第7章 電気防食基準および運用方法の提案
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
7.1 はじめに
現在適用されている電気防食基準を整理し,本研究から得られた知見を考慮して,実構造 物に適用する場合の運用方法を以下に提案する.
7.2 電気防食基準の根拠と特徴
現在,適用されている電気防食基準には,第 2章で述べたように,A.分極量100mV,
B.復極量 100mV,および,C.電位-850mVの3種類がある.各基準の根拠および特徴を以
下に説明する.また,表-7.1にそれらを整理して示す.
表-7.1 現在適用されている電気防食基準の根拠と特徴
特 徴 種 類 内 容 根 拠
適用環境 適用時期 A.分極量 100mV ΔE≧Ecor-Eins
・鋼材の電位をアノー ド 部 の 電 位 よ り 卑 に し,腐食を停止させる
(図-2.7)
・大気中
・湿潤環境 ・通電開始時
B.復極量 100mV ΔE≧Eoff-Eins ・同上 ・大気中 ・点検時
C.電位-850mV E=-850mV vs.CSE
・鋼材の電位を不活性 態域に維持する
(図-2.1) ・湿潤環境 ・通電開始時
・点検時
なお,本論文での「湿潤環境」とは,コンクリート標準示方書[設計編]の表 8.14.1にある ように「連続してあるいはしばしば水で飽和されている場合[7.1]」を指し,桟橋の梁下面の ように,間欠的に海水と接する部位や,滞留水のある床版部も含む.
A.分極量100mVは,通気性の良否に関わらず所要の分極量が得られる場合に適しており,
大気中や湿潤環境において,特に通電開始時の電流密度設定のために適用されている.しか し,2.5.1 節で述べたように,鉄筋近傍の環境が改善されてオフ電位が自然電位 Ecorよりも αmV ほど貴になった場合でも 100+αmV ほど分極するように余分な電流を流す欠点があ る.
B.復極量 100mV は,通気性の良い場合に適しており,オフ電位が自然電位 Ecorよりも貴
になった場合でも最小限の電流密度に設定できる特長がある.とくに,鉄筋の腐食段階が進 展期までであれば,わずかな防食電流で容易に防食基準を満足することができる[7.2].また,
電 位 を 孔 食 電 位 や 隙 間 腐 食 電 位 よ り も 卑 に 維 持 す る こ と で 予 防 保 全 的 に 防 食[7.3]す る こ と 75
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
76
ができるので,上記と同様に本基準によってわずかな電流で防食することが可能である.し かし,復極に必要な酸素の供給が悪い湿潤な環境では,鉄筋が防食されていても基準を満足 しない場合がある.
C.電位-850mVは,鉄の不活性態域まで電位を卑にするので確実に防食することができる
が,鉄筋近傍の環境が改善されて図-2.1 に示す④不完全不動態域に移行しても,過大な電流 を流す可能性がある.特に,PC鋼線に対しては水素脆化の恐れがあるため電位を-1,000mV
vs.CSEよりも貴にする必要がある.
7.3 本研究で得られた電気防食基準に関する知見
本研究で得られた電気防食基準に関する知見を以下に示す.
研究の結果,電気防食を継続することによって pH が上昇するなど,鋼材表面の環境が改 善されることを明らかにした.
また,7.2節で述べた 3種類の防食基準,A.分極量 100mV,B.復極量 100mV,および
C.電位-850mVのいずれによっても防食効果を得ることができたが,鋼材表面のさび層やコ
ンクリートの湿潤条件によっては電流調整が難しい場合もあるので,環境や通電時間に応じ てこれらの中から適切な基準を選択するか,組み合わせて運用することが望ましいと考えら れる.
(1)単鉄筋供試体による実験(第 4章)から
4.3.1(3)項
湿潤環境にあるコンクリート中で腐食した鉄筋は,-1,000~-800mV vs. CSEの卑な 自然電位を示した.これは,酸素の供給速度が遅かったために自然電位がアノード部の電位,
または,水素の平衡電位に近づくためと考察した.
4.3.2(1)項
乾湿条件において,コンクリートが湿潤な場合は,防食基準B.復極量100mVでは復極量 が得にくく,電流調整が困難であった.
4.3.2(1)項
乾湿条件において,鋼材表面のさび層は酸素による酸化反応と防食電流による還元反応 を繰り返し生じると考えられた.
4.3.2(2)項
乾湿条件において,防食基準C.電位-850mVでは明らかな防食効果が認められたこと,
および,電流調整が容易であったことから,防食基準として適していることを明らかにした.
4.3.2(2)項
乾湿条件において,鋼材表面にさび層がある場合は電気防食の初期に80~170mA/m2程 度の非常に高い電流密度が必要であることを明らかにした.
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
77
(2)複鉄筋供試体による実験(第5章)から
5.3.3(4)項
電気防食によって上筋(乾燥)および下筋(浸漬)のオフ電位は通電初期よりも200~300mV ほど貴化した.この理由は,pHの上昇など,鉄筋表面の環境が改善されたためと考えられた.
5.3.3(6)項
電気防食基準B.復極量100mVによって,「鉄筋内マクロセル」および「鉄筋間マクロセル」
による腐食を防止できることを明らかにした.
5.3.3(6)項
湿潤環境にある鉄筋は,電気防食を1.5年以間続けることで防食電位-850mV vs.CSEより も貴な電位(例えば,単独定電流No.11は-660mV vs.CSE)で防食効果が認められることを 明らかにした.
(3)模擬干満帯供試体による実験(第 6章)から
6.3.4 項
模擬干満帯において,電気防食基準 B.復極量100mV によってマクロセル腐食を防止でき ることを明らかにした.
6.3.4 項
流電陽極からの断続的で大きな電流によって,外部電源方式による電気防食の効果が大き く向上すること明らかにした.
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
78
7.4 実構造物における防食基準運用方法の提案
本研究の結果から,コンクリート構造物の電気防食において,A.分極量 100mV,B.復極量
100mVおよびC.電位-850mVの3種類の電気防食基準を組み合わせて運用することが好ま
しいと考えられた.そこで,電気防食が数多く適用されている実構造物の例として,橋梁お よび桟橋を挙げ,図-7.1に示す部材ごとに適用が可能と考えられる防食基準を表-7.2に示す.
防食回路は,これら防食基準の適用範囲および対象面積を考慮して分ける必要がある.
7.4.1 橋梁における電気防食基準
(1)床版
橋梁の床版は,桟橋に比較して乾燥環境にあるため,鋼材の腐食が進行しにくいので,電 気防食基準としては B.復極量100mVが最も適している.
しかし,打ち継ぎ部やひび割れ部からの漏水や,排水路の滞留水,漏水によってもコンク リートが湿潤になる場合がある.このような場合は復極が不十分になるので,まず,A.分極
量 100mV で通電し,その後,鋼材の表面状態が改善されれば B.復極量 100mV に切り替え
るなど,A とBを組み合わせることが良いと考えられる.
さらに,融雪剤によって著しい腐食が生じ,鋼材表面にさび層の形成が予想される場合は
C.電位-850mVも組み合わせる必要がある.
