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プレファブ鋼床版を用いた橋梁床版架け替え工法に 関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

プレファブ鋼床版を用いた橋梁床版架け替え工法に 関する研究

中村, 聖三

https://doi.org/10.11501/3105032

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第5章 架設系および完成系の全体構造模型実験とその解析

5 . 1 緒 言

第4章では、 既存主桁と鋼床版との連結部、 増設支持横桁本体、 および横桁と既存主桁ある いは鋼床版との連結部について大型模型による3種の実験により検討し、 当該部位に対して耐 久性および施工性に優れ、 本工法に適すると考えられる構造詳細を提案した。 しかし、 これら の実験は全て部分模型を用いたものであり、 橋梁全体としての力学特性については検討できて いない。 また、 施工性についても机上で検討したに過ぎない。 すなわち、 第3章で述べた本工 法を実用化するための検討課題のうち、 全体構造としての問題点の有無および施工性に関する 検討は残されていることになる。

RC床版の劣化が著しいような橋梁は交通量の非常に多い橋梁であり、 床版を架け替えるに 際しでも、 できるだけ道路交通を阻害しないことが望まれる。 したがって、 例えば、 2 車線以 上を有する橋梁の場合、 床版架け替え中も最低l車線は確保しなければならない状況も生じ得 るものと思われる。 このような状況に対して、 鋼床版による架け替え工法を適用する場合、

RC床版が一部撤去された状態あるいは一部鋼床版で置換された状態に荷重が作用した場合に 鋼桁がどのような全体挙動を示すかを明らかにする必要がある。 しかし、 分割施工で床版を架 け替える際の鋼桁の全体挙動を、 詳細に検討するための手法が確立されているとは言い難い。

そこで、 ここではまず本工法による床版架け替え工事施工上の問題点の抽出と施工時間の調 査を目的とし、 4章で述べた一連の構造詳細に関する実験の結果を参考に設定した標準的な構 造詳細を有する大型プレートガーダ一橋模型を用い、 想定される施工手順に基づく補修実験を 行う。次に、 架け替え後の模型体を用いた静的載荷試験および繰り返し載荷試験を実施し、 床 版架け替え後の橋梁の全体構造としての力学的特性および耐久性を、 完成系において調査する。

さらに、 床版架け替え途中の各段階における構造系を模擬した別の試験体を用いた静的載荷試 験を実施することにより、 床版架け替え時の橋梁の全体挙動や応力状態などの挙動特性を実験 的に調査するとともに、 一解析手法を提案し実験結果と比較することにより、 その妥当性を検 証する。

5. 2 完成系の挙動に関する実験1),2)

5 . 2. 1 試験体

試験体は、 RC床版撤去後の合成桁橋主桁部、 プレフアプ鋼床版部、 および鋼床版を支持す る支持横桁部の 3 部分で構成される。 図-501に試験体の形状・寸法を示す。 試験体各部の構 造詳細における特徴を以下に示す。

主桁部

・従来のRC床版の損傷例からみて、 主桁間隔が大きいほど問題が多い。 また、 補修において も主桁間隔が大きい場合支持横桁間隔が長くなることから、 支持横桁と主桁あるいは支持横桁 と銅床版縦リプの接合部などに問題を生じ易い。 そのため、 主桁間隔が可能な限り大きな試験 体とすることが望ましい。

・ 主桁と支持横桁との接合部(格点部)において、 支持横桁はせん断と負曲げモーメントを受け ることから、 当該部の応力状態を模擬するために3主桁以上の構造模型とする必要がある。

・実験に使用する載荷装置(載荷フレーム)の有効空間寸法(長さ:2 0m、 幅:6m、 高さ: 305m) 内に、 試験体の搬入、 組立、 実験計測スペースを含め収納可能なす法諸元であること。

以上の条件を考慮し、 主桁構造として対傾構で連結された支間1206m、 主桁間隔206m、 桁高

1.4mの三主桁模型(図-502 参照)を用いることとした。 なお、 主桁には支問中央に添接部を設 けるとともに、 上フランジには RC床版撤去後も残存するズレ止めとしてスタッド(ø 22 )を 30cmピッチで溶植した。

プレファプ鋼床版部

プレファプ鋼床版本体は、 3. 2に述べた理由から、 デッキプレート(板厚t=1 6mm の鋼板) に形鋼製縦リプ(CT-250X2∞XIOXI6)を連続すみ肉溶接し、 支持横桁取り付け部位置のみに 簡易補剛リプ(板厚t=12mm)を設けたパネルを基本構成とした。

鋼床版パネlレ間継手部としては、 橋軸方向継手と橋軸直角方向継手の2種類の継手が必要と なる。 一般に、 継手部の数は運搬上の制約から決まる標準パネル寸法と施工面積、 施工工程な どにより左右される。実験においては、 試験体運搬上の最大寸法と継手位置を支配する主桁間 隔および支持横桁間隔との関連から、 最大パネル寸法を2 01mX 705m とした。 その結果、 試験 体制床版部は図-503に示すように、 橋軸方向継手l箇所、 橋軸直角方向継手2箇所で分割さ れる計6 パネルで情成される。

ノぐネルnuの接介法としては、合,Iì技厚を約40mm薄くできる上、 継手上の舗装の耐久性を向上

(3)

させ得ることから、 トルシア型高力ボルトを用いたデッキプレート下面からの片側添接方式が 望ましいo しかし、 片側添接による高力ボルト摩擦接合は米国で補修用としての使用実績はみ られるものの、 我国での使用実績が特殊なケースに限られていることや、 車輪の直厚を継手部 が受けた場合の耐久性データが十分にはないことから、 本実験では両側添接と片側添接の両者 について比較実験を行うこととした。 パネル間接合部の詳細を図-5.4に示すo なお、 添接音I�

のボJレト本数は補修用鋼床版であることを考慮し、 床版の設計最大応力に基づいて算出したo

支持横桁部

本工法では、 鋼床版本体に橋軸直角方向の剛性がほとんどないため、 床版を支持するための

横桁を増設する必要があるo この支持横桁は、 既設垂直補剛材を避けた位置に新たに横桁取り 付け用プラケットを高力ボルトで取り付け、 それを介して設置する。

支持横桁の構造形式については、 実際の荷重条件が過載車両の通行や衝撃など予期できない 過酷な使用条件にさらされる可能性が高いことを考慮、し、 4・3で述べた実験結果や従来のプ

レートガーダ一橋における荷重分配桁取付部の疲労損傷例などを参考にし、 最も二次応力や局 部応力の小さい曲げモーメント伝達型(図-5.5参照)を採用した。 また、 銅床版縦リプと支持 横桁との連結部に関しては、 a)鋼製ライナープレートを介して高力ボルトで緊結する方式、

b)硬質ゴムライナーを介して高力ボルトで弾性結合する方式、 c)硬質ゴムライナーを介し締 結パネで弾性結合する方式、 の3方式について施工性や耐久性、 および騒音防止の観点から検 討したo その結果、 鋼製ライナープレートのみでは騒音が問題となる可能性があること、 締結 パネによる方式では耐久性に不安が残るのに加え、 施工性も高力ボルトによる方式に劣ると考 えられることから、 図-5.6に示すb)の結合方式を採用することとした。

