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一人会社と英法系会社法における規制 (一) ーーイギリス法およびオーストラリア法の立場--

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91ーーイ奈良法学会雑誌』第10巻3・4号 (1998年3月)

^

をム 両問 説 〉

人会社と英法系会社法における規制

││イギリス法およびオーストラリア法の立場

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一はじめに 二イギリス会社法による一人会社の容認 (一)一九九二年会社法規則制定前のイギリス会社法の立場 (二)一九九二年の一人私会社に関する会社法規則の制定 三現行イギリス会社法における一人会社の規制 (一)一人私会社の設立 (二)一人私会社の組織・運営(以上、本号) 四現行オーストラリア会妊法における一人会社の規制 五両法制の比較検討とその示唆

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第10巻3・4号一-92

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平成二年の商法・有限会社法の改正によって、わが国においても株式会社・有限会社について会社設立に際しての 発起人や社員の員数の下限の制限(改正前商一六五条、有六九条一一項五号参照)が廃止され、 一人会社の設立・存続 が認められることになった。しかし 一人会社をめぐる法律関係の特殊性は必ずしも明確でない。それにもかかわら ず、商法上はなんらの手当てもなされていないので、判例は、各種事案において、会社の対外的関係では一般の会社 と区別しないが、内部関係については法定の手続・要件を弾力的に解釈し運用することで対応するという傾向を示し ( 1 ) て い る 。 これに対し、従来から発起人に相当する会社設立者(即日号宮

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こを一人で足りるとする州会社法が多数存在する アメリカは別として、最近では

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諸国においても一人会社の設立を認める立法例が続いている。例えば、ドイツで は一九八

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年の有限会社法の改正により、またフランスでは一九八五年の法律八五│六九七号によって、 それぞれ有 限会社について一人会社の設立が認められた。 ついでベルギーにおいても一九八七年七月一四日の法律により、同じ く有限会社につき一人会社の設立が認められたほか、

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の一人有限会社に関する会社法調和のための第一二号指令 一九九二年には有限会社形態をもたないイギリスにおいても、株式会社の特別形態とも ( 2 ) いうべき私会社(胃守山芯

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匂田口三について一人私会社の設立を認める会社法規則が制定された。その後、ドイツで (一九八九年)に対応して も小規模株式会社に限って一人会社の設立を認める一九九四年の小規模株式会社法

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四年に制定されたフランスの簡易株式制会社

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制度についても実質的な完全子 ( 5 ) 一人簡易株式制会社容認の要望が強いとされている。 会社としての利用が多く、 このような近時の各国会社法における立法動向は 一人会社の容認の当否をめぐる論議は残るにせよ ともかく 人会社が株式会社・有限会社法制において明確な法的地位を確立したことを物語っている。したがって、これら立法 の検討を通じて、 一人会社に要求されるべき最低限の法規制とはどのようなものであるべきか、その基本的特色が把 握されるであろう。 本稿では、このような観点から、これまでわが国で殆ど紹介されていないイギリス法と、 一九九五年の第一次会社 法 簡 素 化 法 ( 任 命 回 以 司 鬼 門 O

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回目立は向。巳宮口﹀♀)によって同じく私会社に一人会社を認めるに至ったオ

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93一一一人会社と英法系会社法における規制(ー) ストラリア法の規制内容を紹介したうえ、両法制の比較検討を通じて、 一人会社の法規制のあり方について示唆を得 ることができればと考えている。 ( 1 ) 拙稿﹁一人会社の法律関係 {│a 判 例 に み る 問 題 点 と 規 制 の 論 理 ﹂ 判 例 タ イ ム ズ 九 一 七 号 一 九 五 頁 以 下 参 照 。 ( 2 ) こ の 問 題 を め ぐ る 近 時 の 各 国 法 の 詳 細 に つ い て は 、 。

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フ ラ ン ス に お け る そ の 展 開 ﹂ 早 稲 田 法 学六五巻三号一頁以下、大和正史﹁一人有限会社に関する貝 U 会 社 法 第 一 二 号 指 令 ﹂ 法 政 理 論 二 四 巻 四 号 二 O 四 頁 以 下 、 同 ﹁ 一 人有限会社をめぐる開。法とドイツ法の対立﹂関西大学法学論集四三巻一・二合併号七一五頁以下、荒木和夫・ドイツ有限会 社法解説(一九九六年、商事法務研究会)一五、五六、五七、二五四頁、丸山秀平﹁一人有限会社の特分の譲渡と定穀による 譲渡制限﹂丸山秀平編者ドイツ企業法判例の展開(一九九六年、中央大学出版部)一七四頁以下、山下典孝﹁一人会社の株 主総会に関する若干の考察合乙﹂法学新報一 O 一 巻 一 ・ 一 一 号 一 一 三 頁 以 下 参 照 。 ( 3 ) 丸山秀平﹁一九九四年株式法改正法﹂丸山秀平編著ドイツ企業法判例の展開(一九九六年、中央大学出版部) 一 頁 以 下 参

