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Academic year: 2021

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長崎大学工学部研究報告第14号 昭 和 田 年l

情報とシステムの組織化に関する基礎的考察

清 木 泰 弐 *

Fundamental Consideration on Organizing Information and System  by 

Yasukazu SEIKI 

(Department of Electrical Engineering) 

Basic  properties  are  discussed  on the  dynamical  relationship  between the  whole and the part of  organization. 

The hierarchical structure of organization is  the most characteristic property • which is  ref1ected into various functions of organization. 

The dynamics between information and system, D‑(1, S), is  discussed  for  the purpose of representing and realizing the  organization.  The beha vior  of  D‑(I.  S) consists  of  the  mutual definition  of  information  and system, and  hierarchical dynamics.  These functions can be realized  by systen simulation,  compi1ation and communication on parallel processing systems. 

1.  まえがき

学問や技術が大きく進歩した背景には,個々の研究 領域における知識や方法の集積のみならず,それらを 総合した概念や方法論の確立がある。そして個々の科 学的研究の成果は各々独自の表現形式と国有の方法論 をもち,いわばたがいに閉じた体系を形成してきた。

しかし,コンピュータの出現はたがいに関連をもつい くつかの学聞が境界領域を生み出すという現象をもた らし,コンピュータ利用という行為を通して情報とシ ステムという新らしい概念が生まれるにいたった。乙 れらは個々の学問を総合的立場から考察する乙とによ り形成されたもので,いずれもきわめて多様性に富ん だ概念である。そのことが,それらの明確な定義づけ を困難なものにしている。

情報とシステムが総合科学における問題の定式化と 方法を与えるためには,目的を有する活動体の総称と して定義される 組織"という概念が必要である。組 織はとれもまた多様性を含む概念であり,その用語に 昭和54927日受理

*電気工学科

関しては,社会科学,生物,情報科学等の様々な分野 でそれぞれ異なる使われ方をしており統一性を欠く。

組織はその構造および機能に関してシステムとは異 なる形式と内容をもっているが,それは目的達成のた めの行動様式(組織化〉を有しているからである。

本稿では組織および組織化に関する一般的考察を行 ない,情報処理という入閣の思考と行動を反映した形 式を, 問題解決"という目的のために行動する組織 系の中で把え,さらにそのことを表現しかっ実現する ための形式として, 情報とシステムのダイナミクス"

(D‑(IS))を考えた。乙のD‑(IS)の中に問題解決 という組織化の構造と機能を反映させシミュレートす る乙とにより,アルゴリズム形成のプロセスを理解す るための手がかりを求めた。

D‑(IS)の中で表現され実現される様々な形式の 問題解決の総称として情報組織系 (10S)を考え,

説明と応用を与える方法体系として確立する乙とを試 みた。

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2.組織理論

 組織および組織化に関する研究はこれまで多様な形 で行なわれてきた,社会科学における管理組織に関す る研究はその代表的なものである。情報科学において は,組織の概念はサイバネティクスや一般システム論 などの分野で扱われているが,理論としてまだ確立さ れていないように思われる6Mesarovicの 階層

システム論 1)は組織の構造的特徴である階層性を詳 しく論じた唯一の研究である。情報やシステムも多様 な事象や関係の総合によって生まれた概念であるが,

それらの構造や機能の有機的な結合によって生まれた 組織 という概念はさらに多様な行動様式を含むも のである。

 情報処理の分野において我々が直面している大規模 系や複合系および人工知能に関する問題はすべて組織 および組織化の問題として論ずることができる。情報 処理という形式の中には,実は人間の思考と行為にも とずく組織化がすでに反映しているのであるが,この 組織化という高度の情報処理能力をいかにして表現し かつ実現するかということが本稿のデーマである。そ のために,人間の思考はもとより,言語,生体系,そ の他現存する様々な組織の中からその機能と構造をモ デル化し,さらにシミュレートすることを通して組織 の解明を試みてみよう。

