傾斜機能材料データベース
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(2) A31 れた。1993年には熱応力緩和型傾斜機能材料研究 で整理された材料創製法を、エネルギー変換材料に 適用し、特に熱エネルギーを電気に直接変換するエ ネルギー変換材料の開発が実施された。航技研はこ れらのプロジェクトを円滑に推進する上で主たる 役割を担ってきた。航技研は、これらの研究におい て提唱した当時から傾斜機能材料研究推進の中心 的役割を担っており、同研究に関する多数の情報と データを収集した。具体的に研究が始められた 1980年代後半から現代に至る研究とプロジェクト の成果は年ごとの報告書やシンポジウム等の研究 発表の形で存在しているものの、IT化時代に適合し た情報活用の手段は講じられていなかった。 1999年の科学技術振興事業団の研究情報データ ベース化支援事業に応募、採択課題として選定され、 2002年9月までの3年間で内外の研究情報1295件を. 図1 ハードウエア構成. 整理しデータベースを整備した。以下傾斜機能材料 データベースについて報告する。. 2.2. ソフトウエアシステム整備. 傾斜機能材料の特徴を反映させたデータベース. 2.データベース開発方針. のモデルとなるシステムは存在せず、我々が従来よ. 本データベースは、システム開発にあたり、保有 しているデータの整理と二か国語化に重みづけを した整備を行った。ここ10年来の著しいコンピュ ータ技術の革新により、ハードウエアの性能向上と ダウンサイジングは極めて短期間のうちに著しい 変化を遂げており、ハードウエアシステムはこうし た状況を考慮するならば公開に近い時期に最終的 にハードウエアを導入する事がシステム開発のコ ストパフォーマンスが最も高くなると予測される。 よって、開発スケジュールを考慮するとシステム開 発までの大部分はデータ整理とコンテンツの作成 に重点を置き、システム試作と平行しながら開発最 終段階でのハードウエアシステムとコンテンツの 統合を実施する事が合理的である。. り傾斜機能材料情報を含むデータ整理にファイル メーカーを導入していた事もあり、ファイルメーカ ーを第一候補として検討した。傾斜機能材料データ ベースの整理規模は基幹データベースとしてメジ ャーなORACLEを用いるには小さすぎ、コスト高 が予想される一方ファイルメーカーはORACLEに 比べ導入コストが1/100程度となる。ファイルメー カーはインターネット上での柔軟な運用(分散デー タベース)も可能なリレーショナル型のデータベー スであり、整備作業において情報を共有しながら抽 出や整理を進めるグループウエア作業に対して高 いパフォーマンスが期待でき、最終的には整理から 公開への一連の作業においても効果的であるとの 判断をした。傾斜機能材料データベースのように小 規模のデータベースの運用と保守を確実に実施す. 2.1. ハードウエアシステム. るには、システムのランニングコストを意識する必. セキュリティ・運用等の観点でハードウエア調査 を行い、最終的にMac OSXをOSとしたMacintosh G4のシステムをハードウエアに選定した。. 第40回情報科学技術研究集会予稿集. 要があり、コマーシャルベースのDBMSの採用は適 切と判断した。. − 22 −.
(3) A31 2.3. システム構築手法. ル方式とプロトタイピング方式によるシステム開. 傾斜機能材料は材料内部の組成や組織を傾斜分. 発とした。[2]. 布化して任意の機能を発揮する材料設計概念に基 づいて設計し、合成された材料と説明されており、. 3.データベースの整理と構造. 使用環境で求められる機能を発現させるために最. データベースのシステム構成を図2に、図3にデ. 適な材料内部の組成や微視組織を傾斜分布化して. ータベースの整理と運用概念を示す。本データベー. 特性を制御し任意の材料機能を創製するゆえに、デ ータベース構築に当たってはその特徴を踏まえた 整理が肝要である。通常、均質材料のデータは、組 成に対して普遍的な値を持つが、傾斜機能材料は不 均質な組成であり、且つ、使用環境に対して求めら れる機能を発現すればいいわけで、使用環境が変わ れば評価も異なる材料である。データの整理に当た っては、 ○ 使用環境条件と目的とする機能 ○ 機能発現のためのアプローチ ○ 材料創製法とデータ がセットになった情報として整理する必要がある。 情報データであるゆえに5W1Hが不可欠であり、類 似情報、関連情報が引き出せる形で情報を整理する ことが、傾斜機能材料データベースの特徴を考慮し たデータベースといえる。同時に、材料データベー. 図2 システム構成. スであることから材料種別や材料創製法を切り口 とした整理も同時に合わせ持たせることが必要と なる。 本データベースでは、構造材料、エネルギー変換 材料、ポリマー・モノマー等の化学系材料、電気材 料、磁気材料、半導体材料、生体、医学など広範な 分野の機能性材料研究情報が含まれている。傾斜機 能材料創製技術は新たな機能を発現させるための いくつかの異なった領域の研究がベースとなる場 合が少なくない。こうした情報を活用することが出 来るようにデータベースを設計した。 このように、本データベースは従来の材料とは一 線を画す傾斜機能材料の特徴を反映するデータで あり、試行錯誤で情報を整理しデータベース化する 事が予想されたため、大規模なデータ集団を持つ定 型的なデータを扱う場合に有効なウオーターフォ ール方式のシステム構築は、途中の段階においての システム修正が難しく本データベースの構築には 不向きであると判断した。システム開発はスパイラ − 23 −. 図3 全体構成 第40回情報科学技術研究集会予稿集.
