• 検索結果がありません。

藤 葉

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "藤 葉"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

婦入教師の体育科指導上の問題点に関する…考察

序 論

体育科

体育史・ダンス研究室国枝

運動学研究室

船橋市立坪井小学校

藤葉

軸千 タカ子

明 子 裕 子

学校教育における担当体制の中で,婦人教師が分担する領域は広がり,全国的にも婦 人教師数は増大している。文部省及び茨城県教育委員会の教育統計によれば,全国の小学校で婦人教 師の占める割合は昭和45年に50%を越えた。茨城県においては昭和48年に50%を越えている。

一方,中学校での比率は着実に増加の傾向を示している。地域的にみれば,既に過半数をすぎている 県もあれば,まだ全国平均を下回っている県もあるというように,かなりの差がみられる。茨城県 の場合,昭和49年度で,小学校では5α8%,中学校では27.0%と,婦人教師の比率は全国的に は低い方であると思われる.また埼玉県のように,昭和47年に小学校で、29帳達している県も

ある。

 このような全国的な婦人教師の増加傾向は,どのような原因によるものだろうか。小学校婦人教師 の増加傾向の変遷をたどってみれば,新学制発足の当初は戦時動員の影響からまだ脱しきれず,男子 労働力の絶対的な不足を女子がカバーするという傾向があり,昭和23年,24年のように一時的に 婦人教師数の全教師数に対する割合が50%を越えた時期もあった。しかしその後,婦人教師は漸減 傾向をたどり,昭和34年度には45%まで落ち込んでいる。そして35年度から増勢に転じ,今日

まで引き続き上昇している。これは巨視的にみて,我国の社会的経済的動向に対応するものであり,

昭和35年以降の上昇傾向は日本経済の高度成長と,それに伴なう労働需要に見合っている。産業界 はまず男子の高学歴者を吸いあげ,女子学生は産業界からの需要に取り残されがちな人文系・教職系 に集まって教職志望者の主要な供給源になるという傾向を生み出した。したがって婦人教師数の増加

は滴磁長のもと㈱ける蠣暢の離と密嫌離し携るのである.六日。、4 9年以降繍

成長率がマイナスを記録して以後も,現在の安定成長期に至るまで増加傾向は継続している。

 きて,茨城大学教育学部の女子学生の,全学回数に対する割合をみると,各年度入学者毎の統計で は増加に幅がある。しかし昭和47年度に小学校教員養成課程では70%を越える比率を示し,昭和

49年度以降は,約70%といえるようになった。また,この傾向は続くものと思われる。

 全国平均よりもやs低い婦人教師の増加率を示す茨城県においても,今後はかなり高い増加傾向を 示すことが予想されている。昭和51年度現在の,茨城県公立小学校における婦人教師の比率は52.4

%に達している。この傾向が続けば,アメリカ合衆国,ソビエト連邦,イギリス,ドイツなどの先進 諸国での高い婦人教師率に,我国の場合も近付いていくことが予測されている。

 このような婦人教師の増加に対して,不安や潜在的な偏見を持つ者が多い。また,婦人労働者一般

(2)

に対する低い評価の延長上から,婦人教師に対して低い評価を社会的に与える者もある。たとえば,

 巨視的な見通しに欠ける」 「自主性がない」「統率力1と欠ける」「消極的である」 「企画性がな い(3)」などである。これらの中には,それが女性特有の体質・性差に由来するものばかりとは考えら れないのであろうか。

 一方,日本の教員構成の女性化が進むと同時に,高齢化が進んでいるという問題もみられる。茨城 県教育委員会資料の昭和48年度の教職員構成調査によれば,小学校では教師経験年数25年〜27 年の男女の占める割合が一番多く,教諭の平均年令は小学校で,男40.7才,女41.1才,申学校で は,男39.0才,女36.1才となっている。このように婦人教師の増加とともに教員の高齢化傾向も 特徴的である。

 これらの婦人教師にみられる傾向をうけそ,教科別の指導では,体育科教育における実技指導が問 題をもってくる。中林等が挙げているように,連動会,臨海e林間学校,水泳教室などの学校行事や,

児童の生活指導,各教科の指導にも微妙な影響をもたらすことが考えられるが,体育科教育の実技指 導では特に問題視されてきた点が多い。婦人教師の体育指導については,「体育科教育」 「新体育」

「女子体育」などの月刊紙が,いずれも特集を組んだり連載ものとして取扱ったりしているが,一般 的に悲観な見方があることを示している。果たして婦人教師は,体育科教育における実技指導に不向

きなのであろうか。またこれらの見方を支える原因には,婦人教師の健康の保障という,指導以前の 問題も見逃すことができない。

 しかし現在の斑入教師は「学校教育を支える重要な成員であり(特に小学校では),婦人教師が中 核となって研究活動や校務に憤極的にあたり,教師集団を機能化していかなければ,学校教育目標を.

