膵 内分泌 の 胃潰 瘍 発 生 因子 に関 す る実 験 的 研究 第1編 イ
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(2) 1666. 森. 本. 浩. 平. リ ン 抵 抗 性 に 異 常 を 認 め る報 告 が 多 い8)9).ま た. た.胃 を 大 彎側 で 切 開 し,粘 膜 変 化を検 し,副 腎重. 糖 尿 病 患 者 に潰 瘍 の 合 併 す る こ と が 少 い とい わ. 量,血 糖 値,血 清Na,. れ て お り10)11)12),こ れ らの事 実 か ら,糖 代 謝 に 関 し. ッ トはNPHイ. て 重 要 な 内 分 泌臓 器の 膵 が潰 瘍発 生 と何 か関 係 を 有. 糖 症 状 を現 わ し,高 度 の もの で は4な い し6時 間で. す る もの と推 察 され る.. 痙攣 を起 し,次 第 に シ ヨ ック状 態 にお ちいつて数時. Dragstedt13)は 犬 に膵 管 結紮,群 瘻 造設 お よび 膵 剔 出 を施 行 し,ア ル カ リ性 で あ る膵 液 が十 二 指 腸 に. K濃 度 を測 定 した.な おラ. ン シュ リ ン投 与後2,. 3時 間で低血. 間 の うち に死亡 す ろの で,か か るもの は全 身衰弱 し て 死 亡 す る前 に検 査 した.. 流 入 しな くす る こ とに よ り十 二指 腸 に潰 瘍 を発 生 さ. 次 に ラ ッ トお よ び 迷 走 神 経 切 断 後1ケ 月経過. せ た が,そ の 場 合 膵剔 出犬 で は潰 瘍 発 生頻 度が 低 い. した ラ ッ トの 副 腎 を 剔 出 し,い ず れ も術 後4日 目. こ とを 指摘 し,膵 内 分泌 が その潰 瘍 の発生 に関 与 し. にNPHイ. て い る と考 え た.. の 検 査 を 行 つ た.ま. Poth14),大 貫15)ら はイ ン シュ リンを 動 物 に投 与 して 潰 瘍 を発 生 させ た.イ て 組 織 酵 素 に作 用 し,糖,脂. ンシ ュ リ ンは 生 体 に おい 肪 お よ び蛋 白代謝 を調. 節 す る膵 の 代表 的 ホ ルモ ンで,こ の ホ ルモ ンに よ り 潰 瘍が 発 生 す る のは イ ン シ ュ リ ンの 組織 代 謝 に お よ ぼ す直 接 作 用 に よ るの か,あ るい は イ ンシ ュ リンに よ る低 血 糖 が 何 らか の細 胞 機構 の障 害 を惹 起 させ, 胃 粘膜 の組 織 抵抗 性 を減 弱 さ せ る た め か,あ るい は ま た,一 般 に 知 られて い るよ うに,イ ンシ ュ リン に よ る低 血 糖 が刺 戟 とな り,迷 走 神 経 を興 奮 させ る, 2次 的作 用 によ る もの か不 明 で あ る.従 つて 膵 内分 泌 異 常 に よ る低 血糖 に潰 瘍 発生 作 用 が そ の あ るか ど. この 問題 を解 明 す る た め,私 は 長時 間 持続 的 に作 ン シ ュ リ ンを ラ ッ トに投 与し,. いわ ゆ る イ ン シュ リン潰 瘍 の発 生 機序 の究 明 と,そ の 潰 瘍 の 慢性 化を くわ だ て,極 々の実 験 を行 つ た. 第2章 第1節. 第1項. ものを 使 用 した.. ンシユ リ ンに よ る急 性 胃 潰. 瘍発生 ラ ッ トは,常 に 胃内 に 食 物 を充 満 して い るの て, 潰 瘍 発生 に お け る胃 内容 の影 響 を除 き,ま た 食 餌 に よ る血 糖 の 変 化 を さ け,イ ン シュ リン低 血 糖 を な る べ く一 定 にた もつ ため,実 験 前12時 間 は絶 食 させ, 水 の み与 え た. NPHイ. キ. 10mg,ジ. エ タ ジ ン(エ チ レ ミ ン)5mg,. 10mg. 皮 下 投与 の6種 類 の処 置を行 つ た うえ,各 々に直ち にNPHイ. ン シ ュ リン を1単 位/匹,ま た術後1ケ. 月 経過 した達 走神 経切 断 ラ ッ トに もNPHイ. ンシュ. リンを 同量 投 与 し,そ の 胃粘 膜 に現 れ る変 化を無処 置 ラ ッ トにNPHイ. ンシ ュ リ ンを投 与 した場合 と比. 較 した. さ らに上 述 の諸 実 験 によ る 胃変 化を組織学 的に検 索 し,と くに血 管 変 化 につ いて 観察 した. NPHイ. ンシコ リン と 胃液分 泌機能. イ ン シ ュ リ ンの 胃 液分 泌 に お よぼす作 用をみ る場 合,市 販 イ ンシ ュ リンは グル カ ゴ ンを 含有す るので, そ の作 用 の介 入 が問題 とな る.私 は この点 を考慮 し, グ ル カ ゴ ンを含 有 しな い といわ れ る イ ンシ3リ ン ・ ノボ ・レンテ(ノ ボ 会 社製)を 使 用 して実験を行つ. ン シュ リン(武 田製 薬)の. 投 与 量 は0.1, 0.5お よ び1.0単 位/匹 の3種 類 と し, これ を ラ ッ トの 後 肢筋 肉 内に投 与 した.7時. あ て入 れ 絶食 させ,糞. は 籠 の 網 目 か ら下 に落 ちる. よ うに して これ を食 うのを 防 ぎ,胃 を完全 に空虚 に した.イ ンシ ュ リン ・ ノボ ・レンテ0.1単位/匹を こ. 実験方法 NPHイ. 5mg,ヘ. ラ ッ トは実 験 前24時 間 鼠 取 り用の 金 籠 に1, 2匹. 案験動物. 白 ラ ッ トを小 麦,青 野菜 およ び入 干 雑 魚 で飼 育 し,. 第2節. ロ ル プ ロ マ ジ ン(コ ン トミン)1mg,. りク. た.. 実験 林 料 及 び 実験 方 法. 体 重115〜185gの. た ラ ッ トに体 重1kg当. サ メ トニ ウ ム ブ ロマ イ ド(メ トプロ ミン)5mg,. 第2項. うか を 検 討 す る こ とは興 味 深 い 問題 で あ る.. 用 を現 わ すNPRイ. ン シュ リン0.01単 位/匹 を投与 して同様. 間後に. ラ ッ トを エ ーテ ル の吸 入 で 軽 く麻 酔 し,頸 静 脈 よ り 採 血 し,直 ちに 開 腹 して 胃お よ び両 側 副 腎を 剔 出 し. の ラ ッ トに投 与 した うえ,エ ー テル麻 酔下 にその上 部 腹壁 を 正中 で1cmの. 長 さ切 開 し,胃 を幽門輪上. て,血 管 を損 傷 しな い よ うに 注意 して,単 結紮 し, 胃液 の 胃 内貯 溜 を は かつ た, 6時 間 後 に再 開腹 し, 胃内貯 溜液 を採 取 し,そ の量 と酸度 を測 定 した.対 照 と して,イ. ン シュ リ ンを投 与 しな い ラ ッ トについ. て も同条 件 で 胃液 を採 取 した.こ の方 法 で ラッ トの 胃液分 泌 機能 を量 的 に 測 定 す る場 合, 100g以 内の 体 重 の差 と性 別 に影 響 されず に信 頼 し うる値がえら れ る こと はShay16)に. よ り証 明 されて い る..
