天井設置薄型アンテナ 天井設置薄型アンテナ
日 大 生 産 工 ○ 坂 口 浩 一 日 大 生 産 工 ○ 坂 口 浩 一 1. はじめに
1. はじめに
近年,携帯電話の安定した通信確保のため,
地下街やビル内に発生する通信不感地帯を,壁 や天井等に中継用アンテナを設置することで解 消することが検討されている.このアンテナに は目立たないよう薄型であることが求められて いる.また合わせて安価であることも重要とな っている.著者はこれまでに板金加工のみで製 作可能な UWB アンテナとして立体型のアンテナ
を提案[1][2]してきた.このアンテナは,板金加
工のみで作成できるため安価であり,良好な特 性が得られる小形なアンテナであった.そこで これらのアンテナを基に 800MHz 帯にて動作す る薄型のアンテナを設計したので結果を報告す る.
近年,携帯電話の安定した通信確保のため,
地下街やビル内に発生する通信不感地帯を,壁 や天井等に中継用アンテナを設置することで解 消することが検討されている.このアンテナに は目立たないよう薄型であることが求められて いる.また合わせて安価であることも重要とな っている.著者はこれまでに板金加工のみで製 作可能な UWB アンテナとして立体型のアンテナ
を提案[1][2]してきた.このアンテナは,板金加
工のみで作成できるため安価であり,良好な特 性が得られる小形なアンテナであった.そこで これらのアンテナを基に 800MHz 帯にて動作す る薄型のアンテナを設計したので結果を報告す る.
2. アンテナ構造
本研究で提案するアンテナへの要求条件は,
アンテナ高 12mm 以下,アンテナ素子最大寸法 200mm 程度以下,動作周波数 800MHz 帯である.
提案アンテナの形状を図 1 に示す.本アンテナ のアンテナ高 h は 10mm,アンテナ長 L は 203mm,
動作周波数 867.5MHz となっている.本アンテナ はアンテナ素子となる金属板の幅W5で接地(図 中Aの面下側)し,箱形に直角に幅W4で折り曲 げ,長さ L の天井面を作り,幅W3で接地した面 と対向する面ができるよう折り曲げ,さらにW2
で接地した面に向かうよう素子内面に折り曲 げ,幅W1の辺で給電する構造としている.これ により給電部から接地部までのアンテナ全長を 長くすることができ,また給電部から地板と L2
の長さを設けることで整合を取っている.各部 の寸法等は図中の記号と共に示した.アンテナ は無限地板上に設置したと仮定し,解析はモー メント法を用い行った.
本研究で提案するアンテナへの要求条件は,
アンテナ高 12mm 以下,アンテナ素子最大寸法 200mm 程度以下,動作周波数 800MHz 帯である.
提案アンテナの形状を図 1 に示す.本アンテナ のアンテナ高 h は 10mm,アンテナ長 L は 203mm,
動作周波数 867.5MHz となっている.本アンテナ はアンテナ素子となる金属板の幅W5で接地(図 中Aの面下側)し,箱形に直角に幅W4で折り曲 げ,長さ L の天井面を作り,幅W3で接地した面 と対向する面ができるよう折り曲げ,さらにW2
で接地した面に向かうよう素子内面に折り曲 げ,幅W1の辺で給電する構造としている.これ により給電部から接地部までのアンテナ全長を 長くすることができ,また給電部から地板と L2
の長さを設けることで整合を取っている.各部 の寸法等は図中の記号と共に示した.アンテナ は無限地板上に設置したと仮定し,解析はモー メント法を用い行った.
3. 結果
図2に本アンテナのリターンロス特性を示 図2に本アンテナのリターンロス特性を示
A Design Method of Low Profile Antenna Mounted on the Ceiling A Design Method of Low Profile Antenna Mounted on the Ceiling
Koichi SAKAGUCHI Koichi SAKAGUCHI
h1 h2
h0
h
0.8 0.85 0.9 0.95 1
-15 -10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB] W1= 58
W2= 60 W3= 110 W4= 142 W5= 158
h1= 4 h2= 6 h=h1+h2 基本寸法[mm]
0.8 0.85 0.9 0.95 1
-15 -10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB]
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 導線半径[mm]
z
x y
図2 リターンロス特性
図2 リターンロス特性
図1 アンテナ構造図
図1 アンテナ構造図
図3 リターンロス特性(導線半径変化)
図3 リターンロス特性(導線半径変化)
2. アンテナ構造
3. 結果
h1 h2
h0
h
0.8 0.85 0.9 0.95 1
-15 -10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB] W1= 58
W2= 60 W3= 110 W4= 142 W5= 158
h1= 4 h2= 6 h=h1+h2 基本寸法[mm]
0.8 0.85 0.9 0.95 1
-15 -10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB]
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 導線半径[mm]
z
x y
W4 L
W5
W1
W3
L2 L1
h
W2
A
−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−
― 89 ― 2-27
0.8 0.85 0.9 0.95 1 -15
-10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB]
+ 1 + 2 + 3 + 4 + 5 h, h2 変化[mm]
基本寸法 h = 10 h2= 6 h1= 4 す.867.5MHz で動作していることが分かるが,
帯域が狭い.文献[1]では素子上に進行波状の電 流が流れ広帯域であったことから,今後給電の 仕方等に更なる検討を行う.モーメント法解析 での導線半径の影響を調べた結果が図3であ り,かなり大きな影響が有ることが分かる.こ れは地板との容量性結合が影響しているためと 考えている.図4より,アンテナ高を基本寸法 より高くすることで動作周波数は低域に移動し 帯域も広がることが確認できる.アンテナ上部 幅を基本寸法より広げた場合(図5),基本寸法 での動作周波数とは異なる高次の動作周波数が 現れ,その周波数は幅を広げるに従い低域に移 動することが分かる.基本寸法における放射特 性を図6に示す.アンテナ上 y 軸方向電流によ る放射が主となり+1.5dBi の利得が得られてい る.XY 面では z 軸方向電流による放射が見られ,
無指向性に近い放射となっており,これら結果 より,天井面に設置して利用できることが確認 できた.
図4 リターンロス特性(高さ変化)
0.8 0.85 0.9 0.95 1
-15 -10 -5 0
周波数 [MHz]
リターンロス [dB]
+ 2 + 4 + 6 + 8 +10
W3, W4, W5 変化[mm]
基本寸法 W3=110 W4=142 W5=158
4. まとめ
天井面に設置するための薄型アンテナを提案 し,小形でかつ水平面内ほぼ無指向性の放射特 性を持ち,利得+1.5dBi が得られることを示し た.本アンテナは板金加工のみで構成できる安 価なアンテナであり,実用上有用なアンテナと 考える.日頃よりご指導頂きます長谷部望先生,
コメントを戴きました日本電気㈱・倉本晶夫様 に感謝申し上げます.
図5 リターンロス特性(幅変化)
90°
270° 10[dBi]
-10 -20 0
φ= 0° 180° -30
Eθ
参考文献
[1] 坂口, 長澤, 長谷部:” UWB用湾曲板状アン テナ”, 2005信学ソ大,B-1-156
[2] 中川,坂口,長谷部:” 湾曲板状アンテナの
形状に関する検討”, 2009信学ソ大,B-1-86 (b) xy面
90° -90°
10[dBi]
-10 -20 0 θ= 0°
-30
Eθ Eφ
90° 10[dBi]
-10 -20 0 θ= 0°
-90° -30
Eθ
(a) xz面 (c) yz面
図6 放射特性(基本寸法,867.5MHz)
― 90 ―