(2)桁
橋梁の桁は,桟橋に比較して乾燥環境にあるため,鋼材の腐食が進行しにくいので,電気 防食基準としては B.復極量100mVが最も適している.
しかし,沿岸に建設された橋梁では,海水の飛沫や波に曝される場合があり乾湿を繰り返 すので,まず,A.分極量100mVで通電し,その後,鋼材の表面状態が改善されれば B.復極
量 100mVに切り替えるなど,AとBを組み合わせることが良いと考えられる.
さらに,桁の端部などでは融雪剤による著しい腐食がある場合は,さび層の形成および雨 水による湿潤化が考えられるので C.電位-850mVも組み合わせる必要がある.
さび層が予想される部位については,例えば,100mA/m2程度の高電流密度が必要な場合 があるので,これに対応するための陽極システムや電源装置の容量を大きくするなどの配慮 が必要である.
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
[1]
[2]
[3]
[3]
[5]
[4-2]
[4-1]
(橋梁 側面図) ( 桟橋断面 図)
図-7.1 電気防食の対象部位例
79
表-7.2 実構造物に適用する電気防食基準の運用方法(案)
鉄筋表面のさびの程度2) と適用防食基準3) 構造物 図
中 の 番 号
部位 環境1)
点さび さび層
備 考
乾 燥 B - ・乾燥状態では腐食は軽微とした
乾 湿 B A,B
床版 [1]
湿 潤 A,B A,B,C ・漏水や滞留水により湿潤になる 乾 燥 B - ・乾燥状態では腐食は軽微とした
乾 湿 B A,B ・海岸線の道路では乾湿になる場合もある 橋梁
桁 [2]
湿 潤 A,B A,B,C ・桟道などは湿潤になる場合もある
乾 燥 B - ・乾燥条件ではさび層形成まで腐食しにくい
乾 湿 B A,B
床版 [3]
湿 潤 A,B A,B,C ・漏水や滞留水により湿潤になる 乾 燥 B - ・乾燥状態では腐食は軽微とした [4-1]
乾 湿 B A,B ・飛沫帯
梁
[4-2] 湿 潤 A,B A,B,C ・干満帯の上部でマクロセルのアノードになる
・下部工の電気防食により防食効果が高くなる 桟橋
海中 [5] 浸 漬 C C ・干満帯の下部でマクロセルのアノードになる
・下部工の電気防食により防食される
【注】1)環境
乾燥:漏水や滞留水がない,乾湿:乾燥時間が湿潤時間より長い,湿潤:連続してあるいはしば しば水で飽和されている場合
2)さびの程度(2007年制定 コンクリート標準示方書[維持管理偏]p.90)[7.4]
点さび:腐食グレードⅡまで,さび層:腐食グレードⅢ~Ⅳ 3)適用防食基準
A.分極量100mV,B.復極量100mV,C.電位-850mV vs.CSE
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
80 7.4.2 桟橋における電気防食基準
(1)床版
床版の上面やコンクリートのかぶりが十分な場合は,鋼材の腐食が進行しにくいので,電 気防食基準としては B.復極量100mVが最も適している.
しかし,水はけが悪い箇所や,打ち継ぎ部やひび割れ部からの漏水がある箇所ではコンク リートが湿潤になる場合がある.このような場合は復極が不十分になるので,まず,A.分極
量 100mV で通電し,その後,鋼材の表面状態が改善されれば B.復極量 100mV に切り替え
るなど,A とBを組み合わせることが良いと考えられる.
さらに,床版面を洗浄するための散水の頻度や,滞留水の量と時間が多い場合はコンクリ ートが湿潤になることがあるので C.電位-850mVも組み合わせる必要がある.
さび層が予想される部位については,例えば,100mA/m2程度の高電流密度が必要な場合 があるので,これに対応するための陽極システムや電源装置の容量を大きくするなどの配慮 が必要である.
(2)梁
桟橋の梁の飛沫帯以上の箇所は,厳しい海洋環境に曝されるので鋼材は腐食しやすい.電 気防食基準としては,まず,A.分極量 100mV で通電し,その後,鋼材の表面状態が改善さ
れればB.復極量100mVに切り替えるなど,AとBを組み合わせることが良いと考えられる.
しかし,梁下面のように海水中に接する部位は,湿潤状態にあるため復極が期待できない.
また,マクロセルによる腐食が考えられるのでC.電位-850mVを組み合わせる必要がある.
さび層が予想される部位については,例えば,100mA/m2程度の高電流密度が必要な場合 があるので,これに対応するための陽極システムや電源装置を考慮しなければならない.
また,鋼管杭などの下部工に流電陽極による電気防食が施工されている場合は,梁が浸水 すると流電陽極からの電流が梁中の鋼材に流入するため,梁下面の防食効果が向上する.た だし,復極量測定による防食効果確認試験では,流入電流によって正しい測定値が得られな いので,浸水時の測定を避ける必要がある[7.5].
(3)海中部
海水中のコンクリート構造物は,酸素の供給速度が遅いために腐食速度は非常に低い.し かし,ジャヤンカやひび割れ部などの鋼材が海水中に露出している場合は,海水中の鋼材と 同様に腐食する.また,コンクリート中の鋼材が上部工と電気的に接続されているとマクロ セルのアノードとなって腐食するので,電気防食が必要である.この場合は JCIのコンクリ ート構造物の防食指針(案)[7.6]にあるように,電気防食基準C.電位-850mVを適用する.
なお,下部工に流電陽極による電気防食が施工されている場合は,それによって海水中の 部材も電気防食される.
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
81
7.5 まとめ
現在適用されている電気防食基準を整理し,本研究から得られた知見を考慮して実構造物 に対する電気防食基準の運用方法を検討した結果を以下に示す.
(1)電気防食基準である A.分極量100mV,B.復極量 100mVおよびC.電位-850mVは,い ずれも防食効果が認められた.
(2)電気防食基準 B.復極量100mVでは,鋼材表面のさび層やコンクリートの湿潤条件によ
っては電流調整が難しい場合がある.
(3) 環境や通電時間に応じて適切な基準を選択するか,組み合わせて運用することが望ま しい.
第7章 電気防食基準および運用方法の提案
82 第7章の参考文献
[7.1] 土木学会:コンクリート標準示方書[設計編],p.123,2007
[7.2] 建設省土木研究所材料施工部化学研究室,(社)プレストレスト・コンクリート建設業 会 : 海 洋 構 造 物 の 耐 久 性 向 上 技 術 に 関 す る 共 同 研 究 報 告 書 , 第256号 ,pp.33-47, 2000.12
[7.3] Pedeferi P.: Cathodic Protection and Cathodic Prevention, Construction and Building Materials, Vol.10, No.5, pp.391-402, 1991
[7.4] 土木学会:コンクリート標準示方書[維持管理編],p.109,2007
[7.5] 山本悟,小林靖宏,中村貴毅,宮本泰輔:干満帯を有するRC桟橋上部工における電気
防食効果確認試験に関する考察,第57回材料と環境討論会,pp.398-401,2010.10
[7.6] JCI-R1 海洋コンクリート構造物の防食指針(案)-改訂版-, 日本コンクリート工学協
会pp.29-30, 1990.3
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
第8章 実 構 造 物 に お け る 電 気 防 食 基 準 の 運 用 方 法 に 関 す る 妥 当 性 確 認
8.1 はじめに
第7章では,電気防食基準であるA.分極量 100mV,B.復極量100mVおよび C.-850mV の運用方法を表-7.2に示すように提案した.本章では,実構造物における5年間の電気防食 点検結果から,本研究で提案する防食基準運用方法の妥当性を検証した.