補修用部材の設計 ・製作にあたっては事前に必要寸法を計測し、 可能な限り実態寸法に合わ せた部材寸法とするが、 既設橋梁においては製作・架設誤差や供用による経年ひずみ、 さらに は地震による変形などにより、 主桁間隔などが設計図面とは異なることが予想されるため、 現 場施工の能率向上のため過大孔あるいは長孔を用いた予備ボルトを用いた。

主桁と鋼床版の連結部

4.2で述べた本連結部に関する部分模型試験の結果をもとに、 現地での施工性の観点から

種々の検討を加えた結果、 急速施工性と強度面での信頼性を兼ね備える述結方法として、 a) 部分交通解放に耐え得る高力ボルト部分接合とb)主桁上フランジと鋼床版縦リプの両者に対 向させ設けたずれ止めと両者間に充填するモルタルによる水平せん断力伝達効果に期待する方 法(押し抜きせん断試験におけるTP・10)を用いることとしたo 図-5.7に主桁と鋼床版との連 結音1)詳細を示す。

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図-5.1 全体構造模型試験体の形状・ 寸法

(4)

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図-5.3 鋼床版のパネル構成

2x15∞=3α氾

( a ) 両側添接 1-L 1∞x 10);: 10x 2 m

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図-5.2 全体模型の主桁部詳細

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( b ) 片側添接

同-5.4 鋼床版パネル問の連結部詳細

(5)

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主桁と鋼床版の連結部詳細

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ライナープレート 32X200X200

支持横桁と鋼床版縦リプの交差部詳細]

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支持横桁部詳細 図-5.5

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図-5.6

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支持横桁

(6)

5 . 2 . 2 試験方法

( 1 ) 施工試験

実大構造模型体の実験棟内での組立工程において、 以下に示す作業項目について、 主として 作業人員と所用時間の計測を行ない、 各作業単位における平均的な施工時間を求めたo

① 支持横桁取り付け位置の主桁ウェブへの罫書

② 主桁ウェプへの支持横桁取り付けボルト孔の穿孔

③ 支持横桁取付プラケットの主桁への取り付け

支持横桁の取り付け

⑤ 主桁上の既存スタッド頭部のガス切断

① 主桁上フランジへのボルト孔の穿孔

⑦ 隣接する支持横桁フランジを連結するテンションプレートのボルト締め付け

③ 鋼床版縦リプと横桁との連結部へのライナープレートなどの敷設

鋼床版パネルの設置

⑮ 鋼床版パネルと支持横桁との連結ボルトの挿入・締め付け

⑪ 鋼床版パネル間の連結ボルトの締め付け

⑫ 鋼床版・主桁連結部の間隔調整

⑬ 鋼床版・主桁聞の連結ボルトの本締め

⑬ 鋼床版・主桁間へのモルタル充填

( 2 ) 静的載荷試験

補修後の主要構造部分の耐久性を調査するための輪荷重繰り返し載荷試験に先立ち、 載荷点 を移動させて静的輪荷重載荷試験を行い、 構造的な弱点の有無を調査した。荷重は、 T・20後 輪荷重の50%増しに相当する12tonfとし、 土50tonf電気油圧式サーボ型疲労試験機を用いて、

鋼床版上面の図-5.8に示す位置( 合計20点 )に硬質ゴムパット(20cmX 50cm)を介して載荷し、

輪荷重の繰り返し載荷により疲労強度が問題となる可能性がある部位に重点をおき 、 変位およ びひずみを測定した。ひずみゲージおよび変位計の設置位置を図-5.9に示す。

また、 鋼床版デッキプレート部の現場添接法について、 施工性や工場舗装部の耐久性の観点 から有利なデッキ下面からの片側添接を利用できるか否かを調査する目的で、 片面添接の場合 (Case 1)と両面添接の場合(Case2)の両者について、 載荷試験を行った。ただし、 片面添後で の載荷試験時には、 主桁と鋼床版との連結はボルト接合のみで、 フランジ遊間へのモルタル充

棋は行っていない。写真-5.1 �ご静的載荷試験の状況を示す。

( 3 ) 繰り返し載荷試験

静的載荷試験終了後、 鋼床版と主桁連結部との間隙に無収縮モルタルを充填し、 載荷条件を 2 輪 (1軸)荷重に変え、 材齢2日目より図-5.1 0 に示す支持横桁直上位置に繰り返し載荷を行 った。本来、 調査すべき対象部位全てに対して、 適切な荷重の位置および大きさで繰り返し載 荷試験を実施すべきであるが、 実験の実施可能期間などの制約から増設支持横桁と主桁との連 結部を着目部位としたlケースのみを実施した。荷重変動範囲はT・20 設計後輪荷重の 50%増 しの24tonfとし、 繰り返し速度3Hzで実施した。使用した試験機は、 静的載荷試験と同一で ある。 なお、 荷重繰り返しに伴う補修部材および部材接合部の損傷・緩みなどの発生の有無を 調査するため、 適宜繰り返し載荷を停止し、 静的載荷試験を実施することによりひずみ ・変位

を計測した。写真-5.2に繰り返し載荷試験の実施状況を示す。

(7)

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ひずみゲージの貼付位置(鋼床版パネル) 図-5.9( a )

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5.1

(8)

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ひずみゲージ貼付位置(支持横桁)および縦リプと横桁の相対変位測定位置

主桁応力測定位置」

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ひずみゲージ貼付位置(主桁)および主桁・ 鋼床版問の相対ずれ測定位置

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(9)

5.2. 3 試験結果と考察

( , ) 施工試験

前節で述べた各作業項目について、 その実施状況とタイムスタデイの結果を写真-5.3に示 す。

一連の施工試験の結果、 本工法は十分な急速施工性を有することが確認できたが、 個々の作 業単位においては若干の改良を必要とする点がいくつか認められた。以下に、 施工試験で見い だされた問題点とその改善方法を列挙する。

① 主桁ウェプへの穿孔作業の空間が十分ではなく、 施工に支障を来す箇所があった。

支持横桁取り付け位置は、 既存対傾構から 50cm 以上離すとともに、 上下フランジと の距離にも注意する必要がある。

② 支持横桁の主桁への取り付けボルト干しは、 仮設ボルト用過大孔を用いるとともに強 度分担ボルトにはリーマ通しを用いるのが望ましい。(現地でのリーマ通しは、 あらか じめlサイズ小さい孔が設けてあればかなり短時間に行える。)

