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金融理論の変遷と発展

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金融理論の変遷と発展

その他のタイトル Recent Development in Monetary Theory

著者 尾崎 康夫

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 10

号 1

ページ 29‑56

発行年 1979‑01‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00022908

(2)

I 序 説

現代経済社会が,進歩した技術の適用と複雑な組織とのもとにおいて,各種の経済活動が計画

• 実施せられる貨幣経済社会であるということは,あらためて述べるまでもないことである。こ のような貨幣経済社会においては,経済的な諸活動の場において貨幣が広汎に活用せられる。す なわち,貨幣は,ただ単に,実物的な財貨や用役の非金融取引 (Nonfinancial Transactions)  の場において,通貨として使用せられるばかりではなく,金融取引 (Financial Transactions)  の湯において,貸借の対象となる資金となる。その上,この二つの種類の取引の問には,密接な,

相互依存関係が存在している。従って,このような貨幣経済社会を考察の対象とする場合には,

その内部において計画・実施せられる実物的な諸活動だけではなく,金融的な諸取引をも同時 に,考察・検討する必要がある。それと並んで, J.M.Keynesの経済理論を,近代的な,一般 均衡理論の枠組に当てはめたかたちでもって,展開するというこころみが,実行に移されている という状態にまで到達している。すなわち,このような試みを,まず,第一に,実行に移したの OscarLangeである。しかも,彼につづいて, LloydA. Metzler, Don Patinkin, R. M. 

Clowerおよび,その他の数多くの近代経済学者たちによって,同様な試みが,つぎつぎに,実 行せられ,それに伴なって,理論の精緻化が進められて来たD。 しかも, このような方向から遂 行せられて来た理論的な分析・検討によって収められた成果の一部として,経済的な諸活動の規 模と構成を管理・統制して行く上において,金融的な諸施策の立案・実施が,重要な影響を与え るということが再認識せられるようになって来た。その結果,上記の人達は勿論のこと,その他 の経済学者や経済専門家達の間において,金融的な諸施策の立案・実施が,現実の経済社会にお いて営なまれる, もろもろの,経済活動に対して, どのような影響を与え,効果を示すかという こと,および,金融的な諸施策の立案・実施によって到達し得る目標あるいは達成し得る目的等 を廻って,盛んな議論が展開せられた。しかも,これらの議論や研究の中の主要なものの成果は,

1)  Lange, 0. : Price Flexibility and Employment, 1944. 

Metzler, L. A.: "Wealth, Saving and the Rate of Interest,"  The Journal of Political Econ Y, LIX, No. 2, April 1951, pp. 93116. 

Patinkin, D, : Money, Interest and Price, 1956. 

(3)

それぞれの国において,報告書のかたちでもって,公刊せられている。これらの,数多くの報告 書の中でも,英国の Radcriffe委員会の報告書・米国の Commission on  Money and  Credit 

の報告書,ならびに,カナダの TheRoyal Commission on Bank and Financeが発表した報 告書の三つは,特に,有名である2)

ところで,これらの報告書は,これを精しく検討して見ると,それぞれ分析の仕方に関して,

二つの方向ないし傾向を見出すことが出来る。その第ーは,理論的な見地から,最も重要視せら れるべきものである。すなわち,今日では,貨幣理論の展開,あるいは,貨幣的な分析に当って,

しばしば,資本理論が適用せられるようになって来ているということである。すなわち,この種 の分析では,貨幣を,その他の資産と代替関係にある,資産の一種であると見なし,その上で,

現実に,幾莫の貨幣の保有を必要とするかという問題に対して,具体的な解答を導出する際に,

この問題の取扱い,あるいは,処理のために,資本理論の分析に当って適用せられている諸概念 が活用せられるという傾向ないし方向である。

これに対して,第二の傾向ないし方向は,分析・検討の重点が,従来の静学的な均衡分析から,

時問の経過に伴なって必要になって来る調整過程の分析と考察を重要視する動学的な分析に移向 して来ているということである。さらに加えて,金融理論に関しても,ただ単に,現実の経済的 ならびに金融的な諸事象の分析と解明に役立つにすぎないような理論であるに止まらず,実践的 な諸施策の立案・実施の際に,適切な指針として役に立つような理論であることが要請せられる。

何故ならば,経済的な諸施策の長所ならびに短所を比較・検討する場合には,ただ単に,個々の 具体的な施策が,経済的な諸変量に対して,窮極的に,どのような影響を与え,どのような効果 を示し,その結果,それぞれの経済社会において営なまれている経済的な諸活動の,全体的な規 模と構成を, どのような方向に変化させるかということを明らかにするだけでは不充分であって,

それと同時に,個々の具体的な施策を,何時,実施するのが最も適当であるかという,時期に関 する問題についても,適切な解答を示すものであるということが,要請せられるからである。

