英語学習の意欲を高める方法
─授業での協働学習は効果的か─
静 千 紘
1.はじめに
2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、外国人旅行者の増加が 見込まれる。また、コミュニケーション手段の一つとしての英語の需要も高まり、英語 教育への期待も高まっている。インターネットを通して英語を学ぶこともでき、多くの 家庭でも英語を学べる環境を作ることができる時代になってきた。さらに、2020 年度 から小学校での英語の教科化も始まり、早期英語教育を子どもに受けさせる親も今後は さらに増えていくだろう。
しかし、英語学習の必要性や子どもの英語習得に対する親の期待が高まろうとも、学 習者自身の英語学習への意欲が高まらないことには、学習効果は期待できない。英語学 習者の中には、英語学習への必要性を感じ目標をもって励む者がいる一方で、必要性を 感じられず学校での英語教育が終わると英語学習の継続を止めてしまう者もいる。ま た、文部科学省(2018)が改訂した新しい学習指導要領では、「『主体的・対話的で深い 学び』の実現に向けた授業改革の推進」(p.5)について書かれており、今後より多くの 学校で授業改革が行われることが予想されている。授業は主体的・対話的なもの、協働 学習へ変わっていき、学校中心の生活から自分で生活を決定していく大学生に成長して いく中で、英語学習への動機も変わっていくのだろうか。
では、学習者の英語学習への動機づけとはどのようなものだろうか。また、協働学習 は学習者の意欲にどう働きかけ、学習者にとって有益なものとなるのだろうか。さら に、大学生と高校生では授業形式や生活環境が大きく異なるが、英語学習への意欲に違 いはあるのだろうか。本論文では、大学生と高校生の英語学習への意欲を高めるため に、学習者の授業への意欲、授業に協働学習を取り入れるべきかについて分析し、提案
東京女子大学言語文化研究 (Studies in Language and Culture) 28 (2019) pp.30-56
をしていきたい。具体的には、英語学習への動機づけ、英語学習への意欲、協働学習が もたらす授業への意欲の3点に関して、大学生と高校生の間に違いが見られるかという 研究課題を立て、アンケート調査を行った。
以下、第 2 節で先行研究を概観、第 3 節で研究課題を設定、第 4 節で調査と分析方 法、第 5 節で調査結果を示し、第 6 節で考察を展開して、第 7 節でまとめる。
2.先行研究
2.1 学習動機・動機づけ
まず、英語学習者の学習動機の認識を深めるために、これまで行われた学習動機に ついての研究を見ていく。はじめに、英語学習者の英語学習の動機について、神谷
(2014)は、短期大学部の英語科で学ぶ学生の英語学習の動機は、日々の授業、外部試 験のスコアアップ、卒業後の進路、ボランティア活動等の4つのタイプがあり、いずれ も道具的動機に分類できるとしている。また、内発的動機と外発的動機にも言及してお り、多くの短期大学生は外発的動機を有しているとも述べている。しかし、この研究は 短期大学生にのみアンケートを行ったものであり、大学生にも同じことが言えるのかは 調査の必要がある。
また、林(2011)は、高校 3 年生に対して動機づけについて、質問紙調査を行った。
分析の結果、入試が与える緊張感は高校生に対して学習動機につながり、学習意欲にも 影響を与えることがわかった。また、外発的動機づけが刺激されると内発的動機づけも 刺激を受けることや、入試は学習者の外発的動機づけに作用することも報告している。
入試と聞くと、「いやだ」、「つらい」などの後ろ向きの言葉が聞こえてきそうだが、む しろ学習者の動機づけに前向きに作用することは興味深い。しかし、この研究でも、調 査対象が高校 3 年生に限定されており、他学年への言及はなかった。
さらに、神谷(2014)と林(2011)の研究では、対象者の英語レベルや学習経験につ いて触れられておらず、多様な学習者がいるなかで、「英語学習者は外発的動機づけが 強い」と一般化できるのかという疑問も残った。
2.2 英語学習への意欲
英語学習において、学習者は外発的動機づけが高いことがわかったが、英語学習への 意欲は高いのであろうか。児島・齋藤(2016)は大学生に受講する外国語科目の授業 への意欲についてのアンケート調査を行った。授業が始まる4月は英語の授業に対し
て「やる気があった」、履修が終わる1月も「やる気がある」と回答した学生が最も多 かった。しかし、1月のアンケートでは、4月と比べると「やる気がない」と答えた学 生の数が増えた。1月も学習意欲が保たれた理由に雰囲気の良さを挙げた回答者が最も 多く、学科によっては「話せるようになりたい」、「将来役に立つと思う」、「レベルが適 切」等の理由も出てきたと述べている。しかし、この研究では授業外の英語学習への意 欲については述べられていなかったため、授業外の英語学習への意欲も維持された学生 が多かったのかは不明である。
また、中学生・高校生の学習意欲と早期英語学習経験の関係について、池中(2008)
は「中学、高校でのアンケートからは、学年がすすむにつれ、現在の英語学習への興味 が薄れていることがうかがえた。」(p.92)と述べている。つまり、早くから英語学習に 取り組んでいた人でも、現在の英語学習への意欲が高い人が多いわけではないと考えら れる。さらに、鈴木(2014)は、「消耗型競争観を強く持つ高校生ほど外的な学習動機 や受験不安が高い一方で、成長型競争観を強く持つ高校生ほど学習の価値を内在化し、
受験を乗り越えるためだけの学習を取らない傾向にあることが示された」(p.234)と述 べている。つまり、受験が自分に悪影響をもたらすと考えている学習者と良い影響を及 ぼすと考えている学習者とでは、その後の学習意欲が異なるということだ。
児島・齋藤(2016)では、外国語科目の授業への意欲の高さを保つことができた人と 意欲が低くなってしまった人がいることがわかった。また、池中(2008)の研究では、
早期英語教育はその後の英語学習への動機づけにならない可能性があること、そして、
鈴木(2014)の研究より、受験という競争に肯定的な態度をとる高校生は、その後の学 習への意欲も保持されやすいことがわかった。しかし、池中(2008)と鈴木(2014)の 研究では、高校生の英語学習への意欲について述べられていたが、回答者が受けている 英語の授業への意欲については述べられておらず、研究の必要があると感じた。
2.3 協働学習
英語の授業への意欲が高く、意欲の高さを継続できている学生が多いと児島・齋藤
(2016)の論文では述べられていたが、学習意欲の低い学習者を動機づける方法はない のであろうか。また、平成 30 年改訂の学習指導要領では、学習者が主体的に学べる授 業が推奨されているが、授業によって学習者の英語学習への動機づけはどのように変わ るのだろうか。以下の論文は、予習前提の授業があまりない大学生に予習を課し、高校 生には予習を課さず、学校行事に絡ませた協働学習についての研究結果である。
