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資 料 経営管理への複合的アプローチ

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(1)

173   l一−9ユー一  

資  料  

経営管理への複合的アプローチ  

ー『経営管理論の密林』に.関する覚書:  

ポール・トゴ−ドンの所論を中心にして一  

紙  川   進  

1序  

ノ、ロルド・ターンツの『経営管理論の密林』(The Management TheoryJung!e)と題  

(1)  

する論文が1961年のくれに.発表されて以来,経営管理論の研究方法の混乱が多くの人びと  

(2)  

の関心をあつめるにいたった。クー・ソツに.よれば,管理論の形成期においては徹底的な   経験主義が貫かれ,文献の多くは実践家の長年の実際の経験から蒸溜された貴重な結晶  

であった0 しかしながら,その反面,学問的文献おキび調査研究の不毛(absepceo董  早CCademic writing and research)の時代であった。ところが,今日では大学から流れ  

(1)Harold:Koontz, 

Management,VOl.4,nOl3,Decembe【,1961,pp 174−188,(in Max DRichardsand    William A。Nielander(edsn),Readingsi nManagemeni,2nd ed。Ohio:SDuth・   

Western PublishingCompany,1963,ppt・2−20,andDalton E.McFarland(ed ),   

C〟γ′・㈹仁ね錐郎α加1勤椚甘花g C∂〝Cβ♪ねよ形肋〝〃gβ桝β〃f:旦相成乃g・㍉ル脚り戯   

Academy ofManagement,VO12,Boston:Houghton Mifflin Company,1966,   

pp.7一−23).   

クーソツに.はこの論文とはとんど同一内容の下記の論文がある。HaI01d Koontz,   

〃Making Scence of Management Theory, Harvard Business Re2,ieu,,VOlI40,   

no.4,July・August,1962,ppI24−28,(in Harold Koontz(ed),Toward a    Unifi ed TheoY・.y qfManagement,New York:McGraw−Hill,1964,pP 1冊17) 

(2)アメリカにおいて経営管理論の研究方法が問題とされたのは,経営管理論の歴史がは   

じまって以来今回がはじめでであるが,ドイツにおいては経営経済学(BetriebswiIt−   

schaitslehre)の誕生以来つねに.研究方法は反省の対象となり.いわゆる「経営学方法論   

争」(die MethodenstIeitigkeiten)がたたかわされてきた。ドイツの方法論争に.つい    て−はたとえば次を参照のこと。   

AdolfMoxter,肋fノわ♂∂わg査5CカβG′■〟〝d/■γαgβ〝dβγβ夙豆石油封肌7■ねぐカαノねJβカγg,K61n    und Opladen:Westdeutscher Verlag,1957 

山本安次郎『経営学本質論』森山書店 昭和36年   

(2)

欝40巻 欝2号   174   トーー タコ ーー  

出るおびただしい調査研究や文献の大粒水(a deluge of research and writing from   accademic halls)に.よって昔のこ.とは想像もできない事態になっている。こうした事態   は「■管理」(management oIadministration)の社会的重要性が正しく認識され,それ紅   ともなって,経営学者や実践家のみならず広汎な諸科学の専門家たちの関心が「この興味   深く,挑戦的で実り多い領域」(thisinteIeSting,Cha11enging,and profitable band−  

(S)  

WagOn)に.集中してきたことに.もとづくものといえよう。しかしながら,問題なのは,多   くの研究者たらがこの学問領域紅集中してきたという事実ではなくて,「この洪水がそれ  

(4)  

とともにいか紅大きな見解の相違や混乱という濁流(☆aves)を生ぜしめたか」ということ   である。こんに.ちに.おけるこのような洪水の申で,経営管理研究は多種多様なアプロ−チ  

によっておこなわれ,種々の異なる見解を生みだし,そめ結果,纏営管理ゐ統一劇提把を   困難にし,「経営管理論の種々のアブロ−・チや研究者たらの密林」(a jungleofapp‡■OadleS  

(51  

and approachers to management theory)をはびこらせ,まさに.『経営管理論の密林』  

の原因となっているのである。   

クー・ソツはこのような現状分析にもとづいて『経営管理論の密林』を構成しているのは大  

(¢)  

別して次の6学派であると判断する。  

(Tl  

(1)管理過程学派(The Management Process School)−この学派は管理過程を分析  

(3)Koontz,in Richards and Nielander(eds・I),OplCit.,p・2,and MacFarland  

(ed.),OZ・.Cit.,p.2,and Koontz(ed..)ob.cii.,p・2.   

なお,クー・ンツは経営管理論の領域に新しくはいってきた専門家たちの例として,心    理学者,社会学者,文化人類学者,計蛍経済学老,経済学者,数学者,物理学者,生物    学者,政治学者をあげている(Koontz,in Richards and Nielande工(edsl),0♪・Cii.,   

p・3,and MacFarland(ed.),0?い Cit.,p・.8)。  

(4)KobzltZ.in Richardsand Nielander(eds.),Ob.cii.,p2,:and MacFarland  

(ed.),Ob.cit.,p.8,and Koontz(ed.),Ob.cii.,pl2.  