そこで,以下においては,上述のような, もろもろの要請を考慮した上で,つぎの 6つの問題 を,個別的かつ具体的に,考察・検討して行くことにする凡

ところで,この6つの問題の中で,まず第一に取上げなければならない問題は,現代経済社会 において,貨幣は,どのような役割を果しているか,という問題である。第二は,消費性向ある いは消費関数をめぐる理論的な問題である。第三は投資理論に関する問題である。第四は貨幣需 要の問題である。第五は貨幣供給を支配する諸要因の分析・検討の問題である。そして,最後に

2)  Committee on the Working of  the Monetary System (Radcriffe Committee): Report, 1959.  Commission on  Money and  Credit:  Money a Credit; Their  Influence on Jobs,  Prices and  Growth, 1961. 

Report of the Royal Commission on Bank a Finance,1964. 

3)  Johnson, H. G.: "Recent Develop:nent in  Monetary Theory,"  Essays in  Monetary  Economics,  1967, pp.  73103. 

‑ 3 0 ‑

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取上げなければならない問題は,金融的な諸施策の立案・実施に当って,今日,最も大きな影響 力を発揮する要因は何かということである。

そこで,以下においては,まず,これらの 6つの問題を,順次に,かつ,個別的に考察・検討 する。そして,最後に,これらの,個別的な考察・検討によって得られた, もろもろの結果を整 理し,綜合することによって,結論に到達することにする。

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現 代 経 済 社 会 に お い て 貨 幣 が 果 す 役 割

この節では,貨幣の役割あるいは機能を廻って, J.M. Keynes, A. C.  Pigou, Don Patinkin,  L. Cliffならびに Gurleyand Shaw等によって展開せられて来た議論を概観することにする。

Keyhesによれば,現代経済社会のような貨幣経済社会においては,現実に計画・実施せられ る経済的な諸活動,その中でも特に,取引活動は,その殆どすべてが,貨幣やその他の流通手段 を媒介とする間接交換という形態でもって,実施せられる。その結果,このような経済社会にお いては,例の,有名な, J.B.Sayの販路法則が,常に,妥当するという必然性はない4)。その 結果,現代経済社会において成立する均衡が,すべて,完全雇用均衡であるという必然性はなく,

むしろ,多くの場合,不完全雇用均衡であるというのが実態である。ところで, Keynesの「一 般理論」においては,周知の通り,貨幣賃銀水準を一定と仮定し,この仮定のもとにおいて,他 の経済的な諸変量の動きの分析・検討が実施せられた。その結果,この仮定は,さらに, Keynes 経済学の体系の中の,その他の構成要素と結合せられて,不完全雇用均衡の成立を支える,重要

な要素の一つになっている。それゆえ,もしも,伸縮的な貨幣賃銀を仮定するならば,その仮定 のもとで導き出される結論は,当然,上記のものとは異なったものになるはずである。ただし,

後者の場合に適用せられる理論や分析方法と,前者の場合に適用せられる理論や分析方法との間 には,本質的には,何ら,相違はない筈である。したがって, もしも,ケインズ経済学の体系に おいて,伸縮的な貨幣賃銀を前提にした場合にも,依然として,不完全雇用均衡が成立するなら Keynes経済学の体系は,いわゆる,古典学派 (TheClassical School)の経済学の体系と は,全く相異した,新しい体系であると,いわなければならない。

このように見て来ると, Keynes経済学は,はたして,ただ単に,現実の経済社会においては,

貨幣賃銀や物価が硬直的であるという実情を述べているにすぎないのか,あるいは, Keynes経 済学の理論そのものが,それ以前の時代に支配的であった経済理論(この節の場合,古典学派の 経済理論)とは,根本的に相異した,全く新しい経済理論であるか, どうかという問題に帰着す る。ところで,われわれが, Keynes経済学の体系において,伸縮的な貨幣賃銀を仮定するなら ば,この仮定のもとでは,二つの例外的な場合を除けば,完全雇用均衡を成立させることが出来 るという結論に到達する。この二つの例外的な湯合のうちの一つは,消費も投資も,ともに,利 子率の変動に対して,全く,反応を示さないという場合である。これに対して,例外的な場合の

4)  Keynes, J. M. : The General Theory of Employment, interest and Maney, 1936, p. 26.  31‑

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第二は,貨幣市場において成立する利子率が,完全雇用と両立する利子率の水準よりも高率であ るにもかかわらず,貨幣に対する需要が,利子率の変動に対して,無限大の弾力性を示す場合で ある。

