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米 国 に お け る 会 社 の 他 社 株 式 所 有 の 合 法 化

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(1)

米 国 に お け る 会 社 の 他 社 株 式 所 有 の 合 法 化

11 

(2)

言うまでもなく︑現代資本主義国において株式は最重要な財産の︱つである︒その所有がいかにあるべきかという

問題は全国民的な課題であろう︒ことに︑会社の他社株式所有は企業結合の最も重要な手段であり︑これによる経済

カの集中は︑独占ないし寡占を生み出し︑市場経済制度を破壊する段階にまで至っている︒現代資本主義が経済制度

として自由市場を前提とするものである限り︑株式所有による企業結合は既に早くから自由に放任できないものとな

っている︒もちろん︑自由市場経済制度の体制としての健全さの維持確保は直接的には経済法ないし独占禁止法の課

その中での経済単位である企業の組織・活動を規制対象とする商法にとって題であるが︑市場経済制度を前提とし︑

も無視しえない問題である︒

米国は市場経済制度の最も発達している国であり︑世界経済の最重要な中心国の︱つである︒米国における会社の

株式所有規制を明らかにすることは︑日本においてこの問題を考える際に有益な示唆になりうると思われる︒いずれ

米国における会社の株式所有規制全般を明らかにしたいと思う︒そのためのまず第一歩として本稿では会社の他社株

式所有が一般的に合法化されるまでの米国法の歴史を明らかにすることを試みる︒

現在︑世界の資本主義諸国において︑株式会社の他社株式所有は一般的にありふれている︒このことから分かるよ

うに会社がその性質上他社株式を所有できないということはない︒大陸法体系の下では︑会社は常に本来的に

( i

1 e r

(4 ) 

e n t )

他社株式を取得し所有する権限を有すると考えられてきた︒銀行のみならず商工業会社もこの権限を行使した︒

これに対して英米両国では会社の他社株式所有のもたらす問題が早くから気付かれており︑ことに米国では法律上問

(3)

その際の主たる問題点は次の点にある︒ の一般的な廃棄について述べる︒

ぷ ノ が必要であると思われる︒ を 認め た︒

一方では次のような主張がなされている︒一般会社法によって他の会社の

つづいて

英国初期の会社法によれば︑会社は他の会社のメンバーになることができず︑したがって他の会社の持分を所有で

(5 ) 

きなかった︒しかし後に述べるように︑英国では一八六七年の判決が会社に定款規定による他社株式所有権限の取得

(6 ) 

米国では会社の他社株式購入はウルトラ・ヴァイレスであるというのがかって一般原則であった︒米国では現在で

も競争政策上の観点とは別に︑会社の他社株式所有は様々な規制を受けている︒また米国においても相互的な株式所

(8 ) 

有の規制が見られる︒これらの法規制を理解するためにも米国における会社の他社株式所有合法化の歴史を知ること

株式相互所有は我国大企業の所有と支配構造の顕著な特徴である︒相互的な株式所有は両当事会社が互いに相手方

の株式を一方的に所有することによって惹起されており︑いわば︑一方的な株式所有の交差にすぎない︒我国におい

て株式相互所有の規制を考える際には︑米国における会社の他社株式所有合法化の歴史を参照することは有益であろ 題とされることが多かった︒

これを次のよう本稿は米国において会社の他社株式所有が一般的に合法化されるまでの歴史を扱うものであるが︑

な順序で述べる︒まず米国法の母法である英国法における会社の他社株式所有権限について簡単に触れる︒

米国コモン・ロー上の一般原則とその根拠について述べる︒次に特別法による一般原則の個別的廃棄について述べ︑

さらに各種業法による特定業種に従事する会社に限っての一般原則の廃棄を扱い︑おわりに一般会社法による一般原則

四四

(4)

英 国 法

( 1 0 )  

株式の買い入れを明文で認めた最初の州はニュージャージイであり︑

よって︑全アメリカ合衆国のそれまでの株式会社政策を無に帰せしめ︑競争維持の手段としてのウルトラ・ヴァイレ

( 1 1 )  

ス・ルールを無効化した︑またはウルトラ・ヴァイレス・ルールをその本質的部分において形骸化したものは取引社

( 1 2 )  

会の高度化ではなく︑産業後進州による歳入政策であった︒他方次のような主張もなされている︒ニュージャージイ 州は事業会社に他の事業会社の株式所有を認めた最初の州ではなく︑この活動の認可においてニューヨーク州が先行

( 1 3 )  

していた︑えこひいきなしにすべての会社に他社株式所有の特権を認可するニュージャージイ立法は米国における会 社成長時代の自然なクライマックスであり︑驚くべきことはこの認可がなされたという事実にあるのではなく︑認可

( 1 4 )  

