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石炭酸誘導体のカルボキシル化反応(第13報)
ジメチルホルムアミド中における m・アミノフェノールよりp一アミノサリチル酸 の合成
工業化学教室平 尾 一 郎
藤 本 勉
The Carboxylation of Phenol Derivatives. XIII Synthesis of p.Aminosalicylic Acid from m−Aminophenol in Dimethylformamide.
Ichiro Hirao and Tutomu Fujimoto
The carboxylation of a free m・aminophenol with carbon dioxide in N, N dimethyl−
formamide was attempted. It was found that in the presence of potassium carbonate,
sodium carbonate, potassium bicarbonate or sodium bicarbonate the reaction occurred,
and p−aminosalicylic acid and 4・amino−6・hydroxyisophthalic acid were obtained. The effects of the amount of potassium carbonate added, reaction temperature and carbon dioxide pressure on the yields of p−aminosalicylic acid and 4−amino・6−hydroxyisophthalic acid were also studied. p−Aminosalicylic acid was obtained in about 80% yield by heating m−aminophenol with potassium carbonate in N, N−dimethylformamide at 240°C for 2 hrs. under the initial pressure of carbon dioxide 5 kg/cm2.
1緒言 試薬を水一メタノールから再編してmp 124〜
5.5°C(分解)のものを用いた。炭酸リチウム,
著者らはさきにm一アミノフェノールカリウム 炭酸ナトリウム,炭酸カリウムは市販一級試薬 およびナトリウムは極性非プロトン溶媒であるジ を減圧下に十分加熱乾燥して,炭酸水素ナトリ
メチルホルムァミドに容易に溶解することを見出 ウム,炭酸水素カリウムは市販一級試薬を減圧デ し・またジメチルホルムアミド中で二酸化炭素と シヶ_タ_中で十分に乾燥して用いた。ジメチル
煕君魂㌶鷲㌫墓:㌫ご罐二竺籠㌶こ業:驚貫
の反応条件について検討し報告した1)。
入りのものを用いた。
本報では工業的見地から,m一アミノフェノー
ルアルカリ塩のか籾に繊のm一ア,ノブエノ 2・反応操作m アミノフェノーノレ7・49・
一ルを用いてジ.チルホルムア,ド中で二酸化炭,炭酸ア・レカリあるいは炭酸水素アルカリの所題 とジメチルホルムアミド709を容量300ccの電
素によるカルボキシル化を試みた結果,炭酸アル
カリあるいは炭酸水素アルカリの存在下に反応が 磁かきまぜ式オートクレーブに吸湿させないよう
進むこと硯出し,反応条件について検討したの にすばやく入れ,かトクレープ中の空気を二酸で,その結果について報告する。 化炭素で置換し・かきまぜながら二酸化炭素を十
分に吸収させ,所定の二酸化炭素圧下に2時間加
皿 実験方法 熱した。所定温度に達するまでに15〜20分を要し
1.試薬In一アミノフェノールは市販の一級 た。94
3.後処理および生成物の分離定量 反応停止 ち,反応混合物を取り出して図1に示す処理をし
後,オートクレープ中の二酸化炭素を放出したの てA,B, Cの各成分に分離した。既報1)と同反応混合物
水層 工一テル層
タ摘物
ロヌ夜 :史でん A
櫟翻H1県下B
0液 ラ促でん
C図1 反応混合物の後処理
様にAは未反応のm・アミノフェノールであり, キシル化反応におよぼす効果を検討し,その結果 沈でんBおよびCについては緩衝液(pH 11)中 を表1に示した。
で紫外線吸収スペクトル法,すなわち波長276
mμ(スリット巾0.24mμ),299 mμ(スリット 表1 添加物の効果 巾0.19mμ)における吸光光度法でp・アミノサ
リチル酸と4・アミノー6一オキシイソフタル酸を定 量した。
皿 実験結果および考察
1.添加物の効果 遊離のm一アミノフェノー
ルのジメチルホルムアミド溶液を二酸化炭素初圧 5kg/cm2および20 kg/cm2の加圧下に加熱した がいずれの場合にもm一アミノフェノールのカル ボキシル化生成物であるp・アミノサリチル酸を 確認出来なかった。しかし反応系に炭酸カリウム を添加して同様に二酸化炭素加圧下に加熱反応さ せるとp・アミノサリチル酸および4・アミノー6一 オキシイソフタル酸が生成し,遊離のm一アミノ
CO2 PAS
AOI
添 加 物 (kg/cm2) 初 圧
収率(%)収 率
(%)な し 5 0 0
20 0 0
炭酸リチウム
5 0 0
20 0 0
炭酸水素ナトリウム 5 1.4 0
20 2.0 0
炭酸ナトリウム
@!20 1 5 i 1.0
Q.3
00.]