(3) 膵 内分泌の胃 瘍発生因子 に関する実験的研究 第3項. NPHイ. 1667. ン シユ リンに よ る 慢 性 胃 潰 第3章. 瘍発生 ラ ッ トを2群 に分 け,毎 日NPHイ. ンシ ュ リンを1. 第1節. また実験 中 に ラ ットが シ ヨ ック状 態 に お ちい つ て い. 績. ン シユ リン1回 投 与 に よ. る 急性 胃潰瘍 発生 実 験. 群 には0.5単位 枢,他 群 に は2単 位/匹 投 与 し,胃 に 現 われ る変 化 を観 察 した,そ の 間 食物 は充 分 に 与 え,. NPHイ. 実 験 成. 18匹 の正 常 ラ ッ トにNPHイ. ンシ ュ リンを投 与 し. た 場合 の 結果 は表1に 示 した.ラ. ッ トの 胃は 前 胃 と. るのを発見 す れ ば,直 ちに ブ ドウ糖 を投 与 して全 身. 本 胃(腺 胃)か らな り,両 部 は 明瞭 な境 界 隆起 で区. 状態の回 復 を はか り,低 血 糖 死 に至 るの を防 い た.. 別 され,形 態 学 的 に 顕著 な差 が あ る.前 胃は 重層 扁. 第4項. 副 腎 剔 出法. 平 上 皮 で お おわ れ,分 泌 腺 が な く,筋 層 は薄 く,血. ペ ン トバ ル ビター ル ・ナ トリウ ム(ネ ンブ ター ル). 管 分 布 は疎 で あ り,本 胃 は体 部 と幽 門部 に分 け られ,. の腹腔 内投与 によ り麻 酔 した ラ ッ トを 腹位 に固 定 し,. 胃腺 を もつ粘 膜 が あ り,筋 層 は厚 い. NPHイ. 背部 に正 中 皮切 を加 え,背 筋 を開 き,腹 膜 外 的 に副. ュ リ ンを 投与 す る と,胃 にお いて は 出血 が主 と して. 腎を両側 同時 に剔 出 した17).. 体 部 粘 膜 にみ られ る ほか,暗 黒 色 の凝 血 様 壊死 物質. 第5項. 迷 走 神 経 切 断法. ンシ. が つ まつ た潰 瘍 様 変 化が 認 め られ た.こ の潰 瘍 様 変. 前法 と同 様 に麻 酔 した ラ ッ トを 背 位 に固 定 し,上. 化 は写 真1の よ うに すべ て体 部 に,ま た主 と して 前. 部腹壁 を正 中で 切開 し,胃 を下 方 に引 き,腹 部食 道. 後壁 に対 称 的 に,皺 壁 の項 部 お よび側 面 に発 生 し,. を引 き出 し,双 眼実 体拡 大 鏡 を 用 いて 両 側 迷 走神 経. 多 くは約1〜2mm直. を確認 したの ち,て きる だ け高 位 で,胃 血 管 の損 傷. に そつ た線 状 の もの もみ られ,後 述 す る ごと く組織. を さけて,そ れ を 切断 した.迷 走 神経 切 断 後 の 胃粘. 学 的 に は エ ロ ジオ ンの 像 を呈 した.. 膜分泌機 能 の回復 は大 井18)に よ る と1ケ 月 以 上 も かか る とい われ,本 実 験 に は術 後1ケ 月 を経 過 した ラッテを使 用 し,手 術 によ る影 響 を 除 い た. 第6項. 組 織 標 本作 製 法. 剔 出した 胃 はた だ ちに10%ホ. 第1項 NPHイ. 経 の点 状 で あ るが、時 に皺 壁. イ ンシユ リン投与 量 との 関 係 ンシ ュ リンの 投 与量 を0.1,. 0.5, 1.0単. 位ノ 匹 の3種 に して 胃粘膜 の変 化 を観 察 した と ころ, 表1の よ うに1単 位 投 与群 で は8例 中7例 に 胃出血. ル マ リン溶液 て 固定. あ るい は エ ロジオ ンを認 め たが, 0.1お よ び0.5単 位. し,チ エ ロイ ジ ン包 埋,ヘ マ トキ シ リン ・エオ ジ ン. 投 与群 で は 胃 に著 明 な変 化 の あ る もの と,血 糖値 が. 染色 によ り標本 を作 製 した.. 低 下 せ ず 胃変 化 の ない ものが あ り,胃 変 化は 投与 し. 第4節 第1項. 測 定 方法. たNPHイ. 血 糖 値. ン シュ リンの量 に は密 接 な 関係 が な い こ. とが 判つ た.. Crecelius‑Seifert氏法 に準 じ,エ ル マ段 階式 面 糖 比色計 を使 用 して,頸 静脈 よ り流 出す る血 液 の血 糖. 第2項. 血 糖 値 との 関 係. 値 を測 定 した19).本 法 は操 作 が 簡単 で 臨 床 的 に広 く. ラ ッ トの イ ンシ ュ リン感受 性 は個体 差 が は げ し く, 一 定量 のNPHイ ン シュ リンを投 与 して もそ の血 糖. 利用 され,た だ血 糖 値 が40mg/dl以. 値 の低 下 す る程 度 は種 々 で あ る. NPHイ. 下 に な る と測. ンシ ュ リ. 定誤差 が大 き くて 使 用で きな いが,血 糖 値 の大 きな. ンを投 与 した全 ラ ッ トを,血 糖 植 の低 下 しな かつ た. 変動を み るには充 分 に役立 つ た.. もの,中 等度 低下 した もの,高 度低 下 した もの に分. 第2項 Coleman. 血 清Naお Flame. よびK濃 度. Photometer,. 類 し,血 糖 値 と 胃変 化の 関 係を み る と,表2の. model 21を 使 用 し. て測定 した. 第3項. とが 判 つ た.し か も胃に変 化 の あ る もの はす べ て シ ヨ ックに お ちいつ た ラ ッ トで あつ た.. 副腎 重 量. 剔出 した両側 副 腎 は そ の周 囲 に 附着 す る結締 織 を 充 分に取 り除 き, Torsion‑Balanceで. 重量 を測 定 し. た.. 第3項. 血 清Naお. よびK濃 度 との 関 係. 血 糖 値 と共 に血 清 電解 質 濃度 の測 定 が で きた10例 につ いて観 察 す る と,表3に. 第4項. 胃液酸 度. 分泌量(cc)は. NaOHで. 示 した よ うにNPHイ. ン シュ リンに よ り胃 に変 化 を きた した群 で は,無 変. Topfer‑Michaelie氏 法 に 従 い19),胃液 の遊 離塩 酸 濃度をN/10. よう. に低 血糖 の著 明 な もの に と くに 胃変 化 が発 生 す る こ. 滴 定 し た.酸 度(mEq/l)×. 塩酸 分泌 量(mEq)で. あ る.. 化 群 およ び対 照 の 無処 置 正常 ラ ッ トに比較 し, Kの 著 明 な低 下 が あ り, Naの 上 昇傾 向 が 強 い こ とを認 め た..