が遅すぎたことである︒この双方の主張は二点において対立している︒まず第一点は︑ニュージャージイ州が会社の

化を

︑ 他社株式所有を一般的に合法化した最初の州である︑と見るか否かである︒取引社会の高度化は資本主義経済の高度

したがってそれは同時に資本主義経済の主要な担い手である会社の高度の成長を意味するものと思われる︒と

帰結

︑ すれば︑前記双方の主張の対立する第二点は︑会社の他社株式所有の一般的な合法化を資本主義経済高度化の自然な

と見るか否かにあると思われる︒このいずれの見解をとるかは︑我国独占禁止法制定当時の第一〇条およびそ

の後のこれに関する法規制の変遷をどう評価するかにも関連してくると思われる︒

四五

英国法は米国法の母法であり︑英国法と米国法は大陸法に対して英米法として一括されることが多い︒米国法を見

ニュージャージイは一八九

0

年の株式法改正に

(5)

る前にまず英国法を見てみよう︒英国では︑初期の会社法によれば︑会社は他の会社の社員となることができず︑し

( 1 5 )

1 6 )  

たがって会社は他の会社の株式を所有できなかった︒その理由としては︑ウルトラ・ヴァイレス・ルールに共通する

厄介な義務を伴うゆえ︑不適当である︑

一七

0

年以前の数例のチャーターにおいては国王に対して

もののほか︑次のようなことがあげられると思われる︒

( 1 7 )  

忠誠の誓いをなすことが社員資格の前提要件であった︒そこで一七二

0

年に

S e r g e n t P e n g e l l

は︑譲受人がチャータy

ーによって社員資格のための要件とされていた誓いをなすことのできない場合に

e l s h C o p p e r   Co np an y株式の譲 渡の合法性を強く疑い︑国王に対する忠誠の誓いがなされるまで︑その株式は購入者の利益のため売手に信託される

( 1 8 )  

と考えた︒だが誓いをなすことに対する古代の情熱の再燃を経験した年代の次の世代にとっては︑この種のチャータ

( 1 9 )  

ー規定の厄介さが明白となり︑これらはしだいに廃棄された︒一八世紀の総裁

( g o v e r n o r s

) や取締役にとって新株主

( 2 0 )  

に宣告させるため時間を費やすことはうんざりすることであっ 一八世紀において︑不動産は原則として会社によって直接に所有されたが︑会社が投資目的のため他社の株式を所 有する場合︑自ら直接に所有するよりは受託者を利用することが多かった︒たとえばイングランド銀行は他社株式の

( 2 1 )  

投資所有において常に受託者方策を利用した︒そのカウンシル︑

Jo hn S c o t

t は一七九四年にこの慣行を論じて︑その

根拠を︑法人

( C o r p o r a t e b o d y ) として株式所有者になることは︑株式所有者が他の株主に対して負わねばならない

と銀行が考えていたことに求めている︒

託者方策が利用された︒さらに︑投資の直接所有は代理人の任命や株式の移転と受入れに特定の手続を伴うゆえに︑

( 2 3 )  

受託者方策がわずらわしさにおいてずっと少ないということも主張されていた︒

G r e a t   N o r t h e r n  

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C o .  

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E a s t e r n   C o u n t i e s  

R .  

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21   L . J . ( c   h . )  

840 

(1 85 1)  

一八世紀においては可能なかぎり受

において︑ある会社が他の会社を支 配する目的でその株式の購入を望んだ︒裁判所は次のように述べた︒それは公益に関して裁量権を行使する議会によ

四六

(6)

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C o

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より

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に移転され︑同社

が株主として株主名簿に登録された︒移転から登録までの間に

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  の解散命令が出され︑

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控訴裁判所

四七

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の解散命令が出された︒n

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d の受託者であり︑

M r

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その判 その後に続いた諸事件において︑

それ

な株 式を

おそらく所有はできないが︑

( 2 5 )  

は破棄された︒

受け取ることはできる︒

彼らの訴に対する法律効果不発生答弁

授権されていないので請求できない︑

( 2 4 )  

る以外には合法的になされないところのものを︑議会の介入なしに行おうとする試みである︒

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32 

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382 

(1 86 3)  

次のとおりであった︒

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は議会の法律によって

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y の 株式 一七

の所有を授権されており︑これらを名義人の手においていた︒

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が拡大される場合には︑株が追y

加して原始株主に提供されると規定されていた︒拡大がなされ︑新株が発行された︒

G r

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がこれy

らのうち自己の部分を請求した︒

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によ って

決の内容をやや詳しく次に紹介しよう︒

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の設 立に 際し

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y はこれらを受け取ることを

と決定された︒しかし上訴審において次のように判決された︒彼らはそのよう

それ ゆえ

( 2 6 )  

黙示的に明文の規定なしに︑会社の他社株式所有権限は完全に認められた︒

( 2 7 )  

はまず

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において

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L . J

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によって認められた︒本

件は英国において明文の授権なしに会社の他社株式所有が合法とされた初めての事件であると思われるので︑

三六七株が

M r

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名義で引受られたが︑

その株式についての手付金および払込金は

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C o

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00

株 において事実は

(7)

ン・ロー上存しない なぜならば法人が取引において他の法人とそのように

に明白なまたは一見したところ障害は存しない︒我々のすべてがよく知っているように︑

引または組合にはいりうる︒私の知るかぎり︑

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ある法人が他の法人の構成員であってはならない︑という理由はコモ 商事会社は個人と一緒に取 らねばならない︒︵株式所有によってー筆者注︶共同すること