(5)Koontz,in Richards and Nielander(eds),OP.cit.,,p.3,and MacFarland  

(ed.),ゆ、d≠.,p′8 

(6)Koontz,in Richards and Nielander(eds ),OP.cit.,pp.・4−12,and MacFar・  

1and(ed.),OP ciiり,pp 9−17,and:Koc>ntZ(ed ),OP.Cit.,pp.3−10.  

f7)クーンツほのちに.この学派を「業務学派」(The OperationalSchool)とも呼んでい    る。(Harold:Koontzand Cyri10 Donnel,・Princibles o.f Management:An Ana・  

l.ysis ofManagemeniFunction,3rd ed。,New York:McGraw−Hill/Tokyo:   

K6gakusha,1964,pp.26f.大坪 栂訳『経営管理の原則1』ダイヤモンド社   

昭和40年 38頁以下)。   

(3)

一 夕β−   

経営管理への複合的アプロrチ  

175  

し,管理のための思考基準を設定し,管理の庶理を明らか紅しようとする伝統的な立  

(8)   場である。  

(2)経験学派(TheEm由icalSchool)−一層理老の経験(成功例や失敗例)を研究す  

(9)   

ること把.よって管理を分析するもので,事例研究や比較研究をおとなう○  

(3)人間行動学派(ThcHuman】〕ebaviof Scbool)−−この学派ほ人びとの協働や人間  

(10〉   

対人闇の関係を重視し,心理学や社会心理学の研究方法を利用する0  

(4)社全体系学派(The SocialSystem School)−・この学派ほ(3)と区別しにくいが,  

(11)   

企柴を社会集団と考え,組織の問題を監視し,社会学的傾向が強い○  

(5)意志決定学派(TheI)ecisionTheo工ySchool)−この学派は管理を意志決定の    問題と考え,多数の可能な代替案の中から最適な行動のコ−スを選択する意志決定を  

(lさ)  

研究する。  

(6)数理学派(The MathematicalSchool)・Wrこの学派は経営管理論を数藍的モデル  

(18)  

め体系と考えるのである。   

しかも,これらの諸学派は瀬音紅対立して「密林戦争」(junglewaIfare)を戦い,相   手を倒して日のあたる場所を狸得しようとしているのである。すなわら,この密林ほ知的  

(8)この学派の代表者ほクー・ンツ自身(Ⅹ00ntZand O Donn?1,・♂♪c査りであるが,   

さら紅は,たとえば,W.H.Newman and C」EISummer,JI\.,The Process qf    Management:Concebts,Behdvior,and Practice,Englewood Cliffs,N J‖ ‥    Prentice・Hall,1961.高田 寮監訳『経営の過程(1)・(2)』日本生産性本部 昭和40    年をあげることができる。  

(9)L ErnestDale,TheGreatOrgani2er,NewYork:McGraw・Hill,1961・岡本庸雄    訳 閲代の企業組腰と経営者』ダイヤモンド杜 昭和37年 はその代表的文献である。  

uα R.Tannenbaum,Ⅰ..R.Wes叫1er and FいMa革Sarik,Leadershi♪and Oi・gan・ 

izatiolt:A Behat,iora]Sc(cllCC APL・rOaCh,New York:McGlaW・Hi11,1961.   

産業能率短期大学監訳『リ−ターンップと組織:行動科学紅よるアプローチ』池田書    店 昭和40年 はその代表的文献である0  

圧力 C.Ⅰ.Barnard,TheFunctionsofiheExecutive,Cambridge,Mass・:Harvard    UniveISity f,ⅠeSS,1938.田杉 競監訳 r経営者の役割』ダイヤモンド社 昭和31年    はその代表的文献である。  

u2)DいW.Millerand MlKいStarr,、ExecutiveDecisionandOberaiionsResewck,   

EnglewoodCliffs,N・J.:Prentice−Haエ1,1960・はその代表的文献である。  

孔う】.トF.McClasky and F.凡Tr・afetben,0♪βγαJわ〝ぶ月々ぶβ〃γβカメおr肋〝αgβ桝β形f,   

Baltimore:Johns rlopkins Press.1954 はその代表的文献である。(なお,注(8)   

−(13にあげた代表的文献は Koontz and O Donnel,0♪lCii。,p・37, Selected   

RefeI・enCeSけのうちからそれぞれ1つを選らんだものである。)   

(4)

第40巻 筋2号  

ー・94−   176  

な混乱(mentalentanglementinjugle)に.おちいって:いる。その原因として,経営管理論   に・対する理解の相違,用語の語義上の混乱や管理の諸原理に対する誤解等が考えられる  

(14)  

が,さらに・,ク−ンツは「経営管理論の混乱は経営管理の領域に(他の専門領域から、)新   しくはいって:きた多数の人びと(newcomers)が(この学問の)過去のすぐれた観察や分   析を,それらが本質的に.先験的(α♪′∠♂タ・磨)であるという理由で排撃するという傾向によっ  

し1r■1 て,より一層強められている」と判断し,この密林のような現状を開拓し,経営管理論を  

(16)  

発展させる「秩序ある並木道」(orderly rowsof trees)に.するためには,相互理解によ   って諸学派間の容易ならぬ相違点を解消し,諸概念の定義を明確粧し,用語上の混乱を解   消し,基本的命題を検証し,「経営管理の統一理論」(aunifiedtheoryofmanagement)  

\】rl  

を確立しなければならないと主張した。  

(1さ−   

彼のこのような主張は賛否両論のはげしい論争を惹きおこし,学界に大きな影響を与え   a4)Koontz,in Richa【dsand NielandeI(eds.㌻),Ob小 Cit.,pp.12f.,and McFarland   

(ed),Ob.citl.,pp・17f.,and Koontz(ed..),ObCi t.,pp…10f.  

