部のひずみや変形を計測することによって、施工初期における鋼 床版とSFRC舗装の合成効果や、中間横リブにおけるUリブとの交差部など、鋼床版局部応力に与えるS FRC舗装の効果を確認するために実施した。また、移動輪荷重試験は、荷重の繰返し載荷によるSFRC 舗装の劣化および応力低減効果の低下の有無や、その程度を把握するために実施した。 これらの試験の実施には、図-3.1.1 に示すようにUリブ 1 径間モデルの Type-1 および Type-2 供試体、 Uリブ 2 径間モデルの Type-3 供試体の計3体の実大供試体を使用した。いずれもUリブ 4 本を有し、横リ ブと主桁に囲まれた鋼床版パネルで構成される。Uリブの支間長は、標準的な 2,500mm とした。表-3.1.1 に示すように Type-1 と Type-2 供試体は移動輪荷重試験に使用し、Type-3 供試体は静的多点載荷試験に使 用した。 前章の図-2.1.3 に示したように、本研究ではSFRC舗装とデッキプレートの接合方法として、スタッド タイプと接着材タイプの 2 種類を採用している。Type-1 供試体は接着材タイプ、Type-2 供試体はスタッド タイプをそれぞれ適用し、Type-3 供試体はUリブ 2 径間のうち 1 径間にスタッドタイプ、もう 1 径間に接 着材タイプを適用した。これら 3 体の供試体によって、移動輪荷重試験および静的多点載荷試験のいずれに おいても2種類の接合方法の比較ができるようにした。 (2) 供試体の構造パラメータ 供試体の構造パラメータは、鋼床版の構造ディテールとSFRC舗装の接合方法に大別される。鋼床版の 構造ディテールは、Type-3 供試体にパラメータとして取り入れ、静的多点載荷試験を実施して比較すること とした。なお、本研究は既設の鋼床版構造を対象としているため、平成 14 年 3 月発刊の「鋼道路橋の疲労 設計指針(日本道路協会)」3.1)に示されている構造ディテールよりも、それ以前に一般的であったものを供 試体に採用している。一方、SFRC舗装の接合方法についての比較は前述の通り、接着材タイプとスタッ ドタイプを静的多点載荷試験および疲労試験(移動輪荷重試験)の両方で試験できるようにした。具体的な 構造パラメータを以下に列挙するとともに、これらを図-3.1.2 に模式的に示す。 1) デッキプレート厚 各供試体ともデッキプレート厚は、既設鋼床版で最も標準的である 12mm とした。 2) Uリブ形状と板厚 Uリブ形状は、日本鋼構造協会規格(JSS II 09-1983)に示されるもので、特に採用事例が多い呼び名 U-320 ×240×6 および U-320×240×8 を供試体に用いた。近年では、板厚 6mm のUリブの採用がほとんどであ るが、疲労損傷が確認されている鋼床版では、現行の道路橋示方書3.2)に示される「縦リブの最低板厚(6mm14 -以上)」の規定以前の最小板厚、すなわち板厚 8mm のUリブを採用していることが多い。このため、Type-3 供試体では、Uリブの板厚がデッキプレートとの溶接部の局部応力に与える影響を把握するために、板厚 6mm のUリブを 2 本、板厚の 8mm のUリブを 2 本づつ用いた。Type-1 供試体および Type-2 供試体につ いては、Uリブ 4 本とも板厚が 6mm のUリブ(U-320×6×240)とした。 3) デッキプレートとUリブの溶接 デッキプレート貫通き裂に関する既往の研究成果では、Uリブの板厚や溶接方法が疲労き裂の発生に関係 することが指摘されている3.3)-3.5)。例えば文献 3.3)では、デッキプレート厚 12mm に対して相対的にUリ ブの板厚が大きく、溶け込み量が大きい場合には、ビード進展き裂よりもデッキ進展き裂が発生する傾向が あると指摘している。デッキプレートとUリブの溶接の溶け込み量について、「鋼道路橋の疲労設計指針」で は、必要なのど厚を確保するとともに、リブ板厚の 75%以上の溶込み量を確保するものとしている。