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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

マサバの生殖におけるGnRH受容体システムに関する 研究

サニー, デビッド, パチェコ, ルマイノ

https://doi.org/10.15017/1866346

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

氏 名 :Sanny David Pacheco Lumayno(サニー デビッド パチェコ ルマイノ)

論文題名 :Studies on the GnRH Receptor System in the Reproduction of Chub Mackerel (Scomber japonicus)

(マサバの生殖におけるGnRH受容体システムに関する研究)

区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

海産魚のマサバは我が国における代表的な漁業資源の一つで、現在、西日本各地において養殖も行なわれ ているが、採卵、種苗生産、仔稚魚および親魚育成等の生活史の全てを人為的に管理する完全養殖の事例は 極めて少ない。完全養殖の成否を左右する要因の一つに、安定した受精卵の確保がある。しかしながら、飼 育下で自然に成熟、産卵する魚種は少なく、マサバも例外ではない。

魚類の性成熟は、他の脊椎動物と同様に、脳‐脳下垂体‐生殖腺を結ぶ生殖内分泌軸(BPG-axis)により支 配されている。飼育下のマサバの場合、卵黄形成後の雌親魚では、脳下垂体で合成される生殖腺刺激ホルモ ン(GtH)の一つである黄体形成ホルモン(LH)が分泌されないことにより卵成熟が起こらないことが明ら かになっている。生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)はアミノ酸10 個より構成される神経ペプ チドホルモンで、GnRH受容体(GnRHR)との結合を介してGtHの合成、分泌を制御する。マサバ 3種のGnRH(GnRH1、GnRH2およびGnRH3)をもつが、このうち視索前野に存在するGnRH1 ニューロンのみが、その神経軸索を脳下垂体に直接投射していることが知られている。本研究は、

マサバの性成熟を制御する GnRH の作用機構を、GnRHR の機能解析を通して明らかにすることを 目的とした。

マサバ GnRHR の遺伝子クローニングの結果、428 アミノ酸をコードしている 7 回膜貫通型の G

タンパク質共役型受容体であるマサバ GnRHR1(cmGnRHR1)を単離した。つぎに、マサバ雌雄成魚の脳の 各部位(嗅球、視索前野、視床下部、中脳被蓋、小脳、延髄)および脳下垂体におけるcmGnRHR1の発現量 を調べた結果、雌雄ともに脳下垂体でのみ強い発現が認められた。さらに、初回成熟過程にある雌雄を対象 にして、生殖腺の発達に伴うcmGnRHR1の発現量変化を調べた結果、脳下垂体内のcmGnRHR1は生殖腺の発 達に対応した発現変動を示し、雄では排精期の個体で、雌では卵黄形成終了期の個体で最も高くなった。

マサバの3GnRHおよび生物活性のより高いGnRHa(des-Gly10, D-Ala6-LHRH-ethylamide)をリガンドと して、CHO 細胞に発現させたcmGnRHR1 とのシグナル伝達をレポーター遺伝子アッセイにより解析した。

その結果、すべてのリガンドはcmGnRHR1 に適正濃度範囲で結合するとともに、GnRHa、GnRH2、GnRH3、

GnRH1の順に高い結合親和性を示すことが明らかとなった。さらに、脳下垂体の細胞培養系を用いて、マサ

3GnRHLH放出能を調べた結果、3種ともにLH放出を促進することが確認された。

以上の結果、マサバの脳内で作られる3GnRHはすべてcmGnRHR1に対する結合親和性をもつとともに、

脳下垂体の培養細胞からLHを放出させる能力をもつが、脳下垂体に局在するcmGnRHR1に結合するリガン ドは神経軸索を脳下垂体に投射している GnRH1 のみであり、本種の性成熟は結合親和性の低い GnRH1 cmGnRHR1との結合を介したLH放出により促進されると結論づけられた。

以上、本研究は、複数の GnRH 分子種をもつマサバの GnRH による性成熟制御機構を、GnRHR の機能解析を通して明らかにしたもので、今後クロマグロ等を含むサバ科魚類の人為催熟、種苗生 産技術の進展にも大きく寄与することが期待される。

参照

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