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‑グローバル化時代 を生 き抜 くバ イリンガル教育
‑ EUの言語政策, アジアの英語か らの一考察 ‑
石 井 伸 一
目次
1. は じめに
2.日本人の トー フルス コア 3.アメ リカの言語問題が新局面 に
4.AS EAN
共通語 としての英語 5.シ ンガポールのバ イ リンガル教育6.E
Uの トライ リンガル政策 ‑多様 な地域言語 の世界 7,バ イ リンガル教育 は幼児期 か ら8,おわ りに 1. は じめに
グローバ ル化 ,多極化 が進展す る中で,近年,国際競争力 の順位 で 日本が
2 0 0 7
年 に前年 の1 6
位 か ら2 4
位 に転落 した(1)とか,英語 圏へ の留学 のための英語力 を試す トー フル( TOEFL)
ス コアが2 0 0 5 /0 6
にアジアでペ ーパ ーテス トでモ ンゴル と並 んで最下位 であ った とかい う気 になる数字が 目に触 れ るようになった。現在 は,市場経済 に基づ く企業 の海外直接投 資が活発で ,中国を中心 に
BRI Cs
と呼 ばれるイ ン ド, ロシア, ブ ラジル, 中国‑ の新興市場 か ら,VI S TA
(ベ トナム, トル コな ど)諸 国,更 にはネクス トイ レブ ン (韓 国, フィリピン,ベ トナムな ど) と呼 ばれ る成長が期待 され る国々‑ の企業直接投 資 が注 目されるようになった。それ以外 に2 0 0 4
年 とそれ以降E
Uに加盟 した中 ・東 欧諸 国,周辺の ウク ライナな どへ のグローバ ル企業 の参入が始 まってい る。世界 に,現地で生産,販売 ,研究 開発拠点 を 持つ グローバ ル産業化 の時代が 出現 している。こう した中で, ビジネス に関す る共通の言語能力が大 きな課題 に登場 してい る。今 回は市場経済化 との関連で言語 の問題 に言及す ることに したが,文学,芸術 の分野で も国際交流が深 まるにつれ英語 が共通の コミュニケーシ ョンのツールになって きてい る。勿論, ドイツオペ ラを学ぶ者 に とっては ド イツ語 は必須 の言語 である し,ビジネス について も例 えば 日本企業が 中国に進 出す る場合 ,分野 によっ ては 日本語がで きる中国人 を雇用 している し, グローバ ル化 の中での ローカル ラ ンゲージの問題 もあ る。 しか し経済が広 く市場経済化 してい る現代 では, グローバ ル コミュニケーシ ョン能力が 国際競争 力 の重要 な要素 に浮上 しているのは周知 の通 りである。
ところが,世界共通語 に位置付 け られてい る英語能力が留学希望の 日本人の場合 , トー フルス コア の結果はアジア諸 国 と地域 (トー フルでは
As i a )
で最下位周辺 を低 迷 しているが これ をどうみ るか。英語 とい う言語能力 の問題 は英語 そjl自体 の言語 の価値 とい うよ り トー フルテス トの場合 は世界共通 語 としての価値が問題 の焦点であることを認識 してお きたい。
言語 能力 の問題 は単 に英語 とい うこ とだけではな く日本語 その ものの将来 を案ず る声 も少 な くな
‑ 1 6‑
経済貿易研究 研究所年報No34い。 こjtは教育 をめ ぐる現代 の風潮 と無関係 ではないであろ う。文部科学省 ・国立教育政策研 究所が 平成
1 9
年4
月 に実施 したア ンケー ト調査(2)に よる と, 日本 の教 育が悪 い方 向 に向 ってい る と考 える 人 は約半数の4 9 . 60
/Oで,その原 因に,
「家庭 の教育力 (しつ けな ど) の低下」,
「社会 のモ ラルの低下」,「学校へ の要望 に対 す る条件整備が不十分」
,
「い じめ,不登校 問題 の深刻化 や子 どもたちの道徳心や 規範意識の低下」が挙 げ られてい る。 この ことは小 中学校 に限 った ことではな さそ うだ。国際 ビジネ ス コ ミュニケーシ ョン協会が 同年8月実施 のア ンケー ト調査 で は, ビジネスマ ン,OL
は話 した り苦 いた りす る発信 型 の英語 能力 は重要 と考 えていて も, その7 6%
の人 は能力 向上 のため何 の対策 も講じていない ことが判 った。
これはバ ブル崩壊後, グローバル化,情報通信革命 の流 れの中で,民族 のアイデ ンテ ィテ ィを改 め て問われ,その風潮の中で確 固 とした 自己の進路 を見 出せ ない とい う,現代社会が多かれ少 なかれ陥 っ た沈滞,閉塞 の状態 の反映であるのか もしれない。困難 な情勢 の中で今後 の展望 を開 く模索が求め ら れてい る。今 ,脳裏 に閃いたのは,1例 としてかつてジ ャーナ リス トとして駐在 したローマ,その一 角 にあるヴァチ カ ンの動 きである(3)。前 ローマ法王 ヨハ ネ ・パ ウロ二世 は,急速 に進展す るグローバ ル化 情報通信技術 の発展 に対応 す るためアジ ョルナメ ン ト
( a ggi o r na me nt o
‑イタリア語 の現代化) を推 し進 めたが, この宗教 内部か らの例 にみ られ る変革 の波か らうかが えることは,思考 の枠組みの 転換 であるパ ラダイム ・シフ トが改 めて問われてい る と私 は考 える。 グローバ ル化 時代 の英語教育 に もそれは当てはまる と言 えるであろ う。例 えば,
「学 ぶ英語 か ら使 う英語 の環境 を整 える」,
「小学校 入学時か らではな く幼児期 か ら英語 に触 れ る機会 を設 ける」 とい った発想 の転換がい ま求め られてい る。 グローバ ル コミュニケーシ ョン時代 に相応 しい言語学習のパ ラダイム ・シフ トは 自然 な流 れでは ないか。2. 日本人の トー フルスコア
世界 的に英語 を母語 としない人 々の英語能力 を示す指標 の一つ に,英語圏‑ の留学 のための英語力 を試す
TOEFL
(トー フル)がある。 アジア (アジア諸 国,地域) を特定 して,2 0 0 0
年か ら2 0 0 6
年の ス コアをみ る と, 日本 は コンピュー ターテス トで同期 間 を通 じて参加 国2 6 ‑3 3
カ国中最下位 か最下 位 か ら2
番 目だ った (ス コアの記載 のない国は除 く) 0 2 0 0 5 /0 6
年 のス コアは下位 か ら2
番 目の 日本 は1 9 2
点,最上位 のシ ンガポールは2 5 5
点だった (総合最高点 は3 0 0 )
。表2‑1
を参照 されたい。ペ ーパ ーテス トで は, 同期 間の総合 ス コアで 日本 は
,2 0 0 0 /0
1年 は最下位 か ら4
番 目,次年度 は 下位か ら2
番 目,翌年度の2 0 0 2 /0 3
年 は最下位 ,以後最下位 を低迷 している。2 0 0 5 /0 6
年 のス コアは,日本 は
4 9 7
点でモ ンゴル と並 んで最下位,最上位 はイ ン ドの5 8 6
点 だ った (総合 の最 高点 は6 7 7
