光 学 的 手 法 に よ る 紹 音 波
ホ ロ グ ラ フ ィ 再 牛 像 の 画 像 処 理
内山晴 夫・
Reconstructed lmage Enhancement in Ultrasonic Holography by Optical Techniques
Haruo UCHIYAMA Abstract
It is very effective for image enhancement to take optical techniques using the zeroth order stop and/or the spatial frequency filter, in the case of reconstructing ultrasonic hologram formed by the scanning lnethod.
1.緒 言
超 音 波 あ るい は マ イ ク ロ波 等 を用 い る長波長 ホ ログラフ ィは、その原理 を 光 ホ ロ グ ラフ ィと同一 とす る ものの、 ホ ログ ラムの作成 にあた って は、光 に お け る写真 乳剤 の よ うに波動 の強度分布 を簡単 に直接記録 出来 る材料 に恵 ま れ ない ことか ら、検 出信号 を豆球等 を用 いて光 の強 弱 に一旦変 換 し、 これ を 写真 フ ィル ム に記 録 す る とい う面 倒 な手 続 きを必要 と して い る。 しか も、波 長 に比 し、 ホ ログ ラム開 口を充分大 き く取 り得 ない ことか ら、収集 可能 な情 報 の絶 対量 が極端 に不 足 し、 その光学 的再生像 は、光 ホ ログラフ ィの場 合 に 比 べ著 しく画質 が悪 く、解像 力 も充分 で ない場合が多 く、光学 的な画像処 理 1)や 計 算機 を用 い るデ ィジタ ル画像処理 技術 2)に よ り、画質 向上 の検討 が試 み られ て い る。
解像 力 を 限定 す る要 因 と して
1)ホ ログ ラム作 成 に使用 され る波長
2)ホ ログ ラムの記録範 囲
3)光 学像 再生 技 術
4)ホ ログ ラムの縮小 に伴 う再生像 の収 差
昭和 63年 12月 15日 受理
* エ ネルギ ーエ 学科助教授
5)参 照波 と再 生波 の波 面 の違 い によ る収差 等 が挙 げ られ る。
本文 は、走査 方式 によ り作成 された空 中超 音 波 ホ ロ グラフ ィに、 これ らの 囚子 の うち、 (3)が 画質 に ど う影響 して い るか を実験例 によ り示す と共 に、
画質 向上 に試 み た幾 つか の純 光学 的な方法 の実験 結 果 、お よび その物理 的意 味 につ き述 べた もので あ る。
2。
実 験 お よ び そ の結 果
超音 波 ホ ログ ラフ ィの原理 につ いて は多 くの解説 3)が な され て い るの で、
詳細 は それ らに譲 り、本 文 で は、再生 像 の画 質 向上 に試 みた実 験例 のみ を取 り扱 う ことにす る。
ホ ロ グ ラムは、
Fig。1の 実験 系 によ り走査 型 で作成 し、周波 数 34KHz
(波 長 l cm)走 査面積 9 0cm× 9 0cm(90波 長 X90波 長 )ま た走査 線 間
隔 の 0.5 cm(半 波 長 )で 行 った 。使 用 した マ イ ク ロ フ ォ ンの直径 は 0.6
35c河 の もので 、 これ と市販 の豆 球 は一体 とな って走 査速度約 7 cm/secで
ホ ログ ラム面 を走査 す る。豆球 の点滅 を図の カメ ラに よ って フ ィル ムに感光 させ る とホ ログ ラムが作 成 され る。 この時、参照波 は、物体照 射用音源 の発 振器 出力 の一部 を、物体 信号 波 に直接加算す る電子 的 内部参照 波 4)と して得 て い るので 、 この状態 は ホ ログラム面 に垂直 に入射す る平面波 に相 当 し、 ホ
ログラムは
in―line型 で記録 され ることにな る。
観察 の対象 と した物体 は英 字 の Tで 、厚 さ 2 mmの ベ ニヤ板 を くり抜 き、幅
2 cm、
縦 1 5cm、 横 2 0 cmの 開 回 と して製作 した。
ホ ログ ラムは最終 的 に 1/225の 約 4■ m角 に縮小 され、 これ に He一 N
eレ ーザ光 を照 射 し、そ の再生像 を レンズで スク リー ンに拡大 投影 して観察 を行 った。 (Pig.2)
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117 cm 134c「 了 l H
Fig.1 超 音波 ホ ログラム作成 の実験系 (in‑line型
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OSC.
