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液化DMEを用いる石炭常温脱水技術

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 液化 DME を用いる石炭常温脱水技術 背 景 石炭の一層の安定供給のためには、現在あまり利用されていない、亜瀝青炭や褐炭の利用拡大が重要である。 このため、所要エネルギー(コスト)が少ない脱水技術の開発が望まれている。当所は、DME(ジメチル エーテル)* 1 を脱水剤として用いる、新たな脱水プロセスを考案した。本プロセスは、常温、0.5 ∼ 0.7MPa 程 度で凝縮・蒸発する DME を用い、加圧した液化 DME に石炭の水分を吸収させた後に、減圧して DME だけを 蒸発させる方法である。既に、プロセスの性能を試算し、理論上、既往の高温加熱型の技術より少ないエネル ギーで脱水可能であるとの結果を得ている。本技術を実用化するには、試作機を開発して、多様な石炭に対す る適用性を評価すると共に、石炭の脱水特性や排水特性、ならびに、現実の運転条件と所要エネルギーを解明 する必要がある。. 目 的 試験管レベルの装置を用いて、DME で様々な石炭を脱水し、多様な石炭への適用性を評価すると共に、脱 水後の石炭の自然発火性を明らかにする。また、DME を再利用可能な脱水プロセスの試作機を開発して、 DME を循環利用可能であることや、温度、圧力などの運転条件と所要エネルギー、排水特性を解明する。. 主な成果 1.試験管レベルの簡易装置を用いた、DME 脱水技術の石炭脱水性能 (1)長さ 150mm、内径 11mm のカラムに、様々な性状の 7 種類の石炭(大きさ 1mm)を充填し、液化 DME を 10g/分の速度で 12分間流す脱水試験を行った。DME を流す時間が長いほど、石炭の水分が除去され、 最終的には全ての石炭で水分が 10wt%まで脱水できた。既存技術は完全に脱水するので、脱水炭が自 然発火する危険があった。これに対し本技術では、瀝青炭と同程度の水分を残すことが可能であるので、 この危険を低減できる。 (2)石炭の内、水分が多い亜瀝青炭は、DME で脱水した後は、脱水する前より、自然発火性が低減される ことが明らかになった(図 1)。また、脱水と同時に石炭の一部が DME で抽出され、抽出量が多いほど 自然発火性が低減されることも判明した。 2.DME 脱水プロセス試作機による、石炭の脱水特性と排水特性の解明 (1)石炭処理量 10L/バッチの、DME 脱水プロセスの試作機(図 2)を開発した。試験管レベルの検討にお いて最も脱水効果が高かったワラ炭を、試作機を用いて脱水し、水分を 41 %から 1 %に低減することに 成功した。また、試作機で脱水したワラ炭も、自然発火性が低減されていることが明らかになった。 (2)ワラ炭の工業分析、元素分析値は脱水前後で変化しなかった。更に、脱水後のワラ炭は、2 週間、湿度 100 %の環境に放置しても、水分が 15%までしか戻らず、再湿潤製が低減されていることが判明した。 (3)分離された水分は pH3 ∼ 4 で、浮遊物質、BOD、油濃度が下水道法の基準値* 2 と同等かやや高いもの の、処理が困難な金属類やハロゲン化合物等は検出下限以下であり、既存の排水処理技術で対応可能で あることが明らかになった。 3.DME 脱水プロセス試作機の運転条件と所要エネルギーの解明 試作機により、常温、数気圧の条件で(図 3)、DME の再利用運転が可能であることを確認した。また、試 作機は小型で、詳細構造や運転条件を最適化していないにも拘わらず、2069kJ/kg-水(圧縮機の仕事量)で脱 水可能であり、既存技術の所要エネルギー(実機規模の試算値)以下に低減できることが判明した。. 今後の展開 実用化に向けたスケールアップのため、脱水装置への石炭の連続投入・抜き出し方法などを検討する。 主担当者 関連報告書. エネルギー技術研究所 燃料高度利用領域 主任研究員 神田 英輝・野田 直希 「DME 利用型脱水プロセスの試作機による石炭脱水特性の解明」研究報告書: M08020、 「液化DMEによる石炭の脱水特性および自然発火性低減効果の検討」研究調査資料:M08902. * 1 :標準沸点は− 25 ℃、5 気圧では沸点 20 ℃。様々な物質の中から水分を溶かし出す能力がある。DME100 に対して 水 8 の重量割合で溶ける。中華人民共和国では、輸入 LPG より安価な代替燃料として普及しつつある合成燃料で もある。 * 2 :下水道法の基準値との比較は、本技術で生じる排水を下水に流すことを前提とするのではなく、既存の排水処理 技術で十分に対応可能か検討するために用いたものである。 (昨年度年報後の受賞: 京都大学環境衛生工学研究会 優秀プロジェクト賞、日本粉体工業技術協会 研究奨励賞). 106.

(2) 6.化石燃料発電. 50℃の乾燥空気を、DMEで脱水する 前のワラ炭と、脱水した後のワラ炭に、 各々接触させ、空気の酸素によって発 熱する「自然発火性」を測定した。ワ ラ炭の温度の上昇が早いほど、自然発 火性が高い。DME脱水後のワラ炭は 温度上昇に時間がかかり、自然発火性 が低減される。. 図1 DME脱水前後での自然発火性の違い. 「DME脱水プロセスの試 作機」は、脱水に使用した DMEを常温で蒸発させた 後、回収・液化して循環再 利用することが可能である。 本試作機の目的は、石炭の 脱水特性や排水特性、現実 の運転条件と所要エネルギー を、世界で初めて解明する ことであり、装置の詳細構 造や運転条件の最適化は行っ ていない。. 図2 DME脱水プロセスの試作機(矢印と番号はDMEの循環ルート). 試作機において、最も温度 が高い箇所は43℃、最も圧 力が高い箇所は0.88MPa で あり、常温・数気圧の穏和 な条件で運転可能であるこ とが確認できた。 この運転条件における、脱 水エネルギーは2069kJ/kg水であり、既存技術の所要 エネルギー以下にできるこ とが判明した。. 図3 DME脱水プロセスの試作機の運転条件. 107. 6.

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