, シ ンガポールの情報 はない)0受験者が急増 してい るコンピュー ターテス トをみ る と,上位 グルー プはシ ンガポール を トップに, 次いで年度 によって順位 は異 なるが イン ド,パ キス タン, フィリピンな どが 占めてい る。受験者数で は
2 0 0 0 /0 1
年 と翌年度 は 日本が最多 であ ったが,0 2 /0 3
年以降 は韓 国が最多 とな り,0 4 /0 5
年 は韓 国の受験者 数は1 2
万8 4 45
人 となった。 これ に次 ぐ日本 は7
万8 6 3 5
人。 また,ペ ーパ ーテス トでの受 験者数 は中国が最大で01 /0 2
年 は同期 間最多の1
0万人台 を記録 最近の0 5 /0 6
年 は9万8 3 2 7
人,ス コア も5 5 7
点でス コアの記録が示 されてい る2 5
カ国の中でバ ングラデシュ と並 んで6
位 と上位 に迫 っ ている。英語能力 の国際比較 は トー フルに限 らないが,留学希望者 の比較 としては一つの指標 となろ う。サ ンプルの状況が同 じ条件 でない面 を想定す る と精査 で きない面 はあるが,結果か らみて 日本 は全体 と して随分 と苦戦 してい るといえそ うだ。本稿 は トー フルのテーマ を主 旨とす る ものではないので これ
グローバル化 時代 を生 き抜 くバ イ リンガル教育 ‑ 17‑
表
2‑ 1
:ア ジア諸 国 ・地 域 のTOEFL
の ス コア (コ ン ビュ ‑ タ ‑ テ ス ト)(2005年7月〜2006年6月) 受験者 数 リスニ ング 文法 .ライテ ィング リーデ ィ ング 総合 ス コア
ア フガニス タン 99 18 19 18 182
アゼルバ イジ ャン 226 21 22 21 214
バ ングラデ シュ 1,287 22 23 23 228
ブー タン ll ‑ ‑ ‑ ‑
ブルネ イ 4 ‑ ‑ ‑ ‑
カ ンボジア 74 21 21 20 206
中国 9,017 20 23 22 216
香 港 5,947 21 22 22 216
イ ン ド 72,973 23 24 23 236
イ ン ドネシア 4,641 21 21 21 214
日本 78,635 18 19 20 192
カザ フス タ ン 1,198 22 22 22 217
北朝鮮 4,203 19 19 20 193
韓 国 128,445 21 22 23 218
キルギス タン 108 23 23 23 232
ラオス 26 ‑ ‑ ‑ ‑
マ カオ 241 19 20 20 196
マ レー シア 1,998 23 23 23 232
モ ル ジブ ll ‑ ‑ ‑ ‑
モ ンゴル 132 21 20 20 202
ミャ ンマー 138 20 21 21 206
ネパ ール 5,027 21 23 21 218
パ キス タ ン 4,258 23 25 23 238
フィ リピン 6,389 24 24 23 238
シ ンガポール 456 26 26 25 255
ス リラ ンカ 162 24 23 23 234
台湾 33,327 19 21 21 206
タジキス タン 27 ‑ ‑ ‑ ‑
タイ 13,162 19 20 21 200
トル クメニス タン 27 ‑ ‑ ‑ ‑
ウズベ キス タ ン 675 21 22 22 218
(注 :
Te s ta ndSc o r eDa t aS u mma r yf o rTOEFLCo mpu t e r ‑ ba s e dTe s t
か ら作 成。 中国はペ ーパ ーテス トが 中心 , ペ ーパ ーテス トを参照 されたい。 国名表記 はアル フ ァベ ッ ト順)‑ 18‑ 経済貿易研究 研究所年報No34
以上の分析 は避 けるが,ただ一点,受験者数が急増 し,英語 に比較 して言語 の構 造が 日本語 と同 じ様 に異 なる韓 国,中国 との一応 の比較 を してお きたい。比較 はス コアデー タの要約 の資料 か ら分析 す る。
表2‑2:(1),(2),(3)2005/06年の 日本,韓 国,中国
3
カ国のテス トの結果 は次の様 になっている。表 (1)(2)をみ る と, (1)の場合 は 日本,韓 国の受験者 数が圧倒 的 に多 く, 日本 と韓 国の差が リスニ ング,文法 ・ライテ ィング,リーデ ィング何 れ も
3
ス コア となってお り,韓 国が全体 として 日本 をリー ドしてい る。 日本 と中国の比較 で は(1)に基 づ くと文法 ・ライテ ィングで4ス コア差, 中国の受験者 が主流 の(2)では,文法 ・語菜力 で 7ス コア, リーデ ィングで 6ス コア と中国に大 き く水 をあけ られ,日本 の基礎 的能力が低 い ことが明確 になっている。 中国,韓 国のス コアはグローバ ル化 の中で本格 的 表2‑ 2 :(1), (2)
,( 3)
コンピューターテス ト 受験者数 リスニング 文法 .ライティング リーディング 総合 点
日本 78月35 18 19 20 192
韓国 128,445 21 22 23 218
( TOEFLTe s ta ndS c o r eDa t aS u mma r yC BTTo t a la ndSe c t i o nSc o r eMe a n s )
(2)
ペーパーテス ト 受験者数 リスニング 文法 .語糞力 リーディング 総合 点
日本 3,432 51 50 49 497
韓国 1,188 56 53 52 538
( TOEFLTe s ta ndSc o r eDa t aS u mma r yPBTTo t a la ndSe c t i o nSc o r eMe a ns )
( 3 ) C BT,P BT
,新インターネット相関表Ne wⅠ n t e r ne t ‑ ba s e dTOEFLTo t a 1 Co mp u t e r ‑ ba s e dTo t a 1 Pa pe r ‑ ba s e dTo t a
1 111‑120 273‑300 640‑67796‑110 243‑270 590‑637 79‑95 213‑240 550‑587 65‑78 183‑210 513‑547 53‑64 153‑180 477‑510 41‑52 123‑150 437‑473 30‑40 93‑120 397‑433 19‑29 63‑90 347‑393 9‑18 33‑60 310‑343
TOEFLRa ng eCo mpa r i s o n. Ne wht e r ne t ‑ ba s e d
は本稿 と関係ないが参考まで。グローバル化時代 を生 き抜 くバ イリンガル教育
‑ 1 9‑
に世界共通語 に取 り組み始めた成果であろうか。近年,両国が小学校 か ら英語 を必修科 目に したの も この方針 に沿 った動 きと捉 えることが出来 よう。 日本が トーフルス コアで長年低迷か ら脱皮で きない でいるのは何故か,ス コアはそのため検証の材料 を提供 していると受 け止め られる。
今 回は トーフルス コアをアジアに限って考察 してみたが, アジアでは例 えば
ASEAN
