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鋼の表面赤熱脆性抑制に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)鋼の表面赤熱脆性抑制に関する研究. Studies on the suppression of surface hot-shortness in steels. 秦野 正 治. Masaharu Hatano.

(2) 目次. 第1章. 緒言. 1. 1−1. 表面赤熱脆性とは. 1. 1−2. 表面赤熱脆性に関する最近の研究. 2. 1−3. 本研究目的. 7. 参考文献. 第2章. 11. 実験方法. 13. 2−1. 供試鋼の作製方法. 13. 2−2. 熱間加工割れ再現実験方法. 14. 2−3. 評価方法. 15. 参考文献. 16. 第3章. 表面赤熱脆性におよぼす熱履歴の影響. 17. 3−1. 緒言. 17. 3−2. 実験方法. 17. 3−3. 実験結果. 18. 3−4. 考察. 25. 3−5. まとめ. 30. 参考文献. 31. - 1-.

(3) 第4章. 水蒸気含有雰囲気加熱における表面赤熱脆性. 47. 4−1. 緒言. 47. 4−2. 実験方法. 48. 4−3. 実験結果. 50. 4−3−1. 50. 4−3−2. 57. 4−4. 考察. 70. 4−5. まとめ. 78. 参考文献. 79. 第5章. Cu 含有フェライト系ステンレス鋼における表面赤熱脆性の抑制 81. 5−1. 緒言. 81. 5−2. 実験方法. 82. 5−3. 実験結果. 84. 5−4. 考察. 95. 5−5. まとめ. 98. 参考文献. 99. 第6章. 総合考察. 101. 第7章. 総括. 110. 研究業績. 113. 略歴. 119. - 2-.

(4) 第1章. 緒言. 1−1. 表面赤熱脆性とは. 表面赤熱脆性は、加熱色が赤くなる温度,すなわち 900〜1100℃にかけて鋼 に現れる脆性として古くから知られている。実際、S 含有量が多い鋼材の場合、 表面赤熱脆性を起こしやすく,熱間鍛造や熱間圧延によりその表面には亀裂、 すなわち割れが現れる. 1). 。従来、この脆化は、900〜950℃および 1050〜1100. ℃の二つの温度域において顕著になることが報告されている。前者は、一般に もろい FeS が結晶粒界に形成されることにより,後者は、FeS の溶融および鋼 材の表面に富化した Cu や Sn 等が結晶粒界に浸潤・溶融することによって起 こるとされている. 1). 。S による前者の脆化は、精錬の脱硫技術により,後者は. Mn を添加して融点の高い MnS を形成することにより工業的に回避されている。 しかし、Cu や Sn は、現在の精錬においても除去することは大変困難である 5). 2-. 。このため、Cu や Sn が混入する鉄スクラップを鉄源として用いた場合、Cu. や Sn による表面赤熱脆性は未だ避けられない問題である。 鋼中の Cu や Sn は、酸化物を形成する傾向の小さな元素である. 6). 。このた. め鋼材を炉内で加熱すると、鉄、Mn,および Cr 等が選択的に酸化される。そ の結果、鋼中の Cu や Sn は表面に富化されて,融点の低い金属 Cu あるいは Cu や Sn を多く含む Fe の低融点合金が出現する. 1). 。上述したように、表面赤. 熱脆性は、これら融点の低い Cu や低融点合金による結晶粒界の溶融によって 起こることが理解されている。 Cu や Sn による表面赤熱脆性を工業的に防止するには、Ni を添加すること が唯一の手だてとなっている。古くから Ni は、固体鉄中への Cu の溶解度を 著しく増加させるとともに を高める. 8). 7). ,融点の低い Cu や低融点合金に固溶して、融点. 効果があるとされている。従来の研究から、表面赤熱脆性を防止. するには、Ni/Cu=0.5〜1.0 の割合で Ni を添加することが有効で. - 3-. 9). 、実際 Cu.

(5) を含有する多くの実用鋼には、通常 Ni が添加されている. 1 0 , 1 1). 。しかし Ni は、. 希少で高価な上に、精錬で除去し難く、Cu や Sn と同じくリサイクルの過程で 鉄スクラップ中に循環濃縮していく。よって、Ni はできるだけ Cu や Sn の表 面赤熱脆性対策として使用したくない元素でもある。これらの研究成果に加え、 表面赤熱脆性はおよそ 1300℃を越えると消失することも古くから知られてい る. 1). 。その要因は、表面に濃化した Cu や Sn の合金が鉄中へ拡散することに. よると説明されている。. 1−2. 表面赤熱脆性に関する従来の研究. 鉄スクラップを鉄源とした際に発生する熱間加工割れ、すなわち表面割れは、 Cu や Sn による表面赤熱脆性をその起源としている。最近の研究から. 1 2 ,13 ). 、鋼. 材の加熱時には鉄が選択酸化されるため,Cu や Sn は酸化層であるスケ−ルと 地鉄の界面に濃化することが明らかとなっている。ここで、これら Cu や Sn の濃化相は、1100℃付近において液相となる。このため、この濃化液相が熱間 加工により結晶粒界に浸入して粒界強度を弱め、その結果として表面割れが生 じると考えられている. 12 ). 。図1−1は、従来報告されている例として、(a). スケ−ル/地鉄界面に出現した Cu 濃化相. 12 ). 、および(b)Cu 濃化相が熱間加工. で結晶粒界へ浸入することにより生じた表面割れ あ る 。 こ こ で 、 (a ) は 、 柴 田 ら. 1 3). 13). を示す光学顕微鏡写真で. に よ り 、 0.1%C-0.5%Cu 含 有 鋼 を 大 気 中. 1100℃ で 酸 化 後 、 室 温 へ 冷 却 し た 試 験 片 に お い て 観 察 さ れ た も の で あ る 。Cu は、矢印で示すようにスケ−ルと地鉄の界面に濃化し、薄黄色いコントラスト の領域と対応している。一方、(b)は、梶谷ら. 1 2). により、0.2%C-1%Cu 含有. 鋼を大気中 1100℃において、歪速度 5s - 1 で変位量 1mm の引張変形を加えた後、 室温へ冷却した試験片において観察された地鉄表層部分の金属組織である。図 から分かるように、表面には矢印で示す亀裂、すなわち割れが確認される。さ らに、割れの先端である結晶粒界には、矢印で示す薄黄色いコントラストの領. - 4-.

(6) 域からなる Cu 濃化相が認められる。 0.05mm. 0.04mm. Cu. 図1−1. Cu 含有鋼の(a)スケ−ル/地鉄界面に出現した Cu 濃化相. (b)Cu 濃化相の結晶粒界への浸入による表面割れ. 12 ). 1 3). ,. を示す. 光学顕微鏡写真 (a)0.1%C-0.5%Cu 含有鋼;1100℃,大気中酸化 (b)0.2%C-1.0%Cu 含有鋼;1100℃,大気中引張変形 (引張条件)歪速度 5s - 1 ,変位量 1mm. 液体金属が結晶粒界に湿潤し、破断を生じさせるための臨界応力σについて は、McLean により平衡論的なエネルギ−バランスに基づいた検討がなされて いる。(1)式は、彼によって得られた臨界応力である 3σb≧2γ SL −γ b. 1 4). 。. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1). ここで、b は金属結晶の原子半径、γ SL とγ b はそれぞれ液相/固相界面エネ ルギ−と粒界エネル ギ − で あ る 。 (1) 式 か ら 分 か る よ う に 、 高 い 臨 界 応 力σ を得るには、大きなγ SL と小さなγ b 、すなわち液体 Cu の結晶粒界への湿潤を 抑制する必要がある。 長崎・柴田ら. 15 ). は、Cu インプラント試験と呼ぶ方法で、液体 Cu の結晶粒. 界への湿潤性を評価している。この試験は、丸棒引張試験片の中軸に丸い穴を あけ,その中に Cu の丸棒を挿入した後、1100℃で引張試験を行うというもの. - 5-.

(7) である。図1−2 1 5 ) には、その例として、IF 鋼(Intersticial Free Steel:Ti 添加 極低炭素鋼)において得られた応力−歪曲線を示している。ここで、歪速度は 2.5×10 -2 s -1 である。図中の IF はベ−スとなる IF 鋼、IFB は IF 鋼に B を 9ppm 添加した鋼、IFP は P を 0.1% 添加した鋼、IFPB は P を 0.1% および B を 7ppm 添加した鋼である。図から分かるように、IF 鋼の破断応力および破断歪は、微 量の B や 0.1%P の添加により上昇している。試験の結果彼らは、B や P を添 加した鋼材では、破断応力が上昇し,液体 Cu の粒界湿潤性が抑制されること を報告している. 1 5). 。さらに彼らは、B や P の添加による液体 Cu の粒界湿潤性. の抑制について、(1)式に基づき以下のように説明している。添加元素が粒 界湿潤性に及ぼす影響としては、(1)式から、①粒界への偏析によるγ b の 減少および. ②液体 Cu 中への溶解によるγ SL の増加、の二つの因子が挙げら. れる。また従来の研究から、B や P は粒界に偏析するとともに,液体 Cu 中に も溶解することが知られている。従って、B や P の添加により液体 Cu の粒界 湿潤性が抑制された理由は、(1)式から予想されるように、結晶粒界エネル ギ−の低下と固液界面エネルギ−の増加によると推論されている. - 6-. 1 5). 。.

