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女川湾における尾虫類,特にOikopleura dioicaの生態に関する研究

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(1)

女川湾における尾虫類,特にOikopleura dioicaの生

態に関する研究

著者

秋保 太郎

868

発行年

2005

URL

http://hdl.handle.net/10097/16039

(2)

名(本籍)

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

学位授与年月 日

学位授与の要件

研 究 科 専 攻

学 位 論 文 題 目

あ き ほ た ろ う

士(農

学)

第868号

成18年3.月24日

学 位 規 則 第4条

第1項

該 当

農 学 研 究 科 環 境 修 復 生 物 工 学 専 攻

(博 士 課 程)

女 川 湾 に お け る 尾 虫 類,特

に0∫ んop1ε

〃ra4'o'cα の 生 態 に

関 す る研 究

論 文 審 査 委 員

(

(

(3)

は じ め に 尾 虫 類 は オ タ マ ボ ヤ と も 呼 ば れ 、 脊 索 動 物 門 、 尾 索 動 物 亜 門 、 尾 虫 綱 、 尾 虫 目 に 属 す る ゼ ラ チ ン 質 動 物 プ ラ ン ク ト ン で あ る 。 尾 虫 類 は 「ハ ウ ス 」 と 呼 ば れ る 分 泌 性 の 非 常 に 精 巧 な 濾 過 装 置 の 中 で 生 活 し 、 ハ ウ ス に 備 わ るInletfilterとFood concentratingfilterの2つ の 目合 い の 異 な る フ ィ ル タ ー を 使 う こ と で 摂 食 に 適 し た サ イ ズ の 粒 子 を 濾 過 摂 食 し て い る 。特 に 、サ ブ マ イ ク ロ サ イ ズ のFoodconce皿trati皿g51ter を 持 つ こ と に よ り 、 尾 虫 類 は バ ク テ リ ア や コ ロ イ ド粒 子 す ら も 直 接 摂 食 す る こ と が 可 能 だ と い わ れ て い る 。 尾 虫 類 は こ の よ う な ハ ウ ス を 絶 え 間 な く 更 新 し て 植 物 プ ラ ン ク トン や バ ク テ リ ア な ど が 付 着 し た 古 い ハ ウ ス を 海 中 へ 放 棄 し 続 け 、 放 棄 さ れ た 大 量 の ハ ウ ス は "M面nesnow"と な っ て 中 深 層 や 海 底 の 生 物 群 集 へ 有 機 物 を 供 給 す る こ と が す で に 知 ら れ て い る 。 近 年 、 カ イ ア シ 類 や オ キ ア ミ類 、 ウ ナ ギ 科 魚 類 仔 魚 な ど の 胃 内 容 物 中 に 高 い 頻 度 で 尾 虫 類 ハ ウ ス が 出 現 す る こ と が 報 告 さ れ 、『ハ ウ ス に 付 着 し た 植 物 プ ラ ン ク ト ン や バ ク テ リ ア な ど の 微 小 な 有 機 物 が 上 位 捕 食 者 に 直 接 転 送 さ れ る 独 特 の 食 物 網"Appendicularianshort-circuit"を 形 成 し て い る こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 バ ク テ リ ア な ど の 微 小 な 有 機 物 を 上 位 捕 食 者 に 伝 達 す る 経 路 と し て は"Micmbialfbod web"の 存 在 が 知 られ て い る が 、 多 く の 栄 養 段 階 を 経 る た め に 有 機 物 の 多 く が 経 路 内 で 代 謝 さ れ て し ま う と 考 え ら れ て い る 。 一 方 、 尾 虫 類 や そ の ハ ウ ス を 介 し た 食 物 網Appendiculadansho耽 一circuitは、Micmbiaifbodwebよ り も 有 機 物 の 伝 達 が 直 接 的 な た め 非 常 に 効 率 の 良 い 経 路 で あ る と考 え ら れ る が 、 そ の 定 量 的 な 研 究 は 行 わ れ て い な い 。 これ ま で 、 尾 虫 類 に 関 す る 研 究 は 室 内 実 験 を 中 心 に 盛 ん に 行 わ れ て き た も の の 、 自 然 群 集 を 対 象 と し た 研 究 報 告 は 少 な い 。 本 研 究 で は 宮 城 県 の 女 川 湾 に お い て 、 尾 虫 類 の 現 存 量 と 季 節 変 動 に 関 す る 基 礎 的 調 査 に 加 え 、 ハ ウ ス 生 産 量 に 関 す る 飼 育 実 験 お よ び 現 場 観 測 を 行 い 、Appendiculariansho丘 一circuitを介 し た 有 機 物 フ ラ ッ ク ス の 定 量 化 を 試 み た 。

