ザンクト・ガレン学派の マネジメント・モデルに関する一考察
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(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −212−. 香川大学経済論叢. 412. たとえば谷本(2 0 0 4,5ページ)は,CSR を「企業活動のプロセスに社会 的公正性や環境への配慮などを組み込み,ステイクホルダー(株主,従業員, 顧客,環境,コミュニティ)に対しアカウンタビリティを果たしていくこと」 と定義している。近年,企業行動憲章や企業倫理担当常設機関の設置,企業倫 理担当専任役員の選任など,企業倫理の制度化の議論がアメリカを中心として なされているが(たとえば吉森2 0 0 7,1 9 1ページ以下を参照) ,このような, 外部から法的あるいはその他の手段で企業を規制することはコストなどの点か らみても限界があると思われるし,そもそも CSR が法令遵守を超えた自主的 な活動であることを考えると,単に法規制などの外部からの規制に消極的に従 うのみでなく,企業が積極的に CSR を意識した経営を行う必要があると考え られる。 谷本の定義に記されているように,これらの議論の中で特にステイクホルダ ーの存在が注目されている。従来の経営学では企業はクローズド・システムと みなされ,利潤極大化,あるいは株主価値の最大化という目的のみを追求する 存在と見なされてきたため,そこでは株主以外のステイクホルダーの存在はほ とんど考慮されてこなかった。しかし株式会社が巨大化し,その社会的影響力 が増大する中で,企業の不祥事などが多発し,株主以外のステイクホルダー, たとえば従業員,供給業者,消費者,地域社会などの存在を積極的に考慮し, 彼らの効用を満足させなければ企業は長期的に生き残ることはできないのでは ないかという考え方が注目されるようになったのである。株主重視のアプロー チをシェアホルダー・アプローチと呼ぶのに対し,このような考え方はステイ クホルダー・アプローチと呼ばれるが,企業を取り巻く様々なステイクホルダ ーの存在をどのように捉え,そしてどのように配慮すればよいのかといったこ とが近年盛んに議論されているのであり(たとえば高岡2 0 0 6;大平編著2 0 0 9 を参照) ,CSR の議論においてもこのステイクホルダーに関する議論が重要な ものとなっている。 財・サービスの効率的な生産・販売という経済的な目的を追求する企業活動 の中に,社会的公正性などの社会的目的を組み込むことはきわめて難しい要求.
(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 413. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −213−. だが,以上のような問題を解決する上で鍵を握っているのは,やはり経営者あ るいはトップ・マネジメント層であろう。彼らが企業を運営していく中で,い かに効率性や倫理性を企業活動に組み込んでいくかということがこれからの企 業経営においてもきわめて重要となってくるのである。 これまで経営学においては,トップ・マネジメントによる企業の管理活動が 重要な研究対象の一つとされてきたのであり,経営管理論あるいはマネジメン ト論が経営学の主要領域として形成されてきた。しかしそこではもっぱら経済 的な効率性の観点から企業活動を形成することが課題とされてきたのであり, 近年の CSR の議論におけるような,企業活動において経済的な目的と社会的 な目的を同時に果たすという目標はあまり考慮されてこなかった。よって経営 管理論やマネジメント論の分野でも,CSR やステイクホルダーに関する議論 を取り入れた新しい管理モデルが構築される必要があるだろう。 そこで本稿では,これらの課題を考慮した新しい管理モデルあるいはマ ネ ジ メ ン ト・コ ン セ プ ト を 提 唱 し て い る,ド イ ツ 語 圏 の 経 営 経 済 学 (Betriebswirtschaftslehre)におけるザンクト・ガレン学派のマネジメント・モ デル,とくに2 0 0 2年に出版されたリュエッグ・シュテュルム(J. Rüegg-Stürm) による『新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデル ―― 統合的マネ ジ メ ン ト 論 の 基 本 カ テ ゴ リ ー(Das. neue. St. Galler. Management-Modell.. Grundkategorien einer integrierten Managementlehre) 』 (Rüegg-Stürm 2 0 0 3a)を 検討したい。これは,1 9 7 2年に著されたウルリッヒ(H. Ulrich)とクリーク (W. Krieg)に よ る『ザ ン ク ト・ガ レ ン・マ ネ ジ メ ン ト・モ デ ル(St. Galler Management-Modell ) 』(Ulrich / Krieg 1 9 7 4=2 0 0 1) ,そして1 9 9 1年に著された ブライヒャー(K. Bleicher)の『統合的マネジメント・コンセプト(Das Konzept integriertes Management) 』(Bleicher 2 0 0 1)を現代の視点から発展的に継承した ものであり,現代のザンクト・ガレン学派のシステム志向的マネジメント論の 基本的骨格をなすものと位置づけられている。このモデルでは,特に企業を取 り巻くステイクホルダーや環境と企業との関係が管理論の視点から論じられて おり,注目に値するものと思われる。また近年シュヴェグラー(R. Schwegler).
(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −214−. 香川大学経済論叢. 414. が,この「新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデル」と,ホーマン(K. Homann)らによる経済学的倫理学(ökonomische Ethik) (Vgl. z. B. Homann2 0 0 4) を批判的に検討し,そこから企業の道徳的行為に関する理論モデルを提示して いるように(Vgl Schwegler 2 0 0 8) ,ドイツ語圏の経営経済学における当該分野 の議論の中でもこのモデルは一定の注目を集めている。よってこのモデルを取 り上げることは,本稿の問題意識からみて意義のあることだと考えられる。 特にわれわれはこれまで,ザンクト・ガレン学派のシステム志向的経営経済 学,あるいはシステム志向的マネジメント論の創設から現代までの展開につい て,主にそれが依拠するシステム理論の展開という観点から検討してきた。し かしそこではシステム理論の影響の強い個別の学説を取り上げ,検討してきた ため,この「ザンクト・ガレン・マネジメント・モデル」に関する考察はなさ れないままであった。これらのモデルがザンクト・ガレン学派のシステム志向 的経営経済学の中でどのように位置づけられるのかという,われわれのこれま での学説史的な研究の観点からも,本稿でこのモデルを取り上げる意義がある といえよう。 以上の点から,本稿ではリュエッグ・シュテュルムによる「新しいザンク ト・ガレン・マネジメント・モデル」のうち,特に「企業と社会」あるいは企 業とステイクホルダーとの関係に関わる点を中心に取り上げ,その特質と若干 の問題点を検討する。その際,彼のモデルがこれまでのマネジメント・モデル を発展させたものであるということから,まずウルリッヒ/クリークのモデル とブライヒャーのモデルを簡潔に取り上げ,その後でリュエッグ・シュテュル ムのマネジメント・モデルを検討することで,特に企業とステイクホルダーと の関係という観点から彼の議論を再構成する。そしてその後でリュエッグ・ シュテュルムのモデルに対するシュヴェグラーの批判を取り上げることで,彼 の議論の特質と限界を探ることにしたい。.
