リスボン条約発効以降におけるEUの正統性の所在:
制度運営の観点から
著者 佐竹 壮一郎
雑誌名 同志社法學
巻 71
号 4
ページ 1387‑1467
発行年 2019‑09‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2019.0000000441
リスボン条約発効以降における EU の正統性 の所在:制度運営の観点から
佐 竹 壮一郎
はじめに
⑴ 研究背景:なぜ、今 EU の正統性に着目する必要があるのか
2000年代後半以降の
EU
を一言で表すと「危機」である。域内に目を向け ると、ユーロ危機・難民危機・Brexit
・安全保障危機が大きな問題として取 り上げられている。また対外関係においてもEU
は問題を抱えている。トル コやロシアといった近隣諸国との政治的対立はその典型であろう。つまり、域内・対外関係ともに
EU
は厳しい状況に直面しているのである。しかし
EU
が軽視されることはない。むしろこうした困難な状況にある今 だからこそ、その存在はより重要視されている。例えば欧州委員会が提示し た2021年から2027年までの多年度予算枠組み案は、脱退が予定されているイ ギリスを除いているにもかかわらず増加している1)。したがって、欧州の課 題を加盟国ごとに取り組むというよりは、今後もEU
という枠で解決を目指 すと予測される2)。1) 欧州委員会によると、2014-2020年の予算案は約 €1087bnであった(European Commission, 2017b)。一方2018年5月2日に公表された2021-2027年の予算案は約 €1279bnである(European Commission, 2018c)。ただし予算案に過ぎないため、今後変化する可能性がある。さらに増加 したとはいえ、加盟国全ての予算の合計と比較するとEUの予算は依然として小さい。
2) 本稿執筆時点においても、イギリスはEUを離脱するかについて決断を下せておらず、政治 的な停滞・混乱が生じている。なお、2019年3月までの交渉の経緯を振り返ったものとして、
池本(2019)を参照。
このように、政治的エリートにとって
EU
は重要な存在として位置づけら れている3)。だがその一方で、EU
に対するEU
市民の評価は必ずしも彼らと3) EU研究では、「エリート」という言葉が頻繁に使用されるものの、明確にこの言葉を定義づ ける研究はほとんど見られない。例えば、ホーヘとマークスはエリートと大衆に焦点を当てて 分析したが、エリートの定義を「権威を持つ立場にある政党の指導者」に留めている(Hooghe and Marks, 2009, p. 5)。
本稿ではエリートを「政治的エリート」と表記している。その狙いは、次の2つである。第 1に、「経済的エリート」と区別するためである。確かに市場統合の進んだEUでは、経済的 エリートの影響力も十分に考慮しなければならない。ただし彼らは市場を中心的な居場所とし ているため、EUの政策決定を直接決定する存在というよりは、間接的に影響を与える存在で ある(もちろん、金融業界とEUとの密接な関係を見落としてはならない)。
第2に、ブリュッセルで働くEUのエリートと加盟国政府のエリート間に存在する境界が、
明確ではなくなってきていることを示すためである。それは例えば、EUの権限が拡大する中で、
理事会・欧州委員会・欧州議会の垣根が低くなっていることからもいえる。また彼らは、経済 的エリートと異なり、実際にEUを内部から動かす権限を持ち、また持っているとEU市民か ら認識されている。したがって、本稿ではエリートを政治的エリートに限定し、EUの内側か ら権限を行使することのできる少数とする。
また、クラステフ(2018, pp. 91-98)は伝統的な貴族的エリートと現在のエリートを比較し た。彼によると、前者は義務と責任を持ち、それを果たすように教育されていた。そのため、
所有する土地を離れることはない。一方後者は「能力主義的エリート」であり、「報酬目当て」
で行動する。彼らは、高度な「移動可能な能力」を有するがゆえに「忠誠心のない」エリート になっている。
図0-1:EU に対する信頼(Trust in the European Union)
出典:Eurobarometer 51-89: Public Opinion in the European Union. をもと に筆者作成。
1999春EB
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信頼する傾向がある 信頼しない傾向がある 分からない
一致しているわけではない4)。例えば、ユーロバロメーター(以下、
EB
と 表記する)における「EUに対する信頼」を示す数字は次のように変遷して きた(図0-1)5)。図より、2000年代後半以降の危機とEU
に対する信頼の関 係性を読み取ることができる6)。それでも
EU
崩壊の兆候は見られない。十分な問題解決策をEU
が提示で きていないにもかかわらず、国民投票でイギリスがEU
離脱を決定した後、4) EU市民についても厳格な定義はなされておらず、文脈によってさまざまな意味を持つ(浅 見, 2005, p. 28)。本稿では、EU市民を一つのデモスとしては認識していない(詳細は第2章 を参照)。また、「EU市民」は「政治的エリート」と対比する言葉として使用されることが多い。
その場合における「EU市民」は、EUを内側から変化させる権限を持たず、政治的エリート に対して世論・選挙・国民投票などを通じて政治的に訴える多数の者、として使用されている と考えられる。本稿においても、両者を対比する際は、このような文脈で「EU市民」という 表現を用いている。
5) 「EUに対する信頼」についての問いは、1999年春に行われたEB以来続く質問である。
6) C.f. 加盟国:加盟国は一方で、仮に政策が失敗したとしてもその責任を負うのは首相や政党 である。政策が失敗したからといって、国の存在そのものが否定されることはない。「EU崩壊」
という表現が散見される一方で「ドイツ崩壊」や「フランス崩壊」が見られない理由は、根本 的にEUと加盟国の制度設計が異なるからである。特に両者が異なる点は政権交代の有無であ ろう。加盟国の場合、政権与党に対する不満が極度のものに達した場合、政権交代が発生する。
また加盟国では、どのようなイデオロギーを持つ政党であっても、政権与党を担当することが 可能である。
もちろん、EUにおいても欧州議会選挙が行われ、また欧州政党が存在する。ただし、欧州 政党には欧州の政治的意識の形成が要求されている。また急進右翼とされる政党に対するEU の対応は厳しい。例えば、ユンケル欧州委員会委員長は2017年度の教書演説で「私たちは、反 欧州過激派の金庫を埋めるべきではない(European Commission, 2017e)」と述べた。そして、
2018年5月に採択された規制によると、欧州議会議員は、自らが国内で所属している政党を基 に欧州政党に所属することが決められた。その結果、類似したイデオロギーを持っていること を理由に、異なる欧州政党に所属することは不可能となった。この目的は、同盟を組んだ欧州 政党がイデオロギーの拡大を図り、個人の議員が異なる欧州政党に、人数合わせのために登録 することを防ぐためであった。そしてこの規制によって最も影響を受けたのは、欧州議会にお いて勢いを増す、EUに対して懐疑的な政党であった。詳細は、Regulation (EU, Euratom)
2018/673 of the European Parliament and of the Council of 3 May 2018 amending Regulation