2.1 組織における全体と部分

 我々がある対象を考察しようとする場合,それを同 一形式の構造と機能をもついくつかの部分に分けてそ の各々について調べ,最後にそれらの結果を総合する という方法をとるだろう。しかしこのような方法が意 味をもつのは,分割された部分がそれぞれ有意なもの である場合,すなわち,それらの部分が有意分割によ って与えられたものである場合に限られる。通常我 々は経験的にこの有意分割を行なっているが,それ が可能であるのは我々が経験的に対象全体の構造と機 能を知っているからに他ならない。すなわち,有意分 割という行為の中に全体に関する認識がすでに反映し ているのである。我々が静的と考えている対象の多く も,その中に認識と行為が動的にかかわりあってい る。その意味で,対象とそれを扱う方法とは動的関係 にあるといってよい。

 このような事情を考慮しながら組織における全体と 部分の関係をその構造と機能に関して考察してみる。

まず,組織および組織化を次のように定義しておく。

組織とはその各要素が有機的に結合しており,全体 としてある目的を達成するために機能している活動体 である。また組織化とは,組織を構成するための多様

な方法や手段の総体である 。ここで,有機的とは,

結合の形式や内容を,多様性とともに可変的もしくは 動的なものとして形容することを意味している。

 このように動的な対象である組織の性質をその部分 について調べるとき,この部分は単なる構造的部分で はなく,組織全体の中で機能している機能的部分でも あるということに注意しなければならない。ここで組 織における(行動,目的)という運動形式を全体概念 とおきかえるとき,全体の中で部分をとらえるという ことは,全体の行動の中で部分の動きをとらえるとい うことを意味する。前述した有意分割の場合には人間 の認識がその行為に反映したのであったが,組織の場 合にはそのダイナミズムが直接方法に反映したといえ よう。したがって,組織における部分の性質を調べる ためには組織全体の動きを何んらかの形式で再現し(

シミュレートし),その運動の中で部分の動きを調べ ることが必要である。

 この全体と部分の関係にもとずいて組織の構成を考 えてみる。ある目的をもつ組織を構成するために,そ の目的の構造化と機能化を行なう。(目的の構造化と 機能化とは目的に対する認識と行動を構造形式と機能 形式で表現しかっ実現することである。)その結果,

いくつかの機能の組み合わぜと順序に関する構造(機 能的構造)およびそれを実現するためのシステム群の 結合構造(構成的構造)を決定することが組織の目的 となる。このような条件設定のもとで組織づくりを行 なうため,システムとしての部分組織およびその環境 を考える。このときシステムとはその機能が確定して いるものとする。このシステムは環境の中におかれる と(制約,可能性)という2重の条件づけを受け・る。

その結果システムは不確定なものとなるが,システム と環境との間に情報伝達を行なわせることにより,シ ステムは目的の機能的構造と構成的構造にしたがいつ つ環境との境界条件の中の可能性を次第に制約化して いく。結局,組織化とは環境と部分組織とのダイナミ クス(動的関係)として表現され,部分組織の機能が 環境の中の機能と結合して目的の申に組み込まれてい くという形でその動きが説明される。これを実現する には,部分組織と環境とのダイナミクスを境界条件お よび目的の機能形式構造形式のもとにシミュレートす ることが必要である。部分組織と環境の中に含まれる 機能同志の結合条件は,境界条件および目的の機能形 式構造形式によって与えられるが,そのための情報伝 達は次に述べる組織の階層性を反映するとき,いっそ

う重要な役割を受持つことになる。

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2.2 組織の階層構造

 組織化は組織の構造的特徴である階層性にもとずい て,より効果的に行なわれる。たとえば,目的が階層 的に表現されれば,各レベルでの部分目的を段階的に 達成するという形式で組織化が行なわれる。階層性の 構造的意味はシステム間の機能的能力や形式の違いな どを考慮して,全体としての機能を高めるということ にあり,一方,機能的意味は機能の組合せと順序を各 々の機能に関する結合条件のもとで構造化するという ことにある。

 階層性を全体と部分の関係において考えてみると き,各レベルにおける分割は有意分割となっており,

また階層構造全体は形式や内容の異なるいくつかの部 分(レベル)により構成されていることが理解でき

る。

 それでは階層のレベル間の移動はどのような意味を もつものとして理解されるであろうか。それはあるレ ベルの言語(もしくは機能)を他のレベルの言語(も しくは機能)に翻訳するということで説明できる。階 層の各レベルにある機能は必然的にそのレベルの形式 で表現されかつ実行されねばならない。このような機 能の組合せとして形成される高次のレベルの機能は,