津田(2017)は、英語に対して苦手意識があり、あまり得意としていない学習者の動 機づけを高めうる手段の一つとして協働学習を挙げている。協働学習と動機づけ・学習 行動の関係を調査するため、国文科と英文科の学生の授業に予習前提の協働学習を取り 入れ、授業後にフィードバックシートを配布し、学期の最後に質問紙調査を行った。協 働学習における活動は多岐にわたり、どの活動でも発表前にはグループでの話し合いや 答えの共有などを行い、発表への負担を減らしていた。その結果、国文科で英語が好き な学生は多くはないにもかかわらず、協働学習に良い印象を抱き自分自身の英語力の向 上を実感した学生が多かったことが特徴として挙げられている。一方で、英語科の学生 については、協働学習に対しての意見は様々であった。しかし、協働学習に良い印象を 抱いている学生は、自分の英語力の向上を実感しているようである。また、協働学習は 英語学習への動機づけになりうるが、その効果は英語のレベルによって異なり、英語の レベルが高い学習者の方が協働学習への動機づけが期待できるとも述べている。
協働学習が学習者の動機づけに影響を及ぼす可能性があることは津田(2017)より明 らかになったが、効果的な協働学習には何が必要なのだろうか。秋山・吉村(2017)で は、高校 2 年生が修学旅行先の沖縄について理解を深めるために、協働学習を取り入れ た。生徒はすでに社会科の時間に沖縄について学習しており、英語の時間にも修学旅行 の事前および事後学習を取り入れ、教科横断型の授業でさらに理解を深めることも狙い としていた。協働学習を行うことで、生徒は個々の特質を活かしてグループに貢献し、
生徒の動機づけを行えたと述べている。さらに、協働学習の動機づけの効果を高めるた め、授業者は学習者の学習への動機を理解し、レベルに合わせたテキストを用い、教科 横断型授業を取り入れること、また、事後学習ではクラスメイトと協力してできる学習 を取り入れ、最後に学習を振り返る時間を与えることが重要であるとしている。
これらの研究により、学習者は外発的動機づけを強く意識すること、授業への学習意 欲が維持されている大学生が多いこと、協働学習は動機づけをもたらす可能性があるこ とが明らかになったが、大学生と高校生を比較した論文は少なく、明らかになっていな い点もある。
3. 研究課題
以上の先行研究を踏まえ、大学生と高校生では学習環境や生活環境に違いが出やすい ので研究対象にすべきだと考え、研究課題を以下のように設定した。
研究課題 1:大学生と高校生では、英語学習への動機づけに違いは見られるか 研究課題 2:大学生と高校生では、英語学習への意欲に違いは見られるか
研究課題 3: 大学生と高校生では、協働学習がもたらす授業への意欲に違いは見られるか この研究課題に答える知見を目指して、以下の調査を行った。
4. 調 査 4.1 調査方法
本調査では、より多くのデータを集めて、分析するために、アンケート調査を実施し た。調査対象者は女子大学の 2 年生と私立高校の 2 年生で、大学生 45 名、高校生 62 名 からアンケートを回収した。無回答が著しく多かった回答者の回答は全て無効とした結 果、有効回答者は大学生 41 名、高校生 57 名の計 98 名となった。大学生、高校生とも 2018 年 7 月にアンケートを実施、回収した。大学生に関しては、授業担当の先生に許 可を得て、筆者がアンケートの説明、配布、実施、回収を行った。また高校生へのアン ケート実施については、学校側からの許可を得ることができたため、担任の先生方にア ンケートの説明、配布、実施、回収をしていただいた。アンケートの質問数は 115 問、
回答目安時間は 20 分、選択肢式回答と記述式回答を設けた。
4.2 アンケートの設問
次に、アンケートの質問の詳細を示す。Q1 から Q50 の分析では、「A そう思う= 4」
「B どちらかといえばそう思う= 3」「C どちらかといえばそう思わない= 2」「D そう思 わない= 1」と配点し、平均値と標準偏差を算出した。Q1 から Q10 では「英語学習の 目的」に関する質問を「資格・成績・試験」「海外での目的」「文化的な目的」「目的は ない」の 4 つに分類した。「資格・成績・試験」は「Q1. 定期試験や受験のため」「Q2.
学校での成績をとるため」「Q3. 資格(英検、GTEC、TOEIC、TOEFL 等のため)」、「海 外での目的」は「Q4. 将来海外旅行をするため」「Q5. 将来海外で仕事をするため」「Q6.
将来海外で生活をするため」、「文化的な目的」に関しては「Q7. 洋画・海外ドラマを字 幕なしで鑑賞するため」「Q8. 洋楽を聞き取れるようになるため」「Q9. 外国人の友人を つくるため」とし、「目的はない」に関しては「Q10. 特に目的はない」のみである。
Q11 から Q20 では「英語学習への意欲が高まる時」に関する質問を「英語学習に 自信を感じられる時」「他者からの評価・承認を得られた時」「危機や優越感を感じた
時」「意欲が高まる時はない」の 4 つに分類した。「英語学習に自信を感じられる時」は
「Q11. 試験で結果を出せる時」「Q13. 英語の勉強が楽しいと感じる時」「Q14. 目標を達 成できる時」、「他者からの評価・承認を得られた時」は「Q15. 努力を褒められた時」
「Q16. 勉強をサポートしてもらえた時」「Q17. ご褒美がある時」、「危機や優越感を感じ た時」は「Q12. 英語の勉強が必要だと感じた時」「Q18. 試験日が間近に迫っている時」
「Q19. 自分が周りより優秀だと感じる時」で、「意欲が高まる時はない」は「Q20. 意欲 が高まる時はない」のみである。
Q21 から Q30 では「英語学習への意欲が下がる時」に関する質問を「英語学習に自 信を感じられない時」「他者からの評価・承認を得られない時」「危機や優越感を感じ ない時」「意欲が下がる時はない」の 4 つに分類した。「英語学習に自信を感じられな い時」は「Q21. 試験で結果を出せない時」「Q23. 英語の勉強がつまらないと感じる時」
「Q24. 目標を達成できない時」、「他者からの評価・承認を得られない時」は「Q25. 努力 を認めてもらえない時」「Q26. 勉強面でのサポートが受けられない時」「Q27. ご褒美が ない時」、「危機や優越感を感じない時」は「Q22. 英語は必要ないと感じる時」「Q28. 試 験日が近くない時」「Q29. 周りがとても優秀で、自分が優秀でないと感じる時」、「意欲 が下がる時はない」については「Q30. 意欲が下がる時はない」のみである。
Q31 から Q40 の「英語学習への意欲が高まる声掛け」に関する質問は「抽象的な声 掛け」「英語学習に対しての声掛け」「自分の行いへの肯定的な声掛け」「意欲が高まる 声掛けはない」の 4 つに分類した。「抽象的な声掛け」は「Q31. やればできる」「Q32.