(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 415. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −215−. Ⅱ ウルリッヒ/クリークの「ザンクト・ガレン・マネ ジメント・モデル」 先に述べたとおり,ザンクト・ガレン学派の創始者であるウルリッヒは, 1 9 7 2年にクリークとの共著で『ザンクト・ガレン・マネジメント・モデル』を 著した。これに先立ってウルリッヒは,1 9 6 8年に『生産的社会システムとし ての企業』(Ulrich1 9 7 0=2 0 0 1)を著し,システム理論,特に一般システム理 論とサイバネティクスに依拠して,企業を一つのオープン・システムと見な し,そのインプット・アウトプットの関係から企業の活動を捉えることで,管 理者への実践的な行為の推奨を導き出そうとした。『ザンクト・ガレン・マネ ジメント・モデル』はこのようなウルリッヒの研究に基づいて提示されたもの だが,1 9 6 8年のウルリッヒの著作がシステム理論に関する厳密な検討に基づ いた研究書であったのに対し,1 9 7 2年のウルリッヒ/クリークの著作はより 実践志向的であり,企業の全体的な把握,学際的な分析を目指し,学生や経営 !. 者の教育という観点が前面に出ている。 ここで彼らは,企業を「変化する環境の中で生産の機能を達成する,目標志 向的で行為能力のあるオープン・システム」(Ulrich / Krieg 1 9 7 4=2 0 0 1, S.1 8) と定義し,ザンクト・ガレン・マネジメント・モデルを次の図1のように図式 化している。 図1からわかるように,基本的にこのモデルにおいては一般システム理論と サイバネティクスの考え方が前面に出ているといえる。すなわち企業は,調達 市場で材料を調達し,それを企業内部で生産し,販売するオープン・システム だということである。その際企業管理は,技術的レベル(たとえば生産効率) , 経済的レベル(たとえば収益性) ,社会的レベル(たとえば職場の人間関係)を 考慮して材料や人的資源を供給し,生産プロセスを遂行するのである。そして その結果生産された財やサービスを市場給付として販売市場で売却することで (4) 最終章では,ザンクト・ガレン大学での教育・養成システムに関する記述が見られ る。Vgl. Ulrich / Krieg(1 9 7 4=20 0 1) , S.4 8ff..
(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −216−. 香川大学経済論叢. 416. 図1:ウルリッヒ/クリークのザンクト・ガレン・マネジメント・モデルの概要(Ulrich / Krieg19 7 4=20 01, S.3 1.) 生態学的環境 技術的環境 経済的環境. 管理. 手段 供給. 革新的 任務. 調達市場. 反復的 任務. 技 デ 術 ザ 的 イ ン 経 レ ベ デ 済 ル ザ 的 イ ン レ 社 ベ デ 会 ル ザ 的 イ ン レ ベ ル. 社会的環境. 市場給付. 販売市場. 実行. 利益を獲得する。ここでは,とりわけサイバネティクスの観点から,企業シス テムは環境との動態的均衡を達成すべく,インプットとアウトプットの最適な 関係の構築を目指すのであり,それに向けて管理層は企業システム内部のデザ イン,コントロールを行うのである。 さて本稿での「企業と社会」という問題関心から見れば,図1における外側.
(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 417. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −217−. の円に位置する環境と企業との関連が重要となるだろう。企業は絶え間なく変 化する環境条件に取り組み,これを自身と関係づけ,そこから自身の行動の基 盤を導き出すことで自身の存立を確保することができる。ここで企業の環境に は多数の相異なる社会システムやグループが存在し,企業はこれらと関係し, 取引を行うことで生産機能を実現することができるのである。ここでこれらの 例としてはたとえば,従業員,供給者,顧客,資本提供者,競争相手,国家や 非政府組織などが挙げられているが(Vgl. Ulrich / Krieg 1 9 7 4=2 0 0 1, S.2 2) , 現代の CSR の議論から見れば,これらは企業の典型的なステイクホルダーで ある。 しかしウルリッヒ/クリークは,さらにこれらステイクホルダーが位置する 環境領域を技術的環境領域,経済的環境領域,社会的環境領域と生態学的環境 という抽象的レベルに区分している(Vgl. Ulrich / Krieg1 9 7 4=2 0 0 1, S.2 3f.) 。 技術的レベルでは企業活動に必要な自然科学的技術基盤などが含まれ,経済的 レベルでは国家経済の成長や景気など,企業事象に関わる国民経済的関連が含 まれる。社会的レベルでは,社会における文化的,法的,政策的観点が関係す る。ここでは特に,価値や規範を持つ社会的存在としての人間が考察の中心に 置かれている。最後に生態学的環境はこれら三つの環境領域を包括するものと される。ここでは特に自然環境に重点が置かれており,たとえば環境汚染の問 題など,企業にとっても解決が求められる問題がそこで意識されることになる。 以上がウルリッヒ/クリークによる企業の環境に関する議論であるが,彼ら は企業と環境との関係についてこれ以上の議論を展開していない。先に述べた ように,彼らの議論の中心にあるのはインプットをアウトプットに変換するオ ープン・システムとしての企業の管理であり,企業の環境,つまりステイクホ ルダーあるいは社会と企業との関係については,インプットとアウトプットの 関連,すなわち調達と販売という市場の関連のみが考察されるに過ぎないので ある。よって実質的には企業にとって重要な環境は市場のみであるということ となり, 現代の CSR の議論から見て重要な認識が提供されているわけではない。 さらに彼らが依拠する一般システム理論とサイバネティクスに厳密に基づく.
(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −218−. 香川大学経済論叢. 418. ならば,企業というシステムはインプットとアウトプットを制御することで常 に環境との動態的均衡を達成しようとする。その際,企業システムは環境の変 化に合わせてつねにシステム内部を制御しなければならない。それがウルリッ ヒ/クリークの目指す管理の機能なのだが,そこでは,企業システムは環境を 完全に認識できるという仮定が置かれなければならないだろう。というのも, 環境と企業システムの均衡を達成するには,環境のあらゆる状況,情報を察知 し,それに併せて企業システムの内部を制御しなければならないからである。 ここでは,今日見られるような「企業と社会」 ,CSR の問題は原理上問題とな らないだろう。つまり企業システムは,環境からの要求をすべて完全に聞き入 れ,それに基づいて企業内部を制御し,環境との均衡を達成しているのだか ら,企業を取り巻く環境,ステイクホルダーをどのように考察すればよいのか という問題は原理的に発生しないと考えられるからである。 以上のことから,ウルリッヒ/クリークのザンクト・ガレン・マネジメン ト・モデルは,とりわけ「企業と社会」やステイクホルダーに関する問題を解 決する枠組みとしては不満足なものだったといわざるを得ない。. Ⅲ ブライヒャーの「統合的マネジメント・コンセプト」 ブライヒャーはもともとベルリン自由大学においてコジオール(E. Kosiol) のもとで研鑽を積み,システム志向的な組織論を展開してきたコジオール学派 の一員であった。しかし1 9 8 4年にウルリッヒの後任としてザンクト・ガレン 大学に赴任し,それまでのシステム志向的な研究をまとめるべく,1 9 9 1年に 『統合的マネジメント・コンセプト』 ,さらに1 9 9 4年には『規範的マネジメン ト』を出版し,統合的な視点から企業の全般管理のための理論モデルを提示し !. たのであった。ブライヒャーのこれらの著作は,「ザンクト・ガレン・マネジ メント・コンセプト(St. Galler Management-Konzept) 」なる著作シリーズに連 (5) ブライヒャーの「規範的マネジメント」に関する詳細な研究として山縣(2 00 7)があ る。さらに柴田(2 0 0 4)も参照。ブライヒャーの略歴については山縣(200 7),2 61ペー ジ以下;Seidel(19 9 9)を参照。.