(8) True stress (MPa). 30 IF steel implant: 99.9%Cu 25 2.5 ×10 -2 s -1 20 ←IFPB. 15 10 5 0. 図1−2. ←IFP ←IFB IF →. 0.02 0.04 0.06 0.08 True strain. 0.1. IF 鋼の Cu インプラント試験による応力−歪曲線 15 ) (試験条件)1100℃,大気中,歪速度 2.5×10 - 2 s -1. I F : I F 鋼 、 IFB:9ppmB 添加 IF 鋼、IFP :0.1%P 添加 IF 鋼、 IFPB:0.1%P, 7ppmB 添加 IF 鋼. Seo および柴田ら. 1 6). は、鋼材の表面赤熱脆性の感受性が、以下の( 2)式で. 与えられる指数 Ep' により、実験室的に評価できることを提案している。 Ep' (% )=[P(Ar)−P'(Oxi)]/P(Ar)×100. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2). ここで、P (Ar)は非酸化雰囲気である Ar ガス中での引張試験から得られる最 大荷重,P'(Oxi)は 、 酸 化 に よ る 断 面 積 減 少 分 で 補 正 し た 、 酸 化 雰 囲 気 中 で の 引張試験から得られる最大荷重である。ここで、 表面赤熱脆性が生じると、 P'(Oxi)は P(Ar)より小さくなる。つまり( 2) 式 か ら 、 評 価 指 数 Ep' が大きい と、表面赤熱脆性は生じやすくなると理解される。 液体 Cu の結晶粒界への浸入速度は、これまで非常に速いものと報告されて. - 7-.

(9) きた. 17 ). 。しかしながら、Seo ら. 18 ). および鈴木. 19 ). は、(2)式で与えられる指数. Ep' を用いて表 面赤熱脆性に及ぼす歪速度の影響について評価し、Ep' が歪速度 によって異なることを報告している。図1−318 ) は、Seo らによって示された 0.1%C-0.5%Cu 含有鋼における評価指数 Ep' の歪速度による変化である。ここで 歪速度は、大気中 1100℃の引張試験において、10 - 4 から 10 2 s -1 の範囲で変化さ せている。図から分かるように、評価指数 Ep' はおよそ 1×10 - 2 s-1 の歪速度で最 も大きくなっている。これらの結果から、表面赤熱脆性は 1×10 - 2 s -1 付近の歪 速 度 で 最 も 生 じ や す く な る と 理 解 さ れ る 。 す な わ ち、脆性は、 1×10 - 2 s- 1 より 速いあるいは遅い歪速度において抑制されることが分かる。. 60 50. Ep'. 40 30 20 0.1%C-0.5%Cu steel 1100℃ in air. 10 0. 10-4. 図1−3. 10-3. 10 -2 10-1 100 Strain rate(s-1). 101. 102. 0.1%C-0.5%Cu 含有鋼の大気中 1100℃引張試験. による指数 Ep' の歪速度に伴う変化. 1 8). 液体 Cu の結晶粒界への湿潤性に及ぼす歪速度の影響については、笹沼・柴 田ら. 2 0). により、上述の Cu インプラント試験に基づいた検討がなされている。. 図1−4 20 ) は、彼らによって示された 0.1%C-0.5%Cu 含有鋼の Cu インプラン. - 8-.

(10) ト試験結果である。この試験には、Cu-20%Sn 合金の丸棒が使用されている。 図から分かるように、歪速度の 8.3×10 -4 から 4.2×10 -1 s -1 への増加により、破 断応力は上昇し,破断歪は減少している。これら結果に基づき、10 - 2 s - 1 より速 い歪速度での脆性抑制は、結晶粒界への液体 Cu の浸入が阻止され、その結果 破断応力が高くなり、鋼材そのものの塑性変形能が低下したためだと説明して いる. 2 0). 。一方、歪速度が遅い 8.3×10 -4 s -1 の場合では、動的再結晶により内部. 応力は上昇せず、このため脆化が起こりにくくなる. 2 0). 。従って、表面赤熱脆. 性が生じる臨界応力は、( 1) 式 の 平 衡 論 的 な エ ネ ルギ−バランスによってだ けではなく,鋼材の塑性変形能や液体 Cu の流動性等の速度論的な因子によっ ても支配されていることが理解される。. 40. -1. 4.2×10 s. -1. Stress / MPa. -2. 8.3 ×1 0 s. 1100℃ Cu-20%Sn. -1. 30. -3. -1. 4.2×1 0 s. -4. 20. -1. 8.3×10 s. 10 0. 0. 0.1. 0.2. 0.3. 0.4. 0.5. Strain 図1−4. 0.1%C-0.5%Cu 含有鋼の Cu インプラント試験による. 応力−歪曲線の歪速度に伴う変化 (試験条件)1100℃,大気中. - 9-. 2 0).

(11) 液体 Cu の結晶粒界への浸入には、Cu の濡れ性も深く関与している。田中ら 2 1 , 2 2). は、種々の酸素分圧下において Fe 基板を 1100℃に加熱後、Fe 基板上に液. 体 Cu の液滴を滴下し、その接触角を評価している。図1−5 2 1 ) は、Fe 基板と 液体 Cu の接触角に及ぼす酸素分圧の影響を示したものである。ここで、酸素 分圧は CO2 ガスと Ar-10%H2 ガスの混合比を変化させて調整している。図から 分かるように、Fe 基板と液体 Cu の接触角は、Fe/FeO が共存する酸素分圧域 において 40 degree 以下と小さく、一方 FeO/Fe 3 O4 が共存する酸素分圧域では 80 から 90 degree と大きくなる。このことから、彼らにより、液体 Cu は、低 酸素ポテンシャル下において、濡れ性の良い Fe/FeO 界面に沿って膜状に拡 21,22). がることが示されている. 。また Salter ら. 23 ). は、結晶粒界へ湿潤する液体. Cu の濡れ性について検討し、濡れ性の最も良い 1100℃において表面赤熱脆性 が顕著になること,さらに濡れの程度が添加元素により変化することを指摘し. 100 Contact angle(degree). Peculiar-wettability. Non-wettability. ている。. 1100℃ 80. 60. Fe/FeO. FeO/Fe3O4. 40. 20 0. 図1−5. 1. 2 Log(P CO2 /PH2). 3. 1100℃ に 加 熱 し た Fe 基板と液体 Cu の接触角. に及ぼす酸素分圧の影響 21 ). - 10 -.

(12) 表 面 割 れ の 程 度 を 示 す 割 れ の 深 さ と 幅 は 、 ス ケ − ル / 地鉄界面に存在する液 体 Cu の量に依存することが知られている。梶谷ら. 24 ). は、実際液体 Cu の有無. により、割れの進展が 2 つの段階からなることを報告している。図1−6 2 4 ) は、 0.2%C-1.0%Cu 含有鋼において、大気中 1100℃の引張変形による変位量と割れ の深さおよび幅の変化を示したものである。図から分かるように、●印で示す 割れ深さは、変位量 2mm 以下において急激に大きく増加している。一方、変 位量 2mm 以上では、割れ深さは殆ど変化せず、○印で示す割れ幅が大きく増 加している。すなわち、割れの進展は、深さ方向に成長する第1の段階と、幅 方向への開口が顕著な第2の段階に分けることができる。さらに彼らは、地鉄 表層部分の詳細な組織観察に基づき、上述の結果と液体 Cu の結晶粒界への浸 入挙動との相関につ いて以下のように説明している. 2 4). 。彼らによれば、第1. の段階では、スケ−ル/地鉄界面に存在する液体 Cu が粒界に浸入し、割れは深 さ方向に成長する。一方、第2の段階では、液体 Cu の枯渇により深さ方向へ の成長は停止し,歪量の増加とともに割れは幅方向に成長する。つまり、割れ の深さは、スケ−ル/地鉄界面に存在する液体 Cu の量に,割れの幅は、歪量に 強く影響されることが理解される。. - 11 -.

(13) 60 First Stage. Second Stage. 50. 0.3 40 0.2. 30 20. 0.1. 0.2%C-1.0%Cu steel 1100℃ in air. 0. 10. Average Crack Width (μm). Average Crack Depth (mm). 0.4. 0 0. 1. 図1−6. 2 3 4 Displacement (mm). 5. 0.2%C-1.0%Cu 含有鋼の大気中 1100℃の引張変形. よる割れ深さと幅の変化 24 ). 柴田ら. 25 ,26 ). は、表面赤熱脆性に及ぼす添加元素の影響について、上述の指数. Ep’ を用いて評価し,以下の 3 つの項目. ①スケ−ル/地鉄界面での Cu 濃化相. の量および存 在形態、②Cu 濃化相の結晶粒界への侵入のしやすさ、および③ 結晶粒径への影響、に分けて検討することを提案している。図1−7は、表面 赤熱脆性に及ぼす添加元素の影響ついて、その検討結果 を模式的に示したもの である。ここで、左図に示す①では、元素添加により、Cu 濃化相がスケ−ル 中に排斥され、その結果スケ−ル/地鉄界面に生成する Cu 濃化相の量が減少し、 表面赤熱脆性が抑制される。一方、右図の②では、スケ−ル/地鉄界面に Cu 濃 化相が存在するものの,結晶粒界への浸入を軽減して表面赤熱脆性が抑制され る。結局、これらの図から、添加元素の中で Mn や S は、①の Cu 濃化相の量 を減少させ、表面赤熱脆性を抑制する。同様な効果は C にも認められる。P や C については、②の Cu 濃化相の結晶粒界への侵入を軽減し、表面赤熱脆性を 抑制している。S i や B は、①と②の両者により表面赤熱脆性を抑制する。さ. - 12 -.