英語は将来役に立つ」「Q37. 英語は必要なんだよ」、「英語学習に対しての声掛け」につ いては「Q33. 英語ができると良い大学に入学できる」「Q34. 英語ができると良い会社に 就職できる」「Q35. 英語ができるとかっこいい」「Q36. 英語ができると世界が広がる」、
「自分の行いへの肯定的な声掛け」は「Q38. これ簡単なんだよ(解いてみたら解けた 時)」「Q39. こういう時はこう言えばいいんだよ(実際に英語を使っている場面が想像 できるような声掛け)」、「意欲が高まる声掛けはない」については「Q40. 意欲が高まる 声掛けはない」のみである。
Q41 から Q50 の「英語学習への意欲が下がる声掛け」は「命令的な声掛け」「英語 学習に対しての声掛け」「自分の行いを否定される声掛け」「意欲が下がる声掛けはな い」の 4 つに分類した。「命令的な声掛け」は「Q41. 勉強しなさい」「Q42. 勉強しない といつまでもできないまま」「Q43. いつ勉強するの?」、「英語学習に対しての声掛け」
は「Q44. これ前も教えたよ」「Q46. これ簡単なんだよ」「Q47. 英語できないんだね(解
いてみたら解けなかった時)」、「自分の行いを否定される声掛け」については「Q45. な んで習ったのにできないの」「Q48. その英語間違ってるよ(一生懸命勉強した後で言わ れる時)」「Q49. 単語だけ覚えてもね……」、「意欲が下がる声掛けはない」については
「Q50. 意欲が下がる声掛けはない」のみとした。
Q51 から Q82 は実用英語技能検定の3級、準2級、2級、準1級 Can-do リストか ら大学生や高校生にとってイメージのしやすいものを各技能2個ずつ抜粋したもので、
回答者のおおよその英語のレベルを把握するために作成した。4技能全体でチェックさ れた数を数え、チェック数 0 〜 8 個で 3 級、9 〜 16 個で準 2 級、17 〜 24 個で 2 級、25
〜 32 個で準 1 級レベルとした。
Q83 から Q86 は回答者のこれまでの英語学習について聞いた質問であり、学校の授 業での英語学習が始まった時期(Q83)、学校での英語学習が始まる前に英語学習を始 めていたかどうか(Q84)、いつから始めていたか(Q85)、また始めていた場合どのよ うな英語学習をしていたか(Q86)を質問にした。
Q87 から Q91 は授業外の英語学習についての質問であり、学校の授業での英語学習 が始まった時の授業外の英語学習に対しての意欲(Q87)、その理由(Q88)、現在の授 業外の英語学習に対しての意欲(Q89)、その理由(Q90)、授業外の英語学習で高めた い技能(Q91)に関して聞いた。
Q92 から Q100 は英語の授業に関して聞いたもので、英語の授業に対しての意欲はどの ようなものか(Q92)、またその理由(Q93)、英語の授業のレベルは自分に合っているか
(Q94)、授業で使用している教科書のレベルは自分に合っているか(Q95)、副教材のレ ベルは自分に合っているか(Q96)、授業は答えやすい雰囲気か(Q97)、授業では4技能 のうちどの技能を高めるアクティビティが多いか(Q98)、また具体的にはどのようなア クティビティを行っているのか(Q99)、授業で高めたい技能(Q100)を答えてもらった。
Q101 から Q109 は回答者の英語の先生についての質問であり、授業中の教師の使用 言語(Q101)、学習者の使用言語(Q102)、授業中学習者が教師に使用してほしい言 語(Q103)、英語の授業中の発言の機会(Q104)、発言の成績への加味(Q105)、また 発言に対する教師からの褒めの言葉(Q106)、宿題(課題)の有無(Q107)、宿題の量
(Q108)、どのようなものが多いか(Q109)について聞いた。
Q110 から Q115 は協働学習についての質問で、ペアワーク(2人で活動に取り組むこ と)の実施(Q110)、アクティビティ(Q111)、感想(Q112)、グループワーク(3人以上 で活動に取り組むこと)の実施(Q113)、アクティビティ(Q114)、感想(Q115)を聞いた。
5. 調査結果
今回のアンケート調査で得られた結果を以下に示す。平均値と標準偏差については、
小数点 3 位を四捨五入したものを明記した。また、アンケート結果をまとめた表、およ びアンケート調査用紙は静(2019)を参照されたい。加えて、有効回答者の中から各問 題に回答した回答者のみを分析の対象としたため、各問題の分析対象者数は必ずしも同 数にはなっていない。
5.1 英語学習の目的
まず、英語学習の目的については、表 1 より「資格・成績・試験」の平均値は大学生 が 3.34、高校生が 3.18 であり、「資格・成績・試験」を主要な目的として英語学習して いると言える。特に大学生の標準偏差は 0.77 と小さく、回答にばらつきがあまりない ことから、「資格・成績・試験」を強く意識している人が多いことがわかる。また、「海 外での目的」と「文化的な目的」の平均値に大きな差は見られなかった。加えて、「目 的はない」の平均値は大学生 1.83、高校生は 1.76 と他の項目に比べて小さいことから も、回答者は何らかの目的を持って英語学習に取り組んでいることがわかる。
表1 英語学習の目的
質 問 大学生(41 人) 高校生(57 人)
平均 標準偏差 平均 標準偏差 資格・成績・試験(Q1,Q2,Q3) 3.34 0.77 3.18 0.99 海外での目的(Q4,Q5,Q6) 2.79 1.15 2.73 0.94 文化的な目的(Q7,Q8,Q9) 2.67 1.12 2.69 0.92 目的はない(Q10) 1.83 1.12 1.76 0.98
5.2 英語学習への意欲が高まる時
表2 英語学習への意欲が高まる時
質 問 大学生(41 人) 高校生(57 人)
平均 標準偏差 平均 標準偏差 英語学習に自信を感じられる時(Q11,Q13,Q14) 3.22 0.90 3.47 0.78 他者からの評価・承認を得られた時(Q15,Q16,Q17) 2.89 1.01 3.14 0.93 危機や優越感を感じた時(Q12,Q18,Q19) 2.94 0.97 3.20 0.89 意欲が高まる時はない(Q20) 1.83 1.02 2.02 1.14
英語学習への意欲が高まる時に関して、表 2 より「英語学習に自信を感じられる時」
に英語学習への意欲が高まると感じる回答が多いことがわかる。どの項目に関しても高 校生の方が大学生より平均値が高い。また「意欲が高まる時はない」の平均値は高くな いが、標準偏差が 1.00 を超えていることから、回答にばらつきがあり、英語学習への 意欲が高まるときはないと感じている人もいると言える。さらに、「意欲が高まる時は ない」を除いては、どの項目も高校生の方が標準偏差が小さく、回答にばらつきがより 少なかった。