本研究 はこの規定以前に建設された鋼床版を対象としているため、忠実に当時の構造を再現するには、Uリブ溶接 の溶込み量やのど厚の小さい供試体を製作して試験に供することが考えられる。この場合、供試体はビード 進展き裂の発生につながりやすい要因を有することになる。しかし、本研究ではデッキ進展き裂とビード進 展き裂をともに対象としており、外観目視で発見できないという点においてはデッキ進展き裂への対応を重 要視している。そこで、ここで用いる供試体はデッキ進展き裂の誘発を意図して、溶接部ののど厚を多く確 保することとした。したがって、デッキプレートとUリブの溶接については、のど厚はUリブ同等以上の厚 さ程度を確保し、溶込み量はUリブ板厚の 75%以上確保するようにした。開先形状および溶接条件等は次節 3.2 に記述する。 4) Uリブ内部の密閉ダイアフラムの有無 重交通路線の鋼床版では、写真-3.1.1 に示すように、Uリブと横リブの交差部スリットのUリブ側止端部 から疲労き裂が発生している事例が報告されている。この損傷の発生原因のひとつとして、輪荷重の偏心載 荷によるUリブのねじれが交差部に伝達されることが挙げられている。Uリブのウェブ部は横リブに固定さ れているが、Uリブの底面部にはスリットが設けられ、横リブと固定されていない。そのため、Uリブのね じれ変形がスリット端部のまわし溶接部付近に局部応力を発生させている可能性がある。特に、交差部近傍 にUリブ現場継手部が存在すると、継手部に設けられるUリブ内の密閉ダイアフラムがUリブ断面形状を保 持する効果により、図-3.1.3 に示すようにスリット端部での応力集中を起こしやすくなると考えられる。こ のUリブ内ダイアフラムの影響は、大型Uリブを用いた鋼床版構造に関する検討3.6)において指摘されたもの である。そこで Type-3 供試体では、Uリブの1つに密閉ダイアフラムを設置し、これがUリブと横リブと の交差部の局部応力に与える影響についても比較検討することとした。 5) Uリブと横リブ交差部形状 Type-3 供試体の中間横リブにおいて、Uリブと横リブ交差部(以下、交差部)の局所的な応力を計測する こととした。交差部の詳細構造は、公団や公社によって若干の違いが見られるが、交差部に疲労損傷が報告 3.7)されている首都高速道路の構造詳細を供試体に採用した。すなわち、交差部の上側スカラップの径を 35mm、下側スカラップの端部の径を 35mm、Uリブ底面とスカラップのコバとの間隔を 20mm とした。
15 -6) 主桁垂直補剛材上端部の形状 主桁垂直補剛材上端部とデッキプレート下面の溶接部は、鋼床版の中でも疲労き裂が発生しやすい箇所の 一つである。まわし溶接のデッキプレート側止端、あるいは垂直補剛材側止端から発生するが、多くはデッ キプレートに進展し、放置すればデッキプレートを貫通する場合もある。Type-3 供試体では、垂直補剛材上 端部ディテールとして、デッキプレート下面と溶接する従来型の構造に加え、デッキプレート下面と垂直補 剛材上端部の間にギャップを設けて溶接しない構造を採用した。ギャップ量 D については、既往の研究事例 の D=30mm3.8)や D=35mm3.9)等を参考にして、40mm とした。 7) SFRC舗装の接合方法 SFRC舗装とデッキプレートとの接合方法については前述のとおり、スタッドタイプと接着材タイプが ある。本試験では、この2種類の接合方法の比較を行うために、スタッドタイプは名古屋高速道路公社の舗 装基準3.10)に準じ、接着材タイプは横浜ベイブリッジ3.11)-3.12)に準じた方法で施工することとした。Type-3 供試体はUリブ 1 径間ごとにスタッドタイプと接着材タイプを採用し、静的多点載荷試験により力学的挙動 を比較した。さらに、Type-1 供試体には接着材タイプ、Type-2 供試体にはスタッドタイプをそれぞれ採用 して、移動輪荷重試験に供することにより疲労耐久性を比較した。
(a) Type-1 供試体 (接着材タイプ) (b) Type-2 供試体 (スタッドタイプ)