(4)

1、 女 川 湾 に お け る 尾 虫 類 の 出 現 と そ の 季 節 変 動 尾 虫 類 の 種 組 成 、 現 存 量 お よ び そ れ ら の 季 節 変 動 を 調 べ る た め に 、 女 川 湾 最 奥 部 に 定 点St1(平 均 水 深23m)を 設 け(Fig.1)、2002年11月 か ら2003年12月 の14ヶ 月 間 に27回 の 採 集 を 行 っ た 。 動 物 プ ラ ン ク トン はNOR踏Cネ ッ ト(目 合100μm) に よ る 海 底 直 上 か ら の 鉛 直 曳 き に よ っ て 採 集 し 、 実 体 顕 微 鏡 下 で 尾 虫 類 の 計 数 お よ び 種 の 同 定 を 行 っ た 。 同 時 に 、 海 洋 環 境 調 査 と し てSTDに よ る 水 温 お よ び 塩 分 観 測 、 水 深0、5、10、15、20m各 層 の ク ロ ロ フ ィ ル α濃 度 の 定 量 を 行 っ た 。 ま た 、 尾 虫 類 現 存 量 が 高 く な る と 予 想 さ れ た2003年642月 に は 、『餌 環 境 を よ り詳 細 に 見 る た め に 、 ピ コ(<2μm)、 ナ ノ(2-20μm)、 マ イ ク ロ(>2qμm)の 各 サ イ ズ 画 分 の ク ロ ロ フ ィ ル α濃 度 と 、 バ ク テ リ ア 現 存 量 も あ わ せ て 調 査 し た 。

灘i

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灘 羅

霧』

灘欝 霧

1 L ★ S 0朋9αwαBの2

Fig.1.LocationofthesamplingstationinOnagawaBayonthenorthwestern

PacificcoastofJapan.

観 測 期 間 中 、 女 川 湾 で は0ゆ 属ε〃zα8ハαc跳 、0.Zoπ81cω 吻 、α 瞬5c8加 、α4foεo仏 (λ卿 α、(λcρ ρ加c8π:仏F7ご 配 伽 如 加 昭読 ∫、Eρ ε砺c漉 の2属8種 の 尾 虫 類 の 出 現 が 確 認 さ れ た(Table1)。 ま た 、 尾 虫 類 は 低 水 温 期 に は 出 現 せ ず 、 初 夏 か ら 冬 に

(5)

Table1.OccurrenceofappendiculariansatSt.linOnagawaBayduringtheperiodfrom November2002toDecember2003. 0瀕叩 惚㎜ 解 薦 0面 薦9記㎝ 血 0π 幽`8船 0伽 加 0μ 四8 0`ρ ρ盈㏄8欄 F轍50鷹 廊 Rpε 翫躍地 20022003 NDJFMAM 手 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 JJASOND 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 手 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 6000

(n 目 ㌃ む 三 ) 8 壽 窟 3 < iooo ゑく ノ   '!、 、 '、 、

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慧 慧 鋼

、 ノ 、◇O NDJFMAMJJASOND 20022003

H酵T・mp・ ・創 ・諭 ・d・n・i・・b・蜘ce・ft㎞eed・mi剛 ・p煕hd量・u1面 ㎜ ・四 ・i・・at串 し1

inOnagawaBayduringtheperiodfromNovember2002toDecember2003.