(14) らに、C,P ,B では、高温において③の結晶粒径を小さくすることにより、表 面赤熱脆性の感受性を低下させると理解されている. Si,Mn,B,S( C). 2 5). 。. S i , P , B , C( S n). Scale Cu-enriched alloy. Steel. Cu-enriched alloy. ① 図1−7. ②. 表面赤熱脆性に及ぼす添加元素の影響. 2 5). 表面赤熱脆性は、加熱雰囲気によっても影響を受けることが明らかとなって いる。Nicholson ら. 27 ). は、脆性の程度が酸化雰囲気中の水分や酸素量によって. 影響されることを指摘している。また、柴田ら. 2 5). および内野ら. 2 8). は、雰囲気. として乾燥空気(Dry air )、大気(Air)、および LNG 燃焼雰囲気ガス(16% H2 O-8%CO2 -2%O2 -bal.N 2 )の 3 種 類 を 取 り 上 げ 、 上 述 の 評 価 指 数 Ep' に及ぼす こ れ ら 雰 囲 気 の 影 響 に つ い て 調 べ て い る 。 図 1 − 8 2 5) は 、 そ の 例 と し て 、 0.5%C-0.5%Cu 含有鋼において、評価指数 Ep' に及ぼす雰囲気の影響を示したも の で あ る 。 図 か ら 分 か る よ う に 、Air の Ep' 値は、Dry air に比べて大きく、 16%H 2 O-8%CO2 -2%O2 -bal.N2 雰囲気に比べてはやや小さな値を取る。このこと から、表面赤熱脆性は、酸化雰囲気中の水分により生じやすくなることが予想 される。. - 13 -.

(15) 70 60. 0.5%C-0.5%Cu 1100℃. Ep'. 50 40 30 20 10 Dry air 図1−8. Air. LNG. 0.5%C-0.5%Cu 含有鋼の大気中 1100℃引張試験. による指数 Ep' の歪速度に及ぼす雰囲気の影響. 2 5). 従来の研究の最後として、本研究を進める上で重要な知見となった今井・国 重らの研究成果. 2 9 ,3 0 ). について、少し詳細にその内容を紹介する。彼らの研究は、. 熱間加工割れの調査を行い、Cu や Sn による表面赤熱脆性の抑制方法を検討し たものである。彼らの用いた試料は、軟鋼をベ−スに 0.3%Cu や 0.04%Sn を加 えた鋼材で、溶製後鍛造・熱間圧延により厚さ 20mm とした熱延板である。熱 間 加 工 割 れ の 調 査 に は 、 こ の 熱 延 板 よ り 切 り 出 し た 平 行 部 直 径 8mm, 長 さ 20mm の丸棒引張試験片を使用している。引張試験片の処理については、まず は予備酸化として、試験片を大気中 1000〜1300℃ で 2〜3 時間保持し、スケ− ルを生成させた後、一旦室温まで空冷した。その後、Ar 雰囲気中において予 備酸化と同じ温度に保持し、歪み量約 40% の引張変形を加えることにより試験 片平行部に表面割れを発生させている。 図1−9 2 9 ) には、Cu や Sn を添加した鋼材での表面割れに及ぼす加熱温度の 影響について示している。図から分かるように、△印で示す 0.3%Cu 単独含有. - 14 -.

(16) 鋼では 1100℃のみで割れが生じている。一方、○印の 0.3%Cu-0.04%Sn 含有鋼 では 1000 と 1100℃ の 2 つの温度で割れが発生しており、特に 1100℃での割れ 発生量は Cu 単独含有鋼の場合より多いことが見て取れる。しかし、□印で示 す 0.04%Sn 単独含有鋼では割れは発生していない。これらの結果から、Sn は、 それ自身表面赤熱脆性に寄与しないものの、Cu による脆化を大幅に助長して いることが分かる。さらに、本結果から、Cu および Cu+Sn 添加材での表面赤 熱脆性は、1200℃以上の高温加熱により抑制されることも理解される。. Number of cracks(cm-2). 15 0.05%C-0.01%Si-0.3%Mn-0.04%Al 0.3%Cu-0.04%Sn. 10. 0.3%Cu 5. 0.04%Sn 0 1000. 図1−9. 1100 1200 1300 Heating temperature (℃). Cu や Sn による表面割れに及ぼす加熱温度の影響. 2 9). また彼らは、Cu(S n)含有鋼でのスケ−ル/ 地鉄界面の様子について、大気 中 1000〜1300℃ ま で加熱後室温に空冷して得られた酸化試験片を用いて、そ の詳細を観察している。図1−10 3 0 ) は、彼らによって示された 0.3%Cu 単独 含有鋼での光学顕微鏡写真である。1000 お よ び 1100℃の光学写真に注目する と、スケ−ル/ 地鉄界面は多少の凹凸が見られるものの、基本的には平坦性の 高いものである。一方、1200 および 1300℃では、スケ−ル/地鉄界面の凹凸が. - 15 -.

(17) 増加している。さらに、1200℃では、スケ−ル中に矢印で示すように Cu 濃化 相である白いコントラストからなる領域も確認されている。これらの観察結果 に基づき、彼らは、1200℃以上の高温加熱による脆化抑制について以下のよう に説明している. 13,29 ,30 ). 。鋼材を酸化性雰囲気中の 1200℃以上に加熱すると、. Cu(Sn) 濃 化 相 は ス ケ − ル/地鉄界面に留まらずスケ−ル中にも存在するよう になる。この理由は、高温での粒界酸化や内部酸化により鉄の選択酸化が促進 さ れ 、Cu(S n ) 濃 化 相 が ス ケ − ル 中 へ 排 斥 さ れ る た め で あ る 。 つ ま り 、高温 加 熱 に よ る 脆 化 抑 制 は 、Cu(S n) 濃 化 相 の ス ケ − ル 中 へ の 排 斥 に よ る と 考 え られている。さらに彼らは、高温で保持した効果として、鉄の選択酸化によっ て地鉄界面に濃化した Cu や Sn が、鋼中へ拡散し、希釈されることも指摘し ている。結局、これらの検討から、表面赤熱脆性の対策として高価な Ni を添 加する以外に、 1200℃以上への鋼材の高温加熱も有効な手段であることが理解 される。. 図1−10. 0.3% Cu 単独含有鋼のスケ−ル/地鉄界面に及ぼす. 加熱温度の影響. 3 0). - 16 -.

(18) 1−3. 本研究の目的. 鉄鋼材料は安価で多様な性質を有するため、種々の構造物に大量に使用され ている。しかし、その結果として鉄スクラップの量は近年大幅に増加しており、 省資源,地球温暖化や廃棄物問題等の観点から、その利用について積極的な対 応が望まれている。実際、現状として、年間約 5,000 万トンの鉄スクラップが 鉄源として利用されているものの、2010 年にはその発生量が 6,400 万トンに達 するとの推定もなされている. 3 1). 。また最近では、鉄スクラップの量の問題に. 加え、その利用が容易でないという質の問題も生じている。具体的には、精錬 で除去し難い Cu と S n が、鉄スクラップ中に順次濃縮し、特に棒鋼では 2010 年過ぎには Cu 含有量が 0.4% を越えるとの予測もある. 1 2). 。これらの背景から、. 鉄スクラップのリサイクル率を上げるため、Cu や Sn による表面赤熱脆性の抑 制方法を明らかにすることは、鉄鋼材料分野における重要な課題の一つとなっ ている。 表面赤熱脆性を抑制するには、加熱時における鋼材の酸化、あるいは鋼中へ の Cu や Sn の混入を防止すればよいことは明らかである。しかし、現在の熱 間圧延プロセスを無酸化プロセスに置き換えることは容易なことではない。自 動車や家電製品を解体しやすい構造にする,自動車に使用される銅線の量を軽 減する、シュレッダ−の粉砕・分別能力を向上させる等により、鉄スクラップ 中への Cu や Sn の混入を軽減することも考えられる。しかしながら、これら の直接的な対策を講じるには多大な費用と時間を必要とし、無理をすると環境 負荷を増すことにもなる。よって、これらの手段は決して有効なものではない。 前節では、表面赤熱脆性に関する従来の研究成果の詳細を述べた。しかしこ れらの研究は、現場の操業条件下で発生する表面赤熱脆性を十分に再現したも のではない。例えば、実験室において、表面赤熱脆性 は 1100℃付近の比較的 短時間(〜1hr)で実施される引張試験により評価される. 1 2 ,15 - 20,24 -2 6 ). 。引張試験. に供される試験材の加熱も、殆どの場合,実験室で簡便に実施できる大気中に おいて行われる。現場で発生する表面赤熱脆性を再現するには、現場熱間圧延. - 17 -.

(19) プロセスの熱履歴および加熱雰囲気を十分考慮する必要がある。図1−11に は、現場の熱間圧延プロセスのイメ−ジ図を示している。まず、連続鋳造によ りスラブに代表される鋼塊が製造される。スラブの寸法は、例えば厚さ 0.2m, 幅 1m, 長さ 10m 程度である。スラブは、通常室温まで空冷された後、加熱炉 において長時間(2〜3hr )かけて 1000〜1300℃ の 温 度 範 囲 に 加 熱後 0.5〜1hr 間保持される。その後、加熱炉から抽出されたスラブは、水スプレ−などによ る冷却により 900〜1200℃の温度範囲において熱間圧延される。熱間圧延され た鋼板は、厚さ 2〜10mm 程度であり、コイルに巻き取り後室温まで空冷され る。ここで、現場加熱炉の雰囲気についても、その水蒸気濃度は燃焼ガスによ り変化することになる。具体的には、H 2 を多く含むコ−クス炉ガス(COG) は燃焼雰囲気ガス中に 20〜30% の水蒸気を含有し,一方 CO を多く含む高炉ガ ス(BFG)では殆ど水蒸気は含まれていない。また、液化石油ガス(LPG)や 天然ガス(LNG)を用いた燃焼雰囲気ガスの場合、その中には 10〜20% の水蒸 気が含まれる。従って、工業的には、上述した現場操業の熱履歴および加熱雰 囲気の水蒸気濃度を十分考慮して表面赤熱脆性を再現し,その影響について明 らかにすることが必要となる。. 連続鋳造 図1−11. スラブ. 加熱炉. 熱間圧延. 現場の熱間圧延プロセスのイメ−ジ図. 1−2節で述べたように、表面赤熱脆性は、高価な Ni を添加する以外に、 スラブの加熱温度を 1200℃以上に高温加熱することで抑制できる可能性があ る。本博士論文では、これらの知見を基に実用的見地から、現場熱間圧延の際 に問題となる表面赤熱脆性、すなわち表面割れが生じる条件と原因を追求した。 具体的には、現場熱間圧延プロセスを想定した熱履歴と加熱雰囲気,および鋼. - 18 -.

