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いま!!生き残り・生き抜く防災教育を!

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Academic year: 2021

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- 4 - 2004 年インド洋津波来襲の際、タイの観 光地などで撮影された映像は衝撃的であっ た。来襲する津波を捉えただけでなく、海岸 にいる観光客や住民の姿が目に焼き付けら れている。沖から迫り来る津波に気づいて いないのか、殆どが避難しなかった。何か行 動をおこす様子もなかった。「津波」という 災害を知らない、さらには津波警報などが 発令されなかったという状況はあるが、な ぜ、沿岸に迫り来る津波に気づかなかった のか?または、気づき難かったのか?

当時、年末の外国人滞在者を含めてタイ 国内では、8 千名以上が犠牲になった。地震 の揺れもなく、突然の津波が沿岸域に来襲 し多くの命を奪っていった。その中で、見事 避難出来た事例がある。この立役者は、日本 人ではなく、イギリスからの少女ティリー であった。彼女は、イギリスから家族と共に プーケット島で休日を過ごしていた。海を 眺めている中で、海での異変に気づいた。海 があわ立ったかと思うと、突然、潮が引いて 海面が下がっていたのだ。

すぐさま、これが、見たこともない津波で あることを確信した。彼女は、イギリスの学 校の授業で地震と津波について学んだばか りだったのだ。すぐさま、彼女は両親に、津

波が目の前に来ていることを伝えた。これ は、地震や津波とは無縁と思われるこの場 所で、非現実的なあまりに突然の内容であ る。こういう場合、子供の言うことだからと 相手にしない場合も多いだろう。だが、幸い なことに、ティリーの両親は自分の娘の直 観を疑いはしなかった。また、周りの人もテ ィリーたちの発した警告に迅速に応えたの である。

日本人であれば、津波という言葉を知ら ない人はいないであろう。地震の後に津波 が来襲する。押し寄せる前に、海水面が引い たり押したりする、これらの知識は共有化 されていると認識している。しかしながら、

我が国の現状として、津波警報が出されて もわずか 1 割程度の住民しか避難という行 動をとっていない。警報が出ているにも関 わらず、海岸へ津波を見に行く親子連れも いた。このような状況を見ると、知識がある ことと、危険を認識して行動をとることに、

大きなギャップがあることを再認識せざる を得ない。

2004 年スマトラ沖地震・インド洋津波に よる大きな災害の後、我が国での防災教育 の教材として「稲むらの火」の物語が世界的 に注目され、世界 8 力国に翻訳され、各地

●巻頭随想

いま ! !生き残り・生き抜く防災教育を!

今 村 文 彦

東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター 教授

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- 5 - で教科書として使用されている。しかし、現 在の我が国での教科書には、この話は掲載 されていない。また、我が国では、世界トッ プの防災科学と技術があり、予防防災とい う面での貢献は大きく、戦後の被害軽減に 役立っているにもかかわらず、学校の教育 現場や地域での防災活動・啓発活動に十分 活かされているとは言い難い現状がある。

我が国は、多彩で多くの自然災害と共に 暮らしてきた体験、経験や教訓をもとに、暮 らしを守るために先人が育んできた知恵や 工夫がなされてきた。神社・仏閣の謂われ、

命を守る知恵や教訓を織り込んだ多くの伝 承、防潮林や屋敷林として地域を守る仕組 み、などがある。これらの営みの集積である

「災害文化」とも言うべきものを築いてき ているが、近年の社会構造の急激な変化に 伴い、この「災害文化」も変容をせまられて いる。このため、これまでの「災害文化」に、

現在の防災のノウハウや対応策のみならず 科学技術の知見を反映・融合させながら再 構築し、現状に合致した「災害文化」として 発展させる必要がある。

このような状況を背景に、2007 年、文科 省研究開発局により防災教育支援について の懇談会が開催され、中間報告が出され、そ の中で、防災教育の内容を以下のように説 明し、その必要性を謳っている。

htt://wwwmext.o'/bmenu/shini/chousa/

kaihatu/006/index.htm#gijiroku htt://www.mext.go.jp/b_menu/hou- dou/19/08/07082812/001.htm

防災教育は、自然災害に関する理解し知 識を得るだけではなく、その発生や原因に ついて自ら学び、防災や減災する仕組みや

自らの役割を気づき、それを実践するプロ セスが大切である。教育の場では、通常の教 科との関連性の強化、総合学習など特化し たプログラムを有機的に連携性し展開する 必要がある。さらに、実践的な知識と経験を 積むには、学校や地域のみならず様々な機 会・場を通じて活用し、展開しなければなら ない。また、「生きる力」を滴養することに より、能動的に防災に対応する取り組むこ とができる人材を育成し、社会教育・生涯教 育として発展される必要がある。

災害の悲惨な被害から想起されるように、

「防災はこわいもの、暗いもの」という認識 を持つ人も少なくない。これは防災の一側 面を捉えたものに過ぎないのである。防災 の取組が自らや周りの人々の大切な生命を 守ることにつながるということを意識させ、

防災を前向きにとらえていくためには、防 災教育の成功事例に加え、環境教育・福祉教 育等の他分野の取組を効果的に活用して防 災の重要性に気付かせ、防災教育への自発 的かつ能動的な取組を促していくことが重 要である。また、場合によっては、自然現象 を災害の面からのみ捉えるのではなく、併 せてその恵みについての理解も深め、自然 と共生する能力を有する人材の育成を支援 することが不可欠である。

以上、大変にすばらしい内容であるが、ど のようにこのような防災教育を展開してい ったらよいであろうか?

まずは、防災教育の重要性にまだ気付い ていない人・学校・地域に対して、取組のき っかけをつくり防災教育への興味・関心を 呼び起こし、その意義を見出させる「内発的 な動機付け」や防災の重要性への「気付き」

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- 6 - を促す観点から始めることが必要であろう。

次に、学校や地域等における優れた防災教 育の取組を評価し、それらを広く紹介して いくような仕組みが大切である。

既に能動的な学びの手法等を用いている

「担い手」と協働で取り組めるような場・機 会、さらに誰でも優れた取組を実践できる 機会等を設ける。最後に、学校間や地域との 連携を深めるためには、「つなぎ手」の役割 も不可欠である。様々な取組を紹介し情報 交換が出来る場を企画し、連携できる事前 の場を企画できる人材がいかに活躍できる かが、重要である。

昨年 12 月 12 日に中央防災会議で、北海 道から東北沖の太平洋を震源域とする日本 海溝・千島海溝周辺海溝型地震に備えた今 後 10 年間の防災戦略が決定された。最悪の 地震で 2,700 人と想定される死者数を 40- 50%、最大 1 兆 3,000 億円の経済被害額を 25%それぞれ減らす目標を掲げた.これを受 け政府は、被災の恐れのある福島県以北で 太平洋に面する 5 道県に対し、死者数や経 済被害を減らす目標やその達成時期、対策 などを示した計画の策定を要請している。

各地域でどのような具体的な取組を開始で きるか、今年が正念場になりそうである。そ の時に、生き残り・生き抜く防災教育の展開 を忘れてはならないと考える。

参照

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