か け て 多 く 出 現 し た 。 こ の 傾 向 は 、(λJo〃87ごα蜘 、(λ4'o'oα 、Eわo泥 α傭 の3種 に お い て 顕 著 で あ っ た 。 こ れ ら3種 は2003年3-5月 の 低 水 温 期 を 除 い て 高 い 頻 度 で 出 現 し 、 そ の 間73-100%の 優 占 率 を 示 し た 。 ま た 、 夏 季 の 高 水 温 期 に は 高 い 現 存 量 を 示 し(Fig2)、 成 熟 個 体 の 出 現 も 観 察 さ れ た 。 以 上 の こ と か ら 、 こ れ ら の 優 占 種 に 代 表 さ れ る 女 川 湾 の 尾 虫 類 群 集 は 初 夏 に 暖 水 と と も に 流 入 し 、 高 水 温 期 間 に は 湾 内 で 活 発 に 再 生 産 を 行 っ て い る も の の 、 冬 季 の 水 温 低 下 と と も に 死 滅 す る 』と

(6)

考 え られた 。 一方 、0.8ハαc廊、(λ7虚3c8鰐 、0.ραrり

α、(λ6ρ助ocεκα、Eρ8〃〃`娩

につ いて は、 出現 が秋 か ら冬 に限 られ て いた上 に現 存 量 も低 く、成 熟個 体 も観 察

され なかわ た 。 したが って、 これ らの5種

は津軽暖 流 系水 の流入 に伴 っ て湾 内 に

入 る ものの 、湾 内で は増殖 で きな い もの と判断 され た。 以 上 をま とめ る と、女 川

湾 内 に は固有 の尾 虫類群 集 は存在 せ ず、 全 て湾外 か ら移 入 して くる こ と、そ の う

ち 高水 温期 に湾 内で増殖 で き る3種

が優 占種 とな る こ と、 しか し、後 者 もまた 低

水 温期 に は死滅 す る ことが明 らかにな った。

女川 湾 にお け る尾 虫類 の 出現 は流 入 湾外 水 に支 配 され てお り、そ の指標 と して

水 温 と塩 分 が 使 え る と考 え られ る。そ こで、 高水温 期 に お け る現存 量 変 動 の 要 因

を調べ る た め に、2003年6-12月 期 の優 占種3種 の現 存 量 と水 温 お よび塩 分 との相 関

解析 な らび に餌 環境 の指標 とな るサイ ズ別 ク ロロ フィルα濃 度お よび バ クテ リア現

存量 との相 関解 析 をそ れぞ れ行 った(Table2)。 そ の結果 、暖水 性 が強 い0.Joη8'o卿吻

の現存 量 は水 温 の支配 を強 く受 けて いた こ と、適温範 囲の広 い(λ4観cαは この期 間

にお いて はナ ノサ イズ以 下 の植物 プ ラン ク トン現 存 量 の支配 を受 けて いた こ とが

明 らか にな った 。

Table2.Thecorrelationsofeachabundance(indiv./m3)ofthreedominantappendicularianspecies tomeanconcentrationsofsizefractionedchl.a(オg/L),bacteriaabundance(cells/mL), meantemperature(ーC)andsalinityinthewatercolumnatSt.1inOnagawaBayduringtheperiod fromJunetoDecember2003. Chlorophylla

Pi60騨Nano●PkO+Nano・M匝crO■To翰 亘IBao戯}riaTemp・Sa1血 盛重y

0吻 惚πハ望面πg魔繍NSNSNSNSNSNSr=0.601*r書 ■0.613串

0,伽 血σNSr30占59喰r30。646**r=0324零r=0.602串NSNSNS

F棚4δ の㎎ 廊NSNSNSNSNSNSNSNS

(7)

