Title 鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物に おける補修工法適用性と維持管理に関する研究(
Dissertation̲全文 ) Author(s) 渡邉, 佳彦
Citation Kyoto University (京都大学)
Issue Date 2010-03-23
URL https://doi.org/10.14989/doctor.k15343
Right
Type Thesis or Dissertation
Textversion author
鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物における 補修工法適用性と維持管理に関する研究
渡邉 佳彦
鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物における 補修工法適用性と維持管理に関する研究
目 次
第1章 序論...1
1.1 研究の背景...1
1.2 研究の目的...1
1.3 論文の構成...3
第2章 既往の研究...5
2.1 コンクリート中の鉄筋腐食...5
2.1.1 コンクリート中の鉄筋の腐食反応...5
2.1.2 鉄筋腐食の代表的な劣化機構...5
2.2 コンクリート中の鉄筋腐食を調査する非破壊検査手法... 11
2.2.1 自然電位法... 11
2.2.2 分極抵抗法...12
2.2.3 電気抵抗法...13
2.3 鉄筋腐食により劣化したコンクリート構造物の補修工法...14
2.3.1 表面保護工法...14
2.3.2 電気化学的防食工法...17
2.3.3 電気防食工法による補修...17
2.4 本章のまとめ...23
第3章 鉄筋コンクリート鉄道構造物の維持管理...26
3.1 鉄道構造物の維持管理体系...26
3.1.1 鉄道構造物の検査体系...26
3.1.2 鉄道構造物における検査実施後の措置...27
3.2 長期間供用した鉄筋コンクリート鉄道構造物の健全度評価および維持管理のあり方...28
3.2.1 調査概要...28
3.2.2 試験体の調査結果...31
3.2.3 供用中の高架橋の調査結果...35
3.2.4 長期間供用中の高架橋の維持管理について...36
3.3 山陽新幹線のコンクリート構造物について...36
3.4 鉄筋腐食により劣化したRC鉄道構造物の補修...37
3.5 本章のまとめ...40
第4章 表面被覆工法の耐久性評価手法に関する研究...42
4.1 はじめに...42
4.2 山陽新幹線における表面被覆工法の要求性能...42
4.3 試験施工概要...45
4.3.1 試験実施工法...45
4.3.2 現地試験概要...45
4.3.3 暴露試験概要...45
4.3.4 試験実施内容...46
4.4 試験施工結果および考察...46
4.4.1 現地試験結果...46
4.4.2 暴露試験結果...47
4.4.3 試験結果のまとめ...50
4.5 試験施工結果に基づいた表面被覆工法の選定...50
4.5.1 試験方法...50
4.5.2 規格項目と規格値...50
4.6 本章のまとめ...53
第5章 鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート構造物の補修工法適用性に関する研究...55
5.1 はじめに...55
5.2 内的塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物への部分断面修復工法の適用性...55
5.2.1 供試体の概要...55
5.2.2 実験項目...56
5.2.3 実験結果...57
5.2.4 実験結果に基づく各手法の比較...63
5.2.5 本実験のまとめ...65
5.3 塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物への犠牲陽極材を用いた電気防食工法の適 用性...66
5.3.1 供試体の概要...66
5.3.2 測定項目...69
5.3.3 実験結果...70
5.3.4 本実験のまとめ...78
5.4 内的塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物へのセメント系電気防食材料を用いた 電気防食工法の適用性...79
5.4.1 供試体の概要...80
5.4.2 測定項目...81
5.4.3 実験結果...82
5.4.4 本実験のまとめ...86
5.5 本章のまとめ...86
第6章 電気防食工法の実構造物への適用による効果の検証...88
6.1 はじめに...88
6.2 中性化と内的塩害の複合劣化を受けた RC 構造物に対する流電陽極方式による電気防食 工法...88
6.2.1 施工箇所概要...88
6.2.2 施工後の追跡調査内容...88
6.2.3 施工後の追跡調査結果...90
6.2.4 本施工のまとめ...92
6.3 中性化と内的塩害の複合劣化を受けた RC 構造物に対する外部電源方式による電気防食 工法...93
6.3.1 施工箇所概要...93
6.3.2 施工後の追跡調査内容...94
6.3.3 施工後の追跡調査結果...94
6.3.4 本施工のまとめ...98
6.4 外的塩害により劣化したRC構造物に対する外部電源方式による電気防食工法...99
6.4.1 施工箇所概要...99
6.4.2 施工後の追跡調査内容...99
6.4.3 施工後の追跡調査結果...99
6.4.4 本施工のまとめ...101
6.5 本章のまとめ...101
第7章 結論...103
7.1 本研究で得られた結論...103
7.2 鉄筋コンクリート鉄道構造物の維持管理に関するシナリオデザイン...107
7.2.1 鉄筋コンクリート鉄道構造物の点検のあり方...107
7.2.2 鉄筋コンクリート鉄道構造物の補修(山陽新幹線以外を対象)...108
7.2.3 山陽新幹線鉄筋コンクリート構造物に適用する補修工法選定フローの見直し(案)...109
7.2.4 鉄筋コンクリート鉄道構造物に適用する電気防食工法の課題... 110
7.2.5 鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物の補修後の維持管理... 111
第1章 序論
1.1 研究の背景
20世紀後半は,高度経済成長に支えられ,次々と新しい構造物を造り続けた「開発と建設の時 代」であった.特に,1960 年代から 1970 年代にかけて相次いで開業した東海道・山陽新幹線や 東名・名神高速道路などの鉄道・道路構造物が日本の国土発展に与えた影響は計り知れない.
しかし,一方で 20 世紀終盤,1999 年に相次いで発生した山陽新幹線のトンネル覆工や高架橋 からのコンクリート剥落事故を契機に,維持管理の重要性が高まってきている.土木学会コンク リート標準示方書では,2001年に新たに[維持管理編]が1),2007年には「鉄道構造物等維持管 理標準・同解説(構造物編)-コンクリート構造物」が発刊された2).またコンクリート構造物の診 断に関する新たな資格制度として,2001年に「コンクリート診断士」((社)日本コンクリート工学 協会)3),2007年に「コンクリート構造診断士」((社)プレストレストコンクリート技術協会)4)が制 定された.さらに,鋼構造の分野でも 2005 年に「土木鋼構造診断士」制度((社)日本鋼構造協会) が発足している.
21世紀は大量の既存の構造物を維持管理することが技術者にとって重要な任務の一つになるこ とは明らかであり,そのためにはこれらの資格を有効に活用すること,資格所有者が適切な判断 を行って構造物を適切に維持管理することが重要である.
本来,鉄道コンクリート構造物は,50年間メンテナンスフリーを目標とし,通常の環境におい て適切な維持管理がなされた場合には 100年程度の耐用年数を考慮して設計されており5),適切 に設計・施工した場合には,きわめて耐久性に富む構造形式である.しかし,高度経済成長期に 建設された構造物の中には,その時代背景から,洗浄不足の海砂使用やポンプ施工に伴う品質管 理に対する配慮が不足するなど,設計・施工が適切でないケースが見受けられる.事実,山陽新 幹線のコンクリート構造物の劣化は中性化および内在塩化物イオンに起因する 6)とされており,
維持管理の重要性は大きい.
アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市郊外で2007年8月に高速道路の橋桁が崩落したのは 記憶に新しい.この橋桁の完成は1967年11月と,経年40年で桁の崩落が発生しており,原因の 一つとして点検で疲労亀裂を見落とした可能性も示唆されている 7).このような惨事を発生させ ないためにも,コンクリート構造物の現状を検査で適切に把握するとともに,変状が発生した場 合,あるいは今後発生が予想される場合に,適切な補修・補強を行うなど,維持管理のシナリオ デザインの確立が今後ますます重要となってくる.
1.2 研究の目的
鉄道コンクリート構造物の維持管理は,図 1.2.1に示すとおり,その供用中は定期的に検査を 行うほか,必要に応じて詳細な検査を実施し,その結果,健全度を考慮して必要な処置を講じる ものとしている8).この維持管理体系は,図 1.2.2に示すコンクリート標準示方書[維持管理編]
に記された維持管理の手順9)とほぼ同様となっている.
1999年に相次いで発生した山陽新幹線のトンネル覆工や高架橋からのコンクリート剥落事故か ら約10年が経過し,この間コンクリート構造物の調査・補修に関する様々な取組みがなされてい るが,これらの長期耐久性については,いまだ不明な点が多い.
図 1.2.1 鉄道構造物の維持管理の手順8)
図 1.2.2 コンクリート標準示方書[維持管理編]
における構造物の維持管理の手順9)
そこで,本研究の目的は,まず筆者の所属する西日本旅客鉄道(株)(以下「JR 西日本」とする) を中心として,鉄筋コンクリート鉄道構造物の維持管理についてとりあげ,その中で長期間供用 した構造物の耐久性について調査を実施し,同種の長期間供用している鉄筋コンクリート鉄道構 造物の維持管理上の要点をまとめた.また,山陽新幹線のコンクリート問題を契機に,補修工法 の見直しがなされたが.見直し前と見直し後の違いについて検討を加えた.
次に,補修工法として,多く用いられている表面被覆工法,断面修復工法,電気防食工法を取 り上げる.
表面被覆工法では,山陽新幹線を対象とした耐久性評価手法の確立に向け,塗膜の室内試験と 暴露試験を実施し,その結果に基づき表面被覆工法の選定に関しての検討を実施した.
断面修復工法では,近年問題となっているマクロセル腐食の抑制を目的として,種々の断面修 復材を用いて腐食抑制効果の比較検証を実施した.
一方で,部分的な断面修復ではマクロセル腐食を完全に抑制することが難しいことが想定され ることから,電気防食工法によるマクロセル腐食の抑制,さらに断面修復工法で問題となってい ることの一つである,鉄筋裏はつり深さの低減に向けた電気防食工法の取組みについて実験を行 った.実験結果を踏まえ,JR西日本で供用中の鉄筋コンクリート鉄道構造物への電気防食工法の 適用とその維持管理について,施工後数年間の調査結果を踏まえて,今後の維持管理手法のあり 方を検討した.
最後に,これらの研究結果をふまえ,山陽新幹線 RC 構造物への補修を念頭とした補修工法選 定フローの見直しの提案するとともに,日本の社会資本の土台となる,鉄筋コンクリート鉄道構
造物を末永く供用し続けていくためのシナリオを構築すべく,その維持管理手法の提案を行う.
1.3 論文の構成
本論文は,全7章からなる.
第1章「序論」では,研究の目的ならびに論文の構成を示す.
第2章「既往の研究」では,鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物に関して,
腐食のメカニズム,腐食を調査するための非破壊検査手法,劣化した構造物に対する補修工法に ついての既往の研究をまとめる.
第3章「鉄筋コンクリート鉄道構造物の維持管理」では,2000年にとりまとめられた「山陽新 幹線コンクリート構造物検討委員会報告書」をもとに,山陽新幹線鉄筋コンクリート構造物の現 状をとりあげる.そして,現在の鉄道構造物の維持管理体系を述べる.さらに,「山陽新幹線コン クリート構造物検討委員会報告書」の公表前と公表後での補修方法の違いについて検討を加える.
最後に,長期間供用した鉄筋コンクリート鉄道構造物の維持管理のあり方について,詳細調査の 結果を基に述べる.
第4章「表面被覆工法の耐久性評価手法に関する研究」では,山陽新幹線を対象に,これまで 明確でなかった表面被覆工法に要求する性能を明らかにし,その性能を満足するために種々の材 料を用いて,実高架橋による現地試験,および試験体を用いた暴露試験を実施した.その結果を 取りまとめるとともに,表面被覆工法の要求性能を確保するための試験項目や規格値について,
試験結果を基に検討を行った.
第5章「鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート構造物の補修工法適用性に関する研究」で は,以下の 3種類の研究を実施し,それぞれの補修工法による鉄筋コンクリート構造物の耐久性 を評価した.
①内的塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物に対する部分断面修復工法の適用
種々の補修材を用いて部分断面修復を行い,補修材の違いによる補修効果の違いを評価・検討 した.
②塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物に対する電気防食工法の適用
部分断面修復工法では,適用方法によってはマクロセル腐食を完全に抑制することが難しいこ とから,流電陽極方式の電気防食工法により,その補修効果を評価した.なお,腐食環境として,
内的塩害と,内的および外的塩害とした.
③セメント系電気防食材料を用いた電気防食工法の適用性
新しい電気防食材料の一つである,亜鉛粒子および黒鉛粒子をセメント成分に混和した,セメ ント系電気防食材料10)を用い,鉄筋腐食により劣化したコンクリート構造物へ適用した場合の補 修効果について検討を行った.
第6章「電気防食工法の実構造物への適用による効果の検証」では,以下の3箇所で施工され ている電気防食工法に関して,施工後の調査を実施し,調査結果を基に健全性について評価した.
①流電陽極方式による,中性化および内的塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物への適用
②外部電源方式による,中性化および内的塩害により劣化した鉄筋コンクリート構造物への適用
③外部電源方式による,飛来塩分により劣化した鉄筋コンクリート構造物への適用
第7章「結論」では, 本研究で得られた結論を総括するとともに,各章で得られた知見を基に,
鉄筋腐食により劣化した鉄筋コンクリート鉄道構造物,特に山陽新幹線 RC 構造物を対象に,鉄 筋腐食により劣化した構造物に対する適切な維持管理のあり方について提言を行い,本研究のま とめとする.
