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Contents もくじはじめに... 3 リンパ腫とは... 4 症状について... 6 検査 診断について... 7 リンパ腫の分類と病期 治療法について 低悪性度リンパ腫の病態と治療法 日常生活を快適に過ごすための Q&A グループ ネクサス ジ

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低悪性度リンパ腫

読本

監修

国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長 

伊豆津 宏二

先生

(2)

は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

Contents

もくじ

はじめに... 3

リンパ腫とは... 4

症状について... 6

検査、診断について... 7

リンパ腫の分類と病期... 10

治療法について... 13

低悪性度リンパ腫の病態と治療法... 20

日常生活を快適に過ごすためのQ&A... 26

グループ・ネクサス・ジャパンとは... 35

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

低悪性度リンパ腫と診断、

あるいはその疑いがあると言われた患者さんやご家族の方へ

はじめに

濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫などの低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫(低悪性度リンパ腫)は、 一般的に経過がとても緩やかで、通常、年単位でゆっくり進行していきます。なかには 診断後、治療を行わなくても数年以上にわたってほとんど進行しない場合もあります。 一般的に治療による効果が得られやすく、症状が治まれば普段通りの生活が 送れるようになります。ただし、長期にわたり再発しない場合もありますが、経過の中で 再発をくりかえすことも少なくない病気です。再発すると、不安になるかもしれませんが、 治療によって再び効果が得られれば、普段通りの生活に戻ることができます。また、 リンパ腫があるままでも、症状がなければ治療をせず、経過を観察しながら普段 通りの生活を続けることもできます。 新たに低悪性度リンパ腫と診断された患者さんにとっては、リンパ腫と告げられて 戸惑いがあると思いますが、適切な診断・治療を行うことで病気のコントロールが できます。患者さんご自身が納得のいく治療を受けるためには、まずは正しい情報を 得て、正しく理解していただくことが大切です。 疑問や不安に思うことがある時には、医師や看護師、薬剤師などの医療関係者、 患者会のメンバー、家族や友人など周りにいる信頼できる仲間に遠慮なく相談して ください。きっと皆さまの助けになってくれるはずです。 この冊子は、低悪性度リンパ腫と診断、あるいはその疑いがあると言われた患者さん やご家族の方に、病気や治療について正しく理解していただき、リンパ腫と診断 されてからも自分らしい生活を送っていただくことを目的としています。 皆さまが自分らしい生活を送るために、この冊子を少しでもご活用いただけると幸いです。 国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長 伊豆津 宏二 一般社団法人 グループ・ネクサス・ジャパン 理事長 天野 慎介

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

リンパ腫とは

リンパ腫とは、リンパ球(血液中の白血球の一種)という、免疫の働きをする細胞が、 がん化しておきる血液の病気です。 リンパ球は血液やリンパ液を介して全身を回る性質があり、リンパ球から生じる病気 であるリンパ腫も全身のさまざまな部位で生じる可能性があります。具体的にリンパ腫は、 リンパ節、扁桃腺、脾臓などのリンパ系組織に生じたり、それ以外の臓器(節外 臓器:胃、腸管、皮膚、甲状腺、肺、肝臓、骨髄、血液など)に病変をきたしたりします。 リンパ腫は血液がんの中でも最も多く、2013年の統計1)では、年間で人口10万人 あたり男性では22人、女性では18人が新たにリンパ腫と診断されています。やや 男性に多く、60~70歳代が発症のピークといわれています。 原因は十分明らかになっていませんが、一部のリンパ腫ではウイルス感染(ヒトT細胞 白血病Ⅰ型ウイルス、EBウイルスなど)が原因となることが分かっています。また、免疫 不全の人で多く発症することが分かっています。このほか、一部のリンパ腫ではリンパ 腫細胞で染色体の異常や遺伝子の異常がみられますが、その原因の多くは不明 です。一般的に、リンパ腫は人から人に感染したり、遺伝する病気ではありません。 1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 【リンパ腫が発生するリンパ系組織と節外臓器】 脳神経 眼 甲状腺 乳腺 肺 肝臓 胃 腸 骨・骨髄 皮膚 節外臓器 扁桃腺 胸腺 リンパ節 脾臓 リンパ系組織

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

コラム

コラム

造血のしくみとリンパ組織

造血のしくみとリンパ組織

血液中には、細菌やウイルスから身体を守る白血球、酸素を運ぶ赤血球、出血を 止める血小板などの役割を持つ血液細胞が含まれています。これらの血液細胞は、 骨髄に存在する造血幹細胞から成長(分化)しながら増える(増殖)ことでつくられ ます。また造血幹細胞は、分裂することによって自分と同じ細胞をコピーする「自己 複製能力」も持っています。このように、分化・増殖と自己複製を繰り返し、一生涯 にわたって血液をつくりだしています。 リンパ系幹細胞から産生されるリンパ球は白血球の一種です。細菌やウイルスなど 異物の侵入を防ぎ排除する、免疫の働きをしています。リンパ球には、B細胞、T細胞、 NK(ナチュラルキラー)細胞の3種類があり、それぞれ異なる働きをしています。 B細胞は異物と反応する抗体というタンパク質をつくりだして異物を排除して、T細胞 やNK細胞は細胞自体が病原体に感染したり、がん化した異常な細胞を直接攻撃 する能力を持っています。 リンパ球は全身に広がるリンパ管や血管の中を流れています。リンパ管にはリン パ節というそら豆状のふくらみがあり、リンパ節に単球やリンパ球がたくさん存在 し、正常の場合でも必要に応じてリンパ球が増えて免疫反応をおこしています。 【造血のしくみ】 【リンパ組織】 がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/) 赤血球 血小板 白血球 単球 顆粒球 好中球 骨髄系 幹細胞 造血幹細胞 耳下腺リンパ節 じかせん 頸部リンパ節 けいぶ 腋窩 リンパ節 えきか 縦隔 リンパ節 じゅうかく 胸 管きょうかん 腸骨リンパ節ちょうこつ 鼠径リンパ節そけい リンパ管 リンパ系 幹細胞 好酸球 好塩基球 T細胞 (Tリンパ球)(Bリンパ球)B細胞 NK細胞 肺門リンパ節 はいもん 傍大動脈 リンパ節 ぼうだいどうみゃく 腸間膜 リンパ節 ちょうかんまく