ところで, もしも,名目的な貨幣供給量が一定であるという前提をおくならば,貨幣賃銀率や 物価の下落は, Keynesが示している賃銀単位 (Wage Unit), あるいは,購買力を尺度として 評価した,実質的な貨幣量の増加を意味する。従って,このような事情に基づいて,市場に流通 する,実質的な通貨量が増加するならば,それに伴なって,市場利子率が低下し,それと同時に,

財貨や用役に対する需要も,また,増大するであろう。しかしながら,このような理由に基づい て生じて来る利子率の低下や需要の増加は,ただそれだけの理由によって,常に,完全雇用均衡 の成立を保証するという必然性を備えてはいない。何故ならば,現実の経済社会には,完全雇用 均衡の成立を阻害するように働く,少なくとも,二つの有力な障害が存在しているからである。

このような障害の一つは,貨幣は,他の多くの財とは相違して,それを保有するために,持越費 用を保有者が負担する必要が,ほとんどないということである。その結果,市場の利子率が低い 場合には,ますます多くの貨幣が遊休現金残高として,保有せられるようになる。したがって,

このような状況のもとでは,たとえ,貨幣供給量が,何らの原因または理由に基づいて増加した としても,おそらくは,その大部分は,遊休現金残高として保蔵せられるであろうから,利子率 が,明確に,下落するという結果にはならないであろう。従って,このような状況下では,完全 雇用均衡が実現せられるという必然性は存在しないであろう。

これに対して,有力な障害の第二は,利子率は,もともと,マイナスの値をとるということは 勿論のこと, 0になるということも,また,実際には,あり得ないということである。そのため に,利子率が,たとえ,現実に到達し得る最低利子率まで下落したとしても,そのことだけでも って,投資需要 (I)と消費需要 (C)とによって形成せられる総需要 (D) の大きさが,必ず,

完全雇用における総供給に等しい大きさにまで増大するという保証は,何ら,与えられてはいな 'o

Keynesの不完全雇用均衡理論は,上記のようなことを論拠にして展開せられた理論である。

しかし,この理論に対しては,つぎのような,有力な異論が述べられている。その第ーは, A.C. Pigouによって唱えられた異論である。すなわち,貨幣資産の実質価値の上昇(具体的には,財 貨や用役の価格下落に伴なって生じて来る貨幣の購買力の上昇)が消費の増加を促し,したがっ て,貯蓄を減少させるという働きをすることに着目し,正の利子率のもとでも,完全雇用均衡が 成立し得るということを主張した。貨幣資産の実質価値の変動が,雇用に対して示す,上述の ような効果は,一般に, 「ピグー効果」 (Pigouvian Effect),  または, 「実質現金残高効果」

(Real Balance Effect)と呼ばれているの。彼の主張に従うと,財貨や用役の価格水準の下落は,

5)  Patinkin, D. : Price Flexibility and Full  Employment,"  Readings in  Monetary  Theory, 1951,  pp. 258266. 

‑32‑

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利子率や貨幣供給の状態の如何には関係なしに,常に,貨幣資産の実質価値を増加させ,これら の貨幣資産(ことに,現金残高)を保有している個別経済単位を,価格水準の下落以前の状態に 比較して,より裕福な状態におくことになる。その結果,これらの個別経済単位は,実質的に,

これまでよりも多くの消費財や用役を購入しようとしたり,これまでよりも多額の投資を計画し,

実施するようになるであろう。このようにして,消費財需要と投資財需要とが,ともに,増加す れば,当該経済社会における経済活動の規模が,必然的に拡大し,その構成内容も,また,充実 したものになって来る。その結果,ついに,完全雇用均衡が達成せられると,主福!するのである。

つぎに, Keynes 「貨幣経済社会と,物々交換によって,各種の経済活動が運営せられて いる原始的な経済社会とでは,その間に,顕著な相異がある。」と,述べた折,彼が強調しよう としていたことは,大むね,つぎの通りであった。すなわち,貨幣経済社会においては,個別経 済単位が行なう経済的な行動は,その主要な部分が,将来に関する予想に基づいて,計画・実施 せられる。その結果,これらの経済的な行動の大部分は,貨幣に対する需要と関連し,したがっ て,貨幣保蔵や貨幣利子率の決定に対して影響を与える。このように見て来ると,現実には,貨 幣は交換の媒介物としての機能を果しているのであるが,その貨幣自体が,それぞれの購買力に 等しい実質価値をもつ素材によって形成せられており,市場における取引が,実質的には,物々 交換によく似たかたちでもって運営せられているような,初期の間接交換経済社会において発生

していたような理論的な経済問題と, Keynesが考察。検討の対象として取上げたような,貨幣 の広汎な利用と契約の自由とを甚礎にして,複雑な経済組織でもって, しかも,相互に独立した 個別経済単位によって, 日々の,各種の経済活動が計画。実施せられるような,進歩した貨幣経 済社会において, 日々,発生して来るような,理論的な経済問題との間には,明らかに,大きな 隔りがある。