***************
第1章 参考文献
1)宮川 豊章,森川 英典:2001年制定 土木学会コンクリート標準示方書[維持管理編]の概
要,コンクリート工学,Vol.39,No.4,pp.3-8,2001.4
2)谷村 幸裕,曽我部 正道,岡本 大,上田 洋:鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造 物編)コンクリート構造物の概要,コンクリート工学,Vol.46,No.2,pp.18-23,2008.2
3)魚本 健人:コンクリート構造物の維持管理とコンクリート診断士,コンクリート工学,Vol.39,
No.4,pp.10-13,2001.4
4)魚本 健人,二羽 淳一郎:コンクリート構造診断士制度の発足について,プレストレストコ ンクリート,Vol.49,No.3,pp.70-75,2007.5
5)(財)鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等設計標準・同解説-コンクリート構造物 平成16年4
月,pp.13-14,2004.4
6)山陽新幹線コンクリート構造物検討委員会:山陽新幹線コンクリート構造物検討委員会報告書,
2000.7
7)日経BP社:日経コンストラクション2007年8月24日号,pp.10-12,2007.8
8)(財)鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編 コンクリート構造 物),2007.1
9)(社)土木学会:2007年制定 コンクリート標準示方書[維持管理編],2008.3
10)稲木 倫道,宮田 義一,永井 崇昭,朝倉 祝治:亜鉛および黒鉛粉末を混入したセメン トによる鋼の防食,材料と環境,Vol.53,No.5,pp.270-274,2004.5
第2章 既往の研究
2.1 コンクリート中の鉄筋腐食
2.1.1 コンクリート中の鉄筋の腐食反応
コンクリート中ではCa(OH)2が多量に析出し,pH が約12~13という強アルカリ性を保持し,
鉄筋表面の不動態被膜によって鉄筋の腐食が抑制されている.この不動態被膜のメカニズムは明 確ではないが,鋼材表面に酸素が化学吸着し,さらに緻密な酸化物層が生じることによって厚さ 3mm 程度の不動態被膜が形成されるとい
う説明が多い1).
しかし,鉄筋近傍の液相中の塩化物イオ ン濃度が高くなったり,あるいはコンクリ ートの中性化によるpH の低下などによっ て不動態被膜が破られたりした場合,図 2.1.12)に示すように,式[2.1.1]・[2.1.2]で 表される電気化学反応によって鉄筋は容 易に酸化・腐食し始める.
図 2.1.1 鉄筋腐食反応の模式図2)
Fe → Fe2+ + 2e- (アノード反応) [2.1.1]
1/2O2 + H2O + 2e- → 2OH- (カソード反応) [2.1.2]
コンクリート中の鉄筋の腐食は,鉄イオンが溶出するとともに電子を発生するアノード反応と,
その電子が溶存酸素を還元するために消費されるカソード反応が鉄筋表面で生じ(腐食電池の形 成),これらの反応が同時に同一速度で進行する.その結果,溶出した鉄イオンは複雑な経路を経 て溶存イオンや錆となる.式[2.1.1]・[2.1.2]で示した2つの反応式を1つにまとめると式[2.1.3]と なり,腐食反応により水酸化第一鉄Fe(OH)2が生成される.
Fe + 1/2O2 + H2O → Fe(OH)2 [2.1.3]
2.1.2 鉄筋腐食の代表的な劣化機構
コンクリート構造物の劣化機構とその劣化要因,劣化現象,劣化指標の例は,表 2.1.13)に示 される.この中から,鉄筋腐食の代表的な劣化機構である,中性化と塩害について,詳しく述べ ることとする.
(1) 中性化 (1-1) 概説
中性化とは,大気中の二酸化炭素がコンクリート内に浸入し,水酸化カルシウム Ca(OH)2など のセメント水和物と炭酸化反応を起こすことにより,コンクリート空隙中の水分の pH を低下さ せる現象である.これにより,内部の鋼材表面の不動態被膜が失われ,酸素と水分の供給により 腐食が進行する.さらに鋼材の腐食により,ひび割れの発生,かぶりのはく落,耐荷力の低下な どが起こる.
中性化の進行とそれに伴う鋼材の腐食による劣化過程は,図 2.1.23)および表 2.1.23)に示すよ うに,潜伏期,進展期,加速期,劣化期に区分される.
(1-2) 劣化予測
表 2.1.1 劣化機構と要因,指標,現象の関連3)
劣化機構 劣化要因 劣化現象 劣化指標の例
中性化 二酸化炭素
二酸化炭素がセメント水和物と反応し,細孔溶 液中の pH を低下させることで,鋼材の腐食が 促進され,コンクリートのひび割れやはく離,
鋼材の断面現象を引き起こす劣化現象.
中性化深さ 鋼材腐食量 腐食ひび割れ
塩害 塩化物イオン
コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンに より促進され,コンクリートのひび割れやはく 離,鋼材の断面現象を引き起こす劣化現象.
塩化物イオン濃度 鋼材腐食量 腐食ひび割れ
凍害 凍結融解作用
コンクリート中の水分が凍結と融解を繰返すこ とによって,コンクリート表面からスケーリン グ,微細ひび割れおよびポップアウトなどの形 で劣化する現象.
凍害深さ 鋼材腐食量
化学的侵食 酸性物質 硫酸イオン
酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリ ート硬化体が分解したり,化合物生成時の膨張 圧によってコンクリートが劣化する現象.
劣化因子の浸透深さ 中性化深さ
鋼材腐食量
アルカリ
シリカ反応 反応性骨材
骨材中に含まれる反応性シリカ鉱物や炭酸塩岩 を有する骨材がコンクリート中のアルカリ性水 溶液と反応して,コンクリートに異常膨張やひ び割れを発生させる現象.
膨張量 (ひび割れ)
(a)美観・景観に着目した場合 (b)安全性に着目した場合 図 2.1.2 中性化・塩害による劣化進行過程の概念図の一例3)
中性化を受けたコンクリート構造物の維持管理においては,点検時の構造物の性能を定量的に 把握し,また性能低下を予測するために,中性化による劣化を定量的に予測する必要がある.た だし,現在の技術レベルでは定量的な予測を行うことが困難であるため,図 2.1.2および表 2.1.2 に示すような劣化過程に分類し,各劣化過程が基本的には構造物の状態(性能)に対応していること を考慮して,それぞれの期間の長さを表 2.1.2のように予測することで劣化進行予測に置き換え
表 2.1.2 中性化・塩害による各劣化過程の定義3)
定義 期間を決定する要因
劣化過程
中性化 塩害 中性化 塩害
潜伏期
中性化深さが鋼材の 腐食発生限界に到達 するまでの期間
鋼材表面における塩化物イオン濃 度が腐食発生限界濃度(1.2kg/m3を 標準とする)に達するまでの期間
中性化進行 速度
塩化物イオンの 拡散
初期含有塩化物 イオン濃度 進展期 鋼材の腐食発生から腐食ひび割れ発生までの期間 鋼材の腐食速度
加速期 腐食ひび割れ発生により鋼材の腐食速度が増大する期間 劣化期 鋼材の腐食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間
ひび割れを有する場合の鋼材 の腐食速度
ることが出来る.
(1-3) 中性化の進行予測
中性化の進行予測手法は,「√t則」「促進試験の利用」「物理化学的モデルの利用」などがある.
