不飽和二塩基酸誘導体の合成重合に関する研究 (第 7報) N‑アセトキシエチルマレイミドの重合および 共童会
著者 山田 正盛, 高瀬 巌
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 14
号 2
ページ 35‑41
発行年 1966‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4946
35
不飽和二塩基酸誘導体の合成 重合に関する研究
(第 7 報) N‑
ア セ ト キVエチルマレイミドの重合および共童会
山 田 E 盛時 高
瀬巌 暑 普
Syntheses and Polymerization of Unsaturated Dibasic Acid Derivatives
V I I . Polymerization and Copolymerization of N‑Acetoxyethyl Maleimide
Masamori YAMADA
,*Iwao TAKASE
輔( R e c e i v e d
23M a r c h .
1966)By u s i n g a z o b i s i s o b u t y r o n i t r i 1 e (AIBN) as an i n i t i a t o r , t h e heterogeneous p o l y m e r i ‑ z a t i o n o f N‑acetoxyethyl maleimide (AEM
I)i n benzene was c a r r i e d o u t a t 7 0
oC . I t was found t h a t t h e i n i t i a l r a t e o f t h e heterogeneous p o l y m e r i z a t i o n , Rp was expressed by t h e e q . ( l ) .
Rp=k(AIBN]
0・6(MY・l where(M]is monomer c o n c e n t r a t i o n .
The o v e r ‑ a l l a c t i v a t i o n energy ( 3
1.3 Kcaljmo
I)and frequency f a c t o r ( 3 , lx 1 0
17)s o o b t a i n e d are e x c e p t i o n a l l y h i g h .
The r e a c t i v i t y r a t i o i n t h e c o p o l y m e r i z a t i o n o f AEMI with V Ac , have been d e t e r ‑
︑ ︐ ︐ ︐ 44
︐a・ ︑ .
mined and the Q and e values were c a l c u l a t e d as f o
l1ows:
f o r AEMI (M
1)‑V Ac(M2 )
rl=0.85 , r2=0.25 Ql=0.08 , el=0.94
Measurements o f l i g h t s c a t t e r i n g were made f o r two none u n f r a c t i o n a t e d AEMI‑
polymers prepared by d i f f e r e n t p o l y m e r i z a t i o n c o n d i t i o n s . I t was found t h a t t h e molecular weight o f above polymer were
1.2 5 x 1 0
6, 2 . 8 6
X1 0
6, r e s p e c t i v e l y . These r e s u l t s were d i s c u s s e d .
1 緒 言
一般に, 1, 2‑ジ置換エチレン構造を有するモノマ ーは共重合を容易に行なうが,単独ラジカル重合は立 体障害などのため困難で、あると考えられている口たと えば上の構造の一種で、ある無水マレイン酸の単独ラジ カル重合は近年, 二三報告されているが1), い ず れ もかなり激しい条件下で低重合率,低重合物が得られ
普 教 授 梢 助 手
ているにすぎない。一方,同じ1,2‑ジ置換エチレン 構造であるが,マレイミドならびにその N‑置換誘導 体は共重合はもちろん単独重合も比較的容易に行な うD マレイミドの単独重合については
Tawney
らのの 定性的の報告J o s h i
