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一回の採卵で回収できる移植可能な受精卵数に対する分布の当てはめ

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Academic year: 2021

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原 著

一回の採卵で回収できる移植可能な受精卵数に対する分布の当てはめ

浅 田 洋 平 ・ 寺 脇 良 悟 牢 酪農学園大学酪農学部,江別市 069-8501 *酪農学園大学短期大学部,江別市 069-8501

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ouhei ASADA and

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oshinori TERA W AKI *

Faculty of Dairy Science, Rakuno Gakuen University, Ebetsu-shi 069-8501 *Rakuno Gakuen University Dairy Science Institute, Ebetsu-shi 069-8501

キーワード:ホルスタイン, MOET,腔移植,乱数

Key words : Holstein, MOET, embryo transfer, random numbers Abstruct

Three different random numbers generating methods were compared concerning adaptability on field data about transferable embryo conducted in Hokkaido. Field data were from multiple ovulation and embryo transfers from 1995 to 1996 in Hokkaido. In MODEL 1 the number of transfer -able embryos was produced from a Poisson distribution whose parameter was distribution according to a gamma distribution, whose parameter was distribution according a normal distribution. In MODEL 2 the number of transferable embryos was produced from a Poisson distribution whose parameter was distribution according to a gamma distribution. In MODEL 3 the number of transfer -able embryos was generated from a Poisson distribution. The value for the normal distribution's parameters of transferable embryo production in MODEL 1 wasμニ4.5and o2=0.1. The value for

the gamma distribution's parameters of transferable embryo production in MODEL 2 wasα=1.0 and β= 4.4. The value for the Poisson distribution's parameters of transferable embryo production in MODEL3 wasλ=5.7. The smallestX2 was estimated by simulation using MODEL 2 with α二1.0and

β二 4.4. 要 約 北海道において調査した採卵当たり回収された正常 卵数に対して, 3種の乱数発生方法を検討し,その適 合性を比較した.調査記録は,北海道内で1995年から 1996年に実施された143回の採卵結果である.乱数発 生方法は,正規分布,ガンマ分布及ぴポアソン分布を 組み合わせる方法 (MODEL1),庁、ンマ分布とポアソ ン分布を組み合わせる方法 (MODEL2),ポアソン分 布を用いる方法(MODEL3)である.MODEL1では, X2値が最も小さく推定されたのは, μ=4.5,σ2二 0.1 のときであった.MODEL2では, α=l.0,β=4.4の 受 理 2000年1月25日 とき X2値が最も小きかった.MODEL3では λ=5.7 のとき,X2値が最も小きかった.検討した中で最も小 さいど値が推定された方法は, MODEL2における α=l.0,β=4.4で、あった. 緒 E MOET育種計画(多排卵処置の受精卵移植による育 種法)は,後代検定に比べ世代間隔の短縮による遺伝 的改良速度の増加が可能で、あり (NICHOLASand SMI -TH, 1983; RUANE, 1988; WOOLLIAMS, 1989; KELLER and TEEPKER, 1990; TEEPKER and SMITH, 1990; RUANE, 1991 A; RUANE, 1991 B; LOHUIS

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al., 1993; LEITCH

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al., 1995;),カナダ(TEAM計画)(LOHUIS

(2)

北海道でも,MOET育種計画を従来の後代検定に用い ることにより,遺伝的改良量を大きくしようとする試 みが行われている.MOET育種計画において多排卵処 置によって回収できる移植可能な受精卵数(正常卵数) は,集団の遺伝的改良量に多大な影響を及ぽす (NI

-CHOLAS and SMITH, 1983; KELLER and TEEPKER,

1990; LEICH et al., 1995).このことは,シミュレーショ ンによる改良量予測において正常卵数を発生するため に用いる手法が,予測の良否を決定する重要な要因で あることを示唆している.つまり, MOET育種計画を 実行するのに先立ち,対象集団での遺伝的改良量をシ ミュレーションによって予測する際,正常卵数を発生 する手法は当該集団における技術の実情を適切に表現 できなければならない.本研究では,北海道において 調査した多排卵処置当たり回収された正常卵数に対し て3種の方法で乱数を発生し,それぞれの方法の適合 性を比較検討した. 材料と方法 本研究で用いた調査記録は,北海道各地の一般的な 農家で当地の技術者によって行われた143回の通常的 な業務の多排卵処置の成績を集めたものである.多排 卵処置に対する供卵牛の反応が季節や父親の産乳能力 によって異なる場合,正常卵数の発生モデルにこれら の効果を含めて考慮、しなければならない.そこで,発 生モデルを構築する前に,供卵牛への人工授精季節の 影響を調べるため,春を 3~5 月,夏を 6~8 月,秋 を 9~11 月,冬を 12~ 2月として正常卵数の度数分布 についてカイ二乗検定を行った.父親の能力別の採卵 状況については,供卵牛をアメリカホルスタイン登録 協会の資料に基づき,その父親の遺伝的産乳能力ごと に分類し,高能力を+2000kg以上,中能力を+1000 kg以上十2000kg未満,低能力を+1000 kg未満とし, その影響を調べるためカイ二乗検定を行った. 3種の 乱数発生方法を図 1に示した.乱数の発生モデルは WOOLLIAMS et al.(1995) ならびに VILLANUEV A et al.(1995) の報告に従った.最適なパラメータの決定 MODEL 1 Poisson distribution Parameter 〔λ〕 ←Gammadistribution Parameter [β〕 ←Normaldistribution (a = 1. 0) Parameter MODEL2 Poisson distribution Parameter [λ〕 ←Gammadistribution Parameter MODEL3 Poisson distribution Parameter 〔λ〕 〔β〕 〔α=1.0) 〔μ〕 (0'2)

