2003年から日本文部科学省のプロジェクトの 一環として,早稲田大学《企業法制と法創造》 総合研究所の知的財産権法制研究センターは, アジアの各国において重大な影響がある知的財 産権事件の判決に対してアジア「知財判例デー タベース」の構築が行われた。今日まで10年に も続く,中国大陸だけでも北京,上海,広州, 天津の4つ行政地域の6つ収集チームが,それ ぞれに特許権,商標権,著作権とその他の知的 財産権訴訟の判例に対して収集・編纂作業を行 い,民事,行政など各類型の知的財産権判例を 合計912件を公表した。その中に,特許権判例 において,発明権判例が119件,実用新案権判 例が209件,意匠権判例が43件である。商標権 判例が172件,著作権判例が261件,不正競争防 止(商業秘密を含む)判例が89件で,刑事とそ の他の判例が18件である。これらの判例は中国 各地の人民法院が審決した数多く異なるタイプ の案件の中から,精選し出す典型的な訴訟の実 例を編集して英訳したものであり,その他のア ジア及び欧米国家と地域の案例と共に「知的財 産権判例データベース」を形成した。 当該プロジェクトが間もなく終了する際に当 たって,まずこのプロジェクトに多大な支援と 協力を頂いた中国人民大学法学院,北京大学法 学院,清華大学法学院,中山大学法学院,天津 大学文法学院と北京市高級人民法院知的財産法 廷,上海市高級人民法院知的財産法廷および関 連作業の参与者に対して心から感謝し,そして 当該プロジェクトの作業を通じて見えた中国知 財法制の全貌を以下のように総括する。 一,中国知的財産権の進捗状況 知的財産は無形財産の一つとして,国家発展 と社会生活において益々重要となっている。知 的財産権は産業の発展,利益集団の競争,ない しは国際関係及び社会安定とも関係する。この 十年を渡り,中国知的財産の法制環境は大きく 変わってきて,知的財産権に関する情報公開の 程度,知的財産権案件審理の基準,又は社会全 体の知的財産権意識も絶え間なく高まっている。 中国はすでに WTO に加盟した初期の受動的に 知的財産権の国際規則を受け入れる立場から, 自発的に国際規則を利用して革新型の国家建設 を促す過程に突入した。 ㈠ 関連法整備について 近年,中国知的財産権法システムの構築が絶 えずに整えられた。WTO 加盟する前に,中国 もうすでに TRIPS 協定に沿って知的財産権法 の主な部門法改正に着手し,2000年に特許法改 正に続き,2001年商標法と著作権法が改正され た。その後,2001年「集積回路配置図設計保護 条例」,「植物新品種保護条例」を制定し,「コ ンピュータソフトウエア保護条例」も公布した。 改正により,中国の知的財産権の基本法は TRIPS 協定の最低ラインに満たした。主な改
各国・地域の知的財産保護法制の10年の歩み
判例から見えた中国知財法制の現状
郭 禾* 兪 風雷**
* 中国人民大学教授 ** 天津大学准教授54 正内容として:⑴知的財産権法の保護範囲を広 げる。例えば商標法は色彩商標,立体商標も保 護範囲に入れた。著作権法には建築作品,模型 作品を保護範囲に入れた。そして,知的財産権 法に基づく集積回路配置図設計の保護も可能と なった。⑵知的財産権に対して司法審査制度の 改善を行い,知的財産権の各分野にそれぞれの 行政措置に対して司法救済ルートが設けられた。 特許復審委員会,商標評審委員会の裁定が最終 決定にならず,当事者は人民法院に訴訟を行う 救済手段も可能となった。⑶知的財産権の保護 標準を全体的に引き上げた。例えば,権利者が 「即発侵害」に対して禁止令を申請する権利を 与えた。著作権法分野にネットワーク情報送信 権などの内容をも規定した。前述した新しく改 正した基本法に基づき,2002年頃に,中国最高 人民法院は一連の司法解釈を次々と打ち出し, 全国の人民法院がこの改正法に対して統一且つ 正しく理解できるような保障措置を出した。 従って,WTO に加盟後に中国は3,000部あまり の法律と関連法規,規則の整理を行った。それ に,いくつかの重要な法令を続々と制定した。 例えば2003年の「税関知的財産権保護条例」, 2006年の「情報ネットワーク送信権保護条例」 などである。 その他に,中国の経済環境の変化とともに, 中国が知的財産権問題は経済発展にとって重要 な効果があることを認識し始め,自発的に国際 経験を参考にし,知的財産権法に対して第三次 改正を行い,TRIPS 協定と矛盾しない限りに, 権利者と社会公衆の利益を均衡することを重視 した。たとえば,2008年に特許法を第三次改正 して,公知技術の抗弁制度,绝对的新規性制度 を導入し,強制許可制度もさらに具体的に定め た。これら条文はすべて中国特許法に更なる多 くの利益衡平の色合いを注ぎ込んだ。それと相 応して,司法システムも影響を受けて,特許権 の濫用を更に制限することに重視し始めた。す なわち,2008年に最高人民法院は下級法院が指 示を仰ぐ文書に対する返答文に,技術標準の特 許実施者に事実上の「強制許可」を授与したこ ととなった。2010年の新司法解釈において,特 許権者が権利要求の解釈にもさらに制限した。 しかしながら,今日の中国は経済の高速発展 に連れて,産業のレベルアップとモデルチェン ジのジレンマも直面する。即ち,知的財産権法 制度を合理的に利用し,革新型国家の建設を促 して,世界貿易中の技術輸入国と普及品の輸出 国からハイレベルな製品と技術輸出国に変身す ることは,すでに中国の内在的需要となった。 これに基づき,中国は2006年と2008年にそれぞ れ「国家中長期科学技術発展規画綱要」と「国 家知的財産権戦略綱要」を制定し,国家意志で 社会全体に技術革新と知的財産の運用水準を全 面的にアップさせることを表明した。この二つ 綱要をめぐって,各地方政府もいろいろな行政 法規を打ち出した。その上に,2011年の中国第 十二期の五年計画には知的財産戦略の実施をさ らに明確にし,知的財産権に対する重視する姿 勢を新なレベルに引き上げた。 国家の知的財産権の基本法,法令の改正を除 いて,各地法院にも積極的に改革を行った。広 東省高級人民法院は「広東省高級人民法院が録 音製品の著作権紛争事件の若干問題に関する指 導意見」,「著名商標認定の民事紛争に関する案 件の管轄問題の通達」,「最高人民法院の著名商 標司法保護制度をさらに健全する問題に対する 通達」,「広東省高級人民法院が知的財産権訴訟 調停に関する指導意見」,「広東省高級人民法院 が知的財産権に対する司法保護を推進して積極 的に自主革新戦略を実施する意見」,「広東省高 級人民法院が知的財産権を巡る民事,行政,刑 事『三審合一』審判方式の改革試行プランの実 施を推進する方案」,「広東省高級人民法院が初 審の知的財産権,渉外,渉港澳台の民商紛争事 件の管轄地域と管轄権限などを調整する通達」, 「広東省高級人民法院が知的財産権訴訟仲裁に 関する指導意見」,「MTV 案件を審理する会議 録」など指導性文献を発布して,下級人民法院 の審理に対する指導をさらに強化し,知的財産 権の審理標準が統一させられる。