③ 工場での縦リプへの穿孔時に孔あけ位置の罫書ゲージを作製し、 本ゲージを用いて 主桁にも干しあけ位置を罫書くことにより、 主桁と鋼床版の連結ボルト用孔あけ位置の 橋軸方向ずれをなくすことが可能である。橋軸直角方向の孔ずれに対しては、 縦リプ 側に過大孔あるいは長孔を用いることにより対応可能である。

今回の施工試験における施工条件と実際の現場における施工条件との間には、 a)既存RC 床版が存在しないこと、 b)比較的自由に操作可能な天井クレーンを使用したこと、 c )作業性 の良い昼間のみ作業したこと、 など施工性を判断するタイムスタデイには好結果をもたらす要 因が多い。したがって、 施工時間の実測値がそのまま現場施工に適用できるか否かは、 実椅に おけるタイムスタデイなどにより確認する必要があると考えられる。

( 2 ) 静的載荷試験

輪荷重載荷によって生じる各部の応力は、 鋼床版モジューjレの荷重直下において局部的に 1,OOOkgf/cm2以上発生しているのを除き、 全体的に小さく約200kgf/cm2 以下であった。結果の 一例として、 図-5.11-5.15にはそれぞれ、 主桁直上のデッキプレート上面橋軸直角方[Í:JJJ芯力 主桁と増設支持横桁で囲まれる支間の中央付近のデッキプレート下面椅軸直角方向応力、 デッ キプレート橋軸方向連結部近傍の縦リプフランジ杭軸方向応力、 デッキプレート桁抽方向述結 用添接板の橋軸直角方向応力、 および増設支持横桁フランジ応力について、 輪荷主税荷による

着目応力の影響面を示した。以下に、 それぞれの図について考察する。

主桁直上のデッキプレート上面橋軸直角方向応力は、 最大で約1,500kgf/cm2と高くなってい る。これは、 ゴムパットを介して載荷された集中荷重点の局部応力を示しているものと考えら れる。このように主桁直上の橋軸直角方向応力がデッキプレートの他の部分に比較して大きな 値となっているのは、 デッキプレートの剛性に比較して極めて剛性の高い主桁と直結されてい るため、 ゴムパットを介した輪荷重載荷に対して、 剛性の小さなデッキプレートのみが変形せ ざるを得ないことに起因している。このような局部変形は、 構造強度上や耐久性上は問題のな いことが一般の鋼床版においても明らかにされている上、 最も問題となる舗装材に対しても、

エポキシ系の一次舗装 であれば、 表面ひずみが約 1,5∞μ(鋼材表面応力に換算して 3,∞o kgf/cm2程度)までは耐久性に問題ないとの実験結果3)もあることから、 設計の2 倍程度の

輪荷重の走行に対しても、 耐久性に何等問題はないと判断される。

縦リプフランジの応力については、 主桁間中央の縦リプが当然のことながら応力的に最も大 きく、 支持横桁聞の支問中央で12tonf 載荷時に約1,0∞kgf/cm2 (Case 1 ) - 8∞kgf/cm2 (Case 2) の応力が発生している。ただし、 当該応力が発生しているリプは、 鋼床版モジ、ユール聞の連結 のため縦リプフランジの片側(添接側)を切り欠いた変形縦リプであり、 一般縦リブでは 12tonf 載荷時においても7∞kgf/cm2 程度以下の応力しか発生しておらず、 応力・変形ともに十分な 余裕があると考えられる。

鋼床版モジュール間連結部の添接板の応力は、 片面添接の場合には添接板の応力が最大で約 1,lOOkgf/cm2であるのに対し、 両面添接の場合には約5∞kgf/cm2と約50%以下に減少している。

しかし、 片面添接の場合に発生した応力も、 設計荷重の50%増しの荷重に対する輪荷重直下で の値であることを考えると、 連結部の耐久性が問題となるような過大な応力とは考えられない。

本実験では、 下面のみの片面添接の場合にはデッキプレートと同厚の鋼板(t=16mm)をl枚、

両面添接の場合には12 mmの鋼板を2枚用いたが、 片面添接の場合の応力を添接部以外のデッ キプレートと比較すると若干大きいことから、 今後片面添接を用いる場合には、 当該部の板曲 げ剛性を高め曲げ応力の付加による添接板の応力を低減するために、 添接板の板厚はデッキプ レートの 1.5倍程度とすることが望ましいと考えられる。なお、 橋軸直角方向の連結部は、 鋼 床版の橋軸方向モーメントが最小となる支持横桁聞の 1/4断面に配置されているため、 添接板 の応力は橋軸万向・橋軸直角方向ともに6∞kgf/cm2 (片面添接)-5∞kgf/cm2 (両面添接)程度 と小さい値であった。

増設支持績桁の応力も、 主桁への取り付け部・ 主桁問中央部のいずれにおいても12tonf故荷 H寺に 200kgf/cm2以下と小さな値であり、 主桁との連結部・ 支問中央部のいずれにおいても強

(10)

度上十分な余裕があると言える。

さらに、 図としては示していないが、 鋼床版縦リプと増設支持横桁との交差部の相対変位に 関しては、12tonf 載荷時の橋軸方向・橋軸直角方向で最大 0.2mm、 鉛直方向で 0.5mm程度 と硬質ゴム( 30mm 厚)の変形がやや大きかった。特に鉛直方向の変形は、 支持横桁部分模型の 結果から、 鋼床版簡易補剛リプに好ましくない影響を与えることが予想される。

また、 鋼床版と主桁との連結部に関しては、 端部の相対ズレは連結部遊間に無収縮モルタル を充填する、 しないにかかわらず、 111,α)()mm以下の極めて小さい値であった。荷重が小さい ため当該部に作用する水平せん断力も小さく厳密な考察はできないが、 4. 2の実験結果を併 せて考えると、 当該部には十分な合成効果が期待できるものと思われる。

( 3 ) 繰り返し載荷試験

図-5.16-18 には、 それぞれ繰り返し載荷試験に先立ち実施した2輪(1軸 )載荷による静的 載荷試験におけるデッキプレート、 縦リプの応力分布を示す。載荷位置が増設支持横桁直上で あることから、 デッキプレートや縦リプに発生する応力は小さく、 本実験でこれらの部位の耐 久性が問題となることはないものと予想された。図-5.19には、 輪荷重載荷位置の支持横桁 (四2)における実測曲げ応力を示す。図から、 本試験の主要着目部位である横桁と主桁との連 結部、 ならびに横桁の荷重断面近傍断面における応力も2∞kgf/cm2程度以下であり、 より過 酷な条件で疲労試験を実施した支持横桁部分模型実験の結果を考慮すれば、 さらに過大な輪荷 重の繰り返し載荷に対しても、 当該部の十分な耐久性を期待し得るものと考えられる。

繰り返し栽荷試験は、 繰り返し回数 3X106回を目標に行った。途中、 適宜繰り返し載荷を

中断し、 試験体各部の疲労損傷の有無を確認するとともに、 静的載荷を行い最大荷重と最小荷 重における部材各部のひずみおよび変形を計測・記録した。図-5.20には、 荷重繰り返しにと もなう測定応力の変化の一例を示す。