達成することはできない。」のである。婦人教師が体育科指導を避けて通ることは出来ないし,また,

そうさせてはならない。教師としての責任において,積極的な指導に取組む必要がある。

 今回は,婦人教師をめぐる体育指導上の問題(主として体育科教育における実技指導の問題)につ いて明らかにし,それに関わるいくつかの条件について考察したい。

   o/0

   60

50

40

30

20

10

K

 x   x

・一s撃=D一

s.

N       ア

一一

S繭の婦人教師

一一一ny一

?城県の婦人教師

  一 :r..e一

5

10

図1

15 20 25 30 35 4e 4S

一■4」輔  _ 一 一e

公立小学校教員数の申で婦人教師の占める比率の推移

48 49

(3)

( 0/o )

 80

70

60

50

40

30

20

10

小学校教員養成課程 /

      駄       ノ

     fW一  tsto  tu  h, ..,, pmn pt   tu gtpt  ifP

    / (

   ノ

調顧一一 nv  曲面

        中学校教員養成課程

昭  43

e

   1      婁

44  45  46  47  48  49 (入学年度)

図2 茨城大学教育学部における入学時の    女子学生数の占める比率の変遷

( o/o )

100.0 100.0 10α0 100.0 100.0 100.0

人 文 科 学

13.1 36.2

a7

21ユ 23.9

33 社 会 科 学

41.7 15.0

49.0

10.9

6.9

36.1

理     学 30 2.0 3.3 0.0 0.1 0.0 工     学 20.2

0.8

25.5 a7 0.3

47.1

農     学 3.6 1.5

4.2

1.2

0.2

7.4 保     健 43 7.6 3.4 2.9 3.0 1.9

商     船

0ユ

α1

一 一

家     政 1.8

&1

α0 27.9 322

0.5

教     育

7.2 1α6

38 2Z4 25.8

0.6

芸     術

2.4 6.4

1.3 5.1 &5 Z8 そ  の  他 27 28 27 1.8 2.1 02 昭和50年統計 表1 H本における関係学科別短大・大学在学生数

     (文部省・学校基本調査による)

(4)

 本 論

1.小学校婦人教師の体育指導に対する,教師集団や一般人の意識

 婦人教師をめぐる体育科指導については, 「難点が多い」という一般的な意識が存在している。

たとえば,「婦人教師は体育の指導に不向きである」とか「婦人教師には,体育はにがてであるとい う先入観のために,積極的に体育研究に取り組む者が少ない」という意識である。これについて,中 林・矢野・嘉戸・永爵の東京学芸大学保健体育学グループは,「一般に,婦人教師の体育指導につい ては伝統的に悲観的な見方をする傾向がみられる。この見解の背景には,従来,体育指導が一斉指導 型で行われ,運動の示範をするためには,体力・技能が必須であるとする伝統的な体育指導観があり,

そのために,男性教師と婦人教師との体ガ・運動技能・あるいは運動やスポーツへの意識・態度にみ られる性差が問題にされてきたと考えられる。従って,体育の指導は男性教師が望ましいとされる一 方,婦人教師側にも男性教師の応援,庇謎求める姿勢が醸成されたといえる!4)」と在島ている。

ここでは,伝統的な体育指導観がその背景にあり,それは男性教師が多数を占めていて,特に体育の 指導は男性教師によって行なわれていた時代につちかわれたものである,という考え方である。その 時代の体育指導案によれば,体育指導には体力や運動技能が必須であって,この点において女性は男 性に劣るという意識が,いまもなお生き続けているのである。

.一

福ナは現状の婦人教師の体育指導に対する周囲からの具体的な批判がある。例えば,「女の先生 は体育のことをよく知らないみたい」 「男の教師に甘えかかり,主体的に取組む姿勢がみられない」