(東南 アジア 諸国連合)で英語が共通語 になっているように英語 を使 う頻度が高 く, また使い易 い言語 になってい る。世界共通語 と銘打 たれている英語 はヨーロッパで も主要言語であることに変わ りはない。世界共 通語 を一部で リングア ・フランカーl i ng uaf r a nc a
‑と称 している呼称 その ものは,過去 に地中海沿岸 の港でイタリア語,スペ イン語, フランス語,ギ リシャ語, トルコ語 な どの言語が混成 し共通語 とし て使 われていたのが源流 とされる。ただ し,厳密 には誰 の母語で もない とい う点で,
「英語 は世界 のリングア ・フランカである」 とい う表現 は正 しくない (世界民族問題事典,平凡社) とい う指摘 もあ る。現在加盟
2 7
カ国か ら成 るE
U (欧州連合)では,母語 に加 えて2
つの外 国語 を話す とい う言語政 策 を立 ち上 げているが,E
Uの執行機 関である欧州委員会が実施 した世論調査では英語が最 も佼 われ, 次いでフランス語, ドイツ語が同率で2
番 目に使用 されていることが判 っている。世界 で英語 を公用語,準公用語 とす る国は
5 4
カ国,人 口で2 1
億 人,公用語,準公用語 としない国 や地域で もグローバ ル化,それを推進す る 1つの要素である電子 メールな どインターネ ッ トの利用 に よって世界 的に英語の共通語化の波動 は一層広がってい くであろう。一方で 日本 と日本人のアイデ ン テ ィティとしての 日本語の存続 を重視す る教育の必要性 は言 うをまたないが,グローバル化,リージ ョ ナル化,ナシ ョナル化 の3
つの極 の相克 と融和 の未来 を展望す ると二言語併用のバ イ リンガルは避 け られない選択肢 と考 えられる。テ レビゲームに象徴 される英語でない和製英語が まん延 し定着 しない うちにきちん とした英語 を身に付 けるためのバ イリンガル教育の重要性が視野 に入 って きている。小 学校低学年か らといわず幼児期か ら子 どもたちが英語の世界 に入 ってい く時代が既 に到来 していると 考 える。短期的な視座 だけでな く長期的な展望 に立 った政策,環境の整備 をどうす るか実践 に向けた 討論 を深めて欲 しい。3
.アメ リカの言語問題が新局面 にグローバル化 の進展 と相侯 って,ヨーロ ッパ,アジア,中南米での地域化が深化す るにつれ,コミュ ニケーシ ョンの言語 は社会の切実な問題 となって きている。
例 えば,移民大 国アメ リカは
1 9
世紀 中葉の米西戦争で メキシコか ら割譲 されたカリフォルニア, ニューメキシコな どの州ではメキシコ系移民が居住 してい るが,近年 自らをhi s pa ni c
又 は1 a t i n
oを名 乗 るスペイ ン語 を話す中南米か らの移民が急増 した。アメ リカ国勢調査局の
2 0 0 0
年 のデー タに よる と(4) ヒスパ ニ ック又 はラテ ィノを称す る中南米 か らの移民流入 の急増で,カ リフォルニア州では5
才以上 の住民3 1 4 0
万人の うちスペ イ ン語 を話す住 民が凡そ2 6 %
を占めている。人口1 5
万人のサ リナス市では,スペイ ン語 を家庭 で話す住民 は5 4 . 9 %( 5
才以上),英語 は
3 9 . 6%
となってお り,アメ リカ社会 でのスペ イ ン語 の存在感が増大 してい る。 この 結果, カリフォルニア州の例 えばサ リナス市では公文書 は英語 とスペイ ン語で印刷 され,銀行,商店 な どビジネス界では英語 とスペイ ン語がで きるバ イリンガルの従業員 を雇用 している。教育の面では, カリフォルニア州は以前 は移民 に対 しては二言語併用のバ イ リンガル政策 を採 って きたが,移民による英語の習得が思 ったほ どは達成 されない とい う懐疑的な声が上が り,バ イ リンガ ル教 育の在 り方 に疑 問符がついた。議論 を重 ねた末, カ リフォルニア州 は州民投票で
1 9 9 8
年 に,移 民な ど英語 を学ぶ子 どもたちに 1年 を限度 に英語の集 中授業 を行 った後,数学,科学,社会 な どの中 心科 目を英語で教 えるクラスに編入す るとい う,英語優先の公立学校 の教育制度 を可決 し,実施 して‑ 2 0‑
経済貿易研究 研究所年報No.34いる。 この制度 は
,pr o po s i t i o n2 2 7( 5 )
と呼ばれる。 アメ リカは移民流入 の急増で,言語 の多様性の問 題が浮上す る中で,移民の子 どもたちの教育 レベルに後れが出ない よう,英語 に浸す教育 によって教 育の貧困を解決 しようとい う試みが この州で始 まったのである。その成果 を語 るには数年 はかか ると み られている。今 回は移民 を対象 とした言語の問題 に限定 したが,移民大 国アメ リカでは言語が新 ら たな社会の課題 に登場 しているのである。私 はグローバル化 に伴 う言語の変動 をアメ リカに垣間みたが,それは現代 は言語 と文化が重要 な位 置 を占めていることをアピール したかったことと,少子化時代 に突入 した 日本で外 国人労働者が労働 力 として迎 え入れ られ,その場合 出身国の言語 との関わ りが発生す る と考 えたか らである。そ うした
ことを念頭 に置 きなが ら本稿 のテーマである世界共通化す る英語の問題 を更 に論 じてい く。
4.ASEAN共通語 としての英語
アジアでは特 に
ASEAN
(東南 アジア諸国連合)の共通語 は英語であることは先 に触 れた。 アジア ではASEAN
地域 フォー ラム,ABU
(アジア太平洋放送連合) な ど地域 の国際機 関が運営,会議, 採択文書 な どに共通語 として英語 を使 っている。ASEAN
の場合,1 9 6 7
年8
月の設立当初か ら英語 を 使用 して きている。私 はかつてABU
の会議 に出席 した り,東南 アジアの放送局 を訪れ,人 と会 って 話 しをす る際には英語で意志の疎通 を図って きたが,当時は英語の使用 は至極 自然 なことで特別 に意 識 したことはなかった。今 に して思 えば,言語の多様性 の下では英語が最大公約数の意味であることを認識で きる。それに,アジアの何 カ国かは歴史的にイギ リスの統治 を経験 したことが英語の使用 に つなが っていると考 え らjlるが,植民地の統治の経験 に照 らせ ばフランスが統治 したことのあるイ ン ドシナ半島のベ トナム, ラオス, カンボジアの対応 も一考 を要す るケースに挙 げ られる。 この
3
カ国 は現在ASEAN
に加盟 している。ベ トナムは一度,第二公用語 としてフランス語 に言及 した と伝 え ら れるが,ASEAN
事務 当局がそれを否定 した後 は公用語 としての英語 について論議 に発展 した ことは ない とされる。ところで,宗教 ,言語,文化 民族が多様 な
ASEAN