(4) 1668. 森 表1. 表2. 第4項. 血 糖 値. NPHイ. 本. 浩. 平. ン シ ュ リ ン 投 与 に よ る諸 変 化. 図1. と の 関 係. 副 腎 重量 との関 係. 副腎 重 量 との 関 係. 副 腎 の重 量 は ラ ッ トの 性 別 お よび体 重 によ り差 が あ るが17),副 腎 重量 を 測 定 した15例 につ い て み る と, 図1の よ う に血糖 値 の低 い 胃変 化 群 で は 明 らか に副 腎 重 量 の増 加 を認 めた. 第2節. 各種 薬 物 お よび 迷 走 神 経切 断 が イ ンシユ リン急性 胃潰 瘍 の 発生 にお よ ぼす 影 響. NPHイ. ン シュ リ ン1単 位/匹 投 与 に よ り 発 生 す. る 胃変 化が ク コル プ ロマ ジ ン, C6,ジ エ タジ ンの注 表3. 血. 液. 変. 化. と. の. 関. 係.
(5) 膵内分泌 の胃潰瘍発生因子に関す る実験的研究. 1669. 射 および迷走 神経 切 断 の各 処 置 を行 うこ と によつ て. な成 績 を 得 た.ク ロル プ ロマ ジ ンお よ び副 交 感 神経. 阻止され るか ど うかを み た と ころ,表4に. 遮 断剤 で あ る ジエ タ ジ ンを 投 与 した群 で は各 々6例. 表4. 各 種 処 置がNPHイ. 示すよ う. 中1例 に胃 変 化の な い もの が あつ た.迷 走 神 経 切断. ン シ ュ リン1単. 位/匹投 与 に よる 胃変 化 の 発 生 に お. ラ ッ トで は5例 全 例 に 胃変 化の 発 生 が阻 止 され,な. よぼ す 影 響. お 胃 は弛 緩 し,容 易 に平 面 的 に伸 張 して,迷 走 神経 が 完 全 に切 断 され て い るの を 知つ た. 第3節. 副腎 剔 出が イ ンシユ リ ン急 性 胃潰 瘍の 発 生 にお よぼ す影 響お よび そ の 場 合 にお け る迷走 神 経 切断 の 効 果. 5匹 の 副腎 剔 出 ラ ッ トお よ び5匹 の迷 走 神経 切 断 ・副 腎剔 出 ラ ッ トにNPHイ. ン シ ュ リ ン0.01単,. 位/匹 を投 与 した 場 合の 成 績 は 表5に 示 した.副 腎 剔 出 ラ ッ トは イ ン シュ リン感 受 性 が非 常 に高 ま り, NPHイ. ン シュ リン0.01単 位 で も 全 例 が低 血 糖 性 シ. ヨッ クにお ちい り,写 真7の よ うに 胃粘膜 に特 に 著 表5副. 腎 剔 出 後4日. 目 にNPHイ. ン シ ユ リ ン0.01単. 位/匹 投 与 した 場 合 の 変 化. 明なエ ロ ジオ ンが発 生 した.そ して あ らか じめ迷 走. 0.1単 位/匹 投 与 し,. 神経を切断 して お いて も,こ の 発生 は阻 止 で きな か. 塩 酸 分 泌 量 を 測 定 し た が,そ. つた.. 状 態 に お ち い つ た.イ. 第4節. 6時 間 胃 液 分 泌 量,遊 の う ち7例. 離 塩 酸 度, はシヨック. ン シ ュ リ ン投 与 ラ ッ トを シ ヨ. イ ンシ ュ リン ・ノボ ・レ ンテが 胃. ッ ク 群 と非 シ ヨ ッ ク. 液分 泌 に お よぼ す 影 響. 匹 の 無 処 置 ラ ッ トの そ れ と比 較 す る と 表6の. 11匹の ラッ トに イ ン シ ュ リ ン ・ノ ボ ・レ ンテ を 表6. 胃. 液. で あ る.イ. 分. 泌. に 分 け て そ の 成 績 を 対 照 の5 ごと く. ン シ ュ リ ン ・ノ ボ ・ レ ン テ 投 与 非 シ ヨ ッ. 機. 能. ク群で はた しかに 胃液 分 泌 が対 照 に 較べ て 亢 進 した. 瘍 部 胃組 織 標 本を み る と,全体 と して 粘膜 下 静脈,粘. が・ シ ヨック辞 で はか え つて 分 泌 が低 下 した.. 膜 層 内の 細 静脈 お よ び毛 細 血管 の 拡張 が 著 明 で,拡. 第5節. NPHイ. ン シユ リン に よ る 胃変 化. の 組織 学 的 検 索 NPIIイ ンシュ リンを投 与 して 発 生 した 肉 眼 的潰. 張 血 管 は血 球 を充 満 し,粘 膜 下動 脈 は 収縮 像 を 呈 す. また粘 膜 下 組織 の軽 度 の 浮腫 もあ る.潰 瘍様 病 巣 は 模 状,半 月状 あ るいは 長 い下 底 を 胃 内 に向 け た逆 台.
