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木 材 切 削工 具 の切 れ 味 測 定 と切 れ 味 評 価

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(1)

木 材 切 削工 具 の切 れ 味 測 定 と切 れ 味 評 価 ( ⅩⅩⅤⅠ Ⅰ )*

木材切 削 における工具す くい面 の切 削応力分布 お よび摩擦係数の 変化 に及 ぼす被 削材繊維傾斜角の影響 (2)

杉 山

長崎大学教育学部技術教育教室 (平成151031日受理)

St udi e s. on Qua nt i f i c a t i ono fSe ns uousSha r pne s sa nd Me c ha nl C a lSha r pne s so fWoodCut t i ngTool s .XXVI I . *

Ef f e c t so fWor kpi e c eGr ai n‑Angl euponSt r e s sDi s t r i but i onand Fr i c t i onalCoe f f i c i e ntonToolRake‑Fac ei nWoodCut t i ng( 2)

Shi ge r u SUGI YAMA

DepartmentofTechnologyEducation,FacultyofEducation, NagasakiUniversity,Nagasaki852‑8521

(ReceivedOct.31,2003)

Abstract

lnthewoodcuttingprocess,itisimportanttoobtaintheactualstressdistributionoverthe rakefaceduringcuttingandtoinvestigatethechangesofthestressdistributionandthe frictionalcoefficientsdependingontheworkpiececonditions.Inordertoobtainquantitative informationonthem,thebasicorthogonalcuttingtestsofwoodwereperformedat144.9mm/血 ofcuttingspeed,usingtheconventionaltoolandthecompositetool.

Theresultsobtainedaresummarizedasfollows:

(1)Thedistributionsofthenormalstress(o')andthefrictionalstress(T)Overtherake facecanbeexpressedbyEq.(4),andthevariationsofthevaluesoftheexponentsandthe coefficientsusedinthisequationwithgrainangle(pl)areillustratedinFigs.4and5.(2)On thebasisoftheexperimentalresultsobtainedinthewoodcuttingtestswiththeconventional toolandthecompositetool,thecuttingforceratiosontherakefacenearthetooledgetothe totalcuttingforceontherakefacecanbecalculatedfrom Eq.(5),andtheseratiosare illustratedinFig.7.(3)Thefrictionalcoefficients(〟)Ontherakefacecanbeexpressedby Eq.(7).Ontherakeface,iLCanbeconsideredtobeconstant,andthevariationsofFLWithp l areillustratedinFig.8.

1.緒 岩

本研究では,工具切れ刃面 と切屑 (あるいは,被削材) との接触の中か ら,比較的広い 接触範囲 を示 し,切削応力分布が比較的測定 し易 く, しか も木材切削で とくに重要 と考 え られ る工具す くい面のみに着 目し,同面 に働 く切削応力分布の測定 を行 った。即 ち,既報6)

で測定方法な どを種々検討 した分割工具 を用いて,す くい面 に働 く切削応力分布 を繊維傾

'本研究 は,研究課題 [木材切削工具の切れ味評価法 (感覚切れ味 と機械切れ味の定量化)に関する研究]の続報である。なお,本研究 を [学校教育 における木材加工 (木工 ・工作 を含む)学習指導のための技術的基礎研究 (31報) TechnicalandFundamentalStudies onEducationofWoodWorkingTechnicalEducationLessonsofschool,XXXI.] とする。上記の研究 (30報)および標記の研究

(XXVI)は,長崎大学教育学部紀要 一自然科学一 第70 31‑ 35 (2004.3)に掲載.