(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 419. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −219−. ねられている。 さて,ブライヒャーの統合的マネジメント・コンセプトにおいて特徴的な点 は,以下の図2に表されているように,マネジメント問題を水平的次元と垂直 的次元からそれぞれ三つの階層に区分し,それらを統合的な視点から考察する ことで,企業発展(Unternehmungsentwicklung)を導きだそうとしている点に 3) 。 ある(Vgl. Bleicher2 0 0 1, S.7 1−8 水平的な次元としては規範的マネジメント,戦略的マネジメント,業務的マ !. ネジメントが区別され,垂直的な次元では活動,構造,行動が区別されている。 そしてそれらをメタ統合するのが,マネジメント理念(Managementphilosophie) である。 まず水平的な次元から見れば,規範的マネジメントのレベルでは,企業が変 化する環境において生き残りを図る際に起こる,原理原則的な問題が解決され る。すなわちそこでは,企業の活動を基礎付けるような企業の原理,規範,目 的などが決定されるのである。一方戦略的マネジメントでは,規範的マネジメ ントで決定された原則が具体的な戦略の形でプログラム化される。業務的マネ ジメントでは,プログラムが実際に遂行される場面でのマネジメントに関わる 問題が提起される。 一方垂直的な次元については,活動次元では企業政策がミッションとして定 式化され,それが下位に向けてプログラム,指令の形で具体化される。構造次 元では,活動を支えるための組織的枠組みが規定される。たとえば規範的次元 では取締役会などのトップ・マネジメントの機関形成がなされ,戦略的次元で はプログラムを実施するための組織構造が規定される。さらに業務的次元では 指令を実施するための処理システムが規定される。行動次元は,規範的次元で 組織メンバーの行動を規定する企業文化が形成され,それが戦略,業務の次元 で具体的な行動となって表れる。 ブライヒャーによれば,以上の水平的次元と垂直的次元はつねに統合的な視 (6) この水平的次元でのマネジメントの区分は,Ulrich / Probst(1 98 8) ,邦訳302ページ 以下にも見られる。.
(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −220−. 香川大学経済論叢. 420. 図2:ブライヒャーの統合的マネジメント・コンセプト(Bleicher2 00 1, S.77und S.8 2.). マネジメント理念. 規準. 水平的統合. 規範的マネジメント 企業体制. 企業政策. 企業文化. ミッション. 垂直的統合. 戦略的マネジメント 組織構造 マネジメント・ システム. プログラム. 問題行動. 業務的マネジメント 組織プロセス 任務 処理システム 構造. 給付行動 協調行動. 行動 活動. 企業発展 内部企業発展. 外部企業発展. 内部と外部の 企業発展.
(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 421. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −221−. 点から考察されなければならない。このような課題が達成されるとき,企業は 企業発展を実現することができるのである。その際ブライヒャーはとりわけ, 先に述べたマネジメント理念と規範的マネジメントのレベルを重要視してい る。彼によれば,そこで重視されなければならないのが「ステイクホルダー (Anspruchsgruppen)への効用を生み出すこと」である(Vgl. Bleicher1 9 9 4, S. 3 3f.) 。企業管理は,企業が様々なステイクホルダーに取り囲まれ,彼らと関 わり合うことではじめて企業活動を遂行することができるということを認識 し,彼らへの効用を生み出すことで企業を発展させていかなければならないの である。 ブライヒャーは,ザンクト・ガレン学派のシステム志向的アプローチにおい て典型的であっ た「形 成,制 御,発 展(Gestaltung, Steuerung, Entwicklung) 」 というマネジメント概念に加え,ステイクホルダーに対する利害を充足させ, 調整するという機能をも自身のマネジメント概念としている(Vgl. Bleicher 1 9 9 4, S.3 3) 。このようなステイクホルダーに対する考慮はウルリッヒ/クリ ークのモデルにおいては見られなかったものであり,ブライヒャーのモデルに おける新しい特徴であると考えられる。 たとえばブライヒャーは,企業理念や規範的マネジメントのレベルで企業活 動の方向性を規定する際に,機会主義的(opportunistisch)な方向付けと義務 的(verpflichtend)な方向付けという対極的なポジションを区別している(Vgl. Bleicher2 0 0 1, S.9 1ff.) 。機会主義的な方向付けとは,たとえば株主価値の最 大化,自己の収益性の拡大など,その他のステイクホルダーや社会を考慮しな い,自己の効用の最大化を目指すようなマネジメントの方向付けである。一 方,義務的な方向付けとは,ステイクホルダーや社会に対する企業の責任を意 識したマネジメントの方向付けのことである。ブライヒャーはここで,企業が 長期的に生き残るためには,マネジメントにおいて後者の義務的な方向付けが とられることが重要だと見ている。ただし,そのような義務的な方向付けは無 制限になされるべきではない。たとえば企業の競争環境が短期的な利潤最大化 を強要するなら,マネジメントは機会主義的な方向付けも少なからず意識しな.
(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −222−. 香川大学経済論叢. 422. ければならない。その意味で,ブライヒャーによる義務的な方向付けの重視 は,企業の生き残りが脅かされない程度までのものだということができよう。 以上がブライヒャーによる統合的マネジメント・コンセプトの骨子だが,彼 の議論の特徴は,ウルリッヒ/クリークのモデルに見られなかったステイクホ ルダーへの視点が取り入れられているという点にある。さらに,特に規範的マ ネジメントやマネジメント理念といった,企業のトップ・マネジメントレベル での問題が重要視されており,そこにステイクホルダーへの考慮や社会的正当 性といった視点が取り入れられている点に,われわれの問題関心から見て大き な意義があるといえよう。そしてこのような視点は次に取り上げるリュエッ グ・シュテュルムのモデルにおいても継承されているのである。. Ⅳ リュエッグ・シュテュルムの「新しいザンクト・ガ レン・マネジメント・モデル」 リュエッグ・シュテュルムの「新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モ デル」は,以上の二つのマネジメント・モデルを踏まえて提唱されたものであ る。その名称からわかるとおり,直接的にはウルリッヒ/クリークのモデルの 現代的改訂版ともいうべきものとなっているが,その内容としては,ブライ ヒャーのモデルに見られたステイクホルダーに対する考慮が盛り込まれてい る。以下で検討しよう。 リュエッグ・シュテュルムは,新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モ デルを以下の図3のように表現している。 複数ある円の内部にある立体型は,企業システム内部の事業活動を表してい る。その中で,プロセスの次元は事業活動の過程的側面を表しており,中心にあ る事業プロセスと, それを管理するマネジメント・プロセス, そして事業プロセ スを支援する支援プロセスからなる。一方,秩序モーメント(Ordnungsmomente) は,これらプロセスをばらばらなものとせず一定の方向に整理する役割を果た すものであり,戦略と構造,文化が挙げられている。そして,秩序モーメント にしたがって生み出されるプロセスには,それまでの方法を刷新する革新化の.