りえ ない

ということであった︒さてもしその論拠が有力であるとしても︑ たは英国のあらゆる会社の︑のようなあらゆる証券を販売すること

あらゆる債券︑

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  株式の申し込みおよび引受けにおいて︑

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n は ︑

( 2 8 )  

と私には思われる︒

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の定款によれば︑

文字 通り

︑ であ った

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その論拠は一八六二年議会法の文言に拠 トラ・ヴァイレスでないと仮定した場合でさえも︑なお一八六二年法の下では︑商事会社は他の商事会社の社員とな

第二の論拠は︑

その資金を他の商事会社の株式に投資することがウル っておりかつこの文言の範囲内で行為していた︑ 厳密にこの文言に従

公債

社債

した とこ ろ︑ かし本件の場合︑

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の目 的の 一

つは︑基本定款によって明らかにされているとおり︑"外国ま

手形および株式を購入しあるいは引受けることならびにそ

商事 会社 が︑

他社の株主となり︑その目的のため会社資金を用いることは︑その権限を越えている︒し 用いることはウルトラ・ヴァイレスである︑ということであった︒一般的に言えばこれはそのとおりであろう︒

一 見

た第一の反対は︑

その株式のための支払いに会社資金を 株主としての責任を負うと判決した︒

この判決に対し︑

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の公認清算人

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が上告した︒上告は棄却された︒その理由について︑

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卿は次のように述べた︒﹁上告において命令に対しなされ

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n が他の商事会社の株式を取得し︑

四八

(8)

これを会社の能力の範囲内とする︒次にその旨の定款規定の合法性を問題とするが︑

他の法人の構成員であってはならないという理由は存しないことを根拠として︑制定法による明文の禁止なき限り︑

その旨の定款規定を合法とする︒すなわちこの判決は︑制定法に反しない限り︑会社がその基本定款の授権によって

( 3 0 )  

他社株式を購入し所有できる︑ことを明らかにした︒実務ではほとんどすべての会社がこの効果を持つ条項を基本定

款に挿入している︒なおさらに︑

I n r e i   W l l i a m   T h o m a s  

C o .   (~.

において︑目的条項の解釈による他社株式所有

権限が認められた︒すなわち︑

W a r r i n g t o n

J .  

は︑基本定款の文言の真の解釈

( t r u e c o n s t r u c t i o n )

によれば十分な

授権を見ることのできる場合には︑明文による授権を必要としないという考えを示したうえで︑他社と利益共同

( a

( 3 3 )  

u n i o n   o f   i n t e r e s t s )  

w

なす権限は︑利益共同をなす相手方会社の株式の取得および所有を含むと判断した︒

よ ︑

9

四九

コモン・ロー上ある法人が

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e m b e r   o f   a n o t h e r   c o r p o r a t e  

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) ︒会社に関する議会の他の法律は法人が会社の社員および株主にな

( 2 9 )  

りうることを前提としていると思われる︒﹂︒

この判決は︑他社株式を購入し︑そのため会社資金を用いることが︑まずウルトラ・ヴァイレスであるかどうか︑

を扱う︒そして一般的にはウルトラ・ヴァイレスであることを認める︒だが︑会社の能力の範囲が定款記載の目的に

よって画されることを前提として︑他社株式の購入が目的条項の厳密な解釈によってもその範囲内に含まれるときに

(9)

で ︑

まずこの判例を紹介しよう︒事実の概要は次のとおりである︒

その対価として手形

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  が

マサチュセッツ州において設立された木材製造業

米国のほとんどすべての州において︑

( 3 4 )  

ン・ロー上の一般原則であった︒ かっては︑他社株式の購入はウルトラ・ヴァイレスであるというのが︑

( 3 5 )  

この一般原則によれば︑会社は他社株式を購入する黙示的権限を有しないのであっ

( 3 6 )

3 7 )  

て︑会社の他社株式所有権限はチャーターもしくは制定法による議会の許可を必要とする︒他社株式所有権限を会社 に授権できるのは議会のみであって︑社員は︑たとえ定款

( a r t

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)  

( 3 8 )

3 9 )  

権できない︒なお︑若干の州は制定法によって会社間株式所有を禁止していた︒

Su

mn

er

  v .  

Ma

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( 4 0 )  

米国において会社の他社株式購入の合法性が問題とされた最も古い判例は

Su

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V .  

Ma

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yであると思われるの

を目的とする

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がニューヨーク州にある

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  0の株式を購入

した︒この株式は前者が後者を事実上支配して後者から貸付を得るためになされた︒原告

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yの株主であるが︑彼の反対にもかかわらず︑この株式の購入は同社の株主総会で可決された︒この

株式は

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o の社長である

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yから購入され︑

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この手形は

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の債務に代えてy

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o に渡った︒その後同社が破産し︑ニューヨー

によってでも︑

それを会社に援

(一)

一般原則とその根拠

米国の︳般原則

五〇

コ モ

(10)

B o

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S日

nn

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がその手続の差止命令を求めて衡平法裁判所

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y )

に訴えた︒裁判所は︑原告が個人としてその株式 購入にいかに反対していたとしても︑購入が合法的になされたものであれば︑彼が株主であり続ける以上︑彼は責任

( 4 1 )  