加盟国では言語 について英語が公用語であっ て も母語である国はない。個 々の加盟国の言語 は民族 との関係で可成 り多様で,国内事情が絡 んでい る場合 もある。その最 たる国の一つに多民族複合 国家のシ ンガポールが挙 げ られる。 シ ンガポールで は国語はマ レー語 になっているが公用語 は民族の構成 に応 じた中国語,マ レー語, タミル語 でそれに 英語が加 わった多言語の構成 となっている。義務教育の小学校では英語が第‑言語で実質的に最重要 な言語の位置 を占めている。現在
2 7
カ国が加盟 しているEU
の場合 は,平等の原則 に基づいて2 3
カ国語 を公用語 に してお り,委 員会,理事会ではこれ らすべての言語が使用 されてお り一つの共通語 は存在 していない。尤 も,加盟 国の母語がすべて公用語 とい う多言語主義 といって も,その場次第であるが一般的には英仏独 の3
カ 国語がwo r kl a ngu a g e
(業務言語)の役割 りを果た している。 とはいえ,現実 に英語 を共通語 として いるASEAN
の英語観 はユニークで また多様性 の中か ら編み出 したアジア的な解決の ように思 えて く るのである。ASEAN
で英語が共通語 になった経緯 については以下の考察がある(6)0① 自然 な成 り行 きであった
②規定 はないが,実際にその ように扱 われて きた
③誰 も注 目した り意識 したことはない (彰当然の ことと受け止めていた
⑤ ある種の紳士協定が存在 した
グローバ ル化時代 を生 き抜 くバ イ リンガル教育
ー 2 1‑
⑥加盟国の間に共通の合意があった, ことが
ASEAN
中央事務局や関連機 関で関係者 との聞 き取 り調 査 で得 た回答 に挙 げ られている。第二公用語 については,ベ トナムか らフランス語の可能性 につい て質問 した以外 にマ レーシアか らマ レー語 について1
回言及 されたことがあるが,何 れの場合 も事 務 当局がその可能性 を否定 した以降は浮上 していない(7)とい う。5. シンガポールのバイ リンガル教育
アジアには英語 を母語 とす る国は存在 しないが,フィリピン,マ レーシア,シ ンガポー)I,,香港 (中 国の特別行政区) な どの国や地域 では英語が公用語 に, イ ン ドでは補助公用語 になってい る。人 口
4 3 0
万人余 りのシ ンガポールは,成人識字率が男性9 7%
,女性8 7% ( 2 0 0 2
年時,世界年鑑2 0 0 6
年版, 共同通信社) と高 く,教育が重視 されている。教育省 は,児童,生徒が個 々の潜在能力 を発見 し,そ の才能を柔軟 に最大限に発揮で きるようにす る方針 を取 っている。多様 な社会での個 々の能力の啓発 は現代 の世界情勢 に対応す る柔軟思考の教育の在 り方 として注 目で きる。義務教育の小学校 (初等教育)の言語教育 は,英語 を第一言語 に据 え,母語 としての中国語,マ レー 語, タミル語か らの一言語 を加 えた二言語併用のバ イ リンガル となっている。小学校では数学 と並 ん で言語の習得 に重点が置かれてい る。 中国語 は標準 中国語 (マ ンダリン)で,
1,2
年次の低学年で は文字表記の理解, また歌唱,詩の朗読 によ り幼児期の敏感 な感性 に訴 える音声教育が採用 されてい る。中学校 では生 まれ とは異なる言語,例 えばマ レー系 の生徒 は中国語 を第三の言語 に選択で きる。第三の言語 に日本語 を選択す る学生 もいる。
駐 日シンガポール大使館 の張一等書記官 と会 って,シ ンガポールの言語政策 について質問 した際,
「和食, アニメーシ ョン, ドラマな ど日本文化 に対す る関心か ら日本語 を選択す るのは,多民族 国家 のアイデ ンティテ ィに照 らして違和感 はか ,J と語 った(8)。多民族 国家 シ ンガポールの言語教育 は, グローバル化時代 を乗 り切 るため英語教育 に重点 を置 きなが らも異文化理解 を視野に入れて母語,外 国語 に選択の幅 を広 げるとい う柔軟思考 に立 っていると理解 した。 トーフルのインターネ ッ トスコア (ペーパ ーテス トは近年,シンガポールのス コアは表示 されていない) をみ ると,アジア諸 国 と地域 では
2 0 0 0 /01
年 か ら2 0 0 5 /0 6
年の5
年 間,シ ンガポールの総合 ス コアは3 0 0
点 中2 5 2 ‑2 5 5
点で常 に 最上位 を占めている。 この一例か らしてシンガポールは英語 を駆使 で きる人材 の育成 によってグロー バ ル化,I T
革命 時代 の渦中にあって小 国シ ンガポールの プ レゼ ンス を保持す る とい う熱い思 いが込 め られていると受 け止め られる。実施時期 は
1 9 9 1
年3
月 と少 し古 くなるが シ ンガポール国立大学 の男女学生 を対象 としたある調査 によると,英語が母語 を損 うことはない とい う結果が出てい る(9)。具体 的には,①英語 による母語‑の影響 はない と言 える,② ただ し,「読 む」
,
「書 く」 とい う領域 では英語 の方が有利である,③ 日常 的なことは母語で,学習的なことは英語で考 え 日頃二言語 を使 い分 け していることが判かった。 この 点は英語 と母語のバ イリンガル教育の場合大いに参考 になるケースに思 える。 シンガポールの場合, 義務教育の小学校 では英語が第一言語 になっていることか ら② となっているが, 日本がバ イl)ンガル 教育 を採用 した場合,一般論では 「読む」,
「書 く」の領域では 日本語の方が有利 とい うことになろう。この調査 は大学生 を対象 に しているので この ような結果 となったが,能力 を発揮 で きる教育,つ ま り 能力 を育てる教育 とい う観点か らす ると,早い時期 と良い学習環境が大 きく与 っていると考 え られる。
世界的に音楽教育者 として知 られた 日本の ヴァイオロニス ト 鈴木鎮一氏 は,才能教育の理念の中で,
「よ り早い時期, よ り良い学習環境」 な どを才能 を生かす要素 に挙 げているが,語学 の才能の啓発 に もつながる考 え方であろう。
‑ 2 2‑
経済貿易研究 研究所年報No.34 6.EUの トライ リンガル政策一多様 な地域言語の世界現在
2 7
カ国加盟のEU
では2 3
の言語(10)が公用語 となっている。これはEU
基本権憲章第2 2
条の「 EU
は言語の多様性 を尊重 しなければな らない」 と,第21
条の 「言語 を含 め差別 を禁ず る」 との原則 に 基づいている。 この原則 は2 3
の公用語だけに適用 されているのではな く,EU
域内の地方言語(ll),少 数派 (民族)言語 に も適用 されている。EU
加盟国の様 々な地域では先住民族の人々が主流 の多数派 の言語 とは異なる地方言語,少数言語 を話 している。こうした人々は
4 0 0 0
万人に も上 り,例 えばカタル一二 ヤ語 はスペイン, フランス,イタリアのサ ルディーニヤのアルゲ一口の町で7 0 0
万近い人々が話 している。 これ と対照的な地方言語がサアアミ 語で,北部 フィンラン ド,スウェーデ ン,ノルウェー とロシアのコラ半島の先住民の間で話 されてい るが死滅の危機 にあるという。 この定義はこの他,隣国の公用語かそれに類似 した言語 を話す コミュ ニティにも適用 されている。ベルギー,デンマーク, フランス,イタリアの ドイツ語 を話す コミュニ ティ,南部イタリアのアルバニア語 とギリシャ語 を話す コミュニティがそjMこ当たる。EU
