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能登半島地震に伴う能登島大橋の損傷とその動的応答解析

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Academic year: 2022

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能登半島地震に伴う能登島大橋の損傷とその動的応答解析

金沢大学大学院  学生員  左古英三 金沢大学大学院  正会員  深田宰史 金沢大学大学院  正会員  前川幸次 

1.はじめに 

  能登島大橋(全長1,050m)は,石川県七尾市の和倉温泉地区と能登島地区を結ぶ石川県道47号七尾能 登島公園線上にあり,3径間有ヒンジPCラーメン箱桁橋(図-1のP11およびP12橋脚からそれぞれ張出架 設されたT型ラーメン構造が,P11とP12径間中央においてヒンジ結合された構造であり,以後,PC ラーメン橋という)とPC単純T桁橋からなる21径間の橋梁である.本橋は,1982年に竣工し現在26年が 経過している. 

  2007年3月25日に発生した能登半島地震の震源(深さ11km,マグニチュード6.9)の東南東30kmに位置す る本橋から南南東約5kmの観測点(K-NETのISK007)では,最大209galを記録した.本橋の複数のRC橋 脚において多くの損傷(ひび割れ,主鉄筋のはらみだし等)が確認された.このうち,PCラーメン橋 の端部橋脚(特にP10)においては,脚柱基部から主鉄筋段落し部の上側にひび割れ等の損傷が顕著 に生じた.本橋は,震度法(kh=0.19:水平慣性力に相当する加速度186gal)による耐震設計が行わ れていたが,橋脚耐震補強工事を始める直前の被災であったことも不運であった. 

  本研究では,本PCラーメン橋を対象として,地震応答解析を行うことにより,端部橋脚(特にP10)に 損傷が集中した要因を解析的に検討した. 

10@43 700 76 400  109 500 76 400 8@43 700

P10 P11 P12 P13

対象橋梁

M M M

M MM MM

ヒンジ

図-1  能登島大橋の一般図   

2.解析概要 

  P10か ら P13の PCラ ー メ ン 橋 を 対 象 と して,七尾市(ISK007)で測定された能登 半島地震の地震波(3方向成分同時入力)

を用いて地震応答解析を行った.解析に はUCwin-FRAME(3D)を用いた.PCラーメ ン橋のモデル化は,図-2に示すように全

体構造による振動モードの影響を考慮で                  図-2  解析モデル図  きるように3径間の全体モデルとした. 

  上部構造は弾性梁要素とし,橋脚部材は脚柱基部から主鉄筋段落し部までに損傷が集中しているため,

この範囲をファイバー要素でモデル化し,主鉄筋段落し部の上側から天端までを弾性梁要素とした.基 礎部については,鋼管杭を1本ずつ弾性梁要素としてモデル化し,地中部のN値(15〜20)に基づいてば ね支持とした.なお,P10およびP13上で,隣接スパンの上部構造は橋軸方向に可動支持されているので,

隣接する上部構造の1/2の荷重を鉛直と橋軸直角方向の集中質量として考慮した.また,本橋は一見する  キーワード  能登半島地震  能登島大橋  動的応答解析 

〒920-1192  金沢市角間町  金沢大学大学院自然科学研究科  Tel.076-234-4602 Fax.076-234-4602 

1-591 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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図-4  卓越振動モード 

P13 P13

P10

 

P10

 

T=0.710sec     1.409Hz

 

T=0.437sec     2.289Hz

 

と対称構造であるが,P10とP13で鋼 管基礎杭の海中部の長さが異なるこ とも考慮している. 

  図-3は解析に用いた地震波の加速 度波形とそのスペクトルを示してお り,本橋の南南東約5kmの観測デー タ(ISK007)である.地震波のスペク ト ル よ り 橋 軸 方 向 で 0.7Hz と 1.3-1.5Hz,橋軸直角方向で0.8Hz,

1.0Hz,2.6Hzに卓越が見られる. 

-250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

時間(sec)

速度(gal)

橋軸方向 橋軸直角方向

 

0 2 4 6 8 10 12

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 振動数(Hz)

振幅(gal 橋軸

橋軸直角

  図-3  入力地震波の加速度 2 成分とそのスペクトル(ISK007)

-800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

時間(sec)

速度(gal)

橋軸方向 橋軸直角方向

 

0 10 20 30 40 50

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 振動数(Hz)

フー振幅(gal) 橋軸

橋軸直角

  図-5  P10 脚柱天端部の応答加速度とそのスペクトル(解析)

 

σ

bt

を超過 (ひび割れ)

損傷なし

σ’

ck

/3 超過 (軽微な損傷)

P10 橋脚 P13 橋脚

図-6  P10・P13 橋脚の損傷状況(解析) 

 

3.解析結果

  図-4は固有振動解析による橋軸方向と橋軸直角方向における卓越振動モードを表している.P13に 比べてP10側のモード振幅が大きく,さらに橋軸方向についての非対称性を示している. 

  図-5は,P10脚柱天端部の橋軸および橋軸直角方向の加速度波形とそのスペクトルを表している.その スペクトルから,橋軸方向で2.0Hz付近,橋軸直角方向では1.0Hz付近に卓越がみられ,それぞれ図-4に 示す振動モードが大きく影響していると考えられる.いずれも橋軸および橋軸直角方向の振動モードと して刺激係数の大きな振動が影響していたと考えられる. 

  図-6はP10およびP13の脚柱基部と主鉄筋段落し部における断面の損傷域(解析終了時のひび割れ・軽 微な圧縮超過)を示している.解析による損傷域は,橋軸直角方向の曲げの影響が大きく,また損傷の 程度はP10がP13に比べて若干大きいことを示しており,これらは現地調査の結果に一致している.解析 ではP10とP13で鋼管基礎杭の海中部の長さが異なることを考慮しており,損傷程度の非対称性は鋼管基 礎杭の影響も一因と考えられる. 

 

4.結論 

  能登半島地震により唯一大きな損傷を受けた能登島大橋(PC ラーメン橋部)の損傷特性を検証するた めに地震応答解析を行った.その結果,本橋のように径間中央にヒンジを有した PC ラーメン橋の地 震時における振動挙動を把握することができた.また,現地調査と同様に,解析上においても PC ラ ーメン橋の端部橋脚(特に P10)の脚柱基部から主鉄筋段落し部の断面において損傷が生じること が明らかとなった. 

最後に,(独)防災科学技術研究所から強震データ(ISK007)の提供を受けたことを記して謝辞とする. 

1-591 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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