もはやもとのレベルの形式で表現することはできな い。このようにして,与えられた機能構造および構成 的構造の階層レベルを上へ移動するとき,最上位に目 的という概念があることが理解できる。このレベル間 の翻訳という機能が情報伝達に反映されることは当然 である。

 最後に,組織化された組織(すでに組織化を完了し た組織)について考えてみよう。これは目的を達成し たことによりもはや組織化の運動を停止するのであろ うか,組織は目的をもつ活動体であると述べた,しか し活動を停止した組織はどのようなものと考えればよ いであろうか。ここでさらに高次の組織を考えれば,

組織化された組織は達成された目的を今度は高次の組 織の手段として有するシステムとなり,そして高次の 組織の目的の中に組み込まれていくことになる。この ようにして組織という概念の中には必然的に階層性が 含まれることになる。我々がどのレベルまでの組織化 を考えるかは,目的およびその実現のための環境条件

(制約,可能性)によってきまる。

3.言語組織系

 情報処理という人間の思考を反映したものを研究す る立場から組織化の形式と内容を調べるには,思考の 中の組織化の機能を意識的に方法として形式化する必 要がある。人間の思考によってもたらされた多くの組

織系の中で,思考の構造と機能を最もよく反映してい るものは他ならぬ言語であり,言語は思考の組織化に よってもたらされた一種の言語組織系である。人工知 能の実現のために言語的アプローチが重要であるの は,言語使用という人間の行為の中に情報処理のため の基本的機能,情報伝達,認識,理解等が含まれてい るからである。これらの言語的機能の根本的なものは 概念 の形成であるが,これは構造的なものではな く言語組織系の目的を反映した運動形式と考えられ る。言語の構造はこの概念もしくはそれによってもた らされる意味という高次の構造を,一次元情報空間に 射影した非常に特異なものであり,構造的に制約を受 けた分だけ機能的な役割が大きくなり,これが単語の 多義性という形であらわれたものと考えられる。

 言語組織系の目的は意味の形成にあり,単語や句,

文章などによる階層的組織化を行なっている。このよ うに言語組織系もまた組織と同様,階層構造を形成す る。言語における階層のレベル間の移動は翻訳もしく は解釈によって行なわれ,意味はその翻訳階層構造の 最上位に位置するものであると考えてよい。このこと から,意味という概念は先に述べた組織における階層 化された目的概念と類似したものであるといえる。目 的が階層化されることによりその実現が具体的になる のと同様,意味の階層構造が明らかになるにしたがっ て文の構造が具体的になるのである。

4.問題解決

 問題をいかにして解くかということの前に,どのよ うな問題を形成すればよいのかということを考えなけ ればならない。我々は暫定的に与えられた問題をその 環境条件(制約,可能性)のもとで整理し,目的を明 確にしていわば問題を再構成することから問題解法を はじめる。したがって,問題解法とは環境と問題とを 含めたものを組織とみなし,問題の中に含まれる未知 のものおよび不確定なものを,環境とのダイナミクス を通じて次第に既知のものおよび確定したものにおき かえていくことであると考えることができる。もっと 一般的な言い方をするならば,問題解決とは問題に含 まれる不確定性を,組織化というダイナミクスの中に 解消することであると言えよう。このように問題解決 を組織化の具体的な形式の一つであると考えるとき,

解法のみならず問題形成のプロセスや方法をよく理解 できる。そして問題解決における環境と問題とのダイ ナミクスをその境界条件(制約,可能性)の変化とと もに,機能(もしくはシステム)の結合に関する組み 合わせと順序構造として示すことにより,我々はいわ ゆるアルゴリズムを得ることができる。

(4)

 次に問題の階層化を考えてみる。一般に問題は様々 な形式と内容をもついくつかの部分問題により構成さ れている。これらをたがいに関連性を保ちながらそれ ぞれの形式で扱うためには,階層化が必要である。そ して各レベルにおける問題解決のダイナミクスは境界 条件とともに翻訳されて,他のレベルの問題解決のダ イナミクスと結合していく,このような階層的ダイナ ミクスにより,異なる形式の問題同志がレベル(形式)