「研究に熟意が欠ける」「小学校も高学年になると婦人教師よりも体力・運動力のすぐれた子どもが 出てくるので,婦人教師は自信を喪失し,指導が曖昧になる」などである。これらの批判に対しては,

個々の教師が,研究的態度と実践をもって答えねばならないだろう。教師としての責任は全うしなけ ればならない。また,「女の先生は休むことが多い」「とくに赤ちゃんや子どものいる先生は,なに かと休むことが多い(5)」という批判もある。このような妊娠や出産,また育児に関する問題は,婦人 教師だけに原因しているわけではないし,婦人教師の努力だけで解決できる問題でもない。結婚して いる夫婦にとって子どもを持つことは当然のことであり,妻である婦人教師が子どもを生むのは当然 である。彼女たちの妊娠申や産後の身体は通常の場合とは異なった状態にあり,保護されなければな らない。この批判は婦人教師のみに向けられるべきものではなく,共働き(夫婦ともに働く人々)と 婦人の職業を認める社会全体が受けていかなければならない。

2. 婦人教師の体育指導への意欲や態度

 永島惇正の調査(6)によれば,婦人教師の各教科における学習指導のたみそ順位は,低学年では①社

,会,②理科,③図工,④音楽,⑤体育,⑥国語,⑦算数の順であり,高学年では①体育,②音楽,③ 図工,④理科,⑤社会,⑥家庭,⑦国語,⑧算数の順となっている。体育は,低学年では4位である のに対して高学年では第1位となっている。また婦人教師の年令が高いほど,体育をにがてとする順 位はあがっている。小圷のり子の調査では,体育指導を「むずかしい」と感じている者が,高令にな

るにつれて少しずつ増加している。「むずかしい」と感じる理由では「運動技術に自信がない」「体

力に自信がない」が上位を占めている。矢野久英の調査では,他教科と比較して体育は指導しやすい

(5)

か,という項目の答では「指導しにくい」が男性教師の2倍以上にのぼっている。これらの結果から

       り     ゆ

小学校の婦人教師は,男性教師よりも体育科の指導に対してにがて意識が強い。低学年担当者より高

      ロ  ゆ       ゆ   り

学年担当者の方がにがて意識を持つ老が多い。年令の高い者ほどにがて意識が高いと考えられる。

 中林等の調査によれば,運動をすることの好きな婦人教師ほど,体育の授業に対して憤極的な態度 を示している。体育の研究会や研究授業への参加も,運動することの好きな婦人教師の方が高くなっ ている。運動をすることの好きな婦人教師は各年令層にわたっているから,常に若さが体育指導に有 利に働く条件ではなく,むしろ運勤への態度が意欲や研究心を左右する条件ではないだろうか。

 小圷の調査では,20代婦人教師の30%が自分の体育の授業を他教科の授業と交換した経験があ り,年令が高くなるとその割合も高くなっている。交換した教科は「家庭」が最も多く,次いで「音 楽」が多い。交換した理由には「男の先生に頼まれた:」53.7%,「体育はにがて」9.0%,「教科 担任制による」6.o%, r身体蓮動が好きでない」4.8%が挙げられている。この結果から,男性教 師が不得意な「家庭」や「音楽」を避け,婦人教師の「体育」の授業と交換する傾向が認められる。

この傾向は,婦人教師の体育に対する意欲や態度に影響を与えているのではないだろうか。

 以上のように,婦人教師の体育指導への意欲や態度に関する問題点は,(1)婦人教師の体育指導

    り  の  り

に対するにがて意識,(2)運動することへの意欲が少ない場合,(3)男性教師が不得意な「家庭」

や「音楽」を婦人教師の「体育」と交換授業すること,にまとめられる。

3. 婦人教師の体育科指導上の資質や能力

 教師としての資質:や能力は,身体的・運動的側面と,精神的側面(知的・情意的・.職能的)に求め られている。体育科指導においても,それらすべての面の資質e能力が備わっていることが望まれる が,ここでは体育科指導に直接関係する資質・能力をとりあげる。中村らは「婦人教師の現実の体育 指導に強く反映していると考えられる素質や能力として,体力・運動に関する知識・指導力という4 っを取り出し」(7)考察している。また永島の調査(8)では,資質・能力を,運動能力・体力・指導力e 知識や理解・子どもをまとめる力・子どもの心理を読みとる力に分けている。これらをもとに,体育 指導上の資質・能力の大略を次に挙げる。

