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酢酸とグルコースを用いたpH-stat流加培養による高効率アセトン-ブタノール-エタノール生産

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Academic year: 2021

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68 生物工学 第96巻 第2号(2018)

*著者紹介九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門(教授) E-mail: [email protected]

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九州大学,2University of Science and Technology Beijing, 中国

バイオマスを原料としてアセトン−ブタノール−エタ ノール(ABE)生産Clostridium属細菌によって発酵生 産されるバイオブタノールは,次世代バイオ燃料として 着目されており,バイオエタノールより優れた燃料特性 を有する1).ABE発酵は,まず糖類から乳酸,酢酸,酪 酸などの有機酸が主に形成され(酸生成期),その後, それらが再利用されてソルベントが生産される(ソル ベント生成期)という複雑な代謝を示す.筆者らは,こ の代謝転換を逆に活用して,これら有機酸をサルベージ 合成によって,少ない糖消費でも高収率・高効率なブタ ノール生産が可能な生産システム構築の研究を展開して いる2). 現在までに,酪酸3)および乳酸4)からの効率的ブタノー ル生産プロセスを開発した.さらに,希硫酸法を用いた バイオマスの前処理プロセスなどにより容易に得られる 酢 酸 か ら の ブ タ ノ ー ル 生 産 を 検 討 し た.Clostridium saccharoperbutylacetonicum N1-4株による[1,2-13C2]-酢 酸トレーサー実験を行い,酸生成期でも62%もの酢酸 の炭素原子がブタノールに変換(ソルベント生成期では 68%)されることを直接証明し(アセトンへはそれぞれ の生成期で37%,28%),酢酸によるABE生産の促進効 果を確認した5).一方,①C. saccharoperbutylacetonicum 種における酢酸によるABE生産の促進機構は不明であ ること,②その効率的な生産プロセスは開発されていな いこと,が依然課題であった.そこで本論文では,関連 酵素活性測定による代謝機構の解明,および酢酸利用に よる高効率ABE生産プロセスの構築を目指した. グルコース(G)のみ,およびグルコース+酢酸(GA) でそれぞれ培養したN1-4株の5つの代謝酵素活性を酸 生成期,およびソルベント生成期で測定し,GとGAを 比較した(図1).その結果,酢酸添加により,ソルベン ト生成期の開始が早まること,および,CoA-T経路に よる酢酸消費経路とブタノール・アセトン生成経路の代 謝酵素活性の上昇によるABE生産促進機構を酵素活性 レベルで明らかにした. また,酢酸添加によるABE生産促進はソルベント生 成期の初期のみならず酸生成期でも有効であることを確 認した.さらに,高濃度酢酸による発酵阻害を回避する ために,種々の流加培養法を検討した結果,pHを指標 に共基質をフィードするpH-stat流加培養によって最大 のABE生産(ブタノール濃度,約15 g/L;ABE濃度, 約24 g/L;酢酸/グルコース消費比,0.09 C-mol/C-mol) を達成し,既報の酢酸からのABE生産プロセスを凌駕 した. 本 論 文 で は, 酵 素 工 学・ 発 酵 工 学 研 究 を 展 開 し, N1-4株の酢酸添加によるABE生産の促進機構を解明す るとともに,酢酸を基質とした世界最高の高効率ABE 生産プロセスの構築に成功した. 1) 田代幸寛:生物工学,93, 130 (2015). 2) 園元謙二:生物工学,95, 2 (2017).

3) Tashiro, Y. et al.: J. Biosci. Bioeng., 98, 263 (2004). 4) Yoshida, M. et al.: J.Biosci. Bioeng., 114, 526 (2012). 5) Gao, M. et al.: RSC Adv., 5, 8486 (2015).

High acetone-butanol-ethanol production

in pH-stat co-feeding of acetate and glucose

酢酸とグルコースを用いた

pH-stat

流加培養による

高効率アセトン−ブタノール−エタノール生産

(JBB, Vol. 122, No. 2, 176–182, 2016)

Ming Gao

1,2

・田代 幸寛

1

Qunhui Wang

2

・酒井 謙二

1

・園元 謙二

1

*

図1.サルベージ合成能を利用した酢酸からのブタノール・ア セトン変換経路および関連酵素活性の変化

図 1 .サルベージ合成能を利用した酢酸からのブタノール・ア セトン変換経路および関連酵素活性の変化

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