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

症状について

患者さん自身が気づくことがあるリンパ腫の主な症状には、首やわきの下、足のつけ 根(鼠そ け い ぶ径部)などのリンパ節の腫れやしこりがあります。通常、腫れやしこりには痛みを 伴いません。リンパ節は身体の表面だけでなく、胸や腹部、骨盤などの身体の内部に も存在しています。これらのリンパ節や節外臓器(胃や腸などのリンパ節以外の臓器) にリンパ腫が発生した場合には、初期のうちは症状がみられないことがあります。 身体の内部にあるリンパ節が大きくなると、気道、尿の通り道(尿管)、血管、脊髄 などを圧迫し、気道閉塞、水腎症、血流障害によるむくみ、麻痺などがあらわれます。 症状が急激に進行した場合には緊急に治療が必要な場合もあります。 進行したリンパ腫の患者さんでは「発熱、体重減少、ひどい寝汗(盗汗)」といった 全身的な症状があらわれることがあり、これら3つの症状を「B 症状」といいます。 その他には、体のかゆみ、皮膚の発疹などがあらわれることもあります。

アレッ

●首 ●わきの下 ●足のつけ根(鼠径部)など 【体の表面のリンパ節の腫れ】 痛みのないしこり ●気道閉塞 ●血管閉塞 ●水腎症 ●脊髄圧迫 足のむくみ 【胸やお腹の中のリンパ節の腫れ】 病状が急激に進行すると

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

検査、診断について

リンパ腫は、さまざまな種類(病型)に分かれていて、病型によって治療法が異なり ます。そのため、正しく診断し、治療方針を決めるためには、さまざまな検査を行う 必要があります。検査には、病型を決定する検査、広がりの程度(病期)を調べる 検査、全身の状態などを調べるための検査があります。 リンパ腫は、CT 検査や血液検査のみでは診断ができません。 そのため、リンパ腫の診断と病型の決定には、リンパ節生検やリンパ節以外の 病変の生検が必要です。局所または全身の麻酔をした後、リンパ節や腫瘍の 一部を手術や太めの針で採取(生検)し、病理医が顕微鏡で詳しく観察します。 これによりリンパ腫であるか、リンパ腫であればどの種類のリンパ腫(病型)であるかを 決定します。

リンパ腫かどうか・リンパ腫の病型を決定するための検査

リンパ節生検/腫瘍生検 リンパ節や 腫瘍の一部を採取

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

検査、診断について

リンパ節または腫瘍生検によりリンパ腫と診断し、病型が決定された後は、病期 (病気の広がりの程度)を調べるための検査を行います。 レントゲン(X線)撮影による検査です。 CTではX線、MRIでは磁気を利用して、体の奥にある病変の有無やその大きさを 調べます。 CTは、造影剤に対するアレルギーがなく、腎臓の働きが低下していなければ、多く の場合、造影剤を静脈注射して行われます。 超音波を利用して、病変(リンパ腫になった部分)の位置や大きさなどを調べます。 胃などの消化管の病変が疑われる場合に行い、内視鏡で消化管の内部を直接 観察し、病変の有無を調べたり、組織の採取を行います。MALTリンパ腫の場合、 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無も調べます。必要に応じて大腸内視鏡検査 なども行います。 放射性物質で目印を付けたブドウ糖に似た薬剤を注射し、その取り込みを撮影する ことで、病変の広がりを調べます。がん細胞は通常の細胞に比べて多くのブドウ糖を 細胞内に取り込む性質があることを利用した検査です。 脳や脊髄への広がりが疑われる場合に行う検査で、 腰椎の間に細い針を刺し、脳脊髄液を採取して行い ます。 骨髄は正常な血液の細胞を作っている組織ですが、 リンパ腫が骨髄におよぶことがあります。 主に腸骨という骨盤の骨で骨髄穿刺(針を刺して 骨髄液を吸引)または骨髄生検(少量の組織を採取) を行い、骨髄中の細胞や骨髄組織を検査します。

病期(広がりの程度)を調べる検査

胸部X線検査 CT、MRI検査 超音波(エコー)検査 消化管内視鏡検査 PET-CT検査 脳脊髄液検査 骨髄検査 皮膚 骨皮質(骨の硬い部分) 骨髄

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A ●血液細胞(白血球、赤血球、血小板)の数、 肝臓や腎臓の機能、血糖値などを調べます。 ●リンパ腫では、LDH(乳酸脱水素酵素)や CRP(C 反応性蛋白)、可溶性インターロイ キン2(sIL-2)受容体、β2ミクログロブリン (β2MG)などの指標が上昇することがあり ます。これらの指標はリンパ腫の大きさや進む 速さ(病勢)を反映していることがあります。 リンパ腫以外の原因でもこれらの検査値が 異常になることがあります。 ●B 型肝炎ウイルス(HBV)、C 型肝炎ウイルス(HCV)、必要に応じてヒトT 細胞 白血病ウイルス(HTLV-1)、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)、エプスタイン・ バーウイルス(EBV)の検査を行います。HBVは、キャリアの状態や慢性的に 肝炎の状態にある場合だけでなく、以前、B 型肝炎にかかって治った状態と考え られる場合でもB 型肝炎の再活性化のリスクがあるとされています。 ●治療に耐えられる体力があるかを調べたり、治療による副作用を発見するために、 必要に応じて心電図や心臓超音波検査、呼吸機能検査を行います。