①運動技能 ②基礎体力 ③運動に対する知識・理解 ④教材研究

⑤指導方法 ⑥子どもの実態の把握 ⑦個人や集団の取り扱い

⑧指導力 ⑨安全に対する配慮 ⑩評価

 永島の調査によれば,運動領特別にみた「とくい一にがて意識」では,年令や担当学年に関係な

         り

く最もにがてな領域は「水泳」「器械運動」,最も得意な領域は「ボール運動」「ダン刈,そして

      

中間には「陸上」 「体操」が位置している。さらに6領域全部について,低学年担当者の方がとくい 意識が高く,ダンスを除く5領域では年令が増すにつれて,低・高学年の差が大きい。資質・能力が 実際の学習指導に及ぼす影響では,ダンスをのぞく5領域で負担意識が強い。また資質・能力のうち,

子どもをまとめる力・子どもの心理を読みとる力ではプラス意識が高く,運動能力・体力では負担意

識が高くなっている。

(6)

 矢野の調査(9)では,男女教師の大部分が示範による効果を認めている。しかし「示範をよく行なう」

と答えた婦人教師数は,同じ答の男性教師数の3分の1であった。小圷の調査では,年令の高い婦人 教師ほど,示範をほとんどやらない者が多く,子どもと一箪に動く割合も少ない。

 また中林等は,運動をすることの好きな教師は,指導に・も自信を持っており,婦人教師の運動への 態度が各運動領域の,具体的実際的な指導に対して影響を及ぼしていると指摘している。

       

 以上をまとめると,婦人教師は体育科指導において水泳と器械運動ににがて意識が強く,ダンス以 外の運動領域で,その資質や能力に負担感が強い。その負担感は,高学年担当者・高年令老ほど強い。

そしてその理由は運動技能や体力に自信がないためである。と考えられる。

4.指導上での性差意識

永島の調査によれば90各醐識とも,低学年鱒の方縞学年欝よりも性差意識が弱噸向が みられる。つまり低学年指導では男性教師に対して自信を持っているといえる。指導についての難易 意識とほゴ見合って,指導しやすい運動領域ほど自信の度合も強くなる傾向がみられる。

 さて,婦人教師は男性教師に対して,ダンス以外の指導では劣等意識をもつ者が全般的に多くみら れる。詳述すると,運動技能と体力では劣等意識が強く,逆に,子どもをまとめる力・子どもの心理 を読みとる力では弱くなっている。領域別にみると,水泳・器械運動に劣等意識が強くダンスでは弱 くなっている。また運動することの好きな老は,劣等意識が弱いことが挙げられる。

 体力と運動技能をめぐる性差意識については,婦人教師の劣等意識が強いが,運動への愛好的態度 によって克服する可能性が開かれている。

5. 婦人教師の健康状態

 人闘の生命と健康は,いうまでもなく人間の生存の根底に関わる最も重要な問題である。しかし今 日では,公害や交通災害・労働災害などのさまざまな原因によって国民の健康破壊が進行してきてい る。婦人教師をめぐる健康の問題は,基本的な健康権の保障に基づいて維持されなければならない9D  小倉・浅野の調査では92健康状態に関して異常を感じている婦人教師は,男性教師のそれよりも高 率を示しており,年令が高い者ほど高率を示している。また教職に張り合いを持っている教師ほど,

健康状態が良い傾向がみられる。小倉・浅野の調査,小圷の調査ではともに,病気でありながら医療 を受けていない者の比率は高く,医療を思うように受けられない実体を示している。しかしその理由 は「忙しくて時間がないから」「我慢できるから」などで,問題に片寄りがみられる。

6.家庭と家事労働の問題

 一番ケ瀬らの調査によれば論難人教師のもつ家庭の悩みには「家事と仕事の負担で,休息や教養,

研究の時間がとれない」33.6%,「家事と仕事の負担で健康に自信がない」11.0%,「家族が病 気になった時,困る」26.2%,「住宅事情が悪くて,休息や研究ができない」3.2%,などが挙げ

られる。小圷の調査では,婦人教師は仕事の負担を重いと感じている老が多い。仕事を終えて家に帰 っても,既婚の婦人教師のほとんどは「ひとりで大部分の家事負担を受けざるを得ない」現状にある。