実構造物での中性化進行予測では√t則が一般的である.この手法は,中性化深さが式[2.1.4]に示 すように中性化期間の平方根に比例することを用いたものである.
y = b√t [2.1.4]
ここに,y:中性化深さ(mm) t:中性化期間(年)
b:中性化速度係数(mm/√年)
中性化深さの測定値がある場合には,中性化速度係数を測定結果から求め,その後の予測を行 うとよい.点検結果がない場合の中性化の進行予測は,対象となる構造物と同じ,あるいは類似 した材料,配合,環境条件を対象としている式を用いることが望ましいが,そのような式がない 場合には,以下の式[2.1.5]を用いてよい3).
y = (-3.57+9.0W/B)√t [2.1.5]
ここに,W/B:有効水結合材比 =W/(Cp+k・Ad) W:単位体積あたりの水の質量
B:単位体積あたりの有効結合材の質量
Cp:単位体積あたりのポルトランドセメントの質量 Ad:単位体積あたりの混和材の質量
k:混和材の影響を表す係数 フライアッシュの場合:k=0 高炉スラグ微粉末の場合:k=0.7 (1-4) 鋼材腐食の進行予測
中性化による鋼材腐食は,中性化深さが鋼材位置に到達する以前に開始すると言われている.
また,腐食開始時期はかぶりと中性化深さの差である中性化残りと関係がある調査事例が多く,
一般的には中性化残りが10mmとなった時点で腐食が開始するとされている.
中性化による腐食ひび割れ発生前の鋼材腐食の進行予測には,点検結果で得られた腐食量に基 づく方法や,鋼材の腐食反応速度に基づく方法などがある.
また,腐食ひび割れの発生予測には,腐食量から判定する方法や力学モデルを用いる方法など がある.示方書では,腐食ひび割れ発生時の鋼材腐食量を10mg/cm2とすれば腐食ひび割れの発生 時期を安全側に推定できるとしている3).
(2) 塩害 (2-1) 概説
塩害とは,コンクリート中における塩化物イオンの存在により,コンクリート中の鋼材の腐食 が進行し,腐食生成物の体積膨張によるコンクリートのひび割れやはく離,あるいは鋼材の断面 減少が生じ,ひいては構造物の性能低下につながる現象のことをいう.塩化物イオンは,海水や 凍結防止剤などのように構造物の外部環境から供給される場合(以下,「外的塩害」という)と,コ ンクリート製造時に細骨材等の材料から供給される場合(以下,「内的塩害」という)とがある.
塩害の進行とそれに伴う鋼材の腐食による劣化過程は,図 2.1.23)および表 2.1.23)に示すよう に,潜伏期,進展期,加速期,劣化期に区分される.
(2-2) 劣化予測
塩害を受けたコンクリート構造物の性能低下を予測するためには,コンクリート中の鋼材腐食 や鋼材腐食に伴うコンクリートの劣化の進行を定量的に予測する必要がある.ただし,中性化と 同様,現在の技術レベルでは定量的な予測を行うことは必ずしも容易ではない.このため,塩化 物イオンのコンクリート中への浸透と鋼材腐食の進行を考慮して,表 2.1.2に示すような各劣化 過程とその期間を予測することが現実的である.
(2-3) 塩化物イオンの拡散の予測
塩化物イオンの拡散の予測は,「拡散方程式を適用して見かけの拡散係数を求める方法」「促進 試験により材料の拡散係数を求める方法」「塩化物イオンの反応や環境との境界における移動を考 慮した数値解析による方法」「点検結果を用いる方法」などがある.
拡散方程式を適用する手法は,コンクリート中の塩化物イオンの移動を拡散過程と考えて,式
[2.1.6]に示すフィックの第2法則として知られる拡散方程式を,境界条件を一定として解いた解を
用いる方法が式[2.1.7]である.
∂
= ∂
∂
∂
2 2
x Dc C t
C [2.1.6]
ここに,C:液相の塩化物イオン濃度 Dc:塩化物イオンの拡散係数 x:コンクリート表面からの距離 t:時間
(
i)
ap
cl
C
t D erf x C
γ ) t, x (
C +
•
2
[2.1.7]•
=
01
ここに,C(x,t):深さx (cm),時刻t (年)における塩化物イオン濃度(kg/m3) C0:表面における塩化物イオン濃度(kg/m3)
Dap:塩化物イオンの見かけの拡散係数(cm2/年)
erf:誤差関数
γcl:予測の精度に関する安全係数 Ci:初期含有塩化物イオン濃度(kg/m3)
塩化物イオンの見かけの拡散係数については,調査結果より測定された塩化物イオン濃度の分 布に最も合う見かけの拡散係数を,回帰分析等を用いて算出するのが基本である.調査結果から 見かけの拡散係数が得られない場合,普通ポルトランドセメントを使用した場合には式[2.1.8]を,
高炉セメントを使用した場合には式[2.1.9]を用いてもよい3).
log
10D = 3 . 9 ( W / C )
2+ 7 . 2 ( W / C ) 2 . 5
[2.1.8]
log
10D = 3 . 0 ( W / C )
2+ 5 . 4 ( W / C ) 2 . 2
[2.1.9]ここに,D:塩化物イオンの見かけの拡散係数(cm2/年) W/C:水セメント比
(2-4) 鋼材腐食の進行予測
塩害による鋼材腐食の開始は,かぶりにおける塩化物イオン濃度で判断することを基本とする.
一般的には腐食発生限界塩化物イオン濃度を1.2kg/m3としている.
塩害による腐食ひび割れ発生までの鋼材腐食の進行予測には,点検結果で得られた腐食量に基 づく方法や,鋼材の腐食反応速度に基づく方法などがある.
また,腐食ひび割れ発生の予測には,中性化による劣化と同様,腐食量から判定する方法や力 学モデルを用いる方法などがある.
(3) 中性化と塩害の複合劣化 (3-1) 概説
コンクリート中の中性化が進行することにより,コンクリート中の塩化物イオンの移動・濃縮 が生じ,鉄筋の腐食が促進される現象である.この場合には,中性化による鉄筋腐食よりも,塩 化物イオンによる鉄筋腐食が卓越して起こる.
一般に,中性化は乾燥状態が比較的長い乾湿繰り返し条件で進行し,塩化物の外部からの供給 は塩化物イオンを含む水の存在が条件となる.したがって,海洋環境における飛沫帯や感潮帯で は,塩化物イオンの供給量は多いが,供用条件下でのコンクリートの含水状態によっては,中性 化がほとんど進行しない場合があり,複合劣化があまり問題とならない.一方,除塩不足の海砂 の使用などによって建設当初から塩化物イオンが内在する場合には,中性化の進行による塩化物 イオンの濃縮が塩害を促進する可能性がある.コンクリートの練り混ぜの時点から混入された塩 化物イオンは,セメント量に対して一定量(一般的にはセメント重量の約0.4%とされている 4))が フリーデル氏塩として固定される.しかし,中性化によりこのフリーデル氏塩が分解して,イオ ン解離した塩化物イオンは濃度拡散により内部へと移動し,そこで再びフリーデル氏塩として固 定されるため,塩化物イオンの濃縮を生じるのである.このような,中性化による塩化物イオン の移動と濃縮の機構を図 2.1.35)に示す.