全身の状態を調べる検査

血液検査 その他の検査 種類 基準値 LDH 112〜229 U/L CRP 0〜0.3 mg/dL sIL-2 112〜496 U/mL β2MG 0.5〜2.0 mg/L ※基準値は医療機関によって異なります。 正常範囲の目安としてご参照ください。 〈参考〉虎の門病院の臨床検査値の基準

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

リンパ腫の分類と病期

リンパ腫は、40以上の種類に細かく分けられていますが、大きくはホジキンリンパ腫 (Hodgkin's Lymphomas:HL)と非ホジキンリンパ 腫(Non-Hodgkin's

Lymphomas:NHL)の2つに分けられます。 日本では、リンパ腫のほとんどが NHLで、全体の約9割を占めています。 NHLは、B細胞・T細胞・NK細胞のうちどのリンパ球に由来するものなのか、また、 どの分化段階でがん化したのかによってさらに細かく分けられます。  リンパ腫では、リンパ腫の種類(病型)や病気の広がりの程度(病期)、病気の 進む速さ(病勢)、年齢、症状、全身の状態に応じて治療法を選択します。納得 のいく治療を行うためにも、ご自身の病型と病期を知っておくことが大切です。

リンパ腫の病型

【リンパ腫の分類】 *MALTリンパ腫:粘膜関連リンパ組織型節外性辺へんえんたい縁帯リンパ腫 がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/)より改変 リンパ腫 ホジキンリンパ腫 古典的ホジキンリンパ腫 結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫 ●濾胞性リンパ腫 ●MALTリンパ腫* ●リンパ形質細胞性リンパ腫 ●マントル細胞リンパ腫 ●びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 ●バーキットリンパ腫 など ●末梢性T細胞リンパ腫 ●節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型 ●皮膚のリンパ腫 (菌状息肉症、セザリー症候群)など 成熟B細胞由来 成熟T/NK細胞由来 非ホジキンリンパ腫 ろほうせい

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A NHLは病型の分類に加えて、病気が進む速さ(病勢)に応じて、低悪性度(年単位 で進行)、中悪性度(月単位で進行)、高悪性度(週単位で進行)の3段階に大きく 分類されます。 悪性度によって治療法も異なりますので、治療法を選ぶうえで重要な指標のひとつ です。 低悪性度 B細胞性非ホジキンリンパ腫には、濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織 型節外性辺へんえんたい縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)、小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質 細胞性リンパ腫 /ワルデンストレームマクログロブリン血症などがあります。

非ホジキンリンパ腫の悪性度分類

【非ホジキンリンパ腫の悪性度分類】 悪性度による分類 非ホジキンリンパ腫の病型 低悪性度 (インドレント:年単位で進行) 〈B細胞性〉●濾 ろ ほ う せ い 胞性リンパ腫(グレード1、2、3a) ●粘膜関連リンパ組織型節外性辺 へんえんたい 縁帯リンパ腫 (MALTリンパ腫) ●小リンパ球性リンパ腫 ●リンパ形質細胞性リンパ腫 /ワルデンスト レームマクログロブリン血症 など 〈T細胞性〉 ●菌状息肉症 ●セザリー症候群 など 中悪性度 (アグレッシブ:月単位で進行) 〈B細胞性〉●濾 ろ ほ う せ い 胞性リンパ腫(グレード3b) ●マントル細胞リンパ腫 ●びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 など 〈T細胞性〉 ●節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型 など 高悪性度 (高度アグレッシブ:週単位で 進行) 〈B細胞性〉 ●リンパ芽球性リンパ腫 ●バーキットリンパ腫 など 〈T細胞性〉 ●リンパ芽球性リンパ腫 ●成人T細胞白血病/リンパ腫 など がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/)より改変

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A 病期(ステージ)は、がんの進行の程度をあらわす指標で、病気がどの程度広がって いるかでⅠ~Ⅳ期の4段階に分けられます。数字が小さいほどリンパ腫の場所が限られ ている早期の段階で、Ⅰ/Ⅱ期は限局期、Ⅲ/Ⅳ期は進行期です。 この病期分類は、HL、NHL共通です。病型と同様、病期を把握することも治療法を 選ぶうえで重要です。

病気の広がり(病期)

【リンパ腫の病期】

リンパ腫の分類と病期

限局期 Ⅰ期 首やわきの下など、一つのリンパ節領域に腫れがとどまっている Ⅱ期 リンパ節の腫れが離れた所に2ヵ所以上あるが、その範囲が横隔膜よりも上、または下にとどまっている 進行期 Ⅲ期 リンパ節の腫れが横隔膜の上下に広がっている Ⅳ期 リンパ節以外の臓器(例:骨髄など)にまで広がっている 〈Ⅰ期〉 〈Ⅱ期〉 〈Ⅲ期〉 〈Ⅳ期〉 横隔膜 一般社団法人 日本血液学会編 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年度版 金原出版 2018を参考に作成