(4) A31 スは、1986年∼2000年の間に内外の傾斜機能材料. 4.おわりに 傾斜機能材料データベースは航空宇宙技術研究. 研究発表においてオーソライズされた傾斜機能材. 所にて運用管理している。データベース運用管理の. 料論文、資料のうち1295件を収集し研究情報 ● 要約. ため、保守要員をJSTの予算で確保し、データベー. ● 図表. スの維持と保守を行なっている。開発終了段階で開. ● 原著論文. 発の時間的・予算的制約から2000年4月以降の情報. ● 数値データ. として約200件程度が積み残しとなっていたが、. ● 研究者情報. JSTの保守運用予算でその内の一部をデータベー. ● 特許情報. スに追加した。傾斜機能材料の情報は年間100件程. などを整理抽出し、データベース化したものである。. 度の情報が平均的に発信されており、これらの情報. 主な機能は日本語版とインターナショナル版で情. に優先順位をつけて順次整理しデータベースに取. 報の検索、傾斜機能材料情報が提供される。検索は. り込んでいる。新たなデータについては、可能な範. あらかじめ精査した情報に基づいてカテゴリー区. 囲でデータ提供者にデータベース登録情報の項目. 分したキーワードのマトリックスを用いた複合検. を整理して提供してもらうため、ネット上からデー. 索とフリーワード検索ができる。データ表示は、一. タシートをダウンロードして記入し、維持と保守の. 覧→アウトライン→詳細→オブジェクト/ファクト. 負荷を軽減する合理化手法を実施している。. /PDFの階層となっている。データの閲覧、データ. 開発した傾斜機能材料データベースの有効活用. の登録、傾斜機能材料を取り巻く情報の提供ができ. には、新しいデータの収集と整理、正規化、標準化、. る。 (図4に情報の関連を示す). 国際化といったデータベースの保守が肝要であり、 引き続き情報を収集し整理、データを登録するルー チンワークが不可欠である。現在航技研トップペー. 図4 データベースリレーション 第40回情報科学技術研究集会予稿集. − 24 −.
(5) A31 ジに傾斜機能材料データベースへのアクセスメニ ューが設けられ、内外の研究者や技術者から利用さ れている模様である。 本データベースは先進材料研究の成果であり、技 術立国を目指す日本においての知的資産として我 が国の科学技術の推進に寄与出来る情報が提供で きるものと考えている。データベースの投資効果を 向上させるには、時代に適合した技術や情報共有化 を取り入れつつニーズを満足させる必要がある。今 後、情報の相互活用という国家的情報戦略上からも、 こうした小規模の分散データベースを含めた統合 化プロジェクトが公的機関の強いリーダーシップ で推し進められるなら我が国の知的資源の効果的 活用が達成されよう。 本データベースの開発に当たっては、プロジェク トを円滑に進める上でJST担当方々、同派遣スタッ フ方々、ソフトウエア構築に際し、株式会社ともク リエーションの渡辺伯桃子氏他の各位に謝意を表 する。. 5.参考文献 [1]. [2]. 第1回傾斜機能材料実用化ワークショップ予稿集 2002/6/14. 傾斜機能材料研究会. 木皿ほか. 傾斜機能材料データベースの開発. 2001. FGMシンポジウム予稿集. 傾斜機能材料研. 究会. − 25 −. 第40回情報科学技術研究集会予稿集.
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