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氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員
佐藤豊子(昭和16
コ
医学博士 乙第174号
1悟{禾[149脅三5月17日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
糖尿病者の細菌尿出現に及ぼす諸因子 特に肥満並びに運動との関係について
(主査)教授 鎮目 和夫
(副査)教授 吉岡 守正,教授 久保田くら
論 文 内 容 の 要 旨
研究目的
糖尿病者の尿路感染症合併は糖尿病のコントロールの 悪化を招くと共に,糖尿病性腎症との関連からも臨床上 極めて重要であるが,糖尿病治療の立場からこれについ て追求した業績は少ない.この論文は糖尿病者の尿路感 染予防の立場からそれが如何なる因子により左右される かについて迫面したものである.
方法並びに対象
1967年から1972年までの5年間に東京女子医大内科入 院患者および糖尿病専門外来通院中の糖尿病患者420例 について中間尿培養を行なった.年齢は7才~85才の各 年代の患者を含み,男子172伊L女子248例,入院患者 255例,外来患者165例であった.尿中細菌数が105/ml 以上を細菌尿陽性とした.
成績
1)蛋白尿との関係についてみると,外来患老の無症 候性細菌尿は蛋白尿陰性者では10%に過ぎないが,蛋白 尿陽性者では32%と高く,同様の傾向は入院患者につい てもみられた.数回の検尿成績から常に蛋白尿陽性の持 続性蛋白尿,一過性蛋白尿,蛋白尿陰性の3群に分けた 場合,その順に細菌尿の頻度は多かった.しかし,一過 性蛋白尿は必ずしも細菌尿と関連するものではないとい う結果を得た.腎機能については,GFR60ml/min以下 の腎機能低下のあるものに細菌尿陽性者が多いがその差 は有意ではなかったことから,細菌尿と糖尿病性腎症と の因果関係は明らかでなく,糖尿病性腎症のみが必ずし
も細菌尿の一因とは言えなかった.
2)糖尿病性代謝異常との関係は,蛋白尿が持続性に なると空腹時血糖200㎎/d1以上のもの,および糖尿病罹 病歴5年以上のものに細菌尿が有意に多かった.
3)外来患者よりも入院患者で細菌尿の多いことは従 来いわれているところであるが,性差についてみると,
外来患者では男子6.5%,女子31.4%に細菌尿が認めら れるのに対し,入院患者では男子52。9%,女子47.1%で 著明な差は認めなかった.
4) 従来いわれている如く,細菌尿の頻度は加令と共 に増加していたが,蛋白尿を考慮に入れると,蛋白尿陽 性者の70才以上の老年者で60%以上に無症候性細菌尿が 認められたのに対し,70才未満および蛋白尿陰性者では 加令と共に細菌尿が増加する傾向は著明でなかった.
5)肥満との関係をみると,糖尿病性網膜症,心筋障 害は体重が減少して行く群で特に発症,進展することが 少ないのに対し,細菌尿は体重が減少して行く状態にあ っても肥満している限りその様な傾向は認められず,し たがって肥満そのものと関連が深い成績が得られた.す なわち,外来糖尿病者では,空腹時血糖140㎎畑未満の 易合,標準体重十10%以上の肥満者では30%,非肥満者 では13%に細菌尿がみられた.
以上2)~5)の事実は細菌尿の発症が糖尿病性代 謝異常より,むしろ社会活動の休止,加令による運動不 足,および肥満自身と関連しているという結果を得た.
結論
1) 糖尿病者の細菌尿は蛋白尿陽性者に多く,蛋白尿 陽性者では空腹時血糖値200mg佃以上のもの,罹病期開
一719一
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の長いものに多かった.すなわち蛋白尿陽性者について は糖尿病性代謝異常或は糖尿病性腎症と関連あるものと 思われる.
2) 細菌尿は蛋白尿陽性の70才以上の老年者に多く,
外来患者では肥満者,女性に多く,また入院患者では肥 満,非肥満,男女の差に拘らず増加することから,これ らに共通する因子について論じ,適度の運動,肥満の防 止が細菌尿の予防上からも必要であることを示した.
論文審査の要旨
本論文は糖尿病患者の細菌尿出現に及ぼす諸因子につき420名の患者について研究したもので,そ の結果,肥満や運動不足の関与を明らかにしたものである.このような因子の関与を明らかにしたも
のは初めてであり,学術.1二価値ある論文と認める.主論文公表誌
糖尿病者の細菌尿出現に及ぼす諸因子特に肥満並びに 運動との関係について.
東京女子医科大学雑誌 第44巻 策5号 443 ~451頁(昭和49年5月25日発行)
副論文公表誌
1)新糖尿病内服薬621YTの臨床使用経験.
東女医大誌 41(3) 168~172(昭和46年3 月)
2) 数年にわたり比較的無症状に経過した限局性肺炎 より急性増悪をきたした大葉性クレブジエラ肺炎 の1症例.
東女医大誌 41(10)772~780(昭和46年10 月)
3)家族性amyloidosisにおける末梢神経・筋障害に 関する一考察.
医学のあゆみ 83(5) 359~360(昭和47年 11月)