Figure 1 Methods for generating number of transferable embryos. は,X2値を指標とした .MODEL1は正規分布,ガン マ分布及びポアソン分布を組み合わせた.正規分布の ノマラメータである平均(μ)については, 1から 7の範 囲を1.5間隔で設定し,分散(σ2)については, 0.1か ら0.4の範囲を 0.1間隔で設定した.発生した正規乱 数をlog(β) とし,ガンマ分布のパラメータ (β) を 求めた.方、ンマ分布のパラメータ (α)は1.0に固定し た.このか、ンマ分布 (α,β)に基づいて発生した乱数 をポアソン分布のパラメータ (λ)として用いた.ポア ソン分布に従って発生する乱数を正常卵数とした. MODEL2はガンマ分布とポアソン分布を組み合わせ た. ')ゲンマ分布のパラメータ (β)については, 3から 9の範囲を 1間隔で設定した.庁、ンマ分布のパラメー タ (α) は1.0に固定した.このガンマ分布 (α,β) に基づいて発生した乱数をポアソン分布のパラメータ (λ) として用いた.ポアソン分布 (λ) に従って発生 する乱数を正常卵数とした.MODEL3はポアソン分 布を用いた.ポアソン分布のパラメータ(λ)について は, 1から 10の範囲を1間隔で設定した.ポアソン分 布に従って発生する乱数を正常卵数とした. 結果と考察 表1に供卵牛の採卵状況を示した.総採卵回次は 143回,総正常卵数は 541個で,一採卵当たりの正常卵

Table 1 Treatment situation of donors.

N umber of N umber of Number of Number of Number of transferable treatment embryos transferable embryos unavailable embryos embryos per treatment Total 143 849 541 302 3.78 Season Spring 37 246 149 97 4.03 Summer 22 180 116 58 5.27 Autumn 32 157 115 42 3.59 Winter 52 266 161 105 3.10 Genetic performance of sire High performance 21 116 91 25 4.33 Middle performance 81 556 337 219 4.30 Low performance 34 143 93 44 4.06

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値は全般的に小さい値を示した .X2値が最小となる μ は, σ2値が0.1,0.2, 0.3および0.4のときそれぞれ 4.5, 3.0, 2.5および2.0であり,それぞれのX2値は 29.14, 29.70, 31.96, 32.34であった.この結果, MODEL1の最適パラメータは, μが4.5,σ2が0.1と 考えられた.図5には, MODEL2に 関 す る ど 値 の 変 化を示した .α は1. 0 に固定し, β は 3~9 の間で動か した.図5 Aから,X2 値は β=4~6 付近で小さい値 を示したため,この部分を詳しく検討した .X2値は, β>3.7とβく4.7では大きな値となった(図5

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.

β=3. 7~4. 7の間では,X2値はほぼ一定となり明確な 特徴は見られなかったが,図5Cか ら ど 値 が 最 小 と なるノマラメータは, αニ1.0,β=4.4であった.この時 のX2値は28.14となり, MODEL1より小さい値と なった.図6には,MODEL3を用いて正常卵数を発生 させたときの調査記録に対するど値を示した.λ は, 1 ~10 の間で動かした.図 6A から, λ 二 1 は非常に 大きなX2値を示した(図6A).λ が 5~6 間で X2 値 は小さい値を示し(図6B), X2値が最小となる λ値 は5.7で,この時のX2値は5072.98(図6C)となり, n u R U n u q ι 4 1 唱 l 一 三 ω E リ F m ω ﹄ 4 F 恥 0 ・ 0 Z Frequency distribution of trans -ferable embryos classified by genetic performance of sire. 圃High performance o Middle performance .Low performance 200 X2 Value x 2=O.767(p)O.05) 9 12 15 Number of transferable 1 B embryos per treatment