家事は,婦人教師の仕事をしていく上での障害となるばかりではなく,健康にも影響を及ぼしている。

(7)

乳幼児や手のかかる老入,病気の家族がいる者の負担はさらに大きくなっている。

 家事労働が家庭を維持する上で必要なものであることは論じるまでもないが,三巴労働の負担方法 については,現状では問題が大きいので,改善していかなければならない。体育指導を支える健康や 教材研究その他の時間の確保,という点からも,改善がのぞまれるのである。

7. 母体保護問題と育児の問題

 母性の健康は,常に母性である婦人教師自身の問題であるばかりでなく,国民ないし人類全体の生 命の維持・発展にかかわる問題であって,母性の健康の維持増進は,国家・社会の責務である。わが 国の妊産婦死亡は戦後,減少の方向であるとはいえ,西欧諸国に比較して,2〜3倍の高率を示して いる鯉その原因は,妊娠申毒症と出血で6割を占めている(昭和51琿「厚生白書」P66以下)。

さらに勤労婦人の場合は家庭婦人(專業の主婦)にくらべて,妊娠と出産に異常が多いという報告も なされている(NHK大学講座「現代法の課題」P43以下)。小圷の調査では鱒既婚婦人教師の

50.0%が異常出産の経験をもっていると答えている。経験の内容は「早産」「流産」「妊娠申毒症」

「激しいつわり」であり,その中の1つ,あるいは2つ以上を経験したと答えている。その中でも特 に「流産」の選択率が高い。

 婦人に認められる休暇には次のものがある。

   (1)生理休暇   生理日に就労が著しく困難な女子と,生理に有害な業務(立ち作業・精神      的緊張を要する作業・筋肉を用いる作業)に従爾する女子について,本人の請求により認      められる(労働基本法67条)。

   (2)産前産後の休暇   産前産後各6週間であるが,産前は女子が請求して初めて産休にな      る(労働基本法65条)

   (3)育児時間   生後満一f鞠こ満たない生児を育てる女子について,1日2回,各30分ず      つ認められる。出勤時間を1時間遅らせ,または退勤時閲を1時間早めるといった利用の      仕方もゆるされる。

   (4)育児休暇(育児休業)   育児のため,婦人教師が1年以内の休業期間で職場を離れ,

     期間後もとの職場に復帰できる。給与は原則として無給。休業期間の半分が勤続年数に算      入できる。(勤労婦人福祉法11条に基く育児休業法)

 これらのうち,生理休暇については,小圷の報告では⑱「別に異常がないから」請求をしない老が 50.6%であり,苦痛を感じながらも「がまんできるから」 「時間的余裕がないから」 「同僚に迷惑 をかけるから」とらないものが44.5%であった。授業進度が遅れることなどの子どもへの影響と,

同僚に補助してもらうことへの気がねが,休暇をとらない無理の原因である。生理休暇を母性保護の 立場からみれば,やはり必要なことであり,とりにくい実情は改善されなければならない。

 また産前産後についてみると,妊娠中や産後における体育指導が異常出産になんらかの影響を及ぼ しているという報告⑰がある。(「教職員の保健管理」日教組教育研究全国集会報告書)昭和41年 の新潟県下小山中学校の婦人教師を対象にした調査では,その31%が異常妊娠と流産を経験してお

り,その理由の第3位が「体育を多く持ったため」⑱となっている。

 茨城県下における小中113校(無作為抽出)の婦人教師を対象にした調査ではq%壬娠中や産後に

(8)

体育指導をした者が既婚者総数の84.6%あった。そしてその間,身体に危険を「おおいに感じた」

者が21.7%,「少し感じた」者が59.1%あった。体育指導時の身体への危険感と異常出産の関係 をみると,危険性を「おおいに感じた」と答えた者ほど,異常出産も「有り」と答えた率が高くなっ ている。(1%水準で有意差あり)異常出産の多発の原因と体育指導とはなんらかの関係があると考

えられる。

 産前産後の休暇については,現行よりも諸外国では長く規定しており,各8週間ないしそれ以上と する場合が多い。ILOでは合計14週間を勧告しており(95号勧告),休暇延長を望む声も高い。

小圷の報告では,茨城県の場合,産前6週間・産後8週間の計14週間が認められているが,この14 週間以上を希望する婦人教師は60.8%であり,過半数が現在の期閲では不十分であると答えている。