を免れない︑としたうえで︑その株式購入の合法性を問題とする︒これについて裁判所は次のように述べる︒﹁私には

その購入は次のような理由で違法であると思われる︒すなわち︑

は︑製材のためであって︑銀行業のためではない︒チャーターによれば︑その事業は木材を製造し︑販売することで ある︒⁝⁝さて会社はその合法的事業の遂行においてなされた借入に対して責任を負うけれども︑会社設立法を獲得 して銀行業に従事すること︑あるいはそのため既存の組織において他者と結合すること︑かくしてこの方法で借入を 可能とすることが︑その合法的事業を遂行するため︑会社に授権されているとは余りにもこじつけであって考えられ ない︒もし会社が銀行からの貸付を促進するため合法的に銀行業に乗り出すことおよび銀行株を買うことができると すれば︑会社は貨幣の貸主が従事するおよび望まれた借入を促進するように思われるすべての事業に合法的に乗り出 すことができるであろう︒かくして会社は︑もし貸主が木綿製造業者であるならば木綿製造業に従事できるであろう し︑売薬の製造業者であっても︑捕鯨業の冒険家であっても︑同じくそのような事業に従事できるであろう︒そして

この理屈によれば︑木材製造業というチャーターによって会社に与えられたすべての制限と特徴が弱められ︑

( 4 2 )  

目的のための会社設立法が事実上のすべての目的のものに変えられうるであろう︒﹂︒

本件は︑会社が他社株式所有権限を有しないという一般原則を宣言したおそらく最初の判例であるが︑ の破産管理人

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rc

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この原則が

︱つ の

この会社が会社として行為することを授権されたの ク州の裁判所においては

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yの手形金支払責任が認められた︒

によれば︑株主は個人としての資格において会社に対する判決に対して責任を負うので︑

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の株主であるy

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に強制執行をかけた︒そこで マサチュセッツ州法

(11)

会社設立特許主義の下で主として州の設立特許権限を尊重し︑解釈による会社権限の拡大に反対することから形成さ

れたことおよび株主が会社債務に責任を負っていた時代に株主保護機能を有していたこと︑を明らかにしている︒

S

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v .  

Ma

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は︑会社設立特許主義の下で設立され︑法律によって会社目的が特定されていた会社がその設立y

目的とは異なる事業を営んでいる会社の株式を取得した場合についての判決であった︒一般会社法の下で設立され︑

法律によって会社目的が特定されていない会社がその定款目的と同じ事業を営む会社の株式を取得した場合について

( 4 3 )  

の判決として

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.   を見てみよう︒

その事実の概要は次のとおりである︒被上告人

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.  

はイリノイ州の一般会社法の下で設立

された︒その定款第二条第一項に掲げられた目的はガスおよび電気の製造︑販売および分配のため︑シカゴおよびイ

リノイ州のその他の場所において工場を建設し運営することであり︑同条第二項に掲げられた目的はシカゴおよびイ

リノイ州のその他の場所にあるあらゆるガスまたは電力会社の資本株式を購入し︑所有し︑売却することである︒第

二項に掲げられた目的を遂行する被上告人の権限が州法務長官によって争われた︒なお被上告人は四つのガス会社す

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yの盗ェ本株式の過半数を購入し︑訴の当時︑所有

( 4 4 )  

して いた

さて判決の要旨を見てみよう︒判決はまず他のガス会社または電力会社の株式を購入し所有する権限が︑ガスの製

造と販売のため工場を維持し運営するという主目的に付随するものとして︑被上告人によって合法的に行使されうる

か否かを問題とする︒これについて判決は次のように述べる︒﹁付随権限は与えられた特別権限の行使に直接に適切な ③ 

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(12)

目的を遂行するため必要かつ必須の

款が明文によって会社にガスの製造と販売のため工場を維持し運営する権限を与えている場合︑他のガス会社の株式 ( d

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ものであって︑

それとわずかなまたは薄い関係を有するものではない︒定

を購入する権限はそれに必然的に含まれるものではない︒ガス製造と株式購入とに必然的な関係はない︒もしガス会

社の設立された目的がガスを製造し販売することおよびガス工場を運営することであるとすれば︑他のガス会社の株

式の購入はそのような目的を達成するため必要なものでない︒両社が同種事業に従事しているという理由で︑会社は

他社の株式に投資する権利を黙示的に与えられない︒ガス会社が債務の支払に代えてまたはおそらく債務の担保とし

て他社の株式を受け取ることができるというのは本当であるが︑しかしそのような株式を現実に購入することはガス

工場を運営し︑

よう に︑

ガスを製造するという明文によって与えられた権限の行使に直接に適切なものでない︒ガス会社の性

質上それが外部投資のため基金を蓄積することを妥当にするようなものはなにもない︒その剰余利潤は︑株主に属す

るものであり︑彼らに分配された場合には︑彼らによって彼らが適当と思うように用いられることのできるもので

ある︒﹂︒つまり判決は︑他のガス会社株式の購入はガス会社の付随権限でないとし︑その根拠として︑付随権限は明

示された権限の行使に直接に適切なものに限られるのであり︑他のガス会社株式の購入はガスの製造販売という目的

に直接に適切なものでないこと︑および剰余利潤は株主のものであり︑ガス会社の性質上外部投資基金の蓄積を正当

化できないことをあげる︒

第二の問題は他社株式所有権限を合法的な主目的に付随する権限として定款に明記することによって︑会社はそれ

を付随権限として合法的に取得できるかどうかである︒これについて判決は次のように述べる︒﹁かくして先に述べた

その法律︵一般会社法ー筆者注︶の文言はその下で組織された会社の権限を明文によってそれが形成された

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権限に制限している︒我々がすでに見たとおり︑

(13)