8.2 方法
8.2.1 桟橋の概要
(1) 構造
電 気 防 食 対 象 の 構 造 物 は R C 構造の桟橋である.合計6スパン から成り1スパン当たりの法線方 向長さは35mである.梁下面のレ ベルは,高潮位HWL+2.0mと同 程度 の +2.2m であ り ,梁 の 下 部 は 満 潮 時 に 波 浪 に よ っ て 海 水 と 接する.1 スパンの概要を図-8.1 に示す.
平面図
83 (2) 塩害環境
当桟橋の環境は,荒天時は激し い 波 浪 に よ っ て 海 水 が 梁 や 床 版 に当たり,このためコンクリート
中の塩化物イオン濃度が高かく,コンクリート表面から50mmで,梁では 5~8kg/m3,床版
下面では3~6kg/m3であった.また,岩塩も荷役するための桟橋であり,床版上面からも塩
分が浸透し,コンクリート表面から50mm の深さにおける塩化物イオン濃度は 5kg/m3であ り,苛酷な塩害環境であった [8.1].
(3) 桟橋の補修履歴
対象桟橋は 1968年に竣工し,1991~1993年に第1回目の塩害補修が全スパンに対して実 施された.補修工法は「モルタルによる断面修復および表面被覆」であった.その後,再劣 化が顕在化したために複数回の部分補修が行われた.しかし,再劣化が続くため,2006年に
「モルタルによる断面修復および外部電源方式による電気防食」が行われた.
図-8.1 対象構造物の概要
側面図 35,000[防食範囲]
11,500 12,000 11,500
17,400
2,0005,0005,000 2,000
3,400
600
+5.2m +2.2mHWL+2.0m 3,000[防食範囲]
(単位:mm)
陸側
No.2回路
No.3回路
海側
No.3回路 No.2回路
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
2006年以前に行われ た 断 面 修 復 の 範 囲 は , 床版下面は約 80%,梁側面は約 30%であり,
梁下面はほぼ全面(数量の履歴が明らかでな い)に断面修復が実施された.2006年に補修 を行う前の桟橋下面の状況を図-8.2および図 -8.3 に示す.
また,床版における鉄筋の腐食状況を 図-8.4 に示す.補修時に設置した異形鉄筋が 著しく断面欠損していた.この原因は,床版 下面から吹き付けた補修モルタルが,異形鉄 筋を十分に包み込まない部分があり,この接 触が不十分な箇所がアノードとなるマクロセ ル腐食を生じたものと推定された.
・塗膜剥離およびさび汁が認められた,2006 年 図-8.2 電気防食施工前の桟橋下面
8.2.2 電気防食の概要
(1) 電気防食の施工
電気防食は,断面修復後に陽極材(チタン トレイ)をコンクリート面に取り付けて行っ た.梁および床版の鉄筋は激しく腐食してい たので,さび層があること,およびコンクリ ートの湿潤条件が異なることを考慮して,1 スパン(本論文では第 5スパンのみについて 述べる)を No.1回路(梁下面)226m2,No.2 回路(陸側梁側面)339 m2,No.3回路(海 側梁側面)480 m2およびNo.4回路(床版面)
333 m2の4回路に分けた.回路分けの概要を 図-8.5 に示す.
84 また,電位測定のための埋設式鉛照合電極 を各回路に 4個(RE1~RE4)ずつ設置した.
なお,床版には陽極材を下面にのみ取り付け たが,上筋にも電気防食効果がおよぶことを 確認するために,床版の照合電極 RE1は上筋 の近傍に取り付けた.
なお,床版上面の鉄筋は,荷揚げした岩塩 がコンクリート中に浸透したことが原因と思 われる激しい腐食(断面欠損を含む)が認め
既設 コンクリート
補修部
・断面修復部でひび割れ,および,さび汁が認め られた,2006 年
図-8.3 梁下面の再劣化状況
図-8.4 床版における鉄筋の腐食状況
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
られた[8.2].工事用の開口部を設ける ために,床版を切り出したコンクリー トブロックの断面を図-8.6 に示す.上 筋の位置に,さびの膨張圧によって発 生したと思われるひび割れが認められ た.また,鉄筋間の電気的な導通が不 十分な箇所があったので導通用の補足 鉄筋を点付け溶接して,鉄筋間の導通 を確保した.
No.2回路(陸側梁側面)
(断面図)
+2.5m
No.4回路(床版面)
85 電気防食施工後の状況を図-8.7に
示した.
(2) 電気防食基準
電気防食基準は,再劣化が顕在した ことから鉄筋表面にさび層があると予 想し,また,環境は,乾湿環境や湿潤 環境など,様々の条件にあると考えら れた.このため,表-7.2 より3種類の 防食基準,A.分極量 100mV,B.復極量 100mVおよびC.電位-850mVのいず れかを選定することとした.
(3) 通電方法
通電は,定電流電源装置を用いて,電気防食基準のいずれかを満たすように,次回の点検 まで,一定電流を通電し,点検時に電流の過不足を調整した.なお,電流密度は全てコンク リート面積当たりの値とした.
(白矢印は陽極の設置箇所を示す)
図-8.7 桟橋の電気防食施工後の状況
図-8.5 電気防食の回路分け
上筋
下筋
ひび割れ
図-8.6 床版の断面状況
No.1回路(梁下面)
No.3回路 (海側梁側面)
陽極材(チタントレイ)
:埋設式鉛照合電極 (RE1~RE4)
照合電極 RE1
HWL.+2.0m
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
(4) 測定項目
測定項目は,自然電位 Ecor,通電電流,インスタントオフ電位 Einsおよびオフ電位(24 時間後)Eoffとし,表-7.1 に示した式によって分極量および復極量を計算した.
(5) 外観観察
毎年,ボートに乗って桟橋下面の外観観察および,たたき検査などで躯体の点検を行った.
8.3 結果および考察
以下に,5年間におよぶ点検結果について回路ごとに述べる.
8.3.1 No.1 回路(梁下面)の結果
(1) 電流密度の経時変化
86 梁下面における電流密度の経時変化
を図-8.8 に示す.
梁下面は,1日あたり約40分間×2 回ほど海水中に没するために復極量が 得られないことから防食基準 C.電位-
850mVを適用し,インスタントオフ電
位が-850mV vs.CSEより卑になる ように電流を調整した.その結果,電 流密度は通電初期に 40~58mA/m2と
高かったが,通電 372日後には20mA/m2まで低減できた.この結果は,4.3.2(2)項の「乾湿 条件において-850mV」と同様になり,通電を継続することで防食基準を満たすための電流 密度を低減できることが明らかであった.