(4)

第10巻3・4号一ー-94 万 円 H一 日 。 ( 4 ) スペイン法については、黒田清彦・新スペイン株式会社法の研究(一九九七年、中央経済社)七一頁以下参照。 ( 5 ) この制度の利用の実態については、井上治行﹁フランスにおける簡易株式制会社法の成立と展開﹂早稲田法学七三巻一号一 一 七 │ 一 二 O 頁。なお、この制度の紹介として、鳥山恭一﹁フランスの略式株式会社制度﹂比較法学(早大)二九巻一号一四 三 頁 以 下 参 照 。 イ ギ リ ス 会 社 法 に よ る 一 人 会 社 の 容 認 ( ) 一九九二年会社法規則制定前のイギリス会社法の立場 イギリスの近代的株式会社は、産業革命期に族生した法人格なき会社

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口 三 よ り 発 展 し た も のであり、これらの多数の会社がイギリスにおいてはじめて準則主義を採用した一八四四年のいわゆる登記法己三三 ∞ 件 。 門 町 打 。

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によって全社員の有限責任の特 ( 6 ) 一般的企業形態としての株式会社が成立したことが知られている。しかも、これら法人格なき 血(を獲得したことで 会社の多くは、法律上は宮﹃

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として扱われ組合法理によって規律されてきたため、一般会社法制定後も、会社 法上の制度および諸規定に組合法理に基礎を置くものが多く残ることになった。したがって、株式会社についてすら 今 な お 厳 密 に は 本 来 的 な い し 純 粋 の 法 人 公

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片 山 C ロ ) ではなく、株主の契約的結合に法人 で 的 あ 特 る 性 と な さ い れ し て 属 い 性 る?が。)付 与 さ れ た 存 在 で あ り その本質は契約上の所産とみらるべきものにすぎないと解するのが一般 このような本質観に立つ法制のもとでは、会社は当然複数人の結合体とみられることになる。その結果、株式会社

(5)

を設立する場合には、法定数以上のわが国の発起人に相当する基本定款署名者(由吾氏巴

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条 ・ 二 二 条 ) 。 株 式 会 社 の 基 本 定 款 署 名 者 に は 、 一 株 以 上 の 株 式 引受が要求されているので(同法二条五項 b 号)、会社成立後はそのまま株主たる地佐を取得する。その法定数は、 九 八

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年の改正までは、公募会社

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については七人以上、私会社(司ユ

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℃ 自 可 ) に つ い て は 二人以上とされていた ( 一 九 四 八 年 総 括 法 一 条 一 項 ) 。 95一一一人会社と英法系会社法における規制(ー) しかも、この員数の要件は、会社を契約的結合とみることから、会社の成立後もきわめて厳格に適用されてきた。 すなわち、成立後の公募会社・私会社のいずれについても、社員が法定の最低員数以下となった場合に、これを補充 せずに会社が六カ月以上営業を継続するときは、 その事実を知っていた残存社員は六カ月経過後に会社の負担するす べての債務について各自無限責任(会社との連帯責任)を負わなければならないものとされた(同法三一条)。私会社 についての要件である二人の社員の存在を欠くときは、確かに上述の契約的結合の実質を失ったことは明白であるが、 公募会社について社員が七人未満となった場合にまで、この責任規定の適用を認めるのはどのような理由によるので ( 8 ) あろうか。法の要求に合致するだけの実質的基礎に欠ける場合とみたためであろうとする指摘があるが、おそらくそ のような理解によらざるをえないのであろう。 いずれにせよ、この規定が適用されるときは、これらの会社の法人性 は 否 定 さ れ 、 その実体に相応する処遇が残存社員に課されることになる。さらに、社員が法定数を下回ったという事 実は、裁判所による会社の解散命令の事由となり(同法二二二条

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号)、また株主の申立てによる解散判決の事由とも

(6)