 一方,「激しいつわり」と「流産」の消壷者が,各々46%を占めている⑳ことから,妊娠初期の

       

主としてつわり期間に,なんらかの対策が講じられる必要がある。「つわり休暇」の設定によって

「流産」を予防できる可能性もある。

 育児休暇が保障されたことは,婦人教師にとって大きな条件改善であった。しかし,それが婦人教 師を対象としたものであるだけでなく,夫または妻のいずれかが,共済制度の月掛金支給程度の有給 のもとに届出によってとれるしくみがのぞまれている。妊娠中,出産後の健康管理に対する配慮(特 に体育指導の担当に関するものと休暇について」および育児休暇その他育児に関する便宜の供与につ いて昭和47年制定の「勤労婦人福祉法」以後,改善の跡がみられる。しかし育児休暇とともに,あ るいはそれ以上に,保育施設とそれに伴なう行政上のサービスが必要とされている。母性の保健は妊 娠・出産・育児の時期に限らず,より早い時期から,かつ母性の各期に応じた適切な維持・増進策が.

謝られるべき⑳であるゐ、ら,婦人教自雨もまた斌の母性として,+分な保障綬1ナるべきである。

 現代は薬害,公害など母性をとりまく環境は必ずしも良い状況にあるとはいえないので,それに対 応するような保健管理の徹底や職能的諸条件の整備が望まれている。

結  語

 小学校における婦人教師数の増加傾向とその現状に対応して,婦人教師が不向きであると一般的に 考えられている体育指導に関して文献研究を行なった。問題点については既に述べた通りであるが,

これらを解決していくためには,次の各項を達成しなければならないと考える。

  (1)婦人教師の職能的諸条件の整備と改善

       ゆ      

  (2)婦人教師の体育への愛好的態度の育成と,にがて意識の解消   (3)教員養成段階での,体育指導上の資質・能力の十分な育成

  ④ 家事労働と育児の負担を軽減できる夫婦間の協力体制の確保,および保育所など育児施設に     関する十分な行政サービス

〔参考・引用文献〕

(1)並木義夫  「女教師(小学校)の増加と体育指導」 健康と体力・1973,No.10, P 29

(2)馬場四郎  「現代女教師論」 体育科教育 Vo 118,Nα 6, P 3

(3)小圷のり子 「体育に対する婦人教師の意識についての調査研究」 茨城大学卒業論文1974

(9)

4

⑤⑥ω⑧⑨⑩⑭⑫⑬⑭⑮⑯⑰⑱⑲⑳⑳

中林久二e矢野久英・嘉戸脩・永島惇正「小学校婦人教師の運動やスポーツ実施への態度と体

 育指導」 東京学芸大学紀要1975,P232〜233 一番ケ瀬康子 「女教師の婦人問題」 P101 第一法規

永島惇正  r小学校婦人教師と体育科学習指導」 東京学芸大学紀要1974,P214〜231 中林久二,等 前掲書 P232〜244

永島惇正 前掲書 P220〜231

矢野久英 「女教師のための研究活動の推進」 健康と体力・1976,No. 5, P l 1〜12

永島惇正 前掲書 P220〜241

NHK大学講座 「現代法の課題」 1977, P40

小倉学・浅野茂 「教員の健康に関する調査」第一報,健康教室第284集,1974,P9 一番ケ瀬康子 前掲書 PlOl

NHK大学講座 前掲書 P43〜44 小圷のり子 前掲書 P51〜53 小圷のり子 前掲書 P55

NHK大学講座 前掲書 P33

室橋シズエ 「教職員の保健管理」 日教組教育研究全国集会報告書,1967,P2〜5 小圷のり子 前掲書 P51〜52

小圷のり子 前掲書 P31

NHK大学講座 前掲書 P43〜44

参照

関連したドキュメント

実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

在させていないような孤立的個人では決してない。もし、そのような存在で

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

「欲求とはけっしてある特定のモノへの欲求で はなくて、差異への欲求(社会的な意味への 欲望)であることを認めるなら、完全な満足な どというものは存在しない

C :はい。榎本先生、てるちゃんって実践神学を教えていたんだけど、授

神はこのように隠れておられるので、神は隠 れていると言わない宗教はどれも正しくな

のニーズを伝え、そんなにたぶんこうしてほしいねんみたいな話しを具体的にしてるわけではない し、まぁそのあとは