そこで,上記のような,進歩した貨幣経済社会を考察。検討の対象にする湯合には, Don Patinkinが示しているように,二つの種類の問題を取上げる必要がある6)。しかも,この二つの 種類の問題は,古典学派の経済理論と,密接な関連を持っている。すなわち,古典学派の経済理 論では,価格決定の問題に関連して,相対価格の決定の問題と価格水準の決定の問題を,全く別 個な問題として取扱う,二分法 (Dichotomy)が採用せられている。しかも,この理論では,相 対価格は,専ら,実物的な需要(需要者側の嗜好)と実物的な供給(取引の対象となる財貨や用 役の生産条件)とによって決定せられる。したがって,相対価格は,貨幣あるいは通貨の存在量 または供給量とは,全く無関係に決定せられる。これに対して,価格水準は,貨幣あるいは通貨 の存在量(または供給量)の多寡に従って変動する。すなわち,古典学派の経済理論では,相対 価格の決定には,主として,実物的なタームによる経済分析が適用せられ,価格水準の決定に関 しては,主として,貨幣理論あるいは貨幣クームによる分析が適用せられると,いうわけである。

そうすると,つぎに,問題として浮び上って来ることは,この二つの価格理論を,どのようにし 6)  Patinkin, D. : op. cit., pp. 2526. 

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て,調和させるかということである。そこで, もしも,この調和が実現せられるならば,貨幣供 給額の増加がすべての財貨や用役の価格を,同一割合でもって上昇させ, したがって,相対価格 には,全く,変動を生ぜしめないか,どうかということ,すなわち,貨幣の中立性 (The Neu‑

trali ty of Money)の問題が提起せられる。 もしも,貨幣が,完全に,中立的なものであるな らば,貨幣供給額の増加は,専ら,財貨や用役の価格水準を引上げるように作用するだけであっ て,相対価格や利子率の変化または変動を誘発するような働きは,全く,示さないであろう。し たがって,この場合には, A.C.  Pigouの用語を適用するならば,貨幣は,ただ単に,経済社会 において計画・実施せられている,各種の経済活動を覆うベールにすぎないという結論になる。

古典学派に属している経済学者達が提唱している,上述のような二分法に従って, もしも,ゎ れわれが,財貨や用役に対する需要の大きさは,専ら,それぞれの財貨や用役の相対価格だけに よって決定せられると考えるならば,貨幣供給量の変化は,どのような仕組を通じて,価格水準 の変動を誘発するかということが,つぎに,問題として提起せられる。

この問題に対して,古典学派に属している経済学者が与える標準的な解答は, 「もしも,人々 が保有している現金残高が増加するならば,彼等は,この現金残高の増加部分を,財貨や用役の 購入のために支出するように努力するであろう。そうすると,その当然の結果として,購入の対 象となる財貨や用役の取引価格が上昇し,引いては,一般物価水準の上昇を促すようになる。」

と,いうことである。そこで, もしも,われわれがこの主張を是認するならば,そのことは,す なわち,財貨や用役に対する需要は, もっぱら,相対価格のみによって決定せられるのではなく,

人々が,それぞれの時点において,保有している現金残高の大きさによっても,また,変動する ということを,同時に,認めていると,いうことになる。そこで, DonPatinkin, この問題 を解明するための手段の一つとして,実質現金残高 (TheStock of Real Balance)という概念 を導入した。彼によると,物価の上昇は,個別経済単位が保有している現金残高の実質価値(実 質的な購買力)を低下させることになる。その結果,これらの経済単位は,経常支出を削減する ことによって,各経済単位が保有している現金残高の実質価値を回復させようと,努力するよう になる。そうすると,市場において有効需要として作用する,実質的な購買力が減少し,それに 伴なって,物価が,ふたたび,下落するようになる。この意味において,市場における財貨や用 役に対する需要の大きさを左右する要因の一つとして,実質現金残高効果を認めるならば,この 効果は,物価水準に対して,安定要因として作用すると,考えられる。さらに,人々が本当に必 要としているものは,名目的な現金残高ではなく,実質的な現金残高であるということは,すで に,古典学派に属している経済学者が提唱して来た「貨幣の中立性」 (The Neutrality of Mon‑

ey), あるいは,物価水準と貨幣量との間に比例的な関係が存在することを認めるという結果に なる。したがって, Patinkinが提唱している実質現金残高効果を考慮に入れた場合には,貨幣 供給量を考慮に入れることなしには,相対価格の決定とその変動とを論ずることは出来ないとい ぅ,結論になる。それにもかかわらず,経済体系の実物的な均衡は,貨幣供給量の多寡(現金残