0 10 20 30 40 50 60 70
0 500 1,000 1,500 2,000
電流密度(mA/m2)
時間(日)
No.1回路(梁下面)
図-8.8
(No.1 回路(梁下面))
電流密度の経時変化
なお,電流密度が通電 372日後に安定するまでの積算電気量は 393Ah/m2であった.
また,下部工の鋼管杭を電気防食しているので6.3.5項で述べたように,流電陽極からの防 食電流によって,上部工の電気防食効果が向上することが期待できる.
(2) 電位の経時変化
梁下面におけるインスタントオフ電位の経時変化を図-8.9 に,分極量の経時変化を 図-8.10に,および,復極量の経時変化を図-8.11に示す.
インスタントオフ電位は,通電初期に -800~-600mV vs.CSEと比較的に貴であった が,通電 100日後から-1,000 mV vs.CSEの値でほぼ安定した.一方,照合電極RE3にお ける電位は,通電 1,845日後では-850mVよりも貴になり,防食基準C.電位-850mVを満 たさなくなった.しかし,図-8.11に示す復極量は 100mV以上であり,防食基準B.復極量
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
100mV を 満 た し て い た . こ の よ う に,
鋼材表面の環境改善の進行に応じた防 食基準を適用することが妥当であると 考えられる.
-1,400 -1,200 -1,000 -800 -600 -400 -200
0 500 1,000 1,500 2,000
インスタントオフ電位(mV vs.CSE)
時間(日)
Eins RE1 No.1回路(梁下面)
Eins RE2 Eins RE3 Eins RE4
8.3.2 No.2 回路(陸側梁測面)の 結果
図-8.9 インスタントオフ電位の経時変化 (1) 電流密度の経時変化
(No.1 回路(梁下面))
陸側梁側面における電流密度の経時 変化を図-8.12に示す.
87 梁側面は,配筋量が比較的に少ない
ことと,新たに断面修復したことから 梁下面に比較して防食基準を満たすた め の 電流 密 度 を 低く す る こ とが で き た . それでも,初期に 20mA/m2と高かった が,通電 300日後から5mA/m2の低い 値に調整することができ,梁下面と同 様に鉄筋表面における環境改善効果が 認められた.
100 0 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200
0 500 1,000 1,500 2,000
分極量(mV )
時間(日)
Epol RE1 Epol RE2 No.1回路(梁下面)
Epol RE3 Epol RE4
図-8.10 分極量の経時変化
(No.1 回路(梁下面))
0 100 200 300 400 500 600 700 800
0 500 1,000 1,500 2,000
復極量(mV )
時間(日)
なお,電流密度が通電 300日後に安 定するまでの積算電気量は 101Ah/m2 であった.
Edep RE1 No.1回路(梁下面) Edep RE2 Edep RE3 Edep RE4
(2) 電位の経時変化
陸側梁側面におけるインスタントオ フ電位の経時変化を図-8.13に,分極量 の経時変化を図-8.14に,および,復極 量の経時変化を図-8.15に示す.
図-8.11 復極量の経時変化
(No.1 回路(梁下面))
図-8.12 電流密度の経時変化 0
10 20 30 40
0 500 1,000 1,500 2,000
電流密度(mA/m2)
時間(日)
インスタントオフ電位は,照合電極 RE3の位置を除いて,-800~
-600mV vs.CSEと梁下面よりも貴で あった.これは,梁側面が梁下面に比 較して湿潤な時間が短いためと考えら れる.しかし,照合電極 RE3の位置で は電位が卑であったことから,この箇 所のコンクリートがより湿潤であった
No.2回路(陸側梁側面)
(No.2 回路(陸側梁側面))
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
-1,400 -1,200 -1,000 -800 -600 -400 -200
0 500 1,000 1,500 2,000
インスタントオフ電位(mV vs.CSE)
時間(日)
と考えられる.このように,同一の部 材であっても環境条件が異なることが あるので,3種類の電気防食基準を組 み合わせて運用することが好ましいと 思われる.
No.2回路(陸側梁側面)
Eins RE1 Eins RE2 Eins RE3 Eins RE4
図-8.15 の結果から,梁側面では,
いずれの照合電極位置においても,電 気防食基準 B.復極量-100mVを満足 した.
88 なお,No.3回路(海側梁側面)では
No.2回路と同様な傾向が認められた.
8.3.3 No.4 回路(床版面)の結果
(1) 電流密度の経時変化
床版面における電流密度の経時変化 を図-8.16に示す.
床版面では,後述するように照合電 極 RE1およびRE4における分極量が 少なかったので 45mA/m2の高い電流 密度で通電する必要があった.
また,床版面では 1,987Ah/m2を通電 したにもかかわらず電流密度は低減で きなかった.一方,梁下面では
393Ah/m2,梁側面では101Ah/m2のよ うに,他の部材では床版面よりも少な い 積 算電 気 量 で 電流 密 度 を 低減 で き た . このように,部材の環境条件や配筋量 などによって防食電流密度を低減でき るまでの積算電気量が異なることが明 らかであった.
(2) 電位の経時変化
床版面におけるインスタントオフ電 位の経時変化を図-8.17に,分極量の 経時変化を図-8.18に,および,復極 量の経時変化を図-8.19に示す.
図-8.14 分極量の経時変化
(No.2 回路(陸側梁側面))
図-8.15 復極量の経時変化
(No.2 回路(陸側梁側面))
図-8.13 インスタントオフ電位の経時変化
(No.2 回路(陸側梁側面))
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000
0 500 1,000 1,500 2,000
分極量(mV )
時間(日)
Epol RE1 No.2回路(陸側梁側面)
Epol RE2 Epol RE3 Epol RE4
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000
0 500 1,000 1,500 2,000
復極量(mV )
時間(日)
Edep RE1 No.2回路(陸側梁側面) Edep RE2 Edep RE3 Edep RE4
0 10 20 30 40 50 60
0 500 1,000 1,500 2,000
電流密度(mA/m2)
時間(日)
No.4回路(床版面)
図-8.16 電流密度の経時変化
(No.4 回路(床版面))
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
89 インスタントオフ電位は,照合電極
RE3の位置を除いて,-800~
-600mV vs.CSEと梁下面よりも貴で あった.これは,床版面は,海水に没 する梁下面に比較して湿潤になる時間 が短いためと考えられる.
しかし,床版上面は水洗いのために,
頻繁に湿潤になり,特に照合電極 RE3 付近の床版上面には滞留水が認められ たことから,湿潤な時間が比較的に長 かったものと考えられる。このように,
同一部材に複数の環境条件が予想され る場合は,事前調査時に環境条件を十 分に把握し,電位分布が均一になるよ うに,排水対策,補修などの処置や回 路分けを行うことが必要である.