(2)

3 8

斜角の変化 との関連で究明 を試み,木材切削におけるす くい面の切削応力分布 に関する基 礎的知見 を得 ようとした。 また,それ らの結果 に基づいて,す くい面の摩擦係数 をも求め, 木材切削における摩擦 に関する基礎的知見 をも得 ようとした。

2.実 験 方 法

既報1)で測定方法な どを種々検討 した分割工具 を用いて,木材切 削における工具す くい 面 に働 く切削応力分布の測定 を行 った。分割工具の構造,同工具 による切削応力分布の測 定原理 と方法,切削実験装置な らびに同装置 による実験方法な どは,既報1)と同様である*1。

3

.実 験 結 果 お よ び 考 察 3.1 切削抵抗の変化 とす くい面の摩擦係数 との関係 分割工具 による切削実験 に先だち,通常

工具 による切削実験 を行い,切削抵抗の水 平 分 力

F

Hお よび垂 直 分 力

F

vの測 定 を 行 った。FHお よびFvの測定結果 を用 い, (1)式 によ り垂直力N お よび摩擦力Fを求

めた。即 ち,切削角 βを用いると, N FHSinO+FvcosO F FHCOSO‑FvsinO

(a)Composite tool (b)Conventional tool Fig.1.Toolsusedinthisstudyandcuttingforce

measured.

Pc:rakefacelength ofT2‑knife;Ck:actualtool‑chip contactlength;pl:anglemadebetweencuttingdirection andgrainorientationofwoodbeingcut(grainangle)iN,F: normalandfrictionalforcesactingonT2‑knifeofcompo‑

sitetooldividedintotwopartsorconventionaltool;R:

resultantforceofcutting force;Fll,Fv:horizontaland verticalcomponentsofcuttingforce.

∴ ・

LJ

Fig・2・Relativegrainorientationoftestspecimen tocuttingdirection.

plニrefertoFig 1,・b:Widthofcut;93:anglemadebetween annualrlngSOftestpieceandsurfacecut. Arrowsinthe figureshow thecuttlngdirectionofthetool.

(ぎ

uJ

E ・

)、(NuIL

̲

g

5.0

Red Lauan

!

こエコ

r.. +

(

:!//: ●卜 ■●

JJ̲̲●̲

;z o .,9.A・.主。 I.と。 .三.

Y l (degree )

Fig.3.Relationbetweenvaluesofcoefficients(aN,aF) inEq.(3)andgrainangle(pl).

*1 工具 す くい面 の切 削応力分布 を測定 す るための分割工具 による切 削実験 とは別 に,工具刃先 を分割 していな い通 常工具 に よる切 削実 験 を も行 った。通常工具 に よる切 削抵抗 の測定値 は,分割工具 に よる切 削抵抗 の測定値 と対比 させ,分割工具 に よる実験結果 を判断 す る 場合 の補助 として用 いた.それ らの工具 によって測定 され る切 削抵抗 を,Fig.1に模式的 に示 す。図の ように,分割工具 は,その切 れ刃 とな るT2ナイ フのす くい面長 さ eeが切屑接触長 さ jkの範 囲 内で種 々異 な り,T2の み に加 わ る切 削抵抗 の垂 直 力Nまた は摩擦 力F が,それ ぞれ別々 に測定 され る。一方,す くい面長 さが Ckよ り充分長 い通常工具で は,工具面 に加 わ る切 削抵抗 の水平分力F.tお よび垂 直分力Fvが, それ ぞれ測定 され る0

分割工具,通常工具 いずれ も材質 はSKH 2で,切 れ刃 とな る刃先 角 は250で,逃 げ角 は50‑定 とした。切込量 は0.8mm一定 とし,二 次元低速切 削 (被 削材 の送 り速度 は144.9mm/min)を行 ったo

供試材 には, レッ ドラワンRedlauan(Shoredspp.)の心材部,気乾比重 (平均値 )0.52,含水率 (平均値)12.5%,板厚10‑12mm の柾 目材 あ るい は若干追柾気味 の材料(Fig.2において,Oo≦93≦100), お よびベ イツガWesternhemlock(TsugaheterophyllaSARC) の心材部,気乾比重 (平均値)0.49,含水率 (平均値)ll.9%,平均年輪幅1.1mm,晩材率 (平均値)54.0%,板厚 9‑12mmの柾 目材 あ るいは追柾材 (Fig.2において,OQ≦q'3≦20D)とを用 いたO