炭酸水素カリウム
@ 1
15 20 4.1
P0.5
00.1
炭酸カ リウム
5 49.1 5.8 i 20 48・31 10.4 添加量m一アミノフェノールの5倍モル
フェノールを用いても適当な炭酸アルカリが存在 反応温度180。C すればヵルボキシル化反応が進行することを認め 反応時間 2hrs
た。そこで種々の炭酸アルカリおよび炭酸水素ア PAS=p.アミノサリチル酸
ルヵリを添加してm一アミノフェノールのカルボ AOI=4・アミノー6一オキシイソフタル酸
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リチウム,ナトリウムおよびカリウムの炭酸塩 でのカルボキシル化反応におよぼす炭酸カリウム の効果を比較すると炭酸リチウムを添加した場合 の添加量の影響を検討し,その結果を図2に示し は二酸化炭素初圧5kg/cm2,20 kg/cm2のいず た。 m一アミノフェノールと当モルの炭酸カリウ れの場合にもカルボキシル化生成物は認められな ムを添加したときのp一アミノサリチル酸の収率 かったが,炭酸ナトリウム添加の場合には少量な は27.9%であったが炭酸カリウム添加量の増加と がらp一アミノサリチル酸が生成し,二酸化炭素 ともにp一アミノサリチル酸の収率も増大し,炭
初圧20kg/cm2では微量の4一アミノー6一オキシ 酸カリウム添加量が5倍モル付近で極大となっイソフタル酸の生成も認められた。炭酸カリウム た。一方,4一アミノ・6一オキシイソフタル酸の収 添加の場合は炭酸ナトリウムの場合に比べてP一 率は炭酸カリウム添加量の増加とともに漸次増大
アミノサリチル酸の収率は著しく増大し,二酸化 した。
炭素初圧20kg/cm2の場合には4一アミノ・6一オ 3.反応温度の影響 ジメチルホルムアミド中 キシイソフタル酸もかなり生成し,炭酸カリウム でm一アミノフェノールに対して5倍モルの炭酸
のカルボキシル化反応におよぼす効果は顕著であ カリウムを添加して遊離のm・アミノフェノール った。このように炭酸アルカリのアルカリ金属の を用いた場合のカルボキシル化反応におよぼす反
促進効果はリチウム,ナトリウム,カリウムの順 応温度の影響を検討し,その結果を図3に示しに増大したが,この反応系においては炭酸塩のジ 100
メチルホルムアミドに対する溶解1生も影響するも
のと考えられる。 80
炭酸水素ナトリウムの効果は炭酸ナトリウムと 袋 ほぼ同程度と考えられる。炭酸水素カリウムの効 60 果は炭酸水素ナトリウムに比べて若干大きいが炭 帝
40酸カリウムと比べるとかなり小さい。 塁
2.炭酸カリウム添加量の影響 遊離のm一ア20
ミノフェノールを用いてジメチルホルムアミド中
0
140 180 220 260
40
@ 漂6う講賠.旧1°2驚.t篇婦》 30
0 4・Tミノ.6●う(キうイソフタル璽慮L図3 反応温度の影響 侍20
た。p一アミノサリチル酸の収率は240°Cまでは
鋲
10 反応温度の上昇とともに増加し,240°Cでは約
80%の収率でp一アミノサリチル酸が得られた。
o さらに反応温度を上昇させると収率の急激な低下
o i 3 5 7
がみられ,240°CをこえるとP一アミノサリチル
K2CO3/而・了ミノフェ 一ル(猟ol/術01)
酸の分解反応がはげしいものと考えられる。この
霊霊蹄:㎡原蹴18°㍗ ようにP一ア・ノサリチル酸の収率は24°°Cまで
@p.了ミけり与1嘩 は増加していることからこの範囲内ではカルボキ
04 了ミノー6一焙シイソフタ 畷 シル化反応はかなり速やかに進行しており,した
図2 炭酸カリウム添加量の影響 がって二次的なカルボキシル化生成物である4・
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アミノー6・オキシイソフタル酸の収率も反応温度 系においてm一アミノフェノールのアルカリ塩を の上昇とともに増大するものと期待されるが,実 経由してカルボキシル化がおこるのか,或いは遊 験結果は反応温度の上昇とともに減少し,240°C 離iのm一アミノフェノールが直接カルボキシル化 では極めて少量生成したに過ぎなかった。これに されるかについては明らかでないが,カチオンと 関しては4一アミノー6一オキシイソフタル酸はp一 溶媒和し易いジメチルホルムアミド中では炭酸カ
アミノサリチル酸に比べて熱的にかなり不安定 リウムの解離によつて生じたカリウムイオンに二 で,恐らく脱カルボキシル化によりp一アミノサ 酸化炭素が付加し,これがカルボキシル化剤とし
リチル酸を生成するものと推定している。 て作用する経路も考えられる。
4.二酸化炭素圧の影響 二酸化炭素初圧と 以上のようにジメチルホルムアミド中でのm−
p一アミノサリチル酸および4一アミノー6一オキシィ アミノフェノールのカルボキシル化反応におい
ソフタル酸の収率の関係を図4に示した。二酸化 て,あらかじめm一アミノフェノールカリウム或いはナトリウムを調製することなく,遊離のm一 アミノフェノールを用いて過剰の炭酸アノしカリ,
50
とくに炭酸カリウムの存在下に二酸化炭素加圧の
もとで反応させてもカルボキシル化反応は進行 一 40 し,好収率でp一アミノサリチル酸を合成するこ) とが出来た。
30 終りに本研究に協力していただいた松浦聡朗,
湯地勇夫,田代昌秀の諸君に感謝いたします。 借
鼻 20
10
o
文 献
1) 平尾一郎,小杉善雄,松浦聡朗,弘中泰雄,有 合化 25,417(1967)
O り0 20 30 40
CO2初丘 (K9/cm2)
原旋時面2hrs., 丘庇遣度180セ
K2CO3/愉・了ミ,フェノ }レ 5 mot/凧01
● P一了ミ,サリ今ル酪
04−〒ミ戸6渓⇔イ・♪フ9ル戯 図4 二酸化炭素圧の影響
炭素初圧Okg/cm2,すなわち反応前に吸収した