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氏名 木田きだ

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 木田

き み

ひ ろ

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 地理環境科学域 学 位 の 種 類 博士(理学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

227

号 学位授与の日付 平成

30

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

Pedological Study on Man-made Soils by Focusing on Artifact

Influences

(人工物質の影響に着目した造成土の土壌生成学的研究)

論 文 審 査 委 員 主査 准教授 川東 正幸 委員 教授 渡邊 眞紀子 委員 教授 鈴木 毅彦

委員 教授 隅田 裕明(日本大学大学院 生物資源科学研究科

生物生産科学専攻)

【論文の内容の要旨】

1章では研究の背景を述べる。都市域は人間活動が特に活発な場であり、その影響は周 辺環境にも及ぶ。しかし、活発な経済活動や効率的な生活環境の構築のために、都市面積 は拡大し続けている。都市に求められる土地機能は林地や農地の場合と異なり、経済及び 社会・文化的利益の創出が期待され、生態系機能の役割が低い。これは都市における土地 利用に反映されており、ひいては土地基盤となる土壌の性質や土地利用を反映した特性に も関係する。都市域における土壌の土地機能への寄与として廃棄物の埋設や建造物や道路 の支持が考えられ、いずれも土壌と人工物質との接触・反応が生じる。本研究では、都市 化に伴う土地利用が基盤である土壌にもたらす影響を造成過程や人工物質との接触との関 係から考察し、当該土壌の分類学的位置づけ、特性および物質動態を検討した。

2

章では人為影響を受けた土壌の国際的位置づけを検証するために国際的土壌分類体系 と日本の土壌分類体系を比較した。その結果、以下のことが指摘できた。以前は、気候、

生物、地形、母材、時間の

5

因子により土壌が生成されるという共通認識が国際的に存在 していたが、現在では、地理的および歴史的背景の相違から人為の扱いが分類体系ごとに 異なり、人為影響を受けた土壌の分類は国際的な合意の形成に至っていないことがわかっ た。また、人工物質はこれらの分類体系に共通して人為影響を表す識別物質として扱われ ているものの、人工物質の定義は分類体系ごとに異なり、その定義を基準にして土壌の分 類が行われ、人工物質自体の性質や土壌に及ぼす影響までは考慮されていないことがわか った。これらの問題は、人為影響を受けた土壌での物質動態に関する知見が不足しており、

人為影響と土壌の生成に関する具体的な議論が行えていないために生じている。そこで、3

(2)

章及び

4

章では人為影響の強い人工島と建造物下の土壌を対象に人工物質の影響を受けた 土壌における物質動態を元素の分布や形態に着目して考察した。

3

章では人工物質を含む人工島の土壌中の物質動態を考察した。東京湾の人工島である海 の森公園を対象とした。この人工島の基礎部は東京都から排出された廃棄物と建設発生土 の互層により構成され、表層は植栽基盤として造成された。植栽基盤の下層には堆肥や建 設発生土の改良土が、表層では堆肥と東京都の火山灰性土壌由来の優良土が用いられた。

優良土の上層、漸移層である中層、改良土の下層の層位ごとに分析試料を採取した。分析 の結果、中層および下層の建設発生土に含まれていたコンクリート片の影響により、土壌 の下層ほど土壌のアルカリ化が強く、炭酸カルシウム含量が多い傾向が確認された。電気 伝導度も同様の傾向を示し、自然条件と同様にアルカリ物質の下方移動として解釈された。

一方、火山灰母材の森林土壌で確認される粘土含量と硫黄含量の正の相関関係は造成緑地 の表層土壌では認められず、造成緑地で自然条件とは異なる現象も確認された。本研究に より、人工島造成地において自然条件に則した物質特性に応じた反応が生じる一方で、人 為改変により自然条件に則さない現象も生じることが提示された。

4

章では建造物下の土壌中の物質動態について考察した。舗装材料に共通して含まれるカ ルシウムの下方移動や施工時の混合により、被覆下土壌の上層はアルカリ化し、炭酸カル シウムが集積していた。土壌深層ではアルカリ化や炭酸カルシウムの集積は確認されず、

より溶解性の高い物質の溶脱が、高い電気伝導度から示された。すなわち、建造物下にお いても水の下方移動が存在し、その移動に伴う物質移動が生じていた。一方、アスファル トに含まれる硫黄はその存在形態から水との親和性が低く下層への移動は確認されず、鉱 質土壌層では火山灰性土壌由来の硫黄が分布していた。このように、建造物下における元 素の動態がその種類と形態により異なることが示された。本章では、アスファルトとコン クリートによる土壌の被覆はアルカリ化や炭酸カルシウムの集積といった地理的背景から は生じえない現象を引き起こすが、水の下方移動に伴う塩基の溶脱という自然条件で生じ る現象が被覆下でも生じることを新たに明らかにした。

5

章では

2

章、3 章、4 章で議論した人工物質による土壌への影響を分類および物質循環

の観点から総合的に考察した。建造物被覆下と人工島の土壌では共通して人工物質による

土壌のアルカリ化とカルシウムの下方移動が生じているが、その影響は土地利用目的に応

じた造成形態で異なっていた。このことから、人工物質を由来とする元素移動は初期の土

壌生成過程と捉えられ、人工物質は土壌生成の母材因子に影響を与える人為要素であるこ

とを提示した。2 章で指摘した土壌分類体系の問題により、同一の土壌を別の土壌名に、生

成環境の異なる土壌を同一の土壌として分類される事例が生じる。本研究で提示した人工

物質に起因する物質動態および人工物質との接触という人為影響を考慮した土壌生成過程

の考え方は、土壌分類名に関わらず人工物質と接触する土壌を同一の現象が生じている土

壌として議論することを新たに可能にした。

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