第10巻3・4号一一一96 された(同法二二四条一一項)。そして、この一連の規制は、イギリス法のみでなく、この法系に属する他の諸国の会社 ( 9 ) 法にもひろく継受されている。 ( 叩 ) ただ、イギリスにおいても当初から公募会社として会社を設立することは稀であるとされている。その場合は、 R元 述の設立手続のみでなく開業要件をも充足し、会社登記官による開業証明書(可白色ロ

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の発行まで営業を 開始できないので、設立の段階ではその要件が課されない私会社として会社を設立しておき、 その後必要があれば公 募会社に組織変更するのが常態化したからである。したがって、基本定款署名者の法定数に差異を設ける実益が失わ れ た こ と か ら 、 一 九 八

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年の改正において公募会社・私会社のいずれについても二人で足りるものとされた ( 一 九 八 五年総括法一条一一項)。その意味では、この改正を通じて、上記の一連の規制は、すべての会社を本来の契約的結合と する規制に純化された形で、 現行法である一九八五年会社総括法においても受け継がれている(同法二四条、 五一七 条一項

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号 、 五一九条二項

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号 ) 。 このような現行法の状況に大きな変化をもたらしたのが、私会社である株式会社(℃江︿白

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に一人会社を許容した一九九二年の会社法規則の制定である。 ( ) 一九九一一年の一人私会社に関する会社法規則の制定 この規則の制定は、

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の一人有限会社に関する第一二号指令を契機としている。

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に加盟する大陸法系の他の 主要国と異なり、有限会社形態をもたないイギリスは 一連の会社法調和の指令の適用に関して、私会社を有限会社 と同様に処遇することを求めてきた。しかし 一 九 八

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年の改正がなされるまでの私会社は実質的に株式会社の特別 形態というべきものであったから、当時の E C 当局は、これら各種指令の適用において、イギリス法上の私会社を上

(7)

場されていない株式会社として位置づけてきた。これに対し、イギリスが私会社について有限会社並みのより有利な 処遇を求め続けたことから、特に

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指令との関係で従前の私会社概念では不適当とされたこともあって、 年法は根本的に公募会社・私会社の再定義を行い、後者を有限会社に相当するものとする立法措置を講じることにな ( 日 ) ( ロ ) った。すなわち、同法は、従前の私会社の概念を明確にし、私会社以外の会社を公募会社とする定義の仕方を逆転さ 一 九 八

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せ、まず公募会社について積極的に定義し、 それ以外の会社を私会社とする方式に改めた。 それによると、公募会社とは、

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基本定款に会社が公募会社である旨を定め、 かつ公募会社として登記されるこ と ( 一 九 八 五 年 総 括 法 一 条 三 項 ) 、 ( 日 H ) その商号の末尾に公募会社の表示守口

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ロ可またはその略語で ある立の・)を付すること(同法二五条一一項、二七条四項 b 号 ) 、 ( ⋮

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門戸)をなすことで足り、また最低資本金の定めが ない。この改正の結果、 それまで私会社の要件を定めていた一九四八年総括法二八条は廃止され、私会社制度も、公 募会社である株式会社を除く、株式会社以外の他の種類の会社を含むはるかに広いものとなり、これらに認められる ( 日 ) 適用免除ないし特則にも大きな変化を生ずることになった。さらに、この立法措置との関連で、大陸法上の有限会社 に認められる計算関係の非公開の原則と法定監査免除との調整も必要となり、株式会社と有限会社の年次計算書類に 一九八一年に会社法の改正がなされ ついて別個の規制を定める

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第四指令を履行するため それらを総括した現 行法である一九八五年法は、会社を大会社(宮門

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℃山口可)に区分して、それぞれの開示要件に差異を設けるにいたった。企業実体的に私会社と重なるのは、

(8)

第10巻3・4号一-98 (日比) 通常はこのうちの小会社と中会社ということになる。 このようなイギリス法の立法措置を反映して、前記の一九八九年の一人有限会社に関する

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第 一 二 号 指 令 は 、 そ の適用の対象となる加盟国の会社の種類にイギリスの私会社たる株式会社および保証有限責任会社を加えることにな った(同指令一条)。これを受けてイギリスにおいても 一九九二年に既述の一人私会社に関する会社法規則(任。 ( U 。

