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体育授業におけるシンクロパフォーマンス運動の開発研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. 体育授業におけるシンクロパフォーマンス運動の開発研究. Author(s). 佐藤, 毅; 林, 政孝; 小澤, 治夫. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第36号: 13-18. Issue Date. 2004-11. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1327. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集一北海道教育大学釧路校研究紀要一第36号(平成16年) KushiroRonshu−JournalofHokkaidoUniversityofEducationat Kushiro−No.36:13−18.. 体育授業におけるシンクロパフォーマンス運動の開発研究 佐 藤 毅1・林 政 孝2・小 津 治 夫3 1北海道教育大学教育学部附属釧路中学校 2北海道教育大学教育学部附属釧路小学校 3北海道教育大学釧路校. A study of development for synchro−Perfromance exsercise On physicaleducation class TakeshiSATO,Masataka HAYASHI and Haruo OzAWA. KushiroJuniorHighSchoolattached to Hokkaido University ofEducationl KushiroElementarySchoolattached to Hokkaido University ofEducation2 Hokkaido University ofEducation,Kushiro Campus3. 要 旨. 学校の荒れや学級崩壊など、教育現場が抱える問題は多く、学校体育科領域においても子どもたちの心に 好ましい影響を与えやすい運動として「体ほぐし運動」が行われている。しかし、スポーツの持つ子どもの 成長に負になりやすい要素によって起こる体育嫌いやスポーツ嫌いは少ないわけではなく、学校体育がかか える課題は少なくない。そこで我々は、子ども達が意欲的に取り組む運動を考案し、「シンクロパフォーマン ス運動」と命名し、その効果を検証するために本研究を実施した。 技を仲間であわせて行うシンクロパフォーマンス運動を中心とした授業を試行したところ、習得に容易で はなく身体活動量も多くきついと感じるものの、一人で行う運動に比べて楽しさを感じ仲間と協力でき、盛 り上がりを感じる運動であり、マイナスになりやすい要素をもっ運動やスポーツによる体育嫌いをつくりに くい運動であることが示唆された。よい授業とは「雰囲気のよい授業」「勢いのある授業」である。そして、 雰囲気のよい勢いのある授業では、子どもたちから歓声が上がり、声援が送られ仲間と教えあう姿が現れる とされている。今回われわれが思考したシンクロパフォーマンス運動はそうした姿が見られた授業が展開で き、子どもの心と体をときほぐし、豊かな心身をつくる運動であると考えられた。. 分伝達できなかったり、運動嫌いを増やしたりすることに. 目 的. つながりやすい。そこで我々は、子ども達が意欲的に取り 組む運動を考案し、それを「シンクロパフォーマンス運動」. 体育授業で取り扱われている運動やスポーツの中には鉄. 棒や跳び箱運動のように「できる、できないがはっきりす る種目」、身長が影響しやすい走り高跳びや体重が負荷にな. と命名し、この運動の効果を検証するために本研究を実施 した。. るために速く走ることに影響する長距離走などのように「身. 体的特徴が負に働きやすい種目」、剣道や柔道あるいはバレー 方 法. ボールなどのように「身体に痛みや苦痛を感じやすい種目」. などがあり、授業としてマイナスになりやすい要素を有し ているものがある。そのような種目では、こうした要素を. 1)調査対象. 調査対象は北海道内のK小学校の児童40名・K中学校の. 考慮して子どもたちがより積極的に取り組むような工夫が. 生徒120名、K専門学校学生56名、大学生80名、東京都内丁. 乏しい場合、運動・スポーツがもつ魅力を子どもたちに十. 中学校生徒123名、男子243名、女子176名の計419名である。. −13−.