(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 423. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −223−. 図3:リュエッグ・シュテュルムの新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデルの概要 (Ruegg-Sturm2 0 0 3a, S.2 2.) ¨ ¨ 全体社会 自然 テクノロジー 経済 資本提供者. 競争相手. 造. 化. 文. 新. 構. 革. 略. 戦. 化. 最 適 化. マネジメント・プロセス. 供給業者. 顧客. 事業プロセス 支援プロセス 資源 規範と価値 要請と利害. 国家. 従業員. 世論,NGO. プロセス. ステイクホルダー. 秩序モーメント. 環境領域. 発展の方法. 相互作用テーマ. 側面と,それまでの方法を踏襲する最適化の側面がある。 これらは企業内部の活動を表したものだが,ウルリッヒ/クリークのモデル が管理という制御的な側面を全面に出しているのに対し,リュエッグ・シュ.
(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −224−. 香川大学経済論叢. 424. テュルムの新しいモデルではプロセス的な側面が前面に出ている。これは, リュエッグ・シュテュルムが2 0 0 1年に著した『組織と組織変化』 (Rüegg-Stürm 2 0 0 3b)の中で中心的に議論された新しいシステム理論的アプローチ,すなわ ちルーマン(N. Luhmann)の社会システム理論(Vgl. z. B. Luhmann1 9 8 4)の 影響が大きい。ルーマンは生物学上で展開された「オートポイエーシス理論」 を社会学に応用し,社会を,コミュニケーションを構成要素とし,コミュニケ ーションがコミュニケーションを再生産するオートポイエティックなシステム だと規定した。リュエッグ・シュテュルムはこのルーマン理論を自身の組織論 へと全面的に導入し,企業組織を,出来事(コミュニケーションと意思決定) を構成要素とし,出来事が出来事へとつながることでつねにオートポイエ ティックに再生産される,自己組織的で自己再生産的なシステムだとしたので !. ある。 このようなシステム観は,ウルリッヒ/クリークが依拠していた一般システ ム理論やサイバネティクスのシステム観とは大きく異なるものである。一般シ ステム理論やサイバネティクスでは環境との動態的均衡が意識され,環境決定 論的で外部制御的,静態的な分析がなされていたが,その後のシステム理論の 発展の中で,環境によってシステムの行動が決まるのではなく,システム内部 の自己変動によりシステムの行動が規定されるという自己組織論やオートポイ エーシス理論が発展し,ザンクト・ガレン学派のシステム志向的マネジメント ". 論においても徐々にシステム観が変化したのである。 (7) リュエッグ・シュテュルムの組織論については柴田(2006a);柴田(2008a)を参照。 (8) ザンクト・ガレン学派の展開についてみれば,出発点となったウルリッヒの『生産的 社会システムとしての企業』 (Ulrich1 9 7 0=2 0 0 1)では一般システム理論とサイバネティ クスが中心的な基礎理論となっていたが,その後1 9 8 0年代にかけて,ウルリッヒの弟 子であるマリク(F. Malik)やプロープスト(G. Probst)ら が「進 化 的 マ ネ ジ メ ン ト (Evolutionäres Management) 」を提唱し,自己組織論や進化論的アプローチに基づいた新 し い マ ネ ジ メ ン ト 論 を 提 唱 し た(Vgl. z. B. Malik197 9;Malik / Probst198 1;Probst 1 9 87)。そして近年になって,リュエッグ・シュテュルムがルーマンの社会システム理 論に依拠したオートポイエティックな企業組織論を展開するに至ったのである。これら ザンクト・ガレン学派の展開については,柴田(2 0 0 6a);柴田(2006b);柴田(2008a) を参照。.
(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 425. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −225−. リュエッグ・シュテュルムの新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデ ルはこのような自己組織的なシステム理論の影響を受けている。つまり,彼の モデルにおけるプロセスは出来事が次の出来事につながることで組織が動いて いくというオートポイエティックなプロセスであり,自己組織的で自己再生産 的なプロセスである。しかしこのプロセスは,そのつど次の出来事への接続を ゼロから探索するのではなく,構造的な側面によって次につながる出来事の範 囲はある程度制限されている。この構造的側面が,リュエッグ・シュテュルム のモデルにおける秩序モーメントである。このプロセスと秩序モーメントは, プロセスによって構造が作られ,構造によってプロセスが規定される,という 形で相互依存的な関係にある。 さて,本稿でのわれわれの問題関心から見れば,図3における立方体を取り 巻く外側の円,すなわちステイクホルダーあるいは社会と企業との関係につい てのリュエッグ・シュテュルムの見解が重要だろう。これについて彼の主張を 聞いてみよう。 図3からわかる通り,企業を取り巻く環境に関して,彼は基本的にウルリッ ヒ/クリークのモデルにおける環境のあり方を踏襲しているが,しかし新しい 点もある。 まず環境領域(Umweltsphäre)については,全体社会(Gesellschaft) ,自然, 技術,経済が挙げられている(Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3a, S.2 5ff.) 。ウルリッヒ /クリークのモデルと比べると,名称こそ変わっているものの,実質的な内容 はそれほど変わっていない。たとえば全体社会に対しては,企業は世論,国家 規範,社会的問題,公共インフラなどに関わってくるが,これはウルリッヒ/ !. クリークのモデルにおいても論じられていた。 しかし,リュエッグ・シュテュルムのモデルにおいて新たに加えられている のが,「企業のステイクホルダー」と「企業とそのステイクホルダーとの間の (9) リュエッグ・シュテュルムによれば,これらの環境領域は明確に境界付けることがで きるものではなく,むしろ「成功にとって重要な傾向を同定するための分析的な構造化 を助けてくれるもの」 (Rüegg-Stürm2 0 0 3a, S.2 7)にすぎない。.
(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −226−. 香川大学経済論叢. 426. 相互作用のテーマ(Interaktionsthemen) 」である(Vgl. Rüegg-Stürm2 0 0 3a, S.2 8 −3 5) 。 まず企業のステイクホルダーについてみれば,リュエッグ・シュテュルムに よれば,企業は「自己目的によるのではなく,多種多様なステイクホルダーと 積極的に相互作用する中で,全体社会に効用をもたらすべき事業活動を提供す る」 (Rüegg-Stürm 2 0 0 3a, S.2 9)という。これはブライヒャーによって提起さ れたマネジメント概念を踏襲したものである。図3においてステイクホルダー と し て あ げ ら れ て い る の は,左 か ら 競 争 相 手,供 給 業 者,国 家,世 論/ NGO,従業員,顧客,資本提供者(株主)であるが,左側のステイクホルダー がフレームワークあるいは資源を準備するのに対し,右側のステイクホルダー は直接的に企業の価値創造に関わる。 企業はここで,どの集団,組織,制度が企業の価値創造ないし損害発生に関 わっているのか,あるいはどれがこのプロセスに取り込まれているのかを考慮 しなければならないのだが,ここでリュエッグ・シュテュルムは,ステイクホ ルダーに対するコンセプトとして,戦略的ステイクホルダー・コンセプトと規 範的−批判的(倫理的)ステイクホルダー・コンセプトを取り上げている。 前者の戦略的ステイクホルダー・コンセプトはフリーマン(R. E. Freeman) のアプローチに由来するものであり(cf. Freeman 1 9 8 4) ,どのようにすれば企 業が将来にわたって維持されうるのかという観点からステイクホルダーの要求 や利害の影響力を考慮するアプローチである。すなわち,資源や権力などの観 点から,どのステイクホルダーが企業の生き残りにとって決定的な影響力を 持っているのかということを考慮してステイクホルダーを選別するのである。 一方,後者の規範的−批判的(倫理的)ステイクホルダー・コンセプトは, ペーター・ウルリッヒ(P. Ulrich)のアプローチに由来する(Vgl. Ulrich2 0 0 8) 。 ペーター・ウルリッヒはハンス・ウルリッヒの双子の息子のうちの一人であ り,現在ザンクト・ガレン大学で経済倫理講座を担当している。彼のアプロー チでは,戦略的ステイクホルダー・コンセプトとは異なり,資源や権力などの 観点とは無関係に,企業活動に関わるあらゆるステイクホルダーが重要だと認.