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指令を履行するための省令の制定であり、 それにより会社 立法をまつまでもなく一九八五年法の変更がもたらされる。 もっとも、この規則の一人私会社に関する規定自体は、きわめて僅少であり実質的にニカ条が置かれているにすぎ ご 、 司 0 4 h d し まず、第一条は規則の趣旨にとどまるが、 その第二条において、 一九八五年法第一条に定める私会社たる株式会社 または保証有限責任会社は、これを一人で設立し 一人の社員で足りる旨と、私会社たる株式会社または保証有限責 任会社に適用される制定法の規定または法原則は、反対の明文の規定がないかぎり、二人以上で設立され、二人以上 の社員を有する会社に適用されると同様に 一人で設立され 一人の社員を有するにすぎない会社にも必要な修正を 加えて適用されることを定める。 つ い で 、 その第三条は、経過規定として、本規則の施行前に、 一九八五年の会社法第二四条(社員が一人となった こと)によって、会社の債務の支払につき責を負う者は、本規則の発効の日にまたはその日以後に締結された会社の 債務の支払については衰を負うことがない旨を定めている。 この規則にもとづいて一九八五年法の文言も修正され、 現在では第二四条自体に、同条は私会社たる株式会社また

(9)

は保証有限責任会社には適用されない旨が定められた。また、これらの会社は、社員が二人未満となった場合でも、 裁判所による会社解散の対象とならないとの修正規定が置かれた (一九八六年債務超過法一一三条一項

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号 ) 。 問題は、二人以上の社員で設立された通常の私会社に適用される会社法その他の法律の規定や法原則が、 必要に応 じてどのように修正されるかである。もっとも、イギリス法は従来からきわめて弾力性・柔軟性に富んでいることも あって 一般的には従来の規定等の合理的運用で賄われるが、特に明確化する必要がある事項については、本規則の 付則

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岡 山 高 巳 丘 町 ODN) として、若干の事項に関して最小限の規定を設けて、 ( 日 ) および一九八六年の債務超過法

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可﹀巳)に修正を施している。以下、この規則の規制を中心に、イギリス法 一九八五年会社法 における一人会社の設立・運営に関する規制を概観してみることにしよう。 99一一一人会社と英法系会社法における規制(ー) ( 6 ) この経緯の詳細については、星川長七・英国会社法序説(一九六 O 年、勤草書房)二五三│二七三頁、大隅健一郎・新版株 式 会 社 法 変 遷 論 ( 一 九 八 七 年 、 有 斐 閣 ) 七 七 1 八 四 頁 参 照 。 の O 耳

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イギリス法とアメリカ法﹂星川長七先生還暦記念・英米会社法の論理と課題(一 九 七 二 年 、 日 本 評 論 社 ) 一 頁 以 下 。 ( 8 ) 酒巻・前掲(注 7 ) 一 一 二 頁 。 ( 9 ) 泉田栄一﹁イギリス法系における一人会社の規制 ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ﹂ 富 山 大 経 済 論 集 二 四 巻 三 号 、 二 五 巻 二 号 、 二 六 巻 三 号 は 、 イギリス法のみならず、他のイギリス法系に属する多くの国の会社法に、これと同一の規制が継受されていることを詳細に紹 介する。ただ、これは、一人会社の存在をいわば否定する規制であり、それを肯定したうえでの特別規制ではないことに注意 す る 必 要 が あ る 。 ( 叩 ) 。 。 者 巾 ア 印 己 ℃ 門 出 田 町 唱 同 } ・

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唱 問 者 -H l ω ・ (ロ)私会社の制度が会社法上登場したのは、一九 O 七年法以来であり、そこで定められた私会社の定義ないし要件は、私会社に 対する立場を根本的に転換した一九八 O 年 の 会 社 法 改 正 ま で 続 く こ と に な る 。 す な わ ち 、 私 会 社 と は 、 そ の 附 属 定 款 を も っ て 、 ( f A ) 株 式 の 譲 渡 を 制 限 し 、 ( U H ) 社員数を二人以上五 O 人 以 下 に 制 限 し 、 か つ ( H m ) 株式または社債の公募を禁止する会社をいう とし、この私会社以外の株式資本を有する会社を公募会社とするというものであった(一九 O 七 年 法 三 七 条 、 こ れ を 引 き 継 い だ 一 九 O 八年会社総括法三二条、一九四八年会社総括法二八条)。 (日)このようなイギリスの私会社制度をめぐる大きな変化と今後の展望については、酒巻﹁イギリス法上の私会社制度の変容﹂ 長 浜 先 生 還 暦 記 念 ・ 現 代 英 米 会 社 法 の 諸 相 ( 一 九 九 六 年 、 成 文 堂 ) 一 頁 以 下 参 照 。 ( M ) 拙稿﹁有限会社法の規制分化│英法系の私会社制度の変革を参考として﹂奈良法学会雑誌九巻三・四号二四七│二四八頁。 ( 日 ) 本 規 則 に つ い て は 、 富 山 口