(3) 佐藤 毅 他 うした運動は楽しく、授業の雰囲気は盛り上がりやすい。 このように複数の子どもが動きを合わせたり、組み合わせ たりして表現する運動を「シンクロパフォーマンス運動」. と名付けた。 今回開発して授業の中で実験した運動は、トレーニング 用のラダーを用いた「シンクロラダー」と、跳び箱やマッ トを用いた「シンクロ器械体操」の2種類である。. 結果及び考察. 1)シンクロラダー. 近年、スピード・アジリテイ・クイックネスを高めるト 図1 シンクロラダー(小学生). レーニングのひとつとしてラダーを用いたエクササイズが 部活動だけでなく授業でも行われつつある。このラダー運 動を、グループでメンバーの全員が協力して動きをなるべ くきれいにそろえて行う運動を「シンクロラダー」と名付. けてそれぞれの学校で授業を実施した(図1・2・3)。学. 習段階としては、スキップや三拍子の動きなどの基本の動 き5∼6種類教えたところで、次にグループ毎に仲間同士 で相談して動きを選択させ全員がなるべくきれいに揃うよ うに練習する。授業の終わりには珠毎の発表会を行う。難. 易度の高くない動きを選択すれば、45∼50分の1時間の授 業の中で、完成させることができ、次時以降は難易度を高 めたり、生徒が創るオリジナルの動きを練習したり、比較. 的単純な動作で構成するために、体力や運動能力に劣るこ ども達でも容易にでき、また仲間で協力して楽しくできる 点で「体ほぐし運動」として適した運動と考えている。我々. 図2 シンクロラダー(学生). はこの運動を小学校・中学校・高校・専門学校・大学で試 行したがいずれの学校でも好評であった(表1)。. 授業後の感想は、動きの難しさは67%の子どもが「難し い・やや難しい」、63%が運動の量が「大変きつい・きつい」 と回答したが、93%が「大変楽しい・楽しい」、95%が「大 変盛り上がった・盛り上がった」と回答した。また仲間と. の協力でも「よく協力できた・協力できた」が95%を占めた。 2)シンクロ器械体操. 鉄棒や跳び箱、マット運動などの器械運動では「できる、 できない」がはっきりするために、「できない」子ども達に. 図3 シンクロラダーの儀式(学生). とっては好まれない運動のひとつである。そこで我々は「で きる技」で構成するグループによる器械運動の授業を考案. し、これを「シンクロ器械体操」と名づけて授業で実施し た。この運動は、たとえば前転しかできない子どもたちは. 授業終了後にアンケートを実施し、シンクロパフォーマン. ス運動についての難易度や好嫌度、感想を調査した。. 十字にクロスさせたマット上を互いに重なることなく次々. と前転を繰り返すことによって、集団的スポーツの持つ連. 2)開発して試行した運動. 水の中で2人が動きをあわせて表現する運動にシンクロ. 携プレーを演技するという表現形態をつくり出した(図4・. ナイズドスイミングのデュエットがあり、近年は同好の生 徒たちがこれをチームで行い、学校で発表している男子だ. 5・6)。また開脚跳びと前転のグループは、その連続技に よってあたかも分解写真のような演技を見せる。伸身跳び. けの高校もあり、話題を呼んでいる。他人と動きを同じく. 前転グループでは人間ピラミッドを飛び越えるような高度. して集団で表現する運動にはダンスや踊りなどがあり、こ. な技への挑戦、などのようにそれぞれのグループがいまで. −14−.

(4) 体育授業におけるシンクロパフォーマンス運動の開発研究. 表1,シンクロナイズドラダーについてのアンケート結果(%). 6 7 1 6. 9 3 7 3 5. 3 6 1 0. 2.簡 単. 3 5 7 3 3 5. 1.動きの難しさはどうですか 1.大変簡単 3.やや難しい 4.大変難しい 2.楽しさはどうですか 1.大変楽しい 2.楽 し い. 3.あまり楽しくない 4.楽しくない. 5 9 5 5 3. 4 3 4 0. 1. 4. 3. 4. 8. 2. 3. 7. 3.仲間とは協力できましたか 1.よく協力できた 2.協力できた 3.あまり協力できなかった 4.協力できなかった. 図4 シンクロ器械体操(小学生). 4.運動の量はどうですか 1.大変きつい. 5 0. 2.き つい. 3.軽 い 4.大変軽い 5.盛り上がり方はどうですか 1. 8. 図5 シンクロ器械体操(中学生). 3. 4 6. 2.盛り上がった. 5 9 3 5 3. 1.大変盛り上がった. 3.あまり盛り上がらなかった 4.盛り上がらなかった. きる技を駆使して表現することによって、技そのものの難 易度の高低に関係なく完成度を高める学習に取り組んだ。 授業の中では、子どもたちがどんな技で構成するかをボー ドも用いて案を立て、それを何度も試行しながら、最終的 にオリジナルの構成に完成して練習に取り組んだ。学習の 進め方の概略は以下のとおりである。. ①.オリエンテーション、グルーピング、役割決定 ②.技の復習と技能の確認. 図6 シンクロ器械体操(中学生). ③.計画会議・‥ボードを用いて演技の構成を考える ④.グループでの練習. ⑦.発表会・ビデオ撮影. 高橋らによれば、よい授業とは「雰囲気のよい授業」「勢 いのある授業」である。そして、雰囲気のよい勢いのある 授業では、子どもたちから歓声が上がり、声援が送られ仲. ⑧.鑑賞会. 間と教えあう姿が現れるとされている。今回われわれが考. こうした授業を進めた結果、従来の技の上達を重視したマッ. 案したシンクロパフォーマンス運動ではそうした姿が見ら. ト運動や跳び箱運動に比べシンクロ器械運動は「好き」と. れた授業が展開できたと考えている。これまでにも、器械. ⑤.反省会議 ⑥.リハーサル. 回答する生徒が多くみられた(図7)。また、自己評価のま とめからも(表2)、自由記述の感想(表3)からも好評で. 運動の授業で、マットや跳び箱などの配置に工夫したり、. あった。. ような授業を行うなどさまざまな指導上の工夫を行ってき. 映像遅延装置を用いて視覚的に即時にフィードバックする. −15−.