荷重の繰り返しに対して、 試験体各部の応力・変形は安定した挙動を示したが、2. 54X 106 回においてGト02間の支持横桁位置の鋼床版縦リプと簡易補剛リプとの溶接部に、 図-5.21 および写真-5. 4に示すような疲労亀裂が発見された。このとき既に亀裂はほぼ上端から下端 まで達していた。 疲労亀裂発生後も同一荷重条件で疲労試験を続行したが、 3. 03X 106回まで デッキプレートや縦リプ本体などへの亀裂の進展は見られなかった。

疲労試験終了後、 当該部をガス切断し破面を観察した。 写真一5.5には、 得られた破面を示 す。 破面観察の結果、亀裂は縦リプと簡易補剛リプの交差すみ肉溶接の下部(縦リプフランジ 側)のルート部より発生し、 溶接内部から表面に伝播後、 一気に簡易相i岡IJ1)プ上端から下端ま

で貫通したものと推定された。図-5.22には、 当該亀裂の発生を最も反映すると考えられる鋼 床版縦リプと支持横桁交差部の相対変位量を、 荷重繰り返し回数を横軸にプロットして示すo 亀裂の発生しなかった02・0 3間ではほとんど荷重繰り返しにともなう相対変位量の変化が見 られないのに対し、亀裂の発生した01-02問では橋軸方向および埼軸直角方向の相対変位が N=2X 105回を過ぎた頃から増加しているのがわかる。このことから、 当該部の疲労亀裂は N=2X 105回の検査以降、 早い段階で表面に達していたものと推定される。

亀裂発生部近傍にはひずみゲージがなく、 直接当該部の応力を知ることはできなかったため、

中桁をはさんで亀裂発生位置と対称な位置にひずみゲージを貼付した後静的載荷試験を行い、

亀裂発生部の応力の推定値とした。図-5.23に測定結果を示すが、 縦リプと支持横桁の交差部 に設置した硬質ゴムの弾性変形により簡易補剛リプに曲げが発生し、 縦リブとの交差部には最 大荷重時に 500kgf/cm2程度の引張応力が作用していたものと推定される。この引張応力と当 該溶接部ののど厚不足(設計では脚長6mmであったのに対して、 実際には4-5mm)とが相まっ

て、 すみ肉溶接のど断面には1,0∞kgf/cm2程度の応力が発生することとなり、 ルート破壊形式 の疲労亀裂が発生したものと推察される。亀裂発生位置における縦リプの鉛直変位の50%以上 は縦リプ・支持横桁聞の相対変位であり、 この相対変位を極力小さくすることで、 のど断面応 力を1/2程度まで低減することは可能であると考えられる。さらに、 当該すみ肉溶接の脚長を 7mmに上げると、 発生応力は脚長 4mmの場合の60%以下に低減される。すなわち、 雨対策を 施した場合、 のど断面の発生応力は今回の実験における値の約1/ 4にまで低減され、 約 250kgf/cm2 となる。当該溶接部は荷重伝達型すみ肉溶接継手と考えられるが、「鋼構造物の疲

労設計指針 ・同解説J4)によると本形式継手のルート破壊に対する疲労限は230kgf/cm2(一定振 幅応力 )であるのに加え、 本実験で用いた荷重が設計荷重の1.5倍であることから、 実橋にお いては縦リプ・支持横桁交差部に使用するゴムパットをできるだけ薄くしたり、 銅製ライナー プレートとするとともに、 縦リプと簡易補剛リプとの交差すみ肉溶接の脚長を7mm以上確保 することにより、 本亀裂は十分防止できるものと思われる。

(11)

均す早川村。。取(

・所

桁ケ横/持分

4 支叩 -eeRWJ。u&dJ‘ --eRud。uR4dh‘

--goJOuv-『コ‘

写真-5.3(b) 施工試験状況(その2) (6)主桁上フランジのボルト孔・穿孔

3分/ヶ所(36ヶ所平均) SEU可SV2t

--eR叫dou寝ddu‘

写真-5.3(a) 施工試験状況(その1 )

(12)

2αxl kgflcm 2 1αxl

田畑目点

2αx) kgf/cm 2

1αxl

園篇目点

ゴシ

図-5.11 デッキプレート上面応力の影響面

2α:XJ.j._ kgf/cm 2

GJ

図-5.14 デッキプレート添接板応力の影響面

2CO -l kgf/cm 2

GJ

図-5.12 デッキプレート下面応力の影響面 2α>o-l kgf/cm 2

図-5.15 支持横桁フランジ応力の影響面

G)

図-5.13 銅床版縦リプ応力の影響面

(13)

初期載荷時 ( a )

( kgf/crr子)

料再0

kgf/cm 2

200

千ーー の

一軸荷重載荷時のデッキプレートの橋軸方向応力分布

荷重繰り返し数(回)

105

(b) N=3.05 X 106回載荷後

荷重載荷位置支持横桁の曲げ応力分布

104

図-5.19

主桁(G2)直上デッキプレート 橋軸方向応力;σx

荷重繰り返し数(回)

一� ,、_r、

, 、 F 、

JJ、r

ー か 日 105

"ーが冶

σσdモP

( c )

、、、

υ CJ) .y.

CJ) CJ) w E

U-1∞

荷重繰り返し数(回)

荷重繰り返し数(回)

t 1し げ 105 10

:;:::: ol I

.::.::

� 1

c>-ー→←ーャ~心。仏国P

-XXl a:

105

主桁下フランジ (載荷断面)

104

( a )

(弘ヒω注目v占}的的UEトω

図-5.16

G3

一軸荷重載荷時のデッキプレートの橋軸直角方向応力分布

笈xl

図-5.17

主桁(G2)直上デッキプレート 橋刺l直角方向応力;σy (d)

主桁上フランジ (i戟荷断面)

、、,,,b ,,E、、

1

一軸荷重載荷時の縦リ プ椅 軸 方向応力布 図-5.18

荷重の繰り返しに伴う測定応力の変化 図-5.20

(14)

位変向川tdm2 uo

橋軸方向変位

7 てf

ycles)

荷重繰り返し数(回)

荷重繰り返し数(回)

橋軸直角方向変位

01

G2

10'

橋軸直角方向変位

V(mm) 0.3

。2

0.1

100 104

100 10'

lOS

V(mm)

0.2

G1

lχ1 5.21 4ft分rú.裂の先'!今:11、i兄 0.1

100 104 105 106 N(Cycles)

荷重繰り返し数(回)

1(JJ 10' 105 106 N(Cycles)

105 106 Nにycles)

荷重繰り返し数(回)

ト一一一ー�一一-0---0---/0,,-哨

106 N(Cycles)

0.1 - 0.1

W(mm)

鉛直変位

W(mm)

鉛直変位

(a) GトG2間 (b) G2・G3間

図-5.22 荷重繰り返しに伴う鋼床版縦リプと横桁交差部の相対変位の変化

' IJ

-2J

t 5.4 jUY杭Hff\',�Wi.の印j易柿1)フと縦リブ交正汚1:に)c.q.:した�if'Jj"f!色日

-200 ・1 00 0 1 00 200 300 400 500 STRESS ( kgf/cm2)

図-5.23 荷重点直下の横リプ応力分布

万点 5.5 彼労亀裂の{崎山.