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H 勾 IHS-現行イギリス会社法における一人会社の規制 (

、・〆 一人私会社の設立 前記の一九九二年の一人私会社に関する会社法規則(以下、本規則という)附則第一条により、 一九八五年総括法 一条に次の規定が追加された(同法一条三項

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。これによると、適法な目的のために結合した二人以上の者は、法人 格ある会社を設立できる旨の一条一項の定めとは別に、適法な目的

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第 一 二号指令二条一項に対応する規定である。 二人以上の者による会社設立の場合には、まず事業目的からみてどのような会社形態が望ましいかという会社の種

(11)

類選択の問題があるが、 一人会社を設立するときは、 その対象は、自ら株式会社または株式資本を有する保証有限責 ( 日 ) 一人会社の場合も同一であり、特別の手続が定められているわけではない。 任会社に限定される。設立手続自体は 既述のように、基本定款および附属定款を作成し、これらの適法に作成された基本定款・附属定款その他所定の書類 (会社の最初の取締役・秘書役の氏名その他必要事項と会社の本底所在地を記載した文書、 取締役・秘書役の就任承 諾 書 、 設立手続の遵守に関する法定宣言書)を、登記手数料を支払って、会社登記官に届け出ることである。登記官 は、これら法定要件の充足を確認すると、会社の設立証明書を発行し、その日付において法人たる会社が成立するこ ( 口 ) とになる(一九八五年法一

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条・二二条)。私会社には、開業要件が適用されないので、 一人私会社も成立後直ちに営 業 を 開 始 し 、 かつ拘束力ある契約を締結し債務負担の権能を行使することができる ( 同 法 一 一 七 条 一 項 ) 。 101-一人会社と英法系会社法における規制(ー) 基本定款の記載事項は、株式会社については ( a ) 会 社 の 名 称 、 ( b ) 会社の本庄所在地、 ( C ) 会 社 の 目 的 、 d ) 社 員の責任が有限であること、 ( e ) 会社が登記することを予定している株式資本の額およぴそれが二足一績の株式に分か た れ る こ と 、 である(同法二条一項・=一項・五項および六項)。ただ、社員が複数の場合は、この記載の最後に、複数 人がその基本定款の定めに従って会社を設立する旨を明示し、各基本定款署名者が一株以上を引受けて署名するいわ 一人会社の場合は基本定款署名者一人による会社設立の意 図の表明と一株以上の株式引受と署名のみがなされる形での最終条項となる。 ゆる社団結成条項(己話回

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で あることに変わりはない。ただ、 その場合でも、会社を社員の契約的結合とするイギリス法では、 取締役の権限はす

(12)

第10巻3・4号 一 一102 その制度内容も専ら定款規定を通じて社員間契約によって規制されることにな ( 閉 山 ) る。したがって、取締役の権限関係も主として附属定款によって定められる。もっとも、その権限は、取締役の全体 べて株主に由来するものとみるので、 ( 任 命 色

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由)に対して与えられたものであり、取締役の全員は会社のために一体として行為しなければならないの で、この権限は、原則として取締役の会議(取締役会)を通じて行使され、 それにもとづく実際の執行行為は取締役 ( 却 ) のなかから任命される業務執行取締役(白山口同

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色話のきこに委ねられることになる。この機関体制は、 一 人 会 社 の 場合でも原則的には変わりない。 ( 1 ) 一人会社における附属定款の機能 基本定款が会社の法人格取得に必要な会社構成の基本的事項を定めるものであるのに対し、附属定款は、会社の組 織・運営などについて規定する内部規制たる業務規定である。その記載事項は直接法定されていないが、 一 般 的 に は 使用文言の解釈、株式資本とそれに付与される権利内容、株式の払込催告、株式の譲渡、株式の没収、資本の変更、 株主総会の開催・運営、株主の議決権、取締役会、取締役の権限と義務、業務執行取締役、 秘書役、社印、配当と準 備金の積立、計算書類、利益の資本化、会計監査、会社の通知等である。会社が登記に際し附属定款の届け出をしな いときは、会社法付表

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、吋与ぽ﹀)に定める模範附属定款が当該会社の附属定款として自動的に適用される仕組み ( 幻 ) となっている(一九八五年法八条)。一九八