8)の重合熱に関する報告があ り.J o u s s e t
4)は分子量約1X166のポリマレイミドを 得たとL、う口共重合についてはC o l e m a n
ら引のNープチルマレイミドとスチレンおよびメチルメタクリレー トとの共重合, Paesschenら引のマレイミドと数種の ピニルモノマーとの共重合の定量的の報告があり,そ の他,定性的な研究はいくらかあるが,重合反応の動 力学的な研究はほとんどなし、。
著者らはマレイミド誘導体の種類による重合性の変 化などを検討する目的で,いくつかの新しいマレイミ
ド誘導体を合成し円それらの重合反応の研究を行な った。今回はその中の N‑アセトキシエチルマレイミ
ド
H
〉
N C H ω… ) a
(CHCO CHCO
についての実験結果を報告する。
2 実 験
2
・ 1
モノマーおよび試薬N‑アセトキ、ンエチルマレイミド(以下AEMIと略 称〉は第4報n記載の方法によって合成し,アセトン およびエーテルで再結品をくり返した口そして時間一 重合率曲線の再現性により純度を確かめ,以下の重合 実験の試料とした。酢酸ピニ/レ(VAc),アゾピスイソ
ブチロニトリル(AIBN),ベンゼンおよびその他の試 薬は常法に従って精製した口
2‑2重 合 方 法
AEMIは融点790Cの結品体であるので単独重合,
共重合いずれもベンゼン溶液中,封管法で行なった。
すなわち,所定量のAIBN,モノマーおよびベγゼン を封管にとり, 常法どおり窒素置換を行ない溶封し た。この封管を所定温度の恒温槽中に浸し所定時間重 合せしめた。次に封管内容物をアセトンで希釈し,多 量のエーテ/レ中に投入し,生成した沈澱物をロ過,洗 浄,乾燥してポリマーの収量から重合速度を計算し TこD
2
・
3共重合体組成苛析およびモノマ一反応性比の 決定AEMIとVAcとの共重合体はアセトンーエーテル 系より再沈搬により精製した後,セミミクロケール夕、、
ール法により窒素分析を行ない,共重合体組成を計算 した。このようにして得られた単量体ー共重合体組成 関係に Fineman‑Ross法を適用してそノマ一反応性 比 (rh rZ)を求めた。次にこれらrb rZの値から A EMIの
Q
,e値を算出した。2 ・ 4
単独重合体の合析および性質 2‑4・
1元 軍 分 析ポリマーの元素分析を柳本ユニバーサル元素分析装
置で行なったD
2 ・ 4 ・ 2
粘 贋 測 定ポリマーの還元粘度はジメチルホルムアミド (DM F)溶液中.250Cでオストワノレド粘度計を用いて測定
した。
2 ・ 4 ・ 3
融 点 測 定硝酸カリウム,硝酸ナトリウム混合浴中で一般の融 点測定法で行なった。
2‑4
・
4単独重合体D芳子量測定ポりアセトキシエチノレマレイミド (PAEMI)の重 量平均分子量は DMF溶液の光散乱測定より求めた。
用いた装置は,島津製の Debye型示差屈折計および Brice型島津光電式光散乱光度計である。測定につい ての条件は後に述べるO
3
実 験 結 果3 ・ 1
AEMIの単独ラジカル重合まず,生成ポリマーの元素分析ならびに赤外吸収ス ベクトルの測定結果を表‑ 1および図ー 1に示す口
表‑ 1 AEMIポリマーの分析
│炭素(%)
I
水 素 ( % )I
窒 素 ( % ) 試 料 1E
:.十算値,.‑tt'...i実験値│計算値│実験値│計算値│実験値..."'^t t l : .
r J & ttlr+tIl'A.!t: . I ,
M r ! tl モノマー I52.461 52.3引 4.951 4.971 7.651 7.63 ポリマー 152.46152.181 4.951 5.051 7.651 7.6932∞ 24∞ 1900 1700 1500 1300 1100 900 700
3皮 主え(仇."1)
図
‑1
ポリN
ーアセトキシエチノレマレイミドの 赤外線吸収スベクトルこの結果,元素分析値においてそノマー,ポリマー 聞の著しい差異は認められな1"'0 また赤外吸収スベク トルにおいても重合による二重結合部の吸収の消失以 外に特に変化は認められない。従って正常な付加重合 が起こったものと考えられるo
次に AIBNを開始剤として6仏 65,700Cで行なっ たベンゼン溶液重合の時間一重合率関係を図‑ 2に示
Ltこo
37
3.0i
ヰ5 p. 出
bIl o 10
e
70 60
4.0
2 . 0
(A E M 1 J= 1.48molj
e .
AEMIの重合におけるAIBN濃 度と logRpとの関係
吉.5 log (AIBN) 3.0
60 70 50 40
(分〉 30 20
間 図‑3
(A E M 1 J=1.48,(A 1 B N)=11.8XlO‑3molj
e .
