大学生の体型不安 と食行動 との関連 について
RelevanceofaCollegeStudent'sSocialPhyslqueAnxietyandEatingAttitudes
十和 田済誠会病院
弘前大 学保健 管理セ ンター 弘前大学教育学部
美 雪 男
智 美 晴
沢 場 野 名 石 田 芳
体型不安及び
BMIによる摂食行動傾向を,性差との関連で検討 した。対象は大学生
219名 ( 男子
70名,女子
149名),使用 した尺度は体型不安尺度 ( 今井 ら
,1994)と摂食態度傾向尺度 ( 安田,
1999)から 「 痩せ願望
」「 カロリー‑のとらわれ
」「 摂食 コン トロール」,及び
BMIである。
男子に比べ女子の方が体型に対 して不安感が強いこと,食物を選択 して摂取 した り摂取量の抑制 と いった食行動に体型不安が直接関係 しているとい う結果が得 られた。
Ⅰ
目的
Ⅱ 研 究方法
1.調査方法 2.使用 した尺度
Ⅲ 結果 と考察
1.女子 の結果
2.男子 の結果
3.男女差 についてⅣ
ま とめ
Ⅴ 参考文献 附録
1附録
2keywords:Socialphysiqueanxiety,Eatingattitudes,BMI
Ⅰ.目 的
体型 とは,身体の形や組織,特 に体脂肪や筋肉の状態 の ことである。理想 体型 は,時代 に よ り,文化 によ り,個人 の美意識 に よ り様 々で あるが,今,私達の住む現代 日本 では,女性 は豊満 で あ るこ とよ り も脂肪 を削 り取 った よ うな痩身 を 目指す傾 向が強い。現在 ,テ レビのニ ュース報道 で,あるいは映画 で, あるいは服装や化粧品 をは じめ,様 々な商品の広告 にお いて活躍 してい. る若 い女性 の多 くは,スマー ト で無駄 のない体型 を してい る。今 日の よ うな情報化社会 の中では,情報 の受 け手は彼女た ちの華や いだ 一面 に魅せ られ,各個 人の理想 とす る体型 は無意識 の うちに, しだいに よ り細身の ものに変 え られ てい く可能性 があ る と考 え られ る。痩せ てい ることを理想 とす る社会環境 においては,平均的体型 の人で あっ て も自己の体型 に対す る評価 が低 くな りやす く,実際 には極端 な痩身や肥満 を示 さな くて も,摂食 な ど に問題行動 の生 じる可能性 がある とされ てい る( 膏藤 ・溝 上,
1994)。
書店 では,痩せ る方法論 を紹介 した書籍等が非 常に多 く見 られ る。一般的 な女性誌 では, ダイ土 ッ ト 産業の広告 が多 く見 られ ,ダイエ' ッ トに関す る特集 もよ く見か ける. その中では,痩せ 争ためのあ りと あ らゆる方法 が紹介 され てい る。 ダイエ ッ トとは, .本来 「 健康や美容 のために,食事の量や種類 を制限 す るこ と」 ( 大辞林 ,
1999)で あるが,一般 的には食事や運動 とい った方法 での 「 減量
」と同 じ意味で
‑ 5‑
使用 されてい るよ うである。
現代社会は飽食 の時代であ り,店 に行 けば食べたい ものがい くらで も入手できる。 また交通機 関の発 達や機械の進化 に伴い,あま り苦労 を しな くて も目的を達成で きる,大変 に便利 な時代 で ある。 その よ うな中にあって減量 とは, 「 カ ロ リーの摂取 を抑 え,カ ロ リーの消費 を促進 して体重 を減 らす こと」 と 一般的 に認識 されてお り,減量す ることは,実行者 に噂好品である糖類 を多 く含む菓子や脂質 を多 く含 む ファース トフー ドの誘惑 に負 けない強い 自制 心 を持つ ことを強要 し,運動 を 日々続 ける忍耐力 を求め る。広告では, 「 楽々痩せ る 」 や 「 一週間で
OKg痩せ る !
