一 379 一
二医大誌52(4):379,1994
私と情報化社会
株式会社CSK代表取締役会長兼社長
大 川 功
かつて,IBMのマシンを見せられて,これはすごい機械ができたものだなと,少なからずショ ックを受けたあと,そのマシンの後身であるコンピュータの世界で,ソフトウェアのサービス業を おもい立ったのが,その後の私の人生のすべてにつながった.
コンピュータは高価なものであるから,24時間使わなければ採算が合わないとばかり,人間の
方が昼夜にわたって振り回された時代はもう過ぎた.
また,会社のなかで,塵埃を極度に遠ざけながら,特別な空調の部屋をしつらえ,つねにメンテ ナンス要員をはべらせていた神殿のようなコンピュータ室も,すでに過去のものとなりつつある.
それよりも,さらなる技術の進歩によって,コンピュータの小型化,高性能化,高信頼性化,そ して廉価化が一気に進むとともに,高度な通信回線で自由に結合されるようになって,コンピュー タは個人おのおののものとして手軽に使用されながら,つねに全体とも緊密に連鎖されているとい う,いわば人類社会の仕組みを象徴するような道具になったことの意義は大きい.
だから,いろいろのことができるようになった.
自分が,こうしたい,あれがほしい,といった切り口で,距離を超え,時間を超えて,その欲望 を満たしてくれる,マルチメディアなどは,その良い例だと思う.
ところで,人類はいままで,狩猟社会,農耕社会,工業社会,流通社会などを形づくってくるな かで,地域だとか,宗教だとか,民俗だとか,国家だとか,洋の東西だとかを,それぞれ意識しな がら,それぞれに生きてきた.しかし,これからは,それだけではすまされなくなっていること は,すでに自明のようになっている.
それはなぜか.
それは,言うまでもなくコンピュータと通信で代表される情報化社会の進展が,この地球でよう やく顕著になりはじめていることにほかならない.
考えてみれば,情報というのは人類の知恵のもとになるわけだから,人類の進歩のためには情報 というソフトウェアが絶対に必要なのである.だとすれば,情報化社会の到来というのは,人類の 根源的な向上欲求がしからしめた必然だったのかも知れないのだ.
私はこの道でまだまだ精いっぱいの努力をつづけていきたいと考えている.
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