85)Koontz,in Richardsand Nielander(eds.),OP(紘,p.14,and McFarland  

(edl・),ObりC払・Pp 18−W19,andKoonfz(ed小),OAlCit・リp・12  

(16)Koontz(ed∫),〃♪dfりpり 273.  

u7)Koontz,in RichardsaやdNielander(eds・),OblCit.,pp・17f・,and McFarland  

(ed.),0?・Citリpp.21f.,and Koontz(ed,.),,0♪.citい,pp14f.   

クL−ンツが「経営管理の理論と研究‥経営管理の改善のためのその役割」と題する   1962年11月のシンポ汐クムの内容を編集した本を『準営管理の統一選論をめざして』  

(Ⅹ00ntZ(ed・),β♪、c去り と名づけて−いることからも,ク−ンツの「経営管理の統一    理論」への強い志向がうかがわれるであろう。なお,ク−ンツの所論に.ついては次を参    照のこと。  

.永島敬識(稿)アメリカ経営管理論町おける方法的混乱とその反省−ク−・ンツ論文    を中心として一『凝済系』第55・56集 昭和38年3月 71−83真   

桜井信行(編)『現代経営学入門』有斐閣 昭和39年 222−230真   

山本安次郎(稿)アメリカ経営学の方法的反省と雀宮学本質論(1)・(2)『経済論凱第   

94巻4号 昭和39年10月18−36真 および 第95巻第2号 昭和40年2月17−37巽   

降旗武彦(稿)経営管理論に・おける過程理論の性格(2)一伝統的管理論の理論的基礎   

−『経済論叢』第99巻第6号 昭和42年6月 42−59貢  

㈹・主要な論文はたとえば次 

WainoSlSuojanen, Management Theory:Functionaland Evolutionary,,,  

/∂〝㌢■〝αJ〃./ 才力βAcαdβ∽.γ(け肋〝αgβ沼β柁J,VOl.6,nO,.1,MaICIl,1963,pp.7−   

17.   

Wi11iam C.Frederick, The Next Developmentin Management Science:A    GeneralTheory, .JournaloftheAcadem.yofManagement,VOlり6,nO.3,Sep−   

tember,1963,pp.212−219.   

Pa111J・Gordon, Transcendthe CurrentDebateon AdministrativeTheory,,,   

(5)

経営管理への櫨合的アブロl−チ・  

177    −9β −  

(】9)  

た。われわれは,クーンツの主張に賛成するに.して.も反対する忙しても,経営管理論の理   論的な基礎を再検討し,その新しい方向づけをしなければならないであろう。その手がか  

りとして,われわれは『経営管理論の密林』をめぐる論争のうち,まず始めに,本稿でほ,  

(20)  

諸学派間の統合を主張するポール・.丁・ゴ−ドンの所論を吟味していくこととしたい。   

さて,ゴー・ドンは.現に.競合して.いる種々のアプロ」チほ実践紅たずさわる経営者ないし   管理者(the practicingexecutive)に.それぞれの功用や限界を明示するような方法七分類   されるぺきであると考える。管理者にとってきわめで重要なことは,ある備定のアプロー   チが予期される結果や予期しえない結果をもたらすところのどのような仮説を立でている   かを知ることである。そして,このためには,現在でほ,少なくとも4つのアプローチが   識別される。すなわち,彼ほこれらを,便宮i,,古典学派的アブロー・?:(the traditional   approach),行動科学的アプローチ(thebehavioralscienceapproach),意志汲定論的アブ  

ロ−チ(the decisionalapproach)および生態学的アプローチ・(the ecologicalapproach)  

(21) の名称のもとに整理している。われわれは次にそれぞれの特徴を概観しよう。  

Journalo.fthe AcademyofManagement,VOl6,nO 4,December,′1963,pp  290‑‑302 

Linda11F.Urwick, The Tactics ofJungle Warfar・e, Journalofihe Acade・   

m.yoj肋nagement,VOl.6,nO,.4,December,1963,pp.316−329  Koont写(ed..),0♪.cit.(本番には E Dale, The FunctionalApproach to Ma−   

nagement,,やH.A。Simon, Approachingthe TheaIy OfManagement 等が含ま    れでいる。)  

H.X.Junckerstroff, Zum Kampf dei・Lehrmeinungenin den USA, Zeitsch・   

玖〝ノ放rヱkわ・よ♂お紗≠デねCカ年/オ,34Ja王1rgりnf.2,1964,SS.115−117・  

Donald A.Woolf, The Management TheoryJungle Revisited, Advanced    ManagementJournal,VOl、30,nO‖4,October,1965,pp… 6−15 

Maneck S.Wadia, A Reappraisalof Management Principles, Advanced    肋nagemcntJournal,VOl11,nOい2,April,1966,pp53→57・  

山本安次郎 前掲稿  

は功クーソツ論文の影響を受けたものとしてたとえば次のものをあげるこ.とがセきる。  

Geor・ge RTerry,Princi−pIcs of Maガagement,4th edい,Homewood,Illl・   

Richard D。Irwin,1964  

,Ⅹ00ntZ and O Donnel,¢♪.c葎.  