」といった見出 しで,容易 に,あるいは短 期間 に減量で きることを強調 しているが,果 た して本 当にそ うであろ うか。裏 を返せ ば, さま ざまな減 量の方法が巷 に溢れ続 けてい るのは,その こ とを実現す るのは容易ではない とい うことを表 しているの ではないだろ うか。
塩入 ら
(2000)の調査では,女子大生の69.8%が減量経験がある と答 えてい る。また,矢倉 ら (1993)の調査では,非肥満者 の女子で もその うちの85.5%の者 が減量 を実行 した こ とがあると答 えてい る。江 田 ・井美 (
1995)の報告では,高校生において,減量の経験率は男子7.
6%,女子38.3%で,太 ることをほ とん どの女子 が嫌 ってお り,男子 よ り女子 に痩せ願望が強い としてい る。
Hart
ら(
1989)によると,体型不安 とは, 自らの体型 と関係 してい る対人関係 の評価 の存在 ,または, 対人関係 の評価 が 自らの体型 と関係 してい る とい う予想 の結果 としてお こる社会的不安 の一つの タイプ
と定義 されてい る。本研究では, 自らの身体的評価 を体型不安 に置 き換 えて扱 う。
以上の ことよ り本研究では,体型 に対す る 自己評価の高低 に よ り,摂食行動の傾 向が どの よ うに異な るか,また
BMIの違いによ り摂食態度の傾 向が どの よ うに異 なるかを明 らかにす ることを 目的 とす る。
その際 に,男女 にそれぞれ特有の傾 向を捉 えるため,性差の検討 も合わせ て行 うこととす る。
Ⅱ. 研究方法
1.調査 方 法
①調査方法
質問紙法によ り,体型不安尺度 ( 今井 ら,1
994)と摂食態度傾 向尺度 ( 安 田,1
999)を
4件法での記入 を求めた ( 附録
1,附録
2参照) 。その他 ,身長 と体重の記入 を求 めた。
②対象者
対象は,大学生21
9名 ( 男子7
0名,女子1
49名)であ り,大幅な記入漏れが無かった ことか ら全員 の回答 を分 析 に使用 した。回収率は
81
.11%であった。
③調査時期
調査の実施期間は2001 年7 月 であった。
2.
使 用 した尺 度
①体型不安尺度
体型不安尺度 とは, 自らの体型 をいつ他人が観察や評価 をす るのかについて不安 になる程度 を測 定す るために,
Hartらによって開発 され た
Social PhysiqueA
nxietyScaleの1
2項 目を今井 らが邦訳
した ものである。
②摂食態度傾 向尺度
安 田の摂食態度傾 向尺度 は,神経性 無食欲症の症状 を判定す る尺度 を基 に してい るので,病的症 状 を幾つ も含 んでいる。従 って,極端 に偏 った反応分布 をを示す項 目が あるため,間隔尺度 として
‑ 6 ‑
使用す ることには問題 があると考える.本研 究においては,分布 の偏 りの違いにより項 目を分 け, 別 々に主因子法 を用 いて因子 を抽 出 し,バ リマ ックス回転 を行 った。 「 痩せ てい るのが よい
」「 食 べ る と太 る」 とい った信念 か ら現れ る食行動 に着 目し,項 目の因子 の中か ら, 「 痩せ願 望」 「 カ ロ
リー‑の とらわれ 」 「 摂食 コン トロール
」の
3つの下位尺度 に限定 し使用 した.
③
BMIBMI(BodyMasslndex)
とは,身長 と体重 か ら算出 [ 体重
kg/( 身長
m)2 ] され る体格指数 で ある∴● これは,単純に同一身長 の平均体重か ら自分の体重 を引いた り,皮下脂肪 の厚み を計 る方法 と比べ,体格のバ ランスをよ り正確 に反映 していると言われている。BMI の値は22 を基準に,1
8.5以 上25 未満 が普通体重 とされ ,1
8.5未満が低体重,25 以上が肥満 と, され る (日本肥満学会,1
997)0
Ⅲ.
結果 と考察
本研究● での対象者 の平均年齢 は20.