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高の名目的な大きさ)によって,影響を受けるということはないのである。すなわち,貨幣供給 量の多寡によって影響を受けるのは, もっぱら,物価水準であるという古典学派の命題は,この 場合には,依然として,妥当性を保持しているのである。これに対して,上記のような実質現金 残高効果を考慮に入れた場合には,古典学派に属している経済学者が主張して来た,いわゆる,

二分法は論破せられることになる。何故ならば,この場合には,貨幣を導入することなしに,相 対価格を論ずることが不可能になるからである。しかしながら,この場合においてしなお,経 済体系の実物的な均衡は, もっぱら,実物的な要因のみによって実現せられ,貨幣供給量の増減

によっては,影響を受けないという,古典学派の命題は,依然として,妥当するはずである。

ところで,この実質現金残高の変動がもたらす効果を考察の対象とする分析において,問題と して取上げられるのは,個別経済単位が保有している現金残高の実質価値の大小である。個別経 済単位が現金残高として貨幣を保有しようとするのは,貨幣が一定の大きさの購買力を備えてい るからである。その上,これらの個別経済単位が営なんでいる,具体的な経済活動の規模と内容 とは,彼等が,それぞれに保有している現金残高の実質価値によって規制せられると,考えられ る。したがって,この考え方によると,貨幣供給量が二倍に増加すると,物価も,また, 2倍に 上昇するだけであって,実質的な均衡には,全く,影響を及ぼさないという結論になる。

しかしながら,このような結論に対しては,最近, 「物価の安定は,実質現金残高効果の働き を仮定しなくても, これを実現することが可能である。」という考え方が披壼せられている 。し たがって,この場合には,人々が,何故に,貨幣を保有しようとするか,また,人々が問題にす るのは,それぞれが保有している現金残高の,実質的な購買力の大きさであるか,あるいは,た だ単なる,名目的な保有現金残高の大小であるかと,いうことだけにはとどまらない。すなわち,

物価の安定を保証する一つの要因は,人々が貨幣を保有することを望み, しかも,彼等が保有を 望む対象物である貨幣の供給量が,一定額に限られているという,単純な事実である。その反面 において,この事実は,同時に,古典学派の経済理論において,貨幣が中立性を保持することを 阻害するように作用する要因である。

この節の最後に,われわれは,貨幣に関する最近の議論において,重要な論争の焦点になって いる,内部貨幣 (InsideMoney)と外部貨幣 (OutsideMoney)の問題に言及しておく必要が あるであろう。この問題は,周知の如<,J. G. GurleyE. S.  Shawが 1960年に公刊した 書物において取扱った問題である 8)。すなわち,論者達によると,成長• 発展を遂げている経済 社会においては,経済の成長•発展に伴なって,金融機関の多様化現象が現れて来る。その結果,

必然的に,貨幣的な分析方法についても,改善を加える必要が生じて来る。そこで,上記の二人 は,貨幣的な分析方法を,理論的に改善して行く過程において,内部貨幣と外部貨幣とを区別す 7)  Cliff,  Lloyd : The Real Balance Effect : Sine Qua Wt?",0吋ordEconomic  Papers,  XIV, 

No. 3,  Oct. 1962, pp. 26774. 

8)  Gurley, J.  G. & E. S.  Shaw: Money in the  Theory of Finance, 1960. 

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るということが,非常に重要であるということを認識し,これを強調したのである。

彼等二人は,外部貨幣は,私的な経済単位が計画実施する経済活動の外部から供給せられる貨 幣であって,私的な経済活動によって,その供給量が変化するということがない貨幣であると,

定義している。したがって,外部貨幣は,金鉱を保有していない国の国内において流通している 金貨,または,政府発行の紙幣によって構成せられると,考えることが出来る。これに対して,

内部貨幣は,私的な債務を引当てにして発行せられる貨幣のことであり,その代表的なものは,

私的な銀行組織によって創造せられる預金通貨である。この預金通貨の場合には,銀行の貸借対 照表の貸方に掲げられている預金(したがって,預金通貨として機能する資金)は,借方に掲げ られている,私的な経済単位に対する貸付けに照応している。したがって,この種類に属する貨 幣の場合には,すべての積極財産の1弗ごとに,それに対応する,何人かの負債が存在している。

それ故に, もしも,経済社会において流通する貨幣が, もっぱら,一定量の金貨だけによって構 成せられているならば,これらの金貨の価値, したがって,人々が金貨の形態でもって保有して いると考えている富の大きさは,物価水準の変動に逆比例して,増減するわけである。すなわち,

