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低温処理によるラット卵子の可逆的な     自然活性化阻害の試み

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Academic year: 2021

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低温処理によるラット卵子の可逆的な     自然活性化阻害の試み

 Examination of reversible inhibition of oocyte spontaneous activation in rat by low temperature          treatment

   水本茂利・加藤容子・角田幸雄

Shigetoshi MIZUMOTO , Yoko KATO, Yukio TSUNODA

     近畿大学農学部動物発生工学教室

Laboratory of Animal Reproduction, College of Agriculture, Kinki

      University

【目的】

 ラットの第2減数分裂中期卵(MII期卵)は,自然発生 的な活性化を起こしやすいことが知られている.Zhou

らは,プロテアソーム阻害剤であるMGI32を用いて活 性化を制御することにより,体細胞核移植(SCNr)卵由 来クローンラットを得ているが1),作出成功例はこの1 報にとどまっている.

 演者らは,ラットSCNT実験系の確立を最終目標とし,

これまで,単為発生卵の発生能を指標に可逆的な自然 活性化阻害法について検討を行ってきた.まず,MII期 卵を培養iする際に,既va 1)で使用されたMGI32を用い た結果,単為発生卵の体外発生能は4時間まで維持で きるが,SCNT卵の体外発生能は極めて低いことが明ら かとなった2)。次いで,チューブリン重合阻害剤である Demecolcineを用いた結果,3時間1以上培養すると,単 為発生卵の体外発生能は低下することが判明した2).こ のように,薬剤を用いてラットMII期卵の自然活性化を 制御することは,その後の発生能に悪影響を及ぼす可 能性が示唆された.

 細胞を低温処理すると,Demecolcine等と同様に,チ ューブリンの重合を阻害して中期に同期化することが知 られている.薬剤を用いることなく,低温処理により ラットMII期卵の自然活性化を阻害することが可能であ れば,有効な手段になると考えられる.

 そこで本実験では,1)ラットMII期卵を低温処理する ことで,中期に同期化することができるのか,2)低温 処理卵に単為発生刺激を付与した後の体外発生能につ いて,3)低温条件下で核移植した後の体外発生能につ いて検討したので報告する.

【方法】

・単為発生

 過排卵処理を施した3-5週齢のSD系ラットより,

hCG投与15時間後に卵管を摘出し, MII期卵を回収し た,卵子は,4℃で1-4時間処理後実験に供した.なお,

KSOMあるいはM2培地を用いて,37℃で培養したもの

を対照区とした.

 単為発生卵は,10mMストロンチウム,5μg/mlサイ トカラシンBを添加したKSOMを用い,6時間培養する ことで作出し,その後,mRIECM培地を用いて6日間 体外培養を行った.

 また,MII期卵の一部は, FITC標識したα一tubulin抗 体を用いて,紡錘体の観察を行った.

・体細胞核移植

 採卵の際に得られた卵丘細胞をドナーとし,ピエゾマ イクロマニピュレーターを用いた直接注入法により核移 植を行い,単為発生と同様の条件で活性化付与および

体外培養した.

 実験区として,①核移植操作を4℃条件下で行い,活 性化付与する区,②核移植操作を4℃条件下で行った後,

活性化前に培養器内(37℃)で再加温する区を設け,採 卵から核移植までの一連の操作を,MG132添加あるい

は無添加の培地を用いて37℃条件下で行うものを対照 区として比較検:志した.

【結果】

・MH魚卵への影響

 37℃条件下で培養したMII期卵は,培養4時間目には 大半が自然活性化を起こしており,分裂後期あるいは 終期の像を示した.4℃条件下で処理した場合,1時間 以内に紡錘体は消失し,4時間目まで,すべての卵にお いて染色体は中期に維持されていた、

・単為発生卵への影響

 低温下で4時間処理したMII期卵における,単為発 生後の胚盤胞への発生率は,37℃条件下(KSOM:32

%,M2:21%)よりも,高く維持されていた(68%,

P〈O.05).

・SCNT卵への影響

 37℃条件下において,MGI32添加培地を用いて一連 の操作を行った場合,活性化処理後,大半が2前核を 形成し(83%),無添加条件で行った場合には,ほぼす べてが1前核を形成した(94%).4℃条件下で作出し たSCNT卵は,活性化前の再加温の有無に関わらず,

MGI32無添加条件と同様に,大半が1前核を形成した(い ずれも77%).また,それぞれの卵割率(83-87%)およ び4細胞期への発生率(4-8%)は,MGI32を用いた場合 と差が見られず(それぞれ71%,4%),胚盤胞への発生 も改善しなかった.

【結論】

 本実験の結果低温処理することで,ラットMII期卵 を中期に可逆的に維持できることが明らかとなった.し かし,SCNT卵の発生能をサポートするには至らなかった.

【文献】

1) Zhou, Q., et al. (2003) Science 302: 1179,

2) Mizumoto, S., et al. (2008) Cloning Stem Cells 10: 453-

  459.

3) Mizumoto, S., et al. (20 10) Zy gote 18: 9-15.

一S 66一 Presented by Medical*Online

参照

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