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薄鋼板摩擦接合継手の構造特性

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Academic year: 2022

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(1)

薄鋼板摩擦接合継手の構造特性

法 政 大 学     学 生 員 中村 篤史 法 政 大 学     フェロー  山下 清明        (株)イスミック     正 会 員 杉崎 守 

(株)弘洋コンサルタンツ 正 会 員 橋本 和夫     1. はじめに 

 損傷した橋梁床版の補強方法として、床版下 から施工する薄鋼板を使用した組み立て式床版 補強構造が考えられる。この時、薄鋼板のボル ト継手が重要な要素となる。

 ここでは、通常の鋼橋に使用される鋼板より 薄い板厚を使用するボルト摩擦接合部の挙動、

耐荷力を検討した。使用ボルトは、使用頻度の 高いトルシア形高力ボルトとした。

2. 実験概要 

(1)試験体概要 

薄鋼板ボルト接合部の基本的性質、特に破断 強度とその性状を把握するため、添接板板厚を 3.2mm、1.6mm としたトルシア形ボルト 1 本 による2面せん断継手試験体を作成し、静的実 験、疲労実験を行った(図1、2)。板厚 3.2mm の静的、疲労実験では、設計指針の計算上での 耐力が出ることを確認し、板厚 1.6mm の疲労 実験では疲労破断強度と疲労破断形状を把握す るための実験とした(表1)。

 座金配置は、トルシア形高力ボルトでの通常 の座金配置と、疲労強度向上のためにボルト頭 側 に も 座 金 を 追 加 し て 配 置 し た モ デ ル

(16MB-2)を加えた。

(2)載荷方法と着目個所

 疲労実験装置を用い、荷重制御により載荷し た。予備解析より、応力が最も高いと予想され る対称軸上のボルト近傍(ボルト頭接触面外周

から 6.5mm 離れた部分)引張部について着目 し、計測を行った(以下計測位置)。対称面上の 添接板外面を着目線とする。ボルト頭接触面外 周引張部をP点とする。

表1.試験体種別

種別 32MB 16MB-1 16MB-2 板厚(mm) 3.2 1.6 1.6

母材表面 ブラスト ブラスト ブラスト 添接板表面 ブラスト 圧延のまま 圧延のまま

添接板総断面積 960 224 224 降伏応力(MPa) 300 285 285

座金 通常 通常 追加

図4 着目個所 (3) 試験結果 

32MB の静的試験では、179kN 載荷時に滑 り荷重に達した。これは安全率を考慮した許容 力(96kN) を80%上回る。後述する解析による とこの荷重下では、ボルト付近で局部的に降伏 していると考えられる。

疲労破壊は、計測位置での応力範囲上限が、

約260MPaで約200万回の時に、ボルト頭側添 接板のP点を含む断面で発生した(表2、図5)。

表2.疲労試験結果 種別 回数

(万回)

計測位置 応力範囲 (MPa)

上限値

(kN) 結果 200 234 120 クリア 32MB

180 262 140 破断 200 202 40 クリア 16MB-1

256 260 55 破断 16MB-1 248 263 55 破断 300 245 60 クリア 16MB-2

146 259 65 破断 キーワード:薄鋼板 摩擦接合継手 トルシア形高力ボルト 

連絡先:〒184-8584東京都小金井市梶野町3-7-2  Tel.042-387-6293

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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16MB-1と16MB-2の相違よりボルト頭側に も座金を配置することにより、18%の増加が見 られた。

図5  16MB破断面形状 3. 数値解析 

  薄鋼板添接部のボルト付近の応力性状を把握 するため、ソリッド要素で線形解析を、また、

添 接 板 と 母 材 と の 摩 擦 現 象 の 表 現 に 有 効 な GAP摩擦要素を用いた非線形解析を行った。

(1) 解析モデル 

線形解析は、対称性を考慮し、母材、添接板 を含めた実際の試験体の 1/8モデルとした。母 材と添接板との有効な接触面(S 点までの範囲) を極薄のソリッド要素を用いて結合した (図 6) 。

非線形解析では、線形解析と同様のモデルを 用い、接触面はGAP摩擦要素を用い表現した。

図6 母材と添接板の接触面

図7  32MB着目線のx方向応力         (170kN載荷時)

(2) 解析結果 

  疲労破断面での最大応力は、P点直下の母材 との接触面であった。この点をS点とする。 

着目線上のx方向応力は、計測位置で非線形 解析が実験値に近い値を得た(図7)。

 自由端側で実験値が大きい値を示すのは、添 接板の自由端側が母材から外側に離れようとす る偏心板曲げの影響と考えられる。

 非線形解析では、接触面が広がることによる 応力分散によりS点の値は、線形解析より約 7%低下した。

4. まとめ 

数少ない実験および解析であるが、次のこと が言える。 

1. 静的な滑り現象において特に薄板である ことの特徴はみられなかった。

2. 疲労破壊は、ボルト頭側添接板のP点を 含む断面で発生した。また、解析結果か ら接触面(S 点)から発生したものと推定 される。

3. S点での解析結果(非線形解析)では、降伏 応力の約95%近くの値となっていた。こ のことにより、このような継手の疲労強 度を検討する時、材料の降伏応力を一つ の目安として検討できるのではないかと 推定される。よって、疲労強度の推定に は、FEM解析の結果が有効である。

4. 添接板(3.2mm)を使用したトルシア形高 力ボルト摩擦接合継手は、安全率を考慮 したボルト許容力以上の120kNで、200 万回繰り返し荷重に耐えられた。

5. 線形解析での値は、非線形解析より安全 側の値を示す。

6. トルシア形高力ボルトの頭側にも座金を 配置することにより、疲労強度の改善が 見られた。大きな座金の利用により、疲 労強度増加が期待できる。

-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400

0 50 100 150 200 250 300

対称面からの距離 (mm)

軸方向応力 (MPa)

非線形解析 線形解析 実験値

ボルト孔

ボルト頭範囲

対 称面 側 自由 端側

P点

計測位置 しかし、今回の実験は、実際に使用される摩

擦接合継手より添接板と母材の板厚差があるの で、薄鋼板同士の摩擦接合継手では更なる検討 が必要である。

参考文献

1) 中村 篤史・山下 清明・橋本 和夫・杉 崎 守:薄鋼板を使用した床版補強構造の 実験、土木学会第 56 回次学術講演会概要集、

平成13年10月 謝辞

本研究にあたり実験及びデータ作成にご協力 頂いた、法政大学工学部土木工学科の木村祐一 郎氏 、黒田智也氏、嵯峨嘉邦氏に深く感謝い たします。

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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