Figure 3 図0.1 図 0.2 図 0.3 ロ0.4 数は3.78個であった.季節別の正常卵数では,春が 149個,夏が116個,秋が115個,冬が161個採取され た.一採卵当たりの正常卵数は,春が4.03個,夏が 5.27個,秋が3.59個,冬が3.10個であった.健康牛 と不妊牛について調査した報告(家畜改良増殖の新し い制度と技術, 1985)によると,季節別の正常卵数は, 健康牛と不妊牛でそれぞれ,春が6.9個と 2.3個,夏 が6.3個と 2.7個,秋が6.4個と 2.2個,冬が6.0個 と2.3個であった.今回のデータはほぼ中聞の値を示 しており,このことは今回用いられたすべての供卵牛 が,健康牛とは限らない可能性を示している.父親の 能力別の正常卵数では,高能力が91個,中能力が142 個,低能力が195個採取された.一採卵当たり正常卵 数は,高能力が4.33個,中能力が4.30個,低能力が 4.06個であった.図2では,季節別のー採卵当たりの 正常卵数の度数分布を示した.夏の分布は,採卵回数 が少ないため明確な特徴を示していないが,春,秋お よび、冬の分布については正常卵数がO個であった採卵 回数が最も多く,そこから急激に減少し,その後緩や かな分布となった.カイ二乗検定により,人工授精処 置季節と正常卵数の独立性について検定した結果, X2ニ0.352 (p> 0.05)となり二つの関係は独立で、あっ た.図3には,父親の能力別のー採卵当たりの正常卵 数の度数分布をグラフに示した.高能力の分布につい ては,採卵回数が少ないため明確な特徴を示していな いが,中能力と低能力の分布については図2と同様な 傾向であった.カイ二乗検定により,父親の遺伝的能 力 と 正 常 卵 数 の 独 立 性 に つ い て 検 定 し た 結 果 , X2=0.767 (p>0.05)となり二つの関係は独立で、あっ た.図4には,MODEL1を用いて発生した正常卵数の 調査記録に対するど値を示した .μ は1~ 7,σ2は 0.1~0.4 まで動かしど値が最小となるパラメータの 値を調べた.図4Aでは,(j2の値に関わらずμの範囲 の中間付近でX2値が小さくなっていることが分か る.図4Bでは,各 σ2ごとのど値の変化の軌跡は, 双曲線様を示した .σ2を小さく設定したとき,X2値の 増減が小さくなった.また, σ2が小さくなるほど,X2 A B μ 80 60 40 。 コ 一 周 ﹀ N N 園Spring 図Summer

Autumn 図Winter x 2=O.352(p)O.05) 20 0 0 3 6 12 15 18 Number of transferable 21 embryos per treatment 4 F E ω E リ F国 ω ﹄ リ F L ? 0 ・ 0Z 5.5 AdaptabilityX 2 value of MODEL 1 on field data. 3.5 μ 20 1.5 Figure4 24 Frequency distribution of transfer -able embryos c1assified by season of artificial insemination. Figure2

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50 EコNumberof transferable embryos ー←-MODEL1 ・..MODEL2 - 守 ーMODEL3 40 . . . Z 230 " @ 』 . . . 句, o 20 0 Z 10 A │-+-x 2 value I 100 n u EU @ コ 一 コ ﹀ NN

Comparison of the field data with the three models. 7 0 e FE o U 6 0 F LANUEVA et al. (1995)によると各モデルのパラメー タは, MODEL1では σ2二 0.4,μ=1.46,MODEL 2 ではα=1.0,β=1. 61, MODEL3で、は λ=5となって おり,いずれのMODELについても本研究の最適パラ メータの方が大きな値となった.これは調査記録が少 ないため,正常卵数が2個と 3個の部分が少なく, 4 個, 5個, 6個, 10個及び11個の部分が多い(図6) など,調査記録のグラフがスムーズに低下していない こ と が 原 因 の ー っ と し て 考 え ら れ る . ま た , VIL -LANUEVA et al. (1995)が用いた記録と,本研究で用 いた調査記録の分布に差があることも考えられる.い ずれにせよ,実情にあったシミュレーションを可能に するためには,土台となる供卵牛に関するより多くの 調査記録が求められる. B 50 n u q d u コ 一 咽 ﹀ NN 家畜改良研究会 (1985)家畜改良増殖と新しい技術. 1版.190-191.地球社.東京.

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申 コ 一 咽 ﹀ N N AdaptabilityX 2 value of MODEL 1 on field data. Figure 6 MODEL1とMODEL2に比べて非常に大きな値と なった.図7には,調査記録と 3つのMODELの比較 をおこなった.MODEL1とMODEL2は調査記録と 同様な分布となったが, MODEL3は調査記録と全く 異なる分布となった.MODEL1とMODEL2ではほ とんど差はないが,X2値から MODEL23つの方法 の う ち 最 適 な 正 常 卵 数 の 発 生 方 法 で あ っ た .VIL

(5)

-Anim. Prod., 52: 33-47

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