5.3 英語学習への意欲が下がる時
また、英語学習への意欲が下がる時については、表 3 より「英語学習に自信を感じら れない時」の平均点は大学生の方が高い。しかし、「他者からの評価・承認を得られな い時」と「危機や優越感を感じない時」の大学生と高校生の平均値は同じくらいである が、「意欲が下がる時はない」の平均値に関しては、大学生と高校生の差が 0.24 と、一 番差がある結果となった。また、標準偏差については「英語学習に自信を感じられない 時」の大学生の 0.95 を除いて、どの項目も大学生、高校生に関わらず 1.00 を超えてお り、回答にはばらつきがあった。5.2 の「英語学習への意欲が高まる時」に関してはど の項目も高校生の方が平均値は高かったが、「英語学習への意欲が下がる時」について は、「意欲が下がる時はない」を除いて、平均値に大きな差は見られなかった。
表3 英語学習への意欲が下がる時
質 問 大学生(41 人) 高校生(57 人)
平均 標準偏差 平均 標準偏差 英語学習に自信を感じられない時(Q21,Q23,Q24) 3.10 0.95 3.03 1.03 他者からの評価・承認を得られない時(Q25,26,27) 2.75 1.12 2.77 1.11 危機や優越感を感じない時(Q22,Q28,Q29) 2.61 1.12 2.68 1.05 意欲が下がる時はない(Q30) 1.98 1.01 2.22 1.12
5.4 英語学習への意欲が高まる声掛け
英語学習への意欲が高まる声掛けに関しては、表4のとおり、どの項目についても高 校生の方が平均値は高い。また、「英語学習に対しての声掛け」の平均値が一番高く、
「意欲が高まる声掛けはない」が一番小さいのは、大学生も高校生も同じである。加え て、大学生は標準偏差がどの項目も 1.00 を超えており、また、高校生も「英語学習に 対しての声掛け」の 0.96 を除いてはどの項目も標準偏差が 1.00 を超えているため、声 掛けでの意欲の高まりに関する個人差は大きいと言える。
表4 英語学習への意欲が高まる声掛け
質 問 大学生(41 人) 高校生(57 人)
平均 標準偏差 平均 標準偏差 抽象的な声掛け(Q31,Q32,Q37) 2.67 1.08 3.03 1.06 英語学習に対しての声掛け(Q33,Q34,Q35,Q36) 2.82 1.08 3.19 0.96 自分の行いへの肯定的な声掛け(Q38,Q39) 2.60 1.05 2.81 1.05 意欲が高まる声掛けはない(Q40) 1.95 1.07 1.97 1.10
5.5 英語学習への意欲が下がる声掛け
表5 英語学習への意欲が下がる声掛け
質 問 大学生(41 人) 高校生(57 人)
平均 標準偏差 平均 標準偏差 命令的な声掛け(Q41,Q42,Q43) 3.01 1.05 3.27 0.97 英語学習に対しての声掛け(Q44,Q46,Q47) 3.12 1.08 3.31 0.97 自分の行いを否定される声掛け(Q45,Q48,Q49) 3.14 1.07 3.23 0.96 意欲が下がる声掛けはない(Q50) 1.73 1.07 1.90 1.14
表 5 より、英語学習への意欲が下がる声掛けは、どの項目に関しても高校生の方が平 均値は高い。しかし、大学生はどの項目も標準偏差が 1.00 を超えているため、高校生 よりも回答にばらつきがあったことがわかる。また、「意欲が下がる声掛けはない」に ついては大学生も高校生も平均値が低かったが、標準偏差が 1.00 を超えており、回答 にばらつきがあった。大学生は「自分の行いを否定される声掛け」の平均値が 3.14 と 一番高いが、高校生は「英語学習に対しての声掛け」の平均値が 3.31 と一番高く、大 学生と高校生では違う結果となった。5.4 の「英語学習への意欲が上がる声掛け」も
「英語学習への意欲が下がる声掛け」も高校生の方が大学生よりも平均値が高いことか
ら、高校生の英語学習への意欲は声掛けに左右されやすいと思われる。
5.6 回答者
5.6.1 回答者の英語レベル
回答者の英語レベル(Q51-82)については表6のような結果となった。大学生は 2 級レベルと準1級レベルの学生が多いのに対し、高校生は準 2 級と 3 級レベルの生徒が 多いことがわかる。また、大学生回答者の半数以上は 2 級・準 1 級相当の英語レベルを 取得しているのに対し、高校生回答者の半数以上は 3 級・準 2 級レベル相当の生徒であ ることがわかる。
表6 回答者の英語レベル
回答者 3 級 準 2 級 2 級 準 1 級 大学生 10%( 4) 22%( 9) 36%(15) 32%(13)
高校生 25%(14) 42%(24) 21%(12) 12%( 7)
( )内は人数
5.6.2 学校での英語学習が始まった時期
回答者の学校での英語学習が始まった時期(Q83)は、「小学校 3 〜 4 年生」と答えた 人が、大学生は 32%(13 名)、高校生は 28%(16 名)と一番多い。大学生で次に多かっ たのは「中学校入学時」で 24%(10 名)であるが、高校生は「小学校1〜2年生」の時 に始まった人が 23%(13 名)と 2 番目に多く、違いが見られた。これらのことから、大 学生、高校生ともに「小学校 3 〜 4 年生」以降に学校での英語学習が始まった人が多い が、高校生の方が早い時期から英語学習が始まっていた人の割合が高いことがわかった。
5.6.3 学校の授業での英語学習が始まるよりも前の英語学習
学校の授業での英語学習が始まるよりも前の英語学習(Q84-86)について、学校で の英語学習が始まるよりも前に英語学習を始めていたと答えたのは、大学生は 52%(21 名)であったが高校生は 40%(23 名)であり、高校生の方の割合が低いことがわかっ た。大学生の 55%(11 名)が「小学校入学前」には英語学習を始めていたが、高校生 は 62%(15 名)であり、高校生の方が多い。また、「小学校1〜2年生」に英語学習を 始めた大学生は 30%(6 名)と高校生の 17%(4 名)より多く、大学生も高校生も「小
学校1〜2年生」までに英語学習を始めた人の割合が高いことがわかった。
学校の英語の授業が始まる前の英語学習では、大学生 40 名、高校生 57 名から回答を 得た。大学生は 75%(30 名)、高校生は 62%(35 名)と回答者の半数以上が「英会話 に通っていた」と答え、英会話教室に通っていた人の割合が高いことがわかった。また
「インターナショナルスクールに通っていた」「親や親戚に教わった」「塾や公文に通っ ていた」と答えた回答者もいた。他にも、「海外に住んでいた」「保育園が英語だった」
「PC 向け英語学習教材を使っていた」「外国人の先生が家にきていた」といった回答も あった。