(15)

5.3 架設系の挙動に関する実験5),6)

5 . 3. 1 試験体

RC床版をプレファプ鋼床版に架け替える模擬実験であることから、 本来はRC床版を有す る模型桁を用いるべきであるが、 模型桁にした場合の床版厚が薄く構造体としてのバランスが 悪いこと、 床版の打設および撤去を載荷装置内で行うことが困難なことなど、 諸般の理由によ り鋼床版をRC床版に見立てて実験を行うこととした。

試験体は、 荷重分配対傾構を有する3主桁の桁橋を基本モデルとし、 縦リプ主体のバトルデ ッキ型プレファプ鋼床版を高力ボルトを用いて着脱できるようにした。 また、 一次施工・ 二次 施工の施工段階を構造的に模擬できるように、 鋼床版パネルは橋軸方向に2分割とした。 さら に、 従来用いられている直交異方性版タイプの鋼床版における横リプに相当する支持横桁は、

荷重分配対傾構の中間にボルトで着脱できるような構造とし、 支持横桁の荷重分配効果も調査 できるよう配慮した。 試験体の形状・ 寸法を図-5.24に示す。

5. 3. 2 試験方法

本実験では、 施工中における主構造の全体挙動および各部の応力分布を調査することを目的 としているため、 施工中に現れる最も危険な載荷条件を想定し、 支問中央断面の中桁(GB)上 および主桁間隔中央に1 点もしくは2点の載荷を行った。 この際、 輪荷重幅を考慮、し、 デッキ プレート上には硬質ゴムを介した載荷板を用い、 300X120mmの範囲で静的に載荷した。 なお、

載荷には::i: l00tonf電気油圧式サーボ型疲労試験機を用いた。

載荷ケースを一覧表にして、 表-5.1に示す。

実験は施工手)1債を考慮して、 表-5.2に示すようなSTEP①---STEP⑦の7段階について実施 し、 主桁、 鋼床版、 および支持横桁各部の応力をひずみゲージにより、 主桁の鉛直変位および 主桁と鋼床版との水平ずれをそれぞれ電気式変位計および片持ち式変位計により、 測定・記録 した。 本実験では架け替え前の構造(STEP③)において鋼床版を RC床版の代替として用いた ため、 STEP③と STEP⑦は同じ構造系となっている。 図-5.25にはひずみゲージおよび変位 計の設置位置を、 写真-5.6には実験状況を示す。 なお、 表-5.2には各実験ステップにおける 載荷ケースおよび調査目的も併せて示した。

周ミE此反�ヂ寺将資材予言長重量育ÍJ1 5.ξヂ寺持喧宥子言灸苦主千圭 26

1αx) 1(XX)

縦リブ: L-l00x7Sx7x6x6,400 (一般部) 支持積桁: 200Xl00XS. Sx8 CT・100X150x6X9x6,�OO (:主桁上)

図-5.24 試験体の形状・ 寸法

表-5.1 載荷ケース一覧表 最大

荷重| 載 荷 状 態

(tonf)

J

2J件しJムし

CASE 1

I

15

CASE II I 7

CASE皿I 10

CASE IV I 15

CASE V 7

(16)

llJ ο五廿lJ ω←

:ひずみゲージ貼付断面 C

J L- : :;:|竺j千置;j--:::亙J二二 J J 二 ;:;:;;::;3

一--J---ι=--=--=----é-一一一ιーし

3一一ーーーーーイ一一1-ーー一ーー--0-ーーーー---l---l一一ーーー一--(J L-一一ー十一一卜一一-- <D-ーーー一一一i一一一i- J

F-二二千二;:二二:苓二二二:!二二;二:二ミ

1 200

工T+ム

VFL

v _"'�""__ '" '" '" I 1'" '" '"

F1J

U4

J片」十九ほ」

ーー-r-<C 炉一寸--<4

ト�卜�つ

GA GB GC

士=ゴ

1 200

ゐ斗昨+斗lム

1 200

① V寸〕

1 200

QE L

4

Sec.①

a‘... ‘

GB

Sec ②,③

J wJ J J ili _j十十しJ ",_h し

寸�/寸〉;ド

Aームュ r←A F」-A

GA GB GC

Sec.④,⑤ 調査項目 載荷

ケース

ト/ド/τ

GA GB GC STEP① -主桁の剛性-対傾構の荷重分配 1---皿

仁王、 王、 F

".:7 . I .../ STEP② -支持横桁の荷重分配 1---皿

.J _j-.J .J .J .J.-JキキL.J ...lーし

-床版の合成効果

仁王

""/

王、

I ""'-.../

F

STEP③ -荷重分配の変化 I�V

.J _jー.J .J .J _jー」

仁王\

""/ I ""'-.../

Z F

STEP④ - 一時施工時の挙動 I�V

し.J ...lーし .J .J.-.J .J .J ...1-J

仁王、、

""/

2、 1--=:J

I .../ STEP⑤ -中間状態での挙動 I---V

L J _j-L

仁王、

"" /

2、

I ""/

STEP⑥ - 二次施工時の挙動 I---V

.J _jー .J J .J ..1ー 」牛牛L .J 斗. L

仁王、

\、//

2 F

\\/f STEP⑦ -完成時の挙動 I---V

実験手!Il買 表-5.2

:単軸ひずみゲージ :片持ち型変位計 A

:電気式変位計 d

ひずみゲージおよび変位計の設置位置 図-5.25

(17)

'lj:J'f. 5.6 .1\幻'1:[ I式J.f�!.l}�i兄

5.3.3 試験結果と考察

( 1 ) 対傾構、 支持横桁、 および床版の荷重分配作用

STEP①、 STEP ②、 および STEP③の実験結果を比較することにより、 本試験体における 対傾構、 支持検桁、 および床版の荷重分配作用について考察するo

イ可重分配効果が最も比較し易い実験結果として、 中桁(GB)支間中央点直上に荷重が作用す る載荷ケースm (P= 10tonf)について、 支問中央断面における鉛直変位の分布を図-5.26に、 主 桁の曲げ応力分布を図-5.27に示す。 これらの図において、 STEP②・2は隣接する横桁のフラ ンジをテンションプレートで連続させ、 モーメントを伝達するような構造とした場合、 STEP

②ーlはテンシヨンプレートがない場合であり、 主桁間を横桁で連結して格子桁とする際には前 者が一般的に用いられる

また、 表-5.3 は、 これらの結果のうち、 中桁にのみ注目して鉛直変位および曲げ応力をま とめたものである。 同表には、 主桁1本のみの状態に同様の荷重が作用したときの支間中央点 における鉛直変位および上下フランジの曲げ応力との比も( )内に示している。 なお、 STEP