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A 低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫の治療には、化学療法、抗CD20抗体療法 (分子標的薬)、放射線療法などがあります。 患者さんの病型や状態によっては無治療で経過観察を行うことも大切な選択肢の ひとつです。病型によっては手術を行うこともあります。また、治りにくいリンパ腫や効果 が不十分な患者さんには、造血幹細胞移植が有効な場合もあります。 これらの治療法の多くは、臨床試験により有効性と安全性が確認されており、 一般的に、リンパ腫によく効くことが多いといわれています。 リンパ腫の治療方針は、病型や病期、悪性度、年齢、全身の状態などを考慮して 決めていきます。担当医とよく相談し、ご自身が納得できる治療を選んでください。

治療法について

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

治療法について

リンパ腫の薬物療法に用いられる薬剤は、殺細胞性の薬剤(抗がん剤)と分子標 的薬の大きく2つに分けられます。通常、数種類の抗がん剤を組み合わせたり、抗 がん剤と分子標的薬を組み合わせて治療を行います。 薬物療法ではさまざまな副作用があらわれる可能性がありますので、あらかじめ予測 できる副作用については、症状や対処法、すぐに病院に連絡しなければならない 状態を、担当医や看護師、薬剤師に確認しておきましょう。

薬物療法

抗がん剤を注射・点滴、内服することにより、がん細胞を死滅させたり、小さくする 治療法です。これらの薬剤は全身をめぐってがん細胞を攻撃するため、検査では みつからないような小さな病変にも効果が期待できます。 通常、数種類の薬剤を組み合わせ、数回繰り返し治療を行います。 化学療法(抗がん剤) 抗がん剤は正常な細胞にも影響を与えます。副作用のあらわれ方は、薬剤の種類 や個人差がありますが、起こりやすい時期と症状の目安を下に示します。 副作用の程度を考慮しながら治療を行いますが、症状が改善しない場合や副作用 が著しい場合には、薬剤の変更や減量(薬剤の量を減らす)、休薬(薬剤の投与を 休止する)、中止を行うことがあります。 〈主な副作用〉 【副作用の起こりやすい時期と症状】 投与直後∼ 2、3日後 吐き気・嘔吐、アレルギー反応 など 投与1ヵ月後以上 感染症、脱毛、手足のしびれ、味覚障害 など 投与2週間後位∼ 白血球・血小板・赤血球の減少、感染症、疲れやすい・だるい、口内炎、下痢 など

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A がん細胞が増殖する際には、さまざまな分子が関わっていますが、その分子だけを狙い、 がん細胞が増えるのを妨げる薬剤です。このうちB 細胞リンパ腫では、B 細胞に あるCD20という目印を標的として作られた抗体が用いられます。 抗がん剤とは異なる作用でがん細胞を攻撃するため、抗 CD20抗体療法単独で 行う治療だけではなく、抗がん剤と組み合わせて治療することもあります。 現在、低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫の分野にはさまざまな新しい治療薬 の開発が進められています。 抗CD20抗体療法(分子標的薬) 新しい治療薬 抗 CD20抗体療法では、抗がん剤とは異なる副作用があらわれることがあります。 特徴的なものに、投与開始後数十分~数時間に輸注反応(インフュージョンリア クション)というアレルギー反応によく似た症状があらわれることがあります。 〈主な副作用〉

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

治療法について

体の外から放射線(高エネルギーのX 線など)を当てて、がん細胞を死滅させ る治療法です。リンパ腫は放射線療法が効きやすいとされています。病変が1ヵ所 の場合や病変どうしが近い場所にある(限局している)場合に行い、必要に応じて 薬物療法と併用して行います。 濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫などでは、Ⅰ/Ⅱ期でリンパ節の腫れの距離が近い場合には、 一般的に放射線療法が行われます。

放射線療法

放射線を当てているときに、痛みを感じることはありません。  副作用には個人差がありますが、多くの場合、放射線を当てた部位にあらわれます。 治療後すぐにあらわれるもの(急性期の副作用)が多く、通常、治療後2~4週間 で症状は改善しますが、症状が強い場合には和らげる治療を行うことがあります。 まれに終了後6ヵ月以上も経ってからあらわれるもの(晩期障害)もあります。その中 には放射線を当てた部位の二次発がんも含まれます。 ●皮膚が赤くなったり、乾燥する ●疲れやすくなる、だるい ●食欲がなくなる ●白血球が減少する ●吐き気・嘔吐 ●脱毛 ●口が渇く、味覚がかわる など 〈急性期の副作用〉 〈主な副作用〉

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A 一般的に、病気が進行する速度が緩やかである低悪性度 B 細胞性非ホジキン リンパ腫(低悪性度リンパ腫)では、以前から気づいていたリンパ節の腫れを数年後 に生検してリンパ腫と診断されることや、発見時に病変が小さく、症状もない場合には、 すぐに治療を開始しなくても、その後何年間も無症状で経過することがしばしばあります。 このように、診断後すぐには放射線療法や薬物療法などの治療を行わず、病気の 進行や、症状があらわれた時点で治療を開始するという前提で、定期的に診察を 受けながら様子をみることがあります。 これを「無治療経過観察」といいます。 たとえば、濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の限局期(I/II 期)であれば放射線療法が勧められること が多いですが、進行期(III/IV 期)の場合、病変が小さく無症状であれば経過 観察が選択肢として勧められることがあります。限局期でも病変の場所や大きさの ため放射線療法が行いにくい場合には経過観察が選択肢として勧められます。 「進行期」なのに無治療で経過観察をするのには違和感があるかもしれません。 しかし、進行期であっても診断時の病変が小さく、一般的に症状がない場合には 数年以上治療が必要ない状態が続くことが多く、また、早期治療を行っても、長い目 でみると再発することが多いのです。そのため、副作用のリスクのある治療は本当に 治療が必要になるまでとっておくという考え方です。 診断を受けて無治療でいることについては不安を感じるかもしれませんが、定期的に 診察を受けることで必要なタイミングから治療を開始することが可能です。 進行してから治療を開始しても治療効果は変わらないとされています。