間の翻訳によって結合のための条件を獲得し,新らし い問題を形成するようになる。そのことは(制約,可 能性)の条件の中に反映され,問題解決の階層的構造 をより具体的なものにする。結局,各レベルの部分問 題は(制約,可能性)条件のもとで,解法可能な形式 に翻訳されていく。それゆえ,問題を表現するときど のような形式を採用すればよいかはその解法にかかわ る重要なテーマであり,形式(レベル)間の翻訳によ り問題の 意味 も明らかになるように階層化を行な うことが大切である。そのことにより,問題解決の目 的も明らかにされるであろう。

5.情報とシステムのダイナミクス

 組織化としての問題解決を前節で考察したが,これ を情報処理として表現しかつ実現するための形式とし て,情報とシステムのダイナミクス(D一(1,S)と表 わす)を考える。D一(1,S)の中では機能をシミュレ ートしたり情報の伝達が行なわれたりするが,D一

(1,S)における情報とシステムはどのようなものでな ければならないかを以下に考察する。D一(1,S)にお けるシステムとして広い意味でのシミュレータとして のコンピュータを考えることにする6このときシステ ムは,その入力情報の形式や内容に恋じてその機能を 決定する。またシステムは出力としてある形式,内容 をもつ情報を出すが,これは他のシステムの入力とな ってその機能を決定する,というように情報やシステ ムの相互の結合によって機能の組み合わせ(これもあ る種のシステムである)が形成される。したがって,

このような情報とシステムの関係はたがいに相手を規 定するものであると考えられるから,我々はこれを情 報とシステムの相互規定とよぶことにする。

 この相互規定に加えて,組織における階層性をD一

(1,S)の中にどのように表現しかつ実現するかを考え てみよう。D一(1,S)で異なる形式の情報を同時に扱

うことが可能であれば,我々は機能的階層構造をレベ ルごとに異なる情報により決定される機能(システ ム)の結合として与えることができる。階層構造にお けるレベル間の移動は翻訳を通して行なわれることは 前に述べたが,D一(1,S)におけるシステムはコンピ

ュータを意味するので情報の翻訳はコンパイラの導入、

により可能となる。コンピュータは翻訳可能な情報に 対してはじめて機能するから,情報の形式に応じた階 層が形成されることは明らかである。

 したがって,D一(1,S)における情報伝達は,シス テム結合のための機能の他に翻訳という機能も必要と されるようになる。このような多様な機能を含むD一

(1,S)を実現するには,コンピュータ・ネットワーク もしくはコンピュータ複合体という形でシステム群を 考えるのが最も現実的であろう。

 このようなシステム群の並列動作を考えることは,

D一(1,S)の表現と実現のために重要なテーマであ る。システムの並列動作をモデル化する方法として最:

もよく用いられているのはPetri Net 2)である。

Petri Netは事象(event)と条件(condltion)の 相互結合によって形成されるグラフであり,その構 造はシステムの静的な動作表現を与えてくれるが,こ れにマーキングという情報の流れを規定する操作を加 えることによりシステムの動的な挙動をも表わすこと ができる。 Petri Netにおける事象と条件は各々さ らに詳しい事象と条件の結合グラフとして表わすこと もでき,また,事象と条件に代わる他の概念におきか えるときシステムの動きを別の形式と内容に関して表 現することもできる。このように階層性と情報の動き に対する表現能力をもつPetri Netは, D一(1,S)に おける組織化の表現にも適用される可能性は大いにあ るが,そのモデル化の能力を高めるには種々の機能の 付加や拡張が必要であろう。

 結局,D一(LS)の中にシミュレーション,情報伝 達および翻訳が表現されかっ実現されれば,組織化の 行動様式が具体的に明らかにされると思われる。そし てそれを(拡張された)Petrl Netで表現すれば,問 題解決におけるアルゴリズムの形成も具体的な形式で 示されるであろう。

6.情報組織系の形成

 情報処理のあらゆる問題をD一(1,S)における組 織化として扱うとき,我々はD一(1,S)における組織 の形成を考えていることになる。この組織を情報組織 系(10S)とよぶことにする。10Sは組織化にお

けるダイナミズムを反映した情報処理における問題解 決のための方法体系であるともいえる。

 個々の問題とどのようにかかわりあうか,以下にそ の主要なものについて述べてみる。

(A)大規模情報処理

最近の情報処理の最も特徴的な傾向は,処理される

(5)