(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 427. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −227−. 識される。それは人間の尊厳や道徳的権利などの規範的な論拠に基づくもので !. ある。つまりここでのステイクホルダーの選別基準は要求の影響力ではなく, 「申し立てられた要求の,倫理的に根拠付けることのできる正当性」 (RüeggStürm 2 0 0 3a, S.3 0)となる。このアプローチは,「いわば,敬意に満ち,中立 的で責任意識のある世界市民という態度で,要求を入念に倫理的に考慮し,正 当付けること」 (ebenda)を重要だとしており,戦略的ステイクホルダー・コ ンセプトとは異なる規範的なアプローチだといえる。 しかしリュエッグ・シュテュルムによれば,現実的にはこの両者のうちの一 方の立場だけが有効だというわけではなく,両者が混合的に使われているとい う。 次に,「企業とそのステイクホルダーとの間の相互作用のテーマ」について 見てみよう(Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3a, S.3 2ff.) 。これは,図3における内側三 つの円,すなわち資源,規範と価値,要請と利害が該当する。企業とステイク ホルダーとの間には多様な交換関係が構築されているが,企業とステイクホル ダーとの間で交換されるのが資源であり,規範や価値であり,要請や利害であ る。ステイクホルダーは,全体社会,技術,自然,経済といった環境領域から 特定の要請を取り上げ,これを実現するという利害を主張する。リュエッグ・ シュテュルムはここで,企業(管理)はこれらステイクホルダーの要請を規範 的−批判的な,倫理的ステイクホルダー・コンセプトの意味で,入念に考慮 し,評価する必要があると述べている。そして企業は,意思決定を下す際に, これらステイクホルダーからつねに正当性が得られるように配慮しなければな らないのである。 また社会における規範や価値は,企業の規範的マネジメントのレベルにおけ る企業の正当化プロセスの中で考慮されなければならず,それが戦略的,業務 的マネジメントに貫徹される必要がある。さらにこれらの正当化プロセスは資 源の獲得に際しても影響を与える。すなわち,どのような資源が正当で利用可 (10) ここでその論拠として,例えばハーバマス(J. Habermas)の討議論理などが参照され ている。.
(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −228−. 香川大学経済論叢. 428. 能なものなのかといったことは,社会で妥当としている価値や規範に依存する のである。 以上の分析は,先の二つのステイクホルダー・コンセプトのうちの規範的− 批判的(倫理的)アプローチに重点が置かれているような印象を抱かせる。し かしリュエッグ・シュテュルムによれば,図3の立方体で表されている企業の 内部プロセスにおいては,規範的−倫理的アプローチよりも戦略的アプローチ が重視されるという(Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3a, S.3 5) 。つまり企業は,その活 動プロセスにおいては,「経済的な市場の論理」に従って,あらゆるステイク ホルダーとの関係の中で「戦略的なポジショニング」を構築しなければならな いのである。ここで企業は,「特定のステイクホルダーの特殊な要請,利害や 欲求を選択的に捉え」 ,そのことでそれに応じたポジショニングを企て,目標 やプロジェクトを定義するのである。つまり,あらゆるステイクホルダーの要 求を正当なものと捉え考慮するのではなく,企業が市場で競争する中で重視す べきステイクホルダーの要求を選択し,それに答えていくことが重要となる。 その際の基準は「企業の生き残り」ということになるだろう。 以上がリュエッグ・シュテュルムの「新しいザンクト・ガレン・マネジメン ト・モデル」における,ステイクホルダーとの関係についての議論の概要であ る。彼は,ウルリッヒ/クリークによる「ザンクト・ガレン・マネジメント・ モデル」との違いについて,「企業管理の規範的基礎,すなわち規範や価値へ の体系的取り組み」「多様な利害や要求を持った,企業のステイクホルダーに 対する意識の増大」「明確に構造化されたプロセスを通じたあらゆる価値創造 活動をステイクホルダーへと相応に方向付けることに伴う,時間という要因の 意義」などを挙げているが(Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3a, S.8 9) ,ブライヒャーの 「統合的マネジメント・コンセプト」におけるステイクホルダー重視のマネジ メント概念を受け継ぎ,ステイクホルダーに対するアプローチを詳細に検討 し,ウルリッヒ/クリークにおけるサイバネティクス的で静態的なアプローチ とは反対に,動態的でプロセス的な視点から企業活動の機能を提示しようとし た点に彼の議論の特徴があると言えるだろう。.
(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 429. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −229−. Ⅴ 「新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデル」 に対するシュヴェグラーの批判 次に,以上のリュエッグ・シュテュルムのモデルを,シュヴェグラーの主張 に依拠して批判的に検討したい。 シュヴェグラーは,企業の道徳的行動は可能か否かという論点に関してこれ らザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルを詳細に検討した上で,批判 的な検討を加えている(Vgl. Schwegler 2 0 0 8, S.1 2 7ff.) 。彼女は方法論的なレ ベルでの問題と企業の道徳的行動のレベルでの一貫性のなさという問題の二つ !. を挙げているが,ここで関心が向けられるべきなのは後者の問題である。 彼女は,新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデルが企業行動に対す るインプリケーションという点で一貫していないと見ている(Vgl. Schwegler 2 0 0 8, S.1 3 2ff.) 。 先に見たとおり,リュエッグ・シュテュルムのモデルにおいて,二つのステ イクホルダー・コンセプト,すなわち戦略的ステイクホルダー・コンセプトと 規範的−批判的(倫理的) ステイクホルダー・コンセプトが挙げられていたが, リュエッグ・シュテュルムによればこの二つのアプローチのうちどちらかだけ が用いられるのではなく,混合的に用いられるとされていた。 このことを具体的に彼のモデルから見れば,図3におけるステイクホルダー との関わりを表した部分,とりわけ「企業とそのステイクホルダーとの間の相 互作用のテーマ」の部分では,規範的−批判的(倫理的)アプローチが前面に 出ているように思われる一方,本稿では具体的に検討していないが,図3にお ける立方体の部分,すなわち企業活動のプロセスの部分については,むしろ戦 (11) 前者の問題は,ザンクト・ガレン学派が一貫して方法論的立場とする応用科学におけ る有用性基準と,リュエッグ・シュテュルムが提唱する反実証的で解釈的な理解モデル との関係である。すなわち,理解モデルでは有用性を決して根拠づけることができず, 応用しようとする側の主観的な判断によるものとなってしまうのではないかという問題 が起こるのである。Vgl. Schwegler (2 0 0 8) , S.1 2 7−1 3 2u.144. またこの問題については, 柴田(2 0 0 6a)でも論じられている。.
