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Grignard 試薬を用いた不融化石炭ピッチの可溶化 と固体及び溶液物性解明

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Academic year: 2021

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(1)

藤本 翔 B-3

Grignard

試薬を用いた不融化石炭ピッチの可溶化

と固体及び溶液物性解明

Solubilization of infusibilized coal-tar-pitch by alkylation with Grignard reagents and elucidation of its property in solid and solution state

応用化学専攻 藤本 翔

FUJIMOTO Sho

1.

背景および研究目的

石炭を強熱して得られるコークスは主に鉄鉱石の 還元や燃料に使用される。コークス製造の際に副生す るコールタールを蒸留して、小さな多環式芳香族分子 を取り除いた残渣は石炭ピッチと呼ばれ、安価な炭素 繊維の原料として利用されている。石炭ピッチは部分 構造として多環式芳香族分子を含んでおり1)、固体及 び溶液状態で蛍光を示す。また、石炭ピッチを原料と する炭素繊維は石炭ピッチを軟化点以上に加熱して 射出成型・冷却することで分子配向が揃う「紡糸化」

2)・紡糸化した石炭ピッチを酸素雰囲気下で加熱し、酸 化的脱水素反応により近接する分子同士が繋がり、酸 素官能基が導入される「不融化」・不活性雰囲気下で強 熱することで脱酸素化し、π共役平面が形成される「炭 化工程」3)を経て製造される4)。不融化した石炭ピッチ は有機溶媒に溶解しないため、通常は固体の機械的物 性のみが評価されているだけで、光学特性の評価は行 われていない。

本研究では不融化石炭ピッチの可溶化を通して溶 液物性を解明するため、これに含まれるカルボニル基 のアルキル化および続く加熱による脱水反応を行い、

得られたピッチの溶液及び固体物性の解明を行った。

2.

研究内容

1 不融化石炭ピッチのアルキル化と焼成による脱水 不融化石炭ピッチを塩化メチレンで抽出し、塩化メ チレン可溶分の

A

と不溶分の

B

を得た。不溶分

B

対して、

1-ヘキシル、 2-

エチル-1-ヘキシル、

1-ドデシル

または

4-ドデシルオキシフェニル Grignard

反応剤を

反応させることで、アルキル化生成物

C-F

を得た

(Scheme 1)。また、Ar

雰囲気下で

D

400 °C

で焼成 した

G

E

200 °C

で焼成した

H

を得た。

Scheme 1

Soluble IF sample A

InSoluble IF sample B CH2Cl2

RMgBr THF

alkylated IF

C4H9

Et R =

R = sample C

sample D Infusibilized

Pitch(IF)

R = sample E

200 °C sample H C4H9

C10H21

sample G 400 °C

OC12H25 R =

sample F

アルキル化して得られた

C-F

の有機溶媒に対する溶 解度(Table 1)を測定したところ、アルキル化反応前の

B

と比べてどの溶媒に対しても溶解度が向上したこ とを確認した。また、ドデシル化した

E、 4-ドデシル

オキシフェニル化した

F

ではヘキシルおよび

2-エチ

ルヘキシル化した

C, D

より高い溶解度を示した。

2

焼成による脱水反応の検討

2-エチルヘキシル化した D

と焼成後の

G

において

焼成前後のTG-DTA(Figure 1, Table 2)を測定した。アル キル化した

D

では

183 °C

5%重量減少、309 °C

10%

重量減少を、焼成後の

G

では

452 °C

5%重量減

少、

490 °C

10%重量減少を確認した。 D

TG

では

2

段階の重量減少を確認しており、

D

の加熱における

G

TG

では

1

段階の重量減少であることから、最初 の段階はアルコール構造からの水分子の脱離、

2

段階 目はアルキル基の脱離と考えている。

B-3

(2)

藤本 翔 B-3

sample D sample G

5% weight loss 10% weight loss 182 °C

452 °C 490 °C 309 °C Table 2. Temperature at 5 and 10% weight loss

3 アルキル化不融化石炭ピッチの溶液物性

不融化石炭ピッチの塩化メチレン可溶分である

A

とアルキル化した

C-F

と焼成した

H

THF

に、焼成 した

G

をトルエンに溶解させ、溶液の紫外・可視・近 赤外吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(Figure 2)を 測定した。

A

のスペクトルでは吸収端が

500 nm

程度 あったのに対し、アルキル化した

C-Eは吸収端が 1000 nm

付近まで到達していた。また、320 nmの励起光に よる蛍光スペクトルでは、

A

は最大発光波長が

460 nm

であったのに対し、アルキル化した

C-E

および

H

は最大発光波長が

495 nm

と長波長シフトした。これ らのことから

C-E, H

の方が大きなπ共役系成分を含ん でおり、そのπ共役系の大きさを反映して吸収・発光が 長波長シフトしたと考えられる。

4 アルキル化不融化石炭ピッチの固体物性

アルキル化反応前後の

B-E

と焼成した

H

のXRD ペクトル(Figure 3, Table 3)を測定した。B は層間距離

3.59 Å

に対応する

24.8°にピークを確認し、ヘキシル

化した

C、 2-エチルヘキシル化した D

は共に層間距離

3.93 Å

に対応する

22.6°にピークを確認した。ドデシ

ル化した

E

E

を焼成した

H

はそれぞれ層間距離

4.18, 4.24 Å

に対応する

21.2, 20.9°にピークを確認した。ド

デシル基を導入した

E

はヘキシルまたは

2-エチルヘ

キシル化した

C, D

と比べて層間距離が長くなってお り、アルキル化によりπ−πスタッキングが弱くなるこ とで、溶解度が向上したと考えている。

3.

結論

本研究では不融化石炭ピッチに様々なアルキル基 を導入、次いで焼成することで脱水反応を行い、溶解 度が向上したピッチサンプルを得ることに成功した。

溶液物性ではアルキル化したサンプルは不融化石炭 ピッチの塩化メチレン可溶分より大きなπ共役系分子 を含んでいること、固体物性ではアルキル基によって 異なる層間距離になることを見出した。

4.

参考文献

1) a) Fetzer, J. C.; Kershaw, J. R. Fuel 1995, 74, 1533. b) Zander, M.;

Collin, G. Fuel 1993, 72, 1281. c) Zander, M. Fuel 1987, 66, 1536.

2) Edie, D. D.; Dunham, M. G. Carbon 1989, 27, 647.

3) Lewis, J. C. Carbon 1982, 20, 519.

4) a) Wazir, A. H.; Kakakhel, L. New Carbon Materials 2009, 24, 83. b) Arai, Y. NIPPON STEEL TECHNICAL REPORT 1993, 59, 65.

5.

対外発表リスト

S. Fujimoto, T. Fukuda, K. Yamagata, M. Yamashita 15ACC(ポスター).

S. Fujimoto, T. Fukuda, K. Yamagata, M. Yamashita 248th ACS National Meetings(ポスター). S. Fujimoto, T. Fukuda, K. Yamagata, M.

Yamashita NIMS CONFERENCE 2014(ポスター). 藤本 翔・福田 武司・山形 憲一・山下 誠日本化学会第94春季年会(口頭).

藤本 翔・福田 武司・山形 憲一・山下 誠75回応用物 理学会秋季学術講演会(口頭). 藤本 翔・福田 武司・山形 憲 一・山下 誠41回炭素材料学会年会(ポスター).

参照

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