上記各供試板材 か ら,Fig.2の ように,繊維傾斜角 pl(木材 の繊維走 向 と切 削方向の交差角度)が00‑1800の範 囲で,Ooか ら50間隔 お きに変化 す る13‑ 5個 の試験 片 を木取 りしたO したが って,P1‑00,1800はそれ ぞれ材 の木表面,木裏面 か ら繊維走 向 と平行 に切 削す る縦切 削 を意味 し, また,Oo<pl<900は順 目切 削,甲1‑90Oは木 口切 削,900<Pl<1800は逆 目切 削, をそれ ぞれ意味 す る. なお, 試験 片の切 削幅 ∂の大 きさは,工具刃先 (とくに,分割工具 の TZナイ フ)の剛性保持 に影響 をお よぼす。 この研究 で は,刃先 の剛性 を 保持 で きるbとして, 6‑12mmの範 囲 を採用 したo

(3)

0 30 60 90 120 150 1 や1 (degree )

000N

Western hemlock

0 30 60 90 120 150 1 Pl (degree )

Fig・4・Relationbetweenvaluesofexponents(βN,BF)inEq.(3)orexponents(β6,βT)inEq.(4)andgrainangle.

・ム73

2

00

0

(ぎZ.・6

LP 1 0 0. .(・ U.Z +u E ・g )も P

0 30 60 90 120 150

甲 1 (degree )

180 3210O

o o

(ぎN

.

uJ・g )

.(uIN̲u61)0

30 60 90 120 150 180

?I (degree ) Fig・5・Relationbetweenvaluesofcoefficients(α6,aT)inEq.(4)andgrainangle(pl)

6.r (kg/mTTl')

0

30 60 90 120

γ1 (degree)

150 180

Figl61An example ofstress distributions over Fig.7.Relationbetweencuttingforceratios(rN,rF) toolrakeface.

A,pl:refertoFig.1;i:depthofcut;2:distanceonrake facefromtooledge;♂,:normalandfrictionalstressesover toolrakeface

calculatedfrom Eq.(5)andgrainangle(pl)

また,次式 によ り,す くい面の摩擦係数 〃を求 めた。

fL‑ F/N‑FH

C O SO‑

Fv

s i ne

FH

Si n

e+Fv

c o sO

(2) (2)式の月ま,切 削加工 におけるクーロン法則 と呼 ばれてい る式であ り,木材切 削で は, それの適用範囲 については論 じられていないが,金属切 削では,刃先先端付近の高温 ・高 圧力下 においては

,( 2 )

式の適用 は無意味であることが古 くか ら指摘 されてい る2)。即 ち,金 属切 削では,切屑 と工具切れ刃面 との接触が軽負荷 の場合で,〃が一定 となるような場合 の み,(2)式が適用で きるとされてい る3)。本研究で は,後述す るように,(2)式の 〃が,木材 切 削で どの ような意味 をもつか, について も検討す る。

(4)

40

コ.

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

. 1.0

0.8

0.6

0.

0.2

0

30 60 90 120 150 180 0 30 60 90 120 150 180

Yl (degree) rl (degree)

F i g

.

8

.Variati

o

n

o

ffrictionalcoefficient(FL)Oninterfacebetweentoolandchipwithgrainangle(Pl).

‑●一一:calculatedvalues(FL)fromEq.(7);‑一〇1‑:Calculatedvalues(IL)fromEq.(9);・‑<トー:Calculatedvalues(/i)fromEq.(2)

3.2 枚削材の繊維傾斜角 plの変化 に伴 うす くい面切削応力分布の変化

切削応力分布 を求めるために,分割工具 による切削実験 により,T2ナイフ (それのす く い面長 さ

e

cが可変)に加わ る垂直力Nおよび摩擦力Fを測定 した

ecの関数 として,Nお よびFを求めると,

N

‑aN

・e

cPN

F ‑ a , ・

ecβF) (3,

のように表 し得 る。ここで,(3)式の係数 aN

,a F

は,それぞれPc‑1

m m

の とき,

N

,

F

を衷 す。レッドラワン被削材の場合 を一例 として,被削材の繊維傾斜角 plの変化 に伴 うそれ ら の値 をF'lg.3 に示す。一方,(3)式のべ き指数C N,β,は