図‑2 AEMIの重合における時間一重合率曲線 時
重合が進むにつれてしだいに生成ポリマーが沈概し
。
て不均一系となる。図示の重合率範囲ではし、ずれの温 度においても時間一重合率の関係は直線関係を満足し ている普10しかし,さらに高い重合率では曲線となっ た。この直線部分の勾配から重合速度 (Rp)および速 度定数を計算して表‑ 2に示した。
月間
MO H
k普X103 表‑ 2 AEMIのラジカル重合
((AIBN) = 11.8 X 1O‑8mo1/ι(MJ
=1.48moν8ベンゼン中) Rp (mol/ .ejsec) X 104
1.43 2.81 5.66
臥2 log (AEMI) (A 1 BN]=2.96XlO‑8mo1/.e 図‑4 AEMIの重合におけるモノマー濃
度と logRpとの関係
0.
4
0.0互
,5Q1 1.8 0.90
1.77 3.57
次に700
C
における重合速度と開始剤およびそノマ ー濃度 (M) との関係をそれぞれ図‑ 3および図‑ 4 に示した。05o
au cO
円t
骨
( 1 )
式を用いて計算した値で、あるoこれらの図からAEMIのラジカル重合の速度式とし て式(1)が導カ通れた。
Rp = k(AIBN)O・6(MJ2.1 ・H・H・H・',(1) この式は一般のピニルモノマーの均一重合における 速度式には一致しなし、口それは生成ボリマーが溶媒ベ ンゼンに不溶,すなわち,不均一重合によるためで、あ ろうと考えられ,すでに他のピニルモノマーの不均一 重合において数多く報告されている例と類似する。こ
長1700C, 650Cでほとんど見られなかった誘導期 間が600Cにおいて現われている口誘導期間はこのほ か開始剤濃度の低い系で重合を行なった場合にも認め られた口これは再結晶による精製で完全に除去しえな かったモノマー中の,わずかな不純物の影響が,上記 のごとき緩和な重合条件において誘導期間として現わ れたものと解釈する。
/ / の点に関しては後の考察において詳しく述べる口 100
式(1)の速度定数kは表‑ 2に示されているが,この 値の対数を重合温度の逆数でプロットすると図‑ 5の
直接関係が得られる。これより,
AEMI
についての全80
ア
司F / 認 ‑ / ‑ /
ト60小
Y /
え . " . r / 印 / " " /
Q
. c f /
S40
十 / ' /Q / /
モ
ト / /
容 1 / .'/
留吋 /f/
味 11 / 11 /
。
r/3.5'
3.'
∞
ぷ加︒‑
1 0 0 60 80
モノマー混合物中のM1のモノレ
% 40
20 2.95
l/T X 108 2.90
ーは常にベンゼン不溶の不均一重合で、あった。
以上の結果からモノマー反応性比r1,円をFinema‑
n‑Ross法によって求めた。また,この値からQ,eの 値10)を計算し表‑ 5に同時に示した。同表には無水マ レイン酸,マレイン酸エステノレ類および最近報告さ れたマレイミドなどの値をも併記し,比較検討に資 L Tこ口
AEMI
とVAc
の共重合体組成曲繰 図‑6ヨ
L∞
AEMI
の重合における1fT
とl o gk
との関係 図
‑5
重合反応、の活性化熱 (E)および頻度係数 (A)を計 算した結果を表‑ 3に示した。同表には標準的ピニル モノマーであるメタクリル酸メチル (MMA)につい
表
‑3 AEMI
の 重 合 定 数 値=Ae‑EJRT)工 二 I
k*X103I ( K c 瓦
01)'--A~-I
S=t‑AEMI I
0.90I
31.3 13.1X10171 21.2 0.328 1 19.9 1 3.7 X 1091 ‑15.0AEMI
および関連モノマーの共重合ノ4ラメーター 表‑ 5
M1
3
・
3単独重合体の分子量これまでにマレイミド誘導体のポリマーについて,
分子量の測定された例はJoussetら心の特許の記事以 外になし、。著者らはマレイミド誘導体の単独重合物が ど の程度の分子量を有するかを調べるため,光散乱法 をとりあげた口以下,その測定条件ならびに結果を記 す口