2、0吻

海… 冨4あ勧 の二 次 生 産 者 と して の 機 能 とそ の 生産 量

水温 が最 も高 い、す な わち尾 虫 類 の生 理活 性 が 最 も高 い と予想 された2003年9月

2-4日 に、東 北 大 学大学 院農 学研 究 科 附属 複 合 生態 フィー ル ド生態研究 セ ンター に

お い て 、Appendiculahanshor←ci茄cu孟tを 介 し た 有 機 物 フ ラ ッ ク ス を 見 積 も 局 た め の 飼

育実 験 を行 った 。SL1に

お いて女川 湾 の最優 占種 で あ る0.4`o'cαを採集 し、 同時 に

採 集 した海水 か ら20μm以 上 の粒 状物 を除 いた 自然海 水 中で飼 育 を行 い、ナ ノサイ

ズ以 下 の粒 状有 機 物が ハ ウス お よ び そ の付 着 物 として上位 食段 階へ転 送 され る量

を測定 した。飼 育 に は容積ILの

ポ リカ ーボ ネイ ト製 ボ トル を使用 し、海水1Lに

して(λ4観c4を10個 体 ず つ入 れ た もの を実験 区、海 水 のみの もの を対照 区 として そ

れぞ れ24時 間飼育 した。 この実験 は2回 繰 り返 され た。そ して 、 これ によ り粒 状有

機 物(POC)、

ク ロロ フィルα、バ ク テ リア の除 去 率 をそれ ぞ れ調 べ る と と もに 、

ハ ウス生産 速度 と放棄ハ ウス炭 素 量 の測定 を行 った。

12一 〇 8 一 ー ユ ( 日 目 ≧ 冤 ち 一 × ) ノ0 4 . 2 8 目 留 唱 唱 目 盈 6 劇 嶋 ﹄ 8 舅 箇 0 一◇一Contro1 一● 一w/100`㎞P々 露π14」6」`4 04812162024

Time(b)

Fg.3.Temporalvariationsinbacteriaabundancewith(w/100ikopleuradioica)

orwithoutDikopleuradioica(Control).

バ ク テ リ ア の 除 去 率 は 有 意 に 高 く 、0.4観cα で は2.4×108cells/indiv.1d、 炭 素 量 換 算 で4.8μgC!indiv./dで あ っ た(Fig.3)。 ま た 、 飼 育 実 験 期 間 中 の 総 ハ ウ ス 炭 素 量 、

(8)

す な わ ち 、1個 体 の(λ4娚cα に よ っ て 放 棄 ハ ウ ス の 形 で 転 送 さ れ る ナ ノ サ イ ズ 以 下 の 粒 状 有 機 物 量 は7.4μgClindMdで あ り、 こ の う ち1.4μgCは 摂 食 さ れ ず に ハ ウ ス へ 付 着 し た バ ク テ リ ア で あ っ た と 推 定 さ れ た 。 しか し 、 こ の 時 の ハ ウ ス 生 産 速 度 は3.98houseslindMdと い う 低 い 値 で あ っ た 。検 鏡 の 結 果 、飼 育 海 水 中 に は 長 さ80μm を 超 え る 針 状 の 珪 藻P56励 一η」伽c伽sp.が 優 占 して お り 、 こ れ が30μm以 上 の 粒 子 を 通 さ な い と い わ れ る(λ4∫o'cαハ ウ ス のlnlet刷terの 目 詰 ま り を 起 こ し た た め に 、(λ 4まo`cαの 摂 食 が 阻 害 さ れ た と考 え ら れ た 。 す な わ ち 、 こ の と き に は 不 適 サ イ ズ の 珪 藻 の 卓 越 に よ り 、 結 果 的 に 餌 不 足 が 起 こ っ た と い え る 。

