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教育評価の現状 と課題

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Academic year: 2021

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●課題研究 学校教育における評価問題の総合的研究①●

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教育評価の現状 と課題

上越教育大学学校教育総合研究セ ンター 濁 川 明男

Ⅰ 絶対評価の導入 と教育現場の動向

平成1 2 年 1 2 月の教育課程審議会 「 児童生徒 の学習 と教育課程の実施状況の 評価 の在 り方」 ( 答 申) は , 生 きる力」の育成 を目指す うえで,基礎 ・基本 は もちろん,従来か ら提示 されて きた観点別評価の 「関心 ・意欲 ・態度 」 「 思 考 ・判断 」 技能 ・表現 知識 ・理解」の 4 観点か ら評価 を充実 させてい く 必要があることを指摘 している

そのためには,指導 と評価の一体化が大切 であ り,評価が学習の改善に役立つためには, 日常的に通信簿や面談 を通 じ て,児童 ・生徒や保護者 に十分説明 し,児童 ・生徒や保護者 と共有 してい く

ことが大切 とされた。

渋谷 ( 2 0 0 2 ) は,雑誌 『 教職研修』のなかで,従来の相対評価 は集団に準 拠 し,水平的尺度であったのに対 し,絶対評価 は目標 に準拠 した鉛直的尺度 での評価であるとし, これ まで も観点別評価 は行 われて きたが,教育現場で それほ ど成果 を上げ られなかったのは,評価基準が授業 レベルまでおろされ ていなかったことによると指摘 している

絶対評価 の導入が決定 されて ,2 0 0 2 年 2 月に国立教育政策研究所か ら 「 評

価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料」が出され,各校では

県教育委員会の通知 を受け,観点別評価の進め方,絶対評価の算出方法の検

討 に入 った。全国校長会 も評価モデル案 を提示 し,市町村教育委員会 も各校

代表 を集め,共通 な方向性 を見 出す検討 に入 った。

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筆者は近隣の 8 校の中学校の観点別評価 と絶対評価の実際について聞 き取 り調査 を行ったので,中学校 に限定 してその現状 と課題について述べ る

各校 とも教科の単元内容 に即 して観点別評価のための評価規準の作成 を行 った。 どの学校 もその評価規準 に基づ き, 日常の学習 を通 して評価データを 蓄積 していって,学期 ごとに観点別評価 を集計 して,それを段階評定すると ともに数値換算 し,カッティングポイン トを定めて絶対評価 を行 うとい うも のである

( 1) 導入による成果

・従来か ら変わろうとしてこなかった中学校の中間 ・期末テス ト一辺倒の傾 向に変化が見 られて きた。基礎 ・基本の確かな定着が指摘 されたこともあ

り,多 くの学校では中間テス トを廃止 し,単元 ごとに確認テス トを導入 し, 少な くとも日常的に評価 をしてし、こうとする動 きがみ られて きた0

・単元 レベルでの評価規準が作成 されたことで,テス ト一辺倒でな く多角的 な視点か らの評価 を試みようとする努力がなされて きている

( 2) 克服 されねばならない課題 ( ∋評価データの蓄積 に関 して

観点別評価 を何 をもってデータとして蓄積 してい くか ということについて, A 校の理科 を例 に見るならば, 自然事象への関心 ・意欲 ・態度 :授業中の様 千,ノー ト 捷出物,科学的な思考 :実験 レポー ト,確認テス ト,観察 ・実 験の技能 ・表現 :実験 レポー ト, 自然事象 についての知識 ・理解 :小単元テ ス ト,確認テス トとしている

これ らの内容 は,従来で も平常点 として評価 に加味 して きたことで,何 らの改善点を見 ることはで きない。 また, B 校の 理科ではほぼ A 校 と同様の内容でパ ソコンを利用 してデー タ集積 を図ろ う とした。 しか し,学期末になって開いてみたところテス ト結果以外の入力が 教師によってち ぐは ぐで,補助簿 としての機能を果たさず主任 は真 っ青 にな った とい う

②評価のための評価の傾向

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教育評価の現状 と課題

大半の教師は 「 や らねばならないか らやる 」 学期末は膨大な事務量で, 授業その ものは二の次です 」 と発言 している 。C 枚の 3 学年の 1 学期末の家 庭への通知は 2 0 ページに及んだ。「 通知 ファイルの見方 」 観点別評価の評価

の方法 」 「 絶対評価の算出方法 」 「 定期テス トの結果表 」 「 学期毎の学習の所 見 」 「 学期毎の学校生活 ( 総合的学習の所見,特別活動の記録,学校生活の 所見,出席状況等 ) 」 「 学力定着度テス トの一覧表 」「 N R T の結果 」 「 教科, 総合,学校生活 に関す る自己評価 」 「 模擬試験結果」等であ り,それによっ て保護者の 7 2% か らおおむね満足 という評価 を得たという

3 年生は模擬テ ス トでの相対評価結果があるので とくに反論はなかったが, 1 , 2 学年の保 護者の中には相対評価 を求める声が多かったという

また,パ ソコンで打ち 出 した所見 に対 して,「 手書 きの温かみを」 とい う保護者の意見 もあったが, 事務量 を考えると時間的にむずか しいとのことである

( 彰CRT 結果 と自校の評価 との差異

D 枚ではある観点別評価項 目に 2 5 名の A を出 したが, CRT では A は 5 名 という結果 となったという

自校で力 を入れてきたことによる評価 と, CRT の出題内容 との差異 による結果によるものであろうが, CRT を客観視す る 傾向が強いために学校の独 自性が失われてい くのではないか と悩んでいると い う