が言語 と 文化の多様性 を奨励するのは,これが連帯 と相互理解の橋渡 し役 を果た していると考 えているか らだ。大局的にみれば,過去の忌わ しい分断 と併合 を繰 り返 して きた戦争の歴史 と決別 し,不戟の共同体 を 目指す とい う決意がその背景にあると見て取れる。
この原則 に立 って
,EU
では自国の母語 に加 えて2
つの外 国語 を話す トライリンガルの言語政策 を とっている。EU
は一方では英語が ヨーロッパで最 も広 く話 される言語 に発展 して きていることは認 めているが,このことが時間の経過 とともに言語の多様性 を薄める要素 にはな らない としている。最 新の調査ではEU
加盟国の市民の凡そ2 6%
が母語 プラス2
つの外 国語 を話す ことが判かっている。EU
執行機関の欧州委員会 は2 0 05
年1 1‑1 2
月に加盟2 5
カ国の市民 とEU
加盟予定のブルガリア,ルー マニア,それに加盟候補国のクロアチア, トルコを対象 に(∋母語 に加 えて二言語 を話す長期 目標,② 幼少期か ら生涯にかけての言語の習得,③教育の重要性の3
つのテーマに関 して調査 を実施 した(12)0調査の導入部に
,「 EU
は多様 な民族,文化,言語の背景 を持つ4億5 0 0 0
万人のホームである。 ヨーロッ パ諸国の言語の形態 は,歴史,地政学的要 因 と人の移動 によって形成 され,複合 的である。EU
は文 化 と言語の多様性 を持つ単一の共同体の理想 を培 う真 に多言語の統一体である」 と謳 っている。この調査 によると,回答者の
2 8%
が2
つの外 国語 を話せ る,11%
が3
つの外 国語 に精通 している と答 えている。2
つの外 国語で会話がで きると回答 した者の上位 のランクには,ルクセ ンブルクの9 2%
の人 々,オランダの75%
の人 々,ス ロヴェニアの71%
の人 々が入 ってい る。反面, 回答者 の4 4%
は母語以外話せ ない と答 えたが,アイルラン ドの6 6%
,イギ リスの62%
,イタリアの5 9%
,ハンガリーの
5 8%
,ポル トガルの5 8%
がその うちの上位 を占めた。ヨーロッパで最 も広 く使われている言語 は英語で,英語 を母語 に している
1 3%
と合 わせて51%
が 英語 を話す能力があると回答 した。特 にスウェーデンの8 9%
,マルタの88%
,オランダの8 7%
が際立 っ ている。英語に次 ぐのが フランス語 と ドイツ語で,母語 に加 えてこの何 れかの言語で会話がで きると 答 えた人は同率の2 4%
。 フランス語 については例 えばイギ リスで2 3%
,アイルラン ドで20%
が, ドイツ語 についてはチェコの
2 80
/0,ハ ンガリーの2 50
/Oが話す と回答 を寄せた。母語 プラス二外 国語 を話す とい う
EU
の言語政策は,2 0 0 2
年3
月のバルセロナのEU
首脳会議で採 択 された。 この政策 は,2 01 0
年 までに世界で最 も競争力のある知識 に基づ く経済 を実現す るとい う リスボン戦略に基づ き,
「特に幼少期か ら最低2
つの外 国語 を教 えて基礎 的な技能習得の改善 を図る こと」 と言及 している。 この基礎的な技能の習得は,デジタル機器の使用能力の向上,インターネ ッ トの普及 それに中等学校の生徒向けコンピューター使用証明書の発行 とい う総合的な技能力の向上 の中に位置づけられている。グローバ ル化時代 を生 き抜 くバ イ リンガル教 育
1 2 3‑
欧州委員会の調査 は又,言語 を学ぶ理由の項 目で,
4
年前の調査の時期 と比べ ると仕事上必要だか らとか海外 で就業す るため といった よ り実務面での実益 と結 び付 いている実態が明 らか となった。海 外 出張 を含 めて仕事 で使 う必要か らが3 2%
, 自国以外 の国で働 けるか らが2 7%
, よ り良い職種 に就 けるか らが2 3
0/O。外 国語 を学ぶ動機 を仕事 に結 び付 ける率が高 くなってい る。一方で,休暇で使 え るか らとか異文化 の人 を理解す るための理 由 もあ り,休 暇で使 うための動機 は最大 の3 5%
となって いる。外 国語 を学ぶ時期 について,欧州委員会の調査 の結果 は,大多数の人は第‑,第二外 国語 とも
6
才 か ら,つ ま り小学校入学時か ら学ぶのが最 も適 していると考 えていることが判かった。更 にE
U市民 の3 90
/Oの人々は,母語 に加 えて第一外 国語 を小学校入学時前か ら始めるの を受け入れている。子 どもが学ぶ外 国語 について
,E
U加盟2 5
カ国全体 としてはE
U市民の7 7%
は第一言語 に英語 を挙 げている。 このことは,E
Uとい う多言語主義の地域共 同体 で もグローバル化,多極化,I T
革命 の時 代 にコミュニケーシ ョン用語 としては英語が主要 な言語 になっていることが明確 になった。英語 はイ ギ リス とかアメ リカの言語 とい う視点か らではな く,共通言語のツール としての価値が第一の特徴 に 挙 げ られ よう。英語 に次 ぐのが フランス語の3 3%
,ドイツ語の2 8%
,スペ イン語の1 9%
な どである。見方 を変 えて
,E
U加盟国の個 々の国の市民が2
つの外 国語 を子 どもたちが学ぶべ きだ と考 えてい る選択状況 を展望す る と (表6 :
国別の第一,第二外 国語選択状況 を参照 されたい),歴史,地政学 的要 因,文化 などが関わ り,第二外 国語 については多様 である。歴史的観点か らみ ると,エス トニア, ラ トヴイア, リ トアニアで はロシア語が,それぞれ47%,42%,43%
の割合 で第二外 国語 に挙 げ ら れてい る。歴史 と地政学 的面か らみ る とフィンラン ドは3 8%
でス ウェーデ ン語 を,マル タはイタリ ア語 をそれぞれ第二外 国語 に挙 げてい る。 イギ リスが フランス語 を71%の割合 で第一外 国語 に挙 げ ているの ももう一つの特徴 であろう。言語紛争が起 き,憲法でオランダ語, フランス語, ドイツ語の 地域 を決めたベルギーではフランス語 を5 0%
の人 々が第二言語 に言及 してい る。調査 ではオランダ 語 には言及 されていない。欧州委員会 は幼少期の子 どもに言語 を教 える基本方針 として,幼児 に現代用語 を教 えるよう勧告 し ているのは単 に言語能力 を高めることだけにあるのではな く, 自己の帰属先,市民権 ,共同体 とい う 幅広い視野 を培 う手助 けをす ることにあるとしている。欧州委員会 は教育の基本方針の中で,幼少期 か ら母語以外の外 国語 を学ぶことは,心 を開放的に し,知的機敏 さを刺激 し, また文化的視野 を広 げ ることになると述べている。同時 に, ヨーロ ッパ市民権 をマース トリヒ ト条約
( E