(6) 1670. 森. 本. 浩. 平. 状 に粘 膜 が壊 死 にお ちつ いて お り,エ コジオ ンで あ. の 本 胃 の粘 膜 に出血 性 エ ロ ジオ ンが 発生 す るのを観. る.変 性 した腺 上 皮 細 胞 は染 色 性を失 い,核 は 濃縮 さ れ,赤 血球,多 核 白血 球が 浸 潤 し,そ の 表 層 部 は. 察 した.. 消 化 脱 落 が起 つ て お り,底 部 に は血 栓 化 した血 管 も 認 め られ る.壊 死 病巣 に隣 接 した部 位 の 粘膜 は特 に 血 管 の拡 張 お よび 赤血 球 の 充 満 が著 明 で ,壊 死 部 へ の 出血 の像 が み られ る.壊 死 の激 しい もの で は粘膜. 動物 に イ ン シュ リ ンを投 与 して 潰 瘍が発 生するこ と につ いて は,す で にPath14)が の 各10匹 にPZIイ. 正常 犬 と膵剔 出犬. ンシ ュ リン を連 日 投与 し,空 腹. 時血 糖 値 を50mg/dl以. 下 に維 持 し て実 験 を 行 っ. 筋 板 の変 性 像 もみ られ た が,こ れ を 破 壊穿 通 した真. て い る.こ れ に よ る と,犬 は10日 ない し1ケ 月の間. の 潰瘍 はみ られ な かつ た(写 真2,. に低 血 糖 の た め死 亡 し,培 検 に よ り両 群の半数 に消. 3) .. 次 に イ ン シ ュ リン シ ヨ ックに お ちい つ た ラ ッ トに. 化性 潰 瘍 が発 生 す る こ とを 認 め た.こ の 潰瘍の発生. ブ ドウ糖 を 投 与 して 回 復 させ,一 度発 生 した 胃病 巣. 部 位 お よ び組 織 像 につ い て の記 載 は ないが,さ きの. の 治癒 過 程 を組 織 学 的 に 観 察 した. NPHイ. 実 験 か ら潰 瘍 は恐 ら く全 例 に発 生 す るが,イ ンシュ. ンシュ. り回 復 して4時 間 た つ た もの で は血 管 変 化が 消 退 し,. リンを投 与 して常 時 低 血糖 を 維持 す るこ とは困難 で, 一 時 的 に血糖 値が 正 常 を示 す とき ,一 度 発生 した粘. 壊 死 部 は 変 性 を まぬ が れた腺 上 皮 細 胞 との 境 が 明. 膜 表 在 細 胞 の破 壊 が す み やか に治 癒 す る もの と推 論. 瞭 とな り,白 血 球 浸潤 が著 明 で,ま た 上皮 細 胞 は ヘ. して い る.. リン投 与 後4時 間 で ブ ドウ糖 を 投与 し,シ ヨ ックよ. マ トキ シ リン に濃 染す る大 きい核 を もつ た細 胞 が索. 大 貫15)は18匹 の 犬 にPZIイ. ンシュ リンを 連 日投. 5).シ ヨ. 与 し,最 高24日 の 観察 期 間 で, 14綱 に幽 門部潰瘍を. ック死 を まぬ が れ, 1日 経過 した もの で は,す で に粘. 発 生 させ,そ の 中 に は組 織学 的 に慢性 像 のあ るもの. 状 に発育 して,再 生 の像 を 呈 した(写 真4,. 膜 は再 生 し,肉 眼 的に 異 常部 位 を 発見 す る ことが で. も認 め た.そ して イ ン シ ュ リ ン低血 糖 に よる持続 性. きな かつ た.. の 迷 走 神経 性 胃液 分 泌亢 進 が この潰 瘍発 生の主 たる. 第2項. 迷 走 神 経 切 断 ラッ ト. 迷 走 神経 切 断 ラ ッ トにNPHイ. 因 子 であ る こ と を示 した.. ンシ ュ リンを投 与. 本 庄21)は 膵 ・十 二 指 腸 全 剔,総 胆 管 ・空 腸およ. す る と胃粘 膜 に壊 死 はみ られな い が,正 常 ラ ッ トに. び 胃 ・空 腸 吻 合術 を行 つ た 犬 に イ ンシュ リンを投与. そ れ を投 与 した場 合の よ うな粘膜 下 層 お よび粘 膜 層. して術 後 高 血糖 の 調 節 を はか つ た ところ,一 部の犬. の血 管 変 化 は な お軽 度 に認 め られ た(写 真6).. の 胃 ・空 腸 吻 合部 に潰 瘍が 発 生 す るのを 認め た.し り. 第3項. 副 賢 剔 出 ラッ ト. 副 腎剔 出 ラ ッ トにNPHイ. ン シ ュ リンを投 与 す る. か も この潰 瘍 は イ ン シュ リン投 与 に よ り低 血糖性 シ ヨ ックを起 した 犬 にす べ て発 生 し,逆 に潰瘍 の発生. と正 常 ラ ッ トに そ れを 投 与 した場 合 にみ られ る よ う. しな かつ た 犬 は すべ て シ ヨ ックを経 験 しない犬 で,. な血 管 変 化 と出血 性 エ ロ ジオ ンが 認 め られ,特 に粘. 低 血糖 が この潰 瘍 の 発 生 に 関 係 が あ る ことを知つ. 膜 の 壊 死 が は げ し く,壊 死病 巣 底 部 の 出血 像 も著 明. た.. で あつ た(写 真8, 第6節. 一 般 に 胃潰 瘍が 発 生 す る場 合,主 として 胃液 によ. 9).. NPHイ. ン シユ リ ンの 連 日投 与 に. よ る慢 性 胃潰 瘍 発生 実 験 NPHイ. ン シュ リン0.5単 位/匹 を 連 日投 与 した10. る胃 粘膜 破 壊作 用 と,こ れ に対 す る胃壁 自体の防禦 力 の2要 素 の変 化が 考慮 され る.し たがつ て インシ ュ リ ンに よ る潰 瘍 の 発生 機 序 を解 明 す るにあたつて,. 匹 の ラ ッ トで は 血糖 値 が低 下 せ ず,体 重増 加 が著 明. イ ンシ ュ リンの 胃 液 分泌 に お よ ぼす影 響,解 剖学的. で1ま た2単 位/匹 を連 日投 与 した10匹 で は低 血 糖. あ るい は神 経 機能 的 に胃血 管 にあ たえ る変 化,お よ. が 激 し くて死 亡 した り,あ るい は次 第 に イ ン シュ リ. び 血 管 因子 以 外の 胃壁 障害 作 用 につ いて検 討を加 え. ン抵抗 性 を確 得 して血 糖 値 が 低 下 しな くな り,い ず. ね ば な らな い.. れ も低 血 糖 を 維 持 す る こ とが 困難 で, 20日 間 の 観察 期 間 中 に慢 性 潰 瘍 を発 生 させ る こ とは で きな かつ た.. 昔 か らOhne. saureren Magensaft kein peptisehes. Geschwur22)と. い わ れ て き た よ う に,胃 液 は潰瘍. の 発 生 に重 要 で あ り,イ ン シュ リンが 胃液分泌亢進 第3章. 総 括 な らび に 考 按. 自然 の ラ ッ トに 胃潰 瘍 を 認 め る こ とは, 1vy20)の. 剤 で あ る こ とか ら当 然,イ. ンシュ リンによ る胃エ ロ. ジオ ンの 発生 機 序 に お いて も胃液 因 子 は重大な役割. 集 計 で は1464例 中16例 で あ り,稀 な こ とと され てい. を演 ず る もの と期 待 され る.イ ンシ ュ リンの 胃液分. る.私 は ラ ッ トにNPHイ. 泌 亢 進作 用 は,そ れ に よ る低 血 糖 が 神経 中枢を刺戟. ン シュ リンを投 与 し,そ.