(EU, Euratom) No 1141/2014 on the statute and funding of European political parties and European political foundations。
EUに対する批判が高まる理由として、欧州政党に関する問題だけでなく、世論を反映する ための制度が整っていないことも挙げられる。EUでは政権交代や解散選挙が行われない。し たがって世論に迅速に反応する理由がない。EUが官僚主義的であり、また「民主主義の赤字」
が発生していると非難されるのは、このような制度的な問題も一因にある。
EU
に対する信頼は40%台へ回復した7)。では、なぜEU
は、EU
市民からの 信頼が不安定であるにもかかわらず存続し得るのか、または大幅な構造転換 が生じないのであろうか8)。このような
EU
に対する評価の研究は規範政治論と呼ばれている。本分野 は、新機能主義や政府間主義の限界が指摘され始めた結果発展した、新たな 研究分野の1つである9)。本研究はこの規範政治論のアプローチと視角を共 有している10)。本研究のテーマである
EU
の正統性に関する研究は、規範政治論の中心に 位置している。その契機となったのは、1992年のデンマークにおけるマース トリヒト条約の批准否決であった11)。その後も、国民の意思を問う度に失速 する欧州統合に呼応する形で、EU
の正統性に着目する研究が進められてき た12)。7) 同様にピューリサーチセンターの調査においても、EU市民はEUの問題解決能力について満 足していないものの、EU自体に対する支持はイギリスの国民投票以降回復していることが確 認されている(Pew Research Center, 2017)。
8) 本稿では、EUが次の2つの意味で「構造転換」がなされていないと捉えている。第1に経 済的なシステムにおいて構造転換がなされていない点である。EUはEU条約(以下TEUと表 記する)第3条3項において「社会的市場経済(social market economy)」を謳っている。こ れは、EUが経済的な目的(自由貿易)と社会的な目的(社会的保護)の両立を目指している ことを意味する(Claassen et al., 2018)。しかしシャルプフ(Scharpf, 2010)が述べるように、
市場統合が進む一方で、加盟国での福祉制度の維持はこれまで以上に困難になっている(詳細 は第5章を参照)。
第2の観点は、民主的な制度という側面において、EUが構造転換を果たしていない点である。
確かに、EUは条約の改正によって、欧州議会の権限強化や欧州市民発議を導入し、間接的に も直接的にも民意を反映させやすい制度改革を行った。しかし、いずれの制度改革も制度運営 という側面では課題を残している(詳細は第4章・第5章を参照)。
9) ロザモンド(Rosamond, 2013, p. 88)は統合理論後のEU研究のアプローチを、大きく分け て次の5つに分類する:①比較政治②ガヴァナンス③規範政治④国際関係⑤批判理論。
10) ロザモンド(Rosamond, 2013, p. 88)によると、このアプローチが取り扱われるようになっ た契機として、許容のコンセンサス(permissive consensus)の終焉やEU市民権の誕生、EU における憲法確立の試みとその失敗を主要な事例として挙げることができる。なお許容のコン センサスの終焉については、Hooghe and Marks(2009)を参照。
11) デンマークの世論の動きやマーストリヒト条約の批准に関する詳細は、Worre(1988; 1995)
を参照。
12) 欧州憲法条約の否決はその典型的な例である。
しかし、2000年代後半以降
EU
の正統性に関する研究は停滞している。そ の理由は、EUが危機に陥っているとの認識から、EUの問題解決能力に関 心を集中させているからである。特に、既存の欧州統合の枠組みである、モ ネ方式に対する問いが多くの研究者から上がっている13)。同様に、EU自身 も既存の統合モデルからの転換が必要であるとの認識を示している。2017年 には欧州委員会が、「欧州の将来に関する白書」およびユンケル欧州委員会 委員長による教書演説を通じて、自らの統合理念を提示した。欧州理事会も「ローマ宣言」にて欧州委員会とは異なる統合のシナリオを提示した
(
European Commission
, 2017a
, 2017e
;Council of the European Union
, 2017)。このような検討は、
EU
の維持という観点では有益であろう。しかしその 反面、危機によって最も被害を受けたはずのEU
市民に対する関心は低い。さらに、
EU
の存続を前提として議論を進めることは、EU
という政体を理 解する上で適切とはいえない。したがって、EU
市民の評価とEU
そのもの を適切に捉えるためにも、EU
の正統性を再検討する必要がある。⑵ 先行研究の問題点
本研究の目的を述べる前に、まず
EU
の正統性に関する先行研究の問題を 示す。その上で、先行研究が抱える問題を解決するための研究目的および分 析枠組みを提示したい。
EU
の正統性に関する研究には、主に2つのアプローチがある。本稿では 便宜上それを「伝統的なアプローチ」と「正統性構築モデルに基づくアプロ ーチ」と分類する。以下では、両アプローチを簡潔に紹介した上でその課題13) モネ方式とは、許容のコンセンサスのもとで、最終段階を示さないまま漸進的に統合を進め、
欧州に超国家および国境横断的な関係を築き、平和と経済的繁栄をもたらすことを目指すもの であり、ジャン・モネにちなんで名づけられた(庄司, 2016, p. 28)。モネ自身は「国家間の協 力はいかに重要であっても、何も解決しない。やらなくてはならないのは欧州の諸国民の統合 であって、単なる利益の均衡維持ではない(モネ, 2008, p. 293)」と述べており、連邦制を視 野に入れていたことが読み取れる。すなわち、経済的繁栄に加え、実効性のある民主制度を備 えた政治同盟かつ、加盟国から独立した権限を持つ連邦政府の実現を彼は目指していたのであ る(Grin, 2017,p. 33)。
14) 例として浅見(1994)、長尾(1994)、福田(1997a, b, c)、安田(2005)が挙げられる。
15) 例として児玉(1997)、Corbett, Jacobs, and Neville(2016)、Føllesdal and Hix(2006)が挙 げられる。ただし、欧州議会の権限という論点に限れば、Reif and Schmitt(1980)において 既に議論されていた。
16) その代表として、後述するScharpf (1999)を挙げることができる。彼によって、EUにおけ るインプット・アウトプット正統性、それを補完するスループット正統性(Schmidt, 2013)
の議論が発展した。
を指摘する。
第1に、90年代以前より注目を集めていた、伝統的なアプローチである。
端的には、補完性の原則の導入といった、条約改正を通じた
EU
の権限の明 確化に基づく正統性の構築と14)、欧州議会の権限強化によって正統性構築を 追求するアプローチである15)。第2のアプローチは、インプット・アウトプット・スループット正統性を 向上させることによって、
EU
の正統性を様々な側面から構築しようとする ものである。このアプローチは、90年代後半以降盛んに採用されている16)。 研究背景でも述べた通り、現在のEU
研究はユーロ危機や難民危機など特 定の事例の問題解決に重きを置いている。そのため、EU
の正統性に関する 研究はあまり進んでいないように見受けられる。この研究の停滞という前提 だけでなく、先行研究は次の3つの課題を抱えている。第1に、「正しい政策」の提案に傾倒していた点である。先行研究は、あ る特定の政策を採用する