Ⅲ 評価 と指導の一体化 を図るために

( 1 ) 学習意欲 を引 き出す評価の導入

評価の方法がテス ト中心の域 を超 えず, どうしても知識 ・理解が中心 にな っている。筆者の乏 しい経験の中か ら少 しで も多面的な評価の必要性 を提言

したい。

①パ フォーマ ンステス トの導入

単元導入時に身につけてほ しい技能をプリン トや掲示 によって課題 として

提示 してお くことで,意欲的な学習姿勢 を見ることがで きる

具体的には,

ガスバーナの点火操作 に始 まり,回路の電圧 ・電流測定技能,基本的な岩石

の分類,顕微鏡操作等々である

その操作技能が修得で きれば技能 としての

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て高いものとなる

回路の電圧 ・電流測定パ フォーマンステス トでは,科学 部生徒 を使いなが ら同時に 5 名の操作テス トを行 うことで,追試を入れても 4 0 分前後で終了することが出来る

規定時間内に出来た生徒全員には,当然, A評定が出される。事前に課題が示 されることで実験 中の傍観者 はな くな

り,放課後等にも取 り組む姿 も見 られるようになる。

②記述テス トや面接 による評価の導入

植物の光合成の学習後 も,「 植物は昼間光合成 して,夜 は呼吸する」 と考 える生徒 はいる。「 1 0 0 V‑1 0 0 W」 と 「 1 0 0 V‑4 0 W」の電球 はどち らが内部抵 抗が大 きいか という問いに,学習後で も 1 0 0 W と回答する生徒 はいる

生命 活動の本質,電力概念が きちんと定着 していないのである。筆者は使用する 用語を示 したうえで,「 植物 はどのようにして生 きているか 」 を題材 に自由 記述 させた り,面接 によって どちらが抵抗が大 きいかを問い,その考え方を 探 る評価 も行って きた。 自らの指導のあ り方を内省するとともに,生徒 に学 習を再度振 り返 らせる個別の機会 として有効に機能 した。

③評価規準の共有

単元導入に当たって,評価規準 を内容に即 して具体的な形で生徒 に示す こ とで,学習 目標の意識化や学習意欲 を高めることも有効である

このことに 対 して,討論では 「 問題意識を醸成 し,追究活動を通 して問題解決すること が大切で,評価規準の事前提示は,‑ 、 それだけ学べばよしとする安易 さを生む のではないか 」 との指摘があった。探求の過程 を重視する理科 においては, 知識 ・理解面にそのような問題 もあるが,前述 したパ フォーマ ンステス トに よる技能面,さらには国語や英語等の教科では到達 目標 を意識 させることで 学習意欲は効果的に高 まる

た とえば,関係代名詞の Who について, 2 文 を関係代名詞を用いて 1 文にすることや,関係代名詞を用いて和文英訳等が 書ける,言えるを,例題をもって示 してお くことで,学習後の自己評価 も客 観性 を持つ とともに,達成感にもつながるといえよう。

( 2 ) 評価 と指導の一体化 を生む教師の創意

教師主導で教科書 どお り教えるだけの授業では,相対評価であろうが絶対

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教育評価の現状 と課題

評価であろうが,生徒 をランク付 けするだけの意味 しか持たない。教師 自身 が指導方法の工夫や教材の開発,学習過程の改善等 を行ったときには,必然 的に教師 自身が評価 をした くなるといっても過言ではないだろう

筆者は中学校理科 1年で,それまで知的教 え込みを行ってきた恒温動物, 変温動物 について,実際にニワ トリ,人,ウシガエル,イグアナ等 をサー ミ スター温度計 を用いて,外気温 を変化 させつつ,体温 を測定する学習 を構想 した。 どの教師に聞いて も実験 したことはないという内容であった。導入は 各種動物の過酷な冬の生活 を焦点をあて,冬眠という意見 を引 き出 し,体温 問題 に焦点 を当てて実験 に入 る

また,実験後は渡 りや魚が深みで越冬する 意味を考えさせ る構想 を練 った。当然,生徒のこの学習への関心 ・意欲 ・態 度はもとより,実験 を契機にその後の課題での思考 ・判断にも大 きい期待が あった。だか ら,学習中の一人ひとりの学習態度に関心 を払い, 自己評価 も 併用 して自ら思考判断で きたかを評価 しようとした。 また,期末テス トでは 思考 ・判断力 を見 るために,「 地球の極地方ではなぜペ ンギ ンや海獣類 しか 生息 していないのか,あなたの考えを述べ なさい 。 」 を出題 した。

( 3) 自己評価 を大切に

上記のように教師の創意が発揮 された授業後の観点別評価 を踏 まえた自己 評価では,生徒 自身 も自らの学習姿勢に高い評価 を与 えるものである。それ は教師 自身が 自信 に満ちて生徒の前に立ち,その勢いが生徒 に伝播 してい く 要因も大 きい。そのような評価では生徒 はやれる自分 を自覚する。一方,塾

と変わ らぬ授業での自己評価では,真剣 に取 り組 まな くとも結果のみ吸収す ればよい と意欲は低下 し,結果 も低い催 しか得 られない。 ましてや,評価の 必要性 を教師自身が実感 しないことになる。指導 と評価の一体化 とはいうが, その根底 にはその授業にかける教師 自身の創意があるかないかで大 きく左右 されると考える。

ヽ ヽ

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