(7) 膵 内分泌の胃潰瘍発生因子に関す る実験的研究. 1671. し,迷 走 神経を 興 奮 させ る結果 と 考 え ら れ て い る. タ ジ ン投 与 が この エ ロ ジオ ンの 発生 を阻 止 し,血 管. が23),な おそ の ほか に下 垂 体 ・副 腎 系 に作 用 し,体. 変 化 を 軽 減 す る こ とは迷 走 神 経 を介 す る作用 の大 き. 液性に 胃に達 す る刺 戟 経 路 が あ る こ と はPorter4),. い こと を示 す もの で あ る.. Shay24), Stempien25)ら に よ り証 明 されて い る.大. イ ン シュ リ ンに よ る低 血糖 が 潰 瘍 発 生 に関 与す る. 貫 らは犬 にお け るイ ンシ ュ リン潰 瘍 の 原 因 として 迷. の は,上 述 の ごと く主 として 迷 走 神経 を 介す る作 用. 走神経興奮 に よ る胃液 分 泌 亢進 を強 調 した が,私 の. に よ るが,な お その ほ か に低 血糖 その もの は,あ る. ラッ トの実験 で は,イ ン シュ リ ンに よ りエ ロジ オ ン. 別 の機 序 に よ り 胃粘膜 細 胞 の 代謝 異 常 を きた し,腎. を惹起 す る高 度 の低 血糖 状 態 にな つ た ラ ッ トの 胃 液. 粘 膜 の 組 織抵 抗 性 を 減弱 させ,潰 瘍 の発 生 を 促進 さ. 分泌機能 は,予 想 に反 して,か え つ て低 下 して い る. せ る こ とが考 慮 され る.ラ ッ トにNPHイ. ンシ ュ リ. ことか ら,ラ ッ トの イ ンシ ュ リンエ ロ ジオ ンの 発 生. ンを 投 与 して 発 生 す る胃 エ ロ ジオ ンは その低 血糖 の. に胃液 因 子は重要 で な い と思 わ れ る.イ ン シ ュ リン. 程 度 に 関係 し,ま た 副 腎を 剔 出 して 糖 代謝 異 常 を生. の胃液分 泌 にお よ ぼす影 響,と くに イ ンシ ュ リン投. じた ラ ッ トで は ご く小 量 のNPHイ. 与 量 との 関 係 はNecheles26),. Sharick27), Levy28). ンシ ュ リンに よ. り血管 変 化 に比 して著 明な エ ロ ジオ ンが 出現 し,し. らによ り検討 され,投 与 量 が大 な る場 合 に 胃液分 泌. か もこの エ ロ ジオ ンの発 生 は あ らか じめ迷 走 神径 を. 抑制が現 わ れ る ことが 犬 に おい て 観 察 さ れ た.. 切 断 して おいて も阻止 で きな い ことか らエ ロジオ ン. 副交 感 神経な い し迷 走 神 経の 過 緊 張 に よ り 胃潰 瘍. 発 生 に低 血 糖 そ の もの の 関与 す る こ とが推 察 され る.. が発生 す る ことは既 に知 られて お り,古 くWestphal. 本 庄 は膵 ・十 二 指腸 全 剔 犬 に イ ンシュ リンを投 与 し. (1914)29)は 家兎 に ピロ カル ピ ンを 注 射 して 迷 走 神. て 発生 す る胃 ・空 腸 吻 合部潰 瘍 に おい て,そ の 発 生. 経 を刺戟 し,潰 瘍 を発 生 させ, Bergmannの. が低 血糖 と関 係の あ る こ とを認 めた.田 辺 は ラ ッ ト. 経失調 によ る機能 的 血行 障 害 説(1913)の. 自律 神 実 険的 疫. の副 腎 剔 出 後,電 解 質,血 糖 代 謝の不 均 衡 に際 して. 付 けとなつ た こ と は有 名 で あ る. Talma30), Kep. 胃 に出 血性 エ ロ ジオ ンが 発生 しや すい こ とを知 り,. pich31)は直 接迷 走 神経を,黒 津32)は 視 床 下部 の副. この 発 生機 序 と して,こ れ らの 代 謝異 常が 胃粘膜 と. 交感帯を電 気 刺戟 して 胃粘膜 に 出血,エ. ロ ジオ ンな. い し潰瘍 を発 生 させ,ま た 近 藤33)は これ らを 追 試 し, 胃に出血性 エ ロジオ ンが 発 生 し,と くに 胃底 腺 部 に. くに 胃底 腺 部 粘膜 細胞 の機 能 に大 きな障 害 を与 え, 粘 摸 細胞 の 抵 抗性 の 減 弱を 招 くこ とを 強調 し た. イ ン シュ リンに よ り胃 に エ ロ ジオ ンが 発生 した ラ. 出現す るの 認 めた.こ れ らの実 験 に お いて 胃血 管 に. ッ トは電 解 質 代謝 に も変 動 が あ り,血 清Na濃. 変化があ る ことは,そ れが 血 管 え の 直 接 作用 に よ る. 増 加 とK濃 度 の減 少を認 め た.イ ン シュ リン低 血糖. 度の. として も,あ るい は 胃壁 筋 の攣 縮 に よ り血 管が2次. 時 に 血清K濃 度の 減 少 す る こと は一 般 に認 め られて. 的に圧迫 され るた め と して も,い ず れ にせ よ局 所 の. お り, Fenn40)は 血 清Kの 減 少が組 織 内 に はい る糖. 