EU
の動機を十分に分析しないまま、新たな政策を 提案する傾向にあった。さらに提案する「正しい政策」は、実現性をあまり 考慮していないという問題も抱えていた。1つ目に挙げた課題とも関連するが、第2の課題は
EU
に対する期待であ る。先行研究は正統性構築のために、欧州議会の権限強化や筆頭候補者制度(
Spitzenkandidat system
)などを提案する。そこにはEU
が積極的に正統性 の構築を目指しているという前提がある。そのため「どのように正統性を構 築するのか」という方法論が研究の中心となる傾向にあった。確かに、規範 政治論に位置する正統性研究は「○○すべき」という点を強調しがちであり、EU
に 対 す る 期 待 を 避 け る こ と は 難 し い。 と こ ろ が、 拘 束 的 不 一 致(constraining dissensus)が確認されるまでの
EU
は、その市民の評価をあ まり意識していなかった17)。したがって、正統性を構築する必要があるとい う強い認識を、EUが設立当初から持っていたとは考えにくい。つまり、EU が正統性を構築する動機はより消極的なものであったとみなせる。以上を踏 まえると、方法論へと研究を展開する以前に、EU
の動機および政策内容を 分析することが求められるといえよう。第3に、断続的な研究であるがゆえに体系的な研究が不足している点であ る。先行研究は、条約改正の遅延や欧州憲法条約の挫折といった、単発的な 出来事に応じた研究に留まっている。また、欧州議会に焦点を当てる研究は その権限強化のみを主張し、モデルを提案したシャルプフ(
Scharpf
, 2017)も、正統性を構築する手段としてのインプットやアウトプットに関する議論 から、統合論へと関心を寄せ始めている。
だが欧州統合の政治化(
politicization
)が進んだことは18)、様々な問題がEU
規模で発生していることを意味する。したがって先行研究が指摘する通 り、解決策もEU
という枠組みで進めることが要求されている。その一方で、EU
市民という枠組みを設定し、彼らの評価を分析する役割を担っていた17) 事実、1993年以前にも一部の加盟国で国民投票がなされていたものの、統合を抑制するよう な結果は起きなかった。そのため、許容のコンセンサスは引き続くであろうと、EUを構成す る政治的エリートが楽観視していたと想定される。このような姿勢は後に確認するように、
EMUの発展によく表れている。またこの時期、新機能主義やリベラル政府間主義のアプロー チが盛んに採用された。その要因として、EU内部や加盟国の政治的指導者に対する関心が高 かったためと推測できる。なお、拘束的不一致については、Hooghe and Marks(2009)。
18) デワイルドによる定義「意見、利益、または価値の対立の増加、およびそれらがEU内での 政策形成のプロセスに向けて進んでいる程度(de Wilde, 2011, p. 560)」が最も浸透している。
彼はEUの政治化を、EUの機関・EUの政策決定・欧州統合に関連する課題の3点から分析 した。そして「『政治化』した課題は『政治化』した政策決定によって処理される。そして、
それらの決定は官僚や弁護士ではなく、政治家によってなされる」と述べている(2011, p.
563)。すなわち欧州統合の政治化とは、EU規模でなされる政治の重要性が増し、関連するア クターやその影響を受ける人が増加し、欧州統合に関する対立点が増加すること、とまとめる ことができる。また、政治化をより具体的に取り扱った研究として以下の文献を参照:
HoogheandMakrs (2009); Shimmelfenniget al. (2015); Schimmelfennig (2018)。
EU
の正統性に関する研究は残念ながら停滞している。特に、欧州統合の転 換点となったリスボン条約以降の正統性研究は乏しいため、情報の更新、そ して体系化が要求されている。⑶ 研究目的・分析枠組み
このように先行研究は大きく分けて3つの課題を抱えている。これらの課 題を乗り越えるために、本研究は次の研究目的を立てた。それは、
EU
が正 統性構築に向けて採用してきた政策およびその課題の実証分析を通じて、EU
市民に対するEU
の姿勢を明らかにすることである。上記研究目的を達成するために、以下の分析枠組みを設定する。まず分析 に際して、本研究では、先行研究において示された「伝統的なアプローチ」
と「正統性構築モデルに基づくアプローチ」の両方を採用する。両者の視点 を取り込むことで、研究の断片化を解消することが狙いである。
また本研究では、次の2つの理由からリスボン条約下での制度運営に焦点 を当てている。第1に、リスボン条約がマーストリヒト条約以来の大規模な 改正を果たし、
EU
の正統性構築に関連する新たな項目が追加されたからで ある19)。第2に、正統性の分野で制度運営に着目する研究が不十分なためで ある。リスボン条約発効当初、その変更内容の大きさから、制度改革に着目 する研究が数多くなされた20)。その一方で、制度運営に関する研究はあまり 進んでいない。リスボン条約の発効から10年が経とうとしている。制度運営 に関するデータを収集することは十分に可能である。そこで本研究は、実際 の制度運営に焦点を当てることで、先行研究が抱えていた問題の解決を試み た。以上の分析枠組みを通じて、なぜ
EU
の評価は不安定であるにもかかわら ず構造転換に至らないのかというリサーチクエスチョンに対し1つの回答を 示す。また先行研究が抱えていた3つの課題である、「正しい政策」の提案19) 詳細は第2部を参照。
20) 代表的な著作として鷲江(2009)、庄司(2013)。
への偏重・
EU
に対する期待・研究の断片化と情報更新の必要性、を解決す ることも目指す。上記の検証を通じて、EUの正統性構築に対する姿勢も明 らかになるだろう。最後に、本研究が採用する分析方法は主に次の3点である。第1に、断片 的になされてきた先行研究の実証分析を行う。第2に、
EU
の公式文書、お よび判例に基づいた事実分析を行う21)。具体的には、先行研究の提案とのズ レを確認するために、リスボン条約以降に実施された規制・欧州委員会によ る立法提案・欧州司法裁判所による判例に焦点を当てて分析する。第3に、学際的な視点の取り込みである22)。
EU
は、その誕生以降、広い分野での権限 獲得に成功している。これはEU
の責任、そして課題が拡大することを意味 する。したがって、研究する側も分野の境界を越えて取り組む必要がある。そこで本研究は、特に政治学・経済学・法学という3分野の視点を取り込む ことで、リスボン条約下での制度運営の課題を明らかにすることを目標とす る。
⑷ 本研究の構成
以上の視角に基づいて、次の2部から本論は構成されている。第1部では、
正統性の概念の定義、そして実態としての
EU
市民を探る。第1章では、多 種多様な正統性の概念の中から、EU
研究において必要となるものを抽出す る。なお本研究では、「市民の価値的な評価」に着目したリプセットとダー ルによる正統性の定義を援用することで、EU
の正統性を示す。また本稿では、21) 本稿で記載する旧条約を含むEU条約と、EU運営条約の邦訳は、鷲江(2009)に依拠して いる。
22) 「学際的(interdisciplinary)研究」について日本で述べられるようになったのは、90年代後 半である。その定義を赤司(1997)は「諸科学の協力による研究である…自然や社会の複雑な 現象を究明したり、新しい学問を想像したり、様々な現実問題を解決する場合などに、複数の 専門分野が互いに協力、統合、融合、総合などを行いながら研究を進めるという方法(p.