U設立条約)の政 策 に掲 げた観点か らみると,語学力 を高めることは文化的遺産 と多様性 を保持す るヨーロッパ人 とし ての感情 を育むのに役立つ と考 え られている。 こうしてE
Uは広域の地域 圏で外 国語 を習得す る意義 を明確 に位置づ けているが,私が ヨーロッパ に駐在 し,その後 もE
U諸 国を研究,視察 に訪れた経験 では,E
Uで使 われている英語 は単 に英語圏の領域 を超 えたグローバ ル コミュニケーシ ョンの英語で あることを実感 として体得 した。1 9 95
年,ユ ーロに関す る研 究で ヨー ロッパ諸 国 を訪れた際, コペ ンハ ーゲ ンではバスセ ンターで買い物龍 を手 に していた主婦 と見受 け られ る女性 に道 を尋 ねた とこ ろ,明瞭な英語で答 えが返 って きたのを記憶 している。 また,ス トックホルムの地下街で乗車 したい 電車の駅 を通 りがか りの年配の男性 に訊いた ところ,その方 は淀みな く耳 に入 って くる英語で道順 を 教 えて くれたが,その際,若か りし頃は ドイツ語 を学ぶのが普通だったが今 は英語 を学ぶのがス ウェー デ ンでは主流 になっていると話 して くjtた。北欧の人 々が相手 にはっきりと分かる英語 を話 している 現実 に接 して言語 を体得す るのにはE
U地域圏 も有力 な地域であると思 った。言語教育 に関わる
E
Uの活動 は初等,中等教育 に止 まらず,一般市民 を対象 とした全般的なE
Uの 教育政策 (ソクラテス教育),職業訓練政策 (レオナル ド ・ダヴインチ計画),音響 ・映像産業促進政‑ 24‑ 経済貿易研 究 研究所年報 No.34
表
6 :
国別 の第 ‑,第二外 国語 選択状況質問 ‑母語以外 にどの二外国語 を子 どもは学ぶべ きだ と考 えますか (一第一言語, 一第二言語, ‑その他)
幸三
し 」 n
正rコE U 加 盟 国
英語 フラ ンス語 ドイ ツ語 スペ イ ン語 ロシア語 イ タ リア語 ス ウェーデ ン語EU25 77% 33 28 19 3 2 0
ベ ルギー 88 50 7 9
0
1 ‑チ ェ コ 89 9 66 4 9
0
‑デ ンマ ー ク 94 13 62 13
0 0
0ドイ ツ 89 45 3 16 6 2 ‑
エス トニ ア 94 6 22 1 47
0
1ギ リシ ャ 96 34 50 3 0 6 ‑
スペ イ ン 85
4 4
14 40
1‑
フラ ンス 91 2 24 45
0
6‑
アイル ラ ン ド 3 64 42 35 1 4
0
イ タ リア 84 34 17 17
0 0 ‑
キ プ ロス 98 49 19 2 4 4
0
ラ トヴ イア 94 6 28 1 42
0 0
リ トアニ ア 93 6 34 2 43
0 0
ル クセ ンブル ク 59 83 43 2
0
1‑
ハ ンガ リー 85 4 73 3 2 2
‑
マル タ 90 24 13 2
‑
61‑
オ ラ ンダ 90 22 40 21
0 0 ‑
オース トリア ー 84 29 2 10 4 ll
‑
ポー ラ ン ド 90 7 69 1 10
1 ‑
ポル トガル 90 60 8 7
‑ 0 ‑
ス ロヴユニ ア 96 6 69 3
0
120
ス ロヴ アキア 87 7 75 3 6 1
0
フ ィンラ ン ド 85 10 24 3 10 0 38
ス ウェーデ ン 99 17 35 31 1
0
1イギリ ス 5 71 34 39 1 3 ‑
ブル ガ リア 87 13 49 5 14 1 ‑
クロアチ ア 82 5 69 2
0
14 ‑ルーマニ ア 64 34 17 7 2 8 ‑
荏 :Special EUROBAROMETER243,EuropeanCommissionHEuropeansandtheirLanguages"か ら作成。表6 には第一,第二外 国語 に言及 された言語のみ記載
グローバ ル化時代 を生 き抜 くバ イ リンガル教育
‑ 25‑
策 (メディア ・プラス計画)にも密接 に絡 んでいる。例 えばソクラテス計画は,欧州次元で教育の質 の向上が 目標で
,E
U域内で外 国語の習得,学生 と教員の交流,新技術 を活用 した知識 に基づ く社会 の推進,それに生涯学習の充実が柱 となっている。 この他,E
Uには加盟国の大学が教員 と学生の移 動 を促進するエ ラスムス計画があ り,現在,毎年1 5 0
万人 を超す大学生が 自国以外の大学で学 んでお り, 欧州委員会は2 01 2
年 までにその数は3 0 0
万人に達するよう希望 しているとい う。欧州委員会の教育 ・ 訓練 ・文化 ・多言語主義担当のヤー ン ・フイゲル (J a nFi ge
l)委員 は,
「エ ラスムス計画は,E
Uの 教育の国際化そ して相応の ヨーロッパ化の鍵である」 と述べている。例 えば ドイツ, フランスの高等 教育 を例 にとると,両国の大学で学ぶ留学生 は2 0 05
年時はともに2 5
万人,英語で講義す るコース も 設け られ,大学のグローバル化が進んでいるようだ。7.バイ リンガル教育 は幼少期か ら
アイルラン ド出身のカナダのバイリンガル教育専門家ジム ・カミンズによると,人間の言語能力は 大 きく分けて二種類の別々の能力があるとい う。一つは,① 日常会話 に必要な言語能力 ともう一つは
②考えた り,議論 した り,推論 した りする知的作業に必要 な言語能力である(13)。 カ ミンズは前者 を 「日 常言語 能力
ーBa s i cI nt e r pe r s o na lCo mm血 c a t i o nSk山S
」,後者 を 「学 習認知 言語 能力ーCo gni t i ve Ac a de mi cLa ngua gePr o 丘c i e nc y
」(文献の著者の訳)と名付 けている。①の 日常会話能力は聞いた り, 話 した りの基礎 的なコミュニケーシ ョン能力のことでこれは幼児期や小学校低学年の時期 に身に付 け ることが求め られている。この庄)について英語による能力 を身に付 けるには幼児期,小学校低学年の時期が また とない好機 と 考えられる。 この時期 は,学習への心理的バ リアーは低 く,また自己のアイデ ンティティが形成 され る前の段階であれば,外国語や異文化 に対 して違和感 を持たない柔軟性があると考 えられるか らだ。
この時期 は特 に音声教育によって リスニ ング,ス ピーキングに自然 に入 っていける時期 と言 え,シン ガポールの小学校低学年は
So undVa l ue
(音声価値) に重点が置かれ,歌唱,詩の朗読,暗唱 とい う 学習方法が導入 されているのはこのケースに挙 げられ よう。 これに,ゲーム とかDVD
といった電子 的補助教材 を加 えてい くことで情報通信時代 を生 きる子 どもたちにプラスになろう。二言語併用のバイリンガル教育は日本語の劣化 につなが らないか と懸念す る向 きがあるとすればそ れは杷憂 と言えないか。 日本社会が直面する日本語の劣化 は英語 とか外 国語の学習に影響 されるので はな く,教育全体 に関わる現代の課題 と考 えられる。かつて,カナダで移民の子 どもたちの多 くは