循環障害 を きた し,潰 瘍 が 発生 す る と考 え られ る.. の 量 に比 例 す る とい い, Dary41)は. Baronofsky34), Key35)は 鬱 血に よ り, Lillehei36)は. 代 謝 に お け る 変 化 と 説 明 し て い るが,血 中 か ら. 動脈阻血 によ り出 血性 エ ロ ジオ ンが 発 生 す る こ とを. 消 失 したKが ど こえ 行 くか 今. 示 してい る.し た が つて イ ンシ ュ リンに よ るエ ロ ジ. Cook42)に よ る と血 清Kが. オンの発生 原 因に お いて も,イ ン シ ュ リンが 低 血糖. が 失 わ れ,細 胞 内 にNa+とH+が. を介 して迷 走 神経 を興 奮 させ る作 用 を有 す る こ とか. 細 胞 外液 のpHは. これ を糖 の 中間. な お明 らかて な い.. 減 少す る 場 合は細胞 内K 増 加 す るので,. 上 り,細 胞 内 は下 る と されて い る.. ら,この迷走 神経 を介 す る血管 因 子が 問題 とな る.勝. した がつ て 血 清Kの 変動 は細胞 内pHの. 木37)はイ ン シュ リ ン が 低 血糖 を 介 す る ことな く直. て い る と考 え られ,胃 粘 膜 細胞 にお いて も この変 化. 接 に自律 中枢 に作用 し,神 経 反射 的 に 胃 出血 を きた. を うけ,エ ロ ジオ ンの発 生 に影 響 を 与 え る こ とが想. す とい う.ラ ッ トにNPHイ. 像 され る.. ン シュ リンを投 与 して. 発生するエ ロジオ ンは胃 体 部 に出現 し,そ の 形態 は. 変動 を 併 つ. イ ンシ ュ リ ンに よ る低 血 糖 その ものが 直 接 胃 エ ロ. Mannの 分 類 した1型38) 39)に 属 し,組 織 学的 に見 て. ジオ ンの 発 生 に関 与 す る こ とは膵 内 分必 異 常 に よ る. も粘膜下 静脈,粘 膜血 管の 著 明 な拡 張 と血 球充 満,. 糖 代 謝障 害 が 潰 瘍発 生 因 子 とな り うる こ とを暗 示 す. 粘膜下動脈 の収 縮 が 認 め られ,出 血 性 エ ロ ジオ ンの. る.糖 代謝 異 常 と潰 瘍 の 関 係は 古 くか ら注 目 され て. 像を呈 する等,そ の発 生 に血 管因 子 の 関 与 の大 きい. い るが,糖 代謝の 調 節 に おい て膵 内分 泌 の もつ 役 割. ことが推測 され る.そ して 迷 走 神経 切断 お よ び ジエ. はvon. MeringとMinkowskiの. 糖 尿 病 に関 す る.
(8) 1672. 森. 本. 浩. 平. 歴 史 的 に 有 名 な 研 究 以 来 と くに重 視 さ れて きた.. め,エ ロ ジオ ンの 発 生部 位,形 態,胃 血管 の変化お. 正 常 動 物 の 耐 糖 曲線 は投 与 され た ブ ドウ糖 によ り. よび エ ロ ジオ ン発 生 に お よ ぼす迷 走 神経切 断 とク ロ. 膵 が 刺 戟 さ れ,イ. ル プ ロマ ジ ンの 影響 な ど ス トレス潰 瘍 に類 似 した性. ン シュ リン が 分 泌 され る ため と. 説 明 さ れて き たが,最 近 に な りSoskin43)に. よ り,. 質 を備 えて い る.. も し一定 の 血糖 埴 を維 持 す るだ けの イ ンシ ュ リンが. 実 験 的 に急 性 潰瘍 を作 製 す る こ とは比 較的 簡単で. 存 在 し さえす れば,肝 が 正常 な ら正常 の 耐糖 曲 線 を. あ るが,人 間 に み られ るよ うな慢 性 胃潰 瘍を 動物に. 示 し,血 糖 調 節 の ため の 膵 か らの イ ン シュ リ ン追 加. 作 るこ と は非. 分 泌 を 必 要 と しな い こ とが証 明 され,血 糖 の調 節 は. 慢 性 潰 瘍 を研 究 す る手 段 で あ るが,実 験 的急性 潰瘍. 肝 の 内 因 性 機 転 が主 役 を 演 じ,こ れ に 膵,甲 状 腺,. が 慢 性 化す るか ど う か はそ の 価値 を 決定 す るもので. に困 難 で あ る,実 験的 潰瘍 は人間 の. 下 垂 体,副 腎 皮質 等 に よ る 内分 泌 性 調 節 が な さ れ,. あ る.エ ロ ジオ ンが 急 性 潰 瘍,慢 性 潰瘍 に進 行す る. さ らにそ の ほ か に 中枢 神 経 系 と副 腎 髄 質 に よ る危 急. 過 程 は病 理 学上 で も承 認 され た事 実 であ るが,す べ. 機 転 が 存 在 す る と考 え られ るに いた つ た44),し た が. て の エ ロジオ ンが この過 程 を とつ て慢 性潰 瘍 化する. つ て臨 床 的 に 耐 糖 曲線 に異 常 を 認 め,糖 代謝 障 害 が. のか,あ るい は特別 の エ ロ ジオ ンの みが この過 程を. あ る場 合,た だ ちに これ を 膵 内 分泌 障 害 に結 びつ け. と る もの か明 らか で な く,慢 性潰 瘍 の前段 階 として. る こ と は で き な い.