(20) 材の成分が表面割れに対してどのような影響を与えるかについて明らかにした。 実際の手順としては、熱間加工割れ再現実験として、実験室で引張試験に供す る試験材を、まず 1250℃に徐加熱した後,熱間圧延が行われる 950〜1200℃間 の所定の温度に冷却し、現場の熱履歴を模擬した。この際の加熱雰囲気は、現 場加熱炉を想定した燃焼雰囲気ガスの水蒸気濃度 0〜30%H2 O-1%O2 -bal.N2 、す なわち水蒸気酸化雰囲気として、引張試験の条件は、1−2節の研究成果に基 づき脆化感受性が最も大きい、1100℃,歪速度 1× 10 - 2 s -1 ,および歪量 40% の熱 延最大圧下率とした。さらに、本研究では、得られた実験結果を基に、表面赤 熱脆性抑制のための現場製造条件、熱履歴と加熱雰囲気の水蒸気濃度、ならび にその対策としての熱 履歴と S i および Ni 量についてその詳細を検討した。. 1−4. 本論文の構成. 本研究の結果をまとめた本論文の構成は、以下の通りである。 第1章「緒言」では、鋼材の表面赤熱脆性,Cu や Sn による表面赤熱脆性に 関する従来の研究を概観し、これらの背景に基づいた研究目的を述べた。 第 2 章 「 実 験 方 法 」 で は 、 ま ず 本 研 究 に お い て 実 験 に 供 し た 0.3%Cu0.05%Sn 含有鋼の作製方法、ならびにこれら供試鋼を用いて行った熱間加工割 れ再現実験の手順について述べた。さらに、表面割れの評価方法およびスケ− ル/地鉄界面の観察方法の詳細について説明した。 第3章「表面赤熱脆性におよぼす熱履歴の影響」では、0.3%Cu-0.05%Sn 含 有鋼を 1250℃に加熱後、冷却途中での等温保持により現れる表面割れの特徴 について、熱間加工割れ再現実験を通して明らかにした。その結果、表面割れ は 1200、1150、および 1100℃での等温保持において発生した。その特徴につ いては、1200℃ と 1150℃保持の場合、割れは 5 分以下の短時間に集中し、10 分以上の長時間保持では減少することが分かった。一方、低温の 1100℃保持 では 5 分以下において割れは少なく,時間の経過とともに増加した。さらに、. - 19 -.

(21) スケ−ル/地鉄界面の観察から、多数割れが観察された試験材には、スケ−ル/ 地鉄界面に加え,地鉄表層部分の結晶粒界に沿っても Cu-Sn 濃化相の存在が確 認された。結局、これらの実験結果から、表面割れの原因は、Fe-Cu 系状態図 から予想される,1250℃からの冷却に伴う Cu 固溶量の低下により、液相の Cu (Sn)濃化相が地鉄表層部分の結晶粒界に沿って析出したことによると結論さ れる。さらに、1250℃加熱後の脆化対策としては、1200〜1150℃温度域での長 時間保持による、地鉄結晶粒内への Cu の拡散・希釈が有効な手段であること を明らかにした。 第4章「水蒸気含有雰囲気加熱における表面赤熱脆性」では、現場加熱炉の 水蒸気酸化雰囲気を再現し,この雰囲気での表面割れの特徴、さらには S i や Ni の微量添加による影響についてその詳細を明らかにした。その結果、まず 1250℃加熱の水蒸気濃度 20〜 30% の場合、大気中に比べ大きな割れが多数観察 さ れ た 。 そ こ で 、 ス ケ ー ル/地 鉄 界 面 近 傍 の 組 織 を 調 べ た と こ ろ 、 1250 ℃加熱 の地鉄界面は平滑であり、スケ−ル内には基本的に Cu (Sn)濃化相は存在し ないことが分かった。このため、水蒸気酸化雰囲気による脆化は、平滑なスケ −ル/地鉄界面での Cu(Sn)濃化合金液膜の生成のしやすさによると推察した。 Si と Ni の微量添加に関しては、0.1%Si 鋼および 0.14%Ni 鋼を用いて水蒸気酸 化雰囲気での脆化を検討し、両鋼において脆化が抑制されることを確認した。 その要因については、0.1%Si 鋼では水蒸気酸化雰囲気での内部酸化、0.14%Ni で は 不 均 一 酸 化 に よ り 、 ス ケ − ル/ 地 鉄 界 面 が 凹 凸 化 し 、 そ の 結 果 と し て Cu (Sn)濃化相がスケ−ル中へ取り込まれたためである。また 0.14% Ni 鋼では、 地鉄界面が凹凸化しない、酸化増量の少ない 1%O2 -bal.N 2 の酸化条件において、 地鉄界面が液相を含む Cu-Sn-Ni 濃化相によって覆われ、脆化をむしろ促進す ることも明らかとなった。結局、脆化抑制元素として知られる Ni での脆化抑 制機構は、スケ−ル/地鉄界面の凹凸化による、スケ−ル中への Cu(Sn)濃化 相の排斥によることが結論された。この結論は、本研究によって明らかとなっ た新たな知見である。 第5章「Cu 含有フェライト系ステンレス鋼における表面赤熱脆性の抑制」. - 20 -.

(22) では、熱間加工割れ再現実験により、Cu 含有ステンレス鋼での表面赤熱脆性 抑制の起源について検討した。ここで従来の研究から、ステンレス鋼では、 Cu 含有量が著しく多い場合でも、普通炭素鋼に比べて表面赤熱脆性は生じに くいことが知られている。再現実験の結果、0.3%Cu 鋼では大きい割れを生じ る熱履歴・酸化増量において、16%Cr -2.4%Cu ステンレス鋼では全く割れを生 じないことが分かった。また組織観察から、ステンレス鋼での Cu 濃化相は、 ス ケ − ル の 内 方 成 長 に よ り ス ケ − ル/地鉄界面ではなく,多孔質の内層スケ− ル中に多数存在すること、さらにスケ−ル /地鉄界 面の凹凸も顕著なものであ ることが明らかとなった。結局、これら実験事実に基づき、Cu 含有フェライ ト系ステンレス鋼での脆化抑制の機構は、①スケ−ルの内方成長による内層ス ケ−ル中への Cu 濃化相の残留,②複雑な形態を有する地鉄界面での Cu 濃化 相の残留の困難さ,③フェライト母材中への Cu 原子の拡散による大きな希釈 作用、の3つの因子によって説明されることが分かった。すなわち、ステンレ ス鋼に関する再現実験の結果は、表面赤熱脆性への対策として、スケ−ル中へ の Cu 濃化相の排斥が如何に重要なものであるかを示している。 第6章「総合考察」では、現場条件を再現した表面割れの要因について、ス ケ−ル/地鉄界面への Cu(Sn)の濃化という視点から検討するとともに,表面 赤熱脆性に及ぼす現場製造条件とその対策についてまとめた。 第7章「総括」では、本研究で得られた成果の総括を行った。. 参考文献. 1) 金属講座材料編 1「鉄鋼材料」 , 朝倉書店, (1960), 46-52. 2) 松岡滋樹 : 鉄スクラップ中のトランプエレメント分離法に関する基礎的 検討, 日本鉄鋼協会, (1995),7. 3) H.Yamauch, M.Miwa and H.kobayasi: Bull.Iron Steel Inst.Jpn. 4(1995),378. 4) Y.Mizukami: Trans.Soc.Instrum.Control Eng., 36(1997), 691.. - 21 -.

(23) 5) 鉄スクラップ中のトランプエレメント分離法に関する基礎的検討 , 日本鉄鋼協会, 東京, (1996) 6) 大谷正康 : 鉄冶金熱力学, 日刊工業新聞社, (1986),103. 7) W.J.M.Salter: JISI, 204(1966), 478. 8) Y.Fujiwara, S.Yamashita: Tetsu-to-Hagane, 5(1939), 376. 9) G.L.Fisher: JISI, 207(1969), 1010. 10) 金属材料の限界特性に及ぼす不純物元素の影響に関する調査研究 , 日本機械工業連合会, (1992),24. 11) E.T.Stephenson: Metall.Trans, 14A(1983),343. 12) 柴田浩司 : トランプエレメントの鉄鋼材料科学, 日本鉄鋼協会 , 東京, (1997) 13) 柴田浩司, 国重和俊, 秦野正治 : ふぇらむ, 7(2002), 18. 14) D.McLean: Grain Boundaries in Metals, Clarendon Press, Oxford,(1957), 99. 15) C.Nagasaki,H.Uchino,K.Shibata,K.Asakura and M.Hatano: Tetsu-to-Hagane, 89(2003),322. 16) S.-J.Seo, K.Asakura and K.Shibata: ISIJ Int., 37(1997), 232. 17) Jonlet, Ch.,Leroy, V.,Greday, T., and Habraken, L., Investigation of the Hot Shortness of Copper Bearing Steel, INCRA Report(1969) 18) S.-J.Seo, K.Asakura and K.Shibata: ISIJ Int., 37(1997), 240. 19) 鈴木洋夫 : CAMP-ISIJ, 8(1995), 1391. 20) A.Sasanuma , S.-J., C.Nagasaki and K.Shibata : CAMP -ISIJ, 14(2001),631. 21) 田中敏宏 : 鋼材表面特性に及ぼすスケ−ル性状の影響 , 日本鉄鋼協会, 東京, (2005), 173. 22) T.Tanaka,N.Takahira and S.Hara: CAMP -ISIJ, 16(2003),1379. 23) W.J.M.Salter: JISI, 204(1966),478. 24)T.Kajitani, M.Wakoh, N.Tokumitsu, S.Ogibayashi and S.Mizoguchi: Tetsu-to-Hagane,81(1995), 185.. - 22 -.