15)」とした。また、レプコ(2013)は定評のある定義をまとめて、「学際研究とは、疑問に答 え、課題を解決し、単一の専門分野で適切に扱うには広範すぎるもしくは複雑すぎるテーマを 扱うプロセスである。より包括的な理解の構築のために知見を統合するという目標を持ち、学 際研究は専門分野を利用する(p. 14)」とした。
legitimacy
の訳についても検討する。なぜならば「正統性」と「正当性」の 概念は大きく異なるからである。さらに、正統性の議論をする上で混同しが ちな、「実効性」や「有効性」も検討することで、本研究の中心的な概念で ある「正統性」を整理する。第2章では、法形式としての
EU
市民権と、実態としてのEU
市民の相違 点について検討を加える。マーストリヒト条約によって確立した法形式とし てのEU
市民権に関する研究は数多い。一方本研究の焦点は、1つのデモス としてのEU
市民が確立していない現状を明らかにすることである。また分 析に際し、デモイクラシー論がEU
を検討する上で有用であると位置づけて いる。本章を通じてEU
市民の不安定性を示すことによって、複数の正統性 構築手段を必要とするEU
の姿を浮き彫りにする。本論の後半に当たる第2部では、第2章において提示した、1つのデモス として確立していない
EU
市民を前提とした上で議論を進める。第2部の焦 点は、リスボン条約の制度改革というよりも制度運用である。先に述べた2 つのアプローチに、リスボン条約下の制度運用という新たなデータを当ては める。EU
における正統性構築が不十分なまま留まっている理由を明らかに することがその狙いである。第3章と第4章では、いわゆる伝統的アプローチが現在どの程度有効であ り、また限界はどこにあるのかについて検証する。まず第3章では、条約改 正によって権限の明確化がなされたはずの
EU
における、依然として残る権 限の曖昧性に着目する。具体的には、市場統合と大きく関連したEU
運営条 約第114条と第352条に焦点を当てることで、これまでの欧州統合が市民によ る判断を回避しながら進展してきた事実を検証する。第4章では欧州議会に 着目する。その目的は、リスボン条約下における政策決定過程の変遷の分析 を通じて、欧州議会の権限拡大に対する期待と実態を捉え直すことである。分析に際し、フォレスダールとヒックスによる、新たな民主主義の赤字の類 型を採用する(
F
øllesdal and Hix
, 2006)。その類型にリスボン条約下におけ る制度運営を当てはめることで、欧州議会の限界を検証する。第5章では、正統性構築モデルのアプローチを採用し、
EU
の正統性構築 における課題を検討する。正統性構築モデルは次の3つの正統性から構成さ れている。まず、シャルプフ(Scharpf
, 1999)によって提唱されたインプッ ト正統性とアウトプット正統性である。そして3つ目の正統性は、シュミッ ト(Schmidt
, 2013)によって提唱されたスループット正統性である。本研 究では、これらのモデルを現在のリスボン条約下での制度運営に当てはめる ことで、その限界を明らかにする。「おわりに」では、第1部および第2部で得られた結果をまとめ、現在の
EU
の正統性構築の限界を示す。さらにその結果からEU
の市民に対する姿 勢を明らかにすることで、本研究の意義、並びにそのインパクトを提示する。研究から得られる中心命題は、
EU
の実施する政策が「仮の」正統性構築を 目的としたものに過ぎないという点である。最後に今後の研究課題として、欧州統合のコストという視点を提示したい。
第1部 定義・歴史的背景
第1章 正統性の定義
⑴ 正統性とは何か
そもそも正統性(
legitimacy
)とは何か。多くの論者より多種多様な定義 づけがなされてきたが、その基礎的な考えを提供したのがマックス・ヴェー バーであろう。彼の正統な支配の三類型は23)、正統性という概念を理解する ための出発点として、現在でも採用されている。ヴェーバーによる定義の特 徴は、権力と支配の概念を基調としている点である(2012,pp
. 23-29)。ま た正統性を規則に基づいているとみなす点も、彼の定義の特徴である(1960)。23) 合理的な性格を持つもの、伝統的な性格を持つもの、カリスマ的な性格を持つもの(ヴェー バー, 2012)。
このようにヴェーバーは、権力と支配という観点から正統性を説明しよう とした。しかし「非正統性はどこに存在するのか」という視点が欠落してい た(佐々木, 1999,
p
. 93)。三つの正統的支配の分類は、既に正統性が存在し ていることを前提とし、その上で正統性が発生・維持される理由を説明する ことに関心を集中させていた。そのため、市民の視点や、市民と政府の関係 性に焦点を当てていなかった。したがって、ある特定の個人や集団による支 配を前提とするヴェーバーの定義は、現代社会における正統性の定義として は不十分なものであるといわなければならない。上記のヴェーバーの欠点を埋めたのが、リプセットとダールである。リプ セットは正統性の定義を「現行諸制度がその社会にとって最も適切であると いう信念を生ぜしめ、また持続せしめるその体制の能力を含んでいる」とし、
「正統性を評価の問題である」と定義した(1963,
p
. 74)。ここで初めて評価 という概念が生まれることで、非正統性なるものが存在し得ることが示され た。またダールは正統性が獲得されている状態を「<政府>の構造、手続き、行為、決定、政策、官吏、指導者、などが『正しさ』、適切さ、倫理的善な どの性質を備えている ―ひと口にいえば拘束力ある決定を行う権利をもつ
― と命令を受ける側の人びとが信じるとき、その<政府>は『正統的』と される(2012,
p
. 114)」と定義づけた。以上を踏まえると、正統性について考慮する際、支配ではなく信頼という 概念を基調に置くこと、そして政体に関する評価は変動し得ることを理解す る必要がある。本研究もリプセットとダールによる定義を引き継ぎ、
EU
の 正統性を議論する。またダールによると、正統性を獲得し得るシステムは何 も国家だけではない(2012,p
. 116)。例えば企業や宗教団体はその典型であ る。これら集団の特徴は民主的な制度ではなく、むしろ階層的な制度を採用 していることにある。それでも人々はその状態を受け入れている。以上より正統性の概念は、民主的正統性や国家に限定されていないといえ る。本研究でも正統性構築を議論する際、民主的正統性に限定せず様々な正 統性構築のアプローチを採用し、そして国家ではなく
EU
という政体を取り扱っている24)。
⑵ 正統性・正当性・実効性・有効性
Legitimacyの概念の理解をより困難なものとさせている、日本特有の事情 がある。それは、日本語訳には「正統性」と「正当性」という2つの形があ り、意味もそれぞれ異なっていることに由来している。山口は両者の差異に ついて、次のように説明する(1989,
pp
. 270-275)。まず「正統性」とは、政治体制の在り方に関する「市民の価値的な評価」を指す。他方「正当性」
とは、市民の日常生活や利益団体の職能的な利益の視点から見た、政治体制 や政治システムの「効用」や「効率」つまり、パフォーマンスに対する評価 を指す25)。本稿では、パフォーマンスの重要性を考慮しつつも、「市民の価 値的な評価」を議論の中心に据えるため、「正当性」ではなく「正統性」と 表記する。
同様に「実効性(
effectiveness
)」と「有効性(efficacy
)」の概念について も整理する必要があるだろう26)。まず、リプセットは正統性と実効性の区別 を試みた。彼によると、実効性とは「実績達成度(実際のパフォーマンス)、すなわち政治体制が、住民の大部分と、大企業ないし軍隊のような体制内部 の強力な体制集団が期待している基本的な統治機能を充足する程度を意 味27)」する(1963,
p