(5) 佐藤 毅 他. 華 偉 T−」. 蓋聖 壁. てr. l_rつ. 更. 勅 ㌣. 吏 璃U. 吏. ㌣. 勅. 簑 AJ 更. ㌣. [Ⅲ. り 勅. 更 轡. !や ㌣. 令刃栂筆洗山皿. ㌣ レ H. 入浸 簑 更. 匪. 八ふ. A」. 朴 雫 簑 」 舟 り. \/ 壁 題 兜. ト申. 耕 J ㌣ 」 1 蟹 阜 礁 ・監 堰 簑 身 糊. N嘱. 逗 ト 想 悪 達 碑 霊 1 逗 e 哺 \/ 養 .ゝ 同 朝 東 e 」 堰 軋 駆 ‡Ⅲ 婁 国. ︵朝鹿義㌫∵y世管棺︰+.堪噂廻れ†小れ笠‖事︶昭博e粛暇k∧レー七卜て□阜∧ふ C贈. 畔聖樹霜元頗e南画麺由リ ト阿.

(6) 体育授業におけるシンクロパフォーマンス運動の開発研究.

(7) 佐藤 毅 他 たが、こうした工夫にとどまらず、さまざまなアイデアに よって子どもたちの思考を活発にし、十分な身体活動を伴っ. た授業が展開されるために、今回のような運動は効果的で あると考えられる。. 結 論 全国の小・中学・高校における不登校児童・生徒は13万. 人にのぼると推計され、学校の荒れや学級崩壊など、教育 現場が抱える問題は少なくない。こうした現代的背景に立っ て、学校における体育科領域においても子どもたちの心に 好ましい影響を与えやすい運動として「体ほぐし運動」が. 行われ、定着しようとしている。しかし、こうした運動だ けで前述した問題は解決するわけでなく、スポーツの持つ 子どもの成長に負になりやすい要素によって起こる体育嫌. いやスポーツ嫌いは少ないわけではない。それは、これま で体育授業で取り扱われてきた運動やスポーツの負の要素、 たとえば「できる、できないがはっきりする種目」、「身体 的特徴が負に働きやすい種目」、「身体に痛みや苦痛を感じ やすい種目」などでは、こうした要素を考慮して子どもた ちがより積極的に取り組むような工夫が乏しいため、運動 嫌いを増やしている。我々は、こうした現状にあって、子 ども達が意欲的に取り組む運動を考案し、シンクロパフォー マンス運動と命名し、その効果を検証するために本研究を 実施した。 技を仲間であわせて行うシンクロパフォーマンス運動を. 試行したところ、一人で行う運動に比べて楽しさを感じ仲. 間と協力できる運動であり、マイナスになりやすい要素を もつ運動やスポーツによる体育嫌いをつくりにくい運動で. あることが示唆された。. 参考文献. 1)林政孝:かかわりの中で運動の楽しさや心地よさを求. め、夢中になって活動する子,平成16年度研究紀 要,131−144,2004. 2)小澤治夫・福永哲夫:体ほぐしの授業をとりいれた教 育の実践的研究,体育科学,第30巻,33−44,2001 3)小棒治夫一石田譲・岡崎勝博他:鉄棒単元におけるス ポーツミラーによる運動画像の即時フィードバッ クの効果,釧路論集,第35号,1−6,2003.. 4)小洋治夫・林政孝・佐藤毅:心と体を揺さぶるシンク ロパフォーマンス運動,教職研修,381号,94−97,. 2004. 5)高橋健夫他:体育授業を観察評価する,明和出版,2003. 6)立木正他:絵とことばかけでわかりやすい跳び箱遊び 跳び箱運動,小学館,1997.. −18−.

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参照

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