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鎌倉市鎌倉中央公園におけるマシジミの分布

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Academic year: 2021

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(1)Actinia. 16: 21-24. Bulletln. of the Manaztmz. Faculty. ofEducab'on. (March 2005) Man'ne. Labomtoly. and Human. for Scl'ence Educatl'on,. Scl'ences, Yokohama. Natl'onal. Unl'verslty. 鎌倉市鎌倉中央公園におけるマシジミの分布 西 Records. of freshwater. Chuo. 栄二郎 Corbjcu)a. clam. Kouen,. lL'ana in Kamakura Prefecture. Kanagawa Eijiroh Nishi. Abstract.. The. PrefTecture. The Then Kanto. 西. freshwater distribution. the fわrmer indigenous. clam. CoTbl'cuh. of the species. ll'ana was was. to. compared. species is probably. rare. in. collected the. one. in Kanagawa,. in Kamakura. small creak. of introduced. species. and the latter invaded. Kouen,. Chuo. C. Huml'nea. species very. Kanagawa. in Kanto. area.. along the. common. area.. 栄二郎:横浜国立大学教育人間科学部附属理科教育実習施設. EijirohNishi. :. ManazuruMarine E-mail;. Laboratory,Yokohama. National. 神奈川県足柄下郡真鶴町岩61. 〒259-0202. Universlty,. Iwa,. Manazuru,. Kanagawa. 25910202,. Japan. enishi@ynu.ac.jp. 近年,外来種や移入種に対する社会的関心が. 成などが懸念されている(増田,. 2004).タイ. 高まり,多くの調査が行われている.陸域では. ワンシジミとマシジミは非常によく似た貝殻を. ほ乳類や鳥類,昆虫類とともに水生魚類に関す. 持ち,現状では貝殻での分類が難しいとされる. る報告が多い.水生貝類についても近年報告が. こともあり,タイワンシジミの分類について今. なされつつあり,タイワンシジミやコウロユン. 後再検討の余地がある(増田ほか,. カワヒバリガイ,カワヒバリガイなどについて. 2002. の報告が多い.さらに,それら外来種の進出に よって分布域の縮小が懸念される在来種の報告. は,園原(2002,2005a,b)や西(2005)が金目. もなされている(増田,. 川水系や多摩川中流における分布を報告してお. 2004).今回,神奈川. 1998. ;古丸,. 2002,. 2005a,b). 神奈川県内のタイワンシジミの分布について ;園原,. 県内で多く発見されているタイワンシジミと分. り,今後も各地での発見が相次ぐものと思われ. 布域が重複すると思われるマシジミについて,. る.今回,鎌倉市内の自然公園において発見さ. 鎌倉市内の自然公園において調査を行ったの. れたマシジミについて報告し,この調査結果か. で,ここに報告する.あわせて調査を行った横. ら,今後の日本在来種マシジミの保全について. 浜市戸塚区の自然公園ではシジミ類の殻は発見. 考察した.. できなかった.また,鎌倉市内を沈れる用水路 においても目視により死殻を発見できたが,坐. 月の発見にはいたっておらず,別報にて鎌倉市. 調査地と方法 鎌倉中央公園は面積約24ヘクタールの総合. 内やその周辺地域のシジミ類について報告する. 公園で,所在地は鎌倉市山崎1667番地である.. 予定である.. 谷戸とよばれる地形を利用し,自然体験活動や. マシジミは日本各地の淡水域に分布し,雄性 発生することで知られている(増田, 2004).. 農作業体験ができる都市線化植物園であり,ま. 近年,外来種のタイワンシジミの分布域拡大に. 鎌倉市公園協会, 2004).. より,マシジミの分布域の縮小や消滅,雑種形. た防災公園としての機能もある(鎌倉市・ 2004年10月から12月にかけて(10月20日,. (財).

(2) 西. 22. 栄二郎. 図1.調査地の鎌倉市大船駅周辺(左).左上に戸塚区小雀公園,右下に鎌倉中央公園,中央部を流れるのが粕尾川. (右) 鎌倉中央公園,国中の○●▲は調査地点で, ○は分布が確認されなかった地点●は生月の分布が確認された地点, ▲は殻のみ見つかった地点.右図のスケールは50m.. 11月28日,. 12月4日,. 12月14日),鎌倉市大. 船中央公園内と周辺の用水路において,川底の 泥や砂,れきを節でふるい,二枚貝を生月と死. で,内面は外側が深紫,内側は薄紫または白色. であった(図2).生月のサイズは8.6-21.5m m (15.5±2.85,N-20) (殻長), 6.6-16.8mm. 殻に分けて選別した.採集した貝類は実験室に. (12.5±2.37,N-20). 持ち帰り,生月は高温水中に浸して肉部を取り. 採集されたマシジミの死殻の外面,内面も同様. 除き,貝殻のみを標本とした.比較のために,. な色彩であったが,内面が白色の場合も多く見. 横浜市戸塚区の小雀公園内の池や用水路におい. られた.殻頂部は摩耗して殻皮が剥げている個. て,. 11月3日と7日に同様の調査を行った.ま. 体が多く,殻が透けるほど薄くなっている個体. た,. 2005年1月に鎌倉市を流れる粕尾川水系と. も見られた.生息密度は,耕作地内の用水路(図. 大船駅周辺(駅南西部)の用水路においてもシ ジミ類の生月や死殻の探索を行った. 結. 果. 大船中央公園の山崎口側出入り口付近の用水 路に多くの死殻が見つかり,その上部の耕作 地内を流れる用水路にマシジミの生月が見いだ. (殻幅)であった.同所で. 1のA地点)で3-5個体/20×20cm(N-4) であった.図1のA地点より下流側でも多くの 死殻が目視で確認されたが,川沿いでは採集す ることができなかった,上地下流部から湿生花. 園沿い(図1のH)でも多くの死殻が採集され たが,生月は採取されなかった.. 横浜市戸塚区の小雀公園(図1-左上)でも調. された.死殻は総計50個,生月は30個が採集. 査を行ったが,カワニナが多く観察された他は,. された.マシジミの殻の外面は深緑色から黒色. シジミ類は生月,死殻共に採集されなかった..

