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長野県におけるスモン検診の現状

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Academic year: 2021

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A. 研究目的

長野県ではスモン患者の希望により訪問検診を実施 しており、 高いスモン検診受診率につながっている。

昨年度の検討ではスモン患者の年齢の上昇と身体機能 の低下 (Barthel Index の低下) が訪問検診を選択す る要因になっていることが明らかとなった1)。 本年度 はスモン患者の身体機能の低下につながる要因と考え られる視力低下、 歩行障害、 下肢筋力低下、 下肢振動 覚低下につき、 長野県内のスモン患者の現状を把握す る。

B. 研究方法

スモン患者検診の現状 (検診受診率、 訪問検診率、

患者年齢および視力低下・歩行障害・下肢筋力低下・

下肢振動覚低下の程度) につき確認する。 また、 スモ ン患者が訪問検診もしくは非訪問検診 (病院もしくは 各医療圏の保健所) を選択する患者背景 (年齢、 Bar- thel index および視力低下・歩行障害・下肢筋力低下・

下肢振動感覚低下の程度) につきスモン現状個人調査 票を元に検討する。

― 100 ―

長野県におけるスモン検診の現状

池田 修一 (信州大学医学部附属病院 難病診療センター)

小平 農 (信州大学医学部附属病院 脳神経内科、 リウマチ・膠原病内科)

研究要旨

長野県ではスモン患者の希望により訪問検診を実施しており、 高いスモン検診受診率につ ながっている。 昨年度の検討ではスモン患者の年齢の上昇と身体機能の低下 (Barthel Index の低下) が訪問検診を選択する要因になっている可能性があると考えられた。 本年度はスモ ン患者の身体機能の低下につながる要因と考えられる視力低下、 歩行障害、 下肢筋力低下、

下肢振動覚低下につき、 長野県内のスモン患者の現状を把握、 検討した。 本年度のスモン検 診受診率は 54% (19/35 名) であり、 検診受診者の平均年齢は 79.2 歳であった。 検診の実施 形態は、 訪問 9 名 (自宅 8 名、 入所施設 1 名)、 非訪問 10 名 (保健所 6 名、 病院 4 名) であ り、 訪問検診率は 48%と平成 27 年度 (56%)、 平成 28 年度 (62%) と比較し低下していた が、 訪問検診の 1 名はスモンに関する調査研究班からの案内で初めてスモン検診を受けてい た。 視力は訪問検診患者で光覚弁患者が 1 名いたが、 他の患者では視力は比較的良好であっ た。 一方、 訪問検診患者で歩行障害、 下肢筋力低下、 下肢振動覚低下を呈する患者が多く、

特に歩行障害と下肢筋力低下が訪問検診を選択する大きな要因と考えられた。 スモン患者の 死亡などもあり、 スモン検診を受ける患者数は年々減少してきているが、 スモンに関する調 査研究班からの案内等により新規にスモン検診を希望する患者もおり、 今後もスモン患者へ の継続的な情報提供は重要と考えられる。 スモン患者の身体機能障害、 特に歩行障害と下肢 筋力低下は訪問検診を選択する大きな要因となっている可能性があり、 今後もスモン患者の 高齢化や併発症に伴う身体機能の低下が予想され、 県土の広い長野県においては訪問検診の ニーズはますます高まっていくことが予想される。

(2)

C. 研究結果

平成 29 年度はスモン患者在住の 8 医療圏につき各 1 日を割り当て、 スモン患者検診を実施した (全 8 日)。

全スモン患者 35 名の中、 検診受検者は 19 名 (男性 7 名、 女性 12 名) で検診受診率は 54%であり、 検診を 継続して受けていた高齢スモン患者が 2 名死亡したこ ともあり、 平成 28 年度の受診率 70%より低下してい た (表 1)。 検診受診者の平均年齢は 79.2 歳で平成 28 年度 (80.6 歳) とほぼ同等であった (表 1)。 検診の 実施形態は、 訪問 9 名 (自宅 8 名、 入所施設 1 名)、

非訪問 10 名 (保健所 6 名、 病院 4 名) であり、 訪問 検 診 率 は 48% と 平 成 27 年 度 (56%) 、 平 成 28 年 度 (62%) と比較し低下していたが (表 1)、 訪問検診の 1 名はスモンに関する調査研究班からの案内で初めて スモン検診を受けていた。 本年度の検討では訪問検診 を 選 択 す る 患 者 の 年 齢 (81.0± 9.6 歳 ) は 非 訪 問 検 診 患者の年齢 (79.2±8.3 歳) と同等で、 Barthel Index

― 101 ― 表 1 長野県におけるスモン検診の推移

図 1 Barthel Index と検診実施形態

図 2 視力と検診実施形態

図 3 歩行障害と検診実施形態

図 4 下肢筋力低下と検診実施形態

図 5 下肢振動覚低下と検診実施形態

(3)

は後者 (88.5±18.4) と比較し、 前者 (71.7±23.6) で 低い傾向にあった (p=0.06) (図 1)。 視力は訪問検診 患者で光覚弁患者が 1 名いたが、 他の患者では視力は 比較的良好であった (図 2)。 一方、 訪問検診患者で 歩行障害、 下肢筋力低下、 下肢振動覚低下を呈する患 者が多く、 特に歩行障害と下肢筋力低下が訪問検診を 選択する大きな要因となっている可能性が考えられた (図 3〜5)。

D. 考察

長野県においてはスモン患者の死亡などもあり、 ス モン検診を受ける患者数は年々減少してきている。 一 方、 スモンに関する調査研究班からの案内等により新 規にスモン検診を希望する患者もおり、 今後もスモン 患者への継続的な情報提供は重要と考えられる。 スモ ン患者の身体機能障害、 特に歩行障害と下肢筋力低下 は訪問検診を選択する大きな要因となっており、 今後 もスモン患者の高齢化に伴う身体機能の低下が予想さ れ、 県土の広い長野県においては訪問検診のニーズは ますます高まっていくことが予想される。

E. 結論

長野県ではスモン患者数は減少してきているが、 身 体機能の低下、 特に歩行障害と下肢筋力低下などのた め訪問検診を選択するスモン患者の割合が増加してい る。 今後もスモン患者の高齢化や併発症に伴う身体機 能の低下が予想され、 県土の広い長野県においては訪 問検診のニーズはますます高まっていくことが予想さ れる。 また、 今までスモン検診を受けてこなかったス モン患者においても、 高齢化や併発症などによる身体 機能の低下に伴い新規に検診を希望する患者が出てく ることも考えられ、 適切な情報提供が必要である。

G. 研究発表 なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献

1 ) 池田修一, 小平農:スモン患者の高齢化に伴う長 野県のスモン検診のあり方. 厚生労働行政推進調査 事業費補助金 (難治性疾患政策研究事業) スモンに 関する調査研究. 平成 28 年度総括・分担研究報告 書. P 93-95.

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