物価の上昇に伴なって,金貨の形態で保有せられている富の実質価値が低下し,反対に,物価が 下落すれば,その実質価値が上昇するという結果になる。他方,内部貨幣の場合には,これに対 して,物価が上昇すれば,債権保有者が保有している債権の実質価値が低下するが,その反面に おいて,債務者が担っている債務の実質価値も低下するために,実物タームでは,債務者は豊か になる。その結果,社会全体としては,実質的には,何等,影響を受けないことになる。これに 対して,社会において流通している貨幣の源泉が,内部貨幣と外部貨幣との二種類によって形成 せられている場合には,古典学派に属している経済学者達が主張していた,貨幣の中立性という 概念は妥当性を失う。何故ならば,上記のような状況のもとでは,貨幣供給額の変動は,ただ単 に,一般物価水準の比例的な上昇, もしくは,下落を誘発するばかりではなく,同時に,相対価 格の変動をも誘発するからである。すなわち,内部貨幣の供給量には変化がなくても,外部貨幣 の供給量に,もしも,変化が生じるならば,内部貨幣の価値の裏付になっている債務の大きさと,

外部貨幣の供給量との間の比率に変化が生じて来る。したがって,この場合には,貨幣供給量の 変化は,その結果として,当該経済組織内の実物的な諸変数の変化を捲きおこすことになる。こ れに反して,経済社会において流通している貨幣が,たとえば,すべて,外部貨幣であるという ように,一つの種類だけに限定せられている場合には,物価水準に変動が生じるだけであって,

貨幣の実質価値には,変化は生じないであろう。

上に述べたことによって明らかなように,現実の経済社会においては,内部貨幣と外部貨幣と の,二つの種類の貨幣が流通しているのであるから,貨幣供給量の変化がもたらす諸効果も,ま た,中立的ではないと,いう結論になる。

ところで, DonPatinkinおよびGurley‑Shawによって展開せられて来た中立貨幣の議論や,

内部貨幣と外部貨幣に関する議論は,理論的な観点からは,勿論,興味の深い議論ではあるが,

‑36‑

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これらの議論自体は,金融的な諸施策の立案・実施や金融的な分析の実践的な作業には,それほ どに大きな関連を持つ,重要な議論であるようには思われない。何故ならば,これらの分析に基 づいて構成せられるモデルは,その大部分が,静学的なモデルである。これに対して,現実の経 済社会において営まれている経済的な諸活動の実態は,経済成長を促すような働きをする,動学 的な要素を包含しているからである。たとえば, A.C. Pigouは実質現金残高効果 (Pigouvian Effect)を導入することによって,伸縮的な賃銀と物価のもとでは,価格の下落は貨幣価値の上 , したがって,現金残高の実質価値の増加をもたらし,その結果,財貨や用役に対する需要の 増加を促すために, Keynesが提唱している不完全雇用均衡は成立しないと,主張した。しかし ながら,このような主張の背後には,明らかに,市場において購買力として作用する貨幣が,す べて,外部貨幣であって,他の経済単位の債務によって裏付けられている,内部貨幣が,全く,

含まれていないという前提条件が措定せられている。これに対して,もしも,現実の取引市湯に おいて流通している貨幣が,すべて,内部貨幣であり,したがって,これらの貨幣の背後には,

常に,それに見合うだけの債務が存在していると,われわれが考える場合には,価格の下落は,

貨幣を保有しているものが行使する,購買力を増加させるという効果を示す。しかしながら,そ の反面において,債務を担っている人達の実質的な負担を増加させるという結果になり,社会全 体として保有している富の大きさには,何ら,変動を引起さないという結果になるであろう。し たがって,この場合には, Keynesに対して, Pigouが行なった反論は成立たないことになる。

これに対して,今日の経済社会の実情に照して見ると,近代的な金融組織のもとでは,市場に おいて,現実に流通している貨幣の大部分は私的債務(商業手形),あるいは,政府債券(国債 あるいは政府発行の短期債券)を裏付けにして発行せられているというのが,実情である。した がって,近代経済社会において計画・実施せられている経済的な諸活動を分析する場合には,内 部貨幣を前提にするモデルの方が,外部貨幣を前提にするモデルよりも,より高い実践性を備え たモデルであると,考えられる。ただし,われわれが,政府発行の諸証券を,政府債務としてで はなく,私的な経済単位が保有している資産と考えるならば,これらの諸証券を裏付けにして発 行せられる銀行券は,政府発行の紙幣や金貨,ならびに,金準備に基づいて発行せられる銀行券 と同様に,外部貨幣であると,見なすことが出来るであろう。ところで,政府が,債券を発行し て,資金を調達した場合には,政府は,その債務に対して,毎期,所定の率の利子を支払い,さ らに,満期日には,額面金額の返却を実施しなければならない。したがって,政府は,これら支 払を履行するために,将来において,より多くの租税の賦課・徴収を行なわざるを得なくなる。