山陽新幹線高架橋等の鉄筋コン クリート構造物の,劣化の主要因 は中性化とされているが,塩化物 イオン量が大きいほど鉄筋腐食が 進行する傾向にあり,また塩化物 イオンは中性化の進行とともに内 部に移動していくことが確認され
ている 6)(詳細は第3章を参照).
また,凍結防止剤の影響を受ける 構造物の漏水部では,高濃度の塩 化物イオンが供給されるとともに,
比較的乾燥状態が長いために中性 化が進行し,中性化により塩害が 促進されていると考えられる場合 が多い 7).道路構造物では,飛来 塩分以外の塩化物の供給源は,一 般に凍結防止剤であるとの報告も ある8).
(3-2) 鋼材腐食の進行予測
前述の通り,中性化と塩害の複 合劣化の場合,中性化の進行によ りセメント水和物に固定化されて いた塩化物イオンが分解し,未中 性化領域に濃縮するため腐食の開 始が早まる.
鳥取らは,鉄筋腐食が認められ る鉄道高架橋において,建設後14 年および 26 年の時点で行ったコ ンクリートの中性化深さ,塩化物 イオン量,かぶりおよび鉄筋腐食 状況の調査結果をもとに,鉄筋腐 食の進行予測モデルを構築し,構 造物の耐久性を評価した.その結 果,コンクリート中の塩化物イオ ン量と中性化の進行に伴い,鉄筋 腐食が進行することが伺えるとし ている9).北後らは,ASRや内在
塩分が中性化の進行および鉄筋腐 図 2.1.3 中性化による塩化物イオンの移動と濃縮の機構5)
食に与える影響を供試体実験により検証した結果,初期塩化物イオン量が1.5~3.3kg/m3の範囲内 では,混入した塩化物イオンが中性化の進行を促進することはなかったが,同程度の中性化深さ であれば塩化物イオン量の大小が鉄筋腐食に大きく影響を与える,としている10).荒巻は,中性 化と塩害の複合劣化を受ける RC 構造物において,中性化領域における全塩化物イオン量は,実 験・実構造物ともに初期あるいは深部の塩化物イオン量に関わらず,0.3kg/m3 程度の一定値を示 し,中性化領域の固定塩化物イオン量が遊離して,コンクリート表面から内部へと移動している ことを確認した11).
コンクリート標準示方書[維持管理編]では,海砂等に起因する塩化物イオンを含み,中性化 が進行した構造物の調査結果では,中性化残りが15mm程度を下回ると,鋼材腐食が顕著になる 構造物の割合が増加するとされている 3).しかし,この値は塩化物イオン量やコンクリート中の 水分量等により変動することが想定され,また,塩化物イオンが存在する場合の鋼材の腐食速度 は中性化のみによる腐食速度よりも大きいことから,鋼材腐食が開始する中性化残りは構造物の 点検結果も踏まえ,適切に定めることが望ましいと考えられている.
2.2 コンクリート中の鉄筋腐食を調査する非破壊検査手法
コンクリート中の鉄筋の腐食状態を把握することは極めて難しいことから,腐食によるひび割 れの発生あるいは錆汁の流出によって初めて問題とされることが多く,これがさらに進行すると 有効な補修や補強が困難な状態に陥ることが多い.したがって,コンクリート中の鉄筋の腐食状 態を診断するための非破壊検査法には,腐食によるひび割れや錆汁などの劣化変状が顕在化する 前に腐食状況が把握できること,また補修前や補修後など構造物の併用期間中のどの時点であっ ても,なるべく定量的な評価と腐食進行予測ができることなどが要求されている.現在鉄筋腐食 に関して検討されている非破壊検査法の中で最も有効な方法とされているのが自然電位法,分極 抵抗法および電気抵抗法に代表される電気化学的方法である.これらの検査手法から得られる情 報をまとめると,
(A)自然電位法:測定時点における内部鉄筋腐食の可能性または腐食活性域の検出 (B)分極抵抗法:測定時点における測定点直下にある鉄筋の腐食速度の評価 (C)電気抵抗法:かぶりコンクリートの電気抵抗,腐食の進行のしやすさ などである12).
2.2.1 自然電位法
自然電位法とは,コンクリート表面で測定された鉄筋の自然電位を測定することによって鉄筋 腐食を診断しようとする電気化学的手法である.この手法は1950年代にアメリカでコンクリート 橋床版の腐食調査に利用され,1977年にASTM C 876規格として標準化された.日本では,土木 学会規準「コンクリート構造物における自然電位測定方法」(JSCE-E 601)として規定されている.
鉄イオンがコンクリート内に移動すると,鉄筋内に取り残された電子は鉄筋に負の電荷を与え る.その結果,鉄筋が溶解しているアノード部では電位が低くなる.特に腐食が激しい場合には,
この傾向が顕著に表れてくる.自然電位法はこの負の電荷を検出するものである.自然電位によ る鉄筋の腐食性の判定は,電位値および電位分布により行われている.自然電位測定値による鉄 筋腐食性評価はASTM C 876規格が広く用いられている.これは,コンクリート表面における鉄
筋の自然電位と鉄筋の腐 食性の関係を表 2.2.113) のように定義している.
ただし,自然電位法の 問題点の一つに,かぶり コンクリートの性状によ って値が大きく影響を受
けることが指摘されている7).中川は,乾湿繰返しおよ びコンクリート表面への給水に伴う,コンクリート表面 での自然電位の変化には,かぶりコンクリートでの電位 変化の影響に加えて,鉄筋近傍での自然電位の変化が含 まれ,かぶりが小さい場合にはかぶりコンクリートの含 水状態の変化に伴い,鉄筋近傍での自然電位が大きく変 化する傾向が認められた,としている14).佐々木らは,
かぶりコンクリートの含水率が5.5%以下の場合は,含 水率と中性化深さを変数とした補正が必要であるとし ている 15).また,中村らは,季節間の気温の変化に連 動する形で変動し,特にかぶりが小さく腐食環境にある 鉄筋では,降雨の影響による鉄筋近傍の含水状態の変化 に伴い短期的に変動した,としている16).
表 2.2.1 自然電位測定値による鉄筋腐食性評価13)
自然電位(E)
(飽和塩化銀電極基準) 鉄筋腐食の可能性
-80mV<E 非腐食領域(90%以上の確率で腐食なし)
-230mV≦E≦-80mV 不確定領域
E<-230mV 腐食領域(90%以上の確率で腐食あり)
図 2.2.1 等電位線図の一例17)
内部鉄筋が複数本ある場合など,自然電位値による腐
食判定が困難な場合は,図 2.2.117)に示すような等電位線図(電位分布図)を描き,周辺に比べて 低い電位を示す部分を腐食の可能性が高いところ(腐食箇所)として検出している.
2.2.2 分極抵抗法
自然電位法は,本来はコンクリート中の鉄筋が腐食しているかどうかという可能性を示す指標 にすぎない.これに対して,分極抵抗法は,電極反応速度論から,「腐食電流(腐食速度)は分極抵 抗と呼ばれる腐食反応の抵抗と反比例の関係にある」ことを利用して,コンクリート表面に当て た電極から内部鉄筋へ微弱な電流を流したときの抵抗(分極抵抗)を測定して鉄筋の腐食速度を推 定しようとする電気化学的手法である.