3
・
5・
1重合体試料試料は表‑6に示した条件で重合したものの未分別 ポリマーであるO
3 ・
3・ 2
溶 媒溶媒は市販一揖の DMFを無水ポウ硝で脱水,次に 6) ての値を比較のため併記したD また絶対反応速度論よ
り見かけの活性化エントロビー (8キ〕を計算した結 果をも示したO
3
・
2共 重 合いろいろの濃度組成の
AEMICM
1)とVAc(M
2)の共重合を行なった結果を表←4および図‑ 6に示し
MMA9)
骨 600Cにおける値である口
た。モノマー組成のL、かんにかかわらず,生成ポリマ
表‑6 分子量測定に供したポリマーの生成 条件
H 2.49 1.95 E 1 1.48 0.99 減圧蒸留の中間留分だけを取り,これをさらに1回減 圧蒸留したD
3
・
3・
3 屈折率の濃度変化 (θn/θc)の測定 蛍光による影響を避けるために546mμの光源を用 いてsOOCで測定した。なお, 測定には溶謀の阪水性 に留意したD その結果PAEMI
のDMF
溶液でのθn /8cの値として 0.0705が得られた口3
・
3・
4 光散乱実験試料を1g/100cc程度の濃度に溶解した後,約500C でふりまぜながら溶解し 1夜放置し溶解を完全なら
Lめた。次にこの溶液を1G3および1G4のグラス フイノレターで順次ロ過しついで20000rpmで約1.5 時間遠心分離し,浮遊物を除去した後,測定に必要な 濃度に希釈し円筒セルに入れた。この際セラフィルタ ーを付けたグレバー型ロ過器でロ過を行なおうとした が,溶液の高粘性のため不可能であった。測定結果の 司 自
q
Zimmプロットを図一7および図‑ 8に,計算の結
ミ
果を表-7 に示した。~2.01
p~ 、、
、』蜘¥ ミ1.5
表‑ 7 ポリ
AEMI
溶液の光散乱測定結果 ( E W 4 0 │ M │長│お
X10
。
R6→o I
x~iô-aI
XI08I
X10.35 2師
1
1 :
1.29 0.80 1.25 1 6.82 1.18 普第2ピリアル係数
これによれば
PAEMI
の分子量が予想以上に大きし、ことがわかる口さきに PaulJousset1lがポりマレイ ミドについて測定した高い分子量の値とともに,一般 にこれまで,重合性の低いと考えられていTこ1.2ージ置 換エチレン物のうちにもこのような高重合物を与える
もののあることはきわめて興味深い。
3
・
4単独重合体の性質さきにそノマー濃度一重合速度関係の実験で得たポ リマーを試料として
DMF
溶液の粘度,ならびに融点 を測定した。これらの結果を表ー8に示した口これで見るとポリマーの融点はL、ずれも2000Cを越 えているoTawneyら幻によれば,ポリマレイミドが
39
4.01
同U
﹃ 阿 叫 胃 叫 事
﹄
﹁
も ¥﹄ ヘ U‑
︹在守主)G
o 0,5 1.0 1.5 Sin2(θ/2)+50C
図‑7試料Hについての Zimmプロット
........ 3.5
3.0
O,5L
o 0.5 1.0 1.S
Sin2(e/2)+50C
図‑8 試料Eについての Zimmプロット 表
‑8 AEMI
ポリマーの還元粘度と融点料 i I
(温度:i f
700C条 件,[ A I B N J │融点 l h c I
~oA~I
九二0.5g塑 L 三 日 区 哩 土 砂 D ‑ i i ! ? 2 J J 型 企
G 5 ー 1.97
H 4 1 <..m.J ‑LJ. -ZiJ "'V~1 <'l
'...~ s,/, .1259.‑..,,268 1.95 E 21 '‑.m..J ‑.1.. -ru~uu.1 <'l '.!f' s//,' .1256‑‑‑‑265 0.99
1 41 ,--m..J-.L..Lv",
~v>''''~~~/ï242____259 1.13 0.73
4000C以下では軟化しないと報告しているが,それに かなり長い置換基のついた著者らのポリマーもなお,