6歳 で,身長 ,体重お よび
BMIは,同年齢者 の全国的な平均値 ( 健 康 ・栄養情報研究会,
2001 ) とほ とん ど同 じであ り,平均的な集 団 と判断 され た。
1.女子の結果
①体型不安
3群 と
BMl ,食行動 との関連 について
体型不安尺度 の合計得点 を基 に低得点群,中間群,高得点群 と
3群 に分 け,一元配置分散分析 を行 っ た。群の切断点は合計の平均点
±0.5標準偏差 とした。
14‑33点の46 名 を低得 点群 ,40‑48 点の55 名 を 高得点群 ,残 りの46 名 を中間群 とした。結果 は表
1に示 した。
表 1 女子の 「 体型不安」における各群の平均 と標準偏差及び分散分柿 低得点群 中 間 群 高得点群
尺 度
(n‑46) (∩‑46) (n‑55) F値 有 意 な 群 間 差
BMI 19.70 20.54 21
.39 5.95**低 く高** *
(2.81) (2.45)
(1
.97)痩せ願望
8.85 11.13 13.78 70.67***低 く中** * 低 <高***
(2.3
1 )
(2.31 ) (1
.65)中 <高***
摂 食 コ ン ト ロ ー ル
16.27 17.57 20.31 10.30***低 く高** * 中<高* *
(4.46) (3.74) ( 5.22)カ ロリー‑の とらわれ
9.42 11.24 14.02 22.84***低 <中* 低 <高* **
(3.22) (3.39) (3.60)
中<高***
*p
く
・05,
**p〈・01,
***p〈・001BMI
については,体型不安が高い群 になるほ ど
BMIが大 きい とい う結果 になった。 しか し,各群 の
BMIの平均値 は どれ も普通体型 め範囲であ り,それ ほ ど大 きな差 はな く,健康上か ら見れ ば特 に問題のある数値
(BMIが25 以上になると肥満 と判 定 され,各種の疾病 ・異常の合併率が高まる)ではなかっ た。 この こ とよ り, 自己の
BMIの大 き さが体型不安̲に影響 を及 ぼ しているが,体型 を評価す る際に基 準 となるのは,BMI
25以上が病気 にな りやす く肥満 と定め られ てい るか らといった健康 との関わ りを参 考 とした ものではな く, もっ と低 い値 を理想 としてい ろと考 え られた。つま り,体型 に対す る自己評価 は,健康 の面か ら考 えると必要以上 に低い ことが示 された。
体型不安が高得点の群 は;低得点群 よ りも痩せ願望が多 くあ り,また,摂食 を抑制す る傾 向が見 られ, カ ロリー を気 にす る傾 向 も高い。体型不安が高い群 ほ ど,痩せ‑の願望や肥満 になるこ< とを恐れ る傾 向
‑ 7‑
が強 く,また,カ ロ リー を念頭 において食物 を選択す る傾 向 も強い。摂食 コン トロール については,高 得 点群 が低 ・中得 点群 よ り高 く有 意 差 が 見
られ た こ とか ら,体型 不安 が過 度 に高 くな けれ ば摂 食 の量 を抑 えた り拒 否 す る傾 向 は 低 い と言 え る。 つ ま り,体型 に対 す る不 安 が 中程 度 に な る と, カ ロ リー とい う視 点 か ら摂 取 す る食 物 を選 択 す る よ うにな り, 不 安 が過 度 に高 ま る と,食 物 の選 択 だ けで な
表
2女子の身長.体重,
BMlN 最小値 最 大値
平 均
標 準偏差 身長cm 148 145.00 173.00 15
9.02 5.32 体重
kg
143 38.00 90.00 51.96 7.72 BMⅠ 143 15
.63 31.14 20.54 2.51
く拒否や抑制 といった摂取量の制御 もす るよ うになる と言 える。
②
BM13群 と体型不安,食行動 との関連 について 表
2は女子 の身長 ,体重,
BMIである。実際の体型
と他 の尺度 との関連 を見 るた めに,
BMIを高群 , 中群 ,低群 と
3群 に分 け,一元配 置分散分析 を行 っ
た。群 の切断点 は合計 の平均点
±0.5標 準偏差 とし た。
19.29未満 の者42 名 を低群,2 1
