神経症を呈する教師へのカウンセリング過程
−他の医療機関との連携を図りながら−
内野成美
1.はじめに
文部省の調査では、昨年度、全国で病気による休職をした教員のうち1385人が精神 疾患によるものと報告されていた。これは、病気による教員休職者数の実に3割以上を占
めている。
いじめや不登校、学級崩壊などが、教育分野に限らず社会問題となっている。問題は、
学校だけに起因するわけではないが、学校生活の中で起こる問題であるために、直接に子 どもたちを指導・援助を行う教員は、問題解決のために中心となって力を尽くすことが期 待される。長崎大学教育学部では、そのような教員の援助を主な目的として、平成11年
4月に附属教育実践研究指導センター内に教育相談室を開設した。
以下にあげたものは、相談室においてカウンセリングを行った1つの例である。なお、
プライバシー保護のため、問題の流れに関係ない部分は配慮してある。
2.事例の概要
(1)クライエント
教諭A(女性,30歳代)
(2)主訴
自分自身の心のケア
(3)家族構成
Aは、離島で生まれた。家族構成は父、母、兄、妹の5人である。父母は、現在もそこ で生活しているが、子供たちはそれぞれ独立し、現在A自身を含めて皆単身で生活してい る。Aは高校進学時から単身本土での生活を続けており、兄や妹も近県でそれぞれの生活 を送っている。以下、A自身の語った家族構成と各自の特徴である。
(4)A自身の見た家族の印象
Aの話の順番どおり、母・父・妹・兄の順に述べる。
母は、 不安定な性格 で、気分が落ち着かなくなると、Aが実家を離れた高校時代から たびたびAに電話をしていた。その際、母親はAに「あなたはしっかりしているから」と いうのが口癖であった。Aが神経症を呈するようになってから、「お母さんを支えられない」
と言うと、それ以来、母親からの電話はないとのことである。父は、穏やかな性格で、母 を静かに見守っているが、幼少時からAよりも妹の方をかわいがっていたとAは感じてい た。この父母とAはここ半年ほど電話のやりとりもない状態である。「喧嘩しているわけで はないが、用もないので」とAは話す。妹は、他県で医療関係の仕事についている。この 妹は、小さい頃からしっかりしていて、Aは、彼女からのアドバイスをきっかけに、次に 述べるB病院でカウンセリングを受けることになったのである。直接会うことは少ないが、
姉の状態を心配してよく電話を掛けてくるとのことである。兄とは過去から現在に至るま であまり交流がないようで、Aから話が出ることは、ほとんどなかった。
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