(24) 25)K.Shibata,S.-J.Seo,K.Asakura and Y.Akiyama: Trans.MRS Japan, 24(1999), 333. 26)K.Shibata,S.-J.Seo,M.Kaga et al.: Materials Trans., 43(2002), 292. 27) A.Nicholson and J.D.Murray: ISIJ, (1965), 1007. 28) H.Uchino, C.Nagasaki, M.Kaga, S.J.Seo, K.Asakura and K.Shibata: Journal of Advanced Science, 13(2001), 260. 29) N.Imai, N.Komatsubara and K.Kunishige: ISIJ International, 37(1997), 217. 30) N.Imai, N.Komatsubara and K.Kunishige: ISIJ International, 37(1997), 224. 31) K.Noro,M.Takeuch and Y.Mizukami: ISIJ International, 73(1997), 198.. - 23 -.

(25) 第2章. 実験方法. 2−1. 供試鋼の作製方法. 本博士論文では、現場熱間圧延プロセスを想定した熱間加工割れ再現実験を 行うことにより、Cu や Sn による表面赤熱脆性の発現条件およびその要因につ いて検討した。この章では、本研究で行った再現実験の実験方法として、実験 に用いた試料とその作製方法、再現実験の手順、さらには試料の評価方法につ いて説明する。 本研究では、前述したように、第3、4、および5章で述べる 3 つの研究課 題について再現実験を行った。まず、これら実験に用いた試料は、3章が 0.3%Cu-0.05%Sn 含有鋼、4章が 0.3%Cu-0.04%Sn 含有鋼およびこの鋼に S i や Ni を微量添加したもの、さらに5章では約 2.4% の Cu を添加した SUS430 鋼 (16% Cr 鋼)と 0.3%Cu 炭素鋼である。これら試料の中で、たとえば、0.3%Cu -0.05%Sn 含有鋼は、脱酸に Al を使用した軟鋼、すなわち Al キルド鋼をベ− スに 0.3%Cu と 0.05%Sn を加えた鋼材で、化学分析によって決定した化学組成 は表2−1に示す通りである。添加元素の特徴は、脱酸の目的だけではなく, 緒言において述べた S による脆化を回避するために 0.3% 程度の Mn を添加し たこと、Si,P ,Ni,および Cr の量は実用鋼の場合と同程度としたことである。 不純物あるいは脱酸に重要な P ,Al,および N の含有量に関しては、表中に有 効数字2桁の数字で示している。また、4および5章で用いた鋼材については、 それぞれの章の実験方法においてその詳細を報告する。これら鋼材の試料作製 の手順については、まず鋼塊を 50kg 真空溶解炉にて溶製し,熱間鍛造・熱間 圧延により 20mm 厚の熱延板を作製した。次に、熱延板より2種類の試験片、 すなわち 10mm 厚,25mm 角の矩形試験片と平行部直径 8mm,長さ 20mm の丸 棒引張試験片を切り出し,熱間加工割れ再現実験に供した。図2−1には、2 種類の試験片の外観を示している。. - 24 -.

(26) 表2−1. C. Si. 0.046 0.02. 代表的な Cu-Sn 含有鋼の化学組成(mass% ). Mn. P. S. 0.33 0.026 0.006 0.33. 矩形試験片. Sn. Ni. 0.05. 0.02. Cr. Al. N. 0.03 0.039 0.006. 丸棒引張試験片 図2−1. 2−2. Cu. 試験片の外観. 熱間加工割れ再現実験方法. 熱間加工割れ、すなわち表面割れは、鋼材を大気中あるいは水蒸気酸化雰囲 気において 1250℃まで加熱し、その後の冷却途中で行なう熱間加工の際に生 じる。そこで、この現場での状況を再現するため、本研究では二つのタイプの 熱間加工割れ再現実験を行った。図2−2には、大気中において鋼材の加熱を 行なう、タイプ I の再現実験の手順を示している。大気中の加熱は、箱型の電 気炉を用いて行った。この実験では、まず実スラブの昇温速度を模擬するため、 複数の矩形試験片と丸棒引張試験片を 1050℃から 2 時間かけて大気中で 1250 ℃に徐加熱し、30 分間保持することにより酸化処理を行った。次に、熱間加 工が実施される 950〜1200℃温度域内の所定の温度に空冷し,5〜30 分間等温 保持した後,いったん室温まで空冷した。矩形試験片の熱処理はここで終了し、 この試験片を酸化試験片とした。さらに右図に示すように、無酸素雰囲気を確 保するために、Ar 雰囲気中で 1100℃に加熱した丸棒引張試験片に対して,ひ ずみ速度 0.01s -1 ,ひずみ量約 40% の引張変形を加えた. 1 - 3). 。本研究では、この. 一連の熱処理を受けた試験片を熱間加工割れ再現試験片、すなわち再現試験片. - 25 -.

(27) とした。図2−3には、熱間加工割れ再現実験に使用した島津 AGE 型引張試 験装置および再現試験片を取り付けた加熱部分を示している。. 第一工程. Heating 1250℃,30min. 第二工程. Holding. Tensile deformation. 950〜1200℃, 5〜30min 1100℃,5min. 2h 1050℃. Strain:40% (ε:0.01s -1). + in Air. in Ar gas A.C.. 図2−2. 大気中の酸化条件下(タイプⅠ)での熱間加工割れ再現実験の手順. 引張試験装置全体 図2−3. 再現試験片を装着した加熱部分. 熱間加工割れ再現実験に使用した引張試験装置. - 26 -.

(28) 緒言で述べたように、表面割れは、加熱雰囲気中での水蒸気濃度にも強く影 響を受ける。本論文の4および5章では、この点を明らかにするため、現場加 熱炉を想定したタイプ II の再現実験を行った。図2−4には、タイプ II の再 現実験の際に行なった実際の手順を示している。図から分かるように、タイプ II の場合、手順は3つの工程からなる。まず、第一の工程では、現場加熱炉を 想定した水蒸気酸化雰囲気、すなわち(0, 10, 20, 30)%H2 O-1%O2 -bal.N2 において、 複数の矩形試験片と丸棒引張試験片を 1250℃に徐加熱し、30 分間保持後,い ったん室温まで空冷した。次に、第二の工程として、1250℃加熱後の冷却途中 での等温保持を模擬し、大気中 1150℃で 5 分間の保持を行い、その後室温に 空冷した。最後の第三工程においては、タイプ I の再現実験の場合と同様に、 Ar 雰囲気中で 1100℃に加熱した丸棒引張試験片に対して,ひずみ速度 0.01s -1 , ひずみ量約 40% の引張変形を加えた。ここで、再現実験タイプ I との相違は、 現場における 1250℃加熱後の等温保持を、試料を一旦室温まで冷却し、第二 工程として再度鋼材を加熱することによって行なっている点である。異なる手 順を用いた理由については、水蒸気酸化雰囲気および大気中での加熱を、同一 の電気炉を用いて連続的に行うことができないためである。そのため本研究で は、両者において表面割れの発生状況に違いがないことを確認したうえで、上 述の手順により再現実験を行った。図2−5には、水蒸気酸化雰囲気の加熱に 用いた環状型の電気炉 LINDBERG 製 ST-4X24-A を示している。加熱雰囲気は、 1〜1.5%O 2 -bal.N2 ボンベガスを加湿して露点調整することにより所定の水蒸気 濃度とした。さらに、第二工程での大気中 1150℃、 5 分間保持の条件は、3章 で述べる再現実験の結果と実機での熱履歴を考慮して選択した。本研究では、 タイプ I の再現実験と同様に、第二工程終了後の試料片を酸化試料片、一連の 工程を行なったものを再現試料片とした。. - 27 -.

(29) 第一工程. 第二工程. Heating in water vapor containing atomosphere. 第三工程. Holding in air. Tensile deformation. 1250℃,30min 1150 ℃,5min 2h 1050 ℃. +. in water vapor of up to 30% A.C. 図2−4. + in Air. in Ar gas. A.C.. 水蒸気含有雰囲気加熱(タイプⅡ)での熱間加工割れ再現実験の手順. 図2−5. 2−3. 1100 ℃,5min. Strain:40% (ε:0.01s -1). 水蒸気酸化雰囲気の加熱に使用した環状型の電気炉. 評価方法. 熱間加工割れの評価は、熱間加工割れ再現試験片の平行部において単位表面 積当たりの表面割れ発生数(個/cm2 )を目視で数えることによって行った. - 28 -. 1 -3 ). 。.