山城 章『経営学原理』白桃書房 昭和41年  

桜井信行『■現代経営学一過程論的分析−.』東洋経済新報社 昭和42年  

鋤 われわれの考察は P、J.Gordon,OP・Cit.,in MacFarland(ed巾),Ob・Cit.,pp  53−67 を中心とする。  

松1)∫∂緑.,ppい54−63小 しかし,彼は,ク1−ソツも同様であるが,この分類の基準を示し   

ていない。   

(6)

−96−  第40巻 欝2弓   178   

2 古典学派的アプロ一子  

古典学派の伝統主義者たら(traditionaまists)は管理を封画・組織・統制という過程と  

(22) して杷捜する。すなわち,この学派の見解に従えほ, 

諸関係を計画し,仕事を遂行するための適切な権限と責任との組織的関係を確立し,そし  

(23)  

て,専門化が充分に満足されているかを測定し統制すること」である。この学派は,そ   の名が示めすように,合理的管理論(rationalview ofadminstration)や科学的管理運   動(SCientificmanagem由tmovement)に基礎をおいて・いる。  

(24)   

アンリ−・フ.ェイヨル,ルーサ−・ガリックやリンダール・アL一夕ィックによって代表   される合理的管理論紅おいては管理は人間満動の独立した領域であり,管理者がおこなう   もの(WhatadministratoISdo)として認められた。すなわち,管理者のおこなう活動は   相互に・関連のある計画・組織・統制という下位機能(sub・functions)から構成される1つ   の機能(afunction)として理解され,それが「管理」と呼ばれた。これらの論者たらは   組織の仝単位紅適用される管理のあらゆる仕事に,そして,あらゆる種類の企業における   組織のすぺての階層での管理に関心をはらった。彼らはあらゆる管理状況において欄画・  

位2)この学派の現在の代表的文献ほゴ・−ドンはとくに指摘していないが,たとえば次のど    ときものである。  

Ⅸ00ntZand O,Donne!,Ob.cit。Newmanand Summer,Ob.cit  L・F…Urwick,The Elemenis ofAdministY・ation,New York:Harpez・,1944  掘 武雄訳『経営の法則』経林番房 昭和36年  

William M.Fox,TheManagemeniProcess:AnIniegraied FunciionalAbbr・   

〃αCゐ,Homewood,Ill.:RichaI・d DnIIWin,1963 

C3)Gordon,in MacFarland(ed.),OP.citりp…56なお,管理の過程はこの学派の    多くの論者によって種々の内容に分析されているが,詳しくは山城教授の「■マネジメン  

ト・ファンクソヨン人別対照表」(山城前掲苔178−179頁)を参照されたい。  

銅 ゴ−・ドンは具体的に文献名を列挙していないが,われわれは次のようなものをあげる    ことができる。   

HenI二iFayol,エ Ad椚≠池ねわⅥ需〃花よ〝d〟ざJデー宣■βJJg♂fg畠搾るrαれDunod,1916.都築    栄訳『産業ならび紅一・般の管理』風間書房 昭和33年   

L11ther Gulick, Notes on theTheory of Organization,けinL.Gulickand L    Urwick(edsl),Ebbers onihe Science q/Adminisiratioh,New York:In$titut    Of Pllblic Admini$tration,Columbia University,1937,pp.3−45(Henry H.   

Albers,0タganized E方eCutive Acti 0〃,New YoIk:JQhn Wi)ly,1961,p.22,  

Selected References による)。   

L.Urwick,The脇aning ofRaiionalisati on,London:Nisbet.1929 

(7)

経営管理への接合的アプローチ  

179    −97−・  

組織・統制のための指針となる普遍的な理論や原理(univeISaltheoIiesand principles)  

を展開しようとした。これらの普遍的な理論や原理ほつねに特殊化されていないけれど   も,肇明な管理者は特定の状況にこれらの指針を適用するであろうというととが仮定され   ている。諸原理ほ合理的な,秩序整然とノした,体系的な方法(arational,Orderly and   SyStematic way)で淀繹されるものである。今日論じられている管理の理論や原理の多く   はフェイヨル,ガリック,ア・−クイック等の業積に由来するのである。   

上述のような合理的管理論と同様に,フレデリック・W・テーラー・,フランクおよぴり  

(25)  

リアソ・ギルプレス,ヘンリL−・・L・ガント等に.よって指導された科学的管理運動ほ管理   の合理的研究や改善に関心を持った。彼らによれば,管理とは「どんな仕事がなされるぺ  

(26)  

きかを知り,そして,もっとも効率的で能率的な方法でその仕事をおこなわせること」で   ある。それゆえ,彼らほ仕事の部門化や専門化,仕事や業帯の測定,あるいは,努力の能   率的な遂行に興味を持っていた。ところが;初期の科学的管理の欠点は人間を軽視したと  

とであ。た。作米状況の中の個人や彼と集団の成員との関係を重視した最近の研完㍍初期  

の科学的管理が人間を軽視したことの鮭果である。事実「科学的管理は作業.状況における  

(28)  

行動の心理的・社会的側面よりもむしろ生理的側面を強調した」のである。ところで,合  

(29)  

理的管理論が主としてFツプ・レベルの管理を解明しようとしたのに対して,科学的管理   は工場(shoわ)を研究の対象として,職長やエ員に仕事をおこなわせるためのもっとも能率  

(き0)  

的な目的一手段の関係を明らかにしようとしたのである。今日利用されている管理技術の  

鍋 彼らの代表的文献は次のごとくである。  

Frederick Wり Taylor,Scientijic Management,New York:Harper/Tokyo:   

WeatheIhill,1947(本書にほテイラーのぶゐ0♪〃α〝αgβ弼β乃才,1903;Tゐβ♪′・紘琉肋・S    βノ Sc査卯琉■ノ壱七肋〝αgβあ♂搾f,1911;アカ¢ rβ5f左∽∂〝.γ ∂βノb㌢・β fゐβ S♪βCね〜月初那   