,

17Cの変化 に伴 う

N

,

F

の増減の 程度 を表 し,Fig.4 に示すような値 をとる

切削応力分布の測定原理1)に基づいて,(3)式 を

P

cについて微分す ると,す くい面 に働 く 切削応力の垂直応力 ♂および摩擦応力

r

が求 められ る

,r

は,それぞれ刃先か ら切屑離 脱点 にいたるす くい面の距離♂(

…&)

の関数 として,次式で表 し得 る。

; = = 芸 . '

ePpP

, 6

) (4, ここで,(4)式 のべ き指数βJ,β丁は,それぞれ ♂の変化 に伴 う ♂, rの増減 の程度 を表 し,Fig.4に示す ような値 をとる。Fig.4によれば,plの変化 に伴 うβ6,βrの変化の傾向 は,切削現象 (とくに,切屑の接触長 さ,曲率半径)の変化 と比較的類似 した傾向を示 し た。 また,βo・,βTの両者 は,plの各条件下でβo・≒βrとみな し得 る。一方,(4)式の係数

a

o・,αTは, それぞれ

2‑ 1m

mの ときの 6

,r

を表 し,Fig.5に示す ような値 をとる。

得 られた切削応力分布の うち,その一例 をFig.6 に示す。同図にみ られ るように,切層 離脱点付近か ら,刃先先端付近 に向 うす くい面上で,♂, rともに指数関数的に増加す る。

また,plの変化 に伴 う 6, Tの変化 の傾 向 は,Fig.5か ら推定 で きる。即 ち,Fig.5の

α

0,

,a

Tは,それぞれ

2‑1m

mのす くい面位置での 6

,r

を表 している

。2‑ 1m m

以外の他の す くい面位置 における 6

,

Tは

,( 4 )

式 により求めなければな らないが

,

6

,

Tの Plに対す る変化の傾向は,

a

d

TのPlに対する変化の傾向 と同様 となる。

(5)

3.3 刃先先端付近 に占め る切削抵抗の割合

刃先先端付近 に占める切 削抵抗 の全切 削抵抗 に対 す る割合 を,次式 によって求 めた。

;:== F"22cc=

.

0

.

3

3

/

' ) (5, ここで,

N

Cc=。.3,F Cc=。.3は, それ ぞれ分割工具 の

T

2ナイ フ (

P c ‑0 . 3 m m )

に加 わ る垂直 力,摩擦力であ り

,N

ee=わ F ec=Ckは,それぞれ切屑接触域全体 に加わ る垂直力,摩擦力であ る。本研究で は,NAe=Ak,F Cc=Akには,通常工具 による測定値 を用いた。刃先先端付近 に占め る垂直力Nの比 rN,摩擦力Fの比 r,を,(5)式 によ り算出 し,その結果 を,レッ ドラワン 被削材の場合 を一例 として,Fig.7 に示す。図 よ り明 らかなように

,r

N

,r

Fは,plの各条 件下でほぼ等 しい比率 (rN≒r,)を示 している.これ らの比率 は,plの変化 に伴 い当然異 な るが,比率の変動が著 しいため,plとの関係 を的確 に把握 しに くい. しか しなが ら, これ らの比率 は,おお よそ

0. 6 ‑0. 8

の範囲で変動 している。従 って, この種 の切 削角の小 さい 低速 の木材切 削では,刃先先端付近 に占める切 削抵抗 は,極 めて大 きい と推察 され る。

3.4 被削材の織維傾斜角 plの変化 に伴 うす くい面の摩擦係数の変化

得 られた切 削応力 ♂お よび

r

の分布か ら,す くい面 の摩擦係数 〃を次式 によ り求 めた。

F

L

T

/0 (6)

,

Oは,(4)式で表 され, しか も βd・≒ βT(Fig.4参照)であるか ら,(6)式のFLは,

α r /α♂

(7)

で表 し得 る したが って,〃は,刃先か らす くい面の距離 ♂には無関係 とな り,す くい面 上で一定 となる。(7)式 を用いてFLを求 め, FLのPlに伴 う変化 をFig.8 に示す。同図によ れば,レッ ドラワンで は,FLは,順 冒切 削 (9 1