また,図-8.19に示すように,上筋近 傍に設置した照合電極RE1における分 極量が,通電 400日後から防食基準A.
分極量 100mVを満足したことから,上
筋に対しても電気防食効果がおよんだ ことが確認できた.
図-8.18 分極量の経時変化
(No.4 回路(床版面))
図-8.17 インスタントオフ電位の経時変化 -1,400
-1,200 -1,000 -800 -600 -400 -200
0 500 1,000 1,500 2,000
インスタントオフ電位(mV vs.CSE)
時間(日)
Eins RE1 Eins RE2 No.4回路(床版面)
Eins RE3 Eins RE4
(No.4 回路(床版面))
図-8.19 復極量の経時変化 0
100 200 300 400 500 600 700 800
0 500 1,000 1,500 2,000
分極量(mV )
時間(日)
No.4回路(床版面) Epol RE1 Epol RE2 Epol RE3 Epol RE4
0 100 200 300 400 500 600 700 800
0 500 1,000 1,500 2,000
復極量(mV )
時間(日)
Edep RE1 No.4回路(床版面)
Edep RE2 Edep RE3 Edep RE4
(No.4 回路(床版面))
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
8.3.4 外観観察結果
通電 5年後における桟橋下面の状況を図-8.20および図-8.21に示す.
桟橋下面の外観観察および梁の打音検査を実施した結果,いずれの変状も認められず厳し い塩害環境においても電気防食によって再劣化を防止できた.
図-8.20 桟橋梁側面の状況
(第 5 スパン,5 年後)
図-8.21 桟橋下面の状況
(第 5 スパン,5 年後)
90
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
91
8.4 まとめ
塩害を受けた桟橋において「3種類の電気防食基準のいずれかを満足するように運用」した 結果,厳しい塩害環境においても再劣化を防止できたことから,本論文で提案する電気防食 基準の運用方法が妥当であることが検証できた.
(1)環境条件や鉄筋の表面状態が様々な実構造物では,A.分極量 100mV,B.復極量 100mV
および,C.電位-850mVの3種類の電気防食基準を運用することが好ましいことを明ら
かにした.
(2)通電5年後においても,桟橋の再劣化が認められなかったことから,厳しい塩害環境に
おける電気防食の効果を明らかにした.
(3)実構造物では環境条件や鉄筋の表面状態が様々なので,事前調査時にこれらを把握し,
電流分布が均一になるように,排水処理や補修を行うなどの処置が必要である.
(4)塩害を受けた桟橋において,防食基準を満足するために必要な電流が低減し安定するま での積算電気量は,梁下面で 393Ah/m2,梁側面で101Ah/m2であったが,床版面では
1,987Ah/m2を通電しても電流密度は低減できなかった.このように,さびの程度や配筋
量によって電流密度を低減できるまでの積算電気量は異なることを明らかにした.
第8章 実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認
92 第8章の参考文献
[8.1] 武田均,山本悟,平田隆,丸屋剛:陽極板を用いた外部電源方式電気防食の既設桟橋
への適用,コンクリート構造物の補修・補強・アップグレード論文集,第7巻,pp.247-252,
2007.11
[8.2] 武田均,丸屋剛,山本悟,川岡岳晴:腐食が著しく進行したコンクリート構造物中の
鉄筋における電気防食の効果,土木学会第65回年次学術講演会,pp.643-644,2010.9
93
た.
.
.
第9章 結論
本研究は,塩害によって腐食したコンクリート中鉄筋の腐食メカニズムを解明すると共に,
腐食を抑制するための電気防食に関して,その防食基準の運用方法を提案することを目的に 行った.
室内で,まず①単鉄筋供試体を用いて腐食防食に関する基本的な検討を行い,次に②複鉄 筋供試体を用いてマクロセル腐食のメカニズムをモデル化によって解明すると共に,マクロ セル腐食に対する電気防食の効果を明らかにした.また,③流電陽極からの防食電流が,外 部電源方式の電気防食効果におよぼす影響について検討した.さらに,④実構造物における 電気防食の点検結果から,本研究で提案する防食基準運用方法の妥当性を検証した.以下に 本研究の範囲で得られた結論を示す.
第4章では,一本の鉄筋を埋設後に腐食させた単鉄筋供試体を用いて,電位および腐食速
度におよぼす鉄筋表面状態ならびにコンクリート性状の影響を考察すると共に,湿潤環境に 適した電気防食基準の検討を行った.以下に第4章で得た結論を示す.
(1)湿潤環境にあるコンクリート中で腐食した鉄筋は,-1,000~-800mV vs. CSEの卑な 自然電位を示した.これは,酸素の供給速度が遅かったために自然電位がアノード 部の電位,または水素の平衡電位に近づくためと考えられ
(2)コンクリート中であっても,塩化物を含む供試体中鉄筋の腐食部はpH4程度の酸性を 示した.
(3)湿潤環境において,防食基準「復極量100mV」では復極量が得にくく,電流調整が困
難であった.
(4)湿潤環境において,防食基準「電位-850mV」では明らかな防食効果が認められたこ と,および,電流調整が容易であったことから,防食基準として適していると考えら れた
(5)コンクリート中の鋼材表面にさび層がある場合は電気防食の初期に80~170mA/m2程
度の非常に高い電流密度が必要であることを明らかにした.
(6)乾湿条件においては,鋼材表面のさび層は酸素による酸化反応と防食電流による還元 反応を繰返し生じると考えられた
94
第5章では,上筋および下筋の2本の鉄筋を埋設後に腐食させた複鉄筋供試体を用いて,湿 潤差によるマクロセルの電位および腐食速度におよぼすコンクリート特性の影響を検討し,
マクロセルのモデル化による腐食メカニズムの究明を行うと共に,マクロセルに対する電気 防食の効果を明らかにした.以下に第5章で得た結論を示す.
(1)単独上筋の自然電位は,初期から徐々に貴化したが,下筋の自然電位は上筋よりも200
~300mVほど卑になり,湿潤環境にある鉄筋が鉄筋間マクロセルのアノードになった.
(2)上・下鉄筋間のマクロセル電流は暴露100日後までは2~13 mA/m2の範囲で高い値を示
したがコンクリートの乾燥が進むと1~5 mA/m2の範囲に低下した.
(3) 上・下鉄筋間のマクロセル電流は,下筋の腐食電流に占める割合は低いが,下筋の腐 食環境を維持させるなど間接的に下筋の腐食を促進させたと考えられた.
(4)電気防 食 によって 上 筋および 下 筋のオフ 電 位は通電 初 期よりも200~300mVほど貴化 した.この理由は,pHの上昇など,鉄筋表面の環境が改善されたためと考えられた.
(5)「復極量が100mV以上」の通電による電気防食で,鉄筋内マクロセルおよび鉄筋間マ
クロセルによる腐食を防止できた.
(6)電気防食によって鉄筋表面の環境が改善するためには,鉄筋周囲の水素イオン濃度pH や,さび層の量に応じた積算電気量が必要であると推察された.