Cの椚戒′fβ,1912が含まれている。)  

Henry L Gannt,Work,Wages and Profii:TheirInfluence onihe Cost    o./エ≠甲よ形g,1910;0γ・即戒gαfよ㈹ノ加肋㌢点,1917(高宮 嘗編『体弄経営学辞典』   

ダイヤモンド社昭和37年1163見紅よる)  

Frank B.Gilbreth,Field S.y.siem,1908;Moiion Stud.y,1911;Primer    5cオ♂形fg.〃β肋〝αgβ桝β扉,1912(『体系経営学辞典』1164貫紅よる)  

鍋 Gordon,in MacFarland(ed.),Ob.Citりp.55小  

臣Ⅵ ゴ1−ドンはとくに指摘してはいないが,次に論じる行動科学的アプローチを意味して    いると思われる◇  

㈹〃舶.,pい56  但功J∂∠甘.,p‖55.  

鋤〃弱.,pい56.   

(8)

欝40巻 欝2号   1∈〜0  

ー9g−  

(31)  

多くほ科学的管理の業績紅もとづくものである。   

さて,このような合理的管理論や科学的管理運動に.基礎を・おく伝統的理論つまり古典学  

派に.よれぼ,管理の目的は有効性(e土fectiver3eSS)すなわち所期の紅組目的を達成する  

、こ1ご\  

こと,および,能率性(e士f最ency)を舌めることである。そのための基準がたとえば「命   令の統一性」とか「管理の限界」というような原理である。このような古典派の見解は,  

後述の諸学派のそれに比べれば,仕事中心的(.work・Cente工ed)である0すなわち,管理は   与えられた目的を達成するため紅もっとも能率的な手段を作り出すこ.とである。管理ほ人  

員や機械の適切な配置や行動の指針をともなったきわめて一合理的でプログラム化された基   準(ahigh1yrationalizedandprogramedbasis)にもとづいて解決されるぺき技術的問   題(atechnicalproblem)と考えられるのである。、したがつて,そこでほ醒始の階層,権  

(33)(34)  

限の系列,専門化,能率等が中心問題となるのである○  

3 行動科学的アプローチ   

最近きわめて注目されているこ.とは行動科学的アプローチのめざましい台頭ぶりであ  

しJ5■)  

る。仕事中心的な竜典学派の見解に比べて,行動科学的アプロ−チほ人びと(people)や生   きた人びとが生きた離織の申で行動する方法(theふaythatlivepeoplebehaveinlive  

rganizations)に望点をおくのである。したがって,行動科学者たち(behavioralists)はr・  

0  

多くの場合,、合理イヒ(理論)の敵対者(OpPOnentSOfra+ionalization)とし7:あらわれ   61)たとえば,職務分析(jobanalysis),動作および時間研究(mot阜Onandtime study),   

エ程およびエ場配置(WOrkflowandplantlayout),仕事の簡易化(WOrksimplific・   

ation),工程分析図表(processcharting)等である(Ibid・,p・56)0   鋤J∂柑.,pリ56 

脚Jみ摘.,p.57 

糾 なお,ゴードンによれば,この学派ほ應典派経済学,エ学,法律学の影響を受けてい    るのである(J∂紀.,p・57)・  

(35)この学派の代表的文献をゴードンほとくに指摘していないが,われわれは次のような    ものをあげることができるo  

Tannenbaum et al,OP.cit.   

RensisLikert,Neu,Pattern ofManagement,NewYork:McGraw・Hill/To・   

kyo:K6gakusba,1961.三隅二不二訳『経営の行動科学』ダイヤモンド社昭和39年   

LeonardR Sayles,ManageridlBehavior:Administrationin ComPlex Org−   

の正郎痛〃〝;New YoI女:McGIaW−Hi11,19641山城 茸監訳『管理行動』タイヤモ   

ンド杜 昭和42年   

(9)

181   経営管理へ・の複合的アプローチ   ー99−  

る。彼らは伝統主義者たちが管理の多くの側面を無視しているのみならず,古典学派の命  

(36)  

題ほたびたび誤まって.いるとさえ主張するのである。すなわち,古典学派的アプローチほ  

個人的に経験された,限られた根拠湛のみもとづいて原理を形成しようとした。しかしな  

\  

がら,このような経験ほ生きた組織の中の人間の行動を充分に知覚してはいないし,また,  

正しい事実として検証されていない。その結果,古典学派ほ多くの誤った概念や原理を生   みだしたのである。   

こ.れに.対して,行動科学者ほ.演繹】勺というよりもむしろ帰納的な性格を持つ経験的研究  

l:くニ)  

(empiIicalstudy)に.もとづいて泊己の論点を形成しようとする。しかしながら,初期の  

(38)  

行動科学的研究ほ検証された事例が少なかったために,あるいは,古典学派の命題を論破   することのみを意図したため紅,いわゆる古い理論紅かぁる新しい体系的な理論を打立て  

(さ9〉  

るまでに.はいたらなかった。とほいえ,最近の研究はこうした事態を変えつつあるよう紅   思われる。   

行動科学泊粛克によれば,組織は社会的体系(a socialsystem)として埋解される。管   理は組織の使命を達成しようとする人びとのあいだの協働関係の体系を作り出すように,  

諸要因の組み合せを選定することである。すなわち,「行動科学的見解は人びと(people)  

および人びとの相互作用や協暢(theirinter{aCtionsand cooperation)klより重点をお  

66)Gorqon,in MacFar 1and(edl),Obu cit・,pPl57f小  

67)行動科学的アブロ−チの特徴の1つは知識(knowdge),原理(principle),調査結見  

(finding)の証拠となるような観察でき1{:立証可能な事象(observableandverifiable    phenomena)を必要とすることである。たとえば,行動科学者は人間の資質(traits)を    究明するのではなぐて,彼がなに・をおこなったか,彼がなにせおこなわなかったか,彼が    なにを言ったか,彼がなに.を言わなかったか等を分肝しようとする。このような研究ほ   

統制可能な実験室での実験(COntrOlledlaboratory expe【imentation)に・よって,ある    いは臨床的な実験的方法(clinicaland experimentalmethods)でおこなわれる(Cf.   