①および②では床版が設置されていないため主桁単体の断面剛性を用いて計算した鉛直変位 (w=6.90mm)および曲げ応力(σc=-I,047kgf/cm2、 σt=886kgf/cm2)に対する比を、 STEP①では道 路橋示方書に従い鋼床版デッキプレートの有効幅を求め、 主桁と鋼床版(縦リプについては主 桁直 上の み を考慮)との合成断面での変位(w=2.93mm)および応 力(σc=・209kgf/cm2 、 σt=

611kgf/cm2)に対する比を( )内に示している。

これらの図表から、 対傾構、 支持横桁、 および床版の荷重分配作用が読み取れる。 すなわち、

対傾構の存在により、 中桁直上に作用した荷重の約40%が外桁に分配され、 さらに支持横桁を 増設することにより外桁に分配される荷重の割合が50...60%まで増加することがわかる。 また、

本実験で用いた鋼床版パネルが縦リプ主体であることから、 橋軸直角方向の曲げ剛性をほとん ど持たないため、 床版本体は荷重分配に寄与していない。 しかし、 床版にRC床版が用いられ ている場合は橋軸直角方向にかなりの曲げ剛性を持つため、 床版も荷重分配作用に寄与するも のと考えられる。 さらに、 STEP②・!とSTEP②・2とでは変位、 応力とも大きな差は認められ ず、 テンションプレートがない場合でもかなりの荷重分配効果を発憤することがわかる。 これ は、 横桁のウエブがかなり剛に主桁ウエプに連結されていることに起因するものと考えられる。

以上述べたように、 本工法により煩傷したRC床版をプレフアプ鋼床版に架け替えることに より、 何重分配効呆が改善され、 主桁本体にも好ましい。 しかし、 対象とする橋梁が既に十分 な何重分配作肘を有している場合、 当然のことながら大きな効果は期待できない。

(18)

( 2 ) 施工中の挙動

前述したように、 本工法では支持横桁を増設するため、 荷重分配作用が大きくなる。 これは、

完成時においては主桁の応力状態が改善されるなど、 好ましいことであると考えられるが、 施 工途中に部分的に交通解放を行う場合、 横桁を介して床版のまだ設置されていない主桁に荷重 が伝達され、 当該主桁が厳しい応力状態になることが懸念される。

ここでは、 そのような懸念に対し、 今回実施した一連の実験において施工途中の状態を想定 したSTEP④~⑥について、 支問中央断面の鉛直変位および応力の分布に着目し検討を加える。

STEP ④~⑥における支問中央断面での鉛直変位分布を載荷ケースIおよびWについて図-

5.28 に示す。 これらの図において、 載荷ケースI のSTEP⑤や載荷ケースWのSTEP④で、 同 じ載荷ケースの他のSTEPに比べ鉛直変位が特に大きくなっているが、 これは鋼床版パネルが 設置されていない主桁の直上に荷重が作用しているためである。 このような載荷状態が施工中 発生することは通常考えられないため、 問題点として取り上げる必要はないものと考えられる。

一方、 施工中の交通解放により発生すると考えられる荷重状態は、 今回の実験の場合、

STEP④における載荷ケース1-皿、 STEP⑤の載荷ケースI- V、 あるいはSTEP⑥の載荷ケ ースVである。 これらのうち、 床版のない主 桁が最も 厳しい状態におかれると考えられる STEP ④の載荷ケースIおよび STEP ⑥の載荷ケースVについて、 主桁の応力分布を示したの が図-5.29 である。 同図には、 完成系 であるSTEP⑦に同様の荷重が作用した場合の主桁の応 力分布も示している。

主桁GA'GB'GCの下フランジに発生している応力は、 STEP ④の載荷ケースIではそれぞ れ570kgf/cm2、 416kgf/cm2、 89kgf/cm2、 STEP ⑥の載荷ケースVではそれぞれ52kgf/cm2、

219kgf/cm2、 292kgf/cm2 であり、 床版のない主桁に発生する応力は他の主桁の応力に比べ、 か なり小さくなっている。 また、 これらの応力状態は、 STEP ⑦(完成系)に同じ荷重が作用した 場合と大差なく、 STEP④のGCおよびSTEP⑥のGBにおいて上フランジの圧縮応力が変化 しているだけである。

これは、 主桁のみの断面二次モーメント(I=31,062cm4)に比べ、 鋼床版と合成した場合の断 面二次モーメント(外桁:68,779cm4 、 中桁:73,187cm4)が大きく2.2-2.4倍となっているため、

荷重の大部分を合成断面で受け持っためであると考えられる。

一般に、 合成桁橋では床版に主桁の圧縮フランジとしての機能を期待し主桁本体の上フラン

ジは小さいため、 例えば主桁聞に大きな荷重が作用する場合などに、 載荷点に隣接する床版の ない主桁の上フランジの座屈が問題になることも考えられるが、 本実験結果からみる限り、 横 桁の荷重分配作用に起因する施工途中の挙動は、 特に問題ないと考えられる。

4z円J』

①②② Ppp EEE TiT'T' sss

OA〈〉/行

トl

」 つ乙

「J Jh『

にJ

EE)NO制倒語

図-5.26 鉛直変位分布( 支問中央断面)

10tonf

ム ー

Jエ

よ ム

GAよど� GB j_ "ミるも GiC _l_�

ー5∞ o 5∞-5∞ o r:m-日わ o g)J σ( kgf/cm2)

0: STEP①

ム: STEP②1 0: STEP②2 図-5.27 主桁の応力分布

表-5.3 GB桁の鉛直変位および曲げ応力

鉛直変位 上フランジ応力 下フランジ応力 (mm) (kgf/cm2) (kgf/cm2) STEP① 4.12 (0.60) -592 (0.56) 629 (0.71) STEP② 3.18 (0.46) -543 (0.52) 493 (0.56) STEP③ 2.83 (0.41) -426 (0.41) 464 (0.52) STEP④ 1.42 (0.48) -122 (0.58) 344 (0.56)

(19)

号 手 [ G 4手 写 l G

。 。

0: STEP④

ム: STEP⑤ 0: STEP⑥

E

久\\阜\\\

\

2

〈込てー←

長�

3

\ \

も\

0: STEP④ ι

ム: STEP⑤

\、

\。

5L 。: STEP⑤

/

/

司〆ι qv Fh『

(EE)担制岨怠

(a) CASE 1

rt、 'hu 、、lJ

CASE N

図-5.28 各載荷ケースの鉛直変位分布

Gム ♀

7.5tonf

人 J� - iiT

-5∞ 0 まわ-5∞ o 5∞-5∞ o 5∞

7tonf

一主 B

十すよ

GC

-5∞ 0 まお-5∞ 0 まわ-5∞ o 5∞

σ( kgf/cm2) σ( kgf/cm2)

0: STEP④

ム: STEP⑦ 0: STEP⑤

ム: STEP⑦

( a) CASE 1 ( b) CASE V

図-5.29 主桁の応力分布

5

.