ス会社を形成する目的がガスの製造販売業に従事することである場合には︑他社株式の購入はそのような目的を遂行

するため必要なものでない︒それゆえ一般会社法はそのような株式の購入を明文によって授権していないのみならず︑

会社設立の主目的が株式の売買以外の他のものである場合には︑

造と販売という目的のため形成された会社とみなされる限り︑ それを黙示的に禁止している︒⁝⁝本件のこの部分

についての我々の結論は次のとおりである︒

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がガス工場の建設と運営およびガスの製

たとえ他のガス会社の株式を購入し所有し販売する権

限がその設立定款に明記されているとしてさえも︑それはその形成目的に付随するものとしてそのような権限を有し

( 4 6 )  

ない︒﹂︒判決は︑合法的な主目的に付随する権限として定款に明記してもガス会社は他のガス会社株式の購入権限を

合法的に取得できないとする︒判決はその根拠として︑一般会社法がその下で組織された会社の権限を会社形成目的

の遂行のため必要かつ必須の権限に制限しているが︑他のガス会社株式の購入はガスの製造販売という目的を遂行す

第三の問題は被上告人がガスおよび電力の製造販売とは別個独立のものとして他のガスまたは電力会社の株式を購

入し所有する権限を有するか否かである︒イリノイ州の一般会社法によれば︑会社は︑銀行︑保険︑不動産︑仲立︑

鉄道経営および貸金業を除いて︑あらゆる合法目的のため︑その法律に定められた方法で設立されることができる

( 4 7 )  

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2,

§ 

1

)︒他のガスまたは電力会社の株式を購入し所有することは一般会社法の下での合法目的なの

であろうか︒この問題に答えるためには州のパブリック・ポリシイが明らかにされねばならない︒これについて判決

は次のように述べる︒﹁州のパブリック・ポリシイは過去と現在の立法に関する憲法条項によって明らかにされる︒

ガス会社が一八三五年に約五

0

年間ニューオルレアンズにおいてガスを製造販売する排他的特権を与えられていた

そのような排他的特権が一

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252

にお いて

るため必要なものでないことをあげる︒

五四

(14)

八七九年の憲法によって廃棄されたかどうかが問題となった︒その新憲法は既存のすべてのチャーターにおける独占

的特権を廃止する条項を含んでいた︒合衆国最高裁判所は本件において次のように述べた︒﹃その独占条項は︑公共目

的を達成する手段として︑排他的特権を伴うフランチャイズを会社に与えるという︑以前追求されていた政策を取り

消すことをまさに目的とするものである︒﹄︒我々は本州議会によって一八五三年︑

七年

︑ 一八 五九 年︑

一八 六一 年︑ 一八 六五 年︑

一八六七年および一八六九年と︑本州の様々の市町村のガス会社に与

えられた五

0

を超える特別チャーターを見せられた︒その各々が多年にわたって道路にガス管を敷設する排他的特権 を与えるものである︒しかし一八七

0

年憲法が採用されたとき︑

るため︑地域法または特別法を可決すべきでない︑

立されるべきでない⁝⁝︑

る︑と規定された︒

その第四条第二二項において︑議会は︑あらゆる会 社︑団体または個人にたとえどのようなものであれ︑特別なまたは排他的な特権︑免除またはフランチャイズを与え

と規定され︑第︱一条第 しかし議会は以後設立されるすべての会社の組織について一般法によって規定すべきであ 一八

0

年憲法はガス会社に排他的特権を与える古いポリシイを逆転させた︒

のパブリック・ポリシイはあらゆる種類の会社に排他的特権を与えることに反対であった︒一八七二年の一般会社法 は憲法第︱一条第一項の追求において可決された︒排他的特権を与える特別チャーターの禁止と︑それに続いて可決 された一般会社法の下での会社設立の公認は本州の人民があらゆる種類の独占の創設に反対であることを明らかにし た︒しかしもし巨大なトラスト会社がガス会社の株式と財産を購入し所有する権限を与えられ︑それによって獲得さ

それらを︱つの巨大な結合体に統合できるとすれば︑多くのガ

れた支配によってガス会社の経営のすべてを指揮し︑

ス会社が一般会社法の下に形成されることにどんな効用があるのであろうか︒

五五

かくして多数の会社によって行使され ることが意図されていた多くの特権やフランチャイズが専らたった︱つの会社にゆだねられる︒ある種の事業︑こと

一八

0

年後︑州

項において︑会社は特別法によって設

一八 五四 年︑ 一八 五五 年︑ 一八 五

(15)