路材.,p.58)。なお,行動科学の研究方法について:は次を参照のこと。  

Leon Festinger and DanielKatz(eds),ReSearCh Methodsin Beha2)ioralScien・   

ces,New York:fIolt,Rinehart and Winston,1953.  

B.ベレルソン/GAスタイナ一 滴 博監訳『行一助科学辞典』誠信書房昭和41年    15−40貫  

(渦 「『人間凋≡系論』という名のもとに・あらわれて多くの誤解をまねいた初期の行動科学    の貢献は,ときに.ほ.断片的であり,あるいは不敵恵的であり,あるいは組織か下位階層    に.いる誤挿された人間か状態こ.無中に.なりすぎていた」(∫∂ほ.,p.59).  

β領 ∫∂どd.,p.58.   

(10)

182   第40巻 節2号   

ーーーJO♂ −一  

(40) 

(41)  

く」のである。それほ古典学派的アブロ−チ以上紅経験的研究にもとづく洞察と理解の展  

開を強調する?それほ管理者に組織行動の合理的な側面と同様濫あるいほそれ以上に・非合  

理的な(non−rational)側面を,そして,フか−マルな側面と同様にあるいはそれ以上に 

l・けl  

インフか−マルな側面を理解させようとする。要するに,「行動科学者たちほ社会的かつ   政治的な相互作用の種々の過猷VariouspIOCeSSeSOf socialandpoliticalinteraction)  

(48)(4i)  

を分析するのである。」  

4 意志決定論的アプロ−チ  

\け\   

さらに最近では意志決定論的アプローチ・が強調されている○意志決意論者たち(decisト  

onalists)に.よれば,管理とほ意志決起である。そして−,組織は意志決定単位(adecision・  

(46)  

makingunit)であり,管埋者は意志政志老(adecision−maker)であるo可能性や不確   実性の合理的分析がこの学派の特徴である。すなわち,モデルの設計(de軸nofmodels)  

や新しい強力な数盈的分肝用具(newandpowerfultooIsforquantitativeanalysis)の  

(45)  

利周は「嘩乱造志決意の新しい科学」(newscienceofmanagemantdecision)に前進し   ょうとする努力を示唆しているように思われる○   

管理が意志決定として概念化されると,意志決定過腰(processesofmakingdecision)が   非常な重要性をおびてくる。この学派は組織に内的なあるいは外的な目標,戦略および競争  

の諸関係一政治的,社会的,経済的あるいほ技術的−を解明しようとする0管理は競争状   態のもとで目標を達成することであるo「管理の機能は情報の流れ(flowofinformation)  

舶\ル玖,p・59 

仏1)ゴ−ドンは次のようにも述べている。「行劫科学者たちほ企業の主要店儲の遂行のた    めに必要な陛皮の協調(conformity)や誠盤(COOperation)を達成するために援助と強制  

(SupPOrtandconstraint)の政過酷合を管理の目的と考えているように・思われる」  

(Jみ∠−dリp−59)。  

仏辺J∂摘.,p.60.  

(姻J∂昆.,p・・64 

(唖 なお,この学派に.は心理学,社会学,.政治学,文化人類学が大きな影響を与えてい    る(∫∂オdリp.60)。  

個 ゴ−ドンは.この学派の代表的文献としてサイモソの次の著作をあげている(′∂≠d・リp    60)。  

Hezbert A.Simon,New Science ofManage)nentDecision,NewYork:Harper,   

1960。  

㈹ Go工・don,in MacFaI・1and,∂♪df.,p小60・   

(11)

経営管理への複合的アブロ、−チ  −∵化け−_  

183  

(47) を容易にし,そして,適切な意志決定をおこなうことである。」意志決定に直面した人は  

目的,手段,戦略,戦術および情報の適切な観み合せを選定しなければならない。したがっ   て,忠志決定論ほ情報,目標,戦略,代替行動,可能性等を重視するのである。とくに情報は  

(48)  

中心問題とみなされる。要する転「意志決定論は意志汲定過程の種々の側面を強調する一」  

から,いうまでもなく「このアブロー・チは意志決定およびシステム中心的(decision  

(49)  

and systems centered)である。」われわれがここで意志決定論的アブロ−チを採用してい   ると考える学派は最近の通俗的な用語すなわち「管理科学」(managementsience)のもと  

()0)(51)  

に包供されているのである。  

5 生態学的アプローチ  

(52)(∂β)   

最後にわれわれほ生態学的アブロ−チを考察しよう。「生態学者たち(ecologists)は 

(54)  