この よ うな実 験 系 で は、 ホ ログ ラムの作成 か ら像再生 まで の間 に種 々 の因 子 が入 り込 み、 画質 に影 響 を与 え るこ とが予 想 され る。 しか し、 これ らの影 響 は互 い に重 な り合 って 混入 して くるので 、一 、二 の実験 で そ の因 子 を推 測 す る こ とは困難 で、数 多 くの総 合 的 な判断 が必要 とな る。
次 に、作 成 された ホ ロ グ ラムよ り光 学 的再 生像 を得 る際 に、 画質 向上 を 目 的 と して試 みた実験 例 を示す 。
a)零 次 ス トップを用 い る法
in―
line型 で零次 ス トップを用 い、不要 な零 次 お よび共役像 の成分 を除去 す る手 法 5)は 、以前 よ り行 わ れて い る。
Fig。
2の 光学 系 で像 を再生 す る際 、 レンズの焦 点面 に零 次 ス トップを 置 く と、 Photol b)の よ うな再生像 が得 られ るが 、 これを はずす と同 c)の よ うに 画質 が劣下 す る。
ho■ ogram zero― order and stop
screen
or fi■ m
cOnう ugate
■ mage
v■ rtua■
■ mage
Fig。
2 像 再生 の光学 系
a)ホ ログ ラム b)再 生像 C)再 生 像
(零 次 ス トップ有 ) (零 次 ス トップ無
)Photo l 超 音 波 ホ ログ ラム とその再生 像 (34KHz)
b)走 査線 を除 く法
Photol a)の ホ ログラムで、走査線 間隔 を 3倍 の 3 cm(3え )に 広 げ る と、
ホ ログ ラムは PhOto2 a)の よ うに な り、再生 像 は同b)の よ うに判然 と しない もの とな るが、
Fig。3の 光学 系で 、 レンズの焦点 面 に空 間周波 数 フ ィル タ と して の ス リッ トを設 ける と、走査 線 の空 間周 波数成分 が除去 されて、走 査線 の無 い Photo3 a)の ホ ロ グラムが再作成 され 、 これ に よ り同b)に 示 す よ うな 明瞭 な像 を再生 す る ことがで きた。
△
Laser Beam Ll H
S■ it
△
λ
2 Δ=f・
nidiffractiOn order d=scanning space
Fig.3 空 間周波数 フ ィル タ
n入 2
d Δ L2
Fi■ m
0次 の拡大 像 4KHz)
Δ
f
Photo 2 理さ器覇桑亀ぇの時のホゴメ (3
Ph。
言 ぜ 暮 ざ 整 尋 賛 孔 玲 泰 去し たホロ′ ガ ラムと 再生イ 象戸 Y毛 ♂ 誕 Hz)
===
C)雑 音成 分 を除 く法
Photo4 a)の 24KHzに お け るホ ログラムに は、 回折 波 に よ る空間周波 数成分 に比 べ、 か な り高 い周 波数 成分 が認 め られ る。 これ は主 に定在波 によ る もの と考 え られ、 ホ ログ ラムて とって は雑 音 と して作用 す るので、 これを 除去 す るた め に、