㈡ 知的財産権の発展 WTO 加盟以来,中国独自な革新能力が急速 に上昇し,特許出願件数も十年間で八倍となり, 2001年の20万件から2011年の163万件に躍進し て,世界の特許大国に変身した。十年間,中国 の発明特許の年間授権件数も26.8%増となり, 2011年に中国の発明特許の授権件数は17.2万件 で,前年度より27.4%増となり,年間授権件数 は2001年の11倍近くとなる。その中に,中国出 願者が「特許協力条約」(PCT)を通じて提出 し た 国 際 特 許 出 願 数 は2001年 の1,731件 か ら 2011年の1.6402万件までに上昇して,十年間で 10倍近くとなり,世界出願の総件数に占める率 は1.6%から9.0%までに拡大して,十年前の世 界第十位から2011年の第四位までに踊り出した。 それと同時に,その成長率は2009年から三年連 続 に 世 界 首 位 を 維 持 し,2011年 の 成 長 率 が 33.4%に達して,同年の成長第二位の日本と比 べでも12ポイントリードした。 また,特許出願に対する審査能力の向上とと もに,特許出願者にとって嬉しいことは,発明 特許出願の実質審査周期が,終了までの以前の 審査期間が53 ヶ月から2010年の24 ヶ月までに 大幅に短縮し,審査期間は世界全体のトップク ラスとなったことである。実用新案審査期間も 9ヶ月から現在の4ヶ月ほどまでに縮め,意匠 審査期間は6ヶ月から現在の3ヶ月に短縮した。 国家工商行政管理総局統計データによると, 2002年に中国の商標登録の出願件数は30万件に 達したが,2012年第1四半期までにもうすでに 一千万件を突破し,商標登録の累計件数は 689.2999万件に達して,共に世界の首位に維持 してきた。1989年10月4日に,中国はマドリッ ド国際商標登録体系に参加した。国家工商行政 管理総局商標局のデータによると,2011年国外 の申請者がマドリッド体系を通じて中国商標局 に出願した件数は1.6584万件となり,累計で 16.7025万件に達して,7年連続で世界の首位 に立っている。国内の出願者が中国商標局を通 じて出したマドリード国際商標登録出願件数は 2053件で,累計で1.3297万件に達して,世界の 第7位であるが,発展途上国の中に第1位であ る。 国家版権局が発表した中国著作権に関連する 産業の経済貢献度について調査研究成果による と,中国では著作権に関連する産業の付加価値 及び当年 GDP を占める比率が上昇趨勢を維持 し,2009年の付加価値は22297.98億人民元で, 当年 GDP の6.55%を占めていたが,2004年の とき,ただ7884.18億人民元と4.94%であった。 税関の統計によると,それと同時に著作権に関 連 す る 産 業 の 輸 出 額 も 増 加 し て,2004年 の 921.86億ドルから2009年の2103.17億ドルに上 がった。2002年から2011年までに,中国の著作 権の輸出数は年々増えつつであり,2011年に国 内からの出版物の版権輸出は全で7783種類で, 前年より36.8%増で,2092種類を増えた。全国 的に図書,定期刊行物,新聞,音響映像製品, 電子出版物が累計で1557.5万冊(組,箱,張) を輸出して,金額は7396.6万ドルだった。 2011年の中国デジタル出版物の営業収入は 1377.88億元に達し,前年に比べて31%を増加 して,当年の新聞出版業の営業収入の1.46万億 人民元の10%近くまでに占めた,業界の第3位 に立った。「十二・五」期間末までに,デジタ ル出版総産出は新聞出版業総産出の25%を占め るようになると見込んでいる。 なお,中国のソフトウェア産業も目覚しく発 展してきて,年平均増加率が38%で,ソフト ウェア産業の生産額は2006年の4800億人民元か ら2010年の1.3万億人民元に増えた。特に国内 のソフトウェア企業は,国産のソフトウェアの 性能及び価格優勢を発揮して,国外のソフト ウェアの独占状態を打ち破り,金山,CAXA など高い水準の民営ソフト企業が続々に出てき た。 中国のアニメ産業も平均年増加率48.25%の スピードで盛んに発展し,『喜羊羊与灰太狼 (シーヤンヤンとホイタイラン)』など数多く優 秀な国産アニメ映画やドラマを作り出した。統 計局のデータによると,2010年に国内のアニメ 産業の生産総額は470億人民元を超えて,国産
56 テレビアニメは597部,22万分間で,全国でア ニメ企業は8360社に達した。「十二・五」期間 末までに,国産のアニメ産業の生産額は1000億 人民元に達して,「十一・五」期間末と比べて 少なくとも倍になるだろう。そのほか,ネット ゲーム産業の発展も急激である。文化部が発表 したデータによると,2011年にネットゲームの 市場規模は468.5億人民元で,前年同期に比べ て34.4%の増加となった。 二,中国知的財産権裁判の概要 ㈠ 裁判機関構成の変化 前述したように TRIPS 協定に基づき,中国 は特許法と商標法に対して相次ぎ改正を行った。 特許権と商標権の行政裁定行為が司法審査の範 囲に入れさせられた。全国の特許,商標の授権 及び権利確認行政案件をすべで北京の司法機関 に集中したため,北京人民法院での特許・商標 行政案件数は急速に増加した。特に2009年に最 高人民法院は行政法廷と知的財産法廷の管轄分 業を調整して,特許,商標の授権・権利確認に 関する行政案件も統一的に知的財産法廷に管 轄・審理することとなり,それによって北京高 級人民法院と北京第一中級人民法院の知的財産 法廷は受理する案件数も急劇に増加した。 北京人民法院の知的財産権級別管轄の調整に 従って,基層人民法院が受理できる知的財産権 民事案件の訴訟標的額の上限は2002年の250万 元から2008年の1000万元に調整されてた。級別 管轄の調整で多くの民事案件を下級法院に移管 させた。それに応じて,北京基層人民法院の知 的財産審判機関は徐々に設けられ,2002年のと き,北京では朝阳人民法院と海淀人民法院だけ が知的財産法廷を設けていたが,2007年に,东 城,西城,丰台は知的財産法廷も成立した。 2009年になると,崇文,宣武,石景山,昌平は 知的財産法廷が設けられ,2011年,怀柔,大兴, 顺义にも知的財産法廷が設けられた。現在,北 京で知的財産法廷を成立した基層人民法院は十 二箇所にもなった。 この十年間に,上海の知的財産権裁判機関の 基本的な構成も大きく変わってきた。2003年の 頃,上海市人民法院の中に上海市高級人民法院, 第一中級人民法院と第二中級人民法院,および 浦東新区人民法院と黄浦区人民法院だけが知的 財産法廷を設けていたが,2012年になると,上 述の5つの知的財産法廷以外にに,楊浦区人民 法院,普陀区人民法院,徐匯区人民法院と閔行 区人民法院も知的財産法廷を設立した。現時点 上海市には全部で9箇所に知的財産法庭が設け られた。 また,2008年末に,上海市高級人民法院が発 表した『知的財産権に関わる民事,行政,刑事 案件を基層人民法院の知的財産法廷にて集中審 理する実施意見に関する若干問題の規定』では, 「三審合一」という総合的な審判モデルを全面 的に推進し,知的財産権に関する民事事件,行 政案件と刑事事件を一括して,知的財産法廷で 審判することを規定した。 2009年3月,上海市高級人民法院が発表した 『上海市高級人民法院が知的財産権民事事件の 初審管轄に関する通達(試行)』に,知的財産 法廷を設立した基層人民法院が知的財産権事件 を受理する地域管轄範囲及び三級の人民法院が 知的財産権民事事件を受理する級別管轄の基準 を明らかにした。この通達によると,基層人民 法院が受理できる知的財産権民事事件はこの通 達で分けられた地域により審理され,知的財産 法廷を設けた基層人民法院に集中されて,地区 をまたがって集中的に指定管轄されることに なっていた。 2009年5月,上海市の第一,第二中級人民法 院も知的財産権に関する民事,行政と刑事件 「三審合一」を総合的に審判することを実施し 始め,この三種類の知的財産権事件は全て統一 的に知的財産法廷により審理される。 2009年9月の末,上海市高級人民法院,上海 市検察院,上海市公安局と上海市司法局は共同 で『知的財産権の刑事案件審理の若干問題に関 する意見(試行)』を公表し,2009年10月1日 から上海市人民法院は知的財産権事件に対して