有機体と環境とのあいだの適応の過程を強調する。」すなわち,この学派は(1)組織,(2澱織   の内的および外的環境,(3)相互依存的な適応(adaptation),革新(innovation)および   化(change)を規定する諸力の間の諸関係を解明しようとする。企業を問題とする場合   には,経済的,市場的環塊と個々の企業の内的な生産,配分,財務および管理の諸能力と  

(55)  

の間の関係が中心課題となるのである。この見解に.よれば管理ほ「変化する環境匿反応  

(56)  

し,成長のための機会を創り出すような能力を持つ組織を形成し強化すること.」である。  

僻)」甘ほ.,p.61  鯛」撒dい,p.64・  

(49)J∂哀dりp.62  醐」賊d..,pn 62・  

(51)ゴ−・ドンに.よれば,数学,統計学,計義経濁学,工学,数蛍的プログラミ.ソグ技術や    ゲームの理論等がこの学派匿大きな影響を与えている(Jみ紘.,p,62)。  

(52)この学派を代表する文献をゴ−ドンは指摘していないが,尋っれわれはたとえば次のも    のをあげることができる。  

A.KいRice,Tカββ乃fβタ■♪㌢■≠ぶβα花d∠ォざβ〝む∠−γ0〝桝♂乃オ:A5プ.Sfβ∽Tカβ∂グー.γクノ肋〝α−   

g(17LC11f Olgalli=atioll.London:TilVistock,1963・  

醐 この用語ほ薫物学からとられている。すなわち,生態学ほ有機体とその環境とのあい    だの相互関係をとりあつかう生物学の−・部門である。(Gordon,in叫acFarland(ed.),   

0♪.c払,p 62).  

6亜 ∫∂∠d..,p.64  駒.抽玖,p.62u  

㈹ ∫∂紹.,pp.62−63・   

(12)

第40巻 飾2号  

−ヱ02−−   184  

ここでは,成長とは規模の拡大を意味するとはかぎらない。より強力な競争能力をそなえ   るようになるならば,成長とは規模の縮少な\意味することもある。企業に.とって,これほ  

みのがしえない原理である。したがって,この学派に.よれば,内的な,外的なあるいは組   織的な変化という圧力のもとに・ある企業としての組織の全体性や生命力の維持と強化が管   理の目的である。管理者の役割は−・方では望ましい諸胡糸をそこなうかもしれないひんば  

んな組織変化(0工ganizational申anges)と他方では組織を衰弱させるかも知れない諸関  

(5わ  

係の安定性(stability)とのあいだの巌蘭な組合せを求めることである。すなわち「管理は  育ちうる組織のためにもっとも適切な成長と変化の方向や速さを明らかにするための触媒  

(58)  

として機絶することである」といえよう。したがって,生態学的分肝は成長中心的(gIOWtb・  

Centered)思考である。それは中心問題として企業の生存能力(vitality)を盃祝するのであ   り,管理はその手段である。なお,この見解ほ上述の諸学派と比べて:より折衷的(eclectic)  

(59)   (60)(61)  

であり,そして,よりと.ユ.−リスディック(beuIistic)である。  

6 複合的アプローチ  

以上において.,われわれはゴー・ドンの分類にしたがって.経営密蔑への4種のアプローチ   を考察し,それぞれの特放を明らか紅・してきた。その場合,われわれは個々のアプローチ  

の特徽や業績をきわだたせるために.相互の相違点を強調した0これらのアブロ−チはそれ   ぞれある棲の仮説にもとづき,そして−,ある穣の可儲な成果をもたらすとこ.ろの特定のパー  

(82)  

ス、竺クデイブを持って:いる。伝統主凝着は計画・組織・統制のような過程を問題とし,行   動科学者は社会的および政治的な相互作用の稜々の過程を分析し,意志決定論者は意志   決定のおこなわれる過程を強調し,そして,生態学者は企菜や個人と環境とのあいだの適   応過程を重視す・る。各アプローチはこのような特徴を持つが,しかしながら,それらに・は 

即)J∂オdりpい 63 

(58)J∂gd.,p.63 

伽)ゴ・−ドンはこの学派は他のすべての学派から意見を借用しているという意味で折衷的    であると考え,次のように述べている。「それ(生態学派)は伝統主義者からいわゆる原理  

(principles)を,行動科学者から協物理念(COOperativeideas)を,そして:意志決定論着    からほ競争的戦略(COmpetitive strategies)を借用し7:いる」(Zbidい,pl− 63)。  

榊ゴ㌧・ドンに.よれば,この学派は新しい事真の発見があれば,目的,手・段や行劫をいつ    でも再調整するのである(J∂gd‖,p・63)。  

机 生態学的アブローーチは生物学,文化人類学,政治学の影響を受けている(′∂昆.,p・・63)。  

租」硯右p.63・   

(13)

経営管理への複合的アプローチ   −Jo3、岬  

1さミ5  

欠点がないわけではない。「われわれの観察する組織の中の人間行動のすぺての事象を完  

(6S)  

全に説明できる理論ほ存在しない。」すなわち,古典学派的アプローチは管理者のフォ・←マ   ルな槻能を重視し,逆に,彼のインフか−・マルな役割や駈織の社会的側面を軽視する。行   動科学的アプローチほ組織の均衡や協働を重視し,逆に,仕事の遂行ないし目的の達成とい   う側面を軽視する。意志侠定論的アプローチほきわめて合理的な活動を要求するあまり,  