相当高い融点を示した。カルポニル基の強い分極性に よるものであろうD 還元粘度の値もかなり高し、口この ポリマーの有機溶媒に対する 溶解性は DMF, ジメチ ルスルホキサイド,無水酢酸,ピりジンに溶解するが アセトン,テトラハイドロプラン,ジオキサン,ニト ロベンゼンなどには低重合物のみ溶解し,高重合物は 膨i~する。
4
考 察AEMIは1,2ージ置換ェチレン構造であり,その上 アセトキ、ンエチル基のような比較的長い置換基をもっ ているが,単独重合の速度そのものを見ると,無水マ レイン酸などとは比較にならない速さをもって進行 し,また高重合物を生じた口そして,その重合反応の 特徴として,まず速度式についてであるが,さきに示 したように AEMIの不均一重合の速度式は式(1)で表 わされる。式(1)のAIBN濃度の次数については,さき に井本ら引はアクリロニトリルのベンゼン中での不均 一重合において,重合速度が次式に従うことを見出し,
Rp::::k(AIBN)O・6‑1(Mjl・6‑3 ・…....・H・...但) この式が一般の均一系重合の速度式からずれる原因と して 2分子停止とlivingpolymerのocclusionに よる1分子停止の仮定を考慮、に入れて動力学的に説明 した口著者らの式(1)も式但)に類似していることから,
同様に停止反応においてl分子停止および2分子停止 がともに生じたものと推測するo
次にそノマー濃度の次数が2.1次となった原因とし ては,沈
i
般による不均ー性, cage effectなど考えら れるが,現在のところマレイミド類の単独重合に関す る文献も少なく, 著者らのデーターも不足であるた め,明確な説明はできなし、。他の不均一溶媒および均 一溶媒中での重合,さらに他のマレイミド誘導体での 重合実験などを総合して後日検討したL、と考える。次に表‑2における AEMIの活性化エネルギー3 1.3 Kcaljmolは,一般ピエノレモノマーのラジカル溶 液重合における値の20Kcaljmol前後に比べてかなり 大きし、口一方,頻度係数の値を MMAのそれと定性 的に比較すると異常に大きし、口結局,重合速度定数そ のものは, MMAの2.7倍の大きい値となっているo
また,活性エントロピーは正の値を与えるO まず,大 きな活性化熱については,たとえば,アクリロニトリ ルのラジカル重合において反応が均一系で、行なわれた ときは, 2OKcaljmol前後の値12)であるが,不均一系
においては35Kcaljmol以上の値を与えている加。こ のことから類推すれば著者らの場合も反応が不均一系 で、行なわれたための結果と考えられるD
一方,頻度係数を簡単に式(3)の生長反応の進みやす さと考えると,左辺のラジカルが比較的安定で、あり,
立体障害も少なくて,左辺のモノマーが容易に付加し うるとみることができる口ラジカルの安定性について
R‑CH‑CH ・ CH=CH CO CO
十CO CO
¥ N / ¥ N /
(C H 2 ) 2 0 COCHs (CH2)ZOCO CHa R‑CH‑CH
一一一一一一‑CH‑CH ・
‑ → CO CO CO CO
¥ N / ¥ N /
(CH2)2UCuCHa (CH2 )zOCOCHa
........(3) は共重合の結果から計算されるQ{i直で一応示されると すれば表‑5に見るように無水7 レイン酸の方が著者 らのマレイミド誘導体より,いくらか安定である。ま た,立体障害についてはカルボニル基がリング中に固 定されているから,非環状構造の化合物に比べ,ラジ カルに対する立体障害の少ないことは推測にかたくな いが, R. M. Joshiwは重合熱の測定からこれを実証 している口そして同じ環状モノマーである無水マレイ ン酸とマレイミドの聞にも大きな差があると考えられ ないが,Joshiは分子モデ、ルの組立てからマレイミド は窒素原子の小さい体積のために,そのリング中に大 きな ひずみ"を有しそれが重合性にも関係すると 述べている。