2
年位 で 日常会話能力 は現地の子 と変 わ らない位 となったが,学校 での勉 強 となる と成績が上が らな かったケースがあったという。 この場合は二言語が悪影響 を与 えているのではないかなどと考 えられ たが,1 9‑2 0
世紀 にかけてのアメリカへの移民の研究で,移民 は本 国で貧 しい生活 を強い られ,追 害 を受けた りして移民 した人たちで,多 くは本国で余 り教育 を受けていなかった結果であることが分 かっている(14)0シンガポールの教育の言語政策
,E
Uの言語政策か らうかが えるのは,バ イリンガル, トライ リン ガル政策 を通 じて言語の構造上の差異や文化,習慣の相違 に気付いて くる。 このことは日本 にも当て はまる。バイリンガルによって 日本, 日本文化の特性 を改めて見直 し, 日本人 としてのアイデ ンティ ティに思いを致す ことにつながるであろう。多様 な文化の社会の中で異文化 に対す る関心,理解が深 まって くると考えられる。多重言語の学習はこれ らの大 きな動機 となろう。日英の2
つの言語 を,しっ か り身に付 ければ,
「すいません」 を謝 る意味のⅠ ' m s o r r y
を使 ってよいか どうかが,また 「いただ き ます」に相当す る言語 としての英語の表現はないことが分かる。ただ し,私個人 としては,逆 に日本 語の習慣 としての 「いただきます」,
「行 って きます」 を英語で工夫 して表現 し,相手に伝 えられれば‑ 2 6‑
経済貿易研究 研究所年報No34日本の習慣 をコミュニケー トすることに繁 る。異文化 コミュニケーシ ョンの世界では重要なことであ る。英語は単に英語圏だけの言語ではな く,民族,文化,言語の多様性 を背負 った共通言語 と考 える か らだ。
日本語 と英語 とい うバイリンガルを習得 し, 自己の ものにすることは知覚の点で も多重知覚 を身に 付 けることになる.その場次第で 日本語 より直我的な英語表現で より明瞭なコミュニケーシ ョンが可 能 となる。例 えば,国際会議で発言する場合,よしんば通訳がいて 日本語で話 したことを英語 に通訳 して もらうことが可能であるに して も,直接英語で話す方が意 を尽 くす ことがで きる場合があろう。
同時に, 日本語で話す機会があれば,単 にコミュニケーシ ョンの問題ではな く日本語特有の美意識 と か繊細 な感情 に満ちた表現が可能で 日本語の存在 を再認識す る機会 になることも確かであろう。
ただ し,最近の 日常 日本語は本来の特性か ら変化,逸脱 し,劣化 し,外国で外 国人が学ぶオーソ ドッ クスの 日本語 とは異な り,国際語 としての 日本語の在 り方 も問われているように思える。
最近 日本では学科 を英語で学ぶイマージ ョン (浸す こと)教育が脚光 を浴びて きている。 このプロ グラムは
1 9 6 0
年代 にカナダで英語圏ではフランス語で, フランス語圏では英語で授業が行 われ,成 果 を挙げていることで注 目された。アメリカの西海岸ではスペイン語によるイマージ ョン教育が現実 の言語教育の課題 に浮上 していると伝 えられる。静岡県の沼津市 にある加藤学園暁秀初等学校では
,1 9 7
2年か ら児童の個性の尊重,創造性 の重視 といった観点か ら垣根 を取 り払い,広い空間でグループに分れて 自由に学習するとい うオープンプラ ンを導入 した。2 0
年後の9 2
年,国際化時代 を生 き抜 く人材の育成 を目標 にオープンプランの経験の 上 に,小学校1
年生 に国語以外の科 目を英語で学ぶイマージ ョン ・プログラム (英語 に浸す科 目で,I mme r s i o nPr o g r a m)
を開講 し,現在では,中学校,高等学校 にも開講 している。 日本語のイマージ ョン ・プログラムを導入 しているアメリカの小学校 を現地オレゴン州 に視察 した り,外 国人教員 を含め プログラム担当可能な教員 を探 した り,幾多の試練 を乗 り越 えての開講だった。英語 は手段であって 目的ではない とい うが,例 えば英語能力 は,小学校
6
年生で英検2
級合格者が 出てお り,2 0 0 3
年 に 文部科学省か ら加藤学園の暁秀高等学校 は 「英語が使 える日本人」プロジェク トの研究校 に指定 さjt た。加藤学園では,英語でコミュニケーシ ョンで き,また様々な考え方や,深い洞察力,豊かな想像 力 を身に付 けることをプログラムの 目標 に掲げている。8.あわりに
いま世界ではグローバル化 に伴 う人,物,資本,サービスの自由な移動の時代 に入 って英語のグロー バル コミュニケーシ ョンの動 きが加速 している。同時に, リージ ョナル化の深化 に伴い歴史的にまた 地理的に地域言語 となっていた言語が改めてクローズアップされ,視界 に入 って きている。
アメリカ国勢調査局の
2 0 0 0
年のデータによる と, ヒスパニ ック又 はラテ ィノを称す る中南米か ら の移民流入 の急増で,カリフォルニア州では5
才以上の住民3 1 4 0
万人の うちスペイン語 を話す住民 が凡そ2 6%
を占め,アメリカ社会でのスペイン語の存在感が増大 していることは先 きに述べた。一方 ヨーロッパでは
,1 4
世紀 にスウェーデ ンの一部 となったフィンラン ドではス ウェーデ ン藷 を 英語 に次 ぐ外国語 として子 どもたちに学んで欲 しい とい う希望があることが判かった。ロシア人が住 民の4
分の 1以上 を占めるバル ト諸国のエス トニア,ラ トヴイア, リ トアニアではロシア語が第二外 国語の位置にあることが世論調査で判か り,EU加盟 を契機 に再認識 させ られる。イタリアのシチ リ ア島に近い地中海に浮かぶマルタは紀元前 にカルタゴ,次いでローマ帝国の支配下に入 り,近年では イギ リスの支配下 に入 り,1 9 6
4年 にイギ リス連邦内で独立 を達成 した。 この島国の第二外 国語志向 はイタリア語で6 1 %
の市民は子供たちにイタリア語 を学ばせたい と考 えている。グローバル化,リーグローバル化時代を生き抜 くバイリンガル教育
‑ 2 7‑
ジ ョナル化の今 日, 日本で も第二外 国語の学習環境 に変動が起 き,中国語,ハ ングル語の選択が更 に 増 えて くる情勢 だ。
一方で言語の世界 は歴史の変遷 とともに,政治,経済面か らの影響で,言語 は しば しば紛争 に発展 している点 にもこの機会 に触れてお きたい。 これは言語 は民族や文化の重要 なアイデ ンティティの源 となっているか らで,カナダは英語 とフランス語の二言語公用語政策 を採 っているが, フランス語が 主流のケベ ック州で分離独立志向が顕在化 し,分離独立の是非 を問 う住民投票が実施 されるなど内政 の一つの問題 となってい る面 もある。 また,オランダか らの独立で成立 したベ ルギーでは
,1 9
世紀 後半 に石炭,鉄鋼産業の斜 陽化 に伴 う産業構造の変革で,南部 カ トリックのワロン系 フランス語が後 退 し,代 わって北部 フランダース地方のプロテス タン トのフラマ ン系 のオランダ語 (フラマ ン語)の 影響力が増大 し,言語紛争 に発展 した。後 に憲法でオランダ語圏, フランス語 圏, ドイツ語圏の地域 指定で解決す る事態 となった。近年で もベ ルギーでは,2 0 0 7