. 74)。そして、彼は正統性を評価の問題とするのに対し24) 正統性の基準は、組織や機関ごとに異なることが指摘されている。例えば、テニスクラブや 多国籍企業、またWTOやEUといった機関は、同じ正統性の基準を持っているのではない。
したがって、それぞれの機関に応じた正統性の概念を形成することが要求される(Sangiovanni, 2019, pp. 16-17)。
25) 鈴木は山口による定義を発展させ、国際的なレベルでの「正当性」と各国レベルでの「正統 性」の関係を説く。例えば国際レベルでの効率性を優先する結果、国内での民主的「正統性」
が犠牲となるといった場合である。さらに、「国際規範の強化」による国際的な「正統性」の 確立に伴う、国内的な民主的「正統性」の危機についても指摘する(2006, pp. 154-156)。
26) リプセットの『政治の中の人間:ポリティカル・マン』を翻訳した内山秀夫氏は、
effectivenessを「有効性」と訳した。しかし本稿ではefficacy と区別するため、effectiveness を「実効性」と訳する。
27) カッコ内は筆者付記。
て、実効性を手段の問題を問うものと定義づける。パフォーマンスという点 からも明らかな通り、これは前述した「正当性」とほぼ同義であるといえよ う。
リンスはリプセットによる実効性の概念を発展させ、有効性というもう一 つの次元を提唱した。彼は前者を基本的な諸問題の解決能力とし、後者を具 体化された政策の実施能力とした(1982,
p. 41-58)。つまり、いかに実効性
の高い政策を提案しても、遅延や抵抗などの障害が生じた場合、それは有効 性が低いとみなされるのである28)。このように3つの概念は異なる。だが、相互関係にある概念でもある。例 えばリプセットによると、実効性が何世代にもわたって維持されてきた場合、
その政治体制は正統性を持つと認識されることがあり得る29)。一方で実効性 が繰り返し、または長期的に破壊された場合、正統性に揺らぎが生じる可能 性がある(リプセット,
pp
. 77-79)30)。リンスも同様に、正統性と実効性と有 効性にはつながりがあると指摘する(図1-1)31)。このように正統性の議論をする際には、実効性と有効性の概念と区別しな
28) リンスは、有効性が実効性よりも低次のものであるとみなす。またリンスは、有効性が下が る要因の一例として、行政スタッフが十分にかためられていないことを挙げる(1982, p. 55)。
29) 高い実効性は、継続的な経済発展によって達成されている(リプセット, 1963, pp. 79)。
30) 実効性の向上による正統性の構築は、第6章で取り扱うアウトプット正統性と言い換えられ る。
31) ただし、リンス自身はこの図に示される矢印の濃淡について明確な理由を与えていない。
32) 本書を翻訳した内山秀夫氏は、legitimacyの訳を「正当性」と表記している。しかし、リン 図1-1:3つの次元の関連性
出典:リンス(1982, p. 47)を修正し作成32)
実効性
正統性 安定と実績達成
有効性
太い矢印:直接の関連性 点線の矢印:間接の関連性 細い矢印:フィードバック効果
ければ誤解が生じる。特に、
EU
は先述したように盤石な支持基盤を持って いない。そのため実効性や有効性に基づく正統性の向上を図ることをこれま で進めてきた33)。近年のEU
問題解決型の研究は、いわば実効性と有効性に 着目した研究である。 一方、本研究は実効性と有効性の向上には焦点を当 てていない。先述した通り本研究の目的は、EU
が「正統性」をどのように 捉えているのかを理解することにある。第2章 法形式としての EU 市民権と実態としての EU 市民
⑴ デモイクラシー論から捉える EU 市民像
第1章では、正統性の概念を整理することで本研究の視角を導入した。第 2章では、
EU
の正統性を検討する上で前提とされているEU
市民に焦点を 当てる。リプセットやダールは政体を評価する存在を「市民」や「人々」と した。EU
という枠組みではEU
市民がそれに当たる。それでは、マーストリヒト条約によって与えられた法形式としての
EU
市 民権は、実態としてのEU
市民の形成をもたらしたのだろうか。その後の条 約改正はどのような変化をもたらしたのだろうか。本章ではこれらの問いを 検討することで、法形式として存在するEU
市民と、実態のEU
市民との乖 離を指摘する34)。フランスの社会学者であるドミニク・シュナペールによると、市民とは「権 利の主体」である(シュナペール, 2012,
p
. 2)35)。彼女の主張の特徴は、市民スはヴェーバーによる正統性の定義を採用している(1982, pp. 41-58)。したがって、ここで は「正統性」と書くことが誤解を避けるためにも望ましいだろう。したがって、図1-1では「正 統性」と表記を改めている。
33) これは第5章で述べるアウトプット正統性の向上に当たる。
34) なおEU市民権と加盟国市民権の関係性に着目した研究は既に様々な論者によってなされて いる。詳細は、田中・庄司編(2005); 鈴木(2007); Blanke and Mangiameli(2013)。
35) シュナペールは市民を三つの権利の源泉とする(2012, pp. 2-3)。第一に、市民は個人的権 利の主体である。権利の主体として、諸々の個人的自由や政治生活に参加することができる。
その代わり市民は、法を尊重し、公共の支出を負担し、社会を防衛する義務を負わなければな らない。第二に、市民は政治的主権の所有者である。例えば、統治者の選択や統治者の決定の 遂行の承認、また被治者が統治者の命令に従うことを認めるのは、被治者自身である。したが
を権利という概念から解き明かし、かつ超越の論理を強調していることにあ る。すなわち、シティズンシップとは一種の「創造的ユートピア」であり、
エスニック的または宗教的概念を超えようとする際に有用な概念である(
pp
. 311-312)。この超越の論理は、一部の連邦主義者が目指した、EUにおける シティズンシップの理想の形とも捉えることが可能である36)。確かに、マーストリヒト条約によって「
EU
市民権」は設立された37)。と ころが、モネらが目指したような制度的な欧州合衆国への展望や、ハーバー マス(2010)が主張する欧州全域にわたる政治的公共圏の形成には至ってい ない。むしろ現在の多段階統合に関する研究の潮流からは、モネやハーバー マスらの理想と現実が乖離しているようにも見える。そこで、EU
条約によ って与えられた「EU
市民権」と実際の「EU
市民」との乖離が生じている ことが予測される。このような
EU
におけるEU
市民成立の難しさを理解するためにも、デモ イクラシー論を考慮する必要があるだろう。端的には「民としてではなく、民たちがともに統治するユニオン(
Nicola
ïdis
, 2013,p
. 351)」と示される。言い換えるならば、
EU
はナショナルのみ、または欧州規模で1つのデモス(
demos
) が 存 在 し て い る の で は な く、 あ ら ゆ る「 民 た ち( デ モ イ:って、市民が主権者となるのである。第三に、市民は社会的な関係の源泉でもある。宗教や君 主の如何を問わず、市民は誰であっても同等に尊重にされる権利を有し、自らの尊厳を認めら れるのである。シティズンシップにおいて著名な社会学者であるT. H. マーシャルらも同様の 主張を行っている。彼によるとシティズンシップは市民的要素・政治的要素・社会的要素の三 本柱で構成されており、それが時間と共に制度的に融合されてきたのである(マーシャル, 1993, pp. 15-16)。
36) 連邦主義といっても様々な枠組みがある。代表的なものとしてモネらの「小刻みな連邦主義」
や、スピネッリらが考える「民主的革新主義」、そして「人格主義的連邦主義」の3つがある(バ ージェス, 2010)。そしてここで述べている連邦主義は、スピネッリらの掲げた連邦主義が近 いといえる。
37) 田中が指摘するように、ローマ条約が規定していた「人々」は「労働者」を指す(2005, p.