3、 女 川 湾 に お け る 尾 虫 類 ハ ウ ス の沈 降 量

尾 虫類 が 高 い現存 量 を示 す 夏秋 に相 当す る2003年7月 、9月 、10月 に、St1の 水深

5mお

よ び15mに2つ

のセ デ ィ メ ン トトラ ップ を3-5日 間係留 し、女 川湾 にお け る尾

虫 類 ハ ウス の 沈 降 量 を 実 測 した 。 同時 に各 トラ ッ プ 係 留 深 度 か ら水 面 ま で の

NORRへCネ

ッ トによる鉛 直採 集 を行 い、先 述 の優 占種3種 の0-5m、5-15m層

におけ

る現存 量 をそ れ ぞ れ測 定 した 。 得 られた 現存 量 デー タ と、 室 内実験 に よ って明 ら

か に され て い る既 報 のハ ウス 生産 速度(Sato8'4ム,2003)な

らび にハ ウス生産速度

と水 温お よ び塩 分 との 関係 式(Sato8'α

乙,2001)か

ら、St1に

お ける3種 の尾虫類

ハ ウス の生産 量 をそ れぞ れ 計算 し、沈降 量 との比較 を行 った。

7月 お よ び10月 の0-15m層

にお け るハ ウス沈 降量 は計算 で求 め られ たハ ウス生産

量 とほ ぼ等 し く、生 産 され た ハ ウス のほ とん どが沈 降 中に他 の 生物 に利 用 され る

ことな く下 層 へ 移 送 され て いた と考 え られ た(Fig.4)。

一方 、9月 に は計算 で求 め

られ たハ ウス 生 産 量 に対 す る沈 降量 の比 が極 めて低 く、実 際 のハ ウス生産 量 は計

算値 よ り甚 だ しく低 か った か 、 あ るいは 沈 降 中に高 い摂 食圧 を受 け て消 費 されて

いた 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。9月 の トラ ッ プ 係 留 期 間 は 上 述 の 飼 育 実 験 を行 っ た 時 期

と一致 す るが 、 この 間 の ク ロ ロ フィルα濃度 、す なわ ち潜在 的 な餌料 プ ランク トン

量 は増加 して い た にもか かわ らず 、0.4'o`cα現存量 は急 激 に減 少 して いた(Eg.2)。

(9)

90 80 刀 ω . 釦 ④ 30 20 10 0 (罫 ξ 刷。 旨 2 る ︻ x 言 盛 目 言 。 旨 。 = Ju置y 沼Hoロse飢 町 } 1ロH・ 贈 脚 血 曲n

September

October

Wig.4.TotalhousefluxandestimatedhouseproductioninO-15mlayer atSLld面ngeachsamplingperiodfrom23to28July, 1to4Septemberand10to140ctober2003. 弱 鱒 錐 30 蟹 20 15 10 5 0

ρ

ξ

×

)

8

Fig.5.Ab1mdallceofル 〃cro3θ ∫8ZZαηor昭8'6αandOηcα εαsp. atSt.10n23and28July,Iand4September,

and10and140ctober2003.

こ の こ と は 、 現 場 に お い て も飼 育 実 験 と 同 様 に 珪 藻P∫θ加b一厘伽o海 αsp.に よ る 摂 食 阻 害 が 起 こ っ て い た こ と を示 し て い る 。 こ の こ と が 、9月 の0、4観oα ハ ウ ス の 沈 降

(10)