人間的なあるいは非合理的な側面を軽視する。生態学的アプローチほあまりに・折衷的で,  

独自の原理を持っていないよう陀思われる。   

こ.のように,4つのアプローチにほそれぞれ長所と短所があるのであるから,われわれ   ほ決してその内のいずれかを研究方法として採用し,他を捨て去ることはできない。した   がって,われわれは個々の研究に.さいしてはそれ紅もっとも適切なアプローチを採用しな  

ければならないであろう。ゴードンによれば,これら4つのアブロ⊥チは経営管理の複雑   な諸問題を解明するための「1つの復合的アプローチ」(amultiple approach)として統  

(64)  

合せられる。すなわち,管理の問題はきわめて復経であり,管理状況が異なれば,管理を   決定する諸変数(Va貢ables)が異なるのは.当然である。すなわち,「なにが遥要な諸変数  

であるか,それらのうらどれが重要であるか,それらはいかにして異なる環境のもとで関  

(65)  

連づけられているか」は個々の状況に.よって一定でほない。しかも,このような変数を把   握できなければ管理過程や管理技術ほ無意味と一なり,「■管理の実体」(sub占tanceofad・  

ministration)を究明することは不可能である。とのような変数にほ,たとえば,組織が  

● 行動する外的環境における変数,定性分析や数鼻的分析の技術に含まれる変数等があり,  

(郎)  

さらには,管理者自身もまた管理状況における重要な変数である。このように管理状況に   多数の変数が存在すれば,そこに.おける管理者行動を解明するためにほ種々の接近をしな  

ければならないことは明らかである。それゆえ,上述のような4つのアブロ−チのうちの   いずれか1っだけでほすべての変数をとらえることは不可能である。ゴ−・ドンが4つのア   ブロ・−チの統合,すなわら,複合的アプローチを主張する理由の策1はここに・みいだされ  

るであろう。  

(63)1Ⅳ091f,〃♪.cざf..,p・・15・  

64)Gordon,in MacFarland(ed.),0♪しCit,p.65一・ゴ・−ドンは「全体的アプロ・−チ」   

ないし「綜合的アブロrチ」(this whole app工OaCh)とも呼んでいる(Zbid.,p・67)。  

蜘J∂紘,p.65.  

伽)J∂云甘.,p′ 65 

(14)

第40巻 発2号  

ーJ♂4−−   186   

ところで,クー・ソツの指摘した語義上の混乱を解消するためにも複合的アプローチが必   要である。1っのラブロ−チとして管理の諸問題を研究することに.よって,いわゆる4領  

\11:1  

域の業績が結合され,用語は統¶・的に理解されうるからである。さらに,柑俗的な理由で  

ほあるが,こ・の投合的アブロ−・チほ「経営管理論についての現在の論争」(thecuIrent   debate on administrative theoIy)にわずらわされなくてすむという利点があるとゴード  

(68)  

ンは指摘するのである。  

7 結   

われわれは以上においてゴードンの主張する「後台的アプローチ.」匪ンついて考察してき   た0彼によれば,現にみられる4つのアブロ−チ,すなわち,古典学派的アブロ−チ,行   動科学的アプローチ,志志決定論的アプローチおよび生態学的アプローチは.それぞれ−長   一億があり,したがって,そのいずれか1つのアブローチで後雑な管理の諸問題を解決し  

ようとすることは不可能である。それゆえ.,ゴー・ドンほそれらを統合した「1つの」投   合的アプローチを提唱するのである。「このアプローチほすくなくとも4つの手(fouI・  

p工Onged)を持ち,多くのより詳細な考慮をはらうための用具として奉仕する4つの主要な  

(69)  

頭(four mejorheadings)を持って−いる。」すなわちこのアブロ−チは諸変数を検証し測   定するためのすぐれた可能性を持った,いたは「4宇のアブロL−チ」(a董ourっ【Onged   appIOaCh)である。もしこの「4手のアプローチ」がその可能性を有効紅発揮するなら   ば,その場合に・は,どれまでの4つのアブロ−チの持つ欠点が排除され,その長所が統合  

(70)  

され,その結果,すぐれた一つの投合的アプローチとなるであろう。この1つのアブか−  

チほ「経営管理の統一理論」への道を進むであろう。しかしながら,われわれはただち紅   ゴードンの主張する接合的アプローチに同意することはできないであろう。けだし,ゴ−  

ドンの複合的アプローチには4つの異なるアプローチをそのうちに統合する原理が明らか  

仰.抽♂..,p.66  髄)J∂掃.,p・63  伽)∫∂∠dりp.63 

け0)「それ(複合的アブロ−チ・)は個々のアブロ・一夕紅よってすぐれた業績を塑得しなが    ら,現に競合しているアブロ1−チせ克服する統合(a synthesis)への迫を明らかにす    る。それほ伝統にのみとらわれないで,新しく研究されている領域に.秩序を与えるに必   

要な思考基準を認める」(∫∂よd.りp67)。   

(15)

経常管理への複合的アプローチ  

187    −、JO∂−  

にされていないからである。統合原理を欠くならば,この後合的アプロー・チほ「複数のア  

プローチの複合したもの」(multiple approaches)となり,決して「−1つの複合的アプロ   ーチ」(a maltiple approach)とはなりえない。それほたんなる「折襲的アプローチ・」(a   eclecticapproach)に堕してしまうであろう。折常的アブロLNチは決して『経営管理論の   密林』を解決し「経営管理の統一理論」を生み出すこ.とができないことは明らかである。  

われわれは複合的アブロー・チせ指標とするゴードンの統一理論への努力を高く評価すると  

とも紅,その限界をも認識しなければならないであろう。   

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