57 地域をまたがって集中的に指定管轄することを 試行して,全市人民法院の知的財産権に関する 刑事事件の初審は地域区分により,相応する基 層人民法院に集中的に指定管轄・審理される。 また,上海市最高人民法院は2011年4から 「上海法院知的財産権司法保護網」を開通し, 全市人民法院の知的財産権の審判情報,裁判文 書,モデル案例などの情報資源も提供し始めて いた。 なお,最高人民法院の許可を得て,広東省は 2003年から,次々と基層人民法院を指定して一 部分の知的財産権事件(特許紛争事件を除く) を受理させた。現在,広東省内に特許の初審民 事事件を受理することができる中級人民法院は 8つに増えた。最高人民法院は2010年1月28日 に発表した『基層人民法院が知的財産権に関す る民事事件の初審を管轄する標準の通達』によ ると,全国では知的財産権に関する民事事件の 初審事件を受理する基層人民法院が92箇所があ り,その中に20箇所が広東省にある。 ㈡ 審判案件の変化 2002年以来,北京人民法院が審理した知的財 産権案件数が年々増えていて,ずっと全国人民 法院受理と審決した初審民事事件全体の10%以 上を占めた。北京市の特殊な地域関係で,北京 人民法院にで審理した案件の中にいくつかの重 大事件が世界にも注目が集めた。2002年から 2011年まで,北京市の三級人民法院は第一,二 審の知的財産権案件を合計で5.5455万件を受理 し,5.4436万件を審決した。その中,2002年に 計1202件を受理したが,2011年の1.206万件を 受理したと比べると,10年前の10倍となった。 2002年 の 審 決 案 件 は 計1144件 で,2011年 の 1.2018万件と比べると,10年前の10.5倍となっ た。 2002年から2011年までに,北京市人民法院で 初審の知的財産民事案件は合計3.271万件を受 理し,3.2611万件を審決した。その中に,受理 した初審民事案件は2002年の730件で,2011年 になると7350件に上り,これも十年前の10倍で ある。結審した初審民事案件は2002年のとき 742件で,2011年は7294件となり,十年前の9.8 倍である。したがって,この十年の間,初審民 事案件の受理と審決件数は年々増えてきた。 2002年から2007年までに,初審の民事案件の受 理数は着実に伸びていてが,2008年は急激に大 幅に増した。前年度と比べて70%増に達した, その後,スピードが落ち,安定的にな段階に入 り,毎年の成長率は15%〜 25%前後である。 表1 2002年〜 2011年一審民事案件受理,審決及び成長率 なお、最高人民法院の許可を得て、広東省は 2003 年から、次々と基層人民法院を指定 して一部分の知的財産権事件(特許紛争事件を除く)を受理させた。現在、広東省内に特 許の初審民事事件を受理することができる中級人民法院は 8 つに増えた。最高人民法院は 2010 年 1 月 28 日に発表した『基層人民法院が知的財産権に関する民事事件の初審を管轄 する標準の通達』によると、全国では知的財産権に関する民事事件の初審事件を受理する 基層人民法院が 92 箇所があり、その中に 20 箇所が広東省にある。 (二)審判案件の変化 2002 年以来、北京人民法院が審理した知的財産権案件数が年々増えていて、ずっと全 国人民法院受理と審決した初審民事事件の全体の 10%以上を占めた。北京市の特殊な地域 関係で、北京人民法院にで審理した案件の中にいくつかの重大事件が世界にも注目が集め た。2002 年から 2011 年まで、北京市の三級人民法院は第一、二審の知的財産権案件を合 計で 5.5455 万件を受理し、5.4436 万件を審決した。その中、2002 年に計 1202 件を受理 したが、2011 年の 1.206 万件を受理したと比べると、10 年前の 10 倍となった。2002 年 の審決案件は計 1144 件で、2011 年の 1.2018 万件と比べると、10 年前の 10.5 倍とあった。 2002 年から 2011 年までに、北京の人民法院で初審の知的財産民事案件は合計 3.271 万 件を受理した、3.2611 万件を審決した。その中に、受理した初審民事案件は 2002 年の 730 件で、2011 年になると 7350 件になり、これも十年前の 10 倍である。結審した初審民事 案件は 2002 年のとき 742 件で、2011 年は 7294 件となり、十年前の 9.8 倍である。した がって、この十年の間、初審民事案件の受理と審決件数は年々増えてきた。2002 年から 2007年までに、初審の民事案件の受理数は着実に伸びていてが、2008 年は急激に大幅に 増した。前年度と比べて 70%増に達した、その後、スピードが落ち、安定的にな段階に 入り、年増加率は 15%~25%前後である。 表1:2002 年~2011 年一審民事案件受理、審決及び増加率 知的財産権に関する民事案件の概要から見ると、著作権関連の民事案件数も年々増え続 け、民事案件全体の半数以上に占めした。とりわけに初審案件の中に著作権民事案件が占 めた割合はさらに多く、2011 年受理した初審の著作権民事案件は受理した初審の民事案 件の 83%に占め、十年間の最高記録となった。特許権民事案件、商標権民事案件、不正 競争案件、技術契約案件と他の民事案件も年々増えてきたが、基本的に比較的安定な状況 であり、変動幅が大きくない。ちなみに、この十年間で、北京人民法院は受理した初審の 著作権民事案件は合計で 2.5155 万件、受理した初審の民事案件の 74%に占めた。 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 一審受理数 730 957 1200 1737 2345 2559 4343 5093 6396 7350 一審審決数 742 944 1190 1700 2355 2623 4132 5039 6592 7294 同期成長率 5% 31% 25% 45% 35% 9% 70% 17% 26% 15% -50% -30% -10% 10% 30% 50% 70% 90% 0 2000 4000 6000 8000 一審受理数 一審審決数 同期成長率
58 知的財産権に関する民事案件の概要から見る と,著作権関連の民事案件数も年々増え続け, 民事案件全体の半数以上に占めした。とりわけ に初審案件の中に著作権民事案件が占めた割合 はさらに多く,2011年受理した初審の著作権民 事案件は受理した初審の民事案件の83%に占め, 十年間の最高記録となった。特許権民事案件, 商標権民事案件,不正競争案件,技術契約案件 と他の民事案件も年々増えてきたが,基本的に 比較的安定な状況であり,変動幅が大きくない。 ちなみに,この十年間で,北京人民法院は受理 した初審の著作権民事案件は合計で2.5155万件, 受理した初審の民事案件の74%に占めた。 表2 2002年〜 2011年一審民事案件の比例図 2002年から2011年までに,北京人民法院が受 理した行政案件は10741件で,10098件を審決し た。十年間,初審の行政案件数は全体的に増え て続け,2002年から2007年の間に,初審行政案 件の年成長率は基本的に40%前後であるが, 2009年は初審行政案件の受理数は大幅に増え, 年成長率は96%にもなった。2010年,初審の行 政案件受理数は2527件,十年間の最高記録と なった。ちなみに,2011年の受理した初審行政 案件は初めて下がり,前年比より9ポイントも 下がった。 また,第二回改正された「商標法」が2001年 12月1日に実施し始めてから2012年6月30日ま でに,北京人民法院は商標評審委員会を当事者 として受理した商標授権・権利確認案件は 11243件である。その中に2009年7月1日以後 8277件受理して,全体の76.32%を占めた。審 決案件は9978件で,そのうち2009年7月1日以 後 に 審 決 し た の は7609件 で あ り, 全 体 の 91.93%に占めた。北京市第一中級人民法院も 同じ時期に受理した商標授権初審案件は7861件 であり,そのうち2009年7月1日以後に5679件 を受理し,72.24%に占めた。審決した6827件 のうちに2009年7月1日以後に5132件を審決し, 75.19%に占めた。北京市高級人民法院は該当 時期に商標授権案件の再審案件を3322件受理し, そのうち2009年7月1日以後に2564件を受理し, 77.18%に占める。3094件を審決して,そのう ち2009年 7 月 1 日 以 後 の2437件 を 審 決 し, 78.77%に占める。