5.7 授業外の英語学習への意欲
5.7.1 学校での英語学習が始まった時の授業外の英語学習に対しての意欲と理由 学校での英語学習が始まった時の授業外の英語学習に対しての意欲(Q87)につい て、大学生 41 名、高校生 57 名から回答を得た。大学生は 66%(27 名)の回答者が、
高校生は 58%(33 名)の回答者が「高かった」もしくは「どちらかといえば高かった」
と答え、大学生の方が意欲が高かった人の割合が多かった。一方で「低かった」もしく は「どちらかといえば低かった」を選んだ大学生は 34%(14 人)、高校生は 42%(24 名)
と高校生の方が少し多い結果となった。
「高かった」もしくは「どちらかといえば高かった」を選んだ理由(Q88)について、
大学生 23 名、高校生 27 名より回答を得ることができた。大学生の 13%(3 名)が、高 校生は 15%(4 名)が「楽しかった」「好きだった」と答えていた。
「低かった」もしくは「どちらかといえば低かった」を選んだ理由については、大学 生の 8%(1 名)が「興味がなかった」と答えているのに対し、高校生は「興味がなかっ た」、「よくわからなかったから」を選んだ回答者がそれぞれ 25%(5 名)、「つまらな かったから」と 20%(4 名)の回答者が答えており、多くの高校生が英語に対して良い 印象を抱いていなかったことがわかる。
5.7.2 現在の授業外の英語学習に対しての意欲と理由
現在の授業外の英語学習に対しての意欲(Q89)は、大学生 41 名、高校生 57 名か ら回答を得た。「高い」もしくは「どちらかといえば高い」と答えた大学生は 49%(20 名)、高校生は 60%(34 名)、「低い」もしくは「どちらかといえば低い」を選んだ大学 生は 51%(21 名)、高校生は 40%(23 名)であり、高校生の方が意欲は高いようだ。
「高い」もしくは「どちらかといえば高い」を選んだ理由(Q90)について、大学生 18 名、高校生 29 名から回答を得ることができた。大学生は「海外に行きたいから」と 答えた人が 22%(4 名)、高校生でそのように回答した人はおらず、大学生の方が割合 が高かった。一方、高校生で「必要だから」が 17%(5 名)、「好きだから」は 13%(4 名)で、大学生よりも割合が高く、また「話せるようになりたいから」と答えたのは高 校生だけであった。
「低い」もしくは「どちらかといえば低い」を選んだ理由について、「好きではないか ら」と答えた大学生は 14%(3 名)、高校生は 7%(1 名)、「必要ないから」と答えた大 学生は 9%(2 名)、高校生は 7%(1 名)と、高校生よりも多かった。しかし、「難しい から」と答えた大学生は 5%(1 名)、高校生が 21%(3 名)、「つまらないから」と答え た大学生は 5%(1 名)、高校生は 14%(2 名)、「わからないから」と答えた大学生はお らず、高校生は 14%(2 名)と、英語を学ぶ過程で生じうる感情を答えた高校生が大学 生よりも多かったことがわかる。
5.7.3 授業外の英語学習で高めたい技能
表 14 授業外の英語学習で高めたい技能
回答者 リーディング リスニング ライティング スピーキング 大学生 12%( 5) 23%( 9) 0%( 0) 65%(26)
高校生 11%( 6) 23%(13) 16%( 9) 50%(28)
( )内は人数
表 14 が示すように、授業外の英語学習で高めたい技能(Q91)に関しては、大学生 40 名、高校生 56 名から回答を得た。まず、大学生も高校生も「スピーキング」を高め たいと回答した人が一番多いことがわかる。一方で「リスニング」と答えた大学生は 23%(9 名)、高校生は 23%(13 名)であり、「リーディング」を高めたいと答えた大学 生は 12%(5 名)、高校生は 11%(6 名)であった。これらの結果より、授業外の英語 学習では「リーディング」よりも「リスニング」を高めたいと考える回答者が多いこと がわかる。また「ライティング」と答えた大学生はおらず、高校生は 16%(9 名)であ り、授業外の英語学習でライティングを高めたいかについては大学生と高校生では異な るといえる。
5.8 現在の英語の授業
5.8.1 現在の英語の授業への意欲と理由
現在の英語の授業に対しての意欲(Q92)について、大学生 41 名、高校生 56 名より 回答を得た。大学生の 37%(15 名)が、高校生は 55%(31 名)が「高い」もしくは「ど ちらかといえば高い」を選び、高校生の方が現在の授業への意欲が高い人が多いことが わかる。
選択した意欲の理由(Q93)については、大学生 35 名、高校生 46 名より回答を得 た。意欲が高い理由について、大学生 12 名、高校生 30 名より回答を得た。大学生は
「必要だから」が 25%(3 名)、「楽しいから」、「必修だから」が 17%(2 名)と割合が 高かった。「英語が好きだから」と答えた大学生は 8%(1 名)なのに対し、高校生は 19%(5 名)と割合が高かった。
「低い」もしくは「どちらかといえば低い」を選んだ理由については「つまらないか ら」「難しいから」と答えた高校生がそれぞれ 20%(4 名)と多い。また、「好きじゃな いから」と答えた大学生は 14%(3 名)、高校生は 5%(1 名)、「興味・関心がないから」
と答えた大学生は 10%(2 名)、高校生は 5%(1 名)、「つまらないから」と答えた大学 生は 10%(2 名)、高校生は 20%(4 名)、「難しいから」と答えた大学生は 5%(1 名)、
高校生は 20%(4 名)と、大学生と高校生では英語学習の捉え方に違いが見られた。
5.8.2 英語の授業のレベルは自分に合っているか
英語の授業のレベル(Q94)について、大学生 41 名、高校生 57 名より回答を得た。
自分に「合っている」もしくは「どちらかといえば合っている」と答えた大学生は 56%(23 名)、高校生は 76%(43 名)と高校生の方の割合が高かった。また大学生の 44%(18 名)と高校生の 24%(14 名)が「合っていない」もしくは「どちらかといえ ば合っていない」を選んだ。
5.8.3 授業で使用している教科書・副教材
授業で使用している教科書のレベル(Q95)について、大学生 41 名、高校生 57 名か ら回答を得ることができた。「合っている」もしくは「どちらかといえば合っている」
と感じている大学生は 54%(22 名)、一方で高校生は 80%(46 名)と、合っていると 感じている回答者が半数を超えた。しかし、「合っていない」もしくは「どちらかとい えば合っていない」を選んだ大学生は 46%(19 名)と大学生の教科書については意見
が分かれた。また、大学生、高校生共に「教科書がない」を選んだ回答者はおらず、授 業で教科書を使用していることがわかる。
