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学 位 論 文 審 査結 果 の 概 要 氏 名

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Academic year: 2021

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様式第8号(第18条,第36条関係)

学 位 論 文 審 査 結 果 の 概 要

(おう じん)

学位論文審査委員氏名

主査 官 国清 副査 阿布 里提 副査 吉田 曉弘

副査 久保田 副査 市村 雅一

Efficient transition metal oxides-based catalysts for the catalytic oxidation of volatile organic compounds (VOCs)(揮発性有機化合物(VOCs)の酸化分解 用高性能遷移金属酸化物ベース触媒の開発)

審査結果の概要(2,000字以内)

トルエンやアセトアルデヒドなどの揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds; VOCs)は大気 中への排出により光化学オキシダントを引き起こし、環境に悪影響を及ぼす。さらに、VOCs はシッ クハウス症候群や化学物質過敏症などの健康障害の原因にもなる。そのため、VOCs を二酸化炭素と 水に完全分解し、無害化することが強く求められている。本研究では、低温でVOCsを完全酸化でき る安価な触媒を開発するために、高活性かつ低コストな遷移金属触媒を電着法により金属フォーム上 に少量付着させることで、高性能かつ安価な VOC 分解触媒の開発を試みた。開発した触媒は活性成 分の有効利用率が高く、優れた触媒活性と安定性を示し、実用化が有望視される。本論文は英語で書 かれており全部で6章から構成されている。

1章には、VOCsの分類と環境への影響、VOCsの除去方法、VOCsの酸化分解用触媒の現状、VOC の触媒酸化機構、課題解決に向けた取組みについてまとめ、本研究の目的と意義を記している。

2章には、簡易な電着法を用いて3次元ニッケルフォーム(NF)表面に様々な元素をドープした Co酸化物触媒を被覆した触媒の調製と、これを用いたトルエンの接触酸化実験の結果を記した。各元 素のドーピングが触媒性能に及ぼす影響を検討した結果、H2-TPRおよびO2-TPD分析から、適量のド ーピングにより触媒上の格子欠陥や易還元種が形成され、酸素移動の促進や触媒の低温還元性を高め ることで触媒性能を向上させることを明らかにした。特に、純粋な Co3O4/NF 触媒と比較した場合、

Co-Cu/NFの混合金属酸化物触媒は、低温還元性を有し、表面と格子酸素種および混合金属酸化物の相

互作用によって多くの活性 Co3+種を形成するため、より低温(248℃(T90))でトルエンを酸化できるこ とを明らかとした。さらに、水蒸気の存在下においても優れた触媒安定性とCO2への高い選択性も示 した。一方で、NiMnなど金属の過剰ドーピングは、触媒構造に悪影響を及ぼすことを明らかにし た。

3章には、ユニポーラパルス電着法(Unipolar pulse electrodeposition (UPED))を用いた3次元NF 表面上へのナノシート状Co-Ce 混合酸化物触媒の形成と、これを用いたVOC分解反応について記し た。この触媒について、H2-TPR分析によって、CeドーピングがCo-Ce/NF触媒の還元性を大きく改善 することを明らかにした。Co/Ceのモル比が10の初期溶液で調製された10Co-Ce/NF触媒は調製した

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触媒の中で最高の性能を示し、トルエンの完全酸化温度は268ºCに低下した。また、CO2選択性は100%

であった。これは、均一なナノシート構造の優れた物理化学的特性と、表面および格子の活性酸素種 の増加、触媒内の多くの酸素空孔に伴うCo3+活性種の増加およびCe4+/Ce3+レドックスカップルの効果 と考えられる。さらに、10Co-Ce/NF触媒は、水蒸気の存在下でも長期安定性を示した。

4章には、NFと同様の3次元構造を有する銅フォーム(CF)を触媒担体として用いた3段階の 電気化学プロセスによるAg-CeO2 @ CNWs/CF触媒の調製とそれを用いたVOC分解反応について記し た。触媒担体が触媒の物理化学的特性および触媒性能に重要な役割を果たすため、本研究では、まず Cuのナノワイヤー(CNW)を電気酸化プロセスによってCF表面に形成し、その後、UPED法によっ CeO2を均一にCNWにコーティングし、最終的に高分散Agナノ粒子を定電圧電着法によってCeO2

の表面に埋め込んだ。適量の Ag 添加により、低温還元性、酸素空孔の生成、表面酸点の分布が効果 的に促進され、トルエンの接触酸化能が向上することを明らかにした。特に、80秒のAg電着時間で

得られた80Ag-CeO2@CNWs/CF触媒は、トルエンの酸化温度が約256℃(T90)まで低下した。さら

に、水蒸気の有無に関わらず長期安定性も示すことも明らかにした。

5章には、CF Cuナノワイヤー上へ電着法によりMn-Co混合金属酸化物を均一にコーティン グした触媒の調製とそれを用いた VOC 分解反応について記した。本触媒は、単一金属酸化物よりも 高い性能を示し、特にMn/Coモル比が10:1の初期溶液で調製した0.10Mn-0.01Co/CF触媒は最高の 触媒性能を示し、トルエン酸化温度を約251℃(T90)まで低減した。さらに、水蒸気の存在下でも優 れた触媒安定性を示した。本触媒では、MnCoの酸化物ナノクリスタルが密接すること、及び表面 の活性酸素種及び酸化活性な Mn4+ Co3+種がナノクリスタル化によって増加したことが高活性化に 寄与することを明らかにした。

6章は結言であり、本論文で明らかにした知見をまとめるとともに、今後の展望を述べている。

以上を要約すると、本論文には容易な電着法を用いた高性能な VOC 酸化用遷移金属触媒の開発と 開発した触媒を用いた VOC 分解反応について記載しており、得られた知見は実用化に適した低コス トなVOC酸化触媒の開発に大きく寄与するものと考えられる。

本研究の成果は、学位論文の基準を満たす内容を有するものとして、合格に相当すると認められる。

学位論文の基礎となる参考論文

1. Jing Wang, A. Yoshida, P. Wang, T. Yu, Zh. Wang, X. Hao, A. Abudula, Guoqing Guan, “Catalytic oxidation of volatile organic compound over cerium modified cobalt-based mixed oxide catalysts synthesized by electrodeposition method (電着法により合成されたセリウム修飾コバルトベース混 合酸化物触媒上での揮発性有機化合物の酸化),” Applied Catalysis B: Environmental, 271 (2020) 118941.

2. Jing Wang, P. Wang, Q. Zhao, T. Yu, X. Du, X. Hao, A. Abudula, Guoqing Guan, “Highly dispersed Ag nanoparticles embedded on the surface of CeO2/CF nanowires derived from three-dimensional structured Cu foam for toluene catalytic oxidation(三次元構造を有するCu発泡体に形成したCeO2 / CFナノワ イヤーの表面に埋め込まれた高度分散したAg ナノ粒子を用いたトルエン触媒酸化),” Molecular Catalysis, 486 (2020) 110879.

3. Jing Wang, P.Wang, A. Yoshida, Q. Zhao, S. Li, X. Hao, A. Abudula, G. Xu, Guoqing Guan, “Mn-Co oxide decorated on Cu nanowires as efficient catalysts for catalytic oxidation of toluene(Cuナノワイヤ上 に形成されたMn-Co酸化物を用いたトルエンの高効率触媒酸化),” Carbon Resources Conversion, 3 (2020) 36-45.

参照

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