4

架設系を含めた全体構造解析5),6)

5

.

4

.

1 解析法

通常、 合成I桁橋の設計では、 床版の有効幅を考慮した格子桁解析により主構造の断面力、

およびたわみを計算している。 この方法では床版自体はモデル化されず、 主桁の上フランジと して考慮されるのみであるため、 床版の荷重分配作用などは無視されることとなる。 一方、 主 桁を薄肉はり要素7), 8)で、 また横桁をトラス構造にモデル化し、 これらをオフセットピーム要 素9)を介して薄板要素10)にモデル化された床版に結合する解析法も提案され、 床版や横桁の 荷重分配作用の把握に用いられている 11)。 偏心骨組要素を導入し平板要素を用いるという点 で類似した方法として、 床版を板要素 10)で、 主桁を偏心骨組要素 12)でモデル化し、 対傾構を 平面骨組構造としてとらえ、 対応する剛性行列を床版をモデル化した板要素の節点自由度のみ を残して締約し、 対傾構要素とした研究13)もある。 また、 床版の剛性方程式を有限帯板法 (FSM)により、 主桁のそれをフーリエ級数展開により、 横桁・対傾構・横構のそれを有限要素 法により求めて、 これらの偏心結合を考慮した上で、 結合法を用いて三者を一体化して解析す る試み14)も行われ、 床版部の角変形や部材(結合)力の特性調査に用いられている15)。

ここでは、 本工法により床版を架け替えられる橋梁の全体挙動を、 施工途中の挙動を含めて 解析するため、 床版を板要素、 対傾構をトラス要素、 支持横桁をはり要素でモデル化し、 主桁 をひずみエネルギ一等価の手法によりトラスに置換する方法を用いることとする。 なお、 合成 桁橋の設計に一般的に用いられる市販の格子桁解析プログラムの適用性についても、 第6章で 検討する。

主桁をトラス置換して解析する手法については、 文献16)において上下非対称I形断面はり および箱形断面薄肉はりを対象として、 その妥当性が検証されており、 メインガーダーとそれ を支えるパックガーダーからなるクレーンガーダ}の解析に適用されている。

本手法は、 図-5.30に示すようなlパネルを基本として、 プレートガーダーの曲げとせん断 によるひずみエネルギーがトラスの軸力によるひずみエネルギーに等しくなるように、 置換ト ラス各部材の断面積を求めるものである。

1-5.30に示すlパネル中では、 断面二次モーメントIおよび作用する曲げモーメントM が一定であると仮定すると、 プレートガーダーの曲げひずみエネルギーUbmは

的一m x ,d

U バlI川町 M一泊

(5.l)

(20)

となる。また、トラスの上下弦材の軸ひずみエネルギーUccおよび UC1は、それぞれの断面積

を Auおよび A CIとすると次式で表される。 A

=

- 3AwG

a 2

μ

E

s

i

n ecos2 e

(5.10)

rl N

2

N2[

U一�� 二|一一一-dx=一一一一

JO 2ι4cc 2EAα (5.2) Aν

μEtane

6�G (5.11 )

rl N2 • N2[

U__ = I 一一一-dx=一一一ー

U J02EAC 1 2E40 (5.3) 本研究で用いた解析プログラムはRC床版を有する合成桁橋の挙動を解析するために開発さ

れたものであり、その概要は文献17)に示されている。 プログラムに組み込まれている要素は、

micropolar理論18)によるmicro変形に対応した面内回転剛性を導入したl節点6自由度を有す る板要素19,20)とl節点7自由度を有する薄肉梁要素21)で、後者については要素の両端におい てピンの条件が考慮できるようになっており、トラス要素として使用することもできる。

本研究では対傾構や横構が通常トラス形式であることに着目し、主桁を力学的に等価なトラ スに置換する方法により解析を行ったが、このプログラムを用いて、床版を板要素に、銅桁を 梁要素にそれぞれモデル化し、両者を多点拘束処理の手法 22)で結合して全体構造を平板要素 のみで解析することも可能である。

式(5.2)と式(5.3)の和を式(5.1)と等置し、M=N・(hc+h,)およびAcc-hc=Ajh,なる関係を用い れば、 置換トラス上下弦材の断面積 は次式のようになる。

上弦材: A _ α =

(

hc

_ _

I

+ hl

)h

c (5.4)

下弦材: A. = .

_

I

(

hc

+久)hr

(5.5)

ここに、hc、h,はそれぞれ中立軸より上、下フランジ端までの距離である。

次に、 プレートガーダーのせん断力はウェプだけで抵抗すると考えると、せん断ひずみエヰ ルギーUbsは

U...ご (1

�Q二 ゐ ー μQ2 [

- 一一

JO

2GAw 2GAw

5 . 4 . 2 解析モデル (5.6)

U.J

rd 一 -

= -JO

(d ム斗 2EAd

U.I\.

- 4 EAd

sin e cos 2 e

Q2[ (5.7)

解析手法およびモデル化の妥当性を検証することを目的とし、 5. 3で述べた静的載荷試験 に用いた試験体を対象に解析を行ない、実験値と比較することとした。解析にあたっては、前 述の通り、床版を板要素、主桁・対傾構をトラス要素、支持横桁をはり要素とし、対称条件に より全体構造の半分をモデル化した。要素分割は実験と同じ分割ができるように、橋軸方向及 び橋軸直角方向ともに 10等分とした。 解析モデルの一例を図-5.31に示す。

前述した解析プログラムにおいて、板要素は一定板厚の矩形断面と仮定されているため、今 回の解析では鋼床版を長方形断面に置換した。このとき、鋼床版と解析モデルの床版部が同じ 曲げ剛性を持ち、中立軸位置が等しくなるようにするために、鋼床版の中立軸より上側の床版 厚の2倍の厚さを有する板要素とし、床版幅も等しくした。 このよつにすると鋼床版部の曲げ 剛性とモデルの曲げ剛性が必ずしも等しくならないため、次式で求められるヤング率を板要素 のヤング率とし、両者の曲げ剛性が等しくなるように配慮した。

となる。ここに、μは断面形状によって決まる定数であり、矩形断面の場合 1.2である16)。 一 方、置換トラスでは、せん断力を斜材と垂直材で負担すると考える。 このとき、斜材と垂直材 のひずみエネルギーUUf' U",は、それぞれの断面積Ad、Aνを用いて次のように表される。

一ハり 一n v

一u

Q

A

V 〆ih 川一以 '似 一ウh

一E

U (5.8)

ここで、垂直材は両隣のパネルと共用されているので、本パネルについては半分が有効である と考え、さらに一般の梁においてはせん断変形の影響は小さいことから、計算を簡略化するた め斜材と垂直材のひずみエネルギーが等しいと仮定すると、両部材の断面積について次のよう な関係が得られる。