(c) Type-3 供試体 図-3.1.1 供試体の概要
16 -表-3.1.1 供試体の種類と試験方法 供試体名 SFRC舗装施工前の静的載荷試験 SFRC舗装施工後の静的載荷試験 の移動輪荷重試験SFRC舗装施工後 Type-1 - - ○ Type-2 - - ○ Type-3 ○ ○ -
(a) Type-1 供試体 (接着材タイプ) (b) Type-2 供試体 (スタッドタイプ)
(c) Type-3 供試体
17
-(a) まわし溶接Uリブ側止端の疲労き裂 (b) 同左、進展したもの 写真-3.1.1 Uリブ横リブ交差部の疲労損傷事例(Uリブの手前に現場継手部あり)
18 -3.2 供試体の鋼床版鋼部材の製作
(1) 供試体の概略寸法
Type-1 および Type-2 供試体の概略寸法を図-3.2.1 に、Type-3 供試体については図-3.2.2 に示す。いず れの供試体もUリブ支間は 2,500mm、Uリブ間隔は 640mm、主桁間隔は 2,880mm であり、高さ 600mm の横リブと、高さ 1000mm の主桁で囲まれるパネルモデルである。供試体は太平電業(株)埼玉工場にお いて製作した。製作図を付録の図-付-1.1~1.3 に示す。 (2) Uリブとデッキプレートの溶接 Uリブとデッキプレート溶接部は、十分な溶け込み量としてUリブ板厚の 75%を確保するために、板厚 6mm および 8mm のUリブをともに開先加工を施して溶接した。図-3.2.3 に開先形状を示す。Uリブの溶 接は、炭酸ガスアークシールド溶接の手溶接とし、溶接材料はフラックス入りワイヤ「SF-1」(日鐵住金溶 接工業社製)を使用した。溶接は2パス施工を基本とし、電流は 175A、電圧は 33A とした。写真-3.2.1 に溶接状況を示す。溶接に際しては、事前に溶接施工試験を実施し、十分な溶け込み量が確保できているこ とを確認した。写真-3.2.2 に溶接部のマクロ写真を示す。なお、供試体の各部材の組み立ては、部材全てを 組み立てた後に本溶接を行う「総組み」によるものとした。 (3) 密閉ダイアフラムの取り付け Type-3 供試体の密閉ダイアフラムを取り付けるUリブは、密閉ダイアフラムの取り付け位置で 2 分割し、 密閉ダイアフラムとUリブおよびデッキプレートとを溶接してUリブ内部に密閉ダイアフラムを取り付けた 後に、残りのUリブを突合せ溶接する方法とした。これにより、ボルト継手部を設けずに密閉ダイアフラム のみをUリブ内部に取り付けた。 (4) ハンドホールの設置 Type-3 供試体のUリブの2本には、Uリブ支間中央にハンドホールを設けた。これは、供試体の組み立て 溶接完了後、ハンドホールからUリブ内面側にひずみゲージを取り付けるために設けたものである。ひずみ ゲージ設置完了後は、カバープレートを溶接することでハンドホールを閉塞した。ハンドホールのカバープ レートの溶接作業状況を写真-3.2.3 に示す。
19
-図-3.2.1 供試体の概略寸法(Type-1 供試体、Type-2 供試体)
図-3.2.2 供試体の概略寸法(Type-3 供試体)
単位:mm
20
図-3.2.3 Uリブ溶接部開先形状 写真-3.2.1 Uリブ溶接状況
写真-3.2.2 Uリブ溶接部のマクロ写真
21 -3.3 SFRC舗装の施工 (1) SFRC舗装の仕様 Type-3 供試体においてSFRC舗装施工前の静的多点載荷試験を行った後、全ての供試体に対して同時に SFRC舗装を敷設した。SFRC舗装の構造パラメータは、3.1 節に示したとおりデッキプレートとの接 合方式であり、詳細を表-3.3.1 に示す。 SFRCに使用するセメントは早強セメントとし、表-3.3.2 に示す横浜ベイブリッジでの配合条件 3.12) を参照して、表-3.3.3 に示す配合仕様とした。SFRCの設計基準強度は 29.4N/mm2とし、乾燥収縮によ るひび割れを防止するために膨張材を混入している。鋼繊維には両端フック型の異形せん断ファイバー「タ フグリップ」(ブリヂストン社製、図-3.3.1 参照)を用い、容積率で 1.5%混入した。