7, 10)。なお、マーストリヒト条約で認められた権利は「他の加盟国領域への移動し、自由に 居住する権利、居住地における地方選挙における選挙権ならびに欧州議会選挙における選挙権 と被選挙権、自国の在外公館が存在していない第三国在外公館による外交的及び領事的保護を 受ける権利、欧州議会への請願権、オンブズマンへ訴える権利(田中, 2005 p. 14)」である。
demoi
)」によって構成されているという立場にデモイクラシー論は立つ38)。 本稿はこの枠組みを採用することで、1つのデモス形成には至らないEU
市民の実態を捉えることを試みる。具体的には、次のような問いを立てるこ とでその実態を検証する。欧州に暮らす人々は自身をどのように認識してい るのか。彼らは自身をEU
市民と認識しているのか。あるいは併存するもの として認識しているのか。そして併存しているのであれば、ヨーロピアンア イデンティティはナショナルアイデンティティと比較してどのようなものな のか39)。実際に1つのデモスとしての
EU
市民が成立していないことが導き出され れば、EU
の正統性構築の難しさを理解することが可能となる。また上記を 示すことで、EU
におけるデモイクラシー論の補完も目指す。⑵ 実態としての EU 市民の検証
本研究では、分析データとして
EB
を採用する40)。年代別の変化を探るこ38) デモイクラシーが成立するか否かという議論については本研究の範疇を越えるため、概念を 紹介するにとどめる。なおシュトレーク(2017, pp. 273-277)はその成立に否定的である。
39) 複数の論者が指摘する通り、本来であれば「ヨーロピアンアイデンティティ」と「EUアイ デンティティ」は区別する必要がある。しかし正躰が指摘する通り、EU自身がその区別をで きていない(2018, p. 74)。例えばEBの質問においても、両アイデンティティの区別がなさ れていない。したがって、EU市民自身も両アイデンティティを区別できていないと予測される。
そのため本稿でも両者を明確に区別することはしない。なお両アイデンティティに関する詳細 は、正躰(2018)、渡邊(2006; 2014)。
40) ここで改めてユーロバロメーター(EB)の調査方法を確認する。1974年春に第1回EBが 実施されて以降、2018年秋で第90回を迎える。年2回(春・秋)に行われる。EBには現在① Standard EB、②Special EB、③Flash EB、④Qualitative EBの4種類がある。
Standard EBは、EUが重視する事項に関する調査を行う。Standard EBは毎回その時の情 勢に応じて、質問内容を変化させる傾向がある。質問内容として例えば欧州議会といったEU の機関に関する認知度や支持を聞くものや各国政府との比較、またEUにおけるシティズンシ ップやアイデンティティを問うもの、さらにはユーロや自由移動などに関する成果や課題等に ついて聞くものが多い。
Special EBは、Standard EBなどから得られた情報に基づき、EUのサービス向上のために なされるより詳細な調査である。調査時期や回数は厳格には決まっていない。例えば2018年に は11回実施されており、テーマも気候変動や安全保障、ジェンダーの平等など様々である。な お1970年2月に第1回がなされており、2019年3月現在第488号を迎える。
とで「
EU
市民」の実情を検証する。着目する質問は「あなたは自分自身を○○と認識しますか」である。回答者には、(ナショナリティ)のみ・(ナシ ョナリティ)とヨーロピアン・ヨーロピアンと(ナショナリティ)・ヨーロ ピアンのみ、の4つから選択させる41)。
EB
の問題点として、一貫した質問を採用していないという点が挙げられ る。EU
自身、またEU
を取り囲む環境の短期間での大幅な変化が、その要 因の一つであろう。同様に、質問自体の小さな変化による回答のズレが懸念 される42)。こうした中、本質問は比較的長期間に渡ってなされてきた。そのFlash EB は、アドホックかつ小規模なEBという位置づけの下、1987年以降多種多様な内 容の調査を行う。取り扱う内容に応じて、調査対象国数が異なる点も特徴的である。2019年3 月現在第478号を迎える。
Qualitative EBは、選択された社会的集団に対して、与えられた主題や概念に関する動機・
感情・反応を詳細に調査するものである。1987年以降不定期に実施されており、2015年までに 47回実施されている。調査内容は調査ごとに異なる。調査方法が大きく異なる点や、Special
EBやFlash EB以上に不定期に実施されるため、別枠として設けていると考えられる。
なお一般的にユーロバロメーター、EBと呼ぶ場合Standard EBを指す。以下Standard EB(以 下、EBと表記)の調査方法について簡潔に記載したい。現在EBは欧州委員会コミュニケー ション総局・メディア監督・メディア分析・ユーロバロメーター部署(Media monitoring, Media analysis and Eurobarometer Unit)管轄の下で調査が行われている(なお、実施につい ては2018年現在TNS opinion & socialが担当している)。EBは加盟国を基本とし、場合によっ ては、候補国も調査対象とする(なお第89回では28か国と、トルコ・マケドニア・モンテネグ ロ・セルビア・アルバニア・トルコ系キプロス人コミュニティを調査の対象とした)。サンプ ルは人口規模と密度を考慮してとられ、その区分としてEurostat NUT 2(地域政策適用のた めの基本的な地域区分。EU28を1281に分ける)を採用する。サンプリングの対象はランダム で選択され、原則直接インタビューが実施される。なおインタビューは各国1000人実施してい る(ただし28か国中ルクセンブルクとマルタについては500人)。国家の枠を越える大規模な調 査を半年に1回、かつ長期にわたって実施しているのはEBの他には存在していない。
41) カッコは原文ママ。(ナショナリティ)とヨーロピアンはナショナリティが優先することを 指し、ヨーロピアンと(ナショナリティ)、はヨーロピアンが優先されることを指す。ただし、
どの程度優先されるのかについては、本データから読みとることはできない。
42) 例えば、EB44では「あなたは、町 / 村・地域・国・ヨーロッパ・EUに所属していると感じ ますか」を聞いているのに対し、EB 54・58・60・62・63では「あなたは、町 / 村・地域・国・
ヨーロッパに所属していると感じますか」とし、さらに、EB 65・67・68 では「あなたは、町 / 村・地域・国・EUに所属していると感じますか」と細かいながらも変化させている。また EB 17・19・24・26 では「あなたは自身の国の市民としてだけでなく、ヨーロッパの市民と考 えますか」と聞いているのに対し、EB 58・73・75・77-89では「あなたはEU市民であると感 じますか」と変化させている。EBはその回答から統合のレベルを把握するだけでなく、質問
ため、「
EU
市民」の意識の変化を捉えることに最も有効なデータを提供す ることが可能である。図2-1は
EB
が40周年を記念して作成・編集したグラフの一部を抜粋し、かつ新たなデータを加えたものである。こうして見ると60%以上の人々が自 身を「ヨーロッパ人」と認識しており43)、ヨーロピアンアイデンティティが 存在しないということはできないだろう。
ところが、下の表2-1、そして表2-1をもとに第1次から第6次拡大までを 整理した、図2-2から図2-7を見ると、図2-1とは異なる側面が浮き彫りにな
からEU自身の統合に対する意識をも読み取る上で重要な資料である。
43) (ナショナリティ)とヨーロピアン・ヨーロピアンと(ナショナリティ)・ヨーロピアンのみ、
の合計。
図2-1:あなたは自分自身を○○と認識しますか
出典:Eurobarometer, 40 years. Availableat: http://ec.europa.eu/commfrontoffice/ publicopinion/index.cfm/Archive/index (Accessed 5 September 2018);
Eurobarometer81, 89より筆者作成。
0 10 20 30 40 50 60
(ナショナリティ)のみ (ナショナリティ)とヨーロピアン ヨーロピアンと(ナショナリティ) ヨーロピアンのみ
1992春EB
37
1993秋EB
40
1994秋EB
42
1995春EB
43
1996秋EB
46
1997秋EB
47
1998秋EB
49
1998秋EB
50
1999秋EB
52
2000春EB
53
2000秋EB
54
2001秋EB
56
2002春EB
57
2002秋EB
58
2003春EB
59
2003秋EB
60
2004春EB
61
2004秋EB
62
2005秋EB
64
2007EB
67 ・1 2010春EB 73
2011EB
76 ・4 2012春EB 77
2012EB
78 ・2 2013秋EB 80
2014春EB
81
2014秋EB
82
2015春EB
83
2015秋EB
84
2016春EB
85
2016秋EB
86
2017春EB
87
2017秋EB
88
2018春EB
89