(3) 鎌倉市鎌倉中央公園におけるマシジミの分布. 23. 図2.野外生活体験広場沿いの用水路から採集されたマシジミ.左は殻内面、右は殻外面.. 考. 察. 鎌倉中央公園では,水と緑の公園をテーマに 様々な取り組みが行われている.鎌倉メダカを. 放流するのは遺伝子汚染の可能性があるために 慎重を期す必要がある. 蛍の生育のためにカワニナの放流を行ってい. 保全するために園内の湿生花園内に放流する試. る戸塚区の小雀公園内の水路等では,カワニナ. みもその一つである.このような自然体験の場. が多く見られ,シジミ類は発見されなかった.. としての公園には,蛍を見るために様々な取り. しかし,公園内には多くの湿地があり,ため池. 組みが行われることがある.蛍の幼虫の餌とな. など未調査の箇所も多く,シジミ類の分布につ. るカワニナの放流もその一つで,各地で盛んに. いては今後も調査が必要だと思われる.. 行われている.その放流に伴って,外来種のタ イワンシジミが拡散している可能性が指摘され ている(園原,. 2005a).鎌倉中央公園内では,. 鎌倉市大船駅南部の用水路や駅南西部の柏尾 川の瀬にはシジミ類の殻が見いだされる.生月 は発見されていないが,一部はマシジミである. 今回マシジミの他にアメリカザリガニ,カワニ. 可能性が高い.今後の同域周辺の調査によって,. ナ,オオタニシが採集された.アメリカザリガ. マシジミやタイワンシジミの分布を確定する予. ニは外来種であるが,どのような経路で定着し. 定である.. たのか,また,カワニナの放流が行われている. セタシジミについては,. 「減少(檀). (明らか. のかどうか,今後確認を要すると思われる.カ. に減少しているもの)」として水産庁編のデー. ワニナの放流が行われていると仮定すると,そ. タブックで扱われているが(水産庁,. の放流に伴って,タイワンシジミなど目的外の. 種が放流される可能性がある.シジミ類の放流. マシジミについては現段階で分類体系が確定し ないために絶滅危倶種等に指定されていない. 目的であっても,マシジミとタイワンシジミの. (園原! 2005a).しかし,近年のタイワンシジミ. 貝殻での区別は難しいため,安易にシジミ類を. の急激な分布拡大により,在来種のマシジミの. 2000),.

(4) 24. 西. 栄二郎. 存在がクローズアップされているのは明らかで. あり,シジミ類についての早急な分布生態調査. 増田. と,必要な保全策の策定が待たれるところであ. :. 22-35.. 修, 2004.日本産淡水貝類図鑑胴)汽水域を含. む全国の淡水貝類. (秩)ピーシーズ,240頁、東京. 西. ろう.. 49. の産出状況.兵庫陸水生物,. 栄二郎,. 2005.多摩川中流域におけるタイワン 26. シジミの分布,神奈川自然誌資料,. 謝. 辞. 園原. タイワンシジミについて,相模原市向上高校 の囲原曹司先生から多くの情報をいただいた. また,本研究は(財)神奈川科学技術アカデミー の助成研究「神奈川県内における外来移入種の 在来生態系に及ぼす影響評価」 (代表西栄二郎). 哲司,. 109-110.. 2002.金目川水系におけるタイワン. シジミの生息状況調査.神奈川自然誌資料,. 23:. 35-38.. 園原. 哲司,. 2005a.相模川水系におけるタイワンシ. ジミの出現状況と神奈川県内のマシジミの生息状 況.神奈川自然誌資料, 園原. の一部である.ここに記して深謝したい.. :. 哲司,. 2005b. 26. :. 103-108.. 相模川水系におけるタイワン. シジミの出現状況とマシジミ亜科分類の変遷.. 引用文献 古丸. 明, 2002.タイワンシジミ-世界中に進出し. たアジア起源の淡水産二枚貝-. ブックt. In.外来種ハンド. 日本生態学会編,鷺谷編著,. 174頁,地人. 書館,東京. 増田. 修・河野圭典・片山. 16. Actinia,. 水産庁,. けるタイワンシジミ種群とシジミ属の不明種2種. ll-16.. 2000.日本の希少な野生水生生物に関する. データブック(水産庁編).社団法人日本水産資源 保護協会発行,財団法人自然環境研究センター, ##. 久, 1998.西日本にお. :. 437p.. 鎌倉市・ (財)鎌倉市公園協会, 案内パンフレット. 2004.鎌倉中央公園.

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