寸法はφ0.6×長さ 30mm である。スタッドは、図-3.3.2 に示す呼び径φ9.0×長さ 40mm の「頭付きスタッド」を使用した。なお、 SFRC舗装の舗装厚は、横浜ベイブリッジでの実績を参照に 75mm とした。本試験で使用した主な材料を 表-3.3.4 に示す。これらの材料についても、横浜ベイブリッジで採用されたものと同等品を使用することと した。 (2) SFRC舗装の施工手順 図-3.3.3 に、SFRC舗装施工の手順を示す。一連の作業のうち、SFRC舗装の施工は、(株)NIPPO コーポレーション、スタッドの施工はオカベストラクト(株)が担当した。なお、SFRC舗装の施工日は、 平成 16 年 12 月 24 日である。 1) スタッド施工前のレベル測量(写真-3.3.1) スタッド溶殖の熱影響が鋼床版のキャンバーに与える影響を調べるため、スタッドの施工前に鋼床版デッ キプレート面のレベル測量を実施し、初期データを収集した。 2) ショットブラスト(写真-3.3.2) 本試験では、横浜ベイブリッジ(一般国道 357 号)の実績と同様にショットブラストを実施した。ブラス トには、遠心バキュームブラスト機を用いることとし、グリッドにはスチールグリッド(GDT-140、(株) IKKショット社製)を使用した。目標とする除錆度は ISO 2.5 相当とした。 3) プライマーの塗布(写真-3.3.3) ショットブラストの施工後すぐに、防錆を目的にプライマーを 0.25kg/m2で全面に塗布した。プライマー には、既設橋梁への補修工事を想定して、「ボンドE補修用プライマー((株)コニシ社製)」を使用した。 4) スタッド位置のケレン(写真-3.3.4) スタッドの溶殖に先立ち、溶殖位置におけるプライマーをディスクグラインダで除去した。 5) スタッドの溶殖(写真-3.3.5) プライマーの塗布の2日後に、スタッドの溶殖を行った。各供試体のスタッドの取付け位置を図-3.3.4 に示す。スタッドは基部にカラーを取り付けた後に、溶接銃で溶殖した。φ9mm のスタッドに対する溶接 電流は 500A、アークタイムは 0.4 秒であった。 6) スタッド施工後のレベル測量 スタッド溶殖前と同様に、鋼床版デッキプレート面のレベル測量を実施し、溶接前後におけるキャンバー
22 -の変動を求めた。図-3.3.5 に施工前後におけるデッキプレートのレベル測量結果を示す。これらより、スタ ッド溶殖の前後でデッキプレート面に大きな変形は見られず、スタッドの溶殖は鋼床版の出来形に影響がな いことが明らかとなった。 7) 型枠の設置(写真-3.3.6) SFRC舗装の打設準備として、L型鋼材を用いた型枠を設置した。 8) スタッドへのプライマー塗布(写真-3.3.7) スタッドおよび溶殖部近傍へプライマー(ボンドE補修用プライマー)を塗布した。 9) 接着材の塗布(写真-3.3.8~写真-3.3.9) SFRCの打設前に、接着材「ボンドE200((株)コニシ社製)」を 1.0kg/m2で塗布した。塗布量の管理 は、施工面積に応じた体積分を塗布することと、施工時に一様に塗布されたことを目視で確認することによ った。接着材の塗布範囲は図-3.3.4 に示す。接着材タイプの Type-1 供試体はデッキプレートのほぼ全面に、 スタッドタイプの Type-2 供試体は、名古屋高速道路公社の実績を参考に舗装端部より 300mm の範囲とし た。 10) SFRCの打設(写真-3.3.10~写真-3.3.14) 鋼繊維は、アジテータ車へ投入し攪拌することで混入させた。SFRCは、アジテータ車からホッパーで 搬出し、鋼床版上へ打ち込むものとした。SFRC打設後は、敷き均した後に箒目仕上げを行った。 11) 養生(写真-3.3.15~写真-3.3.16) SFRC舗装の施工後は、表面養生剤による被膜養生を行った後、1週間のマット養生を行った。 (3) SFRCの材料試験 SFRC舗装の施工に際して、以下に示すSFRCの受け入れ検査と強度試験を実施した。