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年の改正までは、私会社に関する模範附属定款が別に定められていたが (一九四八年会社総括法付表 A 第一一部)、同年の改正による私会社・公募会社の再定義に伴い廃止された。したがって、 現行法のもとでは、すべての会社に適用される付表 A に私会社向けの修正を施して、附属定款の届け出をするという ( 幻 ) ( お ) のが実務上通例化しているが、一人会社の場合は付表 A を排除した独自の定款作成がむしろ便宜とされている。 一人会社の場合は、もともと株主が一人であるから株主総会の会議の実体を欠いている。それに私会社形態では公

(13)

募会社と異なり取締役は一人でも足りるので(一九八五年法二八二条三項)、会社の実体に応じて必要数の取締役が選 任される。したがって、 ときには一人株主が同時に一人取締役である事例も生じうる。 取締役が一人である場合も、 要するに、一人会社の附属定款の役割は、そのような株主や取締役を会社法の定める正規の、同時に煩墳な手続から解 ( μ ) 放して活動を自由ならしめることにあるとすれば、その活用を考慮することはきわめて重要といわなければならない。 2 株主総会の省略と書面決議による代替 一 人 私 会 社 の 場 合 は 、 その一人株主の氏名・住所とともに株主が一人である旨を株主名簿に記載することを要する (一九八五年法三五二条Al本規則 2 第四条による追加規定)。株主が一人であっても、その一人株主は株主総会を構 成し、総会の決議事項について決定することができるが(同法三七

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条 A │ 本規則 2 第五条による追加規定)、書面決 103一一一一人会社と英法系会社法における規制(ー) 議の方法によるときを除き、その決定の書面による記録(釦巧江口

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を会社に備え置かなければならない(同 法三八二条

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本規則 2 第 六 条 に よ る 追 加 規 定 ) 。 もっとも、現行法上、私会社には、会社運営の弾力化・簡易化をはかる方策の一つとして、会社法が定める五つの 内部要件の一部の適用免除を採択しうる選択肢が認められている(一九八五年法三七九条 A ) 。 す な わ ち 、

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取締役 の株式割当権に対する特則の適用、 ( -H )計算書類を総会に提出し報告することの免除、(⋮ m ) 年次総会の開催免除、 ( -W ) 総会の招集通知期間の短縮または特別決議を認めるための株主持株要件の軽減、 ( V ) 年度ごとの会計監査役(き住吉円) の選任の免除、である。このいずれを選択する場合でも総会に出席し議決権を行使しうる株主の全員一致の合意が要 ( お ) 求される。このうち、 その実体に相応するもの ( 幻 ) であるから、これらを選択し、選択決議 ( o -2 昨 日 ︿ め 括 的 C E t oロとであることを明記しておくことが望ましいとされる。 ( -H ) ( -m ) および ( V ) の適用免除は 一人会社にとっても便宜であり、 さらに私会社については 一九八九年会社法によって追加された一九八五年総括法三一八一条 A 第 一 一 項 が 、 総 会 の 決

(14)

第10巻3・4号 一 一104 議 事 項 ( コ 一

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一二条による取締役の解任またはコ一九一条による会計監査役の解任を除く││一二八一条 A 第七項、附則一 五 A ) に つ い て 、 その決議の日に総会に出席し議決権を行使しうる株主全員によるまたはそのために署名された書面 に よ る 決 議 ( 日 由 。 ] 己 昨 日 。 白 山 口 当 ユ 片 山 口 問 ) に よ っ て も 決 議 で き る こ と を 定 め て い る 。 こ の 決 議 は 、 総 会 の 招 集 通 知 が な さ れ ずかっ総会開催の事実がなくとも有効とされるが(三八一条 A 四項てその書面決議の臼は、その決議につき最後の署 ( お ) 名者によって署名された日である(三八一条 A 一二項)。この書面決議は、通常の決議と同様に議事録に記録されなけれ ばならないが、この手続が、特別決議事項、臨時決議事項、選択的決議事項を有効とするために利用されるときは、 登記されなければならない ( 三 八 二 条 A ) 。

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第一二号指令第四条は、加盟国に一人有限会社の単一社員は社員総会の権限を行使しうるよう定めることを要 求している。これに対し、イギリス会社法のもとでは 一人株主は、付表 A の模範附属定款五三粂のような附属定款 規定にもとづく書面決議の方法で決定することも、また附属定款に書面決議に関する規定がなくとも、総会決議の方 法で決定しその決定に関する書面による記録を会社に備え置くことで有効な決定をすることも、前記の三八一条 A に 定める書面決議の子統を利用することで決定することも可能であり、 その意思決定方法はかなり弾力的である。ただ、 この最後の手続は、取結役や会計監査役の解任等には利用できないが、 そのような決議事項については一人株主の総 ( 却 ) 会決定の方式を利用することで(一二七