(30) なお、本研究では、幅 約 0.2mm および深さ約 0.1mm 以上の割れを表面割れと し、それ以下のものはカウントから除外した。割れの幅と割れの深さについて は、針式の孔食計や非接触のレ−ザ−1YM82 を用いて測定した。 割れの原因となるスケ−ル/地鉄界面での Cu や Sn の濃化挙動、ならびに水 蒸気や異なる成分を有する鋼材でのスケ−ルの様子は、酸化試験片を用いて、 光学顕微鏡および JEM6400 型走査型電子顕微鏡(SEM)によりその組織を観 察することで明らかにした。スケ−ルや地鉄中における各元素の空間分布およ び存在する析出物等の化学組成については、エネルギ−分散型 X 線分光法 (EDX)により定量的に解析した。 本実験の熱履歴で生じた酸化増量(Δw)は、酸化試験片を用いて、(2-1) 式により求めた。 Δw(kg/m2 )=(w1 −w2 )/S. ・・・・・・・・・・・・. (2-1). ここで、w 1 は酸化後の試験片重量(kg),w2 は酸化前の試験片重量,S は酸 化前の表面積である。また、水蒸気濃度によるスケ−ルでの結晶構造の違いは、 酸化試験片に生成したスケ−ルの粉末 X 線回折曲線を測定することにより明 らかにした。用いた装置は理学電機 RU-200 で、操作条 件 は 30kV,100mA、ま た実験に供した試料は、生成したスケ−ルをグラインダ−で研削・粉砕後,め のう乳鉢で粉末化したものである。. 参考文献. 1) 今井規雄,国重和俊 : トランプエレメントの鉄鋼材料科学,日本鉄鋼協会 , 東京, (1997),137. 2) N.Imai, N.Komatsubara and K.Kunishige: ISIJ International, 37(1997), 224. 3)N.Imai, N.Komatsubara and K.Kunishige: ISIJ International, 37(1997), 217.. - 29 -.

(31) 第3章. 表面赤熱脆性におよぼす熱履歴の影響. 3−1. 緒言. 鉄スクラップを鉄源として使用した場合に発生する熱間加工割れ、すなわち 表面割れは、Cu や Sn の液体脆化により生じる。具体的には、スラブ加熱時に 鉄が選択的に酸化され、低融点金属である Cu や Sn が酸化層であるスケ−ル と地鉄の界面に濃化する。その後、液相となった Cu や Sn が結晶粒界に浸入 して粒界強度を弱めることにより、熱間加工割れが生じると考えられている。 また、緒言で述べた今井・国重らの研究から、Cu や Sn の液体脆化により生じ る表面割れは、高価な合金元素である Ni の添加に加え、スラブの加熱温度を 1200℃以上の高温域とすることによっても抑制されることが明らかになってい る. 1,2 ). 。. そこで本章では、上述の知見を基に実用的見地から、表面割れを生じる条件 と要因について追求する。すなわち、2章で述べた、現場熱間圧延プロセスを 想定した再現実験を行い、これらの詳細を明らかにした。具体的には、03%Cu -0.05% Sn 含有鋼を 1250℃に加熱し、その後の冷却の際に生じる表面割れの特 徴について調べた。さらに、SEM および EDX を用いて酸化試験片におけるス ケ − ル/地 鉄 界 面 近 傍 の 組 織 観 察 と 組 成 分 析 を 行 う こ と に よ り 、1250℃からの 冷却時に生じる Cu-Sn 含有鋼での表面赤熱脆性について、その要因を検討した。. 3−2. 実験方法. 本章において 0.3%Cu-0.05%Sn 含有鋼を用いて行った再現実験は、第2章 「実験方法」で述べた二つの実験の中で、大気中の酸化を行うタイプⅠの再現 実験である。図2−1に示したように、その手順は、まず複数の酸化試験片と. - 30 -.

(32) 再現試験片を 1050℃から 2 時間かけて 1250℃に徐加熱し、30 分間保持した。 次に、1200〜 950℃間の所定の温度まで空冷後、 5〜30 分間の等温保持を行い、 いったん室温まで空冷した。さらに、Ar 雰囲気中で 1100℃に加熱した再現試 験片に対して、ひずみ量約 40% の引張変形を加え、その平行部に発生した表面 割れを観察した。割れの原因となる Cu や Sn の濃化挙動に関しては、大気中 加熱後のスケ−ル/ 地鉄界面近傍の組織について、SEM を用いてその詳細を調 べた。また、Cu および Sn の空間分布および Cu-Sn 濃化領域の化学組成につい ても EDX により明らかにした。. 3−3. 実験結果. タイプⅠの再現試験により得られた、代表的な 5 つの丸棒引張試験片の外観 を図3−1に示す。これら試料に対する 1250℃加熱後の等温保持の条件は、 (1)室温への直接空冷、(2)1200℃での 5 分間保持、(3)1200℃での 10 分 間保持、(4)1100℃での 5 分間保持、および(5) 1100℃での 30 分間保持で ある。まず、( 1)の直接空冷した試験片には、2章で述べた基準を満たす表 面割れを見出すことは出来なかった。一方、1200℃での 10 分間保持を除く他 の試験片には、表面割れが観察された。また、目視で得られた割れの発生状況 は、引張方向に対して垂直であり、割れの幅は 0.2〜0.3mm、割れの深さは 0.1 〜0.3mm であった。 図3−2には、上述の 5 つの試験片に加え、実験を行ったすべての試験片に ついて、目視でカウントした表面割れの個数を示している。ここで、等温保持 の条件は、保持温度が 1200、1150、 1100、1000、および 950℃、保持時間が 5、 10、30 分である。図から、まず 1200℃と 1150℃での等温保持による表面割れ は、5 分以下の短時間で生じ、10 分以上の保持により減少していることが分か る。一方、 これとは逆に 1100℃における等温保持では、表面割れは時間の経 過とともに増加している。つまり、 1200〜1100℃域での等温保持によって生じ. - 31 -.

(33) る表面割れは、その出現に関して 1200 および 1150℃と 1100℃では全く異なる 挙動を示すことが明らかとなった。. (1). (2). (3). (4). (5) 図3−1. Cu-Sn 含有鋼の代表的な熱間加工割れ 再現試験片の外観. - 32 -.

(34) 1300. Holding temperature (℃). Cu-Sn containing steel in air 1200. 8. 0. 2. 3. 1. 1. 1100. 3. 6. 6. 1000. 1. 0. 0. 0. 0. 0. 900 :Number of cracks (1 /cm2) 800 0. 図3−2. 10 20 Holding time (min). 30. 40. Cu-Sn 含有鋼の 1250℃加熱後の表面割れ領域. 上述したように、表面割れの出現は等温保持の条件によって異なることが分 かった。そこで、その要因を検討するため、実験を行ったすべての酸化試験片 に対してスケ−ル /地鉄界面付近の組織を、反射電子像を撮影することにより 明らかにした。ここで、反射電子像において、Cu や Sn が濃化した領域は明る いコントラストととして観察される。図3−3と図3−4には、その例として、 それぞれ 1200℃ と 1100℃において 5 分および 10 あるいは 30 分間保持した酸 化 試 験 片 で の 、 ス ケ − ル/ 地鉄界面付近の反射電子像を示している。まず、割 れを生じた 1200℃ で の 5 分等温保持および 1100℃での 30 分保持(図3−3 (a)と図3−4(b))では、矢印で示すように、Cu-Sn 濃化領域はスケ−ル/ 地鉄界面に加え、地鉄内の割れ界面(cracking)、すなわち地鉄表層部の結晶 粒界に沿っても存在している。他方、室温に直接空冷した試験片を含め、割れ が観察されない 1200℃ で の 10 分保持(図3−3(b))、また割れがわずか であった 1100℃での 5 分保持(図3−4(a))においては、その反射電子像. - 33 -.

(35) 中に Cu-Sn 濃化領域の存在を確認することはできなかった。. 図3−3. 1200℃等温保持した Cu-Sn 含有鋼の スケ−ル/地鉄界面の反射電子像 (a) 5 分保持 (b) 10 分保持. - 34 -.

(36) 図3−4. 1100℃等温保持した Cu-Sn 含有鋼の スケ−ル/地鉄界面の反射電子像 (a) 5 分保持 (b) 30 分保持. - 35 -.

(37) 酸化試験片の観察から、Cu-Sn 濃化領域はスケ−ル/地鉄界面および地鉄表層 部の結晶粒界に沿って存在していることが示された。そこで、スケ−ル /地鉄 界面に存在する Cu-Sn 濃化領域の分布状態よび化学組成について反射電子像お よび EPMA 分析により明らかにした。図3−5(a)、(b)、および(c)に は、割れが多数観察された 1100℃ で 30 分保持した酸化試験片におけるスケ− ル/地鉄界面付近の反射電子像、Cu 分布像、および Sn 分布像を示している。 こ れ ら の 像 か ら 、 ス ケ − ル/地 鉄 界 面 に は 明 る い コ ン ト ラ ス ト を 与 え る Cu-Sn 濃化領域の存在が明瞭に観察される。EPMA 分析によって決定した Cu-Sn 濃化 領域の組成は 81%Cu-13%Sn-6%Fe であり、多量の Cu を含むことが分かった。 さらに矢印で示すように、スケ−ル/地鉄界面に加え、Cu-Sn 濃化領域は地鉄表 層部の結晶粒界に沿っても存在することが確認された。また、ここでは実験結 果を示さないものの、同様な濃化挙動は、多数割れが観察された 1200℃で 5 分間保持した酸化試験片においても認められた。 従来の研究から、軟鋼において、室温へ冷却して観察されたフェライト (α)粒界における Cu-Sn 濃化領域は、加熱時におけるオ−ステナイト(γ) 粒界と対応づけられている. 1,2 ). 。これらの実験では、観察に用いられる試験片. の冷却時間は速いため、γ→α変態に伴う Cu,Sn の排斥の寄与は小さいと理解 されている. 1,2 ). 。従って、EPMA 分析によって見出されたα粒界における Cu-. Sn 濃化領域は、加熱時におけるγ粒界の Cu-Sn 濃化領域にほぼ対応づけるこ とができる。. - 36 -.