表-3.3.5 に試 験結果を一覧として示す。 1) スランプ試験 JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に従って実施した。表-3.3.2 に示す配合上の目標値の範 囲内で低めの結果となったが、ワーカビリティーに悪影響はなかった。 2) 空気量試験 JISA1128「まだ固まらないコンクリートの圧力による試験方法(空気圧力法)」によった。配合上の目標 値を満足している。 3) 圧縮強度試験 JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」によって実施した。設計基準強度 29.4N/mm2を材齢3 日で越え、材齢7日では 40N/mm2以上の圧縮強度となった。
23 -表-3.3.1 SFRC舗装の接合方式 接合方式 施工供試体 舗装厚 スタッドジベルの施工範囲 接着材 接着材タイプ Type-3 (1/2部分)Type-1, 75mm 舗装端部のみ 全面塗布 スタッドタイプ Type-3 (1/2部分)Type-2, 75mm 全面(最大300mm間隔) 舗装端部のみ塗布 表-3.3.2 横浜ベイブリッジ(一般国道 357 号)におけるSFRC舗装の配合条件3.12) 設計基準 粗骨材の セメントの SF混入後の 水セメント 空気量 SF混入率 膨張材 圧縮強度 最大寸法 種類 スランプ 比 (N/mm2) (mm) (cm) (%) (%) (%) (kg/m3) 29.4 15 セメント早強 8.0±2.5 50以下 5.0±1.5 1.5 30 表-3.3.3 本研究におけるSFRC舗装の配合表 図-3.3.1 鋼繊維(タフグリップ、右はバラした状態) 図-3.3.2 頭付きスタッド(単位:㎜)
24 -表-3.3.4 主な材料 材料名 仕様等 数量 備考 スタッドジベル φ9.0×40mm オカベ 接着プライマー ボンドEプライマー 0.25kg/m2 コニシ 接着材 ボンドE2000 1.0kg/m2 コニシ スチールファイバー タフグリップ(φ0.6×30mm) 120kg/m3 ブリジストン 膨張材 CSA#20 30kg/m3 デンカ 養生材 適宜 アオイ化学 図-3.3.3 供試体のSFRC舗装の施工手順
25
-a) Type-1 供試体(接着材タイプ) b) Type-2 供試体(スタッドタイプ)
c) Type-3 供試体
26
-a) A断面(接着材タイプ Uリブ支間中央断面)
b) C断面(中間横リブ位置)
c) D断面(スタッドタイプ Uリブ支間中央断面)) 図-3.3.5 スタッド溶殖前後におけるデッキプレートの変形量
27
-写真-3.3.1 レベル測量 写真-3.3.2 ショットブラスト
写真-3.3.3 プライマーの塗布 写真-3.3.4 スタッド位置のケレン
28
-写真-3.3.7 スタッドへのプライマー塗布 写真-3.3.8 接着材の塗布
写真-3.3.9 接着材の塗布完了(Type-3 供試体) 写真-3.3.10 アジテータ車への鋼繊維投入
29
-写真-3.3.13 SFRCの敷き均し 写真-3.3.14 箒目仕上げ
写真-3.3.15 コンクリート表面養生剤の塗布 写真-3.3.16 マット養生
30
-4.静的載荷試験
4.1 概 要 疲労上問題となる鋼床版各部のひずみがSFRC舗装後にどの程度低減されるかを確認するため、実大鋼 床版供試体を用いてSFRC舗装の前後で静的載荷試験を実施した。使用した供試体は Type-3 であり、着 目した試験パラメータとしては板厚 6mm と 8mm のUリブの比較、密閉ダイヤフラムの有無がUリブと横 リブ交差部応力に与える影響、主桁垂直補剛材上端部の形状、SFRC舗装の接合方法としての接着材タイ プとスタッドタイプの違い等である。載荷はゴムタイヤを用いて行い、ダブルタイヤにより大型車の後輪、 シングルタイヤにより大型車の前輪による載荷を再現できるようにした。影響線形状が得られるよう多点で 載荷し、ダブルタイヤ載荷を計 88 点(舗装後は 90 点)、シングルタイヤ載荷を計 13 点で行った。 