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大型鋼 I 断面桁の接合方法に関する一考察

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Academic year: 2021

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大型鋼 I 断面桁の接合方法に関する一考察

著者 一宮 充

著者別名 ICHIMIYA Mitsuru

ページ 1‑98

発行年 2015‑03‑24

学位授与番号 32675乙第217号 学位授与年月日 2015‑03‑24

学位名 博士(工学)

学位授与機関 法政大学 (Hosei University)

URL http://doi.org/10.15002/00011751

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博士学位論文

論文内容の要旨および審査結果の要旨

氏名 一宮 充 学位の種類 博士(工学)

学位記番号 第577号

学位授与の日付 2015年 3月24日

学位授与の要件 本学学位規則第5条第1項(2)該当者(乙) 論文審査委員 主査 教授 森 猛

副査 教授 溝渕 利明 副査 准教授 藤山 知加子

副査 名古屋大学大学院教授 館石 和雄

大型鋼Ⅰ断面桁の接合方法に関する一考察

1.論文内容の要旨

鋼橋の継手形式は,溶接継手と高力ボルト継手に大別でき,主に工場継手では溶接継手 が,現場継手では高力ボルト継手が採用されている.1990年代初めころから鋼橋の合理化 に関する研究が進められ,ホロナイ川橋を始めとする少数主桁形式が登場した.少数主桁 橋は,PC床版を採用することによる広い床版支間と,桁高3mもの大断面I桁を採用する ことにより主桁本数を2~3本をするものであり,第2東名神高速道路などの橋梁で採用 された.この形式ではフランジの厚板化に伴い,ボルトの多列化やボルトの首下長さが標 準の製造寸法を超えるなど,全断面高力ボルト継手(図-a)が構成できなくなる問題が生じ た.そこで,現場継手を溶接継手とした全断面溶接継手(図-b)やフランジの溶接継手とウ ェブの高力ボルト継手を同一断面とする併用継手(図-c)が考えられた.

鋼橋の合理化に関する検討では,少数主桁形式の採用のみならず,鋼材の高強度化に関 する検討も進んでいる.高強度鋼を使用した場合,鋼重や桁高の低減が可能となり,この 効果は支間が長くなるほど顕著となる.高強度鋼で構成された少数主桁橋の現場継手を併 用継手とした場合,厚板のフランジを溶接することとなるが,一般に板厚が大きくなるほ ど,鋼材強度が高くなるほど,低温割れの発生が懸念される.低温割れを防ぐ対策には溶 接部を母材よりも強度の低い溶接材料を用いた軟質溶接継手とするのも効果的と言われて いる.軟質溶接には継手の拘束を低くする効果があるものと考えられるが,継手の強度が 確保できなければ採用できないため,道路橋示方書などの技術基準類では認められていな い.しかし,軟質継手には継手の板厚,溶接ビード幅,開先断面積などによっては母材の 塑性拘束効果によって母材と同等の強度が得られる場合があり,検討の余地があるものと 考えられる.

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この研究では,少数主桁橋に用いられる大型I断面桁の現場継手の施工の省力化,施工 期間短縮のための方法の一つとして,併用継手と軟質溶接を採用する方法について検討し

ている.併用継手の施工方法には様々な手順が考えられるが,本研究ではウェブの高力ボ ルト継手をフランジの溶接継手のエレクションピースとして利用することとし,以下の手 順を考えられた.

①ウェブの高力ボルト継手を1次締め ②フランジの溶接施工

③ウェブの高力ボルトを本締め

この施工手順での課題はいくつか考えられるが,ここではフランジの溶接収縮によってウ ェブの高力ボルト継手にすべりが生じた後の継手のすべり係数に着目している.軟質継手 については,フランジ継手への適用を考え,突合せ溶接継手の降伏耐力と引張強度につい て検討している.

本論文は1章から6章で構成され,各章の概要は以下のとおりである.

第1章「序論」では,鋼橋の現場継手の現状について,溶接接合と高力ボルト接合の歴 史的経緯を整理し,従来形式の継手形式を少数主桁橋の現場継手に適用した場合の課題を 述べ,解決策として併用継手の採用と,軟質溶接継手の採用が有効であることを述べた.

併用継手については施工方法として考えられる手順について各種基準類や既往の研究事例 を整理し,軟質溶接継手の引張耐力に関する既往の研究事例を取りまとめた.最後に,本 論文の構成を示した.

第2章「大断面I桁の設計法と施工過程の比較」では,少数主桁橋の現場継手を対象と (a) 全断面高力ボルト継手 (b) 全断面溶接継手 (c) 併用継手

大型I断面桁の現場継手形式

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し,高力ボルト継手,溶接継手,併用継手の3種類について,設計法と施工過程を比較し た.設計方法は,道路橋示方書に基づく従来の設計法として試算した.施工過程の比較で は,高力ボルト継手と溶接継手は従来の施工手順とし,併用継手では,①ウェブの高力ボ ルト継手を1次締め,②フランジの溶接施工,③ウェブの高力ボルトを本締め,といった 手順で工程を試算し,併用継手の合理性を明らかにした.

第3章「軟質突合せ溶接継手の降伏応力と引張耐力」では,少数主桁橋のフランジ継手 などに採用される軟質横突合せ溶接継手を対象とし,母材の強度を3種類に変化させた V 型開先の横突合せ溶接継手の引張試験と,パラメトリックな弾塑性有限要素応力解析を実 施し,軟質溶接継手の降伏応力,引張強度と変形性状を明らかにした.さらに軟質縦突合 せ溶接継手についても同様の検討を行った.

第4章「いったんすべった高力ボルト継手のすべり係数」では,併用継手を構成するウ ェブの高力ボルト継手を対象とし,予すべりを与えた後の高力ボルト継手のすべり係数に ついて,予すべりの方向,予すべりの量,本締め作業時の応力作用の影響をパラメータと したすべり試験を実施し,すべり係数に及ぼす影響を検討した.

第5章「設計への応用」では,3章と4章で得られた結果を踏まえ,本研究で提案する 手順で施工した軟質溶接継手を用いた併用継手の試設計を実施し,合理性を確認するとと もに大断面I形桁の接合方法に関する今後の課題を示した.

第6章「結論」では,本研究で得られた成果をまとめて示している.

2.審査結果の要旨

論文内容の要旨で述べたように,近年鋼橋の標準とされているI断面少数主桁橋の架設時 の現場継手の施工方法について、その問題点と明らかにするとともに,その改善策の一つ として高力ボルト摩擦接合と溶接接合の併用継手について着目し、①ウェブの高力ボルト 継手を1次締め、②フランジの溶接施工、③ウェブの高力ボルトを本締めといった施工手 順を提案している.また,そのような施工手順を用いた場合の問題点、すなわち溶接施工 時に1次締めしたボルトが滑った場合の本締め後のすべり耐力を詳細に計画された実験を 行うことにより明らかにしている。さらに、高強度鋼材を用いた場合に問題となる溶接割 れ防止策として軟質継手に注目し、軟質継手とした場合の強度を推定するための評価式を 詳細な実験と解析を行うことにより提案している。このようなすべり耐力と軟質継手の強

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度評価式を用いた主桁接合部の設計法を示している。さらに、ここで提案する方法で設計 した場合の施工上の優位点を明らかしている。

以上のように、ここでの成果は今後の鋼橋の設計および施工の合理化に寄与するもので あり、高い工学的価値を有するものと判断される。よって、本審査小委員会は全会一致を もって提出論文が博士(工学)の学位に値するという結論に達した。

参照

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