表2-1:自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移:(Nationality) and European + European and (Nationality)+ European only
DE FR IT NL BE LU UK DK IE EL ES PT SE AT FI PL HU CZ SK SI EE LV LT MT CY BG RO HR EU
EB37春1992 55 67 69 55 58 69 43 51 45 61 61 58 59
EB40秋1993 55 65 70 59 65 63 37 50 50 56 55 53 56
EB42秋1994 67 75 71 65 66 76 48 51 59 54 61 56 63
EB43春1995 62 69 73 64 62 77 44 49 57 47 54 52 43 46 52 60
EB46秋1996 46 64 62 57 49 71 37 42 48 39 54 47 35 44 41 51
EB47秋1997 48 63 64 57 47 73 38 45 47 45 52 39 41 47 43 51
EB49秋1998 47 64 67 55 53 63 35 50 44 43 56 32 40 46 43 52
EB50秋1998 50 65 69 59 53 73 36 48 47 50 63 42 39 47 47 54
EB52秋1999 49 59 71 55 57 72 30 43 45 41 63 46 38 50 39 52
EB53春2000 51 69 74 61 58 68 33 52 43 45 71 53 40 45 45 57
EB54秋2000 60 67 75 58 55 74 33 50 49 47 76 49 44 47 45 60
EB56秋2001 56 64 66 54 53 75 28 60 43 41 59 48 49 52 40 53
EB57春2002 59 64 78 57 64 70 36 62 50 52 68 55 44 52 44 59
EB58秋2002 60 66 76 58 61 80 33 63 57 48 65 51 49 58 44 59
EB59春2003 63 64 72 53 51 75 31 62 47 47 63 50 44 45 43 56
EB60秋2003 59 62 72 57 57 72 36 63 48 48 69 48 51 53 43 57
EB61春2004 60 68 67 50 59 69 35 56 49 44 65 53 41 47 40 56
EB62秋2004 62 68 63 66 66 63 42 60 58 42 58 50 51 55 44 54 35 42 61 55 54 51 43 66 69 54 53 63 57
EB64秋2005 63 66 61 65 65 72 34 59 47 53 58 55 56 52 51 59 48 60 60 64 48 54 44 71 68 51 55 66 57
EB67.1 2007 68 67 44 70 69 76 38 63 40 51 62 48 54 54 51 54 54 50 55 63 51 44 42 66 61 50 42 56
EB73春2010 59 56 51 62 62 68 28 57 40 48 61 54 50 49 51 55 53 40 58 44 49 44 37 60 57 43 37 51
EB76.4 2011 68 61 67 57 71 77 37 58 39 44 65 48 63 52 51 57 47 45 67 60 54 49 46 67 59 51 47 58
EB77春2012 66 63 60 66 68 79 38 61 44 55 61 59 61 54 54 64 47 49 67 59 50 50 43 61 59 51 50 58
EB78.2 2012 68 63 66 69 68 82 37 61 32 53 64 54 60 63 58 60 51 50 68 59 53 52 44 69 60 50 54 68 59
EB80秋2013 63 60 54 62 67 77 34 62 34 43 61 48 59 60 56 63 52 50 66 51 54 53 53 61 51 48 46 70 54
EB81春2014 71 64 52 68 65 77 33 62 51 51 66 57 68 65 63 60 54 52 55 63 60 54 54 73 47 47 53 62 59
EB82秋2014 67 64 55 69 67 79 39 66 52 46 67 51 62 60 56 62 60 59 65 60 64 56 52 76 48 49 59 67 59
EB83春2015 72 63 61 73 66 82 34 65 57 48 67 57 67 57 59 55 63 56 63 61 62 50 57 73 43 51 58 69 60
EB84秋2015 67 61 54 68 66 79 33 63 52 51 67 59 61 49 60 59 66 55 60 59 59 48 58 67 42 46 58 68 57
EB85春2016 69 66 55 72 72 86 35 64 57 45 67 58 62 58 60 61 63 54 62 62 56 50 55 68 49 47 51 66 59
EB86秋2016 68 63 52 69 72 88 49 64 60 50 72 69 60 52 61 63 68 54 60 55 59 53 57 72 49 49 53 63 61
EB87春2017 71 61 57 73 72 82 54 63 61 47 72 63 65 57 58 67 70 61 61 58 55 55 58 70 52 52 54 60 63
EB88秋2017 70 63 57 70 69 85 49 66 63 46 82 69 65 59 60 62 73 61 57 61 60 51 58 71 55 51 50 65 63
EB89春2018 71 61 61 71 70 87 48 64 63 48 74 68 61 58 62 67 75 65 65 62 58 55 55 71 59 48 50 67 63
出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
表2-1:自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移:(Nationality) and European + European and (Nationality)+ European only
DE FR IT NL BE LU UK DK IE EL ES PT SE AT FI PL HU CZ SK SI EE LV LT MT CY BG RO HR EU
EB37春1992 55 67 69 55 58 69 43 51 45 61 61 58 59
EB40秋1993 55 65 70 59 65 63 37 50 50 56 55 53 56
EB42秋1994 67 75 71 65 66 76 48 51 59 54 61 56 63
EB43春1995 62 69 73 64 62 77 44 49 57 47 54 52 43 46 52 60
EB46秋1996 46 64 62 57 49 71 37 42 48 39 54 47 35 44 41 51
EB47秋1997 48 63 64 57 47 73 38 45 47 45 52 39 41 47 43 51
EB49秋1998 47 64 67 55 53 63 35 50 44 43 56 32 40 46 43 52
EB50秋1998 50 65 69 59 53 73 36 48 47 50 63 42 39 47 47 54
EB52秋1999 49 59 71 55 57 72 30 43 45 41 63 46 38 50 39 52
EB53春2000 51 69 74 61 58 68 33 52 43 45 71 53 40 45 45 57
EB54秋2000 60 67 75 58 55 74 33 50 49 47 76 49 44 47 45 60
EB56秋2001 56 64 66 54 53 75 28 60 43 41 59 48 49 52 40 53
EB57春2002 59 64 78 57 64 70 36 62 50 52 68 55 44 52 44 59
EB58秋2002 60 66 76 58 61 80 33 63 57 48 65 51 49 58 44 59
EB59春2003 63 64 72 53 51 75 31 62 47 47 63 50 44 45 43 56
EB60秋2003 59 62 72 57 57 72 36 63 48 48 69 48 51 53 43 57
EB61春2004 60 68 67 50 59 69 35 56 49 44 65 53 41 47 40 56
EB62秋2004 62 68 63 66 66 63 42 60 58 42 58 50 51 55 44 54 35 42 61 55 54 51 43 66 69 54 53 63 57