授業で使用している副教材のレベル(Q96)について、大学生 41 名、高校生 57 名よ り回答を得た。「合っている」もしくは「どちらかといえば合っている」と答えた大学 生は 45%(19 名)、高校生は 79%(45 名)であった。一方で、大学生の 32%(13 名)、
高校生は 14%(8 名)が「合っていない」もしくは「どちらかといえば合っていない」
を選んだ。大学生の 23%(9 名)が「副教材がない」を選択したが、高校生は 7%(4 名)
いた。
5.8.4 授業の雰囲気
「授業は答えやすい雰囲気か」という質問(Q97)について、大学生 41 名、高校生 57 名より回答を得た。大学生の 83%(34 名)、高校生の 74%(42 名)が「当てはまる」
もしくは「どちらかといえば当てはまる」を選び、授業は答えやすい雰囲気であること がわかる。しかし、「当てはまらない」もしくは「どちらかといえば当てはまらない」
を選んだ回答者は大学生が 17%(7 名)、高校生は 26%(15 名)おり、答えづらさを感 じている人もいると言える。
5.8.5 授業でのアクティビティと高めたい技能の比較
表 17 授業でのアクティビティと高めたい技能の比較
技 能
大学生 高校生
アクティビティ授業での 授業で
高めたい技能 授業での
アクティビティ 授業で 高めたい技能 リーディング 98%(40) 37%(14) 36%(20) 14%( 8)
リスニング 0%( 0) 16%( 6) 23%(13) 36%(20)
ライティング 2%( 1) 10%( 4) 30%(17) 27%(15)
スピーキング 0%( 0) 37%(14) 11%( 6) 23%(13)
( )内は人数
授業でのアクティビティに関する質問(Q98)で、大学生 41 名、高校生 56 名より回 答を得た。表 17 を見ると、大学生と高校生の授業でのアクティビティには大きな差異
があることがわかる。大学生の授業でのアクティビティは「リーディング」を高める ものと答えた大学生は 98%(40 名)、「ライティング」と答えた学生は 2%(1 名)であ り、「読解」中心の授業が行われていると言える。一方で、高校生は大学生に比べて比 較的バランス良く 4 技能を高めるアクティビティを取り入れているようで、授業でのア クティビティについて 36%(20 名)が「リーディング」、30%(17 名)が「ライティ ング」、23%(13 名)が「リスニング」、11%(6 名)が「スピーキング」と大学生同様 リーディングが一番多いものの、ライティングを高めるアクティビティも取り入れら れ、「読み・書き」を重視した授業展開が読み取れる。
具体的な活動(Q99)については、大学生 41 名、高校生 56 名より回答を得た。リー ディングでは「教科書読解」と答えた回答者が大学生 82%(23 名)、高校生 18%(7 名)
と一番多かった。高校生はアクティビティの種類が多いため数値としては小さいが、
「教科書読解」と答えた回答者が一番多い点では大学生と変わらない。「リスニング」と
「ライティング」の活動についても「問題を解く」と答えた高校生が多く、授業では問 題演習を行うことが多いことが読み取れる。また、高校生のスピーキングの活動は「暗 唱文」とあり、受験を意識した活動が見受けられた。
授業で最も高めたい技能(Q100)については大学生 38 名、高校生 56 名より回答を 得た。大学生が授業で高めたい技能は「リーディング」「スピーキング」と答えた人が それぞれ 37%(14 名)おり、高校生が授業で高めたい技能については、「リスニング」
と答えた人が 36%(20 名)と一番多い。これらのことより、大学生も高校生も授業で のアクティビティと高めたい技能が合っていないと言える。また、授業でのアクティビ ティと高めたい技能は学校種によって異なることもわかった。
5.8.6 授業中の言語
授業中の先生の使用言語(Q101)について、大学生 41 名、高校生 56 名より回答を 得ることができた。「英語と日本語」と答えた大学生回答者は 90%(37 名)、高校生回 答者は 87%(49 名)と一番多かった。「英語のみ」と答えた大学生はおらず、高校生は 2%(1 名)がそう答えた。また、大学生の 10%(4 名)、高校生の 11%(6 名)が「日 本語のみ」と答えた。
回答者自身の使用言語(Q102)について、大学生 40 名、高校生 56 名より回答を得 た。「英語と日本語」と答えた回答者は大学生が 80%(32 名)、高校生が 81%(45 名)
と多かったが、「日本語のみ」と答えた回答者が大学生では 20%(8 名)、高校生は 14%
(8 名)となった。また、「英語のみ」と答えた大学生はおらず、高校生は 5%(3 名)で あった。
先生の授業での使用言語の希望(Q103)について、大学生 41 名、高校生 54 名から 回答を得た。「英語と日本語」を選んだ大学生は 73%(30 名)、高校生は 78%(42 名)
と多かったが、「英語のみ」と答えた大学生が 24%(10 名)、高校生が 18%(10 名)と 大学生の方が割合が高い結果となった。少数派ではあるが、「日本語のみ」と答えた大 学生は 3%(1 名)、高校生は 4%(2 名)であった。
5.8.7 授業中の発言
授業中の発言の機会(Q104)について、大学生 41 名、高校生 55 名から回答を得た。
「多い」もしくは「どちらかといえば多い」と答えた大学生は 49%(20 名)、「多くない」
もしくは「どちらかといえば多くない」を選んだ人は 51%(21 名)と大きな差は見ら れなかった。一方で高校生は「多い」もしくは「どちらかといえば多い」を選んだ回答 者が 76%(42 名)、「多くない」もしくは「どちらかといえば多くない」を選んだ回答 者は 24%(13 名)であり、高校生の方が発言の機会が多いことがわかる。
授業中の発言は成績に加味されているかという問い(Q105)について、大学生 36 名、高校生 53 名より回答を得た。大学生の最も回答の多かったのは「わからない」の 56%(20 名)であった。「当てはまる」もしくは「どちらかといえば当てはまる」を選 んだ大学生は 33%(12 名)いたが、「当てはまらない」もしくは「どちらかといえば当 てはまらない」を選んだ人は 11%(4 名)であった。一方で、高校生は「当てはまらな い」もしくは「どちらかといえば当てはまらない」を選んだ回答者が一番多く、51%
(27 名)であった。「当てはまる」もしくは「どちらかといえば当てはまる」を選んだ 回答者は 17%(9 名)であり、32%(17 名)の人が「わからない」と答えた。
