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近郊鉄道向け車両構体の耐衝突性能に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

近郊鉄道向け車両構体の耐衝突性能に関する研究

熊本, 秀喜

https://doi.org/10.15017/1441213

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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(様式3)

氏 名 : 熊 本 秀 喜

論文題名 :近郊鉄道向け車両構体の耐衝突性能に関する研究 区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

輸送機器ではさまざまな要因により衝突事故が発生しているが、近年は人命保護や環境保護の観 点からその衝突性能評価を行う必要性が増大している。都市の交通渋滞問題やエネルギ問題の解決 策として期待され、世界中で導入計画が進められている鉄道においても、その衝突安全性の向上が 重要な課題となっている。特に、欧州各国間では相互乗り入れ時の衝突安全性向上が課題となって おり、欧州標準化委員会(CEN)が制定する欧州規格において鉄道車両の衝突安全に関する要求 EN15227が示されている。この規格では、車両の乗り上げの有無、エネルギ吸収量、サパイパル空 間などを評価項目としている。また、米国の連邦鉄道局(FRA)においても、運行する路線、車両の 運用速度等に応じたカテゴリ一分けと、それに応じた衝突強度要求が規格化されつつある。

自動車の場合は衝突性能評価のために完成車を使った衝突試験が法規で義務付けられており、新 しい車種の開発時には実車を衝突させた耐衝突性能評価が行われている。しかしながら、鉄道車両 や船舶などの大型構造物では、自動車に比べて単価は高いが同一車種の生産数は大幅に少ないため、

製品毎に衝突試験を行なうことはコスト面から現実的ではない。また、鉄道車両の場合、質量が自 動車の

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倍以上あるため衝突時の衝撃力が自動車に比べてー桁大きい。このため、試験設備能力の 観点、からも製品毎に実車を用いた衝突試験を行なうことは現実的とは言えない。このため、数値解 析を用いて衝突性能評価を行う技術への期待が高くなっている。

近年、数値解析により衝突性能評価を行うための解析ソフトウェアも多く開発され、自動車など の衝突解析では LS‑DYNAや PAM‑CRASHなど動的陽解法を適用したソフトウェアが広く用いられてい る。また、解析とともに実験を行い、解析の精度検証を行った報告もある。しかしながら、数値解 析を用いて衝突性能評価がどの程度まで可能であるか、また、どのような点に注意して解析すれば

良いかなどを論じた報告は少ない。

本研究では、環境負荷が少ない輸送手段として注目されている鉄道車両について、その安全性を 向上するための取り組みとして、耐衝突性能が高い構造の検討およびそれに必要な評価技術の確立 を目指して研究を行った。具体的には、運転席より前の部分が短く、エネルギ吸収要素を配置する スペースが殆ど無いため耐衝突設計が難しいとされる近郊鉄道車両について数値解析を活用して優 れた耐衝突性を持つ構造を設計し、静的試験、および衝突試験を実施することにより、目標とした 耐衝突性能を満足することを確認するとともに、実設計に供しうる数値解析技術を構築した。さら に、これらの過程で明らかとなったさらなる課題について検討を行った。

本論文では、第 l章の緒言に続いて、第2章では衝突解析と衝突試験の長所と短所、衝突解析の 基礎となる時間積分法などについて説明するとともに、衝突解析の品質を確保するための留意事項

をまとめた。

3章では、以下の順序で、衝突時のエネルギを吸収する車両端部構造の開発および開発に必要な

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解析技術の構築を図った。

(1)衝突エネルギを吸収する車端部構造について、試設計および試設計構造での静的圧壊試験 と解析の実施。

( 2

)静的圧壊試験と解析の比較による解析精度の向上と確認。

( 3

)解析によるエネルギ吸収特性向上のための構造改良および、静的圧壊試験による確認。

これらにより、目標とした車端部構造が開発でき、また設計に供しうる解析技術が構築できたこ とを確認した。さらに、衝突性能に及ぼす諸国子として、①重ね溶接継手のモデ、ル化手法と破断強 度、②構造の形状初期不整、③応力ひずみ関係へのひずみ速度の影響度合について考察し、特に材 料のひずみ速度依存性の影響を考慮して解析することが、衝突性能を正確に求めるために重要であ ることを示した。

4章では、第3章で開発した車両端部構造を採用した車両構体が剛壁に衝突する時の変形シミ ュレーションを実施し、衝突時の変形状況を予測するとともに、実車を用いた衝突試験を実施し、

想定した衝突条件の下では、予め想定した部位のみの変形で衝突エネルギを吸収できることを示し た。すなわち、衝突時の変形が車両端部構造にのみ限定され、乗客および乗員の居住区画に変形が 及ばないことを示した。これにより、衝突性能を考慮した車両の構体設計が可能であることを示す とともに、今後は多大な労力と費用を要する衝突試験を行なわずに、数値解析により衝突時の挙動 評価を行ない、衝突安全性を考慮した車両構体の設計が可能であることを示した。

5章では、重ね溶接継手について第3章で提案したシェル要素を使った簡便なモデル化手法に ついて精度確認を行うとともに、モデ、ノレ化手法についてさらなる改良を行い、試験結果、および詳 細解析結果と比較することにより、改良したモデル化手法の妥当性を確認した。

6

章では、衝突エネルギを吸収する構造として、矩形中空断面の柱状構造を取り上げ、寸法、

板厚比などを変化させてそのエネノレギ吸収特性をFEM解析により調べた。また、計算の精度を確認 するための圧壊試験を行い、計算が十分な精度を有していることを確認した。さらに、柱状構造の 内部に発泡材を充填し、さらに端部で断面寸法を絞ることにより、より優れたエネルギ吸収特性が 実現できることを示した。ここで得られた知見を用いることによるより効率的な衝突エネルギ吸収 構造の開発が可能となり、第

3

章および第

4

章に示した様な大規模な衝突解析を減じることが可能

となる。

7章では、本論文における研究結果をまとめて総括した。

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