過 大 評 価 を 招 い た 理 由 で あ る と 考 え ら れ る 。 一 方 で 、0.Zoπ8加 〃面 とEわo脚 伽 の 現 存 量 は こ の 間 に も 減 少 し て お らず 、 両 種 に はP∫2蜘 一π畑 醐 αsp.に よ る 摂 食 阻 害 は 起 こ ら な い と い え る 。 ま た 、 ト ラ ッ プ 係 留 期 間 に わ た り 、 沈 降 ハ ウ ス を 摂 食 す る こ と が 知 られ て い る カ イ ア シ 類0ηc磁 αsp.お よ び 雌 αり5鷹 磁 ㎜rりε8ε偲 の 現 存 量 を 調 べ た と こ ろ 、 ど ち ら も9月4日 に 高 か っ た(Fig.5)。 こ の こ と か ら 、9月 に は カ イ ア シ 類 に よ る 沈 降 ハ ウ ス の 消 費 が 起 こ っ て い た と 推 察 さ れ 、Appendiculahansho貢 一 cirC嘘 が 機 能 し て い た 可 能 性 が 高 い 。 こ の と き(λ4ぽ0ごCαの 放 棄 ハ ウ ス を 介 し て カ イ ア シ 類 へ 転 送 さ れ る 有 機 物 フ ラ ッ ク ス は 、飼 育 実 験 で 得 ら れ た 値 か ら90.7mgClm2!d と 計 算 さ れ 、 そ の う ち17.OmgCが 沈 降 ハ ウ ス に 付 着 し た バ ク テ リ ア で あ る と 推 定 さ れ た(Fig.6)。 "Clearance" Bac重e血 standingstock 1872.6mgC/mz 89.3 0此 ρψ 〃π富ゐo``α population biomass 4.5mgGm2 "Houseadherence" 26.0 ル倣:'o詔 飽 伽 πo搾 θ9覚4 伽oα θαsp. 17680.5血1由 ▼ノm2 み

纒 欝

`Sed血nen加 雌on,, 9.0

Fig.6.Fstimatedcarbonflow(mgC/d)frombactedato屈ghertrophidevdsthmugh the"appendicularianshort-circuit"byDikopleuradioicaintheupperISmlayeratSt.1 inOnagawaBayduringtheperiodfromlto4September2003.

ま と め

以上 に述べ た本 研 究 の成果 を ま とめ る と、(1)女

川 湾 にお いて尾 虫類 は水 温 の

(11)

高 い 初 夏 か ら 冬 に か け て 出 現 し 、 こ の 期 間 に ピ コ ・ナ ノ プ ラ ン ク ト ン を 消 費 し て 大 量 の ハ ウ ズ を 生 産 す る 重 要 な 二 次 生 産 者 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。(2)女 川 湾 の 最 優 占 種(λ4joごcαの 現 存 量 は 、 至 適 水 温 期 に は 摂 食 に 適 し た ナ ノ サ イ ズ 以 下 の 植 物 プ ラ ン ク ト ン 現 存 量 に 支 配 さ れ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。(3)環 境 水 中 の 植 物 プ ラ ン ク ト ン の 大 き さ や 形 状 に よ っ て は ハ ウ ス のlnlet刷terが 詰 ま る こ と で 尾 虫 類 が 摂 食 阻 害 を 受 け 、 現 存 量 や ハ ウ ス 生 産 量 の 低 下 を 引 き 起 こ す 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 こ の 現 象 はlnletfilter構 造 の 違 い に よ っ て 種 特 異 的 に 発 現 し て い る と 考 え ら れ た 。(4)沿 岸 域 で は 尾 虫 類 の 現 存 量 は 高 い も の の 、 そ の 放 棄 ハ ウ ス は す ぐ に 海 底 に 沈 降 し て し ま う た め 、水 柱 中 の 食 物 連 鎖 に 連 結 し な い と さ れ て き た が 、 女 川 湾 で は そ の 推 測 は 当 た ら ず 、 沈 降 ハ ウ ス が 優 占 す る カ イ ア シ 類 に 摂 食 さ れ 、 Appendicularianshoルci舶cuitが 成 立 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。(5)Appendiculadan short-cilcuitを 介 し て バ ク テ リ ア か ら 上 位 捕 食 者 へ 移 送 さ れ る 有 機 物 フ ラ ッ ク ス を 17.OmgC!m2/dと 見 積 も っ た ほ か 、 女 川 湾 に お け る 尾 虫 類 の 重 要 度 を 初 め て 定 量 的 に 宗 す こ と が で き た 。 引 用 文 献 Sato,R.,Y.TanakaandT.Ishimaru(20U1)HouseproductionbyOikopleuradioica (Tmicata,Appendicularia)underiaboratoτyconditions.ノlP如 ηセoηR8乱,23:415-423. Sato,R.,YTanakaalldTIshimaru(2003)Species-specifichouseproductMtyof appendicularians.Mar.Ecol.Prog.Ser.,259:163-172.