州のパブリック・ポリシイに反するのみならず︑ に公的性格の事業に従事するすべての会社を支配することを可能とする明らさまな目的のため会社を設立することは

たとえ文字通りにではないとしても憲法の精神にも違反する︒被上

告人への付与を企図された権限の行使が結果として独占を作り出すに違いないということはその権限自体のまさにそ

の性質に起因する︒もし被上告人がシカゴの全ガス会社の全株式を購入し所有する特権を一般会社法の下で合法的に

獲得できるとすれば︑上述のガス会社の全株式を購入し所有する目的のため形成された他のあらゆる会社もそれを合

法的に獲得できるであろう︒その法律の意図は︑多数の会社が望ましいと考える場合には同じ事業に従事するため組

織されることができる︑ことである︒だが今考慮中の事業は二つまたは三つの会社によってはほとんど営まれえない︒

被上告人がシカゴにある四つの会社の株式の過半数を購入してその所有者となった後に︑別の会社が同じ目的をもっ

てすなわちシカゴのガス会社の株式の過半数を購入し所有するため組織されたと想定せよ︒ところでガス会社はシカ

ゴに四つしかないのである︒後で形成された会社がなすべき何かがあるであろうか︒それがその購入のため形成され

た株式は既に一会社によって所有されている︒それゆえ︑

シカゴのあらゆるガス会社の株式を購入し所有する特権を被上告人に与えることは︑その性質上排他的である特権を

被上告人に与えることである︒それは特別な特権︑免除またはフランチャイズを獲得するため一般会社法を利用する

ことである︒それはその法律の掩護の下にかつその法律の機構を通じて︑憲法によって禁止された目的のため特別な

チャーターを獲得することである︒ それはその設立目的を遂行できないであろう︒したがって

一定の種類のすべての他の会社のエネルギーを破壊しそれからその生血を吸い取

( 4 8 )  

ることのできる会社を設立することは合法目的ではない︒﹂︒判決は他のガス会社または電力会社の株式を購入し所有

一般会社法の下での合法目的ではないとする︒その根拠することは州の憲法の精神とパブリック・ポリシイに反し︑

を筆者の解するところに従って要約すれば次のとおりになろう︒

一八

0

年憲法は州のパブリック・ポリシイの変化

五六

(16)

五七

すなわち特定の特権または独占の是認からあらゆる特権または独占に反対へと変った州民の意思を示すものであり︑

排他的特権を与える法律の制定を禁止する︒一八七二年会社法はこの憲法精神を実現するため制定されたものであり︑

その意図は多数の会社が望むならば同じ事業に従事するため組織されることができることにある︒他社株式の購入権

限はその権限自体の性質から必然的に独占を作り出し︑かくして多数の会社によって行使されることが意図されてい

た多くの特権やフランチャイズが専らたった︱つの会社にゆだねられることになる︒これは特権または独占を獲得す

るため一般会社法を利用することであり︑憲法で禁止された目的を実現するため特別なチャーターを獲得することで

一定の種類のすべての会社のエネルギーを破壊しそれらから生血をすいとることのできる会社を設立すること

判旨は他社株式所有を会社の権限外とする一般原則が一般会社法の下で反独占・競争維持機能を有していたことを

明らかにしている︒しかし他社株式所有権限が必然的に独占を結果すると見ることは︑本件のように︑自然独占が成

立しやすく︑同業種会社が僅少である場合はともかく︑必ずしも一般的には妥当しないと思われる︒

最後に判決はジョージア州最高裁判所の判決を引用して次のように述べる︒﹁長期間にわたってそのまま保持し続け

そうな手への大規模な財産の集積は公共の福祉にとって危険である︑ことをすべての経験が示してきた︒永続的に受

け継がれるので︑あらゆる種類の法人はそのような集積のための格別な利器である︒たいていの政府が法人権限の付

一般的善以

与には非常な慎重さを必要とすることを知っていた︒公言しているところによれば︑そしてほぼ本当に︑

外の何物でもない︑宗教法人さえもがこの異議申し立てを免れえないことは証明されていた︒そこで英国ではその不

動産獲得権限を制限しなければならないことがずっと前に気づかれていた︒そのような体だから︑個々人の企画にと

っての確実な限界つまり死を免れているので︑それらは土地に土地を︑力に力を加え︑遂には単一の生命によってそ は合法目的ではない︒ あ

る︒

(17)

( 4 9 )  

の計画が限られている者達から成り立つ社会にとって余りにも強くなりすぎるであろう︒﹂︒法人は死を免れているの

で︑それへの財産の集積には限りがなく︑その財産集積がついには単一の限りある生命を有する個人から成り立つ社

会にとってたえがたいほどの権力を法人に与える︒それゆえ法人への権限付与には極めて慎重であらねばならない︒

会社の他社株式所有を違法または権限外とする判断には法人もしくは会社へのこのような恐怖感が背景となってい

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会社が議会の授権なしには他社株式所有権限を有しない︑ことの理由として︑一般的には︑会社の他社株式所有は

( 5 0 )  

パブリック・ポリシィに反する︑あるいはウルトラ・バイレスである︑と言われる︒さらに具体的には次のような理

( 5 1 )  