.80以上の者35 名 を高群
,残 り
64名 を中群 とした。結果 は表
3に示 し た。 表
3女子の
「BMl」における各群の平均 と標準偏差及 び分散分析
低 群 中 群 高 群
尺 度 (
n‑42)(
n‑46)(
n‑35)F値 有 意 な 群 間 差 体型不安
32.39 37.74 38.89 13.99***低 <高*** 低 <高***
(6.64) (5.93) (5.07)
痩せ願望
18.77 21
.72 19.54 4.21**低 く中*** 低 く高***
(5.4
1 )
(2.31) (5.24)摂 食 コ ン ト ロ ル
(1左:27等) (1g:33) (1…:60宇) 1・88
カ ロ リー‑の とらわれ
10.79 12.11 12.001
.61(4.13) (4.0
1 )
(3.30) *pく
.05,
**p〈.01,
***pく
.001体型不安 は
BMIが低 い群 が低 く, 中,高群 は
高かった。 中群 と高群 の有意差 は見 られ なかった こと か ら,
BMIが普通以 上で あれ ば,体型 に対 して
他人 か らの評価 を気 に した り不安 に思 った りす るこ と が同程度 に高い と言 える。痩せ願 望 について も,
体型不安 と同様 ,低群 が低 く,中 ・高群 は高い傾 向が 見 られ た。
BMIが普 通以上 にな る と,体型 に対
して他 人か らの評価 を気 に した り不安感 が高 ま るの と 同時 に,痩せ たい とい う願 望や肥満 に対す る抵抗
感 が高ま る傾 向が見 られ た。つま り,体型不安や痩せ 願 望 は,体型 に応 じて徐 々に高 くなってい くので
はな く,境 目は低群 と中群 の間にあって,普通体型以 上では体型不安や痩せ願 望の程度 は変わ らない とい
うこ とを表 してい る.. この ことは,現代社会 におい て,女性 は痩せ た体 を理想 としもて嚇す風潮 か ら,普通体型 であって も痩せ 体型 でない とい うこ と
に敏 感 に反応 し不安 を感 じてい る と考 え られ る.. 一方 ,摂食 コン トロール尺度 とカ ロ リー‑ の とら
われ尺度 については,
BMIの
3群 とも有意差 は見 られ なか った。 これ は,体型 が,摂食 の仕方 を抑
制 した りカ ロ リー とい う観 点か ら食 べ物 を選択す ると い う行動 と関係 してい るのではない ことを示 して
い る。つ ま り,客観 的 には痩せ てい る と判断で きる体
型 であって も,痩せ るた めの行動 を起 こ してい る人 もいれ ば,
うな行動 を起 こ してい ない人 もお り,その割合 は実際の体型 とは関係 がない こ とを意味 してい る。 女性 にお ける減 量のための摂食行動 は,本来 あるべ き体型 を基準 に■ して判断 され てい るのではな く,別 な要 因を . =よって規定 されてい るこ とが示唆 され た.摂食態度 と実際 の体型 との関連 が見 られ ない こ とは,大 関 (
1996)の研究の結果 と一致 してい る.2.男子の結果
①体 型不安
3群 と
BMl ,食行動 との関連 につ いて ‑
女子 と同様 ,体型不安尺度 の合計得点 を基 に低得点群 , 中間群 ,高得点群 と
3群 に分 け一元配置分散 分析 を行 った。群 の切 断点 は合 計の平均点
±0.5標 準偏差 と した。
12‑25点 の22 名 を低得 点群 ,26‑32 点の2
4名 を中間群
,33‑46点の20 名 を高得点群 とした。表 4は,体型不安 と他 の尺度 とで分散分析 を行 っ た結果 で ある。女子の結果 と比較 しその違 い も見てい く。
表
4男子の 「 休型不安 」 における各群の平均 と標準偏差及 び分散分析 低得 点群 中 間 群 高得点群
尺 度
(n‑22) (n‑24) (n‑20) F値 有 意 な 群 間 差
BMI 21
.89 21
.63 23.57(2.07) (3.16) (3.78)
2.25**
痩せ願望
5.86 8.26 11.67 34.89***低 <中** 低 <高***
(2.12) (2.01) (2.7
1 ) 低 <高**