無治療経過観察(Watchfull.Wait./.Watch.&.Wait)

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A リンパ腫の治療では、より多くのがん細胞を破壊して効果を高めるため、抗がん剤の 投与量を増やす場合があります(大量化学療法)。その際、造血幹細胞にもダメージ を与えてしまうため、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞をつくりだす能力(造血 機能)も破壊されてしまいます。そこで、大量化学療法や通常より強い放射線療法など の治療(移植前処置)を行った後、造血の機能を回復させるために、造血幹細胞 の移植を行います。 造血幹細胞移植には「自家移植」と「同種移植」の2種類があります。一般に、移植 は65歳以下の若い患者さんが対象となり、両者とも選択肢になりえます。同種移植 のほうが再発が少ないとされていますが、移植によるリスクが高いとされています。同種 移植は、再発を繰り返す場合、奏効期間が短い場合などで治療選択肢の一つにな ると考えられています。

造血幹細胞移植

治療法について

患者さん自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・冷凍保存しておき、大量化学療法 (移植前処置)後に患者さんに移植する方法です。 自家移植 患者さん以外の血縁者などの提供者(ドナー)の造血幹細胞を、移植前処置後に 患者さんに移植する方法です。ドナー由来のリンパ球などの免疫細胞がリンパ腫を 攻撃すること(移いしょくへんたい植片対リンパ腫効果)に期待した治療です。ドナーの種類により、 血縁者間移植、非血縁者間移植(骨髄バンク移植、臍さいたいけつ帯血移植)などがあります。 また、前処置には骨髄破壊的前処置、骨髄非破壊的前処置などがあり、後者には ミニ移植が含まれます。ミニ移植とは前処置で行われる化学療法などの強度を 弱めた移植です。 同種移植 患者さん 自家移植 造血幹細胞 移植 大量化学療法 凍結保存 解凍 患者さん ドナー 同種移植 造血幹細胞 移植 前処置 造血幹細胞採取 造血幹細胞 採取 がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct01.html)を参考に作成

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

治療効果判定

リンパ腫では、治療によって病変の大きさが一定の基準を下回った場合に「寛解 (または奏効)」として、治療効果があったと判断します。 効果判定は通常 CTやPET-CTで評価され、画像上すべての病変が消失した 場合を完全寛解(または完全奏効、CR)とし、標的とする病変が50% 以上縮小し、 その他の臓器の病変が悪化せず、新たな病変も発症していない場合を部分寛解 (PR)とします。PRと判断された場合でも、しばしば治療を終了し、経過を観察する こともあります。 CRになったら(またはPRの場合もしばしば)、治療を終了します。その後は定期的に 通院し、体調や再発の有無を確認する検査(血液検査・画像検査など)を行い、 経過を観察します。通院の間隔は状態によって異なるため、担当医に確認して おきましょう。治療を受けていなくても、進行した場合や症状がでた時点で治療を 開始します。なお、画像検査は状態によって異なりますが、6~12ヵ月に1回程度の 頻度で行われることが多いです。 CRと判断された後でも再びリンパ腫が出現することがあり、これを「再発」といいます。 特に低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫では、病期によっては長期的にみると 再発する可能性が高く、定期的な検査が必要です。再発した場合は、リンパ腫の 状況や患者さんの希望に応じて治療方針を検討します。再度寛解を目指す治療 を選択するのか、状態によっては、寛解を目的とせず、進行を遅らせることや、症状を 和らげることを目的とする治療を選択するか、患者さんやご家族、担当医を中心と した医療スタッフと一緒に検討します。 効果判定基準 経過観察 再発 自家移植、同種移植のいずれの場合も移植前処置で行う大量化学療法や放射線 療法による副作用や、白血球の数が減った期間にみられる感染症などがあります。 同種移植では、ドナー由来のリンパ球が、患者さんの身体を「よそ者」とみなし、攻撃して しまうことがあります。移いしょくへんたいしゅくしゅ植片対宿主病(Graft-versus-host Disease:GVHD)と いい、同種移植による副作用の一つです。 また、免疫力が低い状態が続くため、ウイルスや真菌などによる日和見感染症にも かかりやすいです。 〈主な副作用〉

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A 濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫は代表的な非ホジキンリンパ腫で、進行する速度は緩やかですが、 多くの場合、進行期(III~IV 期)で診断されます。また、自覚症状がない状態で 診断されることが少なくありません。

ろ ほ う せ い

胞性リンパ腫の病態と治療方針

〈組織学的グレード〉

〈予後指標(FLIPI)〉

濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫は、病型や病期分類とは別に、組織学的グレードという分類により 細分化されています。顕微鏡で観察した濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の組織の中の大型細胞 の数と中型細胞の有無に応じて、グレード1、2、3a、3bに分けられています。 グレードの数が大きいほど大型細胞の数が多く、11ページで説明した「非ホジキン リンパ腫の悪性度分類」では、グレード1、2、3aは低悪性度ですが、グレード3bは 中悪性度に分類され、治療方針などは低悪性度とは異なります。

濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫国際予後指標(Follicular Lymphoma International Prognostic Index:FLIPI)は、濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の予後(今後の病気の見通し)を予測する指標 として使われています。予後因子の数により3つのリスクグループに分類されています。 Solal-Céligny P:Blood 2004;104:1258 ●FLIPI ●FLIPIのリスク分類 FLIPIでの予後因子 予後不良因子 年齢 61歳以上 血清LDH 正常上限を超える ヘモグロビン値 12g/dL 未満 節性病変領域数 5領域以上 病期 ⅢまたはⅣ期 リスク分類 FLIPI予後因子数 低リスク 0または1 中間リスク 2 高リスク 3以上

低悪性度リンパ腫の病態と治療法

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A ●GELF(Groupe.d'Etude.des.Lymphomes.Folliculaires)規準 ●BNLI(British.National.Lymphoma.Investigation)規準

〈治療が開始される目安〉

Sebban C:Blood 2006;108:2540 Ardeshna KM:Lancet 2003;362:516

〈組織学的形質転換(トランスフォーメーション)〉

濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫では再発時に、ときには初発時に生検を行うと、びまん性大細胞 型 B 細胞リンパ腫のような悪性度の高いリンパ腫に変化していることがあります。 これを「組織学的形質転換」とよびます。病変の場所によっては生検が困難なこと がしばしばあり、この場合には経過、血液検査およびPET-CTなどの結果から組織 学的形質転換の可能性が高いと判断されることもあります。 組織学的形質転換の場合は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と類似した強力な 治療が勧められることがあります。 ・7cm以上の腫瘤形成 ・異なる3領域に各3cm以上のリンパ節腫大 ・有症状性脾腫大 ・臓器圧迫症状 ・腹水/胸水貯留 ・全身症状の出現 ・ECOG 身体活動度(PS)>1 ・血清LDHまたはβ2ミクログロブリン>正常上限値 ・3ヵ月以内の急速な全身病態の進行 ・致死的な臓器浸潤 ・腎、または顕微鏡的肝浸潤 ・骨病変出現 ・全身症状、または全身搔痒感の出現 ・骨髄浸潤を疑う下記所見 ヘモグロビン値 Hb<10g/dL 白血球数    WBC<3,000/μL 血小板数   Plt<100×103/μL

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低悪性度リンパ腫の病態と治療法

放射線療法を行うことが多く、場合によっては化学療法を併用し治癒できる可能性が あります。病変の場所や状態により放射線療法を行いにくい場合には、無治療 経過観察や薬物療法(抗CD20抗体療法や化学療法)が選択されることもあります。 ●限局期(Ⅰ期/Ⅱ期) 一般的に、抗CD20抗体療法または抗CD20抗体療法と化学療法の併用が行わ れます。無症状で病変が小さい場合には、無治療経過観察が選択されることもあり ます。 ●進行期(Ⅲ期/Ⅳ期) 全身治療では、抗 CD20抗体療法±化学療法と、放射性同位元素(RI)と抗 CD20抗体を使用したRI 標識抗体療法が行われます。病変が小さい場合や一部 の場所に限られている場合には放射線療法や無治療経過観察が行われます。また、 化学療法後に造血幹細胞移植が行われる場合があります。 ●再発時

〈治療〉

【濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の初回治療】 【濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の再発時の治療】 一般社団法人 日本血液学会編 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年度版 金原出版 2018より改変 KDF 限局期 進行期 放射線療法 進行期と同様の 治療指針 経過観察無治療 抗CD20抗体単独 抗CD20抗体併用化学療法± 抗CD20抗体維持療法 濾胞性リンパ腫(初発) 低腫瘍量 高腫瘍量 ろほうせい 放射線療法 抗CD20抗体単独 RI標識抗体療法 化学療法±抗CD20抗体 局所治療 無治療経過観察 全身治療 再発濾胞性リンパ腫ろほうせい 組織学的形質転換 造血幹細胞移植 ・自家移植 ・同種移植

ろ ほ う せ い

胞性リンパ腫の病態と治療方針

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MALT(mucosa associated lymphoid tissue)リンパ腫は、リンパ節以外の 臓器(節外臓器)にできる、病気の進行が緩やかな低悪性度 B 細胞性非ホジキン リンパ腫の代表的疾患です。 多くは胃にでき、それ以外の臓器では、大腸や肺、結膜・涙腺など眼の周り、甲状腺、 だ液腺などに発生することがあります。感染症や炎症が原因の一つと考えられており、 胃MALTリンパ腫では、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)に高い割合で感染しています。

MALTリンパ腫の病態と治療方針

ピロリ菌が陽性の場合は除菌療法が行われます。除菌不成功の場合やピロリ菌が 陰性の場合は放射線療法を行います。これによって治癒が期待できます。それでも 効果が不十分な場合には抗CD20抗体療法や化学療法を行います。 ●胃MALTリンパ腫(限局期) Ⅰ期では、放射線療法や手術による局所療法が主体となります。これによって治癒 が期待できます。Ⅰ期以外の場合には、進行期濾胞性リンパ腫の治療に準じて、 抗 CD20抗体療法、化学療法や無治療経過観察を行います。 ●胃以外のMALTリンパ腫(限局期) 進行期で診断された場合、限局期で局所療法(放射線療法や手術)の効果が 不十分であった場合は、濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫の治療方針に従い、抗CD20抗体療法、 化学療法や無治療経過観察を行います。 ●進行期