由があげられる︒州の最高主権が州の創造物である会社の取得可能な権力によっておびやかされる恐れがある︒ある

目的のため設立認許を与えられた会社が︑もし株式所有の特権を認められるとすれば︑会社はまもなくその設立認許

( 5 2 )  

状の権利とは無関係な事業を行うこととなるだろう︒設立認許状の諸権限を付与するに際して︑州は︑その権限が付

与された会社の代表者を通じてのみ行使されることを意図しているのであって︑他の会社の役員への委任によって行

( 5 3 )  

使されることを意図していない︒会社はその資金を自己の役員によって直接運用しなければならないのであって︑他

( 5 4 )  

の会社の株主となることによって間接的に運用してはならない︒会社は︑他社株式の購入によって︑その資金を他社

( 5 5 )  

の取締役の支配の下に置くこととなり︑自らが支配しない企業の危険を引受けることとなる︒会社は︑他社の株式を

( 5 6 )  

所有することによって他社を支配し︑その犠牲において自社の利益を図ることが可能となる︒会社が他社と同一地域

において同一事業に従事している場合には︑他社の株式を所有することによって他社と結合し︑競争を制限すること

( 5 7 )  

が可能となる︒他社株式の購入は︑それ自体︑購入会社の株主によって予期されていない新しい別の事業への投資で る ︒

一般原則の根拠

五八

(18)

1序

あり

四特別法による授権

( 5 8 )  

その設立目的と相容れない投資である︒会社はそれが設立された目的と関係のない事業に投資することも従事

( 5 9 )  

することもできない︒

一般原則の適用除外

会社は議会の授権のない限り︑他社株式所有権限を有しない︑

五九

とした州の裁判所においても︑会社が債権の支払と

( 6 0 )  

してまたは債権の担保として株式を受け取ることは認められていた︒その理由は次のとおりである︒会社は︑事業を

行い︑契約を締結し︑債権者となる権限に付随するものとして︑債権の満足をうるために必要なことをなす権限を有

する︒会社は売却を前提として︑予想される損失を少くするため︑債権の支払として︑株式を取得できる︒株式は︑

既存債権の満足のため︑善意に取得されねばならない︒同じ理由から会社は既存債権の担保として株式を受け入れる

( 6 1 )

6 2 )

 

権限を有する︒会社は株式を受け取るため︑商品を売り︑債権を作り出すことはできない︒

他社株式を購入する権限は合併権限から引き出されることができる︒他社と合併する権限を有する会社は︑合併遂

( 6 3 )  

行のため合理的に必要である場合には︑完全な合併への準備段階として︑他社の株式を購入できる︒

一 八

00

年頃︑銀行業や保険業において株式会社形態が一般になったとき︑既に保険会社はその有する大量の資本

( 6 4 )  

および基金を銀行株に投資していた︒株式会社形態の利用がこの両業種から他にも広まるにつれて︑他の業種の株式 2 

(19)

現代的な意味での一般会社法すなわち議会の協力なしに基本定款を届出ることによって法人格を取得することを認

( 6 7 )

6 8

)  

める法律は一八三

0

年頃まで合衆国においては極めて稀であった︒ニューヨーク州において特定種類の製造業目的の 会社に限ってではあるが︑最初の一般会社法が制定されたのは一八︱一年三月二二日である︒同法は米国のみならず

( 6 9 )  

世界最初の準則制株式会社法であると言われている︒

この一八一

一年三月二二日より以前にニューヨーク州は二六三のチャーターを営利会社に特別に与えたが︑このう

( 7 0 )  

ちたった︱つの会社だけが︑すなわち

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だけが他社株式所有権限を明白に認められていた︒同社 のチャーターは剰余金を公債その他の証券の購入に用いること

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を埓盆惟していた︒同社は水道会社として組織されたのであるが︑おそら

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のその経営への積極的な関心のゆえに︑銀行業を営む例外的な権限と共に他社株式所有の特異な権限を与えられた︒

同社は一七九九年九月一日に銀行業を始め︑過去数世代の間︑ごく最近に至るまで

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k の名称の下に専

ら銀行業を営んできた︒同社は一九五五年三月三一日に

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をk 吸収 し︑

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( 7 3 )  

とな った

会社もその剰余金を増殖のため使用することを望んだ︒投資目的のための株式所有権限が確立されると︑

社は︑その力と地位を強化するため︑株式購入によって戦略上重要な企業を支配するようになった︒持株会社アイデ

( 6 5 )  

アが自然に生まれた︒

特別チャーターによる授権の広がりについては︑

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の論文に詳しく掲げられている︒ここでは興味を引いた n

五つ の例 と︑

ニュージャージイ州およびペルシルバニア州における一連の特許について述べる︒

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六〇

これらの会

(20)

一 九 一

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年には同社は八

0

を越える様々な会社の株式を︑合せてほぼ五︑

000

万ドルすなわち同社全資産

( 7 9 )  

の約一割に相当する株式を所有していた︒ 求

され

一八三二年または一八三三年にメリーランド州によって株主の過半数の同意を条件として︑

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の株式のうちその帳簿開始後三

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日たってもまだ引受のない株式を引受けること︑支払義務のあ

