東京外国語大学論集第76号(2008)
フランス語における直接目的の範列bamd短mdの多様性と 統辞機能的両立可能性:動詞p叩erの事例
敦賀 陽一郎
序論 1.資料体
2.payerの構文型
3.直接目的の範列と機能的両立可能性 結論
序論
フランス語の動詞p野er(l支払う」)の直接目的の範列には他の動詞にはあまり見られない 多様性が観察される。先ず,動詞domerのように「与える」対象がNl(目的部分にくる第一 項)に来て,このNlが向かうN2(第二項:多くの場合Nhllm:((hum〉〉「人間」)に前置詞えが 付いて与格に置かれるOnpayelOeurosaLuc(10ユーロをリュックに支払う」)という構文が
可能である。この場合,動詞事行(proc由)の対象となるのは「金額(または相当句)」とする のが分り易い。しかし,「金額」は「支払う」という孝行においては何かの対価として相手に与 えられるものである。payerの場合金額が対価となっているその対象そのものN3(例えば,Ce llVre「この本」)も直接目的となりOnpayecelivreaI∬C(「この本の代金をリュックに支払う」)
が可能となる。更に,金額の支払いを受ける相手そのものも直接目的となりOnpayehlC(「リ ュックに支払う」)が可能となる。
通常,直接目的の範列中で排除しあう要素は連辞軸(syntagmatique)では等位または並列の 関係で現れてくる(つまり,直接目的は連辞軸上で二つ以上両立し得ないので,等位または並 列により一つにまとめられる)。例えば,Onmangeunepomme,OnmangeunepoireはOn
mangeunepommeetunepoireまたはOnmangeunepomme,unepOireとなる。しかし,payer の場合は必ずしもこの制約は厳しくは働かない。OnpayeLuclOeuros,Onpayece駄汀elO
euros,等が可能になる。
遁辞軸中での両立可能性の形は上例に限られてはおらず,かなり多様になりうるし,直接目 的の範列もその種類の区別(NlかN3か,等)は常に明瞭であるとは限らない。辞書,等の限