(7)湿 潤 環 境 に あ る 鉄 筋 は , 電 気 防 食 を1.5年 以 間 続 け る こ と で 「 防 食 電 位 -850mV mV vs.CSE」よりも貴な電位で防食効果が認められた.
(8)さび層に含まれる鉄イオンFe2+が金属鉄Feに還元される可能性が示された.
(9)腐食を生じたコンクリート中鉄筋の腐食モデルにターフェル式や外挿法を適用でき る ことが示された.
(10)「鉄筋内マクロセル」のモデル化により,鉄筋の自然電位や腐食電流はアノード分極 の大きさに大きく影響を受けるため,乾燥によってアノード分極が増加すると自然電位 が貴になり,腐食電流が低下する傾向を示すことを明らかにした.
(11)「鉄筋間マクロセル」の電流密度iはマクロセル形成時の上筋の電位E上 ( i )と下筋の
電位E下( i )およびマクロセル間のコンクリート抵抗rから求めることができた.
第6章では,模擬干満帯水槽に浸漬した複鉄筋供試体を用いて,桟橋の鋼管杭を電気防食
するための流電陽極からの電流が,上部工コンクリート部材の電気防食効果に及ぼす影響を 調べた.以下に第6章で得た結論を示す.
(1)マクロセル電流は下筋の質量減に直接に影響せず,下筋が自己腐食(鉄筋内マクロセル やアノード部のミクロセルにおける腐食)する環境の維持を助長したと考えられた.
(2)模擬干満帯において,電気防食基準B.復極量 100mVによってマクロセル腐食を防止で
きることを明らかにした.
(3)流電陽極からの断続的で大きな電流によって,外部電源方式による防食効果が大きく向 上することを明らかにした.
95
第7章では,現在適用されている電気防食基準を整理し,本研究から得られた知見を考慮 して実構造物に対する電気防食基準の運用方法を検討した.以下に第 7章で得た結論を示す.
(1)電気防食基準である A.分極量100mV,B.復極量 100mVおよびC.電位-850mVは,い ずれも防食効果が認められた.
(2)電気防食基準 B.復極量100mVでは,鋼材表面のさび層やコンクリートの湿潤条件によ
っては電流調整が難しい場合がある.
(3) 環境や通電時間に応じて適切な基準を選択するか,組み合わせて運用することが望ま しい.
第8章では,実構造物における5年間の電気防食点検結果から,本研究で提案する防食基準 運用方法の妥当性を検証した.以下に第8章で得た結論を示す.
(1)環境条件や鉄筋の表面状態が様々な実構造物では,A.分極量 100mV,B.復極量100mV
および,C.電位-850mVの3種類の電気防食基準を運用することが好ましいことを明ら
かにした.
(2)通電5年後においても,桟橋の再劣化が認められなかったことから,厳しい塩害環境に
おける電気防食の効果を明らかにした.
(3)実構造物では環境条件や鉄筋の表面状態が様々なので,事前調査時にこれらを把握し,
電流分布が均一になるように,排水処理や補修を行うなどの処置が必要である.
(4)塩害を受けた桟橋において,防食基準を満足するために必要な電流が低減し安定するま での積算電気量は,梁下面で393Ah/m2,梁側面で 101Ah/m2であったが,床版面では
1,987Ah/m2を通電しても電流密度は低減できなかった.このように,さびの程度や配筋量
によって電流密度を低減できるまでの積算電気量は異なることを明らかにした.
96
あとがき
本研究は,塩害によって腐食したコンクリート中鉄筋の腐食メカニズムを解明すると共に,
腐食を抑制するための電気防食に関して,その防食基準の運用方法を提案することを目的に 行った.その結果,鉄筋の腐食防食に関する基本的で重要な知見を得ることができた.また,
適正な防食基準を運用することで,電気防食が,厳しい塩害環境におかれた実構造物に対す る優れた補修技術であることも検証でき,これらの知見によって電気防食がコンクリート構 造物の塩害対策として普及し,社会資本の維持に貢献できると確信する.しかし,いくつか の課題が残されているので,以下に今後の課題を各章ごとに挙げる.
第4章では,鉄筋の電位および腐食速度におよぼす鉄筋表面状態ならびにコンクリート性
状の影響を考察したが,さび層の酸化還元反応の詳細は明らかにされていない.
今後は,どのようなさびが,どのような条件のときに,どのように作用するのかを究明し,
腐食防食のメカニズムをさらに明らかにすることが望まれる.
第5章では,マクロセルの電位および腐食速度におよぼすコンクリート性状の影響を考察
し,マクロセルのモデル化による腐食メカニズムの究明を行うと共に,マクロセルに対する 電気防食の効果を明らかにした.また,高い電流密度で防食電流を流した場合でも,鉄筋近 傍のコンクリートに異状が認められなかったことも確認できた.しかし,過防食によるコン クリートの軟化やRC鉄筋の脆化に関する既往の報告が十分であるとは言えない.
今後は,実構造物の実績も含めた,過防食時の現象やそのメカニズムに関する研究が望ま れる.また,分極曲線から鋼材の腐食速度を求める手法についてさらに研究する必要がある.
第6章では,模擬干満帯水槽に一部を浸漬した複鉄筋供試体を用いて,桟橋の鋼管杭を電
気防食するための流電陽極からの電流が,上部工コンクリート部材の電気防食効果におよぼ す影響を調べた.その結果,流電陽極からの電流が上部工の電気防食効果を大きく向上させ ることを明らかにした.
今後は,流電陽極からの防食電流を見込んだ電気防食の方法や,間欠的な通電による電気 防食法の研究が望まれる.
第7章では,現在適用されている電気防食基準を整理し,本研究から得られた知見を考慮 して実構造物に対する電気防食基準の運用方法を検討した.その結果,A.分極量 100mV,B.
復極量100mVおよびC.電位-850mVの3種類の電気防食基準を運用することが好ましいこ
とを明らかにした.
今後は,様々な実構造物において,電気防食基準の運用実績の蓄積が望まれる.
97
謝辞
本研究の遂行ならびに本論文のとりまとめにあたりましては,早稲田大学理工学術院教授 の関博先生に論文審査における主査を務めて頂くとともに,懇切丁寧なご指導,ならびにご 鞭撻を賜りました.ここに,深甚なる感謝の意を表します.また,論文のとりまとめにあた りましては,ご多忙の中,ご迅速にご対応を頂きましたことに改めて感謝申し上げます.
早稲田大学理工学術院教授の清宮先生,同教授の榊原豊先生,同教授の秋山充良先生には,
論文審査における副査として,ご多忙にもかかわらず多くの有益な助言を賜りました.ここ に心より感謝と御礼を申し上げます.
本論文の個別の研究につきましては,多くの方々のご指導やご協力を頂いたことで,遂行 することができました.
単鉄筋供試体による実験では,早稲田大学関研究室,株式会社ピーエス三菱の石井浩司博 士,株式会社細田工務店の立林喜子氏,日本防蝕工業株式会社の田代賢吉氏に多大なるご指 導,ご協力を頂きました.ここに,心より感謝の意を表します.