(38) 図3−5. 1100℃,30 分等温保持した Cu-Sn 含有鋼の スケ−ル/地鉄界面の反射電子像と元素分布像 (a) 反射電子像 (b) Cu 分布像 (c) Sn 分布像. - 37 -.

(39) 3−4. 考察. 本章では、0.3%Cu-0.05%Sn 含有鋼を 1250℃に加熱し、その冷却の際に生じ る表面割れの特徴について再現実験を行うことにより明らかにした。その結果、 表面割れは 、1200、1150、 お よ び 1100℃での等温保持において発生した。そ の特徴は、1200℃と 1150℃保持の場合、割れは 5 分以下の短時間に集中し、 10 分以上の長時間保持では減少すること、一方、低温の 1100℃保持では時間 の 経 過 と と も に 増 加 し て ゆ く こ と で あ る 。 さ ら に 、 ス ケ − ル/地鉄界面の観察 か ら 、 多 数 割 れ が 観 察 さ れ た 試 験 片 に は 、 ス ケ − ル/地鉄界面に加え,地鉄表 層部分の結晶粒界に沿っても Cu-Sn 濃化領域の存在が認められた。ここでは、 これらの実験結果に基づき、1250℃に加熱した際のスケ−ルの形成、Cu-Sn 濃 化領域の結晶粒界への析出、さらに 1200〜1150℃等温保持による割れの抑制 について、熱力学および速度論的な立場から検討した。 本考察では、まずスケ−ルの形成およびそれに伴う Cu-Sn 濃化領域の出現に つ い て 検 討 し た 。 図 3 − 6 は 、 反 射 電 子 像 か ら 得 ら れ た ス ケ − ル/ 地鉄界面の 模式図および EPMA 分析によって決定した、界面に垂直な方向の Cu の濃度分 布である。ここで、図中の h は Cu 濃化域のスケ−ル/地鉄界面からの距離、太 矢印は Fe 2 + や Cu の拡散する方向を表している。また、h 内に存在する点線は 結晶粒界を意味してい る。図には、1250℃に加熱後の 1200、1150 および 1100 ℃における等温保持により、液相の Cu-Sn 濃化領域がスケ−ルである FeO 層 と地鉄との界面に加え、地鉄表層部の結晶粒界に沿っても析出していることを 示している。そこでこの結果に基づき、スケ−ルの形成・成長および濃化領域 の出現は以下のように説明することができる。まず Cu-Sn 含有鋼を酸化雰囲気 中で 1250℃に加熱すると、表面にはスケ−ルとしての FeO 層が形成される。 この FeO 層は金属欠損の P 型半導体のため、その成長は Fe 2 + イオンの外方拡 散によって律速される。また 1250℃の場合、FeO 中の Fe 2 + イオンの拡散係数 の値は 3× 10 - 11 m2 /s であり. 3). 、γ-Fe 中の Cu イオンの拡散係数値 1.1× 10 -1 4 m2 /s. に比べてはるかに大きい 4 ) 。よって、Cu は Fe の選択酸化によりスケ−ル/地鉄. - 38 -.

(40) 界面に濃化する。特に、γ-Fe に対する Cu の固溶度が 10.5% の固溶限を越えた 場合には、少量の Sn を含む液相の Cu 濃化領域が析出することになる。. FeO. Fe2+. 0. h. Cu concentration. Cu. Liquid Cu(-Sn) Cu. Cu. Cu. d ←. Cu. Cu. Cu. Cu. Distance from the interface. Fe2+. Steel(Fe) ←Cu (mass%) 10 図3−6. 5. 0. Cu-Sn 含有鋼の 1250℃加熱後のスケ−ル/地鉄界面と その Cu 濃度分布の模式図. 得られた実験結果から、Cu-Sn 含有鋼での表面割れは、1250℃からの冷却時 に生じる、Cu-Sn 濃化領域の出現と直接関係していることが予想される。そこ で、この点について、Fe-Cu 系状態図を用いて熱力学的に検討した。図3−7 には、熱力学計算によって得られた Fe-Cu 合金の平衡状態図を示している。こ こで、計算は Thermo-Calc. 1,2 ). を用いて行った。この状態図から分かるように、. Fe-Cu 合金系の特徴は、他の共晶・包晶系合金の状態図で見られるように、矢 印で示す固相線が液相線とは異なる符号の勾配を持つことである。具体的には、 固相線の Cu 量は 1250℃では約 10.5% 、1200℃で 9.0% 、および 1100℃では約 7.5%で、温度の低下と伴に減少していることが分かる。よって、1250℃から鋼 材を冷却すると、液相の Cu 濃化領域と接触していた地鉄表層部分から、過飽. - 39 -.

(41) 和に固溶していた Cu(Sn)が液相として析出することになる。一般に、エネル ギ−的かつ結晶学的に不安定な場所、すなわち結晶粒界が析出サイトの候補と して挙げられる。3-3 節で述べたように、Cu-Sn 濃化領域は、地鉄表層のα粒 界に沿って見出され、これが加熱時のγ粒界とほぼ対応づけられる。さらに、 再現試験片を Ar 雰囲気中の 1100℃に再加熱して引張試験する場合、その昇温 速度は約 1 分と速い。そのため、再加熱における Cu,Sn のα相への排斥の寄与 も小さい。これら検討より、表面割れは、Cu-Sn 濃化領域の存在する結晶粒界 が起点となって生じた、粒界割れであると推論される。. 図3−7. Fe-Cu 合金の計算機状態図. 前 節 ま で の 検 討 か ら 表 面 割 れ は 、 1250℃ か ら の 冷 却 の 際 に 生 じ る 、. - 40 -.

(42) Cu -S n 濃 化 領 域 の 地 鉄 表 層 部 に 存 在 す る 結 晶 粒 界 へ の 析 出 に よ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ の た め 、 1200 〜 1150℃ 等 温 保 持 に よ る 割 れ の 抑 制 は 、 この濃化領域の消失に関係していることが予想される。そこで、この 推論を確かめるため、地鉄表層部の一つの結晶粒界に注目して、その 拡 散 場 の モ デ ル 化 を 行 っ た 後 、 Cu 原 子 の 定 常 拡 散 を 考 え る こ と に よ り そ の 詳 細 を 速 度 論 的 に 検 討 し た 。 図 3 − 8 は 、Cu が 濃 化 し た 地 鉄 表 層 部 で の 拡 散 場 モ デ ル と Cu 原 子 の 流 れ を 模 式 的 に 示 し た も の で あ る 。 図 に示すように、本考察では、結晶粒の形状を角筒形としたため、dは 結 晶 粒 径 , r g は 結 晶 粒 の 半 径 , h は C u 濃 化 域 の ス ケ − ル /地 鉄 界 面 か ら の 距 離 , C は Cu 濃 化 域 内 で 一 様 と 仮 定 し た C u 濃 度 と な る 。 C u 原 子 の流れについては、希釈に関係する鋼中へのフラックス J と表面割れの 要 因 と な る 結 晶 粒 界 へ の フ ラ ッ ク ス J *の 二 つ を 考 え 、 こ れ ら の 競 合 を 検討した。ここで、拡散挙動のより厳密な解析には、空間的な濃度変 化を考慮した三次元非定常拡散に基づいて検討する必要がある。しか しここでは、現象の定性的な理解を目的としたため、定常拡散を仮定 することにより実際の解析を行った。以下に、まず解析に用いたフラ ックスおよびマスバランスの式等を示す。. h. d=2r g. L. J* C J* Grain boundary. J Steel 図3−8. C u が 濃 化 し た 地 鉄 表 層 部 分 の 1250 ℃ 加 熱. からの冷却の際に生じる Cu 原子の拡散モデル. - 41 -.