‑3 0 0 ‑4 0 0 )

お よび逆 目切 削 (91

‑1 1 0 0 ‑1 5 0 0 )

で大 きい値 を示 した。ベ イツガにおいて もレッ ドラワンの場合 とほぼ同様 に,FLは,p1‑

3 0 0

付近 の順 冒切 削,木 口切 削 (

p1 ‑9 0 0 )

お よび逆 目切 削 (p1

‑1 1 0 0 ‑1 5 0 0 )

で大 きい値 を 示 した。したが って,折れ型切層形態 よ りも,木 口の切屑形態の方が,〃は大 きい値 を示す ようである一般 に,〟は,レッ ドラワンよ りベ イツガで大 きい値 を示 した。これ は,ベイ ツガの材質的な特性 に基づ くと考 えられ る

分割工具 による切 削応力分布 の測定結果 に基づ く(6)式 の 〃は,切 削応力分布 の測定原 理1)か ら考 えて,す くい面 のみの摩擦係数 を表 している。しか も,す くい面上で 〃は一定で あるか ら, このようなす くい面の 〃は,(2)式のクーロン法則 による〃と一致すると考 えられ る。以下では,この間題 について詳細 に述べ る。まず,分割工具の

T

2ナイフに加わ る摩擦

力お よび垂直力

N

か らILを求 めた

。T

2ナイフに加わ るF,Nは

,( 3 )

式で求 め られ るか ら, p ‑

F/ N

‑ (a

, ・2

cPp)

/(

aN

2cBN)

( 8 )

となるo β F≒CN (Fig.4参照)であるか ら,(8)式 は,

FL %

a , /a N ( 9 )

とな り,分割工具 による切 削で は,T2ナイフす くい面長 さ 名 は,〃の変化 には無関係 とな る。 この ことは,刃先先端付近 に占める切 削抵抗 の割合か らも明 白である。即 ち,Ⅳ の比 rN,Fの比 rFが,

r

N ≒ rF(Fig.7参照)であるか ら,(5)式 に基づ くと,pは,

p

( 1 0 )

とな り,A

‑0 . 3

mm,ec のいずれの

T

2ナイフによる切 削で も,FLは,等 しい値 を示す こ

(6)

42

とにな る。 したが って,(9)式 に よ る 〟 は,(2)式 に よる 〃 と同一 と考 え られ る。

さ らに,(7)式 の

αo ・ ( ‑a N

β N )

,

αT( ‑a ,

β F )

お よび(9)式 の

a N

, aFとの関係 か ら,

FL ≒

αT/α 6≒

a F /

a N

(ll)

とな るか ら,(7)式 に よ る p と,(9)式 に よる‖ま,近 似 的 に一 致 す る。以 上 の よ うに,(2) 式,(7)式 お よび (9)式 に よ るそれ ぞれ の 〃 は, 同一 の値 を示 す と考 え られ る

そ こで, 実験 を基 に して

,( 7 )

式 に よ る 〃 を

,( 9 )

式 に よる 〃, お よび

( 2 )

式 に よ る 〃 と比 較 して,Fig.8に示 した。 これ らの3通 りの測 定 方法 で は,〃の変 動 は著 しいが, いず れ も plに対 す る pの変化 の傾 向が よ く類 似 し,(7)式 に よるす くい面 の摩 擦 係 数 と,(9)式 あ るい は(2)式 に よ る摩 擦 係 数 は,ほぼ同一 の値 にな る, と考 え られ る。 したが って, この種 の低速 の木材 切 削 にお け るす くい面 の摩 擦 係 数 は, す くい面上 で一 定 で あ り, その値 を求 め る場 合 に は, 単純 な(2)式 の クー ロ ン法則 に よって求 めれ ば よい こ とにな る*2。