清木泰弍

データおよび処理するコンピュータ・システムともに 大規模化しつつあるということである。このような問 題を処理するための現実的な手段として,データは分 割され,またシステムも分割されて(並列化されて)

一つのシステムにかかる負担を小さくすることが行な われている。しかしここで注意しなければならないの はゴ組織としてみたデータを分割するとき,全体と部 分の動的関係を考慮しなければならないということ と,システムの分割にともなう機能の分割が,システム を通すことによって全体としての機能を変えてしまう ことのないように,システム間の結合のための情報伝 達を工夫しなければならないということである。デー タの階層化が可能であればそれにともなってシステム の階層化も可能になるが,大量なデータは全体の 味 がっかみにくいだけに,その階層化には対象によ って様々な制約がともなう。特に,個々の要素が大量 に結合されるとき,大量現象(確率的現象)という特 異な現象があらわれるように,大規模系には固有のダ イナミズムが存在する。それをシミュレートすること を通して,全体と部分の関係を分割の中に反映させる

ことが必要であろう。

(B)パタン認識と学習

 パタンは全体として意味をもつ。その全体像をパタ ンの部分情報からいかにして再現するかということ が,パタン認識の重要なテーマである。パタン認識は 人間の認識能力とかかわる行為であり,その能力をシ ミュレートすることが結局パタン認識の実現につなが る。認識の中にある組織化の機能は,パタンにおける 全体と部分の関係を階層的なものに再構成し,各レベ ルにおける部分に固有の 意味 を与えている。そし てその有意な部分の結合として全体の意味,すなわち パタンそのもの,をとらえているのである。そしてパ タンの構造的特徴そのものは,それと類似した多くの パタンに対する経験が認識の中に反映し,動的な形式 によってイメージ化されているのだが,意味的特徴が 不変なものとしてその中に組み込まれているのであ

る。

 このようなパタン認識のプロセスをシミュレートし ながら,パタンにおける全体と部分の関係を調べなけ ればならない。

 学習はパタン認識と同様,与えられた情報にもとず いて 概念 の階層構造を形成していくことである。

すなわち,あるレベルの情報を結合して高次のレベル の 概念 を形成し,その概念を結合してさらに高次 の 意味 を形成していく。このように,情報の結合

による概念の階層構造を下位レベルから上位レベルへ と移動することが,学習能力の向上をあらわしている のである。

(C)複合系

 最近マイクロプロセッサを計測器や制御機器に組み 込むなど,情報処理系と他のシステムとの結合による 複合系の形成が試みられている。

 制御系とコンピュータとの複合系を例にとってその 設計を組織理論の中で考えてみよう。制御系は明らか に固有の環境をもつ,その環境とコンピュータを含め たものをあらためて環境とみなせば, (制約,可能 性)という境界条件が得られる。制御の目的をこの条 件の中に反映させることにより,制御系のコンピュー タの機能は環境の動的変化に対しても一定の形式をと るようになる。また制御系の機能を階層化し,どの部 分をコンピュータで処理するかを決:引することも重要 である。

(D)コンピュータ・ネットワーク

 10Sの現実的な背景として今後最も重要なものと なるであろう。システムの並列動作に関する研究を主 体に,TSSのネットワーク化,データベース,オペ レーティングシステムなど,その実現のための総合的 アプローチが要求される。

7.あとがき

 たがいに異なる形式と内容をもつ学問を結びつける 方法は総合的手法であるが,組織理論の立場から見る ならば,それは組織化としてとらえることができる。

多様な領域における分析と総合のくり返しが様々な学 問体系を生み出してきたのであるが,その原動力とな ったものは組織化という目的を有する行動様式であ る。人間の思考や行動に含まれているそのような組織 化の能力が情報処理の中に反映されるならば,我々は 多くの困難な問題に対する本質的な解を得るであろ

う。本稿はそのための1つの試みである。

 組織化の実現にはまだ多くの難問があるが,組織の 中で問題解決を考えるとき,解かねばならない問題を 明らかにすることができるという意味で,組織化のテ ーマを考えることは有意義であると思われる。

        参 考 文 献

1)Mesarovic,「階層システム論」 (共立)

2) J.L. Peterson,「ペトリ・ネット」

  bit(ビット)Vo1.10.:NO.16 (共立)

参照

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