以上の因子だけではマレイミドの大きな重合性を説 明するにはまだ十分でないが,最後に頗度係数の中に 含まれるもう一つの大きな因子として,モノマーの二 重結合部の分極を考えねばならない。無水マレイン酸 の低い重合性はその二重結合部が強く δ+に分極して おり,モノマー,ラジカル相互間で、反躍が起るためで あるが,これに対しマレイミドは窒素原子の動きやす い電子対の作用により,二重結合部の Fへの分極は 低下し,同種反挫の作用が減ずるものと考えられる。
これは表‑5のe値に見ることができる。また,著者 らは N ‑置換マレイミドの置換基を変化させることに より,重合性が明らかに異なることを見出し,これは 主にe値の変化に関係することを明らかにした1目。
以上,いろいろの比較から見て無水マレイン酸,マ レイミドの重合性の相違はリング中の酸素と窒素の違 いによる二重結合部への分極が最も大きく原因するも
のと思われる口分極効果についての定量的な関係は目 下,研究中である。
付 記 : この報告は高分子化学22626 (1965) に掲載されたものに加筆のうえ転載したものである。
本研究の費用の一部は旭硝子工業技術奨励会の援助に よった口また,試料の一部は荒川林産化学工業株式会 社に提供していただし、た。実験の一部は藤井恒良,竹 中周造の両君に,また,分子量の測定は本学,繊維染 料学科大矢精治氏の助力により,測定結果は京都大学 化学研究所,小高忠男助教授に検討していただいた。
記してともに厚く感謝する。
文 献
1) J. L. L四g,W. A. Paveich, H.D. Clarey : J. Polymer Sci., 55, 31 (1961); R. M. Joshi : Makromol. Chem., 53, 33 (1962)
2) P. O. Tawney, R. H. Snyder, R. P. Conger, K. A.
Leibbrand, C. H. Stiteler, A. R. Williams : J. Org.
Chem., 26, 15 (1961)
3) R. M. J田 悩 :Makromol. Chem., 62, 140 (963)
4 1
4) Paul Jousset : Fr. P 1248070 ; C A. 56, 7507 (1962) 5) L. E. Coleman, J. A. Conrady : J. Po!ymer Sci., 38,
241 (959)
6) G. V. Paesschen, D. Timmerman : Makro moJ. Chem.,
78, 112 (1964)
7) 山田E盛,高瀬巌ほか:有合fじI23, 68 (1965) 8)井本稔,高次博:商{じ, 15, 65 (1958)
9) A. V. Tobolsky, R. B. Mesrobian ; Organic Peroxi‑ de", Interscience Publishers,Inc., (1954) New York ; M. Imoto, T. Otsu, K. Tsuda, T. Ito J. Polymer Sci., A2, 1407 (19臼〉
10) T. Alfrey, Jr., J. 1. Bohrer, H. Mark "Copolymeri‑ zation",制(1952)Interscien田
11) 山回E盛,高瀬巌:寓{じ, 18, 85 (1961) 12) たとえば域内宏,渡辺正元;高iじ, 21. 37 (19臼〉
13) W. M. Thomas, 1. J. Pel10n : J. PoJymer Sci., 13, 329 (1954)
14) R. M. 1oshi: J. Polymer Sci., 56. 313 (962) ; Makr‑
omol. Chem., 55, 35 0962) ; 66, 114 (1963) 15) 山田正盛,高瀬巌 rN‑(4一置換7品 ユ ル 〉 マ レ イ ミ ド 穎 の
共重合j高fじ.23, 348 (1966)
昭和41年3月23日受理