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条 A ) 対応すればよいとされている。いずれにせよ、書面決議の方式での決 議は、決議事項によっては登記するためその謄本を会社登記官に送付することを要するので、株主にとってもかえっ ( 初 ) て便宜となる可能性が指摘されている。 ( 3 ) 一人会社における一人取締役の権限 株式会社の経営

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は通常は取締役(己出色

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由)に委ねられる。公募会社の場合には、二人以上の

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取締役の選任が必要であるが、私会社については一人で足りる(一九八五年法二八二条三項)。実際には、附属定款で その員数、選任の方法のほか、会社経営に関する広範な権限が取締役に与えられ、 さらに取締役は業務執行取締役

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吋)を任命してその権限の一部を授権することができる旨が定められる(付表 A 七

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条)。その場 ( 社 ) 合には、取締役がその権限の範囲内で行為するかぎり、株主総会といえどもその決定を覆すことはできないとされる。 ョ -J-、 φ J J J ' 公募会社におけると異なり、私会社の取締役は主要株主であることが多い。したがって、 公募会社にあっては 株主総会による選任が一般的であるが、私会社の場合は 一部の取締役が附属定款の定めをもって終身任命されると か、あるいは業務執行取締役その他の役職にある聞はその地位にとどまるとすることも少なくない(一九八五年法付 ( ロ ) 表 A 八四条参照)。その場合でも、現在では、何時でも総会の通常決議の方法で解任することができる。 105一一一人会社と英法系会社i去における規制(ー) 一人会社に複数の取締役が存在するときは、 取締役による決定はすべて取締役の会議

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口 氏 。 ロ ) に よ っ て な さ れなければならない。この取締役会の運営および書面決議の署名に関する要件は、 一般には附属定款によって定めら れる。取締役会の議事については議事録が作成され保管されなければならないが、全員一致の書面決議は議事録と同 一の効力をもつものとして扱われる。しかし、 一人株主が同時に一人取締役となって自ら会社経営に ( お ) 携わる事例が少なくない。しかも、会社はすべて会社秘書役

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時三を任命しなければならないが、 一人会社では 人取締役は秘書役を兼ねることはできない(一九八五年法二八三条二項てその結果、会社所有者は、その者が一人取 締役であるときは、他の者を秘書役に任命するか、他の者を第二の取締役とし自らは秘書役を兼務することが行われ る それはともかく取締役が一人のときは、 その者が業務執行取締役の地位をも占めるので、会社経営に関する全権が

(16)

第10巻 3・4号一一 106 その者の手に集中することになる。そのような場合の附属定款には、﹁唯一人の取締役がその地住にあるときは、その 者は附属定款により明文をもって一般的に取締役

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出)に付与される権限およぴ裁量権のすべてを行使する ( 川 品 ) 権限を有するものとする﹂という趣旨の規定が予定されている。このように会社経営の全権を一人で掌握する取締役 を、実務界では支配取結役(問。︿

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吋 ) と 呼 ん で い る 。 一人株主が同時に一人取締役であるときは、当然支配取締役となるが、取締役の義務や行為規制、開示規制はその 者にも原則的に適用される。これに対し 一人株主が正規の取締役

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包 括 の き 司 ) で も 事 実 上 の 取 締 役 ( 骨 片 山 ♀ 。 門 日 目 黒 山 見 C H ・ ) でもないときは、取締役会ないし取締役が株主に対し高度の独立性宮玄関宮骨肉

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を有す ることが証明されないかぎり、その一人株主は影の取締役(各包 0 4 門 出 目 立 。 門 ) と し て 扱 わ れ 、 取 締 役 と 同 一 の 責 任 を 問われる危険性がある。ここで影の取締役とは、取締役がその者の指示に従って行為するのが常態である者をいう(一 ( お ) 九八五年法七四一条二項)。この認定は事実問題とされる。ともかくこの認定がなされると、一人株主の意思決定とそ れにもとづく行為に伴う責任とが連結することになる。 4 会社と取締役である一人株主との間の契約 取締役は会社に対し信認的法律関係における受信者義務(同