それ故に,このような理由によって,私的な経済単位が保有している現金残高が,かりに,増加 したとしても,そのことだけでもって,直ちに,われわれが豊裕になったと考えることは出来な いわけである。このように考えて来ると,外部貨幣を前提とするモデルの重要性は,総貨幣供給 量の中で,金および政府紙幣が,どれだけの割合を占めているかという比率によって相違すると,

考えられる。したがって,近代的な金融制度のもとでは,内部貨幣を前提とするモデルの方が,

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より大きな妥当性を備えたモデルであると,考えられる。

J.M. Keynesの 消 費 性 向 お よ び 消 資 関 数 の 理 論

消費性向 (Propensityto  Consume)あるいは限界消費性向 (TheMarginal Propensity to  Consume),  さらに, これらの性向を関数のかたちでもって表示した消費関数 (Consumption Function)というような諸概念は, Keynes経済学の体系において,中心的な重要性を帯びた概 念である。すなわち, Keynesは,所得 (Income)の変動と消費(あるいは消費支出)の増減と の間に存在する心理的な諸法則を,関数関係として把握し,この考え方に従って, 「雇用・利子 および貨幣の一般理論」において,消費性向ないし消費関数の理論を展開している凡

Keynesによれば,社会が消費のために支出する額は,明らかに, (1)一部分は,その所得額に より, (2)一部分は,他の客観的で附随的な事情により, (3)さらに,一部分は,社会を構成してい る,個人個人の主観的な必要と心理的な性向および慣習,ならびに,所得が個人個人の間に,ど のように配分せられるかという,配分方法を支配する諸原理に,依存する。しかも,支出への諸 動機は,相互に,作用し合うものであるから,これらを分類しようと試みる企だては,あやまっ た分類を行なわせるという危険性を伴なう。それにも拘らず,われわれが,上記の区分に従って,

分析を進めて行くということは,われわれの心をはっきりさせる上に,役に立つであろう。さら に,次項では,客観的な諸要因の変化が消費性向に及ぼす影響ないし効果を,明確に把握するた めに,主観的な諸要因は,異常な,または,革命的な事態のもとにおける以外は,短期間内にお いては,実質的な変化を示すという可能性の少ない,人間の性質の心理的な特質と社会の慣習お よび制度を包含していると考えられる。そこで,以下においては, Keynesに従って,まず,主 観的な諸要因は所与であると考え,消費性向は,専ら,客観的な要因の変化に伴なって変化する

と,考えることにしよう。

消費性向に対して影響を与える,主な,客観的要因として, Keynesは,つぎの6つを挙げ,

これらの要因がもたらす影響ないし効果に関して,つぎのように述べている10)0 

(1)賃銀単位における変化ー一消費 (C)は,明らかに,貨幣所得の関数であるよりは,むしろ,

より多く,実質所得の関数である。しかも,この実質所得は,各人の労働単位の支配の程度,す なわち,賃銀単位によって測定せられた所得額とともに,増減する。もっとも,産出高の総量が 変化した場合には,各人の実質所得は, (収穫逓減の法則が作用するために)賃銀単位によって 測定せられた,各人の所得に対する割合においても,より少ない増加を示すであろう。したがっ て,第一次近似法としては,賃銀単位が変化したならば,一定水準の雇用に対応する消費支出は,

物価と同様に,同じ割合で変化するであろうと,想定するのが正当である。

(2)所得と総所得との差異における変化—前項で述べたように,人々が消費の規模を決意する

9)  Keynes, J. M. : op.  cit.,  pp. 89131.  10)  Keynes, J. M.: op.  cit.,  pp. 9195. 

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(12)

に当って,最初に心に抱くものは,各人の純所得であるから,消費額は,所得よりは,むしろ,

純所得に依存するということを明らかにした。一定の事情のもとにおいては,種々の異なった所 得水準を,それに対応する純所得の水準に対して,一義的に関連させることが出来る関数が存在 し得るという意味において,両者の間には,ある種の,安定した関係が存在するということが出 来るであろう。これに対して, もしも,今述べたことが事実ではなかった場合には,純所得に反 映しないような所得の変化は,消費に対しても,何ら,影響を及ぼさないであろうから,このよ うな変化は, これを無視しなければならない。他方,所得に反映しない純所得上の変化は,これ を酌量しなければならない。

(3)純所得の計算において考慮に入れられない,資本価値の偶発的な変化―この種の変化は,

消費性向の大きさを左右する上に,はるかに大きな重要性をもっている。何故ならば,このよう な偶発的な変化は,所得に対して,何ら,安定的な,あるいは,規則的な関係をもつものではな いであろうからである。