摂 食 コ ン ト ロ ー ル
12.82 15.13 16.71 5.81***低 <高**
(3.46) (3.46) ( 4.39)
カ ロ リー‑ の とらわれ
6.68 9.21 11.33 13.12***低 <中** 低 <高***
(2.21) (3.01) (3.60)
*p〈.05
,
**p〈.01,
***p〈.001BMI
につ いては,女子 は群 で平均値 に有意差 がでていたが,男子 は有意差 が見 られ なか った。 つ ま り体型不安 と実際の体型 については関連 がない こ とか ら,体型 不安 を規定す る要因は別 な もので ある と 考 え られ た。
体型不安 が高得点の群 は,低得点群 よ り も痩せ願 望が多 くあ り,また,摂食 コン ト ロール の行動 を とる傾 向が見 られ , カ ロ リ ー を気 にす る傾 向 も高 い。男子 の場合 も, 体型不安 が高い と,痩せ願 望 を持 ち,摂食 を コン トロール した り,カ ロ リー につ いて
表
5女子の身長 ,体重,
BMI人数 最小値 最大値 平 均
標 準偏差 身長cm 70 160.00 188.00 1
71.91 .66 体重
k g
・70 48.00 96.00 ・66.00 10.75 BMⅠ 70 17
.92 30.85 22.29 3.12
気 を使 ってい るよ うで あ る。カ ロ リー についての と
らわれ の平均得点 は,低得 点群 が他 の群 よ りも低 く, 中間群 と高得点群 では有意差 が見 られ なかった こ
とか ら,体型 不安が中程度 を過 ぎるとカ ロ リー‑の と らわれ が強 くな り,そ の程度 は過度 に高 くなって も変 わ らない。 しか し,摂 食 の抑制 につ い て
は,不 安 が過 度 に な るま で は あ ま り高 くな らない。
② BM13
群 と体型不安.食行動 との関連 につ いて 表
5は男子 の身長 ,体重,
BMIであ る。実際の体型
と他 の尺度 との関連 を見 るために,
BMIを高群 , 中群 ,低 群 と
3群 に分 け,一元配置分散分析 を行 っ
た。群 の切 断点 は合計 の平均 点
±0.5標 準偏差 とし
た。20
.73未満の者1
6名 を低群,2
3.85以上の者2
6名 を高群,残 り
28表
6男子の
「BMI」における各群の平均 と標準偏差及び分散分析
低 群 中 群 高 群
尺 度 (
n=26)(
n‑28)(
n=16)F値 有 意 な 群 間 差 体型不安
27.96 27.96 32.40 2.05(7.25) (7.77) (7.18)
痩せ願望
(1喜:払 (12:2g) (12:?i) 1・18摂 食 コ ン ト ロ ー ル
13.35 15.54 16.38 3.55*低 <高*
(4.31) ( 3.53) ( 3.90)
カ ロ リー‑の とらわれ
8.19 8.79 11.13 3.96*低 <高*
(3.06) (3.46) (3.69)
*p
く
.05,
**pく
.01, ***
,pく
.001 BMIの大 き さは,体型不安 の得点についてはやや高群が高い よ うであ るが有意差 は見 られ なか っ た ことか ら,直接結びついていない。 また痩せ願望尺度で も
3群間で有意差が見 られ なかった ことか ら,
BMIの大小 には関係 がない と言 える。摂食 コン トロール,カ ロ リー‑ の とらわれ の因子 では, どち らも高群が低群 よ りも得点が高い。以上の こ とか ら,男子 の場合 ,
BMIの大 き さは,体型 に対 す る不安や痩せたい とい う願望 とは結びついていないが,摂取す る食物 をカ ロ リー とい う観点で選ん だ り,拒否 した りとい った行動 と関係 があるといえる。この ことは,男子 に とって肥満 になることは,
自己の健康 の面か ら良 くない ことであるか ら摂食 の行動面で気 を付 けるのであって,他人の 目を気 に して痩せたい とい う風 に考 える人が少 ないのではないだろ うか。他人の評価 を気 に しそれ に左右 され る女子 とは異な り,男子の摂食行動には
BMIの大 きさが関係 してい ることが示唆 された0
3.