試料金属の電位を自然電位から⊿Eだけ分極させて微小電流⊿Iが生じたとすると,⊿Eが±10
~20mV程度の微小な変化であれば,式[2.2.1]のように電圧と電流の間に直線関係が成立する.
⊿E=Rp・⊿I [2.2.1]
この直線の勾配(⊿E/⊿I)は抵抗に対応するため,Rp が分極抵抗と呼ばれる.分極抵抗は腐食 速度と反比例関係にあるとされている 18).腐食速度は一般に式[2.2.2]で示すように,測定された
分極抵抗 Rp(単位:Ω・cm2)の逆数に定数 K を乗じて求められる,単位面積あたりの腐食電流密
度Icorr(単位:A/cm2)で表現されることが多い.定数Kは金属の種類や環境条件によって異なる比
例定数(単位:V)で,一般にK値と呼ばれる.コンクリート中の鉄筋腐食に関するK値は0.026~
0.052(V)などといわれている18).
Icorr=K/Rp [2.2.2]
分極抵抗測定値と実際の腐食状況との相関関係については,分極抵抗逆数の時間積分値と腐食 減量実測値の関係を求めた研究によると,室内試験および実環境における暴露試験ともに比例関 係が認められている 19).CEB(ヨーロッパコンクリート委員会)による腐食速度の判定基準を表 2.2.220)に示す.
表 2.2.2 CEB による腐食速度の判定基準20)
腐食速度測定
Icorr(μA/cm2) 腐食速度の判定 分極抵抗Rp
(kΩ・cm2)
0.1~0.2未満 不動態状態(腐食なし) 130~260より大
0.2以上0.5以下 低~中程度の腐食速度 52以上130以下 0.5以上1以下 中~高程度の腐食速度 26以上52以下 1より大 激しい,高い腐食速度 26未満
2.2.3 電気抵抗法
分極抵抗法のうち,交流法により分極抵抗を求める場合,分極抵抗に相当する腐食反応抵抗Rct と液抵抗Rsとを分離して同時に測定できるが,液抵抗Rsがコンクリート表面に当てた電極と内 部鉄筋との間の,みかけのコンクリート抵抗に相当すると考えられている.
コンクリート抵抗は,コンクリートの組成,含水量,Cl-等の塩類含有量などに依存し,腐食電 池内を流れる腐食電流の大きさを支配するので,コンクリート中の鋼材の腐食状況を直接表すも のではないが,鋼材の腐食速度に影響を与える要因の一つである17)21).
みかけのコンクリート抵抗の測定値 Rs(Ω)からコンクリート比抵抗ρ(Ωcm)への換算は容易で はない.それは,実構造物における電流分散状況がコンクリート中の鉄筋の幾何学的配置(径,か ぶり,配筋状況,断面形状)やコンクリートの電気抵抗などの影響を受けるため,電流の流れがつ かみづらいためである.そこで,鉄筋径や配筋状態を考慮して実験や解析によって求めた電流分 布から換算する方法22)や2重対極プローブの使用によって電流の分散を抑制する方法が提案され ている.後者の場合,センター対極からの電流が直下に流れると仮定すれば,式[2.2.3]より,かぶ りコンクリートの比抵抗が求められる12).
ρ=Rs・A/d [2.2.3]
ここに, ρ:コンクリートの比抵抗(Ωcm)
Rs:測定された見かけのコンクリート抵抗(Ω) A:2重対極のうちのセンサー対極の面積(cm2) d:コンクリート表面から鉄筋までの距離(cm)
上記とは別に,コンクリートの比抵抗の測定法としては,実構造物を対象とした 4 点電極法
(Wenner法) 22)などがある.これは,かぶりコンクリートの電気抵抗を測定するために,土壌抵抗
の測定に用いられている方法を応用したものである.図 2.2.2に示すように,等間隔aに一列に 並べた4本の電極のうち,両端の電極A・B間に直流あるいは周波数10~100Hz程度の交流を流 して,その電流量Iと内側の2本の電極C・D間で測定される電位差Δφから,式[2.2.4]により比 抵抗ρを求めるものである.
表 2.2.3 コンクリートの比抵抗による鋼材腐食性評価の例23)(単位:Ωcm) Cavalier and Vassie Taylor Woodrow Res. Lab. 武若および小林 比抵抗の範囲 腐食性 比抵抗の範囲 腐食性 比抵抗の範囲 腐食性
>12 000 微候なし >20 000 なし >10 000 小さい 10 000~20 000 小さい
5 000~12 000 危険性あり
5 000~10 000 大きい 5 000~10 000 不確定
<5 000 確実 <5 000 非常に大 <5 000 大きい
ρ=2πaΔφ/I
[2.2.4]
ここに, ρ:コンクリートの比抵抗(Ωcm) a:電極の間隔(cm)
Δφ:電極C・D間の電位差の 実測値(V)
I:電極A・B間を流れる全電流 (A)
また,コンクリートの比抵抗と鉄筋の腐食性 との関係の一例を表 2.2.3に示す23).
2.3 鉄筋腐食により劣化したコンクリート構 造物の補修工法
コンクリート構造物に適用される,耐久性の 回復あるいは向上を目的とした主な補修工法 は表 2.3.1のように分類される3).
2.3.1 表面保護工法24)
表面保護工法は,コンクリートの劣化や鋼材 の腐食の原因となる劣化因子の侵入を防止・抑 制することを主目的として,コンクリート構造 物の表面,表面近傍断面あるいは修復を要する 欠損断面に対して保護的措置を講ずる工法で ある.表面保護工法は,コンクリート構造物の 表面に被覆を施す「表面被覆工法」,表面に表 面含浸材を含浸させる「表面含浸工法」,欠損
あるいは劣化因子を除去した後の断面を修復する「断面修復工法」の 3つに大別される.なお,
「表面被覆工法」と「表面含浸工法」をあわせて「表面処理工法」と称することもある.
表 2.3.1 耐久性の回復あるいは 向上を目的とした主な補修工法3)
①表面被覆工法
②表面含浸工法 A. 表面保護工法
③断面修復工法
④電気防食工法
⑤脱塩工法
⑥再アルカリ化工法 B. 電気化学的防食工法
⑦電着工法
⑧表面塗布工法
⑨注入工法
⑩充てん工法 C. ひび割れ補修方法
⑪含浸材塗布工法 図 2.2.2 4 点電極法(Wenner 法)による
コンクリートの比抵抗測定方法18)
(1) 表面被覆工法
表面被覆工法は,図 2.3.1に示すように,劣化因子の侵入やコンクリートのはく落を抑制する
効果を有する,厚さ0.1~5mm程度の被膜をコンクリー ト構造物の表面に形成させる工法であり,中性化・塩 害・凍害・化学的侵食・アルカリ骨材反応対策や美観・
景観に配慮する必要がある場合に有効である.表面被 覆材の種類により,エポキシ系やポリブタジエン系等 の材料を用いる有機系被覆工法と,ポリマーセメント 系などの材料を用いる無機系被覆工法に分類される.