し か し肝45),甲 状 線46),下 垂. エ ロ ジオ ンな い し急 性 潰瘍 を考 え る ことにつ いて は. 体 ・副 腎 皮 質47)の 各 々の 機 能 異 常 に よ り潰 瘍 が 発. 異 論 が あ る.. 生 す る こ とは糖 代謝 と潰 瘍 の 関係 を推 測 させ る.ま. 私 は ラ ッ トにNPHイ. ンシ ュ リンを 投 与 して本. た,共 に糖 代 謝 障害 に関 連 して 発 生 す る,ラ ッ トの. 胃 の体 部 に 出 血性 エ ロ ジオ ンを 発生 せ しめ たが,こ. 副 腎剔 出 によ る胃 エ ロジオ ン と,イ ン シュ リ ン投 与. の エ ロジオ ンは原 因 が 去 る と1日 の 間 に完全 に治癒. に よ るそ れ とが,発 生 部 位,形 態 等 類 似 して い るこ. し,さ ら にNPHイ. とは 興 味 深 い.. 潰 瘍 の発 生 を図 つ た が成 功 しな かつ た.. イ ンシ ュ リンに よ る 胃エ ロ ジオ ンは ラ ッ トが 低 血. 大 貫 は犬 にPZIイ. ンシ ュ リ ンを 連 日投 与 して慢 性. ン シ ュ リンを 連 日投 与 して慢. 糖 性 シ ヨックに お ちいつ た 場 合 に発 生 す る点 か ら,い. 性 潰 瘍 を 作つ た が,そ の 発 生 はイ ンシ ュ リンが迷 走. わ ゆ る ス トレス潰 瘍 との 関連 性 につ いて も検 討 を加. 神経 刺 戟 作用 に よ り持 続 的 に 胃液 分泌 を亢 進 さす た. え ね ば な らな い.生 体 は 種 々の 侵襲 に さら され た場. め と考 え た.迷 走 神経 刺 載 に よ る潰 瘍 発生実験 では. 合,一 様 の 非 特 異性 症 状 を 伴つ て 反応 を示 す もの で. こ の ほ か にKiraner54)が. あ る48),Selye1)は これ に汎 適 応症 候 群 とい う概 念 を. あ る メ コ リー ルを 犬 に持 続 的 に投 与 して 慢 性潰瘍 を. アセ チル コ リン様 作用の. 導 入 し,適 応 反 応 にお ける 内分 泌 機能 の役 割 を強 調. 発 生 させ て お り,大 井46)は この 慢 性 化に成 功 した. した が,彼 は この症 候 の一 つ と して 胃腸潰 瘍 を取 り. 2種 の 潰 瘍 が ど ち ら も幽 門 部 粘膜 に 発生 し,他 の. 上 げ,生 体 の 警 告期 お よび 疲 憊 期 に 発生 す る ことを. 副 交 感 神経 刺 戟実 験 や,そ の ほか の実 験 によ るエ ロ. 示 して か ら,こ れが 潰 瘍 発 生 に関 す る 新 しい 考え と. ジオ ンな い し急性 潰 瘍 が 体部粘 膜 に 発生 して いる こ. して 注 目 され た.ス. と に注 日 し,エ ロ ジオ ンが 慢 性潰 瘍 に移行 す ると し. トレス潰 瘍 の 発 生 機序 につ いて. は不 明 な点 も多 いが, Selye自 身 も認 め て い る よ うに,. て も,何 か 別 の因 子があ つ て,幽 門 部粘膜 の エ ロジ. これ に は 自律 神 経が 大 き く関 与す る と解 され,主 と. オ ンのみ が 慢 性 化す る もの と考 え た.. して迷 走神 経 を 介 して 作用 す るが48)50),さ らに下垂. イン シ ュ リン投 与 に よ り低 血糖 を 持続 的 に保つ こ. 体 ・副 腎系 の 体 液性 経 路 も注 目され る3)5).そ して. とは 困難 で,ま た イ ン シュ リンに よ り発 生 す る胃粘. 潰瘍 は 胃 体 部 に 発 生 し,形 態 はMannの1型. 膜 欠損 は,血 糖 値が 圧常 に も どつて い る間 にすみや. に属. し,胃 壁 血 管 に は動 脈 痙攣 と鬱 血 が 認 め られ,胃 液. か に 治癒 し,慢 性潰 瘍 の 作製 が 困 難 な こ とはPoth. 分 泌 は亢 進 す る こ とが 知 られて い る51)52).イ ンシ ュ. も指 摘 して い る.そ もそ も潰 瘍 の 発生 と慢性 化の条. リンに よ る低 血 糖性 シ ヨ ックは生 体 に とつ て 大 きな. 件 は 別 々 に検 討 さ るべ き もの と考 え られ るが,両 者. ス トレスで あ り, Bliss53)は そ の末 梢 血中 に 副 腎 皮. は常 に 同時 に 作 用 して い て,両 者 を別 々に 切り離 し. 質 ス テ ロイ ドの増 加 す るの を認 め て お り,ラ ッ トに. て 論 ず るこ とは 容 易 でな い.ラ. NPHイ. ュ リンエ ロ ジオ ンが慢 性 化 しない こと は この発生条. ンシ ュ リンを 投 与 し した場 合,胃 エ ロジオ. ッ トにお け るイ ンシ. ンの 発 生 に ス トレスの 機 序 が 加わ つ て い ない と云 い. 件 が 慢 性 化の 条 件 として は 不充 分 で あ る ことを示 し,. 切 る こ とは で きない.実 際 その 副 腎 重量 に増 加 を認. この エ ロ ジオ ンの 慢 性 化に は,発 生 原因 として あま.