その他に,同時期に北京市 高級人民法院は6件の商標授権の再審案件を受 理して,それを全部審決したが,受理した商標 授権の上訴案件は54件の内に51件を審決した。 特に注意する必要があることは,近年,最高 人民法院が商標授権・権利確認案件に対して審 判監督を強化し,多くなる商標授権・権利確認 案件が控訴プロセスを通じて最高人民法院の控 訴審査及び再審プロセスに入ったことである。 たとえば最高人民法院知的財産法廷は2011年に 受理した商標授権・権利確認の再審案件は68件 で,2010年に比べると151.58%増え,一年間に 新しい受理した知的財産権案件の420件で, 16.19%にも占め,これらの案件の大部分は審 決して,下級人民法院の商標授権・権利確認案 件を審理する際の指導案例にもなった。 2002年から2011年までに,北京市人民法院受 表2: 2002 年~2011 年一審民事案件の比例図 2002 年から 2011 年までに、北京人民法院が受理した行政案件は 10741 件で、10098 件 を審決した。十年間、初審の行政案件数は全体的に増えて続け、2002 年から 2007 年の間 に、初審行政案件の年増加幅は基本的に 40%前後であるが、2009 年は初審行政案件の受 理数は大幅に増え、年増加率は 96%になった。2010 年、初審の行政案件受理数は 2527 件、十年間の最高記録となった。ちなみに、2011 年の受理した初審行政案件は初めて下 がり、前年比より9ポイントも下がった。 また、第二回改正された「商標法」が 2001 年 12 月1日に実施し始めてから 2012 年6 月 30 日までに、北京人民法院は商標評審委員会を当事者として受理した商標授権・権利 確認案件は 11243 件である。その中に 2009 年7月1日以後 8277 件受理して、全体の 76.32%を占めた。審決案件は 9978 件で、そのうち 2009 年7月1日以後に審決したのは 7609 件であり、全体の 91.93%に占めた。北京市第一中級人民法院も同じ時期に受理した 商標授権初審案件は 7861 件であり、そのうち 2009 年7月1日以後に 5679 件を受理し、 72.24%に占めた。審決した 6827 件のうちに 2009 年7月1日以後に 5132 件を審決し、 75.19%に占めた。北京市高級人民法院は該当時期に商標授権案件の再審案件を 3322 件受 理し、そのうち 2009 年7月1日以後に 2564 件を受理し、77.18%に占める。3094 件を審 決して、そのうち 2009 年7月1日以後の 2437 件を審決し、78.77%に占める。その他に、 同時期に北京市高級人民法院は 6 件の商標授権の再審案件を受理して、それを全部審決し たが、受理した商標授権の上訴案件は 54 件の内に 51 件を審決した。 特に注意する必要があることは、近年、最高人民法院が商標授権・権利確認案件に対し て審判監督を強化し、多くなる商標授権・権利確認案件が控訴プロセスを通じて最高人民 法院の控訴審査及び再審プロセスに入ったことである。たとえば最高人民法院知的財産法 廷は 2011 年に受理した商標授権・権利確認の再審案件は 68 件で、2010 年に比べると 151.58%増え、一年間に新しい受理した知的財産権案件の 420 件で、16.19%にも占め、 これらの案件の大部分は審決して、下級人民法院の商標授権・権利確認案件を審理する際 の指導案例にもなった。 2002 年から 2011 年までに、北京人民法院受理した国際及び渉港澳台案件数は増えてき た趨勢になっている。渉港澳台案件の一部分は北京市高級人民法院で受理する以外に、そ の他は全て各中級人民法院で審理するため、2002 年に一中院、二中院の渉港澳台案件が 合計 51 件であるが、2011 年には 1681 件となり、十年前の 33 倍となった。国際及び渉港 澳台案件は全市人民法院が初審の受理総数に占めた比率によると、2002 年に占めた比例 74% 5% 4% 6% 4% 7% 著作権 特許権 商標権 不当競争 技術契約 その他
理した国際及び渉港澳台案件数は増えてきた趨 勢になっている。渉港澳台案件の一部分は北京 市高級人民法院で受理する以外に,その他は全 て各中級人民法院で審理するため,2002年に一 中院,二中院の渉港澳台案件が合計51件である が,2011年には1681件となり,十年前の33倍と なった。国際及び渉港澳台案件は全北京市人民 法院が初審の受理総数に占めた比率によると, 2002年に占めた比例は4.8%であるが,2011年 に16.4%となり,国際及び渉港澳台案件が占め た比例は明らかに高くなった。 表3 北京市高級人民法院受理した一審案件 年度 著作権 特許権 商標権 不当競争 技術契約 その他 合計 民事 行政 民事 行政 2003 592 99 257 59 68 96 96 1 1269 2004 729 144 312 116 134 95 95 5 1646 2005 1162 152 279 148 199 113 113 11 2215 2006 1599 198 407 222 234 158 158 19 2986 2007 1915 218 542 121 387 104 104 13 3488 2008 3493 193 228 245 177 126 121 165 4748 2009 3893 211 371 317 798 136 176 360 6262 2010 5247 246 525 360 2002 144 106 293 8923 2011 6105 284 596 489 1707 128 105 239 9653 表4 附表2:北京市高級人民法院審決した一審案件 年度 著作権 特許権 商標権 不当競争 技術契約 その他 合計 民事 行政 民事 行政 2003 601 97 259 55 62 95 96 1 1266 2004 736 124 343 119 124 109 96 6 1657 2005 1130 145 286 155 196 152 107 11 2182 2006 1609 196 406 227 236 148 156 19 2997 2007 1903 307 511 156 371 139 105 13 3505 2008 3333 188 225 237 142 117 105 151 4499 2009 3878 219 350 300 726 135 158 349 6115 2010 5408 241 487 372 1776 150 119 302 8855 2011 6073 255 567 496 1779 134 100 236 9640 この十年間に,経済発展が一番早いの大都市 として,上海市は2003年から2012年の10年間で, 上海人民法院の知的財産案件数は急速に増えて きた。2003年に上海人民法院の初審知的財産権