(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −230−. 香川大学経済論叢. 430. 略的アプローチが重視されている。 規範的−批判的(倫理的)アプローチの提唱者であるペーター・ウルリッヒ は,文字通り規範的な方法論の立場から,企業の無制限の利潤追求を批判し, ときには利潤を放棄してでも,ステイクホルダーからの信頼,正当性を得る必 要があると説いている。よって企業活動のプロセス,すなわち戦略策定過程や 構造的な側面においても,経済性,収益性,市場性よりも,規範性,正当性が 優先されなければならないのである。 一方戦略的アプローチは,逆に倫理や道徳よりも「市場の論理」が優先され る。企業は基本的に市場での競争に打ち勝ち,生き残らなければならない。そ のために戦略的なポジショニングを行うのだが,その過程で,企業の生存に とって重要なステイクホルダーがあらわれてくるのであり,経済的利益を上 げ,生き残ることができる限りでそれらステイクホルダーに対する配慮を行う というのがこのアプローチの特徴である。 リュエッグ・シュテュルムのモデルにおいて両者のアプローチが混在してい るのだが,重点の置き方については,ブライヒャーのモデルを利用して説明す るとわかりやすい。すなわちリュエッグ・シュテュルムのモデルでは,ブライ ヒャーのいう規範的マネジメントのレベルでは規範的−批判的(倫理的)アプ ローチが重視され,戦略的マネジメント,そして業務的マネジメントのレベル では戦略的アプローチが重視されるのである。 より具体的にいえば,企業のトップ・マネジメントのレベルでは,市場の論 理よりも倫理規範やステイクホルダー重視を意識した企業理念,経営哲学など を定め,そのことで企業の正当性を得るということに重点が置かれている。一 方,そのような原理原則を具体化し,実際に遂行する戦略的マネジメントや業 務的マネジメントのレベルでは,むしろ市場の論理,すなわち競争の中で生き 残るということが重視される。 このような両アプローチの混在は大きな問題を引き起こすだろう。というの も,トップ・マネジメントがいくら企業理念や企業政策のなかで市場の論理で はなく倫理規範を重視し,ステイクホルダー重視の姿勢を見せたとしても,戦.
(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 431. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −231−. 略や業務に転換される中で市場の論理が優先され,それが貫徹されないのであ れば,「統合的マネジメント論」として構築しようとする彼らの議論は大きな 矛盾をはらむことになるからである。規範を重視するのか市場を重視するの か,この点をめぐって,彼らの議論の中で一貫性がなくなってしまっているの である。 ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルにおけるこのような一貫性の なさをどのように解決すればよいのだろうか。シュヴェグラーは,ザンクト・ ガレン学派が依拠するメタ理論,すなわちルーマン社会システム理論に依拠し てこの問題を解決しようとしている(Vgl. Schwegler2 0 0 8, S.1 3 5ff.) 。 われわれが以前検討した通り,ザンクト・ガレン学派においてもルーマン社 会システム理論の影響は非常に大きく,リュエッグ・シュテュルムはルーマン 理論に基づいて企業組織をオートポイエティックなシステムと見なしていた (Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3b;柴田 2 0 0 6a;柴田 2 0 0 8a) 。ルーマンは社会システム のみならず,企業を含めた組織もまた,意思決定やコミュニケーションといっ た出来事(Ereignis)を構成要素として,構成要素が構成要素を再生産すると いう,自律的で自己組織的,自己再生産的なシステムだと見なしたのである (Vgl. Luhmann1 9 8 8b;柴田2 0 0 8b) 。 しかしシュヴェグラーは,むしろ全体社会と企業組織というマクロ的な視点 からルーマン理論に着目する。すなわち機能分化という視点である。 ルーマンによれば,現代社会は経済,法,宗教,教育…etc といった機能的 部分システム(funktionale Teilsysteme)に分かれている。現代社会は何らかの 特権的な位置から総体的に捉えることはできず,それぞれの機能システムの視 点から全体社会についてのコミュニケーションがなされているに過ぎない。そ れぞれの機能的部分システムもオートポイエティックなシステムであり,コ ミュニケーションがコミュニケーションに接続するプロセスによって成り立っ ているのだが,機能システムはそれぞれ独自の二元コードにしたがってのみコ ミュニケートできるとされている。 例えば経済システムであれば,「支払う/支払わない(Zahlen-Nichtzahlen) 」.
(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −232−. 香川大学経済論叢. 432. という区別が二元コードとされる(Vgl. Luhmann1 9 8 8a) 。経済システムは, 教育的問題,宗教的問題,法的問題など,社会のあらゆる事項について,支払 う/支払わないという観点,すなわち「価格」に関する観点からのみコミュニ ケートするシステムなのである。企業の道徳的行動や企業倫理の問題に関して も,それが価格に作用し,「支払う/支払わない」というコミュニケーション !. がなされるときにのみ,経済システムにとって意味があるのである。 さて,ここで企業という組織システムについてみれば,それはあらゆる機能 的部分システムの中でも経済システムと大きな関わりのあるシステムだといえ る。というのも,企業は基本的に財やサービスを生産,販売し,そのことで収 益を得るシステムだからである。企業内部のコミュニケーションにおいては, 「支払う/支払わない」という価格に関する区別が大きな役割を演じている。 財やサービスを生産するための資源は希少であり,企業は他の企業との競争に つねにさらされている。その中で企業は,財やサービスをより少ないコストで 生産し,多くのステイクホルダーのための効用を作り出すことで,生存を確保 しようと努めているのである(Vgl. Rüegg-Stürm2 0 0 3a, S.2 1;Schwegler2 0 0 8, S.1 3 7) 。 よって企業は,確かに「支払う/支払わない」以外のコード,例えば「合法 /非合法」や「倫理的/非倫理的」などといった二元コードにしたがったコミュ ニケーションも可能だが,しかし市場で他の企業と競争し,生き残るためには, まず経済的な利益を獲得しなければならない。よって,「支払う/支払わない」 という二元コードに従ったコミュニケーションの接続が重要となるだろう。 以上のような企業システムのあり方は,当然企業システム自身の活動プロセ ス,すなわち企業システムの構成要素のオートポイエティックな再生産の中に 反映されていなければならない。リュエッグ・シュテュルムによれば,企業と いうシステムは「現実の秩序(Wirklichkeitsordnung) 」という構造に従って出 (12) これは同時に,経済システムが「盲点(blinder Flecke)」を持っていることをも意味し ている。というのも,経済システムは「支払う/支払わない」という観点から捉えられ ない問題についてはそもそも観察することができないからである。.