(12)

論 文 審 査 結 果 要 旨

尾 虫 類 は 尾 索 動 物 亜 門 に 属 す る 動 物 プ ラ ン ク ト ン で あ り,精 巧 な 濾 過 機 構 を備 え た ハ ウ ス を 形 成 し, バ ク テ リ ア な ど の 微 細 粒 子 を摂 食 し て い る 。 植 物 プ ラ ン ク ト ンや バ ク テ リ ア な ど が 過 剰 に 付 着 し た ハ ウ ス は 海 中 へ 放 棄 され て 甲 殻 類 プ ラ ン ク トン や 魚 類 稚 仔 に 摂 食 さ れ る の で,ハ ウ ス を 介 し て 微 小 粒 子 と 上 位 捕 食 者 が 直 接 連 鎖 す る"Appendiculadanshort-circuit"が 成 立 す る 。 こ れ に よ っ て 有 機 物 転 送 効 率 が 高 め られ る が,そ の 定 量 的 研 究 は 行 わ れ て い な い 。 本 研 究 は,宮 城 県 女 川 湾 に お い て Appendicula1重ansho驚circuitの 定 量 的 解 析 を 行 な っ た も の で あ る 。 女 川 湾 内 定 点 で2002年11,月 一2003年12月 に27回 の 観 測 を 行 い,2属8種 の 尾 虫 類 の 出 現 お よ び 0∫ゆZ餌 尻oπ8∫cα蜘,(λ4∫o∫cα,Fr∫ ∫'〃4rloわo脚Z'∫の3種 の 優i占 を 明 ら か に し た 。 そ の 季 節 消 長 か ら, 同 湾 に は 暖 水 と と も に 湾 外 か ら流 入 し,冷 水 期 に 死 滅 す る と判 断 し た 。 最 優 占 種0.4∫o'oα の 飼 育 実 験 で は,放 棄 ハ ウ ス と と も に 上 位 食 段 階 へ 移 送 さ れ る ナ ノ サ イ ズ 以 下 の 粒 状 有 機 炭 素 量 を 測 定 し,そ の バ ジ ェ ッ トを 以 下 の よ う に 推 定 し た 。 日間 バ ク テ リ ア 摂 取 率 は48ドg C/indiv./d,ハ ウ ス と そ れ に 付 着 し て 放 棄 さ れ る 有 機 物 は 合 計74μgC/indiv.1d,う ち1.4μgCが 付 着 バ ク テ リ ア で あ る 。 観 察 され た ハ ウ ス 生 産 速 度 は3 .98houseslindiv.1dで あ っ た が,こ れ は 摂 食:に適 さ な い 珪 藻 が ハ ウ ス のmterに 目詰 り し た た め に 過 小 評 価 され た 可 能 性 が 高 い 。 2003年7,月,9月,10月 に,セ デ ィ メ ン ト トラ ッ プ に よ る ハ ウ ス 沈 降 量 の 実 測 結 果 を 尾 虫 類 現 存 量 か ら推 定 さ れ る ハ ウ ス 生 産 量 と 比 較 し,7,10月 に は 両 者 が ほ ぼ 等 しい が,9月 に は 沈 降 量 の 方 が 少 な い こ と を 明 ら か に した 。 そ れ に も 拘 わ ら ず カ イ ア シ 類 に よ る放 棄 ハ ウ ス の 消 費 は 明 ら か で,女 川 湾 で も90.7mgClm2!dに 達 す るAppendiculariansholt-circuitが 機 能 し て い る こ と を 示 し た 。 以 上 の 成 果 は,本 邦 初 で あ る の み な ら ず,世 界 的 に 見 て も 稀 少 な 定 量 的 成 果 で あ り,海 洋 の 食 物 連 鎖 研 究 に 大 き な 貢 献 を な す も の と期 待 され る 。 よ っ て 審 査 委 員 一 同 は 博 士(農 学)授 与 に 値 す る も の と判 断 した 。

参照

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