授業中の発言(Q106)において、「正しい答えを言った場合先生は褒めてくれます か」という問いに対して、大学生 30 名、高校生 45 名より回答を得た。大学生は 93%
(28 名)が、高校生は 69%(31 名)と「当てはまる」もしくは「どちらかといえば当 てはまる」を選んだ回答者が多かった。それに対して、「当てはまらない」もしくは
「どちらかといえば当てはまらない」を選んでいた大学生は 7%(2 名)、高校生は 31%
(14 名)であり、高校生の方が「教師からの褒めの言葉」が少ない結果となった。
5.8.8 宿題(課題)の有無とその量
宿題(課題)の有無とその量について、大学生 41 名、高校生 55 名より回答を得た。
「宿題や課題はでているか」という質問(Q107)に対して、大学生は回答者の全員(41 名)が、高校生は 77%(42 名)が「当てはまる」と答えた。量(Q108)については、
「適切」と答えた人が、大学生 59%(24 名)、高校生 71%(29 名)と多い。また、「多い」
と答えたのは大学生 32%(13 名)、高校生 20%(8 名)と大学生の方が多かった。「非 常に多い」「少ない」「非常に少ない」と答えた回答者は少なかった。
宿題(課題)について(Q109)は、大学生 11 名、高校生 29 名より回答を得た。大 学生も高校生も「教科書の問題を解く」宿題(課題)が多く出されている。他にも、大 学生は「予習」や「Book レポート」が課されているが、高校生は「暗唱文」を出され ることが多いようである。
5.8.9 ペアワーク
ペアワークの有無について(Q110)、大学生 41 名、高校生 54 名より回答を得た。大 学生は 47%(19 名)、高校生の 96%(52 名)がペアワークを「取り入れている」もし くは「どちらかといえば取り入れている」と答えた。また、「取り入れていない」もし くは「どちらかといえば取り入れていない」と答えた回答者は大学生が 53%(22 名)、
高校生は 4%(2 名)であった。これらのことから、高校生の方がペアワークを行って いると言える。
ペアワークの活動について(Q111)、大学生 25 名、高校生 46 名より回答を得た。大 学生のペアワークの活動は、「解答チェック」と答えた人が 68%(17 名)、「意見交換」
と答えた学生が 24%(6 名)である。少数派ではあるが、「多読本の紹介」と回答した 人もいた。一方で、高校生は、「交互に読む」と答えた人が 59%(24 名)と多く、つい で「単語練習」と答えた人が 24%(10 名)と多い。また、「暗唱文」と答えたのは 7%
(3 名)で高校生のみであった。大学生はお互いの解答を確認し合い意見を交換するこ とで他者の意見を取り入れ自分の考えを深めるアクティビティが多いが、高校生は読み 合わせや単語練習など、個々の能力を伸ばすアクティビティが多いようだ。
ペアワークの感想について(Q112)は大学生 21 名、高校生 42 名より回答を得た。
「良い」や「楽しい」等のプラスの感想を述べた大学生が 50%(11 名)、高校生が 68%
(28 名)と半数を超えている。大学生も高校生も「良い」、「楽しい」といった感想を 述べている回答者が多いが、マイナスの感想を持った大学生は 25%(5 名)、高校生は
16%(7 名)と少なくはない。「あまり意味がない」等のマイナスの意見も見受けられ、
「ペアによっては話し合いが進まないこともある」と答えていた学生もいた。「その他」
は大学生 25%(5 名)、高校生は 18%(7 名)で、「特に何も思わない」や「悪くはない けど良くもない」などの感想が述べられた。
5.8.10 グループワーク
グループワークに関して(Q113)は、大学生 41 名、高校生 53 名より回答を得た。
大学生の 93%(38 名)の回答者は「取り入れている」もしくは「どちらかといえば取 り入れている」を選んでいるが、高校生は 8%(4 名)であった。大学生は、ペアワー クもグループワークも取り入れているが、グループワークの方が「取り入れている」も しくは「どちらかといえば取り入れている」と回答した人が多く、グループワークを行 うことの方が多い。また、「取り入れていない」もしくは「どちらかといえば取り入れ ていない」を選んだ大学生は 7%(3 名)、高校生は 92%(49 名)であり、高校生の授 業ではグループワークはほとんど行われていないと考えられる。
大学生のグループワークの活動について(Q114)は、大学生 30 名より回答を得るこ とができた。「解答チェック」と回答したのは 68%(17 名)、「多読本の紹介」と答えた 回答者は 8%(2 名)であり、ペアワークとあまり変わっていないと言える。
大学生のグループワークの感想について(Q115)は、大学生 28 名より回答を得た。
プラスの感想を述べた人は 62%(17 名)、マイナスの感想は 27%(8 名)、その他が 11%(3 名)であり、グループワークの方がプラスの感想を述べた人が多かった。ペア ワークと同様「他の人の意見が聞けて良い」等の意見があったが、「日本語を話してい るだけ」等のマイナスの意見も見受けられた。
6.考察
アンケート結果をふまえて、3つの研究課題について考察する。
6.1 研究課題 1
まず、研究課題 1 の「大学生と高校生では、英語学習への動機づけに違いは見られる か」について、「英語学習の目的」、「英語学習への意欲が高まる声掛け・下がる声掛け」
の 2 つの観点から考察を述べる。
はじめに「英語学習の目的」については本研究結果より、大学生は「資格・成績・試
験」を、高校生は「文化的な目的」をより意識していることから、英語学習に対して 異なる目的を持っていると言える。しかし、大学生も高校生も、英語学習の目的とし て「資格・成績・試験」の平均値が一番高く、外発的動機が一番強いことがわかる。学 習者の外発的動機づけが強いことは神谷(2014)と林(2011)の研究でも言われてお り、英語のレベルや英語学習経験が異なる学習者も外発的動機づけが強く働くと考えら れる。「資格・成績・試験」は、日々の学習において身近で立てやすい目標となるため、
学習者は外発的動機づけが強いと言える。
また、「英語学習への意欲が高まる声掛け」と「英語学習への意欲が下がる声掛け」
については、どちらも大学生の方が平均値は低く、学校種による違いが見られた。この 点についても丸山(2009)が述べたように、年齢の高い大学生の方が「自己抑制的行 動」(p.76)は多く、声掛けのような外部からの刺激を受けても、学習への意欲を維持 しやすいためであると考える。
以上のことから、大学生と高校生は「英語学習の目的」として「資格・成績・試験」
を強く意識していることに変わりはなく、神谷(2014)と林(2011)の先行研究のとお り、外発的動機づけが強く働いていると言える。また、「英語のレベル」や「学習経験」