Fig。3の 光 学 系 で、 ス リッ トの代わ りに空 間周波数 フ ィル タ と して ピンホ ール を設 け、 ホ ログラム PhOt05 a)を 再作 成 して Phot05 b) の結 果 を得 た。 Phot04 b)と 比較 して著 しく画質 が向上 してい る。
以上 の実験例 よ り、画質 向上 には、 イ )走 査線 間隔 を密 にす る ことは勿論 、 口 )零 次 ス トップを用 い るばか りでな く、ハ )走 査線 や定 在波 等 に よる雑音 成分 の少 ないホ ログ ラムを再 作成 す る こと、等 も有効 な手段 で あ る と言 えよ
う。
a)ホ ログ ラム b)再 生像
Photo 4 雑音 成分 の多 い ホ ロ グラムとその再生 像 (24KHz)
a)ホ ログラム b)再 生像
Photo 5 走査線や雑音成分 を除去 したホログラムと再生像 (24KHz) 3.検 討及 び考 察
波 長 λ lを 用 いて 、距 離 Dlに あ る物体 を開 回 2Lで 記 録 した ホ ログ ラム の解像 力 6)は 、
λ lDl
δ =― ― ― ―
2L
で与 え られ るので、波長 が短 く、開 回の大 きい方 が、解像 力 の良 い、従 って 画質 の良 い像 が得 られ る ことにな る。 今 回 の実験 系 で は、 34KHzの 時 、
δ =1.5 cmと な り、モ デル に対 す る開 国の大 きさは充分 であ る。
また 、標本化 定理 に従 えば、 ホ ログ ラム面 の走査 は最高空 間周波数 の半分 の周期 で走査す れ ば良 く、 さ らに像 が再生 され るため には、少 な くとも二 つ の次数 の回折波 が記録 されて いな けれ ばな らない 3)と ぃ ぅことか ら、本 実験 の場合 は
Fig。47)ょ り fmax=0.2 5 Hnes/cm、 す な わ ち、走 査 間隔 は 2 cm 以下 で良 い とい うこ とに な る。 また、走査線 は回折格 子 の役 目を果 し、高 次 の回折 光 を回折 す るが、格子 間隔 が粗 いため各次数 の回折光 が結像面 で充分 分離 しない ことや、走査 線 が一様 な太 さで な い こと等 が原 因 で 、 Photo 2 b)の
よ うな不満 足 な結果 にな った と思 われ る。 しか しなが ら、 Pig.3の 光学 系 を 構成 し、 この ホ ログ ラム よ り Photo3 a)の よ うに走査 線 を除去 す れ ば、 回折 格 子 に よ る不要 な回折光 は生 じな いので、回折光 は全 て像 再生 に寄 与 し、 ほ
ぼ満足 すべ き結 果が得 られた もの と考 え る。
なお 、 ス リッ トの選択 は次 のよ うに行 う。 す なわ ち、 Fig.3で レ ンズ Ll
の焦点 面 で の各 次数 の回折光 の間 隔 は、平行 光 の波長 を え 2格 子 間隔 を d及
び焦点 距離 を fと した時 、 △ =f λ 2/dで 与 え られ る。従 って、 Photo 2 a)の よ うに走 査線 間隔 3 cmの もの を 1/225に 縮 小 した場 合 は、 d≒ 0.