60 民事案件が623件を受理し,602件を審決した。 知的財産権の再審民事案件が142件を受理して, 136件を審決した。しかし,2011年に上海人民 法院の初審知的財産権案件は2485件を受理して, 2505件を審決した。二審の知的財産権案件は 490件を受理して,482件を審決した。初審の知 的財産権刑事案件は266件を受理し,274件を審 決した。特に,2012年の前半だけに,上海人民 法院は初審の知的財産権案件は1653件を受理し て,1671件を審決した。二審の知的財産権民事 案件は280件を受理して,254件を審決した。一 審の知的財産権刑事案件は129件を受理して, 115件を審決した。 広東省も中国知的財産権の「大省」で,2011 年末までに,全省有効な発明特許数は全国の第 一位を保ち,5.8万件余りである。特許の密度 に換算すると百万の人口は562.3件に達し,全 国の平均水準の2.37倍にもなった。2011年末ま で,全省の有効登録商標数は84.8万件余りで あって,17年連続で全国第一位を維持している。 中国著名商標数343件で,6年連続に全国第一 位を保持している。ちなみに,広東省の著名商 標数は2568件である。また,広東省の広州市に 中国輸出入商品貿易会で名を馳せるが,深セン にも中国最大規模及び最も影響力を持つ「国家 級,国際性,高水準,大規模,時効性,専門化, 閉幕しない」の「中国科学技術第一展覧会」と 称する「中国国際高新技術成果交渉会」がある。 広東省は中国全国の知的財産権の審判活動に おいて,審判機関数だけでなく案件数もかなり 多くの割合に占める。たくさんの新しい類型の 知的財産権案件も広東省に最初に現れ,案件の 属性,案件の数量,社会的影響にしても,政治 敏感性にしても,広東省の知的財産権審判活動 は常に注目されていて,全国の知的財産権審判 活動においても要な地位に占めしている。 広東省の初審知的財産権民事案件の受理件数 はずっと全国一位を維持していて,毎年およそ 全国の四分の一に占めた。全国十分の一に占め る知的財産権裁判官が,全国約五分の一ないし は四分の一の知的財産権案件を公正且つ有効的 な審決したのは,確かになかなかできないこと である。2002年から広東省人民法院が審理した 知的財産権案件の2644件で,2011年は15012件, 年年に増加していく状況にもなっている。 表5 広東省2007年〜 2011年審理した知的財産権案件数 年度 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 案件数 2644 2871 3316 3122 4304 6067 9584 15012 三,判例収集状況の分析 判例収集作業において,各プロジェクトチー ムはできるだけ行政案例と民事案例を割り当て して選択し,特許権関係にも発明,実用新案, 意匠三種類の特許案件に分けて,または商標権 利侵害と権利確認案件,著作権の各類型案件, 不正競争防止およびその他の知的財産権刑事案 件など多方面に思慮して典型判例が選ばれる。 ㈠ 特許権案件 本プロジェクトが選んだ特許案例は発明,実 用新案および意匠の三つの特許権判例を含め, 特にこの十年来中国で起きた特許案件の類型, 特徴を全面的に反映できるものを選んた。即ち, 伝統的な特許訴訟案例だけでなく,技術経済の 発展とともに新しい類型の案例,または特許法 改正や新たな司法解釈の変化にも表している法 適用例も選別していた。 前に述べたように,2008年12月に三回目の特 許法改正が行われた後,2010年1月に相応する
特許法実施細則も改正された。主に新規性基準 の調整,意匠授権の標準向上,遺伝資源に関す る情報の開示,抵触申請の構成要件,強制実施 許諾規定の完備,現有技術抗弁,並行輸入, Bolar 例外条項の導入,並びに法定賠償額を増 加するなど内容を加えた。 2009年12月,中国最高人民法院は「最高人民 法院の特許権侵害紛争事件の審理に適用する法 律に関する若干問題の解釈」を公布し,主な内 容は明細書の解釈,機能性特徴内容の確定,寄 付原則,反言禁止,外観意匠の総合認定,現有 技術と現有意匠抗弁の具体的な規則,先用権の 抗弁,特許権を侵害しない確認訴訟などについ て詳しく規定している。 収集した発明と実用新案特許案例は主に以下 の問題を触れている:職務発明の認定,権利要 求の解釈,発明目的が権利要求中の役割,特許 説明書による権利要求書の技術専門用語の解釈, 特許権利要求書における技術専門用語の釈明と 科学常識又は権利要求の区別解釈原則,権利要 求項に明らかの錯誤の訂正,権利要求中の機能 性内容の確認,説明書の中に権利要求の機能性 特徴について具体的な実施例が書かなっかた際 の権利保護範囲の確認,特許間接侵害の認定, 閉鎖式権利要求組み合わせたもの発明特許の侵 害認定,非形状及び非構造的技術特徴と実用新 案特許の保護範囲,特許均等侵害の認定,均等 技術特徴の認定,権利要求の部分無効と禁反言 原則の適用,陳述内容が引き起こした禁反言, 現有技術抗弁の認定,抵触申請で現有技術抗弁 の類推適用,合法的由来がある特許侵害商品の 販売者また使用者は損害賠償責任の認定,発明 特許出願権を侵害しない認定,新製品発明方法 の特許侵害訴訟における挙証責任の配分,特許 許可の性質認定,特許実施許可契約における独 占被許可者が特許技術の実施義務,PCT 発明 特許出願者が公告してから授権前の臨時保護な どが含まれている。 収集した意匠特許案例が主に触れた法律問題 は:類似外観意匠の認定,現有意匠抗弁の認定, 現有意匠抗弁の比較対象,意匠特許出願権を侵 害しない認定などが含まれている。 ㈡ 商標権案件 十年間に渡って商標法と司法解釈が基本的に 変化がなく,商標法は三回目改正が現在行われ ているが,社会経済の発展に連れ,商標分野に 新しい問題も絶え間なく現れているため,選ば れた中国商標案例は,ほぼこの十年間の商標判 例の主な類型と特徴を反映した。 選んだ商標権判例は主に触れた問題が:商標 権の地域性,商標権侵害行為の認定,商標類似 性の判定,類似商品の認定,商標標識の合理使 用,通用名の合理使用,叙述性商標の合理使用, 指示性商標の合理使用,商標権の権利用尽の認 定,英語商標の中国語音訳を使って商標が権利 侵害に構成するかどうか,不動産の商標権侵害 の認定,商標権譲渡における無権処分の処理, 著名商標の認定条件,渉外加工の商標権侵害, インタネットにおける商標権間接侵害の認定, ネットワーク取引でのサービス提供商の商標権 間接侵害の認定,検索ネットでの「競争価格の ランキング」による商標権間接侵害の認定, ネットワークサービス提供商が侵害行為常習者 に対する注意義務,市場管理者の管理義務,フ ランチャイズにおける商標権侵害責任の認定, 商標印刷者の審査義務,商標権侵害の法定賠償 額の確認,商標権侵害訴訟の合理的な費用と弁 護士費用の確認などを表している。 ㈢ 著作権案件 この十年の間,著作権法が大きな改正がなっ かたが,著作権法の三回目改正は現在進行中で ある。しかしながら,十年来デジタル技術と ネットワーク技術の急劇な発展とともに,著作 権侵害の形態も大きな変化が現れた。2006年5 月,国務院が「情報ネットワーク伝達権保護条 例」を公布して,この条例の主な内容は情報 ネットワーク伝達権,技術保護措置,デジタル 情報の権利管理,ネットワーク環境中の合理使 用と法定許可,通知と削除規則,セーフハー バー原則など内容を含んでいる。
62 近年来,著作権案件はずっと知的財産権の初 審民事案件の中に最大な割合を占めした類型で, 知的財産権の初審民事案件の七割以上を越えた こともある。選んだ著作権案件がこの十年間発 生した著作権案件の類型と特徴を反映して,伝 統的な著作権訴訟案件だけでなく,デジタル技 術とネットワーク技術による新たな新類型案件 も含まれている。 集めた著作権判例は主に以下のような問題: 著作権法保護の客体,著作権法理論上の複製行 為の認定,作品名称の著作権法保護について, テレビ音楽作品の性質認定,原作品に基づいて 二次作品の認定,作品独創性の認定,実用美術 品の認定,アニメイメージキャラクターの著作 権保護,コンピュータのソフトウェアのユー ザーインターフェースの著作権法保護,著作権 法の保護対象としてのインターネットホーム ページ,編集作品の独創性の認定,平面作品か ら立体複製行為,作者が出版社に自発的に投稿 行為の法律性質,連名作品の署名順位の確定, 連名作品の作者認定,職務作品の認定と使用, 出版社の原稿遺失責任,コンピュータソフト ウェアの著作権侵害の認定,商業的ソフトウェ アの使用における共同侵害行為の認定,販売者 がコンピュータに無許可でソフトを入れる販売 行為の侵害構成,コンピュータソフトウェアの 著作権侵害案件の挙証責任,地図の著作権侵害 の認定,著作権の共同侵害の認定,他人の署名 を模倣したアート作品の販売行為の性質判定, 許可範囲を超えたの作品使用,作品の許可期間 の使用認定,作品使用の事後追認は事前に作品 の使用許可の認定に対する影響,著作権許可契 約中に当事者の意志表示の認定,著作権侵害の 法定賠償額の確定,出版社無過失の不当利得の 返還,委託作品の報酬の確定,撮影作品の著作 権侵害の状況に合わせる賠償額の確定する要件, 録音製品の作者と録音製品販売者の注意するべ き義務の確定,コンピュータソフトウェアの著 作権侵害にける侵害停止と損害賠償の適用,許 可なしでインターネットカフェのローカルネッ トで公衆に作品を提供して情報ネットワーク伝 達権を侵害する行為の構成,ネット情報内容提 供者の注意義務,ビデオシェアネット管理者の 注意義務,著作権技術保護措置の認定,ネット サービス提供者が海賊版をネット取引する行為 の法的責任,ビデオシェアネットの情報ネット ワーク伝達権の間接侵害認定,P2P ネット経営 者の情報ネットワーク伝達権の間接侵害の認定, 情報ネットワーク伝達権侵害の民事責任の確定 などを示している。 ㈣ 不正競争防止案件 十年来,不正競争防止法は未だ改正されたこ とがないであるが,2007年の1月に最高人民人 民法院は「不正競争民事案件の審理における法 律適用の若干問題に関する解釈」を公布した。 この司法解釈の内容は主に著名商品の認定,特 有名称,包装,装飾の認定,著名商品の特有名 称,包装,装飾との類似性の判断方法,企業名 称と氏名の意味,誤解を招く偽り宣伝行為,商 業秘密における秘密性,経済性と秘密措置の意 味,商業秘密侵害の構成要件,商業秘密侵害の 民事責任など内容を触れた。 この十年の間に,競争業態の変化とともに, 不正競争案件の類型と特徴もだんだん変わって いて,選んだ案例も相応する変化を反映してい た。これらの案件は主に:不正競争行為の認定, 偽り宣伝行為の認定,当事者間合意が偽り宣伝 行為認定に対する影響,商業誹謗行為の認定, 政府部門に通報する商業けなす行為,比較広告 と商業誹謗行為,著名商品の認定,企業名称の 一部分を使う不正競争行為の認定,著名商品と 特有名称,包装,装飾の認定,商品の外観は商 品の装飾になるか,勝手に他人の企業名称を使 用する不正競争行為の認定,香港に登録した企 業名称を国内に授権使用で商標侵害と不正競争 行為の認定,外国企業名称と商号を中国地域で の保護,屋号は企業名称としての保護される法 的要件,企業名称が通用名を模倣した紛争案件 の合理使用要件,技術秘密は公衆に知らせない 特性の認定,顧客リストの商業秘密の認定及び 民事責任の分担,コンピュータソフト商業秘密
侵害の認定,商標と著名商品の特有名称の衝突, 契約の中に排他性協力約束と公正競争の認定, 業界活動における不正競争行為,不正競争紛争 中の抱き合わせ販売行為の認定,屋号と商標権 の衝突,商標権と企業名称の衝突,企業名称の 略称と商標権の衝突など問題を触れた。 ㈤ 刑事案件 2004年12月に最高人民法院・最高人民検察院 は「知的財産権侵害による刑事事件において具 体的な法律適用の若干問題に関する解釈」を公 布して,2007年7月に最高人民法院,最高人民 検察院は「知的財産権侵害による刑事事件にお いて具体的な法律適用の若干問題に関する解釈 ㈡」を公布した。さらに,2011年1月,最高人 民法院,最高人民検察院,公安部,司法部は 「知的財産権刑事事件の処理について法律適用 する若干問題に関する意見」を公表した。これ らの規定で知的財産権の刑事犯罪において刑事 責任を追及する敷居を下げたことにより,人民 法院で審理する知的財産権の刑事犯罪事件はま すます多くなった。特に,2010年6月に国務院 は知的財産権の侵害行為と模倣品製造行為を打 撃するキャンペーン活動を行った後に,人民法 院が審理した知的財産権の刑事案件数は明らか に増えていた。 収集したこの十年間の知的財産権刑事案件は 主に:偽り登録商標罪,他人に偽り登録商標製 造場所を提供する者が偽り登録商標罪の共犯と なった事件,法人犯と個人犯,権利侵害のコ ピー商品を販売する行為の処罰と量刑,著作権 侵害の処罰と量刑,コンピュータソフトウェア 著作権侵害行為の処罰と量刑,プラグインソフ トに関する著作権犯罪の処罰と量刑,外掛プロ グラムに関する著作権犯罪の処罰と量刑,イン タネット情報伝達権を侵害する著作権犯罪,商 業秘密を侵害する行為の処罰と量刑など内容が 含まれている。 ㈥ その他の類型案件 広東省や天津市の人民法院が受理した知的財 産権の初審民事紛争案件の種類も,著作権,特 許権,商標権,技術契約,ドメイン名,商業秘 密,科学発現,知的財産権に関する不正競争分 野の案件を含む,知的財産権の行政案件を除い て,ほとんど知的財産権の各方面を含んでいる。 この十年の間に,集めたその他の類型案件に 主に:発見権の認定,農業化学物質製品の行政 保護における行政前置手続き,ネットワークド メインの悪意登録行為の認定,ドメインと商標 権の衝突,ネットワークドメイン侵害の賠償責 任,依頼者が技術開発委託契約を実行中の審査 義務など問題を触れた。 また,収集した判例は国内当事者だけでなく, 「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」 に基づいて,渉外の知的財産権の保護にも注目 されている。平等保護の原則を堅持し,国際規 則,慣例に従うとともに,平等的に国内外の当 事者の合法な利益を保護して,公平,公正,合 法的に国外の企業の知的財産権を侵害する案件 を幾つ審決して,パーカー,プーマ,シーメン スなどの国外著名企業の知的財産権を侵害した 国内当事者が制裁され,国際的に中国が知的財 産権を保護するという決心を示した。 各級の人民法院は各類型の知的財産権の紛争 を公正的,且つ効率的に審理することを通じて, 発明創造を保護し,科学技術の革新と普及を促 進し,平等的に国内外の商標権者の合法的権益 を保護して,ブランドの育成と発展を促進した。 また,不正競争行為を制止して,誠実と信用の 経営環境を維持し,公平競争を導き,経営者と 消費者の合法的権益を守って,市場経済秩序と 規範に合わせた経済秩序を保障し,文学芸術と 科学作品の著作権を保護し,文化と科学事業の 繁栄にも促進した。 四,注意すべきの問題点 この十年間で選んだ民事紛争案件は主に権利 侵害紛争であり,権利帰属の紛争と署名権紛争 などのモデル案例もある。また,行政無効紛争 案例と行政却下裁定に不服の再審案件も選択し
64 た。その中に,知的財産権理論が実践的に適用 状況にも触れていて,たとえば,新規性・創造 性の判断,重複授権,均等侵害の認定,公知技 術抗弁,明細書と権利要求項の関係,標準特許 の許可,意匠の侵害判断標準など数多く実体法 問題と手続法問題を含む。 これらの判例の中から,知的財産権の司法と 立法の相互的な影響も見える。例えば2006年に Strix Limited 社(イギリス)と宁波圣利达電 気製造有限会社・华普スーパー有限会社の訴訟 において,北京高級人民法院が公知技術抗弁理 論の影響を受け入れた。該当被告者が被疑権利 侵害製品は公知技術により製造されたものと主 張したが,一審人民法院と二審人民法院の結論 は違うけれど,明らかに両法院がすべて公知技 術抗弁理論を受けていただけではなく,特許技 術案は先行技術と均等しても公知技術に属する という考え方も支持した。その後,2008年に中 国特許法が改正されたとき,公知技術抗弁を明 確に法条文に取り入れた。 また,収集した判例を分析したところに,以 下のように注意すべき点があると思う。 ㈠ 判例収集の難点 1.選択価値の問題である。すなわち,異な る人が違う視点から判例を見ている。例えば裁 判官,学者,消費者,社会公衆はすべて自分の 観点を持っている。学者が選んだ判例はよく社 会的影響,論争から見えた学術価値,時代流れ の代表性など角度を選択する出発点としている。 比較的学術研究価値が高いことは常に最初の思 慮する要因としているが,その他の方面の影響 を大きくみえない面もあるため,いくつかの社 会的に価値がある案例を入選されなかったかも しれない。 2.収集時期の問題である。多くの紛争事件 判決は段階的に徐々に公表されたが,依然とし て沢山の人民法院が発効した判決文書は未だ即 時公表に至らなかった。