が異なる学習者でも同じことが言えると考えられる。一方で、年齢が上がるごとに「自 己抑制的行動」(p.76)が多くなるからであると思われる。
6.2 研究課題 2
6.1 で、学校種によって学習者の英語学習への動機づけは変わらなかった。では、大 学生と高校生の英語学習への意欲の変化に違いはあるのであろうか。研究課題 2「大 学生と高校生では、英語学習への意欲に違いは見られるか」について、児島・齋藤
(2016)、池中(2008)と鈴木(2014)の研究結果に照らし合わせ、「英語学習への意欲 が高まる時・下がる時」、「授業外の英語学習への意欲」、「英語の授業」、「授業への意 欲」、そして「早期英語教育と学習意欲の関連性」の研究結果を考察する。
本研究の分析結果より、「英語への意欲が高まる時」は大学生の方が平均値は低かっ たが、「英語学習への意欲が下がる時」については学校種による大きな違いはなかった。
丸山(2009)が述べたように大学生の方が自己抑制的行動が多く、勉強以外の多くの誘 惑に囲まれながらも、大学生は自分を律して勉学に励むことができるようになる人が多 いと考えられる。また、高校生よりも行動範囲が広がる大学生は、6.1 でも述べたよう に「海外での目的」を持っている学生が高校生よりもわずかであるが多い。大学生は海
外旅行や留学など英語学習で得た英語力を試す機会を自分の力で持てる可能性があるた め、英語を学ぶ意義を実感しやすく、英語学習への意欲は高校生よりも下がりづらいと 考えられる。
では、授業外の英語学習への意欲は、学校種によって異なるのであろうか。まず、授 業外の英語学習について見ていくと、授業外学習で高めたい技能は大学生・高校生とも に「スピーキング」と回答した人が多く、同じ結果となった。学校の授業での英語学習 が始まった時の授業外の英語学習への意欲は大学生の方が高かったが、現在の授業外の 英語学習への意欲と授業への意欲は高校生の方が高く、学校種による違いが見られた。
また、現在の授業外学習への意欲と授業への意欲では、大学生も高校生も授業外学習へ の意欲の方が高い。
では、大学生と高校生の授業にはどのような違いがあり、大学生の授業への意欲を下 げる原因は何だろうか。授業内容については、大学生では教科書読解など、読解力を高 める活動が多い。一方で、高校生は 4 技能を高める活動を行っているが、特に教科書読 解が多く読解中心の授業になっていることが、研究結果より予想される。また、回答者 が授業で高めたい技能は、大学生は「リーディング」「スピーキング」、高校生は「リス ニング」であるが、児島・齋藤(2016)が行った大学生を対象とした研究では、学習者 の授業への意欲が高い理由について、スピーキング能力を上げたいと回答した人が多 かった。また、大木(2005)が行った高校生の学習ニーズの調査でも、高校生は大学受 験予定の有無にかかわらず、スピーキング能力を身に付けたいと考える人が多いという 研究結果であった。これらのことから、大学生も高校生もスピーキング能力を高めたい と考えていることがわかる。しかし、高校生は大学生ほどそのように考えている人は多 くなく、その理由として高校生は大学受験を控えているため、授業ではスピーキング力 よりも、リスニング力を高めたいと考えている人が多いからであると考えられる。
さらに、授業の雰囲気について見ていくと、授業での答えやすさについては、大学生 も高校生も「答えやすい」と回答している人が多い。また、教師は授業中に「英語と日 本語」を使用しており、これは大学生と高校生の希望に沿っていることから、「先生が 授業中英語しか話さないから授業を受けたくない」といった理由で授業への意欲が下が る大学生と高校生はあまりいないと考えられる。また、大学生と高校生の使用言語は日 本語であり、「英語を話さなければならない」と負担に感じる学習者も少ないと思われ る。加えて、宿題(課題)の量・内容についても、大学生も高校生も「適切」と答えた 人が多く、負担に感じている人は少ないと予想できる。また、授業中の発言に対して教
師が褒めることは、大学生も高校生もある。つまり、授業での発言が苦にならない大学 生と高校生が多く、使用言語や宿題(課題)の量でプレッシャーを感じず、正しい答え を言うことができれば褒めてもらえることが多いということだ。しかし、大学生は授業 中の発言が成績に加味されているかわからず、また、高校生に関しては加味されていな い可能性があり、発言が有益だと大学生と高校生は感じづらいと考えられる。ここまで 見ると、授業の雰囲気については学校種による違いはあまり見られない。しかし、授業 や教材のレベルは「合っている」と感じる高校生は半数以上いる一方で、大学生は約半 数であり、授業や教材のレベルに満足していない大学生が高校生よりも多く、学校種に よる違いがあった。
授業の意欲について、児島・齋藤(2016)の研究では、英語の授業への意欲が高い理 由として、「授業の雰囲気」と答えた学生が多かったと述べている。「授業の雰囲気」に は多くの要素が含まれていると考えられるが、詳細については論文からは読み取れな かった。しかし、大学生の方が授業への意欲が低い人が多いのは、授業や教材のレベル が合っていると感じている人が高校生よりも少ないからではないだろうか。児島・齋藤
(2016)の調査で、授業のレベルが適正であることが授業への意欲が高い理由として挙 げられていることからも、授業のレベルが学習者の授業への意欲にとって重要であると 考える。また、学校の授業での英語学習が始まった時の授業外学習への意欲の低い理由 として「つまらない」「興味がない」などが多く挙げられているが、「難しそう」と答え た人は少なかった。しかし、現在の授業外の英語学習への意欲が低い理由として、「難 しいから」と書いた回答者は多くなっている。さらに授業への意欲の低さの理由として も、英語の難しさを挙げた回答者が多かったが、意欲が高い理由としては、英語学習を 肯定的に捉えることができている学習者が多かった。このことから、授業への意欲が低 い回答者にとっては、授業や教材が自分に理解できるレベルであるか、または周囲に学 習の遅れをとらないか、といった心理状況が意欲に影響を与える原因となりうると考え られる。よって、授業への意欲を高めるには、英語学習を肯定的に捉えられることが重 要であると言える。
また、早期英語教育と学習意欲の関連性について見ていく。小学校入学前までの早い 時期から英語学習をしていた人は、大学生が 55%、高校生は 62%であるが、それらの うち現在の授業への意欲が高い人は大学生は 40%、高校生は 58%と減少している。鈴 木(2004)の早期英語学習と現在の学習意欲の関連性についての研究では、早い時期か らの英語学習が必ずしも意欲を上げる原因とはならないことがわかっているが、本研究