1 3cmと な り、 これ に He― Neレ ーザ光 (λ 2=0,63μ m)と f=2
4 cmの レンズを用 いれ ば、 △≒ 0.1 2cmと な るので 、開 回が この程度 の ス リッ トを準備す れば良 い ことにな る。
→
→
2 54 45
│
―
9
154 45
→
→
2
λ
0 H
Fig.4 最 高 空 間周 波 数 の決 定
0 max
ところで 、 ホ ログ ラム に記 録 され る干渉稿 の最 高空 間周 波数 は、実験 系 の 幾 何学 的 な配 置 によ り決 定 され るが、 その極 端 な例 は、参 照波 と回折波 が ホ ログラム面 に平行 に互 いに反対方 向か ら開 口に入射す る場 合 に相 当す るので、
一般 的 には干渉 稿 の周期 は、 この時 の半波長 に比 べか な り長 くな る ことが容 易 に予 想 され る。従 って 、 これ よ りも高 い空 間周 波数 成分 、例 えば、外 乱等 によ り生 じた ホ ログ ラム全面 に分 布す る班点 状 の稿 や 、定在波 音場 によ る半 波 長周 期 の稿等 は全 て雑 音 と見 な され る。 な お、 当然 なが らこの中 には走査 線 によ る回折格 子成 分 も含 まれ る ことにな る。 これ らの成 分 を除去 し鮮 明 な 修正 ホ ログ ラム を再 作成 す る には、前 述 の Fig.3の ス リッ トを微小 開 口で置 換 す れ ば良 く、 その大 き さは必要 な情 報量 が欠 落 しな い程 度 に、例 えば 、走 査線 除 去 に必要 な ス リッ ト幅程度 に選 択 す れ ば良 い。 この状態 をPhoto4 1こ 適 用 した実 験 例 が Photo 5で あ る。
零 次 ス トップ の作 用 は次 の よ うな考 え られ る。す な わ ち、 レ ンズの焦 点 面 は フー リェ変換 面 なので 、 ホ ログ ラムの情報 は ここで フー リェ変換 され 、零 次 を中 心 と して高 次 の空 間周 波数 成分 程 中心 部 よ り離 れて分解 され る。 本実 験 の よ うに波長 オー ダの くり抜 き物 体 の場 合 は、 回折 波 、す な わ ち物 体 に関 す る情 報 は大部 分 が高 次 の空 間周 波数 成分 で あ り、低 次成 分 は殆 ど含 まれ な い。従 って 、像 再生 には不要 な この低 次成分 をカ ッ トすれ ば、相対 的 に高次 成分 が強調 され る と共 に、焦点 はず れ の虚像成分 の一部 もカ ッ トされ るので 、
これ との干渉 も弱 ま り画質劣 下 の一因 が取 り除 かれ る ことにな る。
他方 、本 実験 とは逆 に、切 り出 し物 体 を用 いた場 合 は、空 間 周波 数 スペ ク トル は殆 ど低次 成分 に集 中 し、回折 による高 次成分 は僅 かであ る。 しか し、
走査線 によ る高 次成 分 はかな り強 く記 録 され る。 そ こで 、 この成分 を ス リッ トあ るいは微小 開 口で除 去す れば 、画質 の改善 を計 る ことが出来 る。
9)4.結 論
走査 型 で作成 した超音 波 ホ ログ ラムか らの再生 像 の画質 向上 を 目的 と して 実 験 を行 い、空 間周 波数 フ ィル タ によ り走査 線 を除去 した修正 ホ ログラムを 再 作成 す る方法 が 、極 め て有 効 で あ る ことを示 した。 空 間周波 数 フ ィル タ と して の ス リッ トは、 ス リ ッ ト開 口 と垂 直 な方 向 の成分 に対 す る低域 フ ィル タ と見 な され るが 、 これ を微小 円形 開 口で置換 す れ ば、全方 向成 分 に対す る低 域 フ ィル タ とな り、走 査 線 ばか りで な く、定 在波 成分 や外 乱 に よ る雑音 等 に
よ る不 要情報 を除 いた り、 ア レイを用 いた時 の点状記 録 か ら、全面 連続 サ ン プルを した よ うな ホ ログ ラムを再 作成 出来 るので 、再 生像 の画 質 向上 に役立 つ もの と考 え る。
なお 、本研究 の実 験部 分 は、東 北大 通研 で行 われた もので あ る。
文 献
1)柴 山、 内山 :電 通 全 国大会 昭 51 93
2)尾 上 、石川 :音 響学 会講演論 文集 昭 48.5月 359
3)例 えば "Acoustical Holography Vol.1‑6(1969‑1975)Plenum Press M.Metherell etal :Appl.Phys.Lett。 上上 (1967)20
Larmore etal:Appl.Opt.生 (1969)1533 A.Armstrong:IBM J.Rec.Deuel.生 (1965)171 Halstead:Ultrasonics旦 (1968)79
1lier etal:'Optical Holography"(1971)Academic Press
木 :応 用 物 理 坐 (1968)243 止
﹂ . J . J . C ︒
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