複鉄筋供試体および模擬干満帯供試体による実験では,早稲田大学関研究室,清水建設株 式会社の上野萌氏,株式会社ピーエス三菱の石井浩司博士,同社青山敏幸博士,日本防蝕工 業株式会社の田代賢吉氏および竹子賢士郎氏,早稲田大学の久村悠人氏,元早稲田大学の瀬 戸口亮氏ならびに猪俣潤氏に多大なるご指導,ご協力を頂きました.ここに,心より感謝の 意を表します.
実構造物における電気防食基準の運用方法に関する妥当性確認では,日本防蝕工業株式会 社東京支店長の鈴木正志氏,同社東京支店の吉村勇人氏,小磯千代子氏,高浪裕貴氏ならび に同社広域営業部の仲岡宏樹氏に多大なるご指導,ご協力を頂きました.ここに,心より感 謝の意を表します.
特に,本論文のとりまとめを勧めて頂きました株式会社ピーエス三菱の石井浩司博士には,
深甚なる感謝を申し上げます.
また,日本防蝕工業株式会社社長の中村泰造氏,同社常務の森嶌義雄氏,元同社常務の永 田利明氏ならびに同社役員の方々にご理解を頂き,研究の遂行ならびに論文のとりまとめの ための環境を整えて頂いたことに深く感謝申し上げます.
さらに,入社当初から腐食防食の基礎を懇切丁寧に教えて頂いた元日本防蝕工業株式会社 常務の小林豊治氏,元同社技術研究所長の石川光男氏そして田村祐一氏に心より感謝申し上 げます.
最後に私事になりますが,心身ともに健康に育ててくれた両親と,本論文のとりまとめを 陰ながら支援してくれた家族に感謝致します.
98
研究業績
種 類 別 題名, 発表・発行掲載誌名, 発表・発行年月, 連名者(申請者含む)
○論文
○論文
○論文
論文
論文
○論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
論文
マクロセルを形成したコンクリート中鉄筋の電気防食効果に関する実験的研究,土木学会論 文集,土木学会,Vol.68,No.1,pp.9-25,2012.01,山本悟,上野萌,石井浩司,関博 湿潤環境にあるコンクリート中鋼材の電気防食基準に関する検討,コンクリート工学論文集,
Vol.22,No.3,pp.1-11,2011.09,山本悟,田代賢吉,立林喜子,石井浩司,関博 干満帯における鉄筋コンクリート部材の電気防食効果に関する実験的研究,コンクリート工
学年次論文報告集,Vol.33,No.1,pp.1163-1168,2011.07,上野萌,山本悟,石井浩司,
関博
腐食状態の異なるコンクリート中鋼材への電気防食に関する実験的研究,コンクリート工学 年次論文報告集,Vol.32,No.1,pp.1073-1078,2010.07,青山敏幸,實盛明日香,山本 悟,関博
塩化物濃度の異なるコンクリート部材における陽極材配置が防食電流の分配に及ぼす影響に 関する実験的研究,コンクリート工学年次論文報告集,Vol.32,No.1,pp.1079-1084,
2010.07,石井浩司,實盛明日香,半司淳弥,山本悟,関博
Experimental Consideration of Criteria for Cathodic Protection of RC Members under High Moisture Conditions, Second International Conference on Sustainable Construction Materials and Technologies Procedure, Volume One of Three, p.413-427, 山本悟,田代賢吉,細田喜子,石井浩司,関博
コンクリート構造物の診断と補修・補強/5.コンクリート構造物の補修・補強 電気防 食工法,コンクリート工学,Vol.48,No.5,pp.110-114,2010.05,上田隆雄,皆川浩,山 本悟
電着技術を用いたサンゴ基盤の構築と微弱電流によるサンゴの活性効果,海洋開発論文集,
2010.06,pp.375-379、鯉渕幸生,木原一禎,山本悟,谷口洋基,近藤康文
陽極板を用いた外部電源方式電気防食の既設桟橋への適用,コンクリート構造物の補修・補 強・アップグレード論文集,第7巻,pp.247-252,2007.11,武田均,山本悟,平田隆,
丸屋剛
電気防食新工法のコンクリート実構造物への適用,材料,Vol.55, No.11, pp.1016-1020,
2006.11,山本悟,川岡岳晴,田代賢吉
コンクリート構造物の電気防食新工法の開発,コンクリート構造物の補修・補強・アップグ レード論文集,第4巻,pp.39-42,2004.10,田代賢吉,川岡岳晴,山本悟
海上橋コンクリート製橋脚腐食モニタリングシステムの開発,構造物の診断と補修に関する 第15回技術・研究発表会 論文集,pp.31-35,2003.10,山本悟,田代賢吉,多田茂雄,
武若耕司
長期暴露した大型PC桁供試体の電気防食,コンクリート構造物の補修・補強・アップグレー ド論文集,第2巻,pp.207-212,2002.10,山本悟,守屋進,笠井和弘,名倉政雄,井川 一弘
補強鋼材のアノード溶解によるシールド立坑仮壁の切削工法,防錆管理,No.9,pp1-4,
2001.09,植田英樹,阿部勝邁,山本悟,向谷常松
コンクリート中塩化物浸透過程非破壊モニタリングシステムの開発研究,コンクリート工学 年次論文報告集,Vol.23,No.1,pp.1183-1188,2001.07,武若耕司,山本悟
自然電位法によるコンクリート中鉄筋の腐食モニタリング,防錆管理,No.5,pp.157-162,
1998.05,山本悟
導電塗料方式によるRC桟橋の電気防食試験,コンクリート構造物の補修工法と電気防食に関 するシンポジウム論文報告集,165-168,1994.10,山本悟,川岡岳晴,石川光男
実橋RC桁およびPC桁供試体における電気防食試験,コンクリート構造物の補修工法と電気 防食に関するシンポジウム論文報告集,145-150,1994.10,山本悟,井川一弘,石川朗,
坂本浩行,片脇清士
論文
論文
論文
論文
論文
講演
講演
講演
講演
講演
○講演
○講演
○講演
○講演
○講演
講演
講演
○講演
講演
講演
○講演
Development of Cathodic Protection for Deteriorated Concrete Structure,Second Canmet/ACI International Conference Durability of Concrete, Supplementary Papers, pp.93-110,1991,08,山本悟,片脇清士,坂本浩之,井川一弘,松島洋
実橋のコンクリート桁における電気防食試験,防錆管理,Vol.1,pp.14-19,1990.01,山本 悟,片脇清士,坂本浩之,井川一弘,松島洋
実橋のコンクリート桁における電気防食試験,鉄筋腐食による損傷を受けたコンクリート構 造物の補修技術に関するシンポジウム,pp.111-116,1989.01,山本悟,田中柳之助,寺 田剛,坂本浩行
