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マウス異系統間における筋衛星細胞の不均一性の検証

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

マウス異系統間における筋衛星細胞の不均一性の検証

共生基盤学専攻 食品安全・機能性開発学講座 細胞組織生物学 西 百合子

1.背景と目的

実験動物として用いられるマウスは,実験用途に応じて様々な系統が作出されており,系統間で は成熟までに形成される骨格筋量が異なっている。また,損傷時における系統間の筋再生能力には 差が生じることが報告されている。筋量を増加させるための肥大や筋再生には,骨格筋の幹細胞で ある筋衛星細胞(衛星細胞)の寄与が不可欠である。しかし,これまでに系統間における筋肥大お よび再生能力の差について,衛星細胞に着目した詳細な知見は少ない。衛星細胞は活性化,増殖お よび分化など様々な動態変化を経て新生筋線維(筋管)を形成する。そこで,系統間ではそれぞれ の段階における能力に差が生じている可能性を考えた。本研究では,衛星細胞の筋分化能力と筋損 傷からの再生能力を比較することにより,マウス異系統間における衛星細胞の不均一性を検証した。

2.方法

8-11 週齢の ICR,C57BL/6(B6)および BALB/c(C)雄マウスから衛星細胞を単離し,約 50%コン フルエントまで増殖させた後に分化誘導を行い,筋特異的タンパク質と筋分化転写制御因子の発現 量を解析した。また,筋管の融合率(Fusion Index;全核数における筋管中の核数の割合)も測定 した。続いて,3 系統のマウス後肢に鉗子を用いて筋損傷を与え,3,7,および 14 日後にサンプル を回収して筋組織切片を作製後,ヘマトキシリンエオジン(HE)染色および筋特異的タンパク質の 蛍光免疫染色を用いて筋再生過程を観察した。

3.結果と考察

まず,衛星細胞による筋管形成の過程で発現する筋特異的タンパク質ミオシン重鎖(myosin heavy chain;MyHC)のアイソフォーム MyHC-embryonic(eMyHC)および MyHC-neonatal の mRNA 発 現量は B6 および C で ICR よりも高く,total MyHC のタンパク質発現量は B6 で ICR および C より も高かった。次に,Fusion Index を測定すると B6 で ICR および C よりも高い傾向が認められた。

さらに,筋分化転写制御因子の mRNA 発現量を比較すると,MyoD および myogenin は B6 および C に おいて ICR よりも有意に高かった。両因子の mRNA 発現に関して B6 と C には有意な差は認められな かったが,タンパク質発現量は B6 で C よりも高かった。つまり,分化能力は 3 系統内では B6 が一 番高く,続いて C,ICR であることが示唆された。

次に,筋再生過程で作製した筋組織切片を HE 染色により観察したところ,3 および 7 日後におい ては系統間で大きな違いは認められなかった。しかし,14 日後においては ICR および B6 では順調 に筋再生が観察されたが,C において筋線維以外の形態を示した細胞が多数観察された。なお,eMyHC の蛍光免疫染色を行ったところ,7 および 14 日後において大きな違いは認められず,いずれの系統 においても同程度の eMyHC 陽性筋線維は形成されていた。つまり,再生能力に関しては ICR および B6 で C より高いことが示唆された。

以上より,マウス異系統間では衛星細胞の筋分化能力に不均一性が認められた。また,筋分化能 力と筋再生能力との相関性は,B6 でのみ認められた。

参照

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