〈治療〉

【胃MALTリンパ腫(限局期)の治療】 【胃以外のMALTリンパ腫の治療】 一般社団法人 日本血液学会編 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年度版 金原出版 2018より改変 KDF 胃MALTリンパ腫(限局期) ヘリコバクター・ピロリ菌(+) 除菌 放射線療法 再除菌 経過観察 成功 失敗 失敗 腫瘍縮小 一定期間後 腫瘍縮小せず 抗CD20抗体単独 抗CD20抗体+化学療法 無症状の場合、 経過観察も考慮 放射線療法の 適応がない場合 抗CD20抗体 単独 抗CD20抗体+ 化学療法 ヘリコバクター・ピロリ菌(ー) 放射線 療法 Ⅰ期 Ⅰ期以外 手術 放射線 療法 経過観察無治療 胃以外MALTリンパ腫 経過観察 進行期濾胞性 リンパ腫の 治療に準ずる

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低悪性度リンパ腫の病態と治療法

リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)は、病気の 進行が緩やかな低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫の一つで、非常にまれな 疾患です。LPLの中で、特にがん化したリンパ球が骨髄に浸潤しており、IgM型 M蛋白血症のみられるものをワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia:WM)といいます。 多くの場合、血液中にM蛋白という異常な免疫グロブリンだけが増えるIgM 型 M 蛋白血症がみられ、M 蛋白の量によっては視力障害や脳血管障害を発症する ことがあります。

リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン

血症(LPL/WM)の病態と治療方針

進行が緩やかであることや化学療法による治癒が期待できないため、症状が ない場合には経過観察を行います。発熱 や寝汗、体重減少、貧血などの症状や 過かねんちょうど粘稠度症候群による症状があらわれれば、 治療を開始します。 ●無治療経過観察 過かねんちょうど粘稠度症候群があらわれた場合には、 血漿交換(血液のうちM 蛋白の含まれて いる部分だけを正常な補充液と交換する)を 行います。化学療法は、単剤または多剤併用 で行い、M蛋白や腫瘍細胞が減少し、症状 が改善された場合、経過観察を行います。 ●初回治療 初回治療による効果がみられた後、長期間 経ってから再発した場合は、初回治療と同じ 薬剤による治療を行います。短期間に再発 した場合や初回治療で効果が得られな かった場合は、前回とは別の薬剤を用います (救援化学療法)。造血幹細胞移植が行わ れることもあります。 ●難治性・再発時

〈治療〉

一般社団法人 日本血液学会編 造血器腫瘍診療 ガイドライン 2018年度版 金原出版 2018より改変 KDF 症状なし 完全奏効 部分奏効 12ヵ月以上 12ヵ月未満 非奏効/増悪 症状あり 症状なし 増悪 症状あり 経過観察 経過 観察 LPL/WM 血漿交換(過粘稠症候群) 化学療法(単剤または併用療法) 救援化学療法(別治療) ±造血幹細胞移植 救援化学療法(別治療) ±造血幹細胞移植 救援化学療法 (初回と同じ治療または別治療) ±造血幹細胞移植

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脾ひ B細胞辺へんえんたい縁帯リンパ腫(splenic marginal zone lymphoma :SMZL)とヘアリー セル白血病(hairy cell leukemia:HCL)は、ともに脾臓全体が大きくなった(びまん 性脾腫)低悪性度 B 細胞性腫瘍です。いずれもリンパ節の腫れは目立ちません。 SMZLはリンパ腫、HCLは白血病と名前は違いますが、病的細胞の形や性質、 病変の場所、経過などで共通点があります。 びまん性脾腫は、腹部膨満感などの自覚症状が原因で発見されることもありますが、 ほかの理由でCT 検査や腹部超音波検査が行われた際に偶然発見されることも あります。 血液や骨髄中にリンパ腫・白血病の細胞がみられることが多いため、脾臓を摘出 (脾摘)せずに診断できることもあります。 治療法を決めるためには、濾ろ ほ う せ い胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンスト レームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫などの他の びまん性脾腫があらわれる病気との鑑別が必要です。

B 細胞辺

へんえんたい

縁帯リンパ腫(SMZL)/ヘアリーセル白血病(HCL)

の病態と治療方針

無症状の場合は、無治療経過観察を行うことができますが、腫れた脾臓による腹部 膨満感や貧血、血小板減少などがあらわれた時点で治療が必要となります。初回 治療では、脾摘、抗CD20抗体療法単独、抗CD20抗体療法と化学療法の併用 などが治療選択肢となります。 SMZLの治療 貧血、血小板や好中球の減少など治療を必要とする症状がない場合には、無治療 経過観察を行います。一般的に薬物療法で高い効果が得られるため、治療選択肢 として脾摘の優先順位は低下しています。 HCLの治療

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

日常生活を快適に過ごすためのQ&A

体調が悪いときの対応

薬物療法中に副作用が出たときの対応

A: 体調が悪いと感じたら、担当医に相談してください。とくに、発熱など強い症状が ある場合には次の外来の予定を早めるなど、はやめに担当医と相談すること をお勧めします。 A: 特に注意したい副作用は感染症です。治療期間中に急に発熱したり、治療が 終わってからでも胸が痛んだり、しつこい咳や息切れなどを感じたら、すぐに担当 医に連絡しましょう。抗がん剤などの治療中や治療後しばらくの間は、疲れたら 無理せず、横になるなどすぐに身体を休めてください。 経過観察中などで体調が悪いときはどうしたらよいですか? Q どんなときに病院へ行ったらよいですか、また連絡したらよいですか? Q ハ ア ハ ア コン コン 〈発熱〉 〈しつこい咳〉 〈息苦しい・息切れ〉