(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 433. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −233−. 来 事(コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や 意 思 決 定)が 作 ら れ(「現 実 の 構 成 (Wirklichkeitskonstruktion) 」 ) ,それによって作られた出来事が再び「現実の秩 序」を再生産するという,相互的フィードバックのプロセスで成り立っている (Vgl. Rüegg-Stürm 2 0 0 3b;柴田 2 0 0 6a) 。企業システムが経済システムともっぱ ら関わるということは,企業には経済的な役割が期待されるのである。 この中では,経済的意思決定よりも倫理的な意思決定を優先させることは困 難になるだろう。というのも,もし企業が倫理的意思決定を優先させれば,経 済システムの中で企業が行う取引,すなわち経済的コミュニケーションが円滑 に進まなくなってしまうのであり,結果としてその企業は生き残ることができ なくなるのである。つまり,「企業が他の企業や市場よりもより効率的で効果 的に経済的価値を創造することに成功しないのなら,その存在を脅かされ,そ れによって(たいてい)経済的な意味を果たせない」 (Schwegler 2 0 0 8, S.1 3 9) のである。 以上のようなメタ理論的な考察に基づいた検討からわかることは,新しいザ ンクト・ガレン・マネジメント・モデルが,ペーター・ウルリッヒ流の規範的 −批判的(倫理的)アプローチではなく,フリーマン流の戦略的アプローチと 整合性が高いということである。戦略的アプローチは,企業自身の生き残りに とって重要なステイクホルダーを選別し,考慮に入れるという点で,市場の論 理が倫理的行動より優先される。このようなアプローチはルーマン理論の想定 と整合し,新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデルにおいて取られる べき立場だと思われるのである。 リュエッグ・シュテュルムの「新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モ デル」における以上のような非一貫性を提示した後で,シュヴェグラーはこの 非一貫性の解決策を探る。彼女は,!企業の機能の論理をペーター・ウルリッ ヒのアプローチに合わせる,"市場経済の競争条件をペーター・ウルリッヒの 道徳的要請に合わせる, という二つの代替案を検討するが, いずれも成功しない として,新しいザンクト・ガレン・マネジメント・モデルからペーター・ウル #. リッヒの規範的−批判的(倫理的)アプローチを取り下げるべきだとしている。.
(24) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −234−. 香川大学経済論叢. 434. Ⅵ まとめと展望 以上の議論をまとめるならば,次のようになるだろう。 #. 近年,CSR に関する議論,とりわけステイクホルダーに関する議論が 注目されているという状況の中,管理論においてもこれらの問題を考慮し たモデルを提起する必要があるということから,本稿ではザンクト・ガレ ン学派のリュエッグ・シュテュルムによる「新しいザンクト・ガレン・マ ネジメント・モデル」を検討し,これらの問題に対する解決策を探った。. $. まずこのモデルを検討するための前段階として,ウルリッヒ/クリーク の「ザンクト・ガレン・マネジメント・モデル」,そしてブライヒャーの. 「統合的マネジメント・コンセプト」を検討した。ウルリッヒ/クリーク のモデルは,一般システム理論とサイバネティクスの影響の下,企業シス テム内部の制御プロセスに考察の重点が置かれ,企業を取り巻くステイク ホルダーや社会的側面に関する考察はほとんど見られなかった。一方ブラ イヒャーのコンセプトは,ウルリッヒのモデルを受け継ぎつつも,マネジ メントの機能としてステイクホルダーに対する効用充足が挙げられてい た。 (13) !については,仮にある企業が競争優位を持たない場合,その企業が市場の論理より も倫理や道徳を優先させることは,直ちに企業の存続の危険へと導くため,結果として 倫理や道徳を優先した経営ができなくなることへと導く。反対にある企業が競争優位を 持つ場合,確かにその企業は利益を犠牲にして道徳的行動を取るとしても生き残る可能 性がある。しかしながらこの場合,市場での競争が機能しなくなる,すなわち経済的な 効率性の優位を築くインセンティブがそがれてしまうというデメリットが発生する。ま たそれは,機能分化というルーマン社会システム理論の想定に合致しないし,さらに競 争優位は暫定的なものであり,仮にその企業が競争優位を持っていたとしてもそれがい つ崩れるかわからないので,結局倫理や道徳を優先することは反生産的となる。"につ いては,その場合,もはや貨幣ではなく倫理的に正当な欲求が世界を支配することにな るが,しかしその結果を予測することはできない。またこれまで市場による価格メカニ ズムが達成してきた効率的な資源配分などを考えると,市場経済の論理を否定すること はほとんど非現実的である。!と"のいずれにしても,倫理的な企業はその存在を脅か され,結局道徳的な目標を達成できないのである。.
(25) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 435. !. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −235−. 次にリュエッグ・シュテュルムによる「新しいザンクト・ガレン・マネ ジメント・モデル」を検討した。彼のモデルはルーマン社会システム理論 を基礎理論として,企業をオートポイエティックな自己再生産的システム と見なしていた。また彼は,ウルリッヒ/クリークのモデルを基本とし て,それにブライヒャーのステイクホルダーに対する概念を付け加えて, 企業を取り巻く環境,あるいはステイクホルダーについてウルリッヒ/ク リークよりも詳細に検討していた。そこでは特にステイクホルダーに対す る姿勢として,戦略的アプローチと規範的−批判的(倫理的)アプローチ が挙げられ,実際の企業では両アプローチが混合的に用いられているとさ れていた。. ". 最後に,以上のリュエッグ・シュテュルムのモデルに対するシュヴェグ ラーの批判を取り上げた。彼女は,リュエッグ・シュテュルムのモデルに おける二つのステイクホルダー・アプローチの混在はモデルの一貫性を保 証しないとして,メタ理論であるルーマン理論の機能分化の議論を参照し てそれを解決した。ルーマンの議論に基づけば,企業というシステムは もっぱら経済システムに関わるものとされ,経済システムは「支払う/支 払わない」という価格に関する二元コードを用いたコミュニケーションを 再生産しているシステムであるため,企業システムも基本的に「支払う/ 支払わない」という経済的コミュニケーションを不断に再生産しなければ ならない。よって,経済性や効率性,収益性などの経済的な目的よりも倫 理や規範を重視した企業は,社会における経済的な目的,すなわち他者に 対する欲求の充足という目的を達し得ず,消滅することになる。このた め,彼女はザンクト・ガレン学派のモデルにおける二つのステイクホルダ ー・アプローチのうち,戦略的アプローチがモデルに整合的であるとし, 規範的−批判的(倫理的) アプローチを取り下げるべきだとしたのだった。. リュエッグ・シュテュルムのモデルは,ウルリッヒ/クリークのモデルを土 台として,ブライヒャーのステイクホルダー志向のマネジメント概念を取り入.