男女差 につ いて
男女差 について検討す るために男女それぞれ に各尺度の合計得点を算出 し,平均値 で
t検定 を行 っ た。結果 を表
7に示す。 い くつ かの尺度 で合 計の平均得点 に有意差が認 め られ た。
BMIは男子 の方 が大 きい こ とが示 された。摂食 に関す る尺度 は,すべて女子の方が平均得点が高い とい う結果 であっ た。 また,体型不安尺度 においては合計得点ばか りでな く,
12項 目中
11 項 目において女子の得点が高 い ことが示 された ( 表
8)。男女 で有意差 の見 られ なかった項 目は
「4.自分 の体重や筋 肉の付 き具 合 の ことで他人にあま りよく評価 されていない と思 うことがある」の
1項 目のみであった。女子の方 が体型 に対 して満足度 が低 く, よ り注意が向け られ ていると言 えや.女子 の方が痩せ願 望や肥満‑の 恐怖感 をよ り強 く感 じてお り,その太 りた くない とい う意識 が,食物 を選 んで摂取 した り量 を抑 えた
りといった食べ方 に も直接 関係 してい ると考 え られ る。
表 7 全尺度の平均得点の男女差の比較
項 目
人数平均 .女
(SD) 人数男
t値 男女差
有意な平均
(SD)BMⅠ 143 20.54(2.51) 70 22.29(3.12)
4.09
女く 男* * * 体型不安
147 36.60(6.45) 66 28.97(7.58) 7.10
女〉 男* * *
痩せ願 望 149 ll.36(2.93) 708.51(3.23) 6.24
女〉 男* * * 摂食コン トロ. ‑ル
146 18.23(4.85) 70 14.91(4.06) 5.26
女〉 男事 * *
カロリー‑のとらわれ
146 ll.69(3.89) 70 9.10(3.51) 3.表
8体 型 不安尺 度の項 目毎 平均得 点の 男女差 の比較
No項 目託 人数 平均女 (SD) 人数 男 ‑t値 男女差有意な 平均 (sD)
1 148 3.16(.82.) ・7,0 2.30(1.08)
5.86女 〉男 ***
2 148 3.31(.8‑1) 70. 2.5
6(.99) 5.57女 〉男 ***
3 149 3.30(.88) 68
2.29(1.17) 6.33女 〉男 ***
4 149
2.44(.93) 70 2.26(.97) 1.34 5 149
3.43(.70) 70 2.91(.85) 4.43女 〉男 ***
6 148 2.93(.93) 70 2.29(1.02) 4.44.女 〉男 * 7 149 2∴57(.97) 69 1.90(.89) 5.0 **
2女 〉男 ***
8 149 3.13(.88) 69 .2.70(.96
) 3.17女〉男 ***
9 149 3.19(.87) 70 2.53(
1.05) 4.59女 〉男 ***
10 149 2.77(..95) 70
2.23(1.05) 3.63女 〉男 ***
ll 148. 2.87(.
80) 70 2.31(:96) 4.24女 〉男 ***
121 149 3.48(.72) 70
2.47(1.13) 6.84女 〉男 ***
註 :附録 1の尺度 の項 目番 号 に対応
*pく.05 **pく.01 ***pく.001
Ⅳ.まとめ 体型不安 の高低 に よ り,摂食行動 の傾 向が どの よ うに異
なるか,また
BMIの違いによ り摂食態度 の 傾 向が どの よ うに異な るかを明 らか にす ることを 目的 と
し,大学生 を対象 に調査 を行 った ところ,以下 のよ うな結果 が得 られ た。
1.女子 は,体型不安 に 自己の
BMIの大 きさが影響 を及 ぼ してい る
が,体型 を評価す る際に基準 と なるのは,
BMI25以上が肥満 といった健康 との関わ りを参考
とした ものではな く, もっ と低 い値 を 理想 としてい ると考 え られた。
2.女子 は,体型 に対す る不安が 中程度 になると,カ
ロ リー とい う視点か ら摂取す る食物 を選択す る よ うにな り,不安が過度 に高まる と,食物
の選択だけでな く拒否や抑制 といった摂取量の制御 もす る よ うになる と言 え
る。
3.女子 の減量のための摂食行動 は,体型 を基準 とし判断 され るものではない と言 える。
4
.
男子 の体型不安 は,
BMIの大 きさに影響 され ない ことが示 された。
5.
男子 の痩せ願望が体型
不安の高ま りによ り徐 々に大 きくなるのは,女子 と同様であ った。摂食 コ ン トロール は女子が高得点群
で,低 ・中群 と有意に高いのに対 し,男子 は高得点群が低得点群 に比べ 有意 に高いのみであ
った。 また,カ ロ リー‑の とらわれ は,女子が体型不安が高まる; につれ高 くなっ ているのに対 し,男
子では低 ・中群では低 く,高得点群 になる と高 くなることが示 され た。
6.