また,繊維シートやメッシュなどを併用することによ り,はく落防止効果を兼ね備えた工法となる.
鉄筋
コンクリート構造物の種類や損傷状況によって,
様々な塗装仕様が用いられており,またそれぞれの工 法・材料で期待される性能も異なることから,各事業
主体によって表面被覆工法の性能や品質規格等が規定されているのが現状である25).また,海沿 いの道路橋での試験施工実施10年後の調査報告事例26)などにより,表面被覆工法の長期耐久性 状が明らかになってきている.
中塗り 上塗り パテ プライマー
鉄筋
図 2.3.1 表面被覆工法の概略図
本工法の採用にあたっては,劣化機構を明らかにし,劣化要因を除去または再浸透防止を考慮 した方法で施工することが重要である.劣化因子を除去しないまま表面被覆を行うと,コンクリ ート中の鋼材が腐食しやすい環境となり,かえって腐食を促進することになりかねないからであ る.劣化因子を除去するためには,後述する断面修復工法を行ってから表面被覆を施工すると良 い.また,施工範囲は,基本的には部材全面を被覆することとしているが,劣化機構や劣化程度,
部材の種類やその形状・寸法などを考慮して,適切に定める必要がある.
(2) 表面含浸工法
表面含浸工法は,所定の効果を発揮する表面含浸材をコンクリート表面から含浸させることに よって,コンクリート表層部の改質,コンクリート表層部への特殊な機能の付与などを実現させ,
コンクリート構造物の耐久性を向上させる工法であり,中性化・塩害・凍害・アルカリ骨材反応 などによるコンクリート構造物の劣化を抑制・防止する対策として有効である.1 回当たりの塗 布量は 0.1~0.4kg/m2,塗布回数は1~3回程度,総塗布量は0.1~0.4kg/m2の範囲で使用されるこ とが多い24).表面含浸工法は,コンクリート表面の外観を著しく損ねることがなく,表面被覆工 法と比較すると,少ない工程で,かつ短期間で施工できるという特徴を有している.
(3) 断面修復工法
断面修復工法は,中性化・塩害・凍害・化学的侵食・アルカリ骨材反応等による劣化または損 傷によって喪失したコンクリート構造物の断面や,上記の劣化因子を許容限度以上含むコンクリ ート部材を除去した後の構造物の断面を,当初の断面寸法に復旧し,コンクリート構造物の要求 性能に基づく修復水準に応じて,コンクリート構造物の耐久性能を回復または向上させる工法で ある.
断面修復工法には,左官工法,吹付け工法および充填工法があり,採用する工法は,一般には 対象となる断面の部位・範囲および規模等を考慮して決定される(概念図を図 2.3.224)に示す).
断面修復材に要求される性能は,修復部位・環境条件・施工条件により様々であるが,一般的 には,
①圧縮・曲げおよび引張強度等 が既存コンクリートと同等 以上であること
②熱膨張係数・弾性係数および ポアソン比が既存コンクリ ートとほぼ同等であること
③乾燥収縮が小さく,接着性が 高いこと
④水・二酸化炭素・酸素・塩化
物イオン等の劣化因子に対する透過性が出 来るだけ小さいこと
図 2.3.2 断面修復工法の適用範囲(概念図)24)
⑤現場施工であるため作業性が良いこと 等があげられる.一般的に使用されている断面 修復材は,セメントモルタル,ポリマーセメン トモルタルおよびポリマーモルタルの3種類に 分類される.中でも,ポリマーセメントモルタ ルは,亜硝酸リチウム,亜硝酸カルシウムやア ミノアルコール系の防せい剤を添加したもの や,塩化物イオンやアルカリ金属イオン(Na+, K+)等の有害物質を吸着する特殊混和材を添加 したもの等,劣化要因に応じて種々の材料があ る.
本来は,断面修復をきっちり行った構造物は,
健全な構造物と同等とみなすことができる.荒
クリートに剥離や浮きが生じたコンクリート構造物に断面修復を施工し,施工後 6年における自 然電位の測定を行ったところ,良好な防食性能を示している,としている27).しかし,断面修復 工法の問題点として,劣化部分のはつり取りが不十分であったり,あるいは補修部周辺に劣化因 子が残存している場合に,マクロセル腐食による再劣化が生じる可能性があることがよく知られ ている.2.1.1で述べたアノード反応(式[2.1.1])およびカソード反応(式[2.1.2])は,鉄筋の同位置で 起きているが,塩化物イオンが腐食に関係する場合にはこれらの反応がさらに離れた位置でも起 きていると考えられる.前者の場合はミクロセル腐食反応,後者の場合はマクロセル腐食反応と いわれている.塩化物イオンや二酸化炭素がコンクリート中の鉄筋位置に到達し,鉄筋の不動態 被膜が破壊されると,図 2.3.3(a)に示すように,不動態被膜が破壊された箇所(中央部)がアノー ド,その周囲(両端部)がカソードとなる,マクロセル腐食が生じる.アノード領域では,酸素と水 分の供給により腐食が進行するが,カソード領域ではアノード領域での腐食の進行により,たと え発錆限界塩化物イオン量や二酸化炭素が鉄筋に到達していたとしても,腐食は発生しない.と ころが,鉄筋が腐食した箇所のみをはつり落とし,モルタルで補修した場合,図 2.3.3(b)に示す ように,補修した箇所がアノードからカソードに,隣接した未補修部がアノードとなり,元々カ ソードであった部分で発錆限界塩化物イオン量や二酸化炭素が鉄筋に到達している場合には,腐
(b)補修後 (a)補修前
図 2.3.3 補修前と補修後の腐食メカニズム28)
巻らは,中性化や塩害により鉄筋が腐食し,コン
図 2.3.4 部分補修での鉄筋腐食 食し始めるのである28).ミクロセ
ル腐食が比較的穏やかで均一な 腐食形態をとるのに対し,マクロ セル腐食は急速で局所的な腐食 形態となる場合が多い.
この一例として,松浦らは,図 2.3.4
かぶり側 反かぶり側
に示すように,部分補修を 行
て断面修復を模擬した供試体の促進試験および暴露試験を行っている.そ の
やその形状,寸法,施工条件等を考慮して,
電気化学的防食工法は、構造物表面あるいは外部に設置した陽極からコンクリート中の鋼材へ を利用して、鋼材腐食による劣化を抑制することで、コンクリ ー
による補修
2.3.2で述べた電気化学的防食工法のうち,最も多く使われている電気防食工法について,特徴
的防食工法の中で最も多く用いられる工法であり,鋼材腐食が電気 によって進行することに着目し,鋼材に直接電流を継続的に流して鋼材電位を制御し,
った試験体を3年間海洋環境下
補修部ではマクロセル腐食により反かぶり側で腐食が卓越した,としている29).