(43) 図 3 − 8 に 示 す 、Cu 原子 の 鋼 中 へ の フ ラ ッ ク ス J お よ び 結 晶 粒 界 へ の フ ラ ッ ク ス J *は 、 ま ず 以 下 の よ う に 与 え ら れ る 。 J = 2 r gL D × ( C − C 0 ) / δ. ・・・・・・・. ①. J *= 2 L h D *× ( C − C s a t) / δ ・・・・・・・. ②. ① お よ び ② 式 に お い て 、 D は γ -Fe 中 の Cu の 拡 散 係 数. 4). 、 C0 は鋼材の. C u 組 成 で あ る 0 . 3% 、 δ は 拡 散 パ ス 長 さ 、 D *は C u 濃 化 域 内 に お い て 結 晶 粒 界 へ 拡 散 す る C u の 拡 散 係 数 、 C s a t は γ - Fe 中 の C u の 固 溶 限 で あ る 。 こ こ で J *は 、 結 晶 粒 界 を 含 む 、 大 き さ 10μ m 程 度 の Cu 濃 化 域 内 に お け る 流 れ の た め 、 拡 散 係 数 D *を γ - Fe 中 の 拡 散 係 数 D よ り も 大 き い と 予 想 し 、 比 ζ = D * / D を 導 入 し た 。 よ っ て 、 こ の J お よ び J *を 用いることにより、マスバランスの式は、 − 2 r gL h × ( d C / d t ) = J + J *. ・・・・・・・・. ③. で、①および②式を代入して、 − d C / d t = ( ζ D / r g+ D / h δ ) C − ( ζ D / r gδ × C s a t + D / h δ × C 0). ・・・・・・・・・. ④. を得ることができる。④式の解については、A=ζD/r g+D/hδ ,B= ζD/r gδ×Csat+D/hδ×C 0 と 置 く こ と に よ り 、 C (t)=B/A+α×e x p(−At)・・・・・・・・・・ ⑤ となる。ここで、αは定数である。 本研究では、割れが抑制される 1200℃と促進される 1100℃での濃化挙動の 相違を明らかにするため、これら式を用いて濃化域内の Cu 濃度、J、J*等を計 算 し た 。 計 算 に 用 い た 拡 散 係 数 等 の 値 は 、表 3 − 1 に 示 す 通 り で あ る 。 具 体 的 に は 、 拡 散 係 数 D は 文 献 値 ( 4 ) に 基 づ い て 計 算 し た 1200 ℃ と 1100 ℃ で の 値. 4). 、 C sat は Fe-Cu 系状態図から求めた値、r g は 反 射 電 子 像. か ら 決 定 し た 結 晶 粒 径 で あ る 。 ま た 、 ζ 、 h、およびδの値は、それぞれ ζ=2.0、h=1.0×10 - 5 m、δ=1.0×10 -6 mと仮定した。 図3−9には、⑤式を用いて計算した 1200℃ と 1100℃の等温保持での Cu 濃度Cの時間変化を示している。ここで、本解析では、拡散パス長さをδ=. - 42 -.

(44) 1.0× 10 - 6 m としたため、濃化域内の Cu 濃度は一様ではない。すなわち、図の 縦軸であるC値は結晶粒界の界面近傍における Cu 濃度を表している。また、 t=0 でのC値は 1250℃への加熱により地鉄表層に濃化した Cu 量で、1250℃ における Cu 固溶度の 10.5% とした。そこで、グラフに示した 1200℃および 1100℃の曲線に注目すると、両温度とも時間の経過に伴に Cu 濃度は減少して い る こ と が 分 か る 。 そ の 特 徴 と し て は 、 1200℃ で の 保 持 に よ る 減 少 の 程 度 が 1100℃に比べ大きく、特に約 300sec (約 5 分)以降において Cu の固溶度であ る 9.0% よ り 小 さ な 値 と な る こ と で あ る 。 一 方 、 1100℃ で の 等 温 保 持 で は 、 1800sec(30 分)においても Cu 濃度は約 9.0% であり、1100℃での Cu の固溶 度、7.5% より大きな値をとることが理解される。. 表3−1. 計算に用いた数値. D 1200℃: 5.07×10-15 m2 /s ,D 1100℃: 9.58×10-16 m2/s ,ζ=2.0 r g: 2.0×10-5 m,h: 1.0×10-5 m,δ: 1.0×10-6 m C sat1200 ℃:9.0 mass% ,Csat1100℃ :7.5 mass%. - 43 -.

(45) 12 11 1100℃. C (mass%). 10 9 8. 1200℃. 7 6 5. 0. 200. 400. 600. 800 1000 1200 1400 1600 1800 Holding time (sec). 図3−9. 1200℃ と 1100℃ の 等 温 保 持 に よ る C u 濃 度 変 化. 濃化域内の Cu 濃度の計算に引き続き、結晶粒界へ拡散する Cu 原子のJ*を 計算した。具体的には、図3−9に示す Cu 濃度を②式に代入することにより 求めた。図3−10に、得られた 1200℃と 1100℃での等温保持によるJ*の時 間変化をを示している。また、グラフのJ*値は、1200℃における 5 分間保持 での値で規格化している。図から分かるように、1200℃および 1100℃の場合 とも、時間の経過と伴にJ *値は減少している。ここで、注目すべき特徴は、 1100℃保持でのJ *値が常に正の値を取るのに対し、1200℃ で は 約 360sec(約 6 分 ) に お い て J*値が正から負の値へと変化していることである。このこと は、1100℃での Cu 原子の流れが常に結晶粒界に向かって生じているのに対し、 100℃高い 1200℃においては約 6 分保持を境にして流れの向きが、結晶粒界へ 向かう方向から、その反対方向へと変化していることを示している。. - 44 -.

(46) 10. J*/J*1200℃,300sec. 5. 1100℃. 0 -5 1200℃ -10 -15 -20. 0. 200. 400. 600. 800 1000 1200 1400 1600 1800 Holding time (sec). 図3−10. 1200℃ と 1100℃ の 等 温 保 持 に よ る C u 原 子 の 流 れ J *の 変 化. 1200℃ お よ び 1100℃ 保 持 で の 表 面 割 れ の 挙 動 を 理 解 す る た め に 、 計 算 に よ っ て 得 た J *値 か ら 、 結 晶 粒 界 に お け る C u 原 子 の 蓄 積 量 を 求 め た 。 図 3 − 1 1 は 、 図 3 − 1 0 に 示 す J *値 を 時 間 に 関 し て 積 分 す る こ と に よ っ て 得 た 、 1200℃ と 1100℃ 等 温 保 持 で の 蓄 積 量 を 示 し て い る 。 ま た 、 各 時 間 で の 蓄 積 量 は 1100℃ で 5 分 間 保 持 の 量 に 対 し て 規 格 化 し て い る 。 図 か ら 、 結 晶 粒 界 で の C u 原 子 の 蓄 積 量 は 、 1100℃ と 1200℃ に お い て 全 く 異 な る 挙 動 を 示 す こ と が 分 か る 。 ま ず 、 1200℃ の 等 温 保 持 で は 、 時 間 の 経 過 と 伴 に 蓄 積 量 は 、 約 300sec ( 約 5 分 ) ま で 増 加 し 、 そ の 後 減 少 し て い る 。 特 に 、 約 800sec ( 約 13 分 ) 以 降 の 蓄 積 量 は 負 の 値 を 取 る こ と が 分 か る 。 一 方 、 1100℃ の 等 温 保 持 に お い て 蓄 積 量 は 一 様 に 増 加 し て お り 、 1200℃ で 見 ら れ た 挙 動 は 認 め ら れ な い 。 この蓄積量に関する計算結果を基に、表面割れの挙動は以下のよう. - 45 -.

(47) に説明される。まず表面割れは粒界割れの一つで、その程度は結晶粒 界 に 存 在 す る Cu -S n 濃 化 領 域 の 量 、 す な わ ち 本 計 算 で の C u 原 子 の 蓄 積 量 に 依 存 す る 。 こ の た め 、 蓄 積 量 の 一 様 な 増 加 を 示 す 1100℃ 保 持 で は 、 実 際 時 間 の 経 過 に 伴 い 多 く の 割 れ が 観 察 さ れ た 。 一 方 、 約 800sec 以 降 の 保 持 で 負 の 蓄 積 量 と な る 1200℃ で は 、 長 時 間 保 持 に よ り Cu - S n 濃 化 領域が結晶粒界から消失し、割れは抑制されることが理解される。結 局 、 こ れ ら 計 算 結 果 は 、 1250℃ か ら の 冷 却 の 際 に 生 じ る 表 面 赤 熱 脆 性 の 要 因 が 、 地 鉄 表 層 部 に 存 在 す る 結 晶 粒 界 へ の Cu -S n 濃 化 領 域 の 出 現 に よ る こ と 、 さ ら に 1200℃ 〜 1150℃ で の 長 時 間 保 持 が 割 れ の 抑 制 に 対 し て 非 常 に 有効な手段であることを示している。この効果は、液相の Cu 濃化 領域と接触していた高 Cu 濃度の領域から Cu がバルク中へ拡散するため、粒 界における Cu-Sn 濃化領域は消滅するもしくは生成しないために生じると考え ることができる。. - 46 -.

(48) 6 4. 1100℃. ∫J*dt/∫J*1100℃,300sec. 2 0 -2 1200 ℃. -4 -6 -8 -10. 0. 200. 400. 600. 800 1000 1200 1400 1600 1800 Holding time (sec). 図3−11. 1200℃ と 1100℃ の 等 温 保 持 に 伴 う C u 原 子 の 結晶粒界における蓄積量の変化. 3−5. まとめ. 本章では、現場熱間圧延プロセスの熱履歴を再現して 0.3%Cu-0.05%Sn 含有 鋼を 1250℃に加熱し、その冷却の際に生じる表面割れの特徴を調べた。さら に、スケ−ル/ 地鉄界面近傍の詳細な組織観察と組成分析を行うことにより、 1250℃からの冷却時に生じる Cu-Sn 含有鋼での表面赤熱脆性について、その要 因を検討した。以下に得られた結果を示す。. (1) 表面割れは、1250℃ に 加 熱 後 、1200、1150、および 1100℃での等温保持 において発生した。 (2) 1200℃と 1150℃保持の場合、割れは 5 分以下の短時間に集中し、10 分以上. - 47 -.

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また高r値熱延鋼板の素材としてはInterstitial-Free 鋼(以下1 F鋼と略 す)を使用した. この 材料は, 通常の炭素鋼と異なり,

1は, 板面に垂直に直径1mmのステンレ ス鋼の丸棒を埋め込んだ鋼板(厚 さ10mm)に,

第7章「大規模な土石流荷重に対する鋼製透過型砂防堰堤の安全性に関する考察」では,想定外

3). & Aubel, W.W.:The Shading of Sunlit Glass – An Analysis of the Effect of Uniformly Spaced Flat Opaque Slats, A.S.H.A.V.E Transactions, 1952 6).. 林徹夫, 片山忠久,