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

薬物療法中に副作用が出たときの対応

A: 抗がん剤治療による脱毛は一時的なもので、治療が終わると多くの場合回復 します。洗髪の際には、頭皮を傷つけないように爪は短く切っておきましょう。 傷つけると化膿することもあります。普段通りに洗髪しても脱毛の程度は変わりま せんが、刺激の強いシャンプーやリンスは避けましょう。なお、白血球が減少して いる時期は洗髪を怠ると毛もうのうえん嚢炎を起こす場合があるため、まめに洗髪することを 心がけましょう。 また、脱毛を気にして髪をとかさないでいると、髪がからみやすくなります。 髪をとかす際は毛のやわらかいブラシを使用し、傷つけないようにしましょう。 ウイッグは必ずしも必要というわけではありません。 気になる方は抗がん剤治療開始 前に準備すると安心ですが、脱毛 が始まってから用意することもできます。 既製品からオーダーメイドのものまで いろいろあり、価格はさまざまです。 また、スカーフや帽子などを利用する 方もいます。 通常、ウイッグは医療費控除の対象 とはなりません。 脱毛したら? Q A: 治療によって口内炎ができることがあります。痛みがあるときは、医師の処方により、 鎮痛剤を使用します。市販のうがい薬などは症状が悪化してしまうことがあるので、 担当医に相談してください。食事は、刺激の少ないものにするとよいでしょう。 口内炎ができたら? Q ●できるだけ薄味 ●とろみをつける ●室温程度にさます ●口の中で簡単につぶせるような やわらかさ

Point

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

日常生活を快適に過ごすためのQ&A

薬物療法中の注意すべき感染症・日和見感染の予防と対策

A: 抗がん剤は、がん細胞だけでなく、増殖の盛ん な正常な細胞も攻撃してしまいます。血液の 細胞をつくる骨髄が影響を受けると、血液中の 白血球・赤血球・血小板が減少し、感染しや すくなったり、貧血などが起こります。 とくに、好中球が減少する時期は感染しやすい ので注意が必要です。好中球の減少は使用される抗がん剤の種類や個人 差により異なりますが、抗がん剤を投与してから2週間後あたりで最も減り、その 後は回復します。ただし、治療によっては何ヵ月にもわたって感染症にかかりやすい 場合があるので注意してください。 A: 予防接種をすることをお勧めします。抗がん剤などの治療中は、免疫機能が 低下する傾向があります。免疫機能が低下すると、インフルエンザや肺炎球菌 感染症にかかった場合に、通常より重症化する危険性があり、特にリンパ腫の方 は重症化のリスクが高くなります。そのため、がんではない方 以上に肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。 また、インフルエンザの予防接種も受けることで、より高い肺炎 予防効果が期待できます。 ただし、予防接種は健康保険が適用されませんので、ワクチン の種類により自己負担となります。 インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、接種したワクチンに よりインフルエンザを発症することはありませんが、投与される薬剤によっては、 ワクチンに対する免疫が得られず、ワクチンの効果が減弱するおそれが あります。 治療中、骨髄抑制により免疫機能が低下する傾向があります。免疫機能が低下した 状態で感染症(肺炎、帯状疱疹、サイトメガロウイルス感染症など)にかかると、通常 より重症化する危険性があります。そのためリンパ腫の治療中は、感染症の予防が 大切です。 骨髄抑制とは? Q 抗がん剤などの治療中にインフルエンザや肺炎球菌の予防接種をした方 がよいですか? Q

治療開始 好中球の数 2週間後 〈イメージ図〉 3週間後 伊豆津先生ご提供

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は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A は じ め に リ ン パ 腫 と は 症状 に つ い て 検査、 診断 に つ い て リ ン パ 腫 の 分類 と 病期 治療法 に つ い て グ ル ープ ・ ネ ク サ ス ・ ジ ャ パ ン と は 低悪性度 リ ン パ 腫 の 病態 と 治療法 日 常生活 を 快適 に 過 ご す た め の Q&A

薬物療法中の注意すべき感染症・日和見感染の予防と対策

A: 日和見感染症とは、一般的な免疫力を持っている人では発症しないような弱い 感染力の細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどの微生物によって発症する感染症です。 治療中に起こりやすい感染症で、重症化する場合もあります。 通常、人はさまざまな細菌、真菌やウイルスなどから感染を受けながらも、発症 せずに体の状態を維持しています。微生物の中には、大腸菌のようによい働きを しているものや、静かに身を潜めているものもあります。しかし免疫機能が非常に 弱くなると、体内にいる弱い微生物の活動が抑えられなくなり、発症することがあります。 代表的なものとして、ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルスによる肺炎や胃腸炎、 網膜炎などがあります。 また、水痘(水ぼうそう)のように幼少期に感染して免疫を得ている感染症でも、 免疫機構が弱まることで発症し、帯状疱疹をおこすことがあります。 リスクが高いと考えられる場合には、ニューモシスチス肺炎や帯状疱疹の予防薬 を勧められることもあるでしょう。

感染を予防するための生活上の注意

A: プールや沸かし湯の温泉施設では衛生管理の一環として塩素が使用されて います。放射線療法後は、塩素や温泉の刺激がきっかけで照射された部位に 皮膚炎を起こすことがあるので、照射終了後1ヵ月程度は避けたほうがよいでしょう。 また、抗がん剤などの治療中の状態によっては、感染症にかかりやすい期間が あるので担当医に相談してください。 A: 治療中や治療終了直後は感染症にかかりやすい時期でもあり、お勧めできません。 治療後、一定の時期が過ぎたら海外を含めて旅行にでかけることは差し支え ありませんので、担当医に相談してください。 日和見感染とは? Q 旅行へ行ってもよいのでしょうか? Q プールや温泉には入ってもよいのでしょうか? Q

参照

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2.A.E C.本邦のバーキットリンパ腫は高頻度に Epstein-Barr ウイルス(EBV)陽性である. 4.C.D