*2 このクーロン法則 に関 して,金属切 削ではつ ぎの ように報告 されている。即 ち,金属切 削で はす くい面 と切屑 との接触域 において,接 触状態の異 なる二つの領域 の存在が認 め られている。刃先側 に近 いす くい面では,切屑の一部がす くい面 に凝着 している と認 め られ る高 温 ・高圧力下の領域 (stickingregion)と,切屑離脱点側 に近 いす くい面で は,切屑のすべ り現象が認 め られ る領域 (slidingregion) とに分 け られてい る4)。後者の領域 では,す くい面上 で FLが一定 とな り,クーロン法則 を満足す るが,前者の領域 ではクーロン法則が適 用で きない ことが報告 されている4)5)o木材切 削では,す くい面 と切屑 との接触状態 は,切 削角 の極 めて大 きい一部 の切 削でsticking regionが存在す る6)ことを除いては,slidingregionが支配的である と考 えられ るoFig.6か らも明 らかなように,cT,Tともにす くい 面上で指数関数的な変化 を示すが,一方の応力 (6あるいはr)の急激 な変化 は,す くい面ではみ られない。 しか も Tと cTの比,即 ち, FLはす くい面上で一定 となるか ら,この ようなす くい面での接触状態 は,slidingregionが支配的であ り,その領域 ではクー ロン法則 を 満足す ることになる。

しか し,本実験 の ような低速 の木材切 削では,刃先先端付近 の温度が無視 し得 るが,高速切削ではこれが無視 で きない こと,および刃 先 に極 めて近 いす くい面上 の応力分布が測定で きない こと,な ど種々検討すべ き問題 を多 く含 むが,これ らの諸点 に関 しては,今後検討 しなければな らない問題である。とくに,高速切削によるこの種 の応力,摩擦 の解明 と,逃 げ面の摩擦現象の解明が今後望 まれ るが,こ れ らの問題 に関 しては,別 の機会 に報告 したい。

4

.結

分割工具 による切 削応力分布 の測定結果 に基づ き,工具す くい面の摩擦係数 な どを求 めた。得 ら れた切削応力やす くい面の摩擦 についての基礎的知見 を要約す ると,次の とお りである。

(1)す くい面に働 く垂直応力 6および摩擦応力rは,刃先から切屑離脱点にいたるす くい面の距離 Pの 関数 として,(4)式で表し得た。即ち,6,Tは,いずれも刃先に向うす くい面上で指数関数的に増加する傾 向を示した (Fig.4‑ 6)0

(2)被削材の繊維傾斜角 plの変化に伴 う6,Tの変化の傾向は,p1‑00を基準 として次第に増加 し,pl

‑800‑ 900(木口切削)および 甲1‑1100‑ 1500(逆目切削)で極めて大 となる傾向を示した (Fig.5). (3)刃先先端付近に占める切削抵抗の割合 (垂直力Nの比 rNおよび摩擦力Fの比 r,)は,rN≒r,と考 えられ,また,それらの比率rN,r,は,P lの大きさによっても異なるが,平均的に考えると,約60‑ 80%. であった。 したがって,刃先先端付近に占める切削抵抗は,極めて大きいと考えられる (Fig.7)0

(4)6, rの測定結果から求められるす くい面の摩擦係数FL(‑T/6)((6)式参照)は

,

Pには無関係な(7) 式で表され,す くい面上で一定 となった。

(5) P lの変化に伴うFLの変化の傾向は,P1‑300付近の順冒切削,木口切削 (甲1‑900)および逆目切削

(p1‑1100‑ 1500)で大 となるが,pの変化には材質的特性 も影響する (Fig.8)

(6)(7)式によるす くい面の摩擦係数 と,(9)式あるいは(2)式による摩擦係数は,ほぼ一致 した (Fig.

8)。したがって,木材切削では,切削抵抗の2方向分力を測定 し,これに基づいて,〃を求めれば,す くい 面の摩擦係数を知ることができる。

1)杉 山 滋 :長崎大学教育学部紀要 一 自然科学‑,第69,33‑ 38 (2003). 2)例 えば,竹 山秀彦 :精密機械,21,386 (1955).

3)木下直治 :理化学研究所報告,36 (5),496 (1960).

4)山口勝美 :精密機械,39,1184 (1973).

5) 白樫高洋, 臼井英治 :精密機械,39,966 (1973).

6)P.Koch:HW oodMachiningProcesses",N.Y,RonaldPressCo.,p.35 (1960).

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