男子の摂食行動 には
BMIの大 き さが関
るか ら摂食 の行動面で気 をつ け るのであって,他人の 目を気 に して痩せ たい とい う風 に考 える人は少 ないのではないか と考 え られ た。
7.
男女差 につ いて検討 を行 った ところ,摂食 に関す る尺度 はすべ て女子 が高か った。 また,体嬰不 安尺度 においては,合計得点 ばか りでな く,1
2項 目中1 1 項 目において女子 の得点が高い ことが示 され た。 有意差 の見 られ ない項 目は 「自分の体重や筋肉の付 き具合 の ことで他 人 にあま りよ く評価 され て い ない と思 うこ とが あ る
」の
1項 目のみで あった。女子 の方 が体型 に対 して不安感 が強 く,太 りた く ない とい う意識 が食物 を選 んで摂 取 した り量 を抑 えた りといった食 べ方 に直接 関係 してい る と考 え ら れ る。
Ⅴ.
参考文献
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3 p.111
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,
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2(5)・安田智子
1999摂食態度 と性格特性の関連について 追手門学習院大学心理学論集
7 p.19‑26‑ 12‑
附録1
体型不安尺度
非
常にあ て
はま る
や や あ て
はま る
や や あ て
はま ら な
い全 く あ て
はま ら な
い*1.
自分 の体型 について特 に不都合 は感 じていない。
*2.やせ過 ぎ,あるいは太 り過 ぎに見 える服 を着 て も全然気 にな らない。
3.
自分の体型 を気 に しな くてよかった らなあ と思 う。
4.
自分 の体重や筋肉の付 き具合 の ことで他人 にあま り評価 されていない と思 うことがある。
*5.鏡 を見てなかなか よい体型だ と思 う。
6.時 々 自分の体型 の悪 さが気になって仕方ない こ とがある。
7.他 人が一緒にい ると自分の体型が気 になって しま う。
8.
自分 の体型 が どんなふ うに他 人 の 目に映 ってい よ うと特 に気 に しな
い。
9.
自分の体型 について他人が何 か言 っていることがわかった ら嫌 な気が す る。
10.体型 がはっき りす るよ うな格好 をす るのは恥ずか しい。
*11
. 自分の体型が他人に見 られてい ることがはっき り分 かって も落 ち着い てい られ る。
12.水着 を着 ると体型が気 になる。
( *逆転項 目)
‑ 1 3 ‑
111111111111 222222222222 333333333333 444444444444
摂食態度傾 向尺度
痩せ願 望
非
常にあ て は ま る
や や あ て は ま る
や や あ て
はま ら な い
全 く あ て
はま ら な い
3.太 るのが とて も恐い。
13.
もっ と補足な りたい とい う思 いで頭 がいっぱいである。
18.
自分 は身体に脂肪がつ きす ぎてい るのではないか と思 う。
4 1 .他 の人はみんな私 よ り細い と思 う。
摂食 コン トロール
1111 2222 3333
4 4 4 4
7.
自分が食べ る食物のカ ロリーが気 になる。
8.炭水化物 (
パ ン, ご飯 な ど)は食べ ない よ うに特に気 をつ けている。
14.カ ロ リー を燃焼 させ るために,一生懸命運動す る。
25.私 は食べ物の ことに関 しては, 自己規制 を しているつ も りだ。
29.甘い物 を食べた後,気 になって仕方 ない。
30.ダイエ ッ トに取 り組 んでい る。
34.おい しそ うな物が 目の前にあって も我慢す る。
*36.食 べたい物 を我慢 してやせ る くらいな ら食べた方がいい と思 う
( *逆転項 目)
カ ロ リー‑の とらわれ
11111111 22222222 33333333
4 4 4
44 4 4 4
2.
食べ る前 に,太 るのではないか と不安 にな る。
14.食 べた後,食べなけれ ばよか った ととて も後悔す る。
16.運動 している とき,カ ロリー が燃焼 してい ることを考 える。
38.低 カ ロ リーの物 を選 んで食べ るよ うに してい る。
39.食事 をす る ときは食物 のカ ロ リーが気 にな る。
‑ 14‑
11111 22222 33333