(26) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −236−. 香川大学経済論叢. 436. れることで,管理論という視点から,「企業と社会」や企業の社会的責任,あ るいはステイクホルダー論を論じたものとして注目すべきものだと考えられ る。しかしシュヴェグラーの批判の通り,彼の議論では企業が市場の論理に 従ってステイクホルダーを考慮すべきなのか,それとも市場の論理よりも倫理 規範を優先してステイクホルダーを考慮すべきなのかという点で不明確な点が あり,彼の議論を応用科学として考えるならば,いざ経営者が自身の行動を決 定する際にどちらを優先すべきかわからないという点で問題があるだろう。 このような問題はまさに,経済的な目的と倫理性を両立させなければならな いという,現代の企業が抱えるきわめて困難な問題を表したものだといえる が,シュヴェグラーの批判は,企業が基本的には経済制度であり,社会におけ る構成員の欲求充足による対価の獲得を目的とした組織であることを明確にし た上でステイクホルダーに関する議論を展開しなければならないことを指摘し た点で,ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに対してのみならず, 近年多くの議論が展開されているステイクホルダー論一般に対しても大きな意 義を持っていると思われる。 しかしながら,シュヴェグラーの批判にも問題がないわけではない。最後に シュヴェグラーのこのような批判に対する若干の疑問を提示したい。 彼女はルーマン社会システム理論というメタ理論的想定から,企業が経済シ ステムという機能的部分システムと関わり合いの深いシステムだと見なしてい た。しかし,企業はあくまで組織システムであり,機能的部分システムではな い。組織もオートポイエティックなシステムだが,経済システムや法システム のような機能的部分システムのように,システム固有の二元コードだけに従っ てコミュニケーションを行っているわけではなく,むしろ組織の「意思決定」 が 「意思決定」を生み出し,再生産しているというシステムである。例えばクニュ プハウゼン(D. z. Knyphausen)が「当然経済のみではなく,現代社会の別の 部分システムもまた,企業の形成にとって意義を持っている」(Knyphausen 1 9 8 8, S.2 5 3)と述べているように,企業の意思決定には,経済的な側面は当 然のこと,ときには法的な側面,倫理的な側面,教育的な側面 etc.が関わっ.
(27) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 437. ザンクト・ガレン学派のマネジメント・モデルに関する一考察. −237−. てくると考えられる。その中で,企業自身のアイデンティティが浮かび上がっ !. てくるのである。 確かにシュヴェグラーのいうように,経済システムの二元コードが企業に とって大きな地位を占めていることは否定できない。しかし場合によっては, 例えば倫理的コミュニケーションの二元コードが優先される場合も理論的にあ り得るだろう。このように理論的レベルでも,必ずしもシュヴェグラーのいう ように企業は経済的な二元コードのみによって動いているわけではなく,まし て現実的に見れば,ジョンソン&ジョンソン社のタイレノール事件に見られる ". ように,(少なくとも短期的な)利潤を度外視した企業行動が散見されるとい うことから見て,シュヴェグラーの想定は完全に適切であるとはいえないので はないかと思われる。これについては,ルーマン社会システム理論における「組 #. 織と社会」に関する議論のさらなる検討が必要だろうと思われる。. 参 考 文 献 Bleicher, K.(1 9 94), Normatives. Management. -Politik, Verfassung. und. Philosophie. des. Unternehmens, Frankfurt am Main / New York. Bleicher, K.(20 01), Das Konzept integriertes Management -Vision, Missionen, Programme, 6. Aufl.(1. Aufl., 1 9 91) , Frankfurt am Main / New York. Davis, K. / Frederick, W. C. / Blomstrom, R. L.(1 9 8 0) , Business and Society, Concepts and Policy Issues, 4th ed., New York / Tokyo. Freeman, R. E.(19 84), Strategic Management : A Stakeholder Approach, Boston. (14) Knyphausen(19 88) , S.2 5 4の図1 1を参照。クニュプハウゼンもリュエッグ・シュテュ ルムと同様に,企業というシステムは構造と構成要素との相互生成関係にあると見てい る。 (15) 19 8 2年に,同社の液状鎮痛剤タイレノールに何者かが青酸を混入し,7人の死者が発 生した事件である。この件に関し,同社は直ちに全米の店舗から3, 10 0万個の同商品を 回収し,また消費者のために無料電話を設置し,無償で別の同社沈痛錠剤を提供する措 置をとるなど,多大なコストをかけて消費者を保護する施策をとった。このような迅速 な措置によって,同社は結果としてシェアを回復した。事件の概要については例えば吉 森(2 0 07) ,20 3−2 0 4ページを参照。 (16) ルーマンの組織に関する議論としては Luhmann(20 06)があり,その第1 3章が「組 織と社会」となっている。.
(28) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ −238−. 香川大学経済論叢. 438. Homann, K.(20 04) , Gesellschaftliche Verantwortung der Unternehmen, Philosophische, gesellschafttheoretische und ökonomische Überlegungen, in ; Schneider, U / Steiner, P.(Hrsg.) , Betriebswirtschaftslehre. und. gesellschaftliche. Verantwortung, Mit. Corporate. Social. 6. Responsibility zu mehr Engagement, Wiesbaden, S.1−1 加賀田和弘(2 0 0 6),「企業の社会的責任(CSR)−その歴史的展開と今日的課題−」KGPS review : Kwansei Gakuin policy studies review, No.7, 4 3−65ページ。 Knyphausen, D. z.(19 8 8), Unternehmungen als evolutionsfähige Systeme − Überlegungen zu einem evolutionären Konzept für die Organisationstheorie, München. 小林俊治/百田義治(2 0 0 4) , 『社会から信頼される企業−企業倫理の確立に向けて』中央経 済社。 小林俊治/齊藤毅憲(2 0 0 8) , 『CSR 経営革新−組織の社会的責任・ISO26000への拡大』中 央経済社。 Luhmann, N.(19 84), Soziale Systeme − Grundriß einer allgemeinen Theorie, Frankfurt am Main. (佐藤勉監訳『社会システム理論(上) / (下) 』恒星社厚生閣,1993年/1995年。) Luhmann, N.(19 8 8a), Die Wirtschaft der Gesellschaft, Frankfurt am Main.(春日淳一訳『社会 の経済』文眞堂,1 9 9 1年。 ) Luhmann, N.(1 9 8 8b), Organisation, in ; Küpper, W. / Ortmann, G.( Hrsg.), Rationalität, Macht 8 5. und Spiele in Organisation, Opladen, S.1 6 5−1 Luhmann, N.(20 06) , Organisation und Entscheidung, 2. Aufl.(1. Aufl., 200 0) , Wiesbaden. Malik, F.(19 79), Die Managementlehre im Lichte der modernen Evolutionstheorie, in : Die 1 6. Unternehmung, 3 3. Jg., S.3 0 3−3 Malik, F. / Probst, G.(19 8 1) , Evolutionäres Management, in : Die Unternehmung, 35. Jg., S.121 −1 4 0. 大平浩二編著(2 0 09),『ステイクホルダーの経営学 ―― 開かれた社会の到来』中央経済社。 Post, J. E. / Lawrence, A. T. / Weber, J.(1 9 9 9) , Business and Society − Corporate Strategy, Public Policy, Ethics, Boston. Probst, G. J. B.(19 8 7), Selbst-Organisation, Ordnungsprozesse. in. sozialen. Systemen. aus. ganzheitlicher Sicht, Berlin / Hamburg. Rüegg-Stürm, J.(2 0 0 3a), Das. neue. St. Galler. Management-Modell, -Grundkategorien. einer. integrierten Managementlehre, 2., durchgesehene Auflage(1., Aufl.200 2) , Bern / Stuttgart / Wien. Rüegg-Stürm, J.(20 0 3b), Organisation Erkundung aus konstruktivistischer. und. organisationaler. Sicht, 2., durchgesehene. Wandel. Eine. theoretische. Auflage (1., Aufl.200 1),. Wiesbaden. Schwegler, R.(20 08), Moralisches Handeln von Unternehmen. Eine Weiterentwicklung des neuen St. Galler Management-Modells und der Ökonomischen Ethik, Wiesbaden. Seidel, E.(19 99), Knut Bleicher zum7 0.. Geburtstag, in : ZfbF., 51. Jg., Heft4., S.377−378..
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