また、試験の妥当性を検証し、応力低減効果を確認するため、Type-3 供試体をモデル化してFEM解析を 行った。 4.2 試験条件 (1) 試験パラメータ Type-3 供試体を用いた静的載荷試験の試験パラメータを図-4.2.1 に示す。 1) Uリブ形状、板厚 3.1 に記述したように、Type-3 供試体にはJSSC規格の板厚 6mmUリブ(U-320×6×240)2 本およ び板厚 8mmUリブ(U-320×8×240)2本を用いた。スタッドタイプの径間を手前、接着材タイプの径間 を奥とすると、右側2本が板厚 6mmUリブ、左側が板厚 8mmUリブである。Uリブ板厚の影響は、デッキ プレートおよびUリブの鉛直変位、Uリブ下面のひずみ、Uリブ溶接近傍のデッキプレート側およびUリブ 側のひずみ等に着目し、SFRC舗装の前後における変化も含めて比較する。 2) Uリブ密閉ダイヤフラムの有無 Uリブ現場継手部の密閉ダイヤフラムが交差部応力に与える影響を確認するため、外側の板厚 6mmUリ ブ内にダイヤフラムを設けた。中間横リブとダイヤフラムの間隔は 200mm である。ダイヤフラムの有無の 影響は、上スカラップ近傍および下スカラップ近傍の横リブウェブひずみ、上スカラップ部および下スカラ ップ部のUリブのひずみ、等により比較する。 3) 主桁垂直補剛材上端部の形状 主桁垂直補剛材上端構造を変更した場合の局部応力を確認するため、Type-3 供試体で異なる 2 種類の構造 を採用した。一つは従来型のデッキプレート下面と垂直補剛材上端部を密着させ、すみ肉溶接した構造(以 下、溶接構造という)、他方は垂直補剛材上端とデッキプレートにギャップ量 40mm を設けた構造(以下、 ギャップ構造という)である。これらの結果を、SFRC舗装の前後における変化も含めて比較した。 4) SFRC舗装の接合方法 SFRC舗装後の静的載荷試験において、デッキプレートとの接合方法としての接着材タイプ、スタッド31 -タイプの比較を行った。これらは、デッキプレートの変形、Uリブ溶接近傍のひずみ、スタッドの軸部のひ ずみ、およびスタッド直下のデッキプレート下面のひずみに着目して比較した。 (2) 載荷方法 静的載荷試験は、デッキプレートとSFRC舗装の合成作用による局部応力の低減効果を確認するため、 SFRC舗装施工の前後に行った。載荷方法は、自碇式フレーム内部に供試体を設置し、デッキプレート上 面に配置した大型車の後輪を想定したダブルタイヤおよびシングルタイヤを油圧式ジャッキにて載荷した。 ダブルタイヤを用いた時の載荷要領を図-4.2.2 に示す。また、SFRC舗装施工前の静的載荷試験状況のう ち、ダブルタイヤによる載荷状況を写真-4.2.1、シングルタイヤによる載荷状況を写真-4.2.2 に示す。実 タイヤによる載荷では、載荷板による載荷と比較してより現実に近い面圧が得られる。58.8kN 載荷時の面 圧分布と、ダブルタイヤとUリブの関係の一例を図-4.2.3 に示す。 載荷荷重は、タイヤの最大荷重(JIS D 4202)を考慮し、ダブルタイヤ載荷の場合は 0~58.8kN、シング ルタイヤ載荷の場合は 0~29.4kN とした。 載荷は、着目部における影響面が得られるよう、タイヤおよび油圧ジャッキを橋軸方向および橋軸直角方 向に移動させながら多点で行った。図-4.2.4 にダブルタイヤ載荷の載荷点、図-4.2.5 にシングルタイヤ載 荷の載荷点を示す。図-4.2.4 中に示すように、後輪載荷位置は a~m まで 14 断面、横断方向の載荷位置は 0~18 までの 19 ラインとし、以後、それぞれの載荷位置は載荷断面名と載荷ライン名を合わせて呼ぶこと とする(例えば c1、c2 など)。前輪載荷位置は、Uリブ支間中央の c 断面のみとし、載荷点は①~⑬の 13 点とした。また、橋軸方向の載荷位置をA断面側の横リブウェブからの距離 Lx を用いて、橋軸直角方向の 載荷位置をR1側の主桁ウェブからの距離 Ly を用いて表すものとする。 