(4)時差割引率の変化一~ 時差割引率の変化は,

貨幣の購買力の,将来における変化を,それが予想せられ得るかぎりにおいて,酌量するという 点において,利子率の変動とは,全く同一物ではない。しかも,この場合には,将来財によって もたらされる効果を享受するに到るまでは,生存してはいないであろうという予想であるとか,

徴発に等しいような,高額の租税が賦課徴収されるかも知れないというような種類の危険を,考 察に入れなければならない。しかし,この要因は,消費性向に対して,それほどに大きな,直接 的な影響を与えるとは思われない。その反面,間接的には,可なり多くの影響を与えるというこ とは,充分に,考えられる。しかしながら,この時差割引率が消費性向に対して与える短期的な 影響は,この割引率の,異常に大きな変動が問題になるような場合以外は,おそらくは,第二義 的な意義しか持たないものであり, したがって,相対的に見て,その重要性が劣ったものである

と,考えられる。

(5)財政政策の変化—個別経済単位あるいは経済主体に対して,貯蓄をさせるように仕向ける 誘因は,それが,彼が期待する将来の報酬に依存する限りにおいて,明らかに,利子率のみなら ず,政府の財政政策にも依存する。しかも,財政政策における可能な変化の範囲は,少なくとも,

期待においては,利子率自身に於ける変化よりも大であり得る。もしも,財政政策が,所得のよ り公平な分配のための,熟慮せられた手段として用いられるならば,それが消費性向を増大させ る効果は,勿論,はるかに大である。

(6)現在の所得水準と将来の所得水準との間の関係についての期待の変化―Keynesは,この 要因を形式を完全に整えるために掲げた。しかし,この要因は,個々の,特定の個別経済単位の 消費性向に対しては,顕著な影響を与えるかも知れないが,社会全体として検討して行く場合に は,おそらく,乎均化せられてしまうであろう。その上,この要因は,通常,大きな影響を与え るには,あまりにも大きな不安定性を備えていると考えざるを得ないものである。

(13)

これらの諸点を考慮に入れた上においても,なお,消費関数は可なり安定した関数であって,

総消費額は総所得額の増減と同一方向の変化を示す。すなわち,総消費額は,主として,総所得 額の増加に伴なって増加するが,その増加率は所得の増加率より小さいというのが常態である。

Keynesは,つぎに,一定額の所得の中から消費支出を差控えさせ, したがって,それぞれの 経済単位の消費支出に影響を与える,主観的ならびに社会的な動機を,私的な支出単位の消費支 出に関する動機と,中央および地方政府ならびにその他の公共機関の支出に関する動機および営 利企業の支出に関する動機とに区分して,列挙している。すなわち,前者に属する,主観的な動 機(または, 目的)としては,つぎの8つが挙げられている。

(1)不測の偶発事に備えること。 (予備)

(2)所得と個人または家族の必要との間の関係が,将来において,現在とは異なって来るであろ うということが予想せられるために,それに備えること。 (深慮)

(3)利子および値上りを享受すること。すなわち,比較的少額の現在の消費よりも,後日におけ る,より大きな実質消費を望むこと。 (打算)

(4)支出の逓増を享受すること。すなわち,漸次向上して行く生活水準を,後に期待するというこ との方が,その逆の場合よりも,普通の人の本能を満足させることになるということ。(向上)

(5)特定の,何らかの行為に出ようという,はっきりした観念とか,確固たる意志とかは別にな いにしても,独立の意識と実行力とを楽しもうとすること。 (独立)

(6)投機的な,または,営業上の計画を実行するために必要な運転資金を確保しようとすること。

(企業)

(7)財産を遣贈しようとすること。 (遣贈)

(8)純粋な吝裔,すなわち,消費支出行為そのものに対する,不合理で, しかも,執拗な抑制を 満足させようとすること。 (貪欲)

これに対して,中央政府および地方政府,ならびに,その他の公共機関および営利企業も,ま た,主として,社会的な動機に基づいて,巨額の資金を保有しているというのが実情であるが,

これらの動機の主要なものとしては,つぎの 4つを挙げることが出来る。

(1)企業の動機‑ 1昔金をしたり,市場で,新しい資本を調達することをしないで,さらに,資 本投入を実施して行くための資金を確保しようとするため。

(2)流動性の動機—偶発事・諸困難および不況に対処するための資金を確保しようとするため。

(3) 向上の動機—所得の逓増を確保しようとするため。このことは,ひいては,経営に対する 批判をさけることにもなるであろう。何故ならば,蓄積によってもたらされる所得の増大は,

能率の向上による所得の増大と,ほとんど,区別することが出来ないからである。

(4)経営財務堅実化の動機および安全な路を選ぼうとする心遣い。この動機の限度は,主として,

資本設備の量と性質および技術的変化の程度に依存する。

ところで,上記のような消費性向(したがって,この消費性向から導出せられる消費関数)の

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参照

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