EB64秋2005 63 66 61 65 65 72 34 59 47 53 58 55 56 52 51 59 48 60 60 64 48 54 44 71 68 51 55 66 57
EB67.1 2007 68 67 44 70 69 76 38 63 40 51 62 48 54 54 51 54 54 50 55 63 51 44 42 66 61 50 42 56
EB73春2010 59 56 51 62 62 68 28 57 40 48 61 54 50 49 51 55 53 40 58 44 49 44 37 60 57 43 37 51
EB76.4 2011 68 61 67 57 71 77 37 58 39 44 65 48 63 52 51 57 47 45 67 60 54 49 46 67 59 51 47 58
EB77春2012 66 63 60 66 68 79 38 61 44 55 61 59 61 54 54 64 47 49 67 59 50 50 43 61 59 51 50 58
EB78.2 2012 68 63 66 69 68 82 37 61 32 53 64 54 60 63 58 60 51 50 68 59 53 52 44 69 60 50 54 68 59
EB80秋2013 63 60 54 62 67 77 34 62 34 43 61 48 59 60 56 63 52 50 66 51 54 53 53 61 51 48 46 70 54
EB81春2014 71 64 52 68 65 77 33 62 51 51 66 57 68 65 63 60 54 52 55 63 60 54 54 73 47 47 53 62 59
EB82秋2014 67 64 55 69 67 79 39 66 52 46 67 51 62 60 56 62 60 59 65 60 64 56 52 76 48 49 59 67 59
EB83春2015 72 63 61 73 66 82 34 65 57 48 67 57 67 57 59 55 63 56 63 61 62 50 57 73 43 51 58 69 60
EB84秋2015 67 61 54 68 66 79 33 63 52 51 67 59 61 49 60 59 66 55 60 59 59 48 58 67 42 46 58 68 57
EB85春2016 69 66 55 72 72 86 35 64 57 45 67 58 62 58 60 61 63 54 62 62 56 50 55 68 49 47 51 66 59
EB86秋2016 68 63 52 69 72 88 49 64 60 50 72 69 60 52 61 63 68 54 60 55 59 53 57 72 49 49 53 63 61
EB87春2017 71 61 57 73 72 82 54 63 61 47 72 63 65 57 58 67 70 61 61 58 55 55 58 70 52 52 54 60 63
EB88秋2017 70 63 57 70 69 85 49 66 63 46 82 69 65 59 60 62 73 61 57 61 60 51 58 71 55 51 50 65 63
EB89春2018 71 61 61 71 70 87 48 64 63 48 74 68 61 58 62 67 75 65 65 62 58 55 55 71 59 48 50 67 63
出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
図2-2: 自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移⑴:(Nationality) and European+European and (Nationality)+ European only 出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
2530354045505560657075808590原加盟国 DEFRITNLBELUEU
(%)
2018春EB 89 2017秋EB 88 2017春EB 87 2016秋EB 86 2016春EB 85 2015秋EB 84 2015春EB 83 2014秋EB 82 2014春EB 81 2013秋EB 80 2012EB
78.2
2012春EB 77 2011EB 76.42010春EB 73 2007EB 67.12005秋EB 64 2004秋EB 62 2004春EB 61 2003秋EB 60 2003春EB 59 2002秋EB 58 2002春EB 57 2001秋EB 56 2000秋EB 54 2000春EB 53 1999秋EB 52 1998秋EB 50 1998秋EB 49 1997秋EB 47 1996秋EB 46 1995春EB 43 1994秋EB 42 1993秋EB 40 1992春EB 37
図2-3: 自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移⑵:(Nationality) and European+European and (Nationality)+ European only 出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
2530354045505560657075808590第1次拡大諸国 UKDKIEEU
(%)
2018春EB 89 2017秋EB 88 2017春EB 87 2016秋EB 86 2016春EB 85 2015秋EB 84 2015春EB 83 2014秋EB 82 2014春EB 81 2013秋EB 80 2012EB
78.2
2012春EB 77 2011EB 76.42010春EB 73 2007EB 67.12005秋EB 64
2004秋EB 62 2004春EB 61 2003秋EB 60 2003春EB 59 2002秋EB 58 2002春EB 57 2001秋EB 56 2000秋EB 54 2000春EB 53 1999秋EB 52 1998秋EB 50 1998秋EB 49 1997秋EB 47 1996秋EB 46 1995春EB 43 1994秋EB 42 1993秋EB 40 1992春EB 37
図2-4: 自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移⑶:(Nationality) and European+European and (Nationality)+ European only 出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
2530354045505560657075808590第2次・第3次拡大諸国 ELESPTEU
(%)
2018春EB 89 2017秋EB 88 2017春EB 87 2016秋EB 86 2016春EB 85 2015秋EB 84 2015春EB 83 2014秋EB 82 2014春EB 81 2013秋EB 80 2012EB
78.2
2012春EB 77 2011EB 76.42010春EB 73 2007EB 67.12005秋EB 64
2004秋EB 62 2004春EB 61 2003秋EB 60 2003春EB 59 2002秋EB 58 2002春EB 57 2001秋EB 56 2000秋EB 54 2000春EB 53 1999秋EB 52 1998秋EB 50 1998秋EB 49 1997秋EB 47 1996秋EB 46 1995春EB 43 1994秋EB 42 1993秋EB 40 1992春EB 37
図2-5: 自身をヨーロッパ人と捉える人々の割合の推移⑷:(Nationality) and European+European and (Nationality)+ European only 出典:Eurobarometer 37, 40, 42, 43, 46, 47, 49, 50, 52, 53, 54, 56, 58, 59, 60, 61, 62, 64, 67.1, 73, 76.4, 77, 78.2, 80, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89 をもとに筆者作成。
2530354045505560657075808590第4次拡大諸国 SEATFIEU
(%)
2018春EB 89 2017秋EB 88 2017春EB 87 2016秋EB 86 2016春EB 85 2015秋EB 84 2015春EB 83 2014秋EB 82 2014春EB 81 2013秋EB 80 2012EB 78.22012春EB 77 2011EB 76.42010春EB 73 2007EB 67.12005秋EB 64
2004秋EB 62 2004春EB 61 2003秋EB 60 2003春EB 59 2002秋EB 58 2002春EB 57 2001秋EB 56 2000秋EB 54 2000春EB 53 1999秋EB 52 1998秋EB 50 1998秋EB 49 1997秋EB 47 1996秋EB 46 1995春EB 43