毎年の年末に案例収集 作業する際に,公表した前年度の判決文が往々 に不足し,その他のルートでいくつの代表性が ある事件の裁判結果を知ることができたとして も,データ作成に当たり,全面的な情報が不足 するため,収めることが出来なかった。 3.判例選択において客観的な問題である。 前述したように,人民法院が公布した知的財産 権の代表性案件の選択標準は社会的に影響性だ けを重視するので,学者が選択した学術的に研 究価値がある判例と比べると一定の差異がある。 これに加えて全体的に判決文の対外公表時期も ずれがあるため(ある人民法院は2012年10月に 公布した判決が依然として2007年のものであ る),データベースに収録した判例は,すべて 人民法院が公表した前年度の典型的な判例に限 らない。また,いくつかの代表性がある事件は, 当事者が和解して審決したが,それが人民法院 が下した判決ではないため,一般的にデータ ベースに入選していない。例えば,アップルと 深センの唯冠の「iPad」商標権の紛争事件は全 世界を沸き立たせたが,双方当事者が和解で解 決した。他には,中国で大きな影響がある広薬 グループと加多宝の「王老吉」商標権紛争も, 仲裁で解決するため,データベースに収録する ことができない。 したがって,知的財産権の紛争案例の特徴に おいては以下の三つがある。 まず,国内の有力企業はすでに実施段階に 入った,比較的高い市場価値を持つ中核的技術 をめぐって訴訟を行い始めた。競争方式は以前 の伝統な価格競争,サービス競争から,すでに 徐々にもっとハイレベルの技術競争に変わった きた。そのような関連訴訟はますます多くなり, そして標的額も高くなった。勝訴した場合,社 会に自社発明技術の地位を顕彰するだけでなく, 短時間に市場の人気を集めて競争相手に勝ち取 り,普通の商業広告に肩にならべることができ ない効果がある。 また,新類型案件の侵害手段が益々隠微とな り,訴訟中に権利紛争の境界線が確定し難い特 徴が目立ち,利益衡平原則は審理中にもよく適 用することとなる。 さらに,知的財産権刑事案件が急増し,知的
財産権「三審合一」の改革により,刑事審判機 能を発揮する知的財産権司法保護にも経験が蓄 積した。 ㈡ 案例審理中の困惑 知的財産権裁判について,近年来収集した中 国判例から示した主な困惑は以下のようなもの である。 1,新類型案件の処理規則 伝統的な権利確認,権利侵害,知的財産権契 約紛争など案件はすでにあった規則に基づいて 審理活動を行われていることが全く問題がない であるが,新類型の知的財産権に関連する紛争 事件が生じた問題を処理し難いである。例えば 「侵害しない訴訟」である。この種の事件はや はり権利侵害訴訟に属するか,それとも権利確 認訴訟に属するか,または反訴できるか,どの ような規則により審理されるか,かつて理論的 な論争及び実践的に違う認識が現れたこともあ る。 2,類似性の判断 権利者の許諾がなしで,しかも法定原因(合 理使用,法定許諾,強制許諾)もないの場合, 知的財産権者の知力成果(知的製品)を使った 行為は全で侵害行為と見なされる。 以前,知的財産権の侵害行為が比較的に多く 表したのは直接的に偽造行為である。例えば, 他人の登録商標を自分が製造した商品に直接に 使い,他人の商品に成りすまして販売するが, 技術発展とともに,侵害行為も多様な様態に現 れて,以前の直接な偽物の模倣行為から類似偽 物の製造(同じ商品に類似商標を使うあるいは 商品が類似),違う分野での使用(他人の登録 商標を店の商号,ドメイン名として使用)に変 化してきて,さらにはリバースパッシングオフ などの新類型侵害行為も現れた。 したがって,知的財産権侵害紛争に関する案 件は直接侵害はだんだん少なくなったため,審 理する際に,類似性の認定を行う必要がある案 件は増えていて,業種違う知的財産権侵害に関 する不正競争紛争さえ現れた(他人の著名商標 を自分の店の商号またはドメイン名として登録 使用するなど紛争)。または「中心限定」と 「周辺限定」の違う原則を適用して,特許権を 確定する地域に,全で「均等取替原則」で特許 侵害を判定するかどうか問題は,理論上価値が あるだけでなく,実務的にも明確な規則を出す ことが必要である。これらの案件の裁判官が新 たな見方で事実関係と違法行為を細かく分析し て,最新理論も取り入れで審判活動に充実させ, それによって紛争を解決し,社会経済競争秩序 を守り,合法的且つ公正的な裁決を出すことが できる。 3,賠償額の確定 知的財産権侵害の法定賠償は改正後の「特許 法」,「商標法」,「著作権法」共に確立した制度 である。知的財産権(特許,商標,著作権を含 む)の権利侵害者が侵害により得た利益,また は被害者が権利侵害によって被った実際の損失 を確定することが困難である場合,人民法院は 権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき, 100万元以下の賠償を認定することができる。 法定賠償制度の確立は裁判官に法的根拠を与え, 実務操作に有利であり,権利者が実際の損失ま たは侵害者が得た利益は確定しがたい場合,権 利者に適当且つ合理な賠償を得ることができ, 「得よりも損の方が大きい」のような訴訟結果 を避けることができる。しかし,法条文には法 定賠償を一定の幅を規定しただけで,どのよう に具体的な賠償額を算定するのが,必要な規範 が欠けているため,そして裁判官の自由裁量の 過程はとても重要プロセスとなった。 一般的に,裁判官が法定賠償を適用する際に, 以下の要素を考慮すべきである。一,通常の状 況の下で権利者が被った損失あるいは侵害者が 得た利益。二,侵害行為の方式と持続期間及び 影響する範囲。三,侵害者の主観的な過失。四, 侵害行為が引き起こした結果などである。 集めた判例の中に,法定賠償を適用する案件 も数多く存在し,裁判官が具体的な状況に基づ き,情状酌量で侵害行為者の法定賠償額を下し た。しかし,法定賠償額の最高額まで確定した
66 案件は少なく,主に比較的に低額を選ぶ流れが ある。例えば,発明特許の侵害は情状に合わせ て5万元以内,実用新案権侵害は3.5万元以内, 意匠権侵害は1万元以内など,著作権の侵害案 件に実際的に確定した法定賠償額はさらに低い (他人の撮影作品一枚を使用すると,700元だけ を賠償するとか)である。これは知的財産権の 保護対象である知的財産作品の無形性にも関係 があって,民法の損害賠償理論により無形的な 損失に具体的な額で賠償することは,客観的な 判定基準が標準化し難いので,確かに「なら す」補填効果に達するかどうかにも評価できな かったである。即ち,金銭で無形且つ量化し難 い損害の「穴」を埋めるために,一元は少なか らず,百万元でも多くないという局面に落ちし 易いである。 4,裁判文書の論理性 司法改革後にすでに一つの重大問題として重 視して改善し続け,人民法院の裁判文書で充分 に判決理由を書くことが必要となった。しかし, 裁判文書の論理的な説明が依然として充分では なっかた。理論的に侵害行為の構成を論証して なかったし,類似性の比較分析に関する説明も 足りない,特に法定賠償を適用するときに,最 終的に確定した賠償額の推理は厳密な論証は不 足で,「自由裁量」の根拠に対する説明も足り ないものが多く存在している。 五,将来の展望 ㈠ 司法保護制度の整備 知的財産権の司法保護制度の整備は,中国と してまだ長い歩む道があると思うが,目前に喫 緊の課題としては,やっはり司法保護システム を持続的に改善することである。まず,知的財 産権審判の人材育成を強化して,専門的な知的 財産権審判機関が独立させることである。先進 国は中国の知的財産権法の執行力に対して疑問 視するのか,健全的な法制度の運行を保障しに くいことである。その原因の一つは中国に適任 する知的財産権の裁判官と弁護士という専門人 材が不足である。