A" = 4A

d cos3 e

(5.9) E

{

Io + Ay2

)

= Ee

(

Ie + Aey2

)

ここに、E:実橋のヤング率、ん:実橋床版の断面二次モーメント、え:解析モデルの断面二次 モーメント、A:実橋床版の断面積、Ae:解析モデルの断面積、y:主桁フランジ上面から床

(5.12) 式(5.6)と式(5.7)+(5.8)12 を等置し、式(5.9)の関係を用いると、置換トラスの斜材と垂直材の

断面積は次式で表される。

(21)

版中立軸までの距離、 である。

また、 床版と主桁との連結部を、 以下に示す方法で図-5.32に示すように片持ち梁としてモ デル化し解析することにより、 そのずれ剛性を考慮できるようにした。

片持ち梁の端部に水平せん断力Pが作用した場合、 荷重点のたわみ8は次式で与えられる。

õ=� pz! (5.1 3 )

3EI

ここに、Z :結合材の部材長( 床版中立軸と鋼桁上フランジとの距離 )、 E:結合材の弾性係数、

する。

STEP⑤:床版の不連続部に板厚0の板要素を配置することにより、 床版の橋軸直角方向 の不述続性をモデル化し解析する。

STEP ⑤: STEP ④の場合と同様な考え方でモデル化する。板厚を小さくする位置および 除去される結合材がSTEP④と異なる。

STEP⑦: STEP③と解析上は同じになる。

1:結合材の断面二次モーメント、 である。

さらに、 連結部のパネ定数kを用いて、 荷重Pとたわみ8 はP=kõと表されるから、 ずれ 止めをモデル化した結合材の断面二次モーメントは、 パネ定数をパラメーターとして、 次式で 表される。

5.4. 3 解析結果と実験値との比較

一昨

(5.15)

全ての実験ケースについて解析を行う前に、 主桁と鋼床版とを連結する結合材のせん断パネ 定数kをk=104(kgf/cmJcm)および105として、 STEP③の載荷ケースEを解析した。その結果、

表-5.4 に示すように変位 ・応力ともに実験値は両者の中間的な値となったが、 ここでは控え めに見積もって、 以降の解析ではせん断ノ叶、定数をk=104 (kgf/cmJcm)とした。

図-5.33には解析結果の一例として、 載荷ケースI、 Hの場合についてSTEP③、 ④、 およ び⑥での支問中央断面の変位分布を示す。この例では、 載荷ケースIのSTEP ⑥の場合に主桁 GB'GC聞の支持横桁の変位が実験値と解析値とで若干異なっているが、 各STEPとも実験値 と解析値とは概ねよい一致を示していると言える。他の載荷ケースについても、 ここで示した

例と同様にほぼ良好な結果が得られている。

図-5.34は載荷ケース皿、 Wの場合のSTEP③、 ④、 および⑤での支問中央断面の主桁の応 力状態を示したものである。この図からわかるように、 主桁の応力についても実験値と解析値 とがかなり良く一致している。ただし、 表-5.5に示すように今回の解析値では主桁上フラン ジの応力が実験値より大きくなっていることが多く、 実験ケースによってはかなりの違いがみ られる。不完全合成桁においては、 主桁上フランジの応力は下フランジの応力に比べせん断パ ネ定数の大きさに敏感であり、 パネ定数が減少するとその応力は増加することから、 違いの大 きかった実験ケースについては、 解析で用いたせん断パネ定数の値が過大評価になっていたと 考えられる。また、 解析モデルでは支持横桁が主桁と剛結されていることも、 実験値と解析値 との速いをもたらす原因の一つであると言えよう。

しかし、 全般的にみて変位・応力ともに実験値と解析値とは実用上問題ない精度で一致して いると考えられ、 本解析法は本研究で対象としたようなRC床版架け替え時の桁橋の挙動調査 にも迎用可能であると言える。

1=

3E

ただし、 ここで用いているパネ定数kは kgf/cmなどで示される次元を持つものであるため、

(5.14)

一般に用いられている主桁単位長さあたりのパネ定数ど(kgf/cmlcm等の次元をもっ)が既知で ある場合、 モデル化した板要素の橋軸方向長さをk'に乗じることにより k を求め、 上式から 結合材の断面二次モーメントを求めることになる。いま、 結合材の断面を一辺の長さ b の正 方形と仮定すると、 1= b4

/

12が成立することから、 次式によりbが求められる。

以上述べたような方法を用いて、 静的載荷試験の各STEP( 表-5.2参照)を次のようにモデ ル化した。

STEP①:主桁と対傾構のみの解析となるが、ここでは、 床版も一緒につけて解析する。

ただし、 床版の板厚は主構造に影響がない程度に小さく(t=O .OOlcm)するととも に、 結合材のパネ定数も小さくする。

STEP②: STEP①のモデルに支持横桁を取り付けて解析する。この際、 支持横桁は床版 と同一平面内に配置する。

STEP ③:鋼床版を同じ曲げ剛性を持ち、 中立軸の位置が等しくなるような矩形断面に晋 換し、 全体系で解析する。

STEP③:試験体において床版のない部分を、 STEP ③のモデルで当該部分の仮厚を小さ く(t=O. OOlcm)することによりモデル化し、 主桁GC上の結合材を除去して解析

(22)

Q

N Act N

GA 横桁中央 GB 横桁中央 GC

う長 験 値 0.90 1.32 1.42 1.31 0.94

解析値 k=105 0.86 1.16 1.31 1.16 0.86

k=104 1.16 1.31 1.48 1.31 1.16

表-5.4 せん断ノけ、定数による変位および応力の変化 ( a )変 位(単位: mm)

Q

図-5.30 主桁のトラス置換

GA GB GC

上77ンγ 下77ンシ. 上77ンγ 下77ンγ 上77ンγ 下77ンγ

実 験 値 -52 165 -122 344 -48 158

解析値 k=105 -38 160 - 92 341 -38 160

k=104 -60 170 -166 348 -60 170

( b )応 力(単位: kgf/cm2)

0 1 2 3 4

5

(EE)担制個滋

6

�凶y,/, ,

E ; l rTて27二

e, ,.

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/ E -

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患 い 草

実験日制直

/

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5

� I ���� ③④

0

I三/ P ロ

6

I STEP ð.

( a ) CASE 1 ( b ) CASE II

図-5.31 解析モデルの一例

図-5.33 解析値と実験値との比較(支間中央断面の変位分布)

10tonf 7.5tonf 7.5tonf

卜ラス要素

-n' -n

ずれ止め Lc

実験値解析値

。白 色

-500 0 500

σ( kgf/cm2)

図-5.32 ずれ止めのモデル化 ( a) CASE I1I (b) CASE N 同-5.34 解析航と実験値との比較(支問中央断面の応力分布)

参照

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