一方,マクロセル腐食の影響については,必ずしも大きくないという研究もある.北野らは,
複数の補修材料を用い
に暴露した結果,未補修部ではかぶり側の腐食が卓越したが,
結果,残留塩分が多いほど母材部がアノードとなるマクロセル電流が大きくなる傾向にあるこ とがわかったが,マクロセルの形成に起因すると考えられる鉄筋腐食減量の占める割合は必ずし も大きくなく,マクロセル腐食が母材側の鉄筋腐食の主要因ではないとしている 30).川東らは,
鋼板を埋設した供試体による実験と解析の結果,マクロセル腐食よりもミクロセル腐食による腐 食量の割合の方が大きくなった,としている31).
断面修復工法を施工する面的および深さの範囲を決定する際には,劣化因子の侵入状況や劣化 の状態を事前に十分調査し,対象となる部材の種類
施工の範囲を適切に決定することが重要である.はつりが不十分であると,マクロセル腐食の発 生など,断面修復によって新たな劣化が生じることもありうるので,使用材料の性能を含めては つりの範囲を慎重に決定することが大切である.また,劣化の進行程度,構造的な要因,施工空 間の制約等で,はつりが十分に行えない場合,あるいは塩化物イオンなどの劣化因子を十分に除 去できない場合には,断面修復工法と,表面被覆工法あるいは次に述べる電気化学的防食工法を 併用することも選択肢として考える必要がある.
2.3.2 電気化学的防食工法32)
直接電流を流し、電気化学的反応
ト構造物の耐久性を向上させることを目的としている。鋼材の腐食は電気化学的反応で進行す るため、電気化学的防食工法をコンクリート構造物に適用することは非常に効果的である。電気 化学的防食工法は、表 2.3.2に示すように、通電期間や通電量、効果の確認方法等にそれぞれ特 徴を有している。
2.3.3 電気防食工法
や施工事例等を紹介する.
(1) 特徴
電気防食工法は,電気化学 化学的反応
状況29) 補修部
電気化 制すること リート構 性を向上 で
が
停止した直後の電位(インスタント O
電気防食工法は,防食電流の供給方法により,外部の電源から強制的に防食電流を流す「外部 材と陽極材(例えば亜鉛等)の電池作用により防食電流を流す「流 電
)
電気防食工法 脱塩工法 再アルカリ化工法 電着工法 表 2.3.2 電気化学的防食工法の主な特徴32
通電期間 防食期間中継続 約8週間 約1~2週間 約6ヶ月 電流密度 .0010 ~0.03A/m2 1A/m2 1A/m2 0.5~1A/m2 通電電圧 1~5V 5~50V 5~50V 10~30V 電解液 - Ca(OH)2水溶液等 Na2CO3水溶液等 海水 効果確認の方法
電位または 電位変化量の測定
コンクリートの塩化 コンクリートの コンクリートの 透水係数の測定 物イオン量の測定 中性化深さの測定
効果確認の頻度 数回/年 通電終了後 通電終了後 通電終了後
鋼材腐食反応を 学的に抑 で,コンク 造物の耐久 させる工法 ある.主として,塩害環境下での既設コンクリート構造物に適用するが,予防保全を前提とした
ート中の鋼材(陰極)に向かって継続的に電流を流し,適切な防食電流 新設コンクリート構造物への適用も実施されており,既設コンクリート構造物と新設構造物の双 方に適用可能である.
電気防食工法では,コンクリート表面もしくは表面近傍のコンクリート中に陽極材を設置し,
この陽極材からコンクリ
流れている限り,鋼材腐食を抑制することができる.鋼材の防食に必要な電流量(防食電流)
は,0.001~0.03A/m2程度が一般的で,継続して通電することが基本であるが,防食効果確認のた めの試験や停電等による短期間の通電の停止は可能である.
防食効果の確認は,防食電流を流す前後の鋼材の電位変化量を基準とし,鋼材の電位をマイナ ス方向に100mV以上変化させる,すなわち防食電流の通電を
FF電位)と,通電を停止してから一定時間(24時間とするのが一般的である)経過後の電位(OFF電 位)の差が100mV以上となる(「100mVシフト」と呼ぶこともある)ことを基本としている32).
(2) 供給電源方式による違い
電源方式」(図 2.3.5)と,内部鋼
陽極方式」(図 2.3.6)に大別できる.外部電源方式では,直流電源装置の(+)極にコンクリー ト表面またはその近傍に設置した陽極システムを,(-)極に防食対象鋼材を接続し,直流電源装 置により両者間に防食電流を流し,電気防食を行う.流電陽極方式は,コンクリート内部の鋼材 よりも電気的に卑な金属の陽極システムをコンクリート表面あるいはその近傍に設置し,両者間 の電位差を用いて防食電流を流すもので,電源設備が不要であることが特徴である.また,使用
図 2.3.6 流電陽極方式 図 2.3.5 外部電源方式
表2.3.3 各種電気防食工法の特徴32)
陽極材の形状 陽極材の設置方法 陽極材の種類 電源方式 チタンメッシュ
導電性塗料 導電性モルタル
チタン溶射 など
外部電源 面状陽極方式 防食対象面全体に面状陽
極を設置
亜鉛板
亜鉛溶射 など 流電陽極
線状陽極方式 防食対象面に一定間隔で 線状陽極を設置する
チタングリッド
チタンリボンメッシュ など 外部電源
点状陽極方式 防食対象面に棒状陽極を
点状に挿入し,設置する チタンロッド など 外部電源
する陽極システムの形状により,表 2.3.3に示す3種類に区分することが出来る.
(3) 外部電源方式による施工事例
国内での電気防食工法の主流となる外部電源方式による施工事例や施工後の追跡調査の事例は,
(社)土木学会『コンクリート中の鋼材の腐食性評価と防食技術研究小委員会(338委員会)委員会報
告書』33)に数多く記載されている.追跡調査は施工後1~15年と幅広いが,いずれの施工でも無 防食や表面被覆工法などの塩害対策工法と比較して,電気防食工法を適用することで防食効果が あると認めている.その一方で,一部施工では陽極システムやモニタリング機器である照合電極 の劣化事例を紹介しているものもある.
(4) 流電陽極方式による研究事例
流電陽極方式では,陽極材として亜鉛を用いることが多く,歴史的にも腐食電池の陽極として 最も早くから用いられてきた金属のひとつとされている 34).これは,鋼材(鉄)よりもイオン化傾 向が大きいことにより,亜鉛と鉄が結びつくと電子が亜鉛から鉄へ流れることで亜鉛が腐食し,
結果として鉄を保護することになるからである.現在,世界の年間亜鉛消費量のほぼ半分は鋼材 の腐食防止に使われている34).
亜鉛を用いた流電陽極方式の電気防食工法として,
(i) 亜鉛を犠牲陽極材として用いる方式
(ii) コンクリート表面に亜鉛板を当てる,あるいは 亜鉛を溶射する方式
等があるが,ここでは図 2.3.7に示すように,亜鉛を水 酸化リチウム混入モルタルで覆い,コンクリート中の鉄 筋と電気的に接続することで,鉄筋の腐食抑制効果があ るとされている 35),亜鉛を犠牲陽極材として用いる方 式について,その研究・施工事例を紹介する.
図 2.3.7 犠牲陽極材