しかも,中国の知的財産権保 護は行政保護から司法保護に移行するべき,専 門的知的財産権の司法関係者がより多くの知的 財産権の紛争を解決することは,社会的に知的 財産権の保護に更に有益であるため,引き続き 教育立国戦略堅持して,知的財産人材の育成を 強化し,知的財産権法,国際貿易に精通して, 法律と経済の理論も掌握でき,技術と専門知識 を持つ複合型人材を育成して,選抜推薦制度に より知財裁判官に組み入れるべきである。また, すでに知的財産権裁判に従事した者に対して, 人民法院は業務トレーニング,専門家の講座, 海外交流,国内外研究機構の研修などの形式を 通じて,知的財産権法を強化して,育成訓練に より裁判官の素質を高めるべきである。同時に, 知的財産権事件の専門性が強い特徴に対して, 既存の知的財産法の審判形式にも調整すべきで ある。例えば,人民陪審員制度を徹底的実行し て,知的財産権事件に,当該領域の専門家が人 民陪審員として,審判中に専門家の技術優位と いう独特な効果を発揮することできる。さらに, 専門的な知的財産権人民法院を創立することを 試み,この人民法院の中で行政法廷,民事法廷, 刑事法廷を設けて,知財紛争はすべて専門法院 で解決することができる。なお,知的財産権事 件の専門執行制度を整備し,専任の要員から知 的財産権に関連する各類執行業務を遂行する。 その次に,知的財産権の訴訟体制の建設も強 化して,司法の公正性と合理性を確保すること である。特に現在の知的財産権事件の審理期限 と普通な民事事件の期限と区別せずに,知的財 産権の事件の専門性を体現してないし,国際の 慣行と一致していないなどである。知的財産権 事件はその自身の特殊性があって,中国はこれ に対して専門的な規定がなく,殆ど民事訴訟関 連する規定を参照したもので,合理性が欠けて いる。例えば,挙証責任の敷居が高すぎ,権利 者が証拠集め,証拠保存,証拠保全しにくい, 事件審理中の技術問題について専門家鑑定の要 請も困難である。また,訴訟コストは高すぎて, 権利者が権利保護の必要費用を支払いに困難で
ある。さらに,臨時措置の適用範囲は狭くて, 実際運用し難いである。なお,賠償金が低く, 権利者が被った損失に補いにくいである。 これらの問題に対し,異なる知的財産権事件 のタイプによって区分化し,挙証責任の移転原 則も適用して挙証責任の転換できるように提案 する。また,知的財産法学界の研究水準が高く, 豊富な技術経験がある専門家,学者あるいは実 務家を招聘して,人民法院の知的財産法顧問を 担任し,裁判官の調査審議において理論と技術 問題を正しく解決するように助ける。そして, 知的財産権の訴訟保険も適切に取り入れて,知 的財産権利者のリスクを分担し,知的財産訴訟 に直面する企業の高価な訴訟費用を支払うだけ ではなく,知的財産権を喪失した企業に被った 損失あるいは減った収入の損失をも弁償するこ とができて,侵害された方の利益を守ることも できる。さらに,臨時的な措置の適用範囲を拡 大して,それを特許権,商標権,著作権以外に, 商号権,地理的標示,商業秘密及び植物新品種 の権利侵害事件までに適用して,同時に統一的 な臨時措置の保護体制を作り上げて,権利侵害 の停止,証拠の保全プログラム,財産の保全処 分のプログラムの三種類の臨時措置を組み合わ せて使う時の難度を軽減し,それによって各地 の人民法院の実務操作も容易になる。なお,全 面弁償原則を貫き,最高人民法院の法定賠償額 を沿って,実際の賠償金額を上げて,同時に挙 証困難のとき,または被害者が実際に被った損 失は侵害者が得た利益とかけ離れる場合,懲罰 性賠償も取り入れて,被害者の損失を補い,双 方の利益衡平を実現できる。 その他に,機械的に民事訴訟法,刑事訴訟法 を模倣して期限を設けることがなく,国際経験 を参照して,知的財産権の審理期限は具体的な 事件の特徴によって取り調べる期限を確定すべ きである。 ㈡ 判例研究の将来像 正しく理論的な指導を受けなかった実務は盲 目的なもので,実践検証に検証してなかった理 論も無力である。判例が理論研究に豊富な研究 素材を提供することに対し,理論は実践から得 たもので,そして実務を指導している。知的財 産権の独占性から見ると,知的財産権の保護は 殆ど授権に基づいて形成したものである。たと えば商標権と特許権は,特許・商標を出願登録 後にようやく保護を受けることができ,しかも 先に登録したものが優先的に権利を獲得するこ とができる。つまり,知的財産法制度を完備す る環境の下に,知的財産権保護において当該主 体に属する権益を守ると同時に,必ず相対的な 主体を排斥する。故に,知的財産権保護意識が 高く,特に有名ブランドを保有する有力企業あ るいは大量な特許を持つ技術型企業は,業界の 競争者と使用者にとって強い束縛力があると思 われる。 従って,知的財産権の独占性は市場秩序を守 り,公平競争を維持する代価でもあるため,現 段階での中国の知的財産権保護は越えられない ジレンマでもある。しかし,知的財産権保護の 地域性と時効性もあるので,商標は登録するな ら,中国で登録した商標は米国でも登録して使 うこともできる。同様に特許の取得は技術方案 の公開を代価するもので,独占期間の制約も あって,公衆がその期間外に特許を無償で使う ことができ,社会全体の技術進歩にも大きく貢 献できる。 現在の知的財産権は既に企業発展の戦略的な 資源と国際競争力の核心要素となり,自身の競 争力を高める武器であり,企業の成長空間を保 護する甲冑でもある。知的財産権に対する投入 は企業の管理と運営能力を高めることに有益で あり,知的財産権のリスクを回避し,企業の知 的権益を保護して,企業に強い市場競争力に与 える。 それで,中国企業は革新能力の不足,海賊版 侵害,権利侵害の対価が少ない,権利保護コス トが高いなど問題を愚痴にするだけではなく, 国際市場と知財法の流れにも着眼し,自身の知 的財産権保護意識を強めて,早めに商標を登録 し,核心特許を出願して,積極的に創造能力を
68 育ち,知的財産権の独占能力を高め,知的財産 権法制度を整備しなければならないと思う。 今回の判例収集作業から見ても,知的財産法 はひとつ実戦性がとても強い学科であると思う。 様々な立法上に決められなかった理論は,実際 の訴訟を通じて,漸く判例の形ではっきりさせ ていた。中国が判例国家ではないが,人民法院 の裁判官が具体的な判決の思考ロードを明らか にしたことは,中国知的財産法研究に対してと ても重要である。特に北京人民法院は,地理位 置の特殊な関係であるため,それに大量な行政, 民事事件を接触することができて,判決に対す る考えの筋道を究明するのを大変有益である。 今回のプロジェクトを通じて結んだネット ワークの元に,私達は知的財産法の理論研究に ついて,いくつかの難問を検討してはっきりす る国際知財法研究会の設立を提案する。例えば 均等論原則,創造性の判断,公開使用の認定, 明細書のクレーム解釈,ネット著作権問題など を,それぞれ訴訟の実例を深く研究することに よって,各国の裁判所が共通の考え方あるいは 理論構想を探り出すことで,知的財産法理論に とって,実務上にとっても大な意義があると信 じる。 また,このプロジェクトは一段落したけれど も,協力のルートと研究援助はすべて多様化し, あらゆる政府,社会,組織,個人の積極性を発 揮して,ネットワークの優位を利用し,既存の 知的財産権判例検索システムを充実させること は十分に有りうる。そして,中国教育,研究部 門がすでに知的財産権の専門研究機構を設立し たため,多国籍の知的財産法教育の展開,ある いは共同研究も潮流になった最中に,例えば, 定期的に国際知的財産権シンポジウムを開催し, 多国籍の知財プログラムを設けるとか,あるい は不定期の多種なテーマ研究会を催し,各特定 項目の共同研究を展開して,関連地域の典型的 な知的財産判例を収集することもできる。 なお,多地域・多国籍の知的財産権事件を収 集・整理して,「知的財産権事件検索システム」 を創立して,データベースの再構成により,知 的財産法学科の基礎研究に素材を提供すると同 時に,知的財産権界の問題を各界の視野に置い てじっくり考える価値があり,企業の海外投資 及びグローバル発展にも助けると思う。