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弓巳丘三を負う。したがって、取締役は会社の利 益において誠実にその権限を行使しなければならない。その結果、 その権限を適正な目的のために行使し、 その地位 を利用して個人的利得を図つてはならず、 取締役としての資格において得た情報や会社に関係する情報をすべて開示 する義務を負う。このような一般的義務から普通法上多くの特別の原則が導かれるほか、制定法上の規制の適用を受 ( 初 ) けることになる。しかし、これらはいずれも取締役と会社聞の特殊な関係を規律するものであるから、株主が会社と 契約を締結する場合にまで適用されるものではない。それでも一人会社の場合は、会社と株主聞の利害は実質的に一

(17)

体化する。しかも、 その一人株主が取締役の地住を兼ねるときは、取締役の権限は一人株主の利益のみを考慮して行 使され、会社との法律関係が不明確となるおそれがある。 そこで、本規則 2 第三条によって追加された一九八五年法一二二二条 B 第一項によると、 一人私会社がその会社の取 締役となっている一人株主と契約を締結する場合であって、 その契約が会社事業の通常の過程外のものであるときは、 会 社 は 、 その契約が書面に作成されていないかぎり、その契約の条件が覚書に記載されるか、またはその契約の締結 に続く最初の取締役会の議事録に記録されるよう取り計らわなければならないとされる。この場合、影の取締役であ る一人株主も取締役として扱われる(同条三項)。本条が遵守されなかった場合には、それを怠った会社および役員の すべては罰金の制裁を受けるが、当該契約の効力は妨げられない(同条四項・六項)。もっとも、同条の適用において、 107一一一人会社と英法系会社法における規制(ー) 従属会社の取締役がその会社の指示に従って行為するのを常態としていたという理由のみでは、 その会社はその従属 会社の影の取締役としては扱われない旨の修正規定がある(同法七四一条三項)。なお、同条は、会社とその取締役間 の契約に適用されるその他の制定法(例えば 一九八五年法三一七条)または法原則の効力を妨げることはないとさ れ る (同法三二二条

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五 項 ) 。 ( 日 山 ) 宅 百 戸 白 石

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こ の 一 連 の 子 続 に つ い て は 、 拙 稿 ﹁ 会 社 設 立 と 事 業 用 資 産 の 取 得

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英米法の立場とその示唆﹂長浜先生還暦記念・現代英米 会 社 法 の 諸 相 ( 一 九 九 六 年 、 成 文 堂 ) 一 二 九 頁 。 宅 百 戸 印 ロ ℃

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ミ ( ﹀ 旧 河 口 色 町 ﹀ ) ( 川 口 ) 附 属 定 款 が 定 め ら れ る と 、 そ の 規 制 は 会 社 と 社 員 聞 の 契 約 で あ り 、 ま た 同 時 に 杜 員 間 相 互 の 契 約 関 係 と な り 、 自 動 的 に 社 員 を 拘 束 す る こ と に な る と 解 さ れ て い る ( 沼 恒 可

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第10巻 3・4号 一 一108 (初)酒巻・前掲(注 7 ) 二 三 頁 。 (幻)拙稿・前掲(注口)二二 O 真 。 (幻)一九八 O 年法による私会社に関する模範附属定款の廃止は遡及しないものとされたので(同法八八条四項)、既存の私会社は 定款の変更をしないかぎり従前の附属定款規定の適用を受け続けるという実態は変わらない。また、新設会社の場合にも、こ れらの既存会社の附属定款規定を参考とする実務が多く行われることも充分予測できる。日 ν 司 巾 ロ 片 山 門 戸 田 口 匂

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・ 七 ・ 臼 (お)本規則 2 第五条によって追加された一九八五年法の第三七 O 条 A は、一人私会社の場合には、その一人の社員が自らまたは 代理人を通じて出席することで、社員総会の定足数を構成する旨を定める(司 C H 除∞。者

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印 ) 噸 匂 い き ・ ) 。 (Mm) この合意は、会日の二一臼前にその旨の書面による通知がなされた総会において、議決権を有する全株主の合意でなされな ければならないとされていたが、一九九六年の規則により二一日中別の通知の要件は、全株主の合意によって放棄される旨の規 定 が 追 加 さ れ 竺 一 一 七 九 条 一 一 項 A ) 、一人会社に適用されることが明確にされた。冨白 3 0 p p g 円 げ 伶 何 百 戸 田 口 買 同 ・ 口 糧 ℃ ℃ ・ ω忍 i ω ∞C 一

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(19)

に関する適正な議事録を作成するほか、取締役会の指示にもとづいて、株主その他に対する会社の通知を送付し、株券の作成、 株主名簿等の帳簿の保管のほか、会社登記官に提出される、年次報告書、株式割当報告書、資本増加の通知等の必要書類の作 成を行うものとされている

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