自然電位測定によるコンクリート中鉄筋の腐食診断,コンクリート構造物の耐久性診断に関 するシンポジウム,pp.67-72,1988.05,山本悟,井川一弘,寺田剛,坂本浩行,片脇清 士
自然電位測定によるコンクリート中の鉄筋腐食診断に関する試験,日本道路会議論文集,
pp.834-835,1987.10,山本悟,片脇清士,坂本浩行,山本郁夫
微弱電場を利用したサンゴ成長促進試験経過報告,第 17 回地球環境シンポジウム講演集,
pp.115-119,2009.09,木原一禎,鯉渕幸生,谷口洋基,山本悟,石川光男
サンゴ増殖用電着基盤の構築,第 17 回地球環境シンポジウム講演集,p.168,2009.10,木 原一禎,鯉渕幸生,谷口洋基,山本悟,石川光男
電着技術を利用したサンゴ増殖に関する電場について,日本サンゴ礁学会第 14 回大会講演 要旨集,p.55,2011.11,木原一禎,細川恭史,鯉渕幸生,谷口洋基,山本悟,近藤康文 サンゴ電着基盤の効果について,日本サンゴ礁学会第14回大会講演要旨集,p.158,2011.11,
山本悟,木原一禎,細川恭史,鯉渕幸生,谷口洋基,近藤康文
塩分浸透によるコンクリート中鋼材のマクロセル形成に関する実験,材料と環境 2011 講演 集,pp.27-30,2011.05,竹子賢士郎,山本悟,上野萌,石井浩司,関博
干満帯にあるコンクリート部材の防食効果に及ぼす流電陽極の影響に関する実験的研究,材 料と環境2011講演集,pp.35-38,2011.05,山本悟,上野萌,石井浩司,関博
干満帯を有するRC桟橋上部工における電気防食効果確認試験に関する考察,第57回材料と 環境討論会講演集,pp.398-401,2010.10,山本悟,小林靖宏,中村貴毅,宮本泰輔 コンクリート中鉄筋の分極特性による電気防食効果に関する考察,土木学会第 65 回年次学
術講演会,pp.641-642,2010.09,山本悟,田代賢吉,上野萌,石井浩司,関博
コンクリートの湿潤差によるマクロセル腐食に対する電気防食効果に関する実験(0.5年 間中間報告),土木学会第65回年次学術講演会,pp.639-640,2010.09,上野萌,山本悟,
田代賢吉,石井浩司,関博
腐食が著しく進行したコンクリート構造物中の鉄筋における電気防食の効果,土木学会第65 回年次学術講演会,pp.643-644,2010.09,武田均,丸屋剛,山本悟,川岡岳晴
新型導電性塗料による実橋への施工事例,第30回防錆防食技術発表大会,pp.33-34,2010.07,
山本悟,中村貴毅,仲岡宏樹,富沢茂夫
新型導電性塗料によるPC桁の電気防食施工の紹介,材料と環境 2010 講演集,pp.23-26,
2010.05,山本悟,仲岡宏樹,富沢茂夫
さび層を有するコンクリート中鉄筋の電気防食における防食電流密度に関する供試体実験に よる検討,材料と環境2010講演集,pp.27-30,2010.05,山本悟,田代賢吉,細田喜子,
石井浩司,関博
電着基盤の有性生殖によるサンゴ着床効果について,日本サンゴ礁学会,p.25,2009.11,木 原一禎,鯉渕幸生,谷口洋基,山本悟,近藤康文
サンゴ増殖用電着基盤の構築,日本サンゴ礁学会,p.142,2009.11,木原一禎,鯉渕幸生,
谷口洋基,山本悟,近藤康文
湿潤環境を考慮したコンクリート部材の電気防食基準に関する研究,材料と環境 2009 講演 集,pp.399-402,2009.05,田代賢吉,山本悟,細田喜子,石井浩司,関博
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特許
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コンクリート構造物の電気防食法の開発および海洋環境試験,土木学会第 60 回年次学術講 演会,pp.327-328,2005.09,山本悟,小林靖宏,川岡岳晴,田代賢吉
コンクリート構造物の電気防食新工法の開発,第51回材料と環境討論会講演集,pp.297-300,
2004.09,田代賢吉,川岡岳晴,山本悟
チタン板を用いたコンクリート構造物電気防食用陽極方式の屋外暴露実験,土木学会第 58 回年次学術講演会,pp113-114,2003.09,山本悟,田代賢吉,石川光男
コンクリート構造物の耐久性モニタリング用腐食センサ,材料と環境2002講演集,pp.35-38,
2002.05,山本悟,田代賢吉,多田茂雄,武若耕司
長期暴露した大型PC供試体の電気防食効果の確認,土木学会第 56 回年次学術講演会,
pp.646-647,2001.10,山本悟,守屋進,笠井和弘,名倉政雄,井川一弘
補強鋼材のアノード溶解によるシールド立坑仮壁の切削工法,第 20 回防錆防食技術発表大 会講演予稿集,pp.97-100,2000.07,山本悟,向谷常松
塩害を受けた鉄筋コンクリート構造物の補修工法の評価に関する研究 その1 実地実験,
日本建築学会大会講演梗概集,p.137-138,1990.10,山本悟,佐久間毅,和美廣喜,笠井 浩
コンクリート中鉄筋の電位測定用照合電極,腐食防食'89講演集,pp.115-118,1989.05,山 本悟,石川光男
コンクリート中の鉄筋防食に関する試験,土木学会第 43 回年次学術講演会,pp.272-273,
1988.10,井川一弘,山本悟,坂本浩之
土壌中におけるステンレス鋼の耐食性(第 5 報),第 31 回腐食防食討論会予稿集,pp.76-79,
1984.10,西川光昭,金刺久義,吉井紹泰,小林豊治,山本悟
土壌中におけるステンレス鋼の耐食性(第4報),'83春期学術講演大会 講演予稿集,pp.159-162, 1983.05,山本悟,小林豊治,森 英臣,神余隆義,西川光昭
土壌中におけるステンレス鋼の耐食性(第3報),'82春期学術講演大会講演予稿集,pp.305-308,
1982.05,小林豊治,山本悟,加藤敏之,神余隆義,小田一磨
土壌中における砲金継手の耐食性,'82 春期学術講演大会 講演予稿集,pp.309-312,
1982.05,西川光昭,山本悟,前北杲彦,小林豊治
土壌中におけるステンレス鋼の耐食性(第2報),春期学術講演大会 講演予稿集,pp.147-150,
1980.05,小林豊治,山本悟,加藤敏之,前北杲彦,小田一磨
土壌中におけるステンレス鋼の耐食性(第1報,春期学術講演大会講演予稿集,pp.82-85,1979.05,
小林豊治,山本悟,加藤敏之,前北杲彦,小田一磨
亜鉛陽極の交流腐食,'78春期学術講演大会講演予稿集,pp.223-224,1978.05,山本悟,田 村祐一,石川光男
電気防食用陽極装置,特願 2004-155687,2004年5月,山本悟,川岡岳晴,田代賢吉 鉄筋コンクリートにおける鉄筋を電気防食するための底浅容器状電気防食構造体およびその
取付け方法,特願 2002-290987,2002.10,山本悟,石川光男,竹田定雄,川岡岳晴,
田代賢吉
その他16件取得済み
○印:本論文に直接関係する研究