計測は、①鋼床版一般部の応力、②鋼床版溶接部の局部応力(Uリブとデッキプレート溶接部、Uリブと 横リブ交差部、垂直補剛材上端部)、③デッキプレート、Uリブの変位、④SFRC舗装後のSFRC表面ひ ずみ、スタッドひずみとした。計測位置は図-4.2.6 に示すようにA~Dの4断面とした。AおよびB断面は SFRC舗装の接合方法として接着材タイプを用いた支間側であり、A断面は支間中央、B断面は支間 1/4 点である。C断面は中間横リブ位置とした。D断面はスタッドタイプを用いた支間の支間中央である。なお、 A断面における垂直補剛材の上端部はギャップ構造であり、D断面では溶接構造としている。計測センサー 類の配置の詳細は付属資料の図-付-2.6~2.18 に示す。計測センサー類の設置要領は下記の通りである。 ・ 鋼部材のひずみゲージのゲージ長は、3mm とした(応力集中ゲージを除く)。 ・ 溶接部近傍のひずみゲージは止端から 5mm の位置に貼付した。 ・ 応力集中ゲージのゲージ長は 1mm とし、第一ゲージが止端から 2mm の位置に来るように貼付した。 ・ SFRC表面に貼付したひずみゲージのゲージ長は 60mm とした。 ・ 変位計は容量 25mm の接触式変位計とした。
32
-図-4.2.1 静的載荷試験のパラメータ
33 写真-4.2.1 静的多点載荷状況(ダブルタイヤ) 写真-4.2.2 静的多点載荷状況(シングルタイヤ) (1)載荷時の面圧分布(58.8kN 載荷時、舗装なし) (2)ダブルタイヤとUリブの関係の一例(Uリブウェブを跨ぐ載荷時) 図-4.2.3 静的載荷に用いたダブルタイヤの概要
34 -<静的載荷試験要領> ・最大載荷荷重は58.8kN(6tf)とする。 ・橋軸方向の移動は,ダブルタイヤを 移動させる。 ・横断方向の移動は,ダブルタイヤを 移動させる。 A A B B C C D D 1 2 3’ 4 5 6 7 ’ 8 ’ 9 10 11 12 13 15 16 17 18 a b c d e f g h i j k l 725 625 625 425 200200 425 500 500 725 26 0 4@ 16 0= 640 16 0 6@ 16 0= 960 16 0 4@ 16 0 = 64 0 Tur ib= 6m m T urib = 8m m <凡例> :載荷点 (ダブルタイヤの中央位置) 全載荷点数88点(舗設後90点) <載荷点名称> ・載荷点の名称は,レーン数字+載荷断面とする。 ・(例)載荷点名12C 12 C 2500 2500 端横リブ 中間横リブ 端横リブ (1/4) R1 R2 R3 R4 0 (1/2) (1/4) 20 @ 80 = 1600 6 ’ 7 9’10 ’11 ’ 8 14 3 260 18 18 17 15 14 11 10 9 8 7 6 5 02 3 250 2@125=250 h' 47 89 10 11 12 13 14 15 14' 91 0 12 16 3 2 16 15 14 11 10 8 79 m 17 12 1 16 6 2@125=250 舗設後のみ 6 舗設後 のみ (1/8) 図-4.2.4 静的多点載荷位置(後輪ダブルタイヤ載荷) A A B B C C 載荷範 囲 c Tu rib = 6m m Tu rib = 8m m <載荷点名称> ・載荷点の名称は,レーン数字 +載荷断面とする。 ・(例)載荷点名⑥C ⑥ C 2500 端横リブ 中間横リブ (1/2) (1/4) (1/8) R3 ① ② ③④⑤⑥⑦ ⑧⑨⑩ ⑪ 8@ 40 =3 2 0 R4 ⑫ ⑬ 1250 1250 R1 R2 R3 R4 2@ 80= 1 60 2@ 80 =1 6 0 <静的載荷試験要領> ・最大載荷荷重は29.4kN(3tf)とする。 ・橋軸方向の移動は,シングルタイヤを移動させる。 ・横断方向の移動は,シングルタイヤを移動させる。 <凡例> :載荷点(シングルタイヤの中央位置) 全載荷点数13点 図-4.2.5 静的多点載荷位置(前輪シングルタイヤ載荷)
35