(9) 膵 内分泌の胃潰瘍発生因子 に関する実験的研究 り重視 しなかつた胃液因子が大いに関与す ると考え られ る.ラ ッ トは 胃内 に常 に食 物 を 充満 して お り, 胃液の作 用 は それ に よ り. 1673. を 示 した. 胃 変化 を組織 学 的 に検 索 す る と,胃 血 管 の変 化 が. 和 され 易 く,こ のエ ロ ジ. 著 明 で,粘 膜下 動脈 の 収縮 と粘膜 下 静 脈 お よ び粘 膜. オ ンの慢 性化 しな い原 因 と して実 験 動物 の特 異 性 も. 血 管 の 拡張 鬱 血 が あ り,粘 膜 に壊 死 を認 め,出 血 性. 考慮 しなけ れ ばな らない て あ ろ う.. エ ロ ジオ ンの像 を呈 した.迷 走 神 経 切 断 ラ ッ トで は イ ンシ ュ リンに よ る血 管 変化 が軽 度 に こ認め られ,. 第5章. 結. 論. 副 腎剔 出 ラ ッ トで はイ ン シュ リンに よ る出血 性 エ ロ. 胃 ・十二 指 腸 潰 瘍 の発 生 に膵 内分 泌 が 関与 す る こ とを証 明 す るた め,ラ. ッ トにNPHイ. ン シ ュ リンを. 投 与 して 胃粘膜 に現 わ れ る変 化 を種 々の 観 点 か ら追. ジオ ンが 著 明 で あつ た. NPHイ. ンシ ュ リンを ラ ッ トに 連 日投 与 したが 慢. 性 潰 瘍 の 作製 に は成 功 しなか つ た.. 求 した. NPHイ. ンシ ュ リン投 与 に よ り体 胃 の本 部粘 膜 に. 出血性 エ ロジオ ンが 発生 し た.エ ロジオ ンの発 生 は (本論 文 の要 旨 は第60回 日本外 科 学 会総 会 に おい. 低血糖 の程 度 に 関係 が あ り,し か もエ ロ ジオ ンの発 生 した もの は低 血 糖 性 シ ヨ ックに お ち いつ た ラ ッ ト であつ た.エ ロ ジオ ンの 発生 した ラ ッ トの副 腎重 量 は増加 し,血 清K濃 度 は 減少 し, Na濃 度 は増 加 した. エ ロ ジオ ンの発生 は迷 走 神経 切 断 に よ り阻止 され, また ク ロル プ ロマ ジ ンと ジエ タ ジンに よ り軽 度 に抑. て 発 表 した). 稿 を終 るに 臨 み 御 指 導 を賜 わ つた 恩 師津 田誠 次名 誉 教授 お よび御 指 導,御 校 閲 を賜 わ つ た 恩師砂 田輝 武 教 授 に心 か ら感 謝 す ると共 に,終 始 御 助言,御 鞭 撻 を 載い た 田 辺憲 一 講 師に 厚 く御 礼 を 申 上げ ま す.. 制 され た. 副腎剔 出 ラ ッ トで は イ ン シユ リンに よ るエ ロ ジオ ンが著 明 に現 われ,こ の 際 に は迷 走 神 経 を切 断 す る もエ ロ ジオ ンの発生 は阻止 され な か つ た. エ ロジオ ン発生 時 の 胃液 分 泌機 能 はか えつ て 低 下. 文 1). Selpe,. A.:. drome,. 2) Dragstedt, L. R.,. The. 1952,田. II,. Story. of the. 多 井 訳,医. L. R., Evans,. Adaptation. Syn. Ragins,. terology,. H., Dragstedt,. S. O., Jr... Stress and. 3) Gray, S. J., Ramsey. C., Reifenstein,. R. W.,. The Significance of Hor. monal Factors in the Pathogenesis of Peptic Ulcer, Gastroenterology, 25: 156, 1953. 4) Porter, R. W., Movius, H. J ., French, J. D.. Hypothalamic Influences on Hydrochloric Acid Secretion of the Stomach, Surgery, 33: 875, 1953. 5) French,. Peptic. 歯 薬 出 版 .. Duodenal Ulcer, Ann. Surg., 144: 450, 1956. Benson, J. A., Jr... 献. 7). Ulcer;. I. Clinical. 27:. 604, 1954.. Longmire, R. L., Porter, R. W., Movius, H. J .. Extravagal Influences on Gastric Hydrochloric Acid Secretion Induced. Gastroen. 田 辺 憲 一:ホ. ル モ ン失調 性 潰 瘍に 関 す る実 験的. 研 究;. 腎剔 出 後 の潰 瘍発 生 に お よぼ す 諸. I.副. 因 子 の 影 響 に 関 す る 実 験 的 研 究,岡 71:. 山 医 会 誌,. 527,昭34.. 8) Abrahamson,. E. M... Hyperinsulinism. as a. Factor in Peptic Ulcer, Am. J. Digest.. Die.,. 12: 379, 1945. 9) Platt,. W. D., Jr.,. Dotti,. L. B., Beekman,. R. S.: Glucose Tolerance in Patients Peptic Ulcer, Gastroenterology, 10) Rothenberg,. J . D.,. Review,. R. E.,. Teicher,. Mellitus and Peptic Ulcer,. with a. 13: 20, 1949. I... Diabetes. Am. J. Digest.. Dis., 5: 663, 1938.. 34: 621, 1953.. 11) Wood, M. N.: Chronic Peptic Ulcer in Ninety Four Diabetics, Am, J. Digest. Die., 14: 1,. 6) Sandweise, D. J .: Effects of Adrenocortico tropic Hormone (ACTH) and of Cortisone on. 12) Ellison, E. H.: In discussion of Mayo, H. W.,. by Stress Stimuli, Surgery,. 1947..
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(12) 1676. 森. 木. 浩. 乎. occurrence of erosion in the gastric mucosa following administration of NPH-Insulin was completely hindered by vagotomy and was slightly depressed by administration of Chlorpro mazin and of Dietazin. In the adrenaletomized rat, the erosion was more marked even after administration of small dosis of NPH-Insulin, and was not hindered by vagotomy. Gastric secretory function in rat with erosion of the gastric mucosa was depressed by administration of the Insulin. In the histological study of the stomach, contraction of the arteries in the submucosa, dilatation and stagnation of the veins in the submucosa and the mucosa were observed. The erosion did not develop to chronic ulcer even after repeated administration of the Insulin. It was, therefore, confirmed that circulatory disturbance in the gabtric mucosa caused by vascular change which was produced by means of vagal stimulation played a main role on the occurrence of erosion in the administration of the Insulin, and was also surmized that the reduced resistance of the gastric mucosa caused by hypoglycemia promoted formation of erosion..
(13) 膵内分泌の 胃潰瘍発生因子に関す る実験的研究. 森. 写 真1. ラ ッ トの 胃 粘 膜 肉 眼 像(NPH. イ ン シ ュ リ ン1単. 位 投 与,エ. ロジ. 本 論. 文. 1677. 附 図. 写 真2. エ ロ ジオ ン発 生部 粘 膜 組織. 像. ン発 生). 写 真3. 写 真2の 拡 大像. 写 真4. 低 血 糖 性 シ ョ ッ ク よ り回 復 し. た ラ ッ トの 胃 粘 膜(NPHイ ン投 与 後8時. 間). ンシュ リ.
(14) 1678. 森. 森. 写 真5. 本. 本. 写 真4の 拡大 像. 論. 浩. 文. 平. 附. 図. 写 真6 迷 走 神 経 切 断 ラ ッ ト(NPH イ ン シ ュ リ ン1単 位 投 与). 写 真7 副 腎 剔 出 ラ ッ トの 胃 粘 膜 肉 眼 像(NPHイ シ ュ リ ン0.01単 位 投 与,エ ロ ジ オ ン発 生). 写 真8 副腎 剔 出 ラ ッ トの エ ロジ オ ン発生 部 粘 膜 組織 像. 写 真9. ン. 写 真8の 拡大 像.
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