年6
月の総選挙 でオ ランダ語 圏の政党 が第一党 になった ものの過半数 に達せず,必要 なフランス語圏 との交渉が難航 し,政治空 白が1 5 0
日 以上続 く事態 となった。「ヨーロッパ統合 の時代,ブ リュ ッセルは新 らしい首都 ではないのか」 とい う記事 も掲 げ られる中,言語圏の対立が再燃す る事態 に発展 した。この点,言語,文化が均質な 日本 は,言語が政治紛争 に発展す ることはな く,単一言語である日本 語 を柱 に据 えて考 えればよい点は幸運であろ う。世界が国境の壁が低 くなった現実 を直視す ると,世 界共通語化が深化す る英語 とナシ ョナルな 日本の価値 を体現す る 日本語 とい う二言語の能力 を身に付 けることは時代 の要請である。 これに地域言語 も視野 に入 って きている。バ イ リンガル教育で異 なる
2
つの言語 を習得すれば,日本語,日本文化の再発見 と,自己 とは異 なる考 え方や他者の世界 を知 る, 外 向 きの開放 の視座が培 われることになると考 える。長期 的な視野 として,その ような視野が開けれ ば,現代化 のステ ップを踏み出す ことが もっと容易 とな り,内向 きで閉塞 した社会状況 を突破す る活 路 にもな りうるのではないか。世界が可成 りな領域で相互 に結 びついている現実が見 えて くれば,莱 来へ向けての駒 を進めることがで きる。言語 はその有力 なツールにな り得 る。 グローバ ルな世界で, 未来のアジアで, 日本 は しかるべ き地位 を占めて行 くことが期待で きる と思 う。注
(1) スイスのローザ ンヌにある国際経営開発研究所 は2007年5月10日,世界競争力年鑑2007年版 を発表。それによると, 1位, 2位,3位 はアメ リカ, シンガポール,香港で前年 と同 じ, 日本 は06年 の16位 か ら24位 に転落 した。世界55の 地域 と国家 について 「マ クロ経済」
,
「政府 の効率性」,
「ビジネスの効率性」,
「イ ンフラ整備」 の4分野で323項 目につ いて調査 した としている。国際競争力 については,他 にダボス会議 を主催 してい る世界経済 フォーラム も情報技術活用 による指数 を発表 している。(2)文部科学省 の初等 中等教育局 メールマガジンの読者 を対象 に,平成19年4月13日‑19日
,
「教育 に関す るアンケー ト」調査 を実施 し,1755人か ら回答 を得 た。
(3) 私 はパ ウロ6世 の時 にローマ にジ ャーナ リス トと して駐在 し, ヴ ァチ カ ンを取材 した。 また ヨハ ネ ・パ ウロ2世 が 1981年 に 日本 を訪れた際,後楽園球場 で行 われた ミサ を取材 した経験 か らイタリア語 のaggiornamento(現代化 ) を推 進 したケース として記憶が蘇 った。一例 として挙 げてみたO
(4) U.S.CensusBureau∴Detailed山StofLanguagesspokenatHomeforthePopdation5YearsandOverbyState.2000', Census2000,SummaryFile3,TablePCT10
(5) CA (California)SecretaryofState‑Primary98‑TextofProposition227.m Juneof1998,Proposition227waspassed by61percentoftheCaliforniaelectorate.カリフォルニア州は全米で最多の英語学習者がいる州である。
(6)竹下裕子,石川卓編 F世界 は英語 をどう使 ってい るか』新曜社,2004年。
‑ 2 8
‑ 経済貿易研究 研究所年報No.34(7) 同上,20‑21頁
(8)筆者 は2007年3月30日,東京都港 区のシンガポール大使館 で,張文勝一等書記官 と会い,シンガポールの学校の言語 教育 について尋ねた。
(9)大島鼻『バ イリンガリズムと英語教育』 リーベル出版,1992年,81‑91頁。
(10)加盟国27カ国のEUは23の言語 を公用語 としている。EUの構成 国は加盟時 に市民選 出の政府がそれぞれ 自国の公用 語 を申告 し,EUはそれ を公用語 に採用 してい る。EUのポー タルのEuropa(http://europa.eu/int)のLanguagesand Europeは,市民が用いる言語の選択はEUをもっと透明で,公正, また効率的に していると述べている。
23の公用語 は英語表記では次の様 になっている。
Bulgarian (ブルガリア語) Czech(チェコ語) Danish(デ ンマーク語) Dutch(オランダ語) English(##)
Esto山an (エス トニア語) Finnish(フィンラン ド語) French(フランス語) German (ドイツ語) Greek(ギ リシャ語) Hungarian (ハ ンガリー語) Irish(アイルラン ド語) Italian (イタリア語) Latvian(ラ トヴイア語) Lithuanian(リ トアニア語) Maltese(マルタ語) Polish(ポーラン ド語) Portuguese(ポル トガル語) Romanian (ルーマニア語) Slovak (スロヴァキア語) Slove山an (スロヴェニア語) Spanish(スペイン語) Swedish(スウェーデ ン語)
また,EUの名称 をEUの公用言語で表記 した表現は,EUのポータルを参照 されたい。
上記の23カ国語は27加盟国の公用語ではあるが,国によっては複数の言語 を公用語 に している。例 えば,オランダは, オランダ語,フランス語, ドイツ語 を,ルクセ ンブルクはフランス語, ドイツ語 を公用語 に している。
(ll)EuropeanCommissioǹRegionalandminoritylanguagesoftheEU',lastupdateJanuary22,2007.
(12)EuropeanCommission,Special Eurobarometer'EuropeansandtheirLanguages',丘eldwork:November‑December 2005,publicaiotn:February2006.
加盟国では15才以上で市民権保持者の2万8694人を対象 に,加盟予定国 (ブルガリア,ルーマニア) と加盟候補国 (ク ロアチア, トルコ)では, これ ら諸国の市民 とEU加盟国市民の居住者でそれぞれの母語の十分 な運用能力のある者 を 対象 に調査が実施 された。
(13) 吉田研作 『新 しい英語教育‑のチ ャレンジ ー小学生か ら英語 を教 えるために‑』 くもん出版,2003年。
(14) 同上,52‑53頁。
グローバル化時代を生 き抜 くバイリンガル教育
‑ 2 9
‑参考文献
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