る分割払込金を支払うため金銭を借入れることおよびこの目的のため鉄道会社の財産と基金を質入れすることを授権

されていた︒株主総会が正当に召集され︑

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d 株式の購入は大多数によって授権された︒

ことが順当に運んで

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d の九︑三八八株すなわちその総発行株

( 7 6 )  

数の三分の二よりやや少ない株式の所有者となった︒かくして

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( 7 8 )  

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の親会社︑おそらく米国では最初の親会社となった︒一八四六年に再び

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は︑重要な支線

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株を券面額五

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ドルで引受けることによって︑子会社鉄道の株式に投

資した︒主体系に自然に連結する鉄道線を支配するこの方法は︑ の

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( 7 5 )  

一八

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年に米国で最初の現代的な意味での鉄道営業を開始した 3  特別な政治的影響力の存在を予想させるものである︒

一年ニューヨーク州一般会社法は︑

行営業︑銀行株の購入︑ その第七条において︑同法によって設立された会社が︑

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六 その資金を︑銀

どのようなものであれ公債の購入などに使用することを禁止し︑定款において明記されたこ

と以外のその他のあらゆる目的に使用することを禁止していた︒本条は他社株式所有を明文によって禁止していたと

( 7 4 )  

読むこともできるだけに︑

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への銀行営業および他社株式所有の特権授与は注目すべきであり︑

その後

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によって一貫して追

(21)

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( 8 0 )  

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は一八五三年にニューハンプシアー州において鉱業または製造業目的のため組織された︒そ

のチャーターは次のような条項を含んでいた︒﹁前記会社は不動産︑鉱山およびその他の財産を購入し︑前記会社の株

式でその支払をすることができる︒前記会社が一っ以上の鉱山または地所を所有することとなった場合には︑前記会 社はその選択によっていつでもその各々に別の企業を作り︑適当な名称の下にそれを組織できる︒前記会社において を組

織し

四つより多くの異なる事業が組織されない限り︑採屈されたかまたは加工された鉱石ないし鉱物の各々のための事業

がこの法律の下での法人を構成する︒﹂︒この諸規定は︑ややあいまいであるが︑

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が別個の会社

との解釈を許すそれに鉱業または製造業でのその別々の事業の各々を代表させることを認められている︑

これは現代的な会社経営方法すなわち親会社事業の各々別の部分を遂行する子会社の利用のように

思われる︒株式について直接には何も述べられていないけれども︑

そのチャーターはその言葉使いによって︑前述の 組織は会社であり︑形成された新会社の株式は

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の株主名においてよりもむしろ会社によって所 有されることが適当であろうことを示唆している︒それゆえこれは特別に組織された子会社というアイデアの最初の

( 8 1 )  

出現を記すものと思われる︒

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yは一八五一一一年に持株会社としてのその名高い経歴を開始した︒この年︑同社

は支援することを望んだ西方連結線を支配するため︑同社自身の払込済資本の一五パーセントの範囲において他社の 株式を引受けまたは社債を保証することを同社に授権する特別法をペンシルバニア議会から獲得した︒この授権の下 で同 社は

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i と券面額六五万ドルの範囲で︑

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(22)

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万ドルを少し超えてい ペンシルバニア議会の特別法によって︑

一八

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年四月七日に

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万ドルの範囲で株式を交換し︑同社はこれらの諸鉄道会社と株式相 これら各線への株式投資は厳密に金融的な観点からは失敗であり︑後には損益に関して批判されたけれども︑同社

( 8 3 )  

によって始められたその政策は︑以後二

0

年間極めて精力的に追求され︑遂には最初の純粋持株会社であるthe

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  Companyおよび同グループによって所有されていた

西方鉄道の株式を集中し支配する目的のため︑付け加えて言えばピッツバーグからシカゴおよびセントルイスに至る

広大な鉄道網を経営するより便宜な方法を得るため︑

組織された︒同社設立法は︑鉄道を建設し旅客や貸物を運送するという鉄道会社の通常の機能を授権する条項の外に︑

次の条項を含んでいた︒﹁同法によって設立された会社は投資のため他社の債券と証券(bonds

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を 売

( 8 5 )  

買する権限も有する︒﹂0

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e   P e n n s y l v a n i a

  Companyを利用することによって︑必要とされた様々な線路の輸送条件

に従いながら︑線路から線路へと鉄道車両を転送することによって大きな経済効率を得ることが可能になると考えら れて いた

︒t he

P e

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  Co mp an yは かく して th P e

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a   C om pa ny の資 本株 式の 実質 上唯 一の

所有者となった︒代わりにthe

P e

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  Companyはピッツバーグ西方のいわゆるペンシルバニア・ラインの資

本株式の過半数を所有した︒

この うち 一︑

一八 七七 年に th eP

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a   C om pa ny の総 資産 は二

00

万ドル超が西方線の証券によるものであった︒二

0

年後にはその資産は六︑六

00

万ドル

そのうち所有証券の価値は四︑

000

万ドルを超えており︑同社の固定資産の約八

0

%に相当して 互所有の関係になった︒ および

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