• 検索結果がありません。

Phenylhydrazine 投与ラットにおける 急性肺血栓症の形成機序に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Phenylhydrazine 投与ラットにおける 急性肺血栓症の形成機序に関する研究"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Phenylhydrazine 投与ラットにおける 急性肺血栓症の形成機序に関する研究

(Studies on pathogenesis of acute thrombosis in Phenylhydrazine treated rat)

学位論文の内容の要約

日本獣医生命科学大学大学院獣医生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程 平成 26 年入学

佐藤 寛子

(指導教授:高橋 公正)

(2)

1

Phenylhydrazine(PHZ)は、医薬品、農薬等の化学的中間体として世界中 で 使用されている有機化合物で、ヒトを含む動物において赤血球を酸化的に傷害す ることに起因した溶血を引き起こすことが知られている。PHZ の毒性としては、

この溶血に付随する種々の血液学的・組織学的変化が報告されている。例えば、

赤血球数やヘモグロビンの低値、脾臓の腫大、諸臓器における赤血球貪食像や褐 色色素沈着といった所見である。一方、血栓症の発生については、赤血球増多症 治療の目的で投与されたヒトの副作用としてわずかに報告があるのみで、実験デ ータで利用できる情報は少なくその発生機序については不明である。

本研究では、偶然にも PHZ をラットに短期間投与することにより、これまで に報告のない急性肺血栓症が誘発されることを発見したことから、その病理発生 メカニズムを明らかにするための血液学的・組織学的変化検索、遺伝子発現解析 を用いた生物学的機能への影響の考察を行った。

1. Phenylhydrazine 投 与 ラ ッ ト に 認 め ら れた 急 性 肺 血 栓 症 お よ び主 要 臓 器 の 病 変( 第2章)

血 液 ・ 造 血 毒 性 の 組 織 学 的 変 化 を 整 理 す る 目 的 で 、 若 齢 の 雄 の SD ラ ッ ト に PHZを短期反復投与し、主要臓器の病理解剖学的検査、病理組織学的検査を実施 した。病理解剖学的検査において、肺は全葉が赤色~暗調を呈し、白色斑が散在 していた。組織検査においては 白色斑と一致してフィブリン血栓が肺胞毛細血管 内に形成されていた。

その他に検査を実施した肝臓、腎臓、心臓、脾臓では溶血に関連すると考えら れる赤血球貪食像、髄外造血亢進、褐色色素沈着といった変化が認められた。ま た、死亡例を中心に、心臓の左心耳内に血栓が認められた。しかしながら、微小 血栓の形成は肺以外の臓器には認められず、PHZが肺毛細血管に特異的に急性血 栓症を引き起こすことがわかった。

(3)

2

2. Phenylhydrazine投与ラ ットの経時的 な血液学 的・病理組織学 的変化(第 3章)

PHZ 投 与ラ ット に認 めら れた 急性 肺血 栓症 の病 態発 生メ カニ ズム を解 析す る ため、経時的に血液学的検査、病理組織学的検査を実施した。その結果、貧血以 外 に 最 も 早 期 か つ 血 栓 形 成 に 先 ん じ て 認 め ら れ た の は 肺 胞 毛 細 血 管 内 の う っ 血

(変形赤血球の集積)であった。また、組織学的に血栓が広範囲に認められた時 点において、血液凝固系パラメータの異常、限局的な血管内皮細胞の傷害が確認 された。これらを一般的な血栓形成の要因とされる1)血管内皮傷害、2)血流障害

(うっ血、乱流)、3)血液の凝固性亢進に照らし合わせると、2)の血流障害が病態 発 生に 重要な 役割 を果た して いるほ か、1)の血 管内 皮傷害 、3)の血液 凝固 性亢 進 が病態の悪化に関わっていると考えられた。

3. Phenylhydrazine投与ラ ットの肺にお ける経時 的な遺伝子発 現解析(第 4章)

前章では PHZ 投与ラットにおける急性肺血栓症の病態悪化に血管内皮細胞の 傷害が関与していることが明らかとなったが、血管内皮細胞の機能障害について は未明である。そこで本研究では、PHZ投与ラットの肺において、血管内皮細胞 に発現する既知の血栓症関連遺伝子の発現変動を確認した。また、網羅的遺伝子 解析およびGene ontology 解析により、血栓症の病態発生をより詳細に理解する ことを試みた。その結果、本研究で解析したうちのいくつかの血栓症関連遺伝子 が、主に血栓形成期において顕著に変動しており、凝固・線溶のバランスは凝固 促進に傾いていると考えられた。また、網羅的遺伝子発現解析により、PHZ投与 ラットの肺では炎症・免疫反応が早期から顕著かつ継続的に誘発されていること が示された。炎症性反応は血管内皮細胞の機能的変化を誘発すること や、血液凝 固と深い相互関係が報告されており、PHZ投与ラットにおいても炎症状態が血栓 症の病態発生・悪化に関与していることが示唆された。

本 研究 の結 果と 他の 関連 文献 から 、PHZ 投 与ラ ット にお ける 急性 肺血 栓症 の

(4)

3

メカニズムは下図のように推察される。つまり、PHZは赤血球を傷害し、赤血球 の変形能喪失と形態異常をもたらすが、それが局所血流の障害、全身性の血液凝 固異常(血液凝固性亢進)、血管内皮細胞の機能障害を引き起こす。肺において早 期から惹起される炎症性の反応が血管内皮細胞の機能障害に影響を及ぼしている 可能性がある。これらの要因のインパクトや発生時点を鑑みるに、PHZ投与ラッ トにおいては、初期の肺毛細血管内の血流障害がトリガーとなり、引き続く血管 内皮細胞の機能異常(凝固促進状態)、血液凝固性の亢進が血栓症の病態を悪化さ せていると考えられた。

参照

関連したドキュメント

○ 銭谷  大・佐藤 伸孝 岩渕 秀大・村嶋 英達 寺尾 吉生・小野田 学 森   力・芝田 貴裕 症例は 58 歳女性.12 月 20 日頃より階段の昇降 時に息切れを自覚した.12

肺高血圧症 pulmonary hypertension に関連した以下の文章のうち、誤っているものを 選べ。

現病歴2㎜年8月下旬から労作時息切れ出現、徐々に持

Department of Thoracic and Cardiovascular Surgery, Nayoro City Hospital Key words: Aortic dissection, Deep vein thrombosis, Acute

から,カムカム果皮に豊富に含まれるポリフェノール類 やビタミン C が,SHR の血管内皮細胞の損傷を修復

肺胞上皮細胞死が病態に重要と考えられている肺線維症の発症メカニズムへの鉄代謝の役 割について検討を行った。鉄キレート剤 (Deferoxiamine

93 は明らかな差異は認められなかった.